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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G09B
管理番号 1129675
審判番号 不服2003-9257  
総通号数 75 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1999-08-06 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-05-22 
確定日 2006-01-12 
事件の表示 平成10年特許願第292651号「鍵盤楽器を利用した演奏の教習方法および鍵盤楽器」拒絶査定不服審判事件〔平成11年 8月 6日出願公開、特開平11-212445〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成4年9月30日に出願した特願平4-262419号の一部を平成10年10月14日に新たな特許出願としたものであって、平成15年4月18日付けで拒絶査定がなされ、これに対し平成15年5月22日に拒絶査定に対する審判請求がなされたものであって、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成15年6月20日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものであると認める。
「演奏情報を記憶する記憶部と、前記演奏情報を読み出し、読み出された演奏情報に基づいて鍵を駆動する自動演奏を行う自動演奏部とを有する鍵盤楽器を利用した演奏の教習方法であって、
前記鍵盤楽器は、前記記憶部内の演奏情報を読み出して鍵盤の操作を教示する際に、楽曲の一部において鍵を駆動する自動演奏によってガイド演奏を行うことを特徴とする鍵盤楽器を利用した演奏の教習方法。」
2.引用例
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前である平成2年2月21日に頒布された特開平2-52390号公報(以下、「引用例」という。)には、次の事項が記載されている。
ア.「〔産業上の利用分野〕
この発明は、音楽の演奏を練習するとき、手本演奏を録音して、その演奏情報とこれに対する練習演奏の演奏情報とを比較し、手本演奏に近い演奏をするために、手本演奏と異る部分を練習個所として指示し、その部分を練習するようにした演奏練習装置に関する。」(第2頁右上欄第1行〜同第7行)
イ.「この発明は、このような課題に着目してなされたもので、人間の音楽教師と同様に、演奏のできばえを見ながら、練習個所を生徒に指示して誘導することができる、演習練習装置を得ることをその目的とする。」(第2頁左下欄第15行〜同第19行)
ウ.「〔実施例〕
以下、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。
第2図は本発明の一実施例を示す構成図で、演奏練習装置20は、… 手本演奏の演奏情報を記憶する手本演奏情報記憶部23と、生徒の演奏の演奏情報を記憶する練習演奏情報記憶部24と、手本演奏情報記憶部23の記憶内容と練習演奏情報記憶部24の記憶内容とを比較する演奏情報比較部25とを設けることは、発明の原理で述べたものと同様である。」(第3頁右上欄第2行〜同第15行)
エ.「練習するときには、… 参照音指示部28は手本演奏情報記憶部23の手本演奏情報を読み出して、参照音指示部28の出力として、手本演奏情報を演奏音の形で出力する。参照音指示部28は後に述べるように、本来は不一致区間だけの手本演奏情報を出力する機能を持つものであるが、最初は … 手本演奏の全部の区間が出力される。… 参照音出力部28からの手本演奏が終了すると、これに合わせて演奏している練習演奏が終了する。」(第3頁右下欄第10行〜第4頁左上欄第5行)
オ.「次に更に具体的な実施例を第4図に従って説明する。演奏楽器はMIDI仕様の電子鍵盤楽器(以下MIDI楽器という)とし、この演奏を練習する場合を想定する。
第4図の構成は第2図とほぼ同様であるが、演奏情報入力部21の代りに、MIDI楽器41とMIDIデータ変換器42があり、… 手本演奏情報記憶部23、練習演奏情報記憶部24の代りに、手本MIDIデータ記憶部43、練習MIDIデータ記憶部44がある。… これらが処理するデータはMIDIデータである点が、第2図で述べた実施例と異る。… 参考音出力部28の代りに、記憶されているMIDIデータからMIDI楽器音を出力するMIDI楽器音再生部48があり、… MIDI楽器音再生部48からは再生音が出力して、ヘッドホン50の左チャンネル51に接続しており、MIDI楽器41の出力は、ヘッドホン50の右チャンネル52に接続し、演奏音を出力するようになっている。」(第5頁左上欄第1行〜同右上欄第7行)
カ.「練習を行うときは … 第2図の実施例と同様な経過を経て、MIDI楽器音再生部48からは、手本演奏のMIDIデータ … をもとにしてMIDI楽器の演奏音が再生され、参照音としてヘッドホン50の左チャンネル51から出力される。生徒は手本演奏を聞きながら、これに合わせてMIDI楽器を演奏するが、この練習演奏の楽器音は、ヘッドホン50の右チャンネル52から聞える。練習演奏の演奏情報は練習MIDIデータ記憶部44に、… 記憶される。」(第5頁左下欄第14行〜同右下欄第6行)
キ.「なお一致判定のための閾値や、練習区間の長さは、生徒によって自由に設定できるようにしてもよく、また手本演奏の全区間の中から次の練習区間を決めるのでなく、手本演奏中の生徒が指定した区間内で、次の練習区間を決めてもよい。」(第6頁右上欄第9行〜同第13行)
これらア〜キの記載及び引用例の明細書及び図面から、引用例には「手本MIDIデータ記憶部と、記憶されているMIDIデータからMIDI楽器音を出力するMIDI楽器音再生部とを有するMIDI楽器」が記載されており、さらに特にア,イ,エ,カ及びキの記載から前記MIDI楽器を利用した演奏の練習方法が記載されているに等しいことを考慮すると、引用例には、
「手本MIDIデータ記憶部と、記憶されているMIDIデータからMIDI楽器音を出力するMIDI楽器音再生部とを有するMIDI楽器を利用した演奏の教習方法であって、前記MIDI楽器音再生部から、手本演奏のMIDIデータをもとにしてMIDI楽器の演奏音が再生され、参照音として任意の区間で出力される手本演奏を聞きながら、これに合わせて前記MIDI楽器を演奏することで演奏練習が可能となる、MIDI楽器を利用した演奏の練習方法。」(以下、「引用発明」という。)が開示されている。
3.対比
そこで、本願発明と引用発明とを比較する。
(1)引用発明における「MIDIデータ」は本願発明における「演奏情報」に相当するから、引用発明における「手本MIDIデータ記憶部」は本願発明における「演奏情報を記憶する記憶部」(「演奏情報を記憶する記憶部」における演奏情報が手本演奏に関する情報であることは本願明細書【0011】等から明らかである)に相当する。
(2)引用発明における「MIDI楽器(MIDI仕様の電子鍵盤楽器)」は本願発明における「鍵盤楽器」に相当するから、引用発明における「MIDI楽器を利用した演奏の練習方法」は本願発明における「鍵盤楽器を利用した演奏の教習方法」に相当する。
(3)引用発明における「記憶されているMIDIデータからMIDI楽器音を出力するMIDI楽器再生部」及び本願発明における「前記演奏情報を読み出し、読み出された演奏情報に基づいて演奏を行う演奏部」は記憶された演奏情報に基づいて楽器から演奏音が出力されるというものであるから、実質的に同義であるものと認める。
(4)引用発明における「手本演奏」は任意の区間で参照音としてなされるものであって、練習者はこの手本演奏をもとに練習するものであることから、前記「手本演奏」は本願発明における楽曲の一部においてなされる「ガイド演奏」に相当するものと解するのが妥当であって、引用発明における「前記MIDI楽器音再生部から、手本演奏のMIDIデータをもとにしてMIDI楽器の演奏音が再生され、参照音として任意の区間で出力される手本演奏を聞きながら、これに合わせて前記MIDI楽器を演奏することで演奏練習が可能となる」ことは、本願発明における「前記記憶部内の演奏情報を読み出して、楽曲の一部において(演奏部からの演奏によって(注:審決にて付記))ガイド演奏を行うことで演奏の教習をする」ことと実質的に差異がないものであると認める。
してみれば、両者は、
「演奏情報を記憶する記憶部と、前記演奏情報を読み出し、読み出された演奏情報に基づいて演奏を行う演奏部を有する鍵盤楽器を利用した演奏の教習方法であって、
前記鍵盤楽器は、前記記憶部内の演奏情報を読み出して、楽曲の一部において演奏部からの演奏によってガイド演奏を行う鍵盤楽器を利用した演奏の教習方法。」
である点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点1]本願発明は「鍵を駆動する自動演奏を行う自動演奏部」を有する鍵盤楽器を利用した演奏の教習方法であるのに対し、引用発明では「鍵を駆動する自動演奏を行う自動演奏部」を有しない鍵盤楽器を利用した演奏の教習方法である点。
[相違点2]本願発明は「鍵盤の操作を教示する際に、」楽曲の一部において「鍵を駆動する自動演奏によって」ガイド演奏を行う鍵盤楽器を利用した演奏の教習方法であるのに対し、引用発明では任意の区間で参照音が出力される手本演奏(ガイド演奏)を行う鍵盤楽器を利用した演奏の教習方法である点。
4.判断
[相違点1]について
本願出願当時、「鍵を駆動する自動演奏を行う自動演奏部」を有するピアノ等の鍵盤楽器は従来から周知である(例えば、実願昭61-34140号(実開昭62-146196号)のマイクロフィルム、特開平3-111883号公報等参照)。
したがって、引用発明に前記周知技術を適用して、演奏の教習方法に利用する鍵盤楽器が鍵を駆動する自動演奏を行う自動演奏部を有するものとすることは当業者が容易になし得ることである。
[相違点2]について
本願出願当時、鍵盤楽器を利用した演奏の教習方法において、鍵盤操作を教示する際に行われるガイド演奏としては、参照音によるもの(引用発明)、光によるもの(例えば、本願明細書【0002】【従来の技術】に記載された実開平2-95098号公報記載の自動演奏ピアノや特開昭56-52788号公報(拒絶査定時の引用例2)参照)、そして「鍵を駆動する自動演奏」によるもの(特開平3-111883号公報等参照)などが従来から周知であるから、鍵盤操作を教示する際にどのようなガイド演奏を用いればより効果的な教習ができるかは、当業者が前記周知技術を考慮しながら適宜選択しうる事項にすぎないものである。
また、本願発明による作用効果も、引用発明及び周知技術の効果から当業者が容易に予測できる範囲内のものである。
5.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
そして、本願発明が特許を受けることができない以上、本願のその余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶を免れない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-11-09 
結審通知日 2005-11-15 
審決日 2005-11-28 
出願番号 特願平10-292651
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G09B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山崎 仁之▲吉▼川 康史  
特許庁審判長 酒井 進
特許庁審判官 藤本 義仁
藤井 勲
発明の名称 鍵盤楽器を利用した演奏の教習方法および鍵盤楽器  
代理人 志賀 正武  
代理人 渡邊 隆  
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