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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B65D
管理番号 1129692
審判番号 不服2003-22509  
総通号数 75 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2000-10-10 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-11-20 
確定日 2006-01-12 
事件の表示 特願2000-119871「保存性に優れた積層体容器材料」拒絶査定不服審判事件〔平成12年10月10日出願公開、特開2000-281142〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本件発明
本願は、平成7年7月25日に出願された特願平7-189392号の出願(以下、原出願という)の一部を平成12年4月20日に分割出願したものであって、その請求項1ないし12に係る発明は、平成15年9月8日付け手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし12に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1には、以下のとおり記載されている。
「容器内側となるべき層から外側となるべき層に向けて、ヒートシール性熱可塑性樹脂層、平均粒径30μm以下の酸素吸収剤が配合された厚み10乃至100μmの酸素吸収剤配合熱可塑性樹脂層、厚み10乃至50μmの熱可塑性樹脂クッション層、酸素バリヤー層から成ることを特徴とする積層体容器材料。」(以下、本件発明1という)

2.引用文献の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された原出願の出願前である昭和55年7月9日に頒布された特開昭55-90535号公報(以下、「引用文献」という)には、以下の事項が記載されている。
<記載事項a>
「本発明における脱酸素剤としては鉄、亜鉛等の金属粉、FeO、・・・・などを混合したもの等還元性物質を主剤とするものが用いられる。
これらの中では樹脂と溶融混練してフイルムとするときに分解しないよう金属系脱酸素剤、なかんずく還元性の鉄又は鉄化合物を用いるのが最も有利である。もっとも樹脂として軟質のものを用いたり、樹脂のほかに可塑剤や溶剤を併用したりして脱酸素剤との混練、混合を行ない、押出法、コーティング法、流延法などにより脱酸素剤を含む層を形成するときは、金属系脱酸素剤以外の脱酸素剤も使用することができる。」(引用文献第2頁右上欄第1〜18行)
<記載事項b>
「しかしながらより好ましい態様は上記の脱酸素素材入りの膜状物を他の包装材と組み合せて多層構造化することにある。以下説明を簡略化するために酸素ガス遮断性を有する層をV、酸素ガス透過性を有する樹脂をP、脱酸素剤をdと表わすことにする。(P+d)とはPにdを配合した層を意味することとする。
まずV/(P+d)の層構成を有する2層構造物は、V層が外側、(P+d)層が内側になるように袋、箱、ボトル、チューブ等の包装容器を形成すれば、包装容器内部の空気中の酸素は(P+d)層中のdに吸収されてすみやかに減少し、ついには0.1%以下にまでなる。一方外部の空気中の酸素はV層にはばまれて内部に滲透することができず、仮に微量浸透しても(P+d)層の所でdにキャッチされてしまう。これにより包装容器内部は長期間無酸素条件下に保たれるので、食品、医薬品の保存、金属部品の防錆等に卓効を奏するようになる。」(引用文献第3頁左下欄第8行〜右下欄第6行)
<記載事項c>
「次に(P+d)層を構成する樹脂PとしてはV層構成樹脂以外のもの、なかんずくポリエチレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂が典型的なものとしてあげられる。」(引用文献第4頁第10〜13行)
<記載事項d>
「以上述べたV/(P+d)の2層構造には、さらに共押出法、ドライラミネート法、エクストルージヨンコーテイング法、溶液コーテイング法等任意の手段により他の層を付加することができる。この付加は他の層にV層と(P+d)層とを順次又は同時に設ける方法によつても達成される。
代表的な構成を例示すれば
V/(P+d)/X
の構成において、X層として酸素透過性が大きく、透湿防止性を有し、かつヒートシール性を有する樹脂層を設け、これを内側にすれば製袋に際しヒートシールが円滑にできること、内容物(食品等)と脱酸素剤とが接触しないことなど実用上極めて大きな効果が奏される。かかるX層を構成する好ましい樹脂としては低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸エステル共重合体をはじめエチレン含量の高いポリエチレン系樹脂やヒートシール性ポリプロピレンがあげられる。」(引用文献第4頁右上欄第18行〜左下欄第17行)
<記載事項e>
「次の条件で共インフレーション成形を行なった。
原料樹脂
V:エチレン含量42モル%、酢酸ビニル成分のケン化度99.0モル%のエチレン-酢酸ビニル共重合体ケン化物(このVの厚み15μのフイルムの酸素透過率は6c.c./m2・24hr・atm)
A:例1で用いた変性低密度ポリエチレンと変性エチレン-酢酸ビニル共重合体(三井石油化学工業株式会社製アドマーVF-500)との重量で1:1の混合樹脂
P+d:メルトインデックス2.0、密度0.927の低密度ポリエチレン(P)と還元鉄系脱酸素剤(d)との重量で1:1の混合物・・・
上記操作により折巾470mm、合計膜厚55μ(V:外層15μ、A:中間層10μ、P+d:内層30μ)の3層フイルムを得た。」(引用文献第6頁右上欄第12行〜左下欄第19行)

上記記載事項a〜eからみて、引用文献1には、
包装容器の内側になる層から外側となる層に向けて、脱酸素剤を低密度ポリエチレンとの混合物からなる厚さ30μの(P+d)層、変性低密度ポリエチレンと変性エチレン-酢酸ビニル共重合体との混合樹脂からなる厚さ10μの中間層、酸素ガス遮断性を有するV層を有する3層フィルムを共インフレーション成形によって作成すること、および(P+d)層のV層が設けられる側とは反対側にヒートシール性を有する樹脂層であるX層を付加することが記載されている。

3.対比
本件発明1と、上記引用文献に記載されたものとを対比する。
引用文献の「ヒートシール性を有する樹脂層であるX層」「脱酸素剤を低密度ポリエチレンとの混合物からなる(P+d)層」「酸素ガス遮断性を有するV層」は、本件発明1の「ヒートシール性熱可塑性樹脂層」「酸素吸収剤が配合された酸素吸収剤配合熱可塑性樹脂層」「酸素バリヤー層」にそれぞれ相当する。また、引用文献の「変性低密度ポリエチレンと変性エチレン-酢酸ビニル共重合体との混合樹脂からなる中間層」と本件発明1の「熱可塑性樹脂クッション層」とは、「熱可塑性樹脂からなる層」である点で共通するものである。
そして、引用文献の「脱酸素剤を低密度ポリエチレンとの混合物からなる(P+d)層」の厚さ「30μ」は、本件発明1の「酸素吸収剤が配合された酸素吸収剤配合熱可塑性樹脂層」の厚さとして限定される「10乃至100μm」の範囲内であり、引用文献の「変性低密度ポリエチレンと変性エチレン-酢酸ビニル共重合体との混合樹脂からなる中間層」の厚さ「10μ」は、「熱可塑性樹脂クッション層」の厚さとして限定される「10乃至50μm」と「10μm」において一致するものである。
したがって、本件発明1と引用文献に記載された発明とは、
「容器内側となるべき層から外側となるべき層に向けて、ヒートシール性熱可塑性樹脂層、酸素吸収剤が配合された厚み10乃至100μm(30μm)の酸素吸収剤配合熱可塑性樹脂層、厚み10乃至50μm(10μm)の熱可塑性樹脂層、酸素バリヤー層からなる積層体容器材料。」
で一致し、以下の点で相違している。

<相違点1>
本件発明1では、熱可塑性樹脂層に配合する酸素吸収剤の平均粒径を30μm以下に限定しているのに対し、引用文献では、樹脂Pに配合する脱酸素剤として「鉄、亜鉛等の金属粉」を用いられることが記載されているものの、その平均粒径については記載がされていない点
<相違点2>
酸素吸収剤配合熱可塑性樹脂層と酸素バリヤー層の間に設けられる熱可塑性樹脂層が、本件発明1では「熱可塑性クッション層」であるのに対し、引用文献の中間層はクッション層という用語を用いた記載がされていない点

4.当審の判断
<相違点1について>
熱可塑性樹脂に配合する酸素吸収剤の平均粒径として、30μm以下のものを用いることは、従来より周知であり(例えば、特開平4-90847号公報では、平均粒径22μ、25μ、19μの酸素吸収剤を樹脂に混合した実施例が記載されている。また、実願平5-27076号(実開平6-83340号)のCD-ROMでは、実施例として、平均粒径25μmの酸素吸収性組成物を樹脂に配合した実施例が記載されている。)、引用文献に記載された発明の酸素吸収剤配合熱可塑性樹脂層に配合される酸素吸収剤として、平均粒径30μm以下のものに限定することに、格別の困難性は認められない。

<相違点2について>
引用文献の中間層は、変性低密度ポリエチレンと変性エチレン-酢酸ビニル共重合体との混合樹脂によって厚さ10μmの層が構成されるものであり、本件発明の実施例として記載されたLLDPEからなるクッション層と樹脂の性質からみて同等のクッション性を有することは明らかであり、クッション性という観点からみて両者に実質的な差異は認められない。
なお、審判請求書では、微細な凹凸を吸収するためにクッション層を設けたことに進歩性がある旨の主張をしているが、本件発明1の「熱可塑性樹脂クッション層」は微細な凹凸を吸収するという機能を特定したクッション層を要件とするものではない。
またさらに、凹凸を吸収するために熱可塑性樹脂を積層することは、従来より周知の技術手段である(例えば、実願昭63-153664号(実開平2-73091号)のマイクロフィルムなど)。

5.むすび
したがって、本件発明1は、引用文献に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
以上のとおりであるので、本件は、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-11-10 
結審通知日 2005-11-15 
審決日 2005-11-28 
出願番号 特願2000-119871(P2000-119871)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B65D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 溝渕 良一  
特許庁審判長 松縄 正登
特許庁審判官 中西 一友
宮崎 敏長
発明の名称 保存性に優れた積層体容器材料  
代理人 小野 尚純  
代理人 奥貫 佐知子  
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