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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 A23K
管理番号 1129535
審判番号 不服2001-8812  
総通号数 75 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1998-05-06 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-05-24 
確定日 2006-01-10 
事件の表示 平成 8年特許願第289124号「魚類飼料添加油および肉質改善魚類飼料」拒絶査定不服審判事件〔平成10年 5月 6日出願公開、特開平10-113131〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成8年10月12日の出願であって、平成13年4月18日付けで拒絶査定がされ、これに対し、平成13年5月24日に拒絶査定不服審判の請求がされるとともに、平成13年6月25日付けで手続補正がなされたものである。

2.本願発明
本願の請求項4に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、明細書の特許請求の範囲の請求項4に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

(本願発明)
「トウガラシを肉質改善成分として含有することを特徴とする魚類飼料。」

3.引用文献に記載された事項
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である、特開昭64-27435号公報(以下、「引用文献」という。)には、次の事項が記載されている。

(イ)「2.特許請求の範囲(1)飼料用ペレット全重量に対して、トウガラシ成分10〜45%とニンニク成分10〜50%を含有し、水分8%以下で、含油脂分総含量が4〜6%の径2〜5mmのペレット状である飼料用ペレット。」
(第1ページ左下欄第4行〜9行参照)

(ロ)「〈産業上の利用分野〉本発明は、・・・飼料用ペレットに関する。
〈従来の技術〉一般に動物用飼料としての家畜、家禽、養魚用飼料用ペレットの製造においては、水分約15%以下の各種原料の混合粉末をペレット製造機により、その圧出孔から圧縮押出しして一定の長さのペレットに成形していた。しかし、一般には成形し易くし、またペレット製品の生産性を上げるために、熱水蒸気を利用して成形していたが、最終的な製品の水分は8%以上となるものであった。
一方、トウガラシ成分を主成分とするトウガラシ粉末は、通常水分含量が低く、含油脂分総含量が高いために成形時熱水蒸気を利用して加湿すると流粘性を帯び、造粒機が空転または圧出孔の目詰まり等を引き起こし、ペレット製造に支障をきたすものであった。またトウガラシやパプリカは、加熱状態あるいは熱蒸気の使用下において著しく退色する傾向があり、これらを主成分とする製品の商品価値や対象動物の嗜好性などの生理行動に負の影響を与えるものであった。
さらに、ニンニク成分を主成分とするニンニク粉末も通常水分含量が低く、ペレット成形時熱水蒸気を利用して加湿するとトウガラシの場合と同様に造粒機が空転または圧出孔の目詰まり等を引き起こし、さらにその高い吸湿性のため一旦吸湿したニンニク粉末は強くセメント状に固化し、製造上支障を生じる欠点があった。そのため、一般には、飼料にそのまま添加して使用されているが、特に主成分の一つであるトウガラシは、その刺激性から飼料混合時にマスク等の着用や皮膚を防御するような対策が必要なことから、トウガラシを造粒、成形するよう要望されていた。」
(第1ページ左下欄第13行〜第2ページ左上欄第10行参照)

(ハ)「実施例1 トウガラシ成分(トウガラシ粉末)10%、ニンニク粉末50%、乾燥ビール酵母5%、活性生菌(バチルス・トヨイの芽胞生菌体;商品名トヨセリン末)5%、ふすま残量を用いて、均一に混合し、これを市販のペレットミル成形機(CPM社製ペレットミル)の圧出孔口径2.3mmの孔径でペレット成形した。・・・。
実施例2 トウガラシ粉末25%、ニンニク粉末17%、乾燥ビール酵母5%、トヨセリン末0.4%、米糠油粕残量を均一に混合し、これを市販のペレットミル成形機の圧出孔口径2.3mmの孔径でペレット成形した。・・・。
実施例3 実施例1と同一組成物を、圧出孔口径3.2mmの孔径でペレット成形した。・・・。
実施例4 トウガラシ粉末40%、ニンニク粉末10%、残量にビール酵母を加えて、これを均一に混合し、これを市販のペレットミル成形機の圧出孔口径3.2mmの孔径でペレット成形した。・・・。」
(第3ページ右上欄第4行〜第3ページ右下欄第4行参照)

(ニ)「〈発明の効果〉本発明で得られる飼料用ペレットは、油脂分をトウガラシ含量で調節し、熱水蒸気を使用せずに成形されていることから、含油脂分総含量がエチルエーテルによるソックスレー脂肪抽出法の条件下で4〜6%を含み、水分含量が少ないため、ペレット成形時あるいは製品の保存時の変質が少なく、また嗜好性の変化もなく、安定性の良好なものが得られたものであり、特に家禽、例えばブロイラーや採卵鶏の飼料として嗜好性がよく、また消化官を刺激して消化液の分泌を促進し、食欲を増進させ、さらに増体や産卵率が改善され、さらに卵黄色の値が統計的に無投与区に比較して高く、その取扱いの際に刺激も無く、使用が簡便なものである。またその製造時に何らニンニクの固化を生ずることなく、かつ圧出孔の目詰まりもなく、簡便に製造でき、ペレットの硬度およびペレットの耐久度も良好なものである。」
(第3ページ右下欄第5行〜第4ページ左上欄第2行参照)

してみれば、(イ)〜(ニ)に記載された内容を総合すると、引用文献は、「産業上の利用分野」として飼料用ペレットを挙げ、「従来技術」として「動物用飼料としての家畜、家禽、養魚用飼料用ペレット」を挙げている以上、引用文献に記載の発明は、当然、養魚用の飼料用ペレットを対象とするものであり(上記(ロ)参照)、「飼料用ペレット全重量に対して、トウガラシ成分10〜45%」を含有させている(上記(イ)参照)ことから、引用文献には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が実質的に記載されていると認められる。

(引用発明)
「トウガラシ粉末10〜45%を含有する養魚用飼料用ペレット。」

4.対比
本願発明と引用発明とを対比する。
引用発明の「飼料用ペレット」が飼料そのものであることは、当業者にとって自明のことである。なお、本願の明細書には、「【0011】実施例1・・・。【0012】・・・。飼料は原料を全て均一に混合後、ペレッターを用いて作製した。」と記載されており、本願の実施例における、ペレッターで作成された飼料も「ペレット」であることは明らかである。
さらに、引用発明のペレットは養魚用であり、これが魚類飼料を意味することも明らかである。
また、引用発明のペレットは、トウガラシ粉末10〜45%を含有しており、この含有率の範囲は、本願の実施例として記載された、「飼料原料100重量部に対してトウガラシ0.1〜25重量部の割合」との範囲と合致する部分を有している。
してみれば、本願発明の、「トウガラシを肉質改善成分として含有する」ことが、そのトウガラシの含有割合を仮に規定しているものと解しても、本願の実施例と同等のトウガラシ含有率を有する引用発明が、本願発明と同様の、トウガラシによる「肉質改善」という作用効果を奏することは明らかである。

したがって、本願発明は、引用文献に記載された発明である。

なお、審判請求人は、平成13年9月3日付け手続補正書の【請求の理由】において、
「引用文献1の明細書全体を読んでみると「養魚用」という言葉は第1頁右下欄1行目にしか出てきません。この第1頁右下欄1-8行目は従来技術を記載している部分であって、家畜、家禽、養魚用飼料用ペレットの製造方法の従来技術を述べているだけある。
引用文献1の発明者がなぜトウガラシとニンニクを含有する飼料を製造したかったかを考える必要がある。その理由を示唆する部分としては、
・2頁左下欄6-10行「・・・」
・3頁右下欄13-18行「・・・」
の2箇所がある。また、・・・と、含有してもよいその他の飼料原料が記載されているが、ここには通常、養魚用飼料で必須成分である魚粉、ミールなどの動物性蛋白についての記載は一切ない。
以上、明細書のどこを見ても養魚用飼料を作るという意図は認められず、単に従来技術の製造手段を紹介する部分に「養魚用」ということばがあることから魚類用飼料が開示されているというのは認定に誤りがあることは明白である。」と主張する。

しかし、審判請求人が引用文献中において「理由を示唆する部分」とする2頁左下欄6-10行及び3頁右下欄13-18行には、飼料用ペレットを食する動物の例として「特に家禽」が示されているにすぎない。そして、引用文献に記載されている「トウガラシ」が「油脂分をトウガラシ含量で調節」(上記3.(ニ)参照)するために含有されていることを考慮すれば、引用文献に、「特に家禽」に対して「飼料として嗜好性がよく、また消化管を刺激して消化液の分泌を促進し、食欲を増進させ、さらに増体や産卵率の改善や卵黄色が向上し、家禽が本能的によく食餌する」という効果の記載があったとしても、この記載が、直ちに「養魚用飼料ペレット」に対して油脂分を調節するためにトウガラシを含有させることを否定するものとはならないことは明らかである。

また、審判請求人は、「養魚用飼料ペレットは、養魚用に用いた実験データがない場合、完成された発明であるとはいえない。魚類を対象とする以上、飼料を魚類に給餌した実験など、魚類に適用した裏付けがあってはじめて発明は完成されるのである。したがって、引用文献1には、トウガラシを含有する魚類用飼料が完成された発明として開示されているということはできない。」と主張する。

しかし、引用文献には、「従来技術」として「動物用飼料としての家畜、家禽、養魚用飼料用ペレット」を対象とし、「ペレット製品の生産性を上げるために、熱水蒸気を利用して成形していたが、最終的な製品の水分は8%以上となるものであった」ことを課題とし(上記3.(ロ)参照)、「飼料用ペレット全重量に対して、トウガラシ成分10〜45%」を含有させ(上記3.(イ)参照)、「油脂分をトウガラシ含量で調節し、熱水蒸気を使用せずに成形」することで「水分含量が少ないため、ペレット成形時あるいは製品の保存時の変質が少なく、また嗜好性の変化もなく、安定性の良好なもの」を得ること(上記3.(ニ)参照)が記載されており、引用文献に養魚用に用いた実験データの開示がなかったとしても、実施不能とはいえないのであるから、引用文献にはトウガラシを含有する養魚用飼料が実質的に開示されているとみるべきであり、審判請求人の主張は採用できない。

なお、審判請求人は、平成14年9月27日付けの上申書において、必要であれば技術内容の説明をする用意がある旨を表明しているが、本願の明細書及び図面に記載されている技術的事項に加え、さらに技術内容について説明を受ける事情は見いだせない。

5.むすび
したがって、本願発明は引用文献に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-11-09 
結審通知日 2005-11-15 
審決日 2005-11-29 
出願番号 特願平8-289124
審決分類 P 1 8・ 113- Z (A23K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 長井 啓子  
特許庁審判長 大元 修二
特許庁審判官 木原 裕
石井 哲
発明の名称 魚類飼料添加油および肉質改善魚類飼料  
代理人 須藤 阿佐子  
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