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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B65H |
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管理番号 | 1130501 |
審判番号 | 不服2003-11769 |
総通号数 | 75 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2001-01-16 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2003-06-25 |
確定日 | 2006-02-09 |
事件の表示 | 平成11年特許願第184540号「梱包用バンドコイルおよびその製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 1月16日出願公開、特開2001- 10768〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願は、平成11年6月30日の出願であって、その請求項1に係る発明は、平成15年4月11日付け手続補正書により補正された明細書および図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。(以下、「本願発明」という。) 「【請求項1】帯状をした熱可塑性樹脂製の梱包用バンドを、軸心部に円柱状の中空部が形成された巻き芯のない状態で螺旋状に1層にわたって巻回されており、その中空部の周囲において内周面を構成する梱包用バンド部分が粘着剤によって他の梱包用バンド部分に剥離可能に接着されていることを特徴とする梱包用バンドコイル。」 2.引用例の記載事項 これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布された実願昭58-8431号(実開昭59-116347号)のマイクロフィルム(以下、「引用例」という。)には、以下の記載がある。 (a)「線状体または帯状体を円筒状に巻いたものであって、中空部に近い巻線または帯体が互いに接着し合って芯を形成しているコイル。」(請求項1) (b)「なお、この考案のコイルは、線状体だけでなく、包装用テープのような帯状体にも、そのまま適用できる」(マイクロフィルム第3頁第17から18行) (c)「この考案のコイルAは第1図に示すように、線状体1を何層にもわたって交差巻きにして円筒状にしたものであり、中空部2に近い巻線は互いに接着して芯3を形成している。この芯3が従来のコイルの紙管に相当する働きをなし」(マイクロフィルム第1頁第17行から第2頁第4行) (d)「上述の実施例では、線状体1を接着剤8に浸したが、線状体1に接着剤1を塗布してもよい。」(マイクロフィルム第3頁第12から13行) 上記(a)乃至(d)と【図1】より、引用例には、 「帯状をした包装用テープを、中心部に円柱状の中空部が形成された紙管のない状態で螺旋状に何層にわたって巻回されており、その中空部の周囲において芯を構成する包装用テープ部分が接着剤によって接着されていることを特徴とする包装用テープコイル。」が開示されている。 3.対比・判断 本願発明と引用例記載の発明を対比する。 後者の「包装用テープ」、「中心部」、「紙管」、「接着剤」は、前者の「梱包用バンド」、「軸心部」、「巻き芯」、「粘着剤」にそれぞれ相当している。 また、後者の「芯」と前者の「内周面(1層)」とは、コイルを支持する「芯」という点で軌を一にするものであると認める。 そうすると、両者は、 「帯状をした梱包用バンドを、軸心部に円柱状の中空部が形成された巻き芯のない状態で螺旋状に何層にわたって巻回されており、その中空部の周囲において芯を構成する梱包用バンド部分が粘着剤によって接着されている梱包用バンドコイル。」という点で一致し、以下の点で相違しているものと認める。 (1)前者では、梱包用バンドが「熱可塑性樹脂製」であるのに対して、後者には、「梱包用バンド」を構成にすることの記載はあるものの、これが「熱可塑性樹脂製」であるかどうかの明記がない点。(以下、「相違点1」という。) (2)前者では、芯が「内周面(1層)」から成るものであるのに対して、後者には、芯が何層から成るものであるかの明記がない点。(以下、「相違点2」という。) (3)前者では、「接着された梱包用バンド部分」が「他の梱包用バンド部分に剥離可能に接着されている」のに対して、後者には、「接着された梱包用バンド部分」を構成にすることの記載はあるものの、上記事項の明記がない点。(以下、「相違点3」という。) 上記各相違点について検討する。 (相違点1について) 一般に、梱包用バンドを「熱可塑性樹脂製」にすること自体、本願出願前周知の事項(例えば、特開平7-315690号公報参照)であるので、引用例記載の発明の「梱包用バンド」においても、これを「熱可塑性樹脂製」にする、即ち、引用例記載の発明において、相違点1において示した本願発明の上記事項を構成することに格別の困難性があるとは云えない。 (相違点2について) 引用例記載の発明において、「芯」を何層にするかは、コイルを支持するものとして機能させる観点で、当業者が適宜決定する事項であると認められ、また、「中空部に最も近い1層(内周面)」だけであってもコイルを支持するものとして機能することが想定されるので、上記「芯」を「内周面(1層)」から成るものにする、即ち、引用例記載の発明において、相違点2において示した本願発明の上記事項を構成することに格別の困難性があるとは云えない。 なお、上記(相違点1について)で示した周知例(特に、【図3】、【図4】および発明の詳細な説明の欄の【図3】、【図4】に関する記載参照)には、「帯状をした熱可塑性樹脂製の梱包用バンドを、軸心部に円柱状の中空部が形成された巻き芯のない状態で螺旋状に1層にわたって巻回されており、その中空部の周囲において内周面(1層)を構成する梱包用バンド部分がテープによって連結された梱包用バンドコイル。」が開示されており、また、これは、「内周面(1層)」が「芯」として構成されていることを示すものであるので、周知例記載の発明と構成を大概共通にする引用例記載の発明の「芯」においても、これを周知例記載の発明の「芯」と同じく「内周面(1層)」から成るものにする、即ち、引用例記載の発明において、相違点2において示した本願発明の上記事項を構成することに格別の困難性があるとは云えない。 (相違点3について) 引用例記載の発明において、「接着された梱包用バンド部分」を「他の梱包用バンド部分から剥離可能なものにする」かどうかは、「接着された梱包用バンド部分」の有効利用の観点で当業者が適宜決定する事項であるので、「接着された梱包用バンド部分」を有効利用するために、「接着された梱包用バンド部分」が「他の梱包用バンド部分に剥離可能に接着される」ようにする、即ち、引用例記載の発明において、相違点3において示した本願発明の上記事項を構成することに格別の困難性があるとは云えない。 よって、本願発明は、引用例記載の発明および本願出願前周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 4.むすび したがって、本願発明は、引用例記載の発明および本願出願前周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2005-11-21 |
結審通知日 | 2005-11-29 |
審決日 | 2005-12-12 |
出願番号 | 特願平11-184540 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(B65H)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 千葉 成就 |
特許庁審判長 |
寺本 光生 |
特許庁審判官 |
一ノ瀬 覚 豊永 茂弘 |
発明の名称 | 梱包用バンドコイルおよびその製造方法 |