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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1129572
審判番号 不服2003-18057  
総通号数 75 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2001-08-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-09-18 
確定日 2006-01-11 
事件の表示 特願2000- 96326「ライフイベントサービス提供装置及び方法並びにプログラム記録媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 8月24日出願公開、特開2001-229298〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成12年3月31日の出願であって、平成15年8月11日付で拒絶査定がされ、これに対し、同年9月18日に拒絶査定に対する審判が請求されるとともに、同年10月20日付で手続補正がなされたものである。

2.平成15年10月20日付の手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成15年10月20日付の手続補正を却下する。

[理由]
(1)補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、

「ライフイベントに関する書面の送付サービスを実現するために用いられるライフイベントサービス提供装置であって、
少なくともライフイベントに対応した書面の送付先情報を含むライフイベントに関する情報を格納したライフイベント情報記憶手段と、
上記ライフイベント情報記憶手段の格納するライフイベントに関する情報の中から、検索条件を充足するものを検索する検索手段と、
ネットワークを介して接続される端末に、上記ライフイベント情報記憶手段から取り出されるライフイベント広告の一覧を掲示するか、上記検索手段の検索した1つ又は複数のライフイベント広告を掲示する掲示手段と、
上記ライフイベント広告の掲示に応答して選択される、ライフイベントに関する書面の送付先を特定する特定手段と、
上記送付先の選択を行った端末に、ライフイベントに関する書面の入力域と費用の決済方法の入力域と送付者の個人情報の入力域とを持つ一画面又は複数画面で構成される入力用画面を表示する表示手段と、
上記入力用画面に入力された情報を取得することで、ライフイベントに関する書面の送付に必要となる情報を取得する取得手段とを備えることを、
特徴とするライフイベントサービス提供装置。」
と補正された。

上記補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「掲示手段」について具体的な限定を付加するものであって、特許法17条の2第4項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法17条の2第5項において準用する同法126条4項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(2)引用例
(2-1)原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布された登録実用新案第3052139号公報(以下、「引用例1」という。)には、次の事項が記載されている。

ア「葬儀社や互助会、葬儀関連業者からの各葬家別葬儀通夜告別式に関する情報提供部と、発信された情報を正確に受けるパソコンによる情報受信部と、入力された情報で形成されるデータをサーバーによって変換登録する情報登録部と、データ変換された葬儀通夜告別式に関する情報をインターネットで送出する第1送信部と、データ変換された葬儀通夜告別式に関する情報をFAXで送出する第2送信部と、葬儀通夜告別式に関する正確な情報を検索利用する利用者のインターネット端末と、葬儀通夜告別式に関する情報を検索利用する利用者のFAX端末から構成される、各葬家別の葬儀通夜告別式会場等の告知案内装置。」(3頁左欄9行〜同頁右欄9行)

イ「【0006】
葬儀社や互助会など各葬家の葬儀通夜告別式に関わる業者から、正確な各葬家の葬儀通夜告別式に関する、会場所在図や日時等の正確な情報は1の提供部FAXにより、2の受信部パソコンに送信され、
【0007】
2の受信部で受信された正確な各葬家の葬儀通夜告別式に関する、会場所在図や日時等の正確な情報は、地域別や日時別に仕分けされインターネットとFAXでの情報提供用のデータに変換され、3の登録部に登録保存される。
【0008】
3の登録部に登録保存された正確な各葬家の葬儀通夜告別式に関する、地域別や日時別に仕分けされた会場所在・所在図や日時等の正確な情報は、それぞれインターネット利用者がアクセスされた時に送出される4のインターネット送信部とFAX利用者がアクセスされた時に送出される5のFAX送信部と、を備えて構成されている。
【0009】
【考案の効果】
そして、それぞれインターネットやFAXに葬儀通夜告別式に関する情報利用の目的で会葬参列者が6のインターネット端末や、7のFAX端末から選択接続がなされた時は、地域別や日時別に仕分けされた各葬家の会場所在図や日時等の正確なフロント情報が提示され、そこから会葬参列のために必要な各葬家別の葬儀通夜告別式に関する情報が検索でき、該当する各葬家の葬儀通夜告別式に関する全ての情報が提示される。
【0010】
それぞれ、会葬参列者は該当する各葬家の葬儀通夜告別式に関する全ての情報を必要に応じてインターネット利用者は手元のプリンターで印刷し、またFAX利用者はそのままFAXから送出される印刷された、各葬家の葬儀通夜告別式に関する全ての情報を入手する事ができ、突発的に起こる葬儀通夜告別式への会葬参列の目的で会場式場へ赴く際、正確かつ確実に目的の場所へ時間内に到達する事が容易となる。」(4頁27行〜5頁末行)

したがって、アないしイの記載から、引用例1には、
「各葬家の葬儀通夜告別式に関する会場所在図や日時等の情報が登録保存された登録部と、地域別や日時別に仕分けされた各葬家の会場所在図や日時等の正確なフロント情報が提示され、そこから利用者が情報を検索し、該当する各葬家の葬儀通夜告別式に関する全ての情報を提示するためのインターネット端末とを有する告知案内装置」の発明(以下「引用発明1」という。)が開示されていると認めることができる。

(2-2)原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布された、小谷宏志ほか、ビジネス情報100%活用法、日経PC21、日経BP社、第3巻、第10号、62-67頁、1998年9月1日発行(以下、「引用例2」という。)には、次の事項が記載されている。

ア「一方、最近では、祝電や弔電もホームページから送れるようになった。NTTのホームページ「INTERNET DENPO」から、簡単に電報の申し込みができる。最初に「結婚」「人生の祝い」「ビジネス」「悲しみごと」などから利用目的を選び、台紙の選択、メッセージの入力、宛先の入力と順番に進む。メッセージの例文は用意されているので、その例文のボタンを押せば空欄にそのまま文章が入る(図6〜図8)。
申し込みを終えたら、仮受付番号が与えられるので、それを控えておく。それから一時間以内に登録受付用のフリーダイヤルに電話をかけ、先方からのコンピューターの音声に従って、仮受付番号と自分のクレジットカードの番号を知らせる。使用する電話はプッシュホン式であることが条件だ。
」(63頁上段9行〜下段10行)

イ「図8 メッセージのサンプルのボタンを押して文章を入力し、宛先を入力して送信。この後、NTTに電話し仮受付番号とクレジットカード番号を知らせる」(63頁左下図8の説明文)

したがって、ア及びイ、図6,7,8の記載から、引用例2には、
「INTERNET DENPOのホームページの表示画面から、最初に「結婚」「人生の祝い」「ビジネス」「悲しみごと」などから利用目的の選択を受ける画面を表示し、、メッセージの入力、宛先の入力を受ける画面を表示し、入力された情報を受信し、入力した者に提示した仮受付番号とクレジットカード番号により決済を行う手順で弔電や祝電を受け付ける」発明(以下「引用発明2」という。)が開示されていると認めることができる。

(3)対比
本願補正発明の「ライフイベント」とは、出願当初の明細書【0001】の、「葬儀や結婚式などの各種ライフイベント」という記載からみて、一般的な意味での「冠婚葬祭」に相当すると認められるから、引用発明1の「葬儀通夜告別式」は本願補正発明の「ライフイベント」に相当する。

葬儀において送付される書面は、一般に葬儀通夜告別式の会場に送付されるものであり、引用発明1の「登録部」に登録保存された「葬儀通夜告別式会場の所在図や日時等の情報」は、本願補正発明の「ライフイベント情報記憶手段」に格納された「書面の送付先情報」を当然に有するものと認められる。よって、引用発明1の「登録部」は、本願補正発明の「ライフイベント情報記憶手段」に相当する。

本願補正発明の「ライフイベント広告」は、「ライフイベント情報記憶手段から取り出される」とされていること及び出願当初の図8等の記載からみて、ライフイベント情報の中からライフイベントを選択するために必要な情報を取り出して表示のためにまとめたものと認められる。
一方、引用発明1の「フロント情報」は、葬儀通夜告別式に関する情報が登録保存されている登録部から取り出されると考えるのが自然であり、参列する葬儀通夜告別式を選択するためにインターネット端末に提示され、検索に供されるものである。
よって、引用発明1の「フロント情報」は本願補正発明の「ライフイベント広告」に相当する。

一般に計算機を用いて情報を閲覧する際には、膨大な情報の中から所望の情報を効率よく見つけ出すために、検索条件を設定して絞り込んでから情報を表示することは普通に行われることである。そうすると、引用発明1の「利用者が情報を検索し、該当する各葬家の葬儀通夜告別式に関する全ての情報を提示するためのインターネット端末」には、本願補正発明の「検索手段」及び「掲示手段」に相当する構成が当然に設けられているといえる。

したがって、両者は、
「少なくともライフイベントに対応した書面の送付先情報を含むライフイベントに関する情報を格納したライフイベント情報記憶手段と、上記ライフイベント情報記憶手段の格納するライフイベントに関する情報の中から、検索条件を充足するものを検索する検索手段と、ネットワークを介して接続される端末に、上記ライフイベント情報記憶手段から取り出されるライフイベント広告の一覧を掲示するか、上記検索手段の検索した1つ又は複数のライフイベント広告を掲示する掲示手段とを備える装置。」
である点で一致し、以下の点で相違している。

(相違点1)
本願補正発明が、ライフイベントサービス提供装置であるのに対し、引用発明1はライフイベントの告知案内装置である点。

(相違点2)
本願補正発明が、「ライフイベント広告の掲示に応答して選択される、ライフイベントに関する書面の送付先を特定する特定手段と、上記送付先の選択を行った端末に、ライフイベントに関する書面の入力域と費用の決済方法の入力域と送付者の個人情報の入力域とを持つ一画面又は複数画面で構成される入力用画面を表示する表示手段と、上記入力用画面に入力された情報を取得することで、ライフイベントに関する書面の送付に必要となる情報を取得する取得手段と」を有するのに対し、引用発明1には係る手段が認められない点。

(4)判断
(相違点1)について
ライフイベントに際して電報などの書面送付サービスを利用することは一般に行われている習慣であり、かつ、引用発明1,2はライフイベントに関する技術である点で共通しているから、引用発明1の告知案内装置に引用発明2のホームページから弔電や祝電を受け付ける技術を適用し、ライフイベントに関する文書送付サービスを提供する装置、すなわち、ライフイベントサービス提供装置とすることは、当業者が容易になし得ることである。

(相違点2)について
引用発明1において、インターネット端末に掲示されるのは、利用者が探している葬儀通夜告別式の会場等の情報であり、弔電を送る者にとっては送付先の情報である。引用発明1に、引用発明2のインターネット経由で電報を受け付けるサービスを適用する際に、端末に表示された情報から電報の送付先を特定するよう構成することは、当業者にとって格別困難なこととは認められない。
また、費用の発生に伴って決済が生じるのはビジネスの基本であり、画面上に決済のための領域を設けることは当業者が適宜設計しうる事項である。
よって、引用発明1の告知案内装置に引用発明2のインターネット経由で弔電や祝電を受け付ける技術を適用し、ライフイベントが表示された画面から書面の送付先を特定する構成を設けること及び、メッセージの入力を受ける画面、決済方法を指定するための画面を表示する構成を設けることは、当業者が容易に想到することができたものである。

そして、本願補正発明の作用効果も、引用発明1,2から当業者が予測できる範囲のものである。
したがって、本願補正発明は、引用例1,2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法17条の2第5項で準用する同法126条4項の規定に違反するものであり、同法159条1項で準用する同法53条1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について
平成15年10月20日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成15年7月14日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

「ライフイベントに関する書面の送付サービスを実現するために用いられるライフイベントサービス提供装置であって、
少なくともライフイベントに対応した書面の送付先情報を含むライフイベントに関する情報を格納したライフイベント情報記憶手段と、
ネットワークを介して接続される端末に、指定されるライフイベント広告の一覧、あるいは、検索条件を充足する1つ又は複数のライフイベント広告を上記ライフイベント情報記憶手段から抽出して掲示する掲示手段と、
上記ライフイベント広告の掲示に応答して、送付先を指定して、ライフイベントに関する書面の送付要求が発行されるときに、その発行元の端末に、該書面の入力域と費用の決済方法の入力域と送付者の個人情報の入力域とを持つ一画面又は複数画面で構成される入力用画面を表示する表示手段と、
上記入力用画面に入力された情報を取得することで、ライフイベントに関する書面の送付に必要となる情報を取得する取得手段とを備えることを、
特徴とするライフイベントサービス提供装置。」

(1)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例及びその記載事項は、前記「2.(2)」に記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明は、前記2.で検討した本願補正発明から「掲示手段」について具体的な限定を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに他の限定を付加したものに相当する本願補正発明が、前記2.(4)に記載したとおり、引用例に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用例に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1,2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-11-01 
結審通知日 2005-11-08 
審決日 2005-11-21 
出願番号 特願2000-96326(P2000-96326)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G06F)
P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山下 達也  
特許庁審判長 杉山 務
特許庁審判官 田中 幸雄
鈴木 明
発明の名称 ライフイベントサービス提供装置及び方法並びにプログラム記録媒体  
代理人 森田 寛  
代理人 岡田 光由  

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