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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1130666
審判番号 不服2003-18268  
総通号数 75 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2001-10-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-09-18 
確定日 2006-02-06 
事件の表示 特願2000- 69273「キャンペーン管理システム」拒絶査定不服審判事件〔平成13年10月26日出願公開、特開2001-297129〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯等
本願は、平成12年3月13日(優先権主張平成12年2月9日)の出願であって、平成15年8月19日付けで拒絶査定がされ、これに対し、同年9月18日に拒絶査定に対する審判請求がなされたものである。
本願の請求項1ないし8に係る発明は、平成15年7月18日付けの手続補正によって補正された明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載されたとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。
「【請求項1】 所定の商品又はサービスを入手又は利用した者に懸賞への応募資格が与えられるキャンペーンを管理するためのキャンペーン管理システムにおいて、
情報通信用のネットワーク、前記ネットワークに接続された管理サーバ及びクライアント、及び、前記管理サーバに管理されるデータベースを含むコンピュータネットワークシステム、及び
前記商品又はサービスの入手又は利用を証明する証明符号を記録した証明媒体、を備え
前記証明符号は前記商品又はサービスの入手又は利用場所を示す情報及び/又は前記商品又はサービスの種別を示す情報を含み、
前記クライアントは外部から与えられた応募者の電子メールアドレス及び前記証明符号を含む所定形式の応募データを前記ネットワーク経由で前記管理サーバへ送信する応募データ送信手段を備え、
前記管理サーバは、
前記証明符号を所定の条件で検査する検査手段、
前記検査手段による検査結果に基づいて前記応募データが受け付け可能かどうかを判定し、その判定結果に応じた内容の電子メールを前記ネットワーク経由で前記電子メールアドレス宛に送信する電子メール送信手段、
前記応募データが受け付け可能であるときには該応募データを前記データベースへ保存するデータ保存手段、及び
前記データベースに保存された応募データに含まれる証明符号に基づいて前記商品又はサービスの入手又は利用場所毎の応募状況及び/又は前記商品又はサービスの種別毎の応募状況を分析する応募状況分析手段
を備えることを特徴とするキャンペーン管理システム。」

2.引用例
(1)原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前である平成11年8月17日に公開された特開平11-224293号公報(以下「引用例1」という。)には、次の事項が記載されている。
ア 段落【0001】の【発明が属する技術分野】の欄には、「本発明は、コンピュータネットワークを用いて、個人が所有又は入手可能な情報を効率的に収集することを支援する方法及びシステムに関し、特に、募集情報事項に懸賞を付加して公開又は配布することにより、情報をより多数の者から迅速に収集可能とする方法及びシステムに関する。」
イ 「【0019】すなわち、本発明においては、ネットワークで授受可能な情報に、懸賞を懸けること及び当該懸賞の認証・決済をネットワーク上で行えることにより、情報の流通を円滑に行うことができる。」
ウ 「【0028】本発明の実施の形態において、「情報募集者(情報レシピエント)」及び「情報提供者(情報ドナー)」とは、コンピュータネットワーク2を直接又は間接的に使用できる者であればよく、この条件を満たす者であれば、世界中の誰であってもよく、ネットワークの普及により原理的には何億という人が所有する情報の流通を可能としている。」
エ 「【0052】情報を欲する者、すなわち情報募集者1は、インターネット等のコンピュータネットワーク2を通して、WWWサーバやメールサーバー等の第1の入出力手段3に募集情報(募集事項+認証データ)を出力する。」
オ 「【0032】ここで、「募集事項」とは、欲しい情報、すなわち質問事項であり、テキスト文書、HTML文書、画像、音声等のマルチメディア情報等のWWWや電子メールにおいてやり取りできる情報である。
【0033】「認証データ」とは、懸賞を決済するためのデータ、例えば該懸賞に相当するプリペードカード又は電子マネー等のIDデータ、会員のIDコード及びパスワードに関するデータである。これらのデータは、秘密暗号方式、公開鍵暗号方式等により秘匿処理されてコンピュータネットワークにより送受信されるか、電話、FAX、プリペード型スクラッチカードにより配信することができる。
【0034】該懸賞認証データを認証及び確認する手段4は、入力された認証データが正規のものかどうか確認し決済するものであり、入力されたIDデータが、情報収集システムのデータベース14、又は、外部の電子マネー等の認証機関のデータベースに蓄積されている認証データと一致するか否か、未使用なものであるか否か等を確認し、この認証・確認処理の結果、不正、或いは間違ったものである場合には、送信された募集情報を情報提供者1に返信し、正当なものならば、決済処理5する。」
カ 「【0054】次に、第1の分割・変換処理手段6にて、募集情報を認証データと募集事項に分割し、それぞれ同じID、発行日、期限、懸賞額、評価基準等のデータを割り振る(書き込む)ことによりそれぞれ公表用募集情報と管理情報に変換し、公表用情報はWWWサーバ及びメールサーバによる公開手段7にてインターネット等のコンピュータネットワーク2を通して公表・配布され、管理情報はデータベース14に蓄積され後の処理に利用される。」
キ 「【0045】データベース14は、募集者のメールアドレス等の情報、質問事項、懸賞、期限等の募集情報、認証・決済のためのIDの情報、募集事項に対する応募情報、登録された情報提供者(情報ドナー)の得意分野、提供可能な情報のキーワード、電子メールアドレス、住所、氏名、振込先の銀行口座等の情報、獲得懸賞額の情報、応募情報に対する評価情報等を蓄積する。情報によってはコンピュータネットワークを介して閲覧可能にしてもよい。」
ク 図1には、「情報募集者」と「情報提供者」とを結ぶ「コンピュータネットワーク」に接続された「情報収集支援システム17」が記載されている。

(2)同じく原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前である平成12年1月21日に公開された特開2000-20806号公報(以下「引用例2」という。)には、次の事項が記載されている。
ケ 「【0067】次に、顧客が金銭を投入し(ステップS74)、商品を選択する。これに応答して、自動販売機10は商品識別番号、単価、販売日時、気温・湿度、商品の数量などを自動販売機10内の販売履歴ファイル12に一時的に記憶する(ステップS76乃至S82)。なお、これらの処理は図1のステップS28乃至S34と実質的に同一であるので詳細な説明は省略する。この後、商品が投出される(ステップS84)。続いて、図1のステップS38及びS40と同様の釣り銭処理が実行される。
【0068】次に、自動販売機10の販売履歴ファイル12内に一時的に記憶された販売履歴データをカード処理部21により顧客カード6のICチップメモリ7に書き込む(ステップS90)。また、ポイント処理部15が今回の購入分に相当するポイント数を計算し、累計ポイント数を更新して顧客カード6に記憶する。これにより、顧客カード6内の記憶データが更新される。」
コ 「【0078】また、上記実施形態では、顧客カードと別に金銭を投入する場合を示したが、顧客カードをいわゆるプリペイドカードとして構成し、カードの投入のみで商品の購入と情報の収集とを実行するようにすることもできる。」
サ 「【0054】続いて、データベースセンタ50において分析処理が実行される(ステップS58)。分析処理は種々の観点から行われるが、各データベースから必要なデータを分析用データベース62へ転送して行う。例えば、顧客毎の販売履歴の分析を行う場合には、顧客識別番号を利用して顧客データベース58内の顧客に関する情報(例えば、年齢、性別、職業など)と販売履歴データベース52内の販売履歴データとを関連付けることにより、年齢別、職業別、居住地別などの販売実績の分析を行うことができる。また、自動販売機識別番号により自動販売機データベース56と販売履歴データベース52とを関連付けることにより、自動販売機毎の販売実績、自動販売機が設置された地域毎の販売実績などを分析することができる。また、商品識別番号により商品データベース54と販売履歴データベース52とを関連付けることにより、商品毎の販売実績などを分析することができる。その他、自動販売機10から取得した販売日時データ、気温・湿度データなどを使用することにより、時間帯別、曜日別の販売実績、気温・湿度による購入状況の変化などを分析することができる。さらに、複数の自動販売機10から送られる同一顧客についての販売履歴データを分析することにより、同一の顧客が異なる自動販売機をどのように利用しているかを把握することもできる。」

3.対比
引用例1記載の発明(以下、「引用発明」という。)と本願発明とを対比する。
(ア)「「情報募集者(情報レシピエント)」及び「情報提供者(情報ドナー)」とは、コンピュータネットワーク2を直接又は間接的に使用できる者であればよく、この条件を満たす者であれば、世界中の誰であってもよく」(前掲ウ)より、引用発明の「情報募集者」は、複数存在するものと認められる。
加えて、「「認証データ」とは、懸賞を決済するためのデータ、例えば該懸賞に相当するプリペードカード又は電子マネー等のIDデータ、会員のIDコード及びパスワードに関するデータである。」(前掲オ)より、引用発明の「情報募集者」は、IDデータを備えたプリペードカード又は電子マネー等を所有し、利用することにより、情報収集支援システムにおいて懸賞を懸けることができることが示されている。(以下、「プリペードカード」を「プリペイドカード」と表記を統一する。)
すると引用発明の「情報募集者」は、複数存在する情報募集者になるための「応募者」に対応し、また、プリペイドカード又は電子マネーというサービスを入手することにより応募資格が与えられることに対応する。
そして、引用発明に、「所定のサービスを入手した者に懸賞への応募資格が与えられるシステム」が記載されていると解することになんら不都合は生じない。
(イ)引用発明の「コンピュータネットワーク」、「情報収集支援システム」及び「データベース」は、本願発明の「情報通信用のネットワーク」、「ネットワークに接続された管理サーバ」及び「管理サーバに管理されるデータベース」に相当する。
また、引用発明において、情報募集者は、コンピュータネットワークを通して情報収集支援システムへ募集情報を出力しているため、端末の利用が認められるから、該端末が、本願発明の「ネットワークに接続されたクライアント」に相当する。
(ウ)「「認証データ」とは、懸賞を決済するためのデータで、例えば懸賞に相当するプリペイドカード又は電子マネー等のIDデータである」(前掲オ)より、該認証データであるIDデータが、情報収集システムの懸賞であるプリペイドカードの利用を証明するものとなる。
したがって、引用発明のプリペイドカードの利用を証明する「認証データ」は、本願発明のサービスの利用を証明する「証明符号」に相当し、引用発明の「プリペイドカード」が本願発明の「証明媒体」に相当することは明らかである。
(エ)「情報募集者1は、インターネット等のコンピュータネットワーク2を通して、WWWサーバやメールサーバー等の第1の入出力手段3に募集情報(募集事項+認証データ)を出力する。」(前掲エ)より、引用発明は、応募者の電子メールアドレス及び証明符号を含む応募データを送信手段により管理サーバヘネットワーク経由で送信しているものと認められる。
また、該募集事項は、「欲しい情報、すなわち質問事項であり」(前掲オ)との記載より、一定の形式に従って書かれたものと解するのは自然であるので「募集事項及び認証データ」を「外部から与えられた所定形式の応募データ」とすることは当業者に自明である。
(オ)「該懸賞認証データを認証及び確認する手段4は、入力された認証データが正規のものかどうか確認し決済するものであり、入力されたIDデータが、情報収集システムのデータベース14、又は、外部の電子マネー等の認証機関のデータベースに蓄積されている認証データと一致するか否か、未使用なものであるか否か等を確認し」(前掲オ)との記載より、引用発明の「懸賞認証データを認証及び確認する手段4」が本願発明の「証明符号を所定の条件で検査する検査手段」に相当する。
(カ)「この認証・確認処理の結果、不正、或いは間違ったものである場合には、送信された募集情報を情報提供者1に返信し、正当なものならば、決済処理5する。」(前掲オ)の記載より、情報募集者は、送信された募集情報を返信されたことにより、検査結果が、不正或いは間違ったものであると認識できるので、「判定結果の応じた内容の電子メールをネットワーク経由で応募者の電子メールアドレス宛に送信する」構成は、引用発明に示されている。
(キ)引用発明は、正当な募集情報は、決済処理5及び分割・変換処理6を経て、データベース14に保存される(前掲カ)ので、「応募データが受け付け可能であるときには該応募データを前記データベースへ保存するデータ保存手段」が示されている。

以上を踏まえると、両者は、
「所定のサービスを入手した者に懸賞への応募資格が与えられるシステムにおいて、情報通信用のネットワーク、前記ネットワークに接続された管理サーバ及びクライアント、及び、前記管理サーバに管理されるデータベースを含むコンピュータネットワークシステム、及び前記サービスの利用を証明する証明符号を記録した証明媒体、を備え、前記クライアントは外部から与えられた応募者の電子メールアドレス及び前記証明符号を含む所定形式の応募データを前記ネットワーク経由で前記管理サーバへ送信する応募データ送信手段を備え、前記管理サーバは、前記証明符号を所定の条件で検査する検査手段、前記検査手段による検査結果に基づいて前記応募データが受け付け可能かどうかを判定し、その判定結果に応じた内容の電子メールを前記ネットワーク経由で前記電子メールアドレス宛に送信する電子メール送信手段、前記応募データが受け付け可能であるときには該応募データを前記データベースへ保存するデータ保存手段、を備えるシステム。」
で一致し、次の点で相違する。

【相違点】
【相違点1】
前記システムが、本願発明では「キャンペーン管理システム」であるのに対し、引用発明では、「情報収集支援システム」である点。

【相違点2】
「証明符号」が、本願発明では、「前記商品又はサービスの入手又は利用場所を示す情報及び/又は前記商品又はサービスの種別を示す情報を含む」ものであるのに対し、引用発明は、該情報を含む点が明記されていない点。

【相違点3】
本願発明では、「前記データベースに保存された応募データに含まれる証明符号に基づいて前記商品又はサービスの入手又は利用場所毎の応募状況及び/又は前記商品又はサービスの種別毎の応募状況を分析する応募状況分析手段」が存在するのに対し、引用発明は、該手段が明記されていない点。

4.当審の判断
上記相違点について検討する。
【相違点1】について
本願発明の「キャンペーン」とは、「消費者に対する商品/サービスの販売促進や顧客情報の収集及び管理を目的として実施されるキャンペーン」であると記載されている。(本願明細書段落【0001】)
引用発明は、懸賞金をかけて情報を収集するものであるが、集めた情報を、販売促進に利用することもあると認められるので、引用発明の「情報収集支援システム」は、本願発明の「キャンペーン管理システム」に実質的に相当するものである。

【相違点2】について
引用例2には、「自動販売機10は商品識別番号、単価、販売日時、気温・湿度、商品の数量などを自動販売機10内の販売履歴ファイル12に一時的に記憶する(ステップS76乃至S82)。・・・次に、自動販売機10の販売履歴ファイル12内に一時的に記憶された販売履歴データをカード処理部21により顧客カード6のICチップメモリ7に書き込む。」(前掲ケ)とあり、顧客カードのICチップメモリに、利用場所を示す情報や、サービスの種別を示す販売履歴データを書き込むことが記載されている。
「顧客カードをいわゆるプリペイドカードとして構成し、」(前掲コ)より、引用例2には、プリペイドカードに利用場所を示す情報や、サービスの種別を示す情報が含まれている点が記載されている。
したがって、「プリペイドカードのIDデータ」に相当する引用発明の「証明媒体の証明符号」に、引用例2に記載のサービスの利用場所を示す情報及び/又はサービスの種別を示す情報を含ませることは当業者が容易になし得たことと認められる。

【相違点3】について
引用発明には、「管理情報はデータベース14に蓄積され後の処理に利用される。」(前掲カ)と記載され、応募データが含まれる管理情報を用いて何らかの処理を行う手段が記載されている。
一般にデータベースを利用した処理において、種々の状況分析は通常行われている事項であり、例えば、引用例2には、「データベースセンタ50において分析処理が実行される。分析処理は種々の観点から行われる。・・年齢別、職業別、居住地別などの販売実績の分析を行うことができる。・・地域毎の販売実績などを分析することができる。・・・また、商品毎の販売実績などを分析することができる。」(前掲サ)のように、プリペイドカードのデータが蓄積されているデータベースにアクセスしてデータの状況を分析する構成が記載されている。
したがって、引用発明に記載のデータベースのデータ処理を行う手段として、データベースに保存された応募データに含まれる証明符号に基づいて前記商品又はサービスの入手又は利用場所毎の応募状況及び/又は前記商品又はサービスの種別毎の応募状況を分析する応募状況分析手段を想起することに格別の困難性は認められない。

以上、相違点1ないし3は当業者が引用例1及び2記載の発明から容易に推考できる程度の事項であり、効果についても、当業者が予測しうる範囲であり、格段顕著な技術的効果も認められない。


5.むすび
したがって,本願発明は,引用例1及び2記載の発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるので,他の請求項について検討するまでもなく,本願は,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-11-11 
結審通知日 2005-11-22 
審決日 2005-12-05 
出願番号 特願2000-69273(P2000-69273)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 竹中 辰利  
特許庁審判長 杉山 務
特許庁審判官 鈴木 明
大野 弘
発明の名称 キャンペーン管理システム  
代理人 小林 良平  

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