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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G02F
管理番号 1129695
審判番号 不服2003-24838  
総通号数 75 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1996-09-03 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-12-24 
確定日 2006-01-12 
事件の表示 平成 7年特許願第 33685号「面照明素子」拒絶査定不服審判事件〔平成 8年 9月 3日出願公開、特開平 8-227074〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.本願発明
本願は、平成7年2月22日の特許出願であって、平成15年11月19日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年12月24日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、平成16年1月21日付で手続補正がなされ、その後の前置審査において、平成16年2月16日付で拒絶理由通知がなされ、これに対し同年4月22日付で手続補正がなされたものである。
そして、その請求項に係る発明は、平成16年4月22日付け手続補正書により補正された明細書および図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。
「【請求項1】線状光源と、光入射面が線状光源に近接配置される導光体と、前記線状光源の周囲を囲み端部が前記導光体の光出射面と直接固定される反射シートと、前記導光体の光出射面に配置される光拡散体と、前記導光体の光反射面に配置される光反射体とを備えた面照明素子において、前記光反射体の前記導光体に接する面に、前記反射シートの端部と少なくとも一部が平面的に重なると共に前記光入射面から遠ざかるにしたがって光吸収率が徐々に低下する光吸収パターンを有する輝線抑制のための光吸収層を前記光入射面に近接して形成したことを特徴とする面照明素子。」(以下、「本願発明」という。)

2.刊行物記載の発明
これに対し、前置審査の拒絶理由に引用された、この出願前公知の刊行物である特開平7-20463号公報(以下、「引用例」という。)には、次の記載が認められる。
「【特許請求の範囲】
【請求項1】
導光板と、前記導光板の面の一方に積層した拡散板と、前記導光板の面の他方に積層した反射板と、前記導光板の少なくとも1側面に隣接して配置した冷陰極管と、前記導光体と反射板との間の前記冷陰極管の近傍、かつ有効表示領域の外側に当該冷陰極管に沿って設けた光吸収材とからなるバックライト構造体と、前記バックライトの拡散板の上に液晶表示素子を積層してなる液晶表示装置において、
前記光吸収材に、前記冷陰極管側から前記有効表示領域方向にかけて漸次光吸収率が減少する濃度勾配を有せしめたことを特徴とする液晶表示装置。」、
「【0007】
図24は従来の導光板方式のバックライト構造体の説明図で、(a)は平面図、(b)は(a)のB-B’断に沿った断面図である。同図において、1はバックライト構造体、2は光吸収材、3は導光板、4は冷陰極蛍光灯、5は拡散板、6は反射板、7は有効表示領域である。バックライト構造体1は、導光板3の上側に拡散板5を、下側に反射板6を積層し、導光板の3の上下の長辺のそれぞれの側面に隣接して冷陰極蛍光灯4を配置し、導光板3と反射板6との間の上記有効領域7の外側に光吸収材2を配置して構成される。
【0008】
図25は反射板に設けた光吸収材の説明図であって、この光吸収材2cは、例えば黒色の粘着テープを反射板6に張り付けたり、黒色インクを印刷してなる。光吸収材2cは冷陰極蛍光灯4の発光光が反射板6に直接反射する光を遮光して有効表示領域7の端部が明るくなるのを防止し、有効表示領域7の輝度むらをなくすためのものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術においては、有効表示領域を正面からみた場合はその輝度分布は略々均一であるが、有効表示領域を斜めから見ると、その端部において輝度の低下が観察される。 図26は光吸収材を設けたバックライト構造体を用いて製作した液晶表示装置の輝度分布の説明図であって、aは有効表示領域を正面からみた場合の輝度分布、bは同じく45°方向からみた場合の輝度分布を示す。
【0010】
図示したように、有効表示領域を正面から見た場合、aに示したように、有効表示領域全域で略々均一な輝度分布が得られる。しかし、45°斜めからみた場合は、bに示したように有効表示領域の端部において輝度が低下する。このように、従来のバックライト構造体では、見る角度によって輝度むらは観察されるという問題があった。
【0011】
本発明の目的は、上記従来技術の問題を解消し、見る角度に係わらずに均一な輝度分布を得ることのできる液晶表示装置を提供することにある。」、
「【0015】
【実施例】
以下、本発明の実施例につき、図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明による液晶表示装置の第1実施例を説明するバックライト構造体の平面図であって、1はバックライト構造体、2は光吸収材、3は導光板、4は冷陰極管、5は拡散板、6は反射板、7は有効表示領域である。
【0016】
また、図2は図1のA-A’線に沿った断面図であり、図1と同一符号は同一部分に対応する。図1,図2において、本実施例におけるバックライト構造体1は、導光板3と、この導光板3の面の一方に積層した拡散板5と、前記導光板3の面の他方に積層した反射板6と、前記導光板3の長手方向の両側面に隣接して配置した冷陰極管4と、前記導光体3と反射板6との間の前記冷陰極管4の近傍で、かつ有効表示領域7の外側に上記冷陰極管4に沿ってそれぞれ設けた光吸収材2とから構成される。
【0017】
このバックライト構造体1の上記拡散板5上に液晶表示素子を積層して液晶表示装置が構成される。そして、上記光吸収材2は反射板6の上に、冷陰極管4側から有効表示領域7の方向にかけて漸次光吸収率が減少するような濃度勾配をもって適当な光吸収物質が連続的に塗布されている。
【0018】
本実施例によれば、冷陰極管から直接反射板に反射して液晶表示素子に指向する光の強度を冷陰極管から有効領域方向にかけて漸次勾配をもたせることで、液晶表示装置を斜め方向からみた場合の輝度むらの発生を阻止し、有効表示領域の全域にわたって均一な輝度分布を得ることができる。図3は本発明による液晶表示装置の第2実施例を説明するバックライト構造体を構成する反射板の平面図であって、2aは光吸収材、6は反射板である。
【0019】
本実施例では、冷陰極管に沿って形成される光吸収材2aとして遮光性のストライプ2a-1を、その幅が有効表示領域方向に漸次狭くなるように形成し、あるいはその間隔が有効表示領域方向に漸次広くなるように形成する。なおこのとき、遮光性のストライプ2a-1の配列間の間隔を当該ストライプの幅との兼ね合いで漸次変えるパターニングを施すことで所望の吸収率勾配を得ることができる。
【0020】
上記のパターニングは、反射板6に黒色テープを添付した後にこれを縞状にカットして除去する方法、あるいはスクリーン印刷方法で所望のストライプを被着することで得られる。なお、予め所望のストライプパターンを形成したテープを反射板6に添付する方法等の適宜の形成方法を採用してよい。本実施例によっても、上記実施例と同様に、冷陰極管から直接反射板に反射して液晶表示素子に指向する光の強度を冷陰極管から有効領域方向にかけて漸次勾配をもたせることで、液晶表示装置を斜め方向からみた場合の輝度むらの発生を阻止し、有効表示領域の全域にわたって均一な輝度分布を得ることができる。」。
上記記載及び図1〜図3によれば、引用例には、
「導光板と、前記導光板の面の一方に積層した拡散板と、前記導光板の面の他方に積層した反射板と、前記導光板の少なくとも1側面に隣接して配置した冷陰極管と、前記導光体と反射板との間の前記冷陰極管の近傍に当該冷陰極管に沿って設けた光吸収材とからなるバックライト構造体において、前記光吸収材に、前記冷陰極管側から前記有効表示領域方向にかけて漸次光吸収率が減少する濃度勾配を有せしめたバックライト構造体」の発明が記載されている。

3.対比
本願発明と引用例記載の発明とを対比する。
(1)引用例記載の発明における「冷陰極管」、「導光板」、「拡散板」、「反射板」、「バックライト構造体」、「光吸収材」は、それぞれ本願発明の「線状光源」、「導光体」、「光拡散体」、「光反射体」、「面照明素子」、「光吸収層」に相当し、
(2)引用例の第2図において、導光板3は冷陰極管4に近接配置され、冷陰極管4からの光入射面を有すること、拡散板5は導光板3の上方の光出射面に配置されていること、及び、反射板6は導光板3の下方の光反射面に配置されていることがそれぞれ見てとれ、
(3)引用例の光吸収材は、導光板3の光入射面に近接して設けられ、冷陰極管側から有効表示領域方向にかけて漸次光吸収率が減少する濃度勾配を有すること、つまり、第3図を参照すれば、導光板3の光入射面から遠ざかるにしたがって光吸収率が徐々に低下する光吸収パターンを有することで、輝線を低減化させ(輝線抑制)、結果として輝度むらの発生を防止するものであるので、
両者は、「線状光源と、光入射面が線状光源に近接配置される導光体と、前記導光体の光出射面に配置される光拡散体と、前記導光体の光反射面に配置される光反射体とを備えた面照明素子において、前記光入射面から遠ざかるにしたがって光吸収率が徐々に低下する光吸収パターンを有する輝線抑制のための光吸収層を前記光入射面に近接して形成した面照明素子」の点で一致し、下記の点で相違する。
(相違点)本願発明では、反射シートは、線状光源の周囲を囲み端部が導光体の光出射面と直接固定され、かつ光反射体の前記導光体に接する面に、その端部と少なくとも一部が平面的に重なっているのに対して、引用例に記載の発明では、反射シートに相当する部材が記載されていない点。

4.判断
上記相違点に付き検討する。
従来、面照明素子において、線状光源の周囲を囲む反射シートを配置することは通常ごく普通に採用されていることであって、かつ、本願発明のように、反射シートの一端部が、導光体の光出射面と直接固定され、他端部が、光反射体の前記導光体に接する面に、その端部と少なくとも一部が平面的に重なるようにすることは周知(例えば、実願平4-30062号(実開平5-90449号公報)のCD-ROM 第1〜3図、特開平6-18879号公報第4図参照)の技術であり、引用例に記載の発明に該周知技術を適用して本願発明とすることに格別の困難は見出せない。
そして、本願発明によってもたらされる効果は、引用例発明及び上記周知技術から、当業者が予測し得る程度のものであり、格別とはいえない。

5.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例に記載された発明及び周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-11-09 
結審通知日 2005-11-15 
審決日 2005-11-28 
出願番号 特願平7-33685
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G02F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 右田 昌士  
特許庁審判長 瀧本 十良三
特許庁審判官 鹿股 俊雄
井口 猶二
発明の名称 面照明素子  
代理人 芝野 正雅  
代理人 芝野 正雅  

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