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審決分類 審判 査定不服 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 H04N
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N
管理番号 1129583
審判番号 不服2004-21053  
総通号数 75 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1995-02-21 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-10-12 
確定日 2006-01-11 
事件の表示 平成 6年特許願第 66780号「ビデオ信号圧縮装置およびビデオ信号圧縮方法」拒絶査定不服審判事件〔平成 7年 2月21日出願公開、特開平 7- 50842〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 本願発明
本願は、平成6年3月9日の出願(パリ条約による優先権主張 1993年3月12日 米国(US))であって、本願の請求項1ないし5に係る発明は、本願明細書および図面の記載からみて、その請求項1ないし5にそれぞれ記載されたとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という)は、平成16年4月21日付けの手続補正書により補正された明細書および図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。
「ブロック・ベースでビデオ・データを処理し、ブロック・マッチング・プロセスによってそれぞれのブロックの動きベクトルを生成する形式のビデオ信号圧縮装置であって、
非0値動きベクトルを0値動きベクトルに変換する動きベクトル処理器を具え;
さらに、0値動きベクトルへ変換される候補となる非0値動きベクトルを候補動きベクトルとして識別するブロック・マッチング手段と、
或る候補動きベクトルが、この或る候補動きベクトルを有するブロックに隣接するブロックの動きベクトルと相関しているかどうかを判定して、相関性が検出されない場合は上記候補動きベクトルを0値動きベクトルに変換し、相関性が検出された場合は上記或る候補動きベクトルを0値動きベクトルに変換しない判定及び変換手段と、
を具えるビデオ信号圧縮装置。」

2 刊行物
これに対して、原審拒絶理由で引用された、本願の出願日前である平成3年9月20日に頒布された「特開平3-214988号公報」(以下、「刊行物1」という)は、「動き補償フレーム間符号化装置」に関するものであって、その公報には図面とともに次の事項が記載されている。
ア 「テレビジョン信号をアナログディジタル変換する手段と、ディジタル化した入力テレビジョン信号の1フレームまたは1フィールドを定められた大きさのブロックに分割する手段と、個々のブロックについてテレビジョン画像の動きである動ベクトルを算出する手段と、フレーム間差分値にもとずいて符号化ブロックに対する動き補償を行うか否かを判定し、その結果を動き補償制御信号として算出する第1の動き補償判定手段と、符号化ブロック、及び符号化ブロックに隣接した周辺のブロックの動ベクトル及び、動き補償制御信号を蓄積する手段と、前記第1の動き補償判定手段で動き補償を行わないと判定された符号化ブロックの動ベクトルと符号化ブロックに隣接した周辺のブロックの動ベクトルを比較し、動ベクトルが一致したとみなせるブロック数がK(但し、Kは8以下の正整数)個以上ある場合に、前記動き補償制御信号を動き補償を行なうように変更する動き補償制御信号補正手段と、符号化ブロックの画素値と前記補正された動き補償制御信号にもとずく予測画素値との差分を予測誤差値として算出する手段と、予測誤差値を直交変換し、直交変換係数を算出する手段と、直交変換係数を量子化し、量子化した直交変換係数を算出する手段と、量子化した直交変換係数を符号化する手段と、量子化した直交変換係数を逆直交変換し、量子化した予測誤差を算出する手段と、量子化した予測誤差と予測信号より再生画像を算出する手段と、再生画像を蓄積する手段と、動ベクトルを符号化する手段を具備した動き補償フレーム間符号化装置。」(1頁左下欄5行ないし右下欄14行)
イ 「従来の動き補償フレーム間符号化装置では、入力テレビジョン信号と画像メモリに蓄積されている前フレームの再生テレビジョン信号を比較し、符号化ブロックの動き補償ベクトルを算出し、符号化ブロックの前フレームと現フレームとの差分と、動き補償を用いた予測画素値と現フレームの画素値との差分とを用いて、動き補償の有効性を判定している。」(4頁左上欄4行ないし11行)
ウ 「以下その動作を説明する。テレビジョン信号は第1図に図示されていない信号処理部でアナログ・ディジタル変換され、水平方向M画素、垂直方向Nラインのブロックに分割され、入力端子1より入力テレビジョン信号2として入力する。次に、第1動き補償判定部3は入力テレビジョン信号2と、画像メモリ部4より読みだした前フレームの再生画像5を比較し、動ベクトル6を算出する。同時に、第1動き補償判定部3は動ベクトル算出時の評価値を用いて、処理ブロックに対する動き補償が有効か無効かを判定し、その結果を第1動き補償制御信号7として出力する。第2動き補償判定部8は、符号化ブロックの動ベクトル6と第1動き補償制御信号7を蓄積し、符号化ブロックについて動き補償が有効なのか否かを最終的に判断し、第2動き補償制御信号12に出力する。さらに第2動き補償判定部8は符号化ブロックに対する動き補償が最終的に有効と判断されたときは、蓄積された符号化ブロックについて動ベクトルを第2動き補償制御信号12に出力する。
従って、第2動き補償制御信号12には、動ベクトルと動き補償信号が重畳されている。
以下に、動き補償が有効か無効かの最終的な判定の方法を記述する。
(1)符号化ブロックに対する第1動き補償制御信号7がONであれば、第2動き補償制御信号12をONとして判定を終了する。
(2)符号化ブロックの動ベクトル(中略)と、符号化ブロックに隣接した8個の参照ブロックの動ベクトル(中略)で、動き補償する参照ブロックの動ベクトルを比較し、動ベクトルが一致したブロック数を計数し、前記一致数が予め定めた値Kよりも大きいか等しい場合には、第1動き補償制御信号7を補正し、第2動き補償制御信号12をonし、その他の場合は第2動き補償制御信号をoffする。
実験によればK=4とすると画質の向上が確認された。
動き補償部14は、符号化ブロックの再生画像15に対し動ベクトル情報12により動き補償する場合は動ベクトルで動き補償し、動き補償しない場合は何もせずに、動き補償信号16として出力する。」(4頁左下欄16行ないし5頁右上欄3行、第1図)
エ 「以上の説明に於て、動き補償しないと判定されたブロックについて、判定を補正し動き補償するか否かを「符号化ブロックの動ベクトルと符号化ブロックに隣接した周辺の動き補償するブロックの動ベクトルの一致数」で判定する例を示したが、「一致したと見なせる数」で判定してもよい。」(5頁右下欄16行ないし6頁左上欄2行)
オ 「以上のように、本発明の効果としては、(中略)画面全体の平行移動時などに、画面上の平坦部で動き補償するブロックと動き補償しないブロックが混在することによっておこる画質の劣化を防ぐことにより、画質を向上させることができ、その効果は大きい。」(6頁左上欄9行ないし右上欄2行)

3 本願発明と刊行物1に記載された発明(以下、「刊行物発明」という)との対比
本願発明と刊行物発明を対比すると、
(1)上記2アによれば、刊行物発明は、ブロック・ベースでビデオ・データを処理し、それぞれのブロックの動きベクトルを生成する形式のビデオ信号圧縮装置といえるので、刊行物発明と本願発明とは、「ブロック・ベースでビデオ・データを処理し、それぞれのブロックの動きベクトルを生成する形式のビデオ信号圧縮装置」である点で一致している。
そして、上記2ウによれば、刊行物発明は、第1動き補償判定部3は動ベクトル算出時の評価値を用いて処理ブロックに対する動き補償が有効か無効かを判定、すなわち、動ベクトルによる動き補償の有効性を判定しているのであり、実質的に動ベクトルの有効・無効を判定しているといえるが、有効な動きベクトルを無効な動きベクトルに変換しているわけではない。
さらに第2動き補償判定部においては、動き補償の判定について、第1段階で、符号化ブロックに対する第1動き補償制御信号7がONすなわち動きベクトルによる動き補償が有効であれば、第2動き補償制御信号12をONとして判定を終了し、第2段階で、符号化ブロックに対する第1動き補償制御信号7がONでなければ、すなわちoffであって動きベクトルによる動き補償が無効であれば、符号化ブロックの動ベクトルと、符号化ブロックに隣接した8個の参照ブロックの動ベクトルで、動き補償する参照ブロックの動ベクトルを比較し、動ベクトルが一致したブロック数を計数し、前記一致数が予め定めた値Kよりも大きいか等しい場合には、第1動き補償制御信号7を補正し、第2動き補償制御信号12をonし、その他の場合は第2動き補償制御信号をoffするものであり、言い換えれば、上記2アにあるように、動き補償制御信号を動き補償を行うように変更するものであり、それによって、上記2オにあるように、画質劣化を防ぎ、画質向上がなされる効果を有している。してみると、第2動き補償判定部は上記第2段階において動ベクトルが無効である信号を動ベクトルが有効である信号に変換しているといえる。動き補償しない場合は何もせずに、動き補償信号16として出力する。
一方、本願発明のMC/no-MC判定の目的は、圧縮されたデータの各ブロックについて、動き推定探索から得られる動きベクトル(MC)を選択するか、又は(0,0)動きベクトル(no-MC)を選択するかを決めることであって、予測エラー(MAE(ピクセル毎の平均絶対値誤差)又はMSE(ピクセル毎の平均二乗誤差)とすることが出来る)に基づくMC/no-MC判定によりMC動きベクトルが役に立たず(何の情報も持たず)の場合にno-MC動きベクトル(0値動きベクトル)が選択されるものである(本願明細書段落【0004】ないし【0006】)。さらに、本願明細書には「本願請求項で、動きベクトルを0値動きベクトルへ変換するという時、これは動き補償されたデータのブロックを動きベクトルを持つ又は持たない動き補償されていない符号化されたブロックに変化させることと同等であると考えるべきである。」(段落【0026】)と記載されている。してみると、本願発明の非0値動きベクトルは、有効な動きベクトルであり、0値動きベクトルは無効な動きベクトルといえる。
これらのことからして、刊行物発明のものは、「非0値」「0値」とはいえず、「非0値動きベクトルを0値動きベクトルに変換する動きベクトル処理器を具え」るとはいえなし、ブロック・マッチング手段ともいえないものの、第1動き補償制御信号7が動きベクトルの有効・無効を判断する処理をおこないその結果がONでなければ、すなわちoffであって動きベクトルによる動き補償が無効とされたものを候補として識別しているといえ、本願発明とは、動きベクトルの有効・無効を判断する処理を行い、無効な動きベクトルとする候補を識別する手段を具える点では実質的に一致しているといえるから、刊行物発明と本願発明とは、「無効な動きベクトルとする候補とされる有効な動きベクトルを候補動きベクトルとして識別する手段」を具える点で実質的に一致し、さらに、刊行物発明のものは、符号化ブロックの動ベクトルと、符号化ブロックに隣接した8個の参照ブロックの動ベクトルで、動き補償する参照ブロックの動ベクトルを比較しているのであるから、両者の関係について判定し、それにより無効な動きベクトルの有効、無効をさらに決めているものといえ、一方本願発明の「相関」も両者の関係についての表現といえるのであり、刊行物発明のものは「相関」かどうか明確ではないものの、刊行物発明と本願発明とは、「或る候補動きベクトルが、この或る候補動きベクトルを有するブロックに隣接するブロックの動きベクトルとの関係を判定して、関係がない場合は上記候補動きベクトルを無効な動きベクトルに変換し、関係がある場合は上記或る候補動きベクトルを無効な動きベクトルに変換しない判定及び変換手段」を具える点で一致しているといえる。
(2)したがって、両者は「ブロック・ベースでビデオ・データを処理し、それぞれのブロックの動きベクトルを生成する形式のビデオ信号圧縮装置であって、さらに、無効な動きベクトルとされる候補となる有効な動きベクトルを候補動きベクトルとして識別する手段と、或る候補動きベクトルが、この或る候補動きベクトルを有するブロックに隣接するブロックの動きベクトルとの関係を判定して、関係がない場合は上記候補動きベクトルを無効な動きベクトルに変換し、関係がある場合は上記或る候補動きベクトルを無効な動きベクトルに変換しない判定及び変換手段と、を具えるビデオ信号圧縮装置。」である点で一致し、次の点で一応相違しているものと認められる。
(ア) 本願発明は、「ブロック・マッチング・プロセスによって」それぞれのブロックの動きベクトルを生成するものであるのに対し、刊行物発明は、ブロック・マッチング・プロセスを具備するか明確でない点
(イ) 有効、無効の信号が、本願発明は、それぞれ「非0値」動きベクトル及び「0値」動きベクトルであるのに対し、刊行物発明は、「有効」な動きベクトル及び「無効」を示す信号である点
(ウ) 本願発明は「ブロック・マッチング手段」により「変換される」候補となる有効な動きベクトルを「候補動きベクトルとして識別」し「非0値動きベクトルを0値動きベクトルに変換する動きベクトル処理器を具え」ているのに対し、刊行物発明は、第1動き補償判定部で有効・無効の判別をおこない、それぞれを示す信号を送る処理を具える点
(エ) 或る候補動きベクトルを有するブロックに隣接するブロックの動きベクトルとの「関係がない」及び「関係がある」が、本願発明は、「相関性が検出されない」及び「相関性が検出された」であるのに対し、刊行物発明は、上記2ウの記載に加えて上記2エの記載を考慮すれば、一致あるいは一致したと見なせる数がK個未満、及び、一致あるいは一致したと見なせる数がK個以上である点

4 相違点についての検討
(1)相違点(ア)について
ブロックマッチングにより動きベクトルを生成する点は常套手段であり当業者が適宜採用する程度のものにすぎない。
(2)相違点(イ)について
本願明細書には「本願請求項で、動きベクトルを0値動きベクトルへ変換するという時、これは動き補償されたデータのブロックを動きベクトルを持つ又は持たない動き補償されていない符号化されたブロックに変化させることと同等であると考えるべきである。」(段落【0026】)と記載されている。してみると、非0値動きベクトル及び0値動きベクトルと有効な動きベクトル及び無効を示す信号とは実質的に同等といえるから、相違点(イ)は格別のものとはいえない。
(3)相違点(ウ)について
この点、請求人は平成16年4月21日付け意見書において「引用例1の装置では、処理ブロックの実際の動き補償が有効であるときの動きベクトル補償を行い、実際の動き補償値が有効かどうかを判定します。これに対して、本願発明では、ブロック・マッチングを用いて候補動きベクトルを選択します。従って、引用例1の装置は本願発明とは異なります。」と主張し、審判請求書において、「候補動きベクトルとなる非0値動きベクトルを予め識別することによって、候補動きベクトルのみに隣接するブロックの動きベクトルの相関性を判定するから、隣接するすべての動きベクトルの相関性を判定する方式に比して判定に要する処理時間が著しく短縮されるという格別顕著な作用効果を奏するのである。」と主張している。
しかしながら、上記3(1)で検討したように、刊行物1のものも候補動きベクトルを識別し、その後の処理は候補動きベクトルに絞ってなされているといえるのであるから、上記と同様の作用効果を奏することは予測の範囲内であり、また、上記作用効果は、ブロック・マッチング手段によって候補動きベクトルが識別されたからというものでもない。
また、刊行物1のものについては、上記2イにあるように、入力テレビジョン信号と画像メモリに蓄積されている前フレームの再生テレビジョン信号を比較し、符号化ブロックの動き補償ベクトルを算出し、符号化ブロックの前フレームと現フレームとの差分と、動き補償を用いた予測画素値と現フレームの画素値との差分とを用いて、動き補償の有効性を判定することは従来からおこなわれていることであり、一方上記3(1)で言及したように、本願発明のものも、予測エラーすなわち、MAE(ピクセル毎の平均絶対値誤差)又はMSE(ピクセル毎の平均二乗誤差)に基づいたMC/no-MC判定によりMC動きベクトルが役に立つかどうかを判定しているものであり、判定手法について両者に格別の相違があるわけではない。してみると、当該識別を行い、その後の処理は候補動きベクトルに対して行う点が刊行物発明に有る以上、常套手段であるところのブロック・マッチング手段でおこなう点については、当業者が適宜なし得る程度のものでしかない。
また、上記3(1)で言及したように、刊行物1の第2動き補償判定部は、上記第2段階において、第1動き補償制御信号7を補正し、第2動き補償制御信号12をonすることにより、動ベクトルが無効である信号を動ベクトルが有効である信号に変換しているといえ、つづいて、動き補償部14は、符号化ブロックの再生画像15に対し動ベクトル情報12により動き補償する場合は動ベクトルで動き補償し、動き補償しない場合は何もせずに、動き補償信号16として出力するのであるから、有効な動ベクトルを無効なものに変換しているといえる。そして上記4(2)での検討を考慮すれば、動きベクトルが無効である信号と0値動きベクトル(無効な動きベクトル)は同等といえるから、非0値動きベクトルを0値動きベクトルに変換するとは、上述したところの、有効な動きベクトルを無効なものに変換することと大差ないといえる。
これらのことからして、「ブロック・マッチング手段」により「変換される」候補となる有効な動きベクトルを「候補動きベクトルとして識別」し「非0値動きベクトルを0値動きベクトルに変換する動きベクトル処理器を具え」る点は当業者にとって容易に推考しうるものといえる。
(4)相違点(エ)について
この点につき、請求人は、平成16年4月21日付け意見書において「引用例1の装置では、動き補償する前の符号化ブロックの動きベクトルと動きが一致する隣接ブロックの数に基づいて判断しています。これに対して、本願発明では、候補動きベクトルと隣接ブロックの動きベクトルとが相関しているかどうかを判定します。従って、引用例1の装置は本願発明とは異なります。」と主張している。
ところで、本願明細書には「隣接ベクトルに対して求められた差の絶対値|Δxi|及び|Δyi|の両者ともがある閾値より小さい場合は、ベクトルVcはベクトルViと相関していると見なされ、ブロックCについては、MCベクトルからno-MCベクトルへの変換が禁止される。」(段落【0016】)と記載されており、「相関」とは上記の如き事項あるいは少なくとも上記の如き事項を含む概念と解される。
一方刊行物における、「一致あるいは一致したと見なせる」とは、結局本願明細書の上記記載における、ΔxおよびΔyがそれぞれ一致あるいは一致したと見なせる程度に小さいすなわち一致したと見なせる閾値よりも小さいことを意味しているといえる。してみると、Kは8以下の正整数(上記2ア参照)であるところ、一致あるいは一致したと見なせる数が1以上であれば、少なくとも1つの隣接する動きベクトルと一致あるいは一致したと見なせるのであるから、本願明細書でいう相関があるということとなるし、また、Kは4で画質の向上が確認された旨の記載(上記2ウ参照)があるところ、一致あるいは一致したと見なせる数が4であれば、4つの隣接する動きベクトルと一致あるいは一致したと見なせるのであるから、やはり、本願明細書でいう相関が4つの隣接する動きベクトルに対してあるということとなる。
してみれば、請求人の上記主張を採用することはできず、相違点(エ)は格別のものといえない。
(5)そして、これら相違点を総合的に考慮しても当業者が推考し難い格別のものであるとすることはできず、また本願発明の効果についてみても、上記構成の採用に伴って当然に予測される程度のものにすぎず、格別顕著なものがあるともいえない。

5 むすび
したがって、本願発明は、刊行物1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-08-16 
結審通知日 2005-08-16 
審決日 2005-09-02 
出願番号 特願平6-66780
審決分類 P 1 8・ 534- Z (H04N)
P 1 8・ 121- Z (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 坂東 大五郎  
特許庁審判長 原 光明
特許庁審判官 堀井 啓明
藤内 光武
発明の名称 ビデオ信号圧縮装置およびビデオ信号圧縮方法  
代理人 田中 浩  
代理人 川上 光治  

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