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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01R 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 H01R |
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管理番号 | 1130332 |
審判番号 | 不服2002-11503 |
総通号数 | 75 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1999-11-05 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2002-06-24 |
確定日 | 2006-02-01 |
事件の表示 | 平成10年特許願第112304号「回路基板」拒絶査定不服審判事件〔平成11年11月 5日出願公開、特開平11-307200〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
I.手続の経緯 本願は、平成10年4月22日の出願であって、平成13年11月12日付けの拒絶理由通知がなされ、平成14年2月25日受付けで手続補正がなされたが、平成14年3月20日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成14年6月24日受付けで拒絶査定に対する審判請求がなされるととも に、平成14年6月28日受付けで手続補正がなされたものである。 II.平成14年6月28日受付けの明細書を対象とした手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成14年6月28日受付けの手続補正を却下する。 [理由] 上記手続補正は、特許請求の範囲を、次のように補正するものである。 「【請求項1】 第一の接続部を有する第一の回路基板と、 第二の接続部を有する第二の回路基板と、 前記第一の回路基板と前記第二の回路基板が対面して平行になるように互いに支持する接続部材とを含み、 前記第一の接続部と前記第二の接続部とが接続方向にずれていることを特徴とする、 回路基板アセンブリ。 【請求項2】 前記第一の回路基板の前記第一の接続部の挿入方向の長さが、左側もしくは右側または右側もしくは左側に向かって短くなるように形成され、前記第二の回路基板の前記第二の接続部の挿入方向の長さが、前記第一の回路基板の前記第一の接続部の挿入方向の長さとは逆に、右側もしくは左側または左側もしくは右側に向かって短くなるように形成される、請求項1に記載の回路基板アセンブリ。 【請求項3】 第一の接続部を有する第一の回路基板と、第二の接続部を有する第二の回路基板と、前記第一の回路基板と前記第二の回路基板が対面して平行になるように互いに支持する接続部材とを含み、前記第一の接続部と前記第二の接続部とが接続方向にずれていることを特徴とする回路基板アセンブリと、 前記第一の接続部及び前記第二の接続部に接続するためのカードエッジ・コネクタとを含む、回路基板接続システム。」 この補正は、平成14年2月25日受付けの手続補正により補正された特許請求の範囲を、請求項1は補正しないでそのまま請求項1とし、請求項2を限定的減縮して請求項3とするとともに、新たに請求項2を追加するものである。この新たに請求項2を追加する補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものとは認められず、また、誤記の訂正又は明りょうでない記載の釈明を目的とするものとも認められない。 したがって、この手続補正は、特許法第17条の2第4項の規定に適合しないので、特許法第159条で準用する同法第53条第1項の規定により、却下する。 III.本願発明 平成14年6月28日受付けの明細書を対象とした手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という)は、平成14年2月25日受付けの手続補正により補正された明細書 の、特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。 「第一の接続部を有する第一の回路基板と、第二の接続部を有する第二の回路基板と、前記第一の回路基板と前記第二の回路基板が対面して平行になるように互いに支持する接続部材とを含み、前記第一の接続部と前記第二の接続部とが接続方向にずれていることを特徴とする、回路基板アセンブ リ。」 IV.引用例の記載事項 原査定の拒絶の理由に引用された引用例3(実公昭50-28375号公報、以下「引用例」という。)には、次の事項が記載されている。 1.「本考案は上述のようにプリント板の端子数の増加に伴いプリント板等のプラグをコネクタに挿入する力が増えて、プリント板挿入時の操作が困難になる欠点に鑑み、プリント板の各接触端子とこれに対応するコネクタ部の各接点を時間的なずれを持つて順次接触させるようにし、プリント板を挿入する力を小さくして挿入時の操作を簡便ならしめた多端子接触装置を提供する事を目的とするものである。」(第2ページ第3欄第24行〜第4欄第2行) 2.「以下第6図ロ〜トはプリント板に対して本考案を実施した他の実施例で、・・・第6図ニ、ホおよびヘは挿入端に段をつけて挿入時の接触開始時期をずらせたものでニは非対称形、ホは対称形、ヘは段の数を増した場合の例である。」(第3ページ第5欄第6行〜第15行) 3.「プリント基板の一端に多数の接触端子が印刷されプリント基板の挿入端部に面取り角が形成されたプラグ部を有する多端子接触装置において、前記面取り角の角度に応じて前記プラグ部の挿入端部またはコネクタ部の接点ばね配列の一部あるいは全部に傾斜部または段部を形成することにより前記プラグ部をコネクタ部に挿入するときの挿入力を適当な値に減少するとともに前記プリント基板の挿入手応えを良くすることを特徴とする多端子接触装置」(実用新案登録請求の範囲) 4.第6図(ホ)には、プリント板におけるプラグ部の挿入端の両端部を中間部より突出させて段をつけたものが記載されている。 上記1〜4に記載された事項を総合すると、引用例には以下の発明が記載されているものと認められる。 「多数の接触端子が印刷されたプリント基板の挿入端部に面取り角が形成されたプラグ部を有するとともに、該プラグ部の挿入端部の両端部を中間部より突出させて段をつけてなるプリント基板」(以下、「引用例記載の発 明」という。) V.対比・判断 本願発明と引用例記載の発明を対比すると、その機能・作用からみて、本願発明の「回路基板」は、引用例記載の発明の「プリント基板」に相当し、また、本願発明の「接続部」は、引用例記載の発明の「多数の接触端子が印刷されたプリント基板の挿入端部に面取り角が形成されたプラグ部」に相当する。そして、引用例記載の発明の「プラグ部の挿入端部の両端部を中間部より突出させて段をつけてなる」ことは、この段によって区分されたプラグ部の挿入端部の両端部とプラグ部の挿入端部の中間部とは別の接続部ということができ、プラグ部の挿入端部の両端部を第一の接続部、プラグ部の挿入端部の中間部を第二の接続部(又は、プラグ部の挿入端部の両端部を第二の接続部、プラグ部の挿入端部の中間部を第一の接続部)ということができるとともに、また、この段によって区分されたプラグ部の挿入端部の両端部とプラグ部の挿入端部の中間部とは、接続方向にずれているから、本願発明の「第一の接続部と第二の接続部とが接続方向にずれている」ことに相当す る。 したがって、両者は、本願発明の用語を用いて表すと、 「第一の接続部と第二の接続部とが接続方向にずれていることを特徴とする回路基板」で一致し、次の点で相違するものと認められる。 相違点 本願発明は、回路基板が、第一の接続部を有する第一の回路基板と第二の接続部を有する第二の回路基板とからなり、前記第一の回路基板と前記第二の回路基板が対面して平行になるように互いに支持する接続部材とを含む回路基板アセンブリであるのに対し、引用例記載の発明は、回路基板が一枚であり、この一枚の回路基板に第一の接続部及び第二の接続部を有するものである点。 VI.相違点の判断 第一の接続部を有する第一の回路基板と第二の接続部を有する第二の回路基板とからなり、前記第一の回路基板と前記第二の回路基板が対面して平行になるように互いに支持する接続部材とを含む回路基板アセンブリは従来周知である(必要ならば、特公昭42-24110号公報、実願平4-33476号(実開平5-87866号)のCD-ROM(特に、図3における従来技術の複数組み込まれた基板ユニット3′を参照)を参照)。 また、上記引用例には、「本考案は上述のようにプリント板の端子数の増加に伴いプリント板等のプラグをコネクタに挿入する力が増えて、プリント板挿入時の操作が困難になる欠点に鑑み、プリント板の各接触端子とこれに対応するコネクタ部の各接点を時間的なずれを持つて順次接触させるようにし、プリント板を挿入する力を小さくして挿入時の操作を簡便ならしめた多端子接触装置を提供する事を目的とするものである。」(第2ページ第3欄第24行〜第4欄第2行、上記IVの1を参照)と記載されており、また、引用例記載の発明における「プラグ部の挿入端部の両端部を中間部より突出させて段をつけてなる」ことは、実質的に、「第一の接続部と第二の接続部とが接続方向にずれている」ことに相当するから(上記Vを参照)、上記引用例には、プリント板等のプラグをコネクタに挿入する力を小さくするために、プラグ部の挿入端の両端部を中間部より突出させて段をつけて、すなわち第一の接続部と第二の接続部とが接続方向にずれているようにして、プリント板の各接触端子とこれに対応するコネクタ部の各接点を時間的なずれを持つて順次接触させるようにする技術が記載されていると認められる。 そして、上記従来周知である、第一の接続部を有する第一の回路基板と第二の接続部を有する第二の回路基板とからなり、前記第一の回路基板と前記第二の回路基板が対面して平行になるように互いに支持する接続部材とを含む回路基板アセンブリのコネクタへの挿入に際しても、第一の接続部及び第二の接続部をコネクタに挿入する力が比較的大きくなることは技術常識であり、さらに、この回路基板アセンブリのコネクタへの挿入に、引用例に記載された技術を適用することを阻害する技術的理由はないから、上記従来周知の回路基板アセンブリの第一の接続部及び第二の接続部をコネクタに挿入する力を小さくするために、引用例に記載された技術を適用して、上記相違点における本願発明のようにすることは、当業者であれば適宜なし得たものである。また、その効果も当業者が予測する範囲のものである。 VII.むすび 以上のとおり、本願発明は、引用例及び従来周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2005-09-06 |
結審通知日 | 2005-09-07 |
審決日 | 2005-09-22 |
出願番号 | 特願平10-112304 |
審決分類 |
P
1
8・
572-
Z
(H01R)
P 1 8・ 121- Z (H01R) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 松縄 正登 |
特許庁審判長 |
山崎 豊 |
特許庁審判官 |
内藤 真徳 柳 五三 |
発明の名称 | 回路基板 |
代理人 | 坂口 博 |
代理人 | 市位 嘉宏 |