• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 一部申し立て 2項進歩性  G01N
管理番号 1130799
異議申立番号 異議2003-73614  
総通号数 75 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2004-03-11 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-12-26 
確定日 2005-09-20 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3423304号「光照射装置及び光照射ユニット」の請求項1、3、4、7、9に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3423304号の請求項1ないし5に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許第3423304号は、平成14年7月16日(優先権主張 平成13年11月9日、平成13年12月4日、平成14年1月11日、平成14年4月16日、日本)に特許出願され、平成15年4月25日に特許権の設定登録がされた。その後、異議申立人石川瑞により請求項1,3,4,7,9に係る特許について特許異議の申立がされ、請求項1,3,4,7,9に係る特許について取消理由が通知され、その指定期間内である平成17年6月20日に訂正請求がされている。

2.訂正の適否についての判断
2-1.訂正の内容
ア.特許請求の範囲の請求項1の「保持するようにしたことを特徴とする光照射装置。」との記載を、「保持するようにしたものであり、前記凸レンズの外径と同一又は略同一の内径を有し、該凸レンズを収容して保持するレンズ保持孔を設けるとともに、光ファイバを挿通させて保持するファイバ保持部たるファイバ保持孔を、前記レンズ保持孔と等断面形状を有する柱状部材に貫通させ、前記柱状部材を、凸レンズを挿入した前記レンズ保持孔の反照射部位側に嵌合させていることを特徴とする光照射装置。」と訂正する。
イ.請求項1又は2を引用する請求項3を、同様の限定を付して、新請求項1を引用する新請求項2とする。すなわち、新請求項2を「光ファイバの光射出端部における軸線と対応する凸レンズの光軸とを一致させ、それら軸線及び凸レンズの光軸が前記照射対象部位を向くように構成している請求項1記載の光照射装置。」とする。
ウ.請求項1又は2を引用する請求項4を、同様の限定を付して、新請求項1を引用する新請求項3とする。すなわち、新請求項3を「光ファイバの光射出端部における軸線と対応する凸レンズの光軸とをずらし、光射出端部から出た光の光軸が凸レンズによって曲げられて前記照射対象部位を向くように構成している請求項1記載の光照射装置。」とする。
エ.請求項1乃至5のいずれかを引用する請求項6をさらに引用する請求項7を、同様の限定を付して、新請求項1を引用する新請求項4とする。すなわち、新請求項4を「前記筐体が、前記照射対象部位を観察するための観察孔を有してなるものであって、前記ファイバ保持孔を前記観察孔の開口周縁部の周方向に沿って複数設けている請求項1記載の光照射装置。」とする。
オ.請求項1乃至8のいずれかを引用する請求項9を、同様の限定を付して、新請求項1乃至4のいずれかを引用する新請求項5とする。すなわち、新請求項5を「請求項1乃至4いずれかに記載の光照射装置と、前記光照射装置に光を供給する光源装置とを光ファイバ束により接続するとともに、前記光源装置を前記光照射装置の前記筐体に一体的に保持させている光照射ユニット。」とする。
カ.請求項1を引用する請求項2を、独立形式の請求項に訂正し、新請求項6とする。
キ.請求項1又は2を引用する請求項5を、独立形式の新請求項7、及びそれを引用する新請求項8とする。
ク.請求項1乃至5のいずれかを引用する請求項6を、独立形式の新請求項9、及びそれを引用する新請求項10、並びに新請求項9又は10を引用する新請求項11〜13とする。
ケ.請求項1乃至5のいずれかを引用する請求項6を請求項7で引用し、該請求項7をさらに引用する請求項8を、独立形式の新請求項14、及びそれを引用する新請求項15、並びに新請求項14又は15を引用する新請求項16〜18とする。

2-2.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
上記訂正事項アは、凸レンズ及び光ファイバの保持態様を限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。そして、この構成は、請求項6,7,8及び明細書の段落[0038]〜[0040]に記載されているから、明細書に記載した事項の範囲内のものであり、また、この訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。
上記訂正事項イ.〜オ.は、いずれも新請求項1を引用して同様の限定を付すものであるから、上記訂正事項ア.と同様の理由で、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加には該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。
上記訂正事項カ.〜ケ.は、異議の申し立てられていない請求項2,5,6,8を、異議の申し立てられた請求項の訂正の影響を受けないように、独立形式の請求項及びそれを引用する請求項に訂正するものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであり、新規事項の追加には該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。

2-3.むすび
以上のとおりであるから、上記各訂正は、平成15年改正前の特許法第120条の4第2項及び同条第3項において準用する同法第126条第2項から第4項までの規定に適合しているので、訂正を認める。

3.特許異議申立について
3-1.異議申立理由の概要
特許第3423304号の請求項1,3,4,7,9に係る発明は、甲第1号証(特開平10-162699号公報、以下、「刊行物1」という。)、甲第2号証(特開平5-199442号公報、以下、「刊行物2」という。)及び甲第3号証(特公平7-66242号公報、以下、「刊行物3」という。)の刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであり、当該特許は特許法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。

3-2.本件発明
上記「2.訂正の適否についての判断」で示したように訂正が認められるから、異議の申し立てられた請求項1,3,4,7,9に対応する発明は、訂正後の明細書及び図面の記載によれば、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1〜5に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。(以下、「本件発明1」〜「本件発明5」という。)
【請求項1】(本件発明1)
複数の光ファイバからなる光ファイバ束を介して導入された光を照射対象部位に照射するものであって、筐体に、前記光ファイバ束を一本一本ばらしてなる前記各光ファイバの光射出端部を複数離散配置した状態で保持するファイバ保持部を設け、前記各光ファイバそれぞれに対応して一つずつ設けられた凸レンズを前記各光ファイバの光射出端に近接又は密接させて保持するようにしたものであり、
前記凸レンズの外径と同一又は同一の内径を有し、該凸レンズを収容して保持するレンズ保持孔を設けるとともに、光ファイバを挿通させて保持するファイバ保持部たるファイバ保持孔を、前記レンズ保持孔と等断面形状を有する柱状部材に貫通させ、前記柱状部材を、凸レンズを挿入した前記レンズ保持孔の反射部位側に嵌合させていることを特徴とする光照射装置。
【請求項2】(本件発明2)
光ファイバの光射出端部における軸線と対応する凸レンズの光軸とを一致させ、それら軸線及び凸レンズの光軸が前記照射対象部位を向くように構成している請求項1記載の光照射装置。
【請求項3】(本件発明3)
光ファイバの光射出端部における軸線と対応する凸レンズの光軸とをずらし、光射出端部から出た光の光軸が凸レンズによって曲げられて前記照射対象部位を向くように構成している請求項1記載の光照射装置。
【請求項4】(本件発明4)
前記筐体が、前記照射対象部位を観察するための観察孔を有してなるものであって、前記ファイバ保持孔を前記観察孔の開口周縁部の周方向に沿って複数設けている請求項1記載の光照射装置。
【請求項5】(本件発明5)
請求項1乃至4いずれかに記載の光照射装置と、前記光照射装置に光を供給する光源装置とを光ファイバ束により接続するとともに、前記光源装置を前記光照射装置の前記筐体に一体的に保持させている光照射ユニット。

3-3.刊行物記載の発明
(1)刊行物1(特開平10-162699号公報)
刊行物1には、「【請求項3】光を物体検知領域に投光する投光部と、前記投光部によって照射された物体からの正反射光を受光する受光部と、を有する反射型光電センサにおいて、前記投光部又は受光部は、バンドル光ファイバの先端部分を分岐することにより形成されたものであることを特徴とする反射型光電センサ。」(第2頁左欄第14〜19行)及び「次に本発明の第4の実施の形態について説明する。この光電センサは第1の実施の形態の投光素子と受光素子の位置を逆転させたものである。即ち図4にヘッド部1Dを示すように、投光用光ファイバ2をバンドルファイバとし、これを光ファイバ2a,2bに分離する。そして2つの位置に投光部3a,3bを配置し、各投光部3a,3bの前面にはコリメートレンズ4a,4bを配置し、夫々異なった領域に光を投光する。」(第3頁右欄第2〜9行)との記載があり、これらの記載及び図4から、刊行物1には「バンドル光ファイバの先端部分を2つに分岐し、それぞれにコリメートレンズを配置した投光部」(刊行物1記載の発明)が記載されていると認められる。

(2)刊行物2(特開平5-199442号公報)
刊行物2には、「本発明は、金属の表面、人の肌等の被検体にヘッドを直接当接してその拡大像、縮小像、等倍像をモニタ画面に表示する表面検査装置における照明装置に関するものである。」(第2頁左欄第33〜36行)、「図1は本発明の第1の実施例を示すもので、1は拡大用光学系2(実施例はズーム光学系)を収容した鏡筒、3は拡大用光学系2の周囲に配置した光ファイバー、4は光ファイバー3の下方に配置された4分割のリングレンズである。分割された各リングレンズ4は、図2に示すように取付筒体5の4箇所にT字状のスリット6を設けて形成した可撓部7a,7b,7c,7dの内側先端部に取付けられていて、作動リング8を回動すると、カム溝8aと係合するピン9を介して駆動リング10が軸方向に移動し、駆動リング10は前記可撓部7a,7b,7c,7dのテーパー部71を介してリングレンズ4を鏡筒1の半径方向に移動するするように構成されている。」(第2頁右欄第19〜31行)及び「図3は第1の実施例の作用、効果を示す説明図で、作動リング8を回動して駆動リング10を介してリングレンズ4を鏡筒1の内側方向に移動させることにより、(a)に示すように光ファイバー3からの出射光の殆んどを側射光用光学系に入射させたり、(b)に示すように側射光用光学系と落射光用光学系に均等に入射させたり、(c)に示すように光ファイバー3の殆んどの出射光を落射光用光学系に入射させることができる。従って、リングレンズ4の動きに応じて側射光量と落射光量が相対的に変化するため、観察表面の状態に応じた最適照明を行うことができる。」(第2頁右欄第41行から第3頁左欄第1行)との記載があり、これらの記載及び図1〜3の記載から、刊行物1には、本件発明の用語で表現すれば、「導入された光を照射対象部位に照射するものであって、筐体に、光ファイバを一本一本ばらしてなる各光ファイバの光射出端部を複数離散配置した状態で保持するファイバ保持部を設け、4つの群に分割した光ファイバ群に対応して4分割のリングレンズを前記光ファイバの光射出端に近接させて保持するようにした光照射装置。」(刊行物2記載の発明)が記載されていると認められる。

(3)刊行物3(特公平7-66242号公報)
刊行物3には、「光ファイバー束10の他端は小分けされその夫々の端13は基板4に固定され、その端面14は鏡面研磨されている。この端面14より出力した平行光は光学系15によって点光源より放射光に変換される。」(第2頁右欄第1〜4行)及び「13は光ファイバー束の小分けされた端で基板4に固定されている。15はここより出力した平行光を点光源よりの放射光に変換する光学系である。」(第3頁右欄第11〜13行)と記載され、これらの記載及び第2図の記載から、「光ファイバー束の端を小分けして基板に固定し、それぞれに光学系を設けて平行光を点光源よりの放射光に変換するようにした光照射装置。」(刊行物3記載の発明)が記載されていると認められる。

3-4.対比・判断
(1)本件発明1について
取消理由通知では刊行物2を引用したので、先ず、本件発明1と刊行物2記載の発明とを対比する。
両者は、「導入された光を照射対象部位に照射するものであって、筐体に、光ファイバを一本一本ばらしてなる各光ファイバの光射出端部を複数離散配置した状態で保持するファイバ保持部を設け、前記各光ファイバに対応して凸レンズを前記各光ファイバの光射出端に近接させて保持するようにした光照射装置。」で一致し、(1)本件発明1が、複数の光ファイバからなる光ファイバ束を介して光を導入するのに対して、刊行物2記載の発明ではこの点が記載されていない点(相違点1)、及び(2)本件発明1では、各光ファイバそれぞれに対応して一つずつ凸レンズが設けられており、そのための具体的手段として「凸レンズの外径と同一又は同一の内径を有し、該凸レンズを収容して保持するレンズ保持孔を設けるとともに、光ファイバを挿通させて保持するファイバ保持部たるファイバ保持孔を、前記レンズ保持孔と等断面形状を有する柱状部材に貫通させ、前記柱状部材を、凸レンズを挿入した前記レンズ保持孔の反射部位側に嵌合させている」という構成を有しているのに対して、刊行物2記載の発明では、単に、4つの群に分割された光ファイバ群に対応して、4分割のリングレンズが設けられている点(相違点2)、で相違すると認められる。
相違点について検討すると、相違点1については、光照射装置において、光を、複数の光ファイバからなる光ファイバ束を介して導入することは、取消理由通知で提示した特開平1-114170号公報にみられるように周知の技術であって、この周知技術を用いることは当業者が適宜採用することである。
相違点2については、光ファイバを用いて光を照射対象部位に照射する光照射装置において、各光ファイバそれぞれに対応して一つずつ凸レンズを設けることは、取消理由通知で提示した特開平10-74448号公報、特開平6-55288号公報、特開平10-49865号公報にみられるように周知の技術であるから、刊行物2記載の発明において、単に、各光ファイバそれぞれに対応して一つずつ凸レンズを設けるようにすることは、当業者ならば容易に想到し得たものと認められるが、そのための具体的手段として「凸レンズの外径と同一又は同一の内径を有し、該凸レンズを収容して保持するレンズ保持孔を設けるとともに、光ファイバを挿通させて保持するファイバ保持部たるファイバ保持孔を、前記レンズ保持孔と等断面形状を有する柱状部材に貫通させ、前記柱状部材を、凸レンズを挿入した前記レンズ保持孔の反射部位側に嵌合させている」という構成を採用することは、いずれの刊行物にも記載若しくは示唆されていないから、容易想到ということはできない。

また、本件発明1と刊行物1記載の発明及び刊行物3記載の発明を対比しても、同様の理由により、各光ファイバそれぞれに対応して一つずつ凸レンズを設けるための具体的手段である、「凸レンズの外径と同一又は同一の内径を有し、該凸レンズを収容して保持するレンズ保持孔を設けるとともに、光ファイバを挿通させて保持するファイバ保持部たるファイバ保持孔を、前記レンズ保持孔と等断面形状を有する柱状部材に貫通させ、前記柱状部材を、凸レンズを挿入した前記レンズ保持孔の反射部位側に嵌合させている」という構成は記載若しくは示唆されていないので、この構成が容易想到ということはできない。
そして、本件発明1は、この構成により、「一本一本の光ファイバにそれぞれ凸レンズを一つ一つ対応させるような照明装置において、各光ファイバ-凸レンズの位置決めを、非常に簡単に、なおかつ正確にできる」という特許異議意見書記載の作用効果を奏すると認められる。

(2)本件発明2〜5について
本件発明2〜5は、本件発明1を引用して本件発明1を限定するものであるから、上述のように本件発明1が容易想到といえない以上、本件発明2〜5も当業者が容易に発明をすることができたとすることはできない。

3-5.むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立の理由及び証拠によっては請求項1〜5に係る本件特許を取り消すことはできない。
また、他に本件特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
光照射装置及び光照射ユニット
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光ファイバからなる光ファイバ束を介して導入された光を照射対象部位に照射するものであって、筐体に、前記光ファイバ束を一本一本ばらしてなる前記各光ファイバの光射出端部を複数離散配置した状態で保持するファイバ保持部を設け、前記各光ファイバそれぞれに対応して一つずつ設けられた凸レンズを前記各光ファイバの光射出端に近接又は密接させて保持するようにしたものであり、
前記凸レンズの外径と同一又は略同一の内径を有し、該凸レンズを収容して保持するレンズ保持孔を設けるとともに、光ファイバを挿通させて保持するファイバ保持部たるファイバ保持孔を、前記レンズ保持孔と等断面形状を有する柱状部材に貫通させ、前記柱状部材を、凸レンズを挿入した前記レンズ保持孔の反照射部位側に嵌合させていることを特徴とする光照射装置。
【請求項2】
光ファイバの光射出端部における軸線と対応する凸レンズの光軸とを一致させ、それら軸線及び凸レンズの光軸が前記照射対象部位を向くように構成している請求項1記載の光照射装置。
【請求項3】
光ファイバの光射出端部における軸線と対応する凸レンズの光軸とをずらし、光射出端部から出た光の光軸が凸レンズによって曲げられて前記照射対象部位を向くように構成している請求項1記載の光照射装置。
【請求項4】
前記筐体が、前記照射対象部位を観察するための観察孔を有してなるものであって、前記ファイバ保持孔を前記観察孔の開口周縁部の周方向に沿って複数設けている請求項1記載の光照射装置。
【請求項5】
請求項1乃至4いずれかに記載の光照射装置と、前記光照射装置に光を供給する光源装置とを光ファイバ束により接続するとともに、前記光源装置を前記光照射装置の前記筐体に一体的に保持させている光照射ユニット。
【請求項6】
複数の光ファイバからなる光ファイバ束を介して導入された光を照射対象部位に照射するものであって、筐体に、前記光ファイバ束を一本一本ばらしてなる前記各光ファイバの光射出端部を複数離散配置した状態で保持するファイバ保持部を設け、前記各光ファイバそれぞれに対応して一つずつ設けられた凸レンズを前記各光ファイバの光射出端に近接又は密接させて保持するようにしたものであり、
前記ファイバ保持部が、前記各光ファイバの光射出端部をリング状に複数離散配置した状態で保持するものであることを特徴とする光照射装置。
【請求項7】
複数の光ファイバからなる光ファイバ束を介して導入された光を照射対象部位に照射するものであって、筐体に、前記光ファイバ束を一本一本ばらしてなる前記各光ファイバの光射出端部を複数離散配置した状態で保持するファイバ保持部を設け、前記各光ファイバそれぞれに対応して一つずつ設けられた凸レンズを前記各光ファイバの光射出端に近接又は密接させて保持するようにしたものであり、
各光射出端から凸レンズを介して出た光がそれぞれ互いに略平行な平行光となるように構成するとともに、前記凸レンズと照射対象部位との間に位置する単一の第2レンズをさらに設け、この第2レンズによって前記各凸レンズから出た照射光を屈折させ前記照射対象部位に集めるように構成していることを特徴とする光照射装置。
【請求項8】
前記ファイバ保持部が、前記各光ファイバの光射出端部をリング状に複数離散配置した状態で保持するものである請求項7記載の光照射装置。
【請求項9】
複数の光ファイバからなる光ファイバ束を介して導入された光を照射対象部位に照射するものであって、筐体に、前記光ファイバ束を一本一本ばらしてなる前記各光ファイバの光射出端部を複数離散配置した状態で保持するファイバ保持部を設け、前記各光ファイバそれぞれに対応して一つずつ設けられた凸レンズを前記各光ファイバの光射出端に近接又は密接させて保持するようにしたものであり、
前記筐体が、前記照射対象部位を観察するための観察孔を有してなるものであって、前記ファイバ保持部が前記観察孔の開口周縁部の周方向に沿って複数設けられ、光ファイバを挿通させて保持するファイバ保持孔であることを特徴とする光照射装置。
【請求項10】
前記ファイバ保持部が、前記各光ファイバの光射出端部をリング状に複数離散配置した状態で保持するものである請求項9記載の光照射装置。
【請求項11】
光ファイバの光射出端部における軸線と対応する凸レンズの光軸とを一致させ、それら軸線及び凸レンズの光軸が前記照射対象部位を向くように構成している請求項9又は10記載の光照射装置。
【請求項12】
光ファイバの光射出端部における軸線と対応する凸レンズの光軸とをずらし、光射出端部から出た光の光軸が凸レンズによって曲げられて前記照射対象部位を向くように構成している請求項9又は10記載の光照射装置。
【請求項13】
各光射出端から凸レンズを介して出た光がそれぞれ互いに略平行な平行光となるように構成するとともに、前記凸レンズと照射対象部位との間に位置する単一の第2レンズをさらに設け、この第2レンズによって前記各凸レンズから出た照射光を屈折させ前記照射対象部位に集めるように構成している請求項9又は10記載の光照射装置。
【請求項14】
複数の光ファイバからなる光ファイバ束を介して導入された光を照射対象部位に照射するものであって、筐体に、前記光ファイバ束を一本一本ばらしてなる前記各光ファイバの光射出端部を複数離散配置した状態で保持するファイバ保持部を設け、前記各光ファイバそれぞれに対応して一つずつ設けられた凸レンズを前記各光ファイバの光射出端に近接又は密接させて保持するようにしたものであり、
前記筐体が、前記照射対象部位を観察するための観察孔を有してなり、前記ファイバ保持孔を前記観察孔の開口周縁部の周方向に沿って複数設けられ、光ファイバを挿通させて保持するファイバ保持孔であり、
前記凸レンズを前記各光ファイバの光射出端に近接又は密接させて保持するレンズ保持孔を設け、当該レンズ保持孔が、前記ファイバ保持孔と対応させて設けられ、前記凸レンズを収容して保持するものであり、
前記ファイバ保持孔が、前記レンズ保持孔と等断面形状を有する柱状部材に貫通させてなるものであり、前記柱状部材を、凸レンズを挿入した前記レンズ保持孔の反照射部位側に嵌合させていることを特徴とする光照射装置。
【請求項15】
前記ファイバ保持部が、前記各光ファイバの光射出端部をリング状に複数離散配置した状態で保持するものである請求項14記載の光照射装置。
【請求項16】
光ファイバの光射出端部における軸線と対応する凸レンズの光軸とを一致させ、それら軸線及び凸レンズの光軸が前記照射対象部位を向くように構成している請求項14又は15記載の光照射装置。
【請求項17】
光ファイバの光射出端部における軸線と対応する凸レンズの光軸とをずらし、光射出端部から出た光の光軸が凸レンズによって曲げられて前記照射対象部位を向くように構成している請求項14又は15記載の光照射装置。
【請求項18】
各光射出端から凸レンズを介して出た光がそれぞれ互いに略平行な平行光となるように構成するとともに、前記凸レンズと照射対象部位との間に位置する単一の第2レンズをさらに設け、この第2レンズによって前記各凸レンズから出た照射光を屈折させ前記照射対象部位に集めるように構成している請求項14又は15記載の光照射装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、製品の外観や傷等の検査等を行うために照射対象部位に光を照射する光照射装置等に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、特開平5-248820号公報に示されているように、ハロゲンランプ等の光源装置から複数の光ファイバを束ねた光ファイバ束を介して光照射装置に光を導き、この光照射装置からワークに光を照射して照明するようにしたシステムが知られている。かかるシステムによれば、光ファイバを介在させることにより、光源装置の大きさや形状に拘らず、光照射装置の設置自由度向上やコンパクト化等を図ることができる。
【0003】
そしてこの種の光照射装置においては、例えば同公報にも示されているように、光ファイバの光射出端部をリング状のファイバ保持部材に周回するように保持させ、当該ファイバ保持部材の中央下方に設置したワークに、各光ファイバの光射出端から光を直接照射して、当該ワークを周囲から照明するようにしたものが知られている。
【0004】
また、光射出端からの光をワークに直接照射する前記構成では、各光射出端において外に逃げる光が生じるため、特開平5-199442号に示すように、リング状をなすリングレンズを光射出端の下方に配し、このリングレンズによって光が外に逃げないように屈折させて集光効率の向上を図ったものも開発されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで近時、検査すべきワークとして半導体チップやその半導体チップのプリント基板への半田付け部分など、極めて小さな部位に明るい照明を行って精密な検査を必要とする需要が増えてきており、そのために光をより集光させて、より明るい光をより効率的に照射対象部位に照射する必要が生じてきている。
【0006】
しかしながらその観点からみると、従来のこの種の光照射装置では、集光面積や集光効率等の点で不十分である。例えば、前記特開平5-199442号に示される光照射装置では、確かにリングレンズにより光が外部へ逃げることを防止できるものの、ファイバから照射された光のうち、リングレンズのラジアル方向成分に関しては屈折が生じて集光が行われるものの、周方向成分に関してはなんら屈折が生じず集光がなされないため、微小面積への十分な集光を行えない。
【0007】
そこで本発明は、この種の検査用等の照明システムにおいて、光照射装置を集光度、集光効率を従来に比べ格段に向上できる構造とし、集光面積や集光効率の点で近時のワーク検査の要求に十分対応できるものを提供することをその主たる所期の課題とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明に係る光照射装置は、複数の光ファイバからなる光ファイバ束を介して導入された光を照射対象部位に照射するものであって、筐体に、前記光ファイバ束を一本一本ばらしてなる前記各光ファイバの光射出端部を複数離散配置した状態で保持するファイバ保持部を設け、前記各光ファイバそれぞれに対応して一つずつ設けられた凸レンズを前記各光ファイバの光射出端に近接又は密接させて保持するようにしたことを特徴とするものである。
【0009】
このようなものであれば、光ファイバの1本1本に対応してそれぞれ1つずつ凸レンズが取り付けられることになるため、集光面積をより小さくすることが容易に可能となる。また、光ファイバの光射出端に凸レンズを近接又は密接させて配置することも容易に可能であるため、光ファイバから射出された光を漏れなく屈折させ、極めて高効率で照射対象部位に照射することができる。その結果、半導体チップやその半導体チップのプリント基板への半田付け部分など、小さな部位であって精密な検査を必要とする需要に無理なく対応することができる。
【0010】
ここで凸レンズは各光ファイバに対応して機能的に一つ一つが分離して対応していればよく、必ずしも物理的にひとつひとつ分離している必要はない。例えば凸レンズ同士をその周縁部において薄板等で接続し、物理的には複数の凸レンズが一体に形成されているようなものでも構わない。
【0011】
前記ファイバ保持部が、前記各光ファイバの光射出端部をリング状に複数離散配置した状態で保持するものであることが好ましい。少ない部品点数で集光させるための好適な実施態様としては、光ファイバの光射出端部における軸線と対応する凸レンズの光軸とを一致させ、それら軸線及び凸レンズの光軸が前記照射対象部位を向くように構成しているものが好ましい。
【0012】
一方、製造の自由度等に寄与するためには、光ファイバの光射出端部における軸線と対応する凸レンズの光軸とをずらし、光射出端部から出た光の光軸が凸レンズによって曲げられて前記照射対象部位を向くように構成しておくものが好適である。
【0013】
集光をより好適に行うとともに、光照射装置から照射対象部位までの距離や照射対象部位の大きさに応じた焦点距離の調整を容易に行えるようにするためには、各光射出端から凸レンズを介して出た光がそれぞれ互いに略平行な光となるように構成するとともに、前記凸レンズと照射対象部位との間に位置する単一の第2レンズをさらに設け、この第2レンズによって前記各凸レンズから出た照射光を屈折させ前記照射対象部位に集めるように構成しているものが好ましい。このようなものであれば、第2レンズの交換だけで焦点距離を自在に変更できるからである。この第2レンズとしては凸レンズ又はフレネルレンズを挙げることができる。
【0014】
検査等の照明に好ましい具体的実施態様としては、前記筐体が、前記照射対象部位を観察するための観察孔を有してなるものであって、前記ファイバ保持部が前記観察孔の周方向に沿って間欠的又は等間隔で複数設けられ、光ファイバを挿通させて保持するファイバ保持孔であるものを挙げることができる。
【0015】
また具体的実施態様としては、前記凸レンズを前記各光ファイバの光射出端に近接又は密接させて保持するレンズ保持孔を設け、当該レンズ保持孔が前記ファイバ挿通孔と対応させて設けられ、前記凸レンズを収容して保持するものが挙げることができる。このようなレンズ保持孔に好適に保持されるレンズとしては球状をなすいわゆるボールレンズが好ましい。
【0016】
組み立ての簡単化等を図るためには、前記ファイバ保持孔が、前記レンズ保持孔と等断面形状を有する柱状部材に貫通させてなるものであり、前記柱状部材を、凸レンズを挿入した前記レンズ保持孔の反照射部位側に嵌合させてあるものが望ましい。なお柱状部材は製作上の観点からは円柱が好ましいが、四角柱や三角柱等、等断面形状をなすものであればその他の形状でも構わない。ここで、柱状部材の中心軸に沿ってファイバ保持孔を形成すれば、前述したように凸レンズの光軸と光ファイバの軸線とが一致させることができる。一方、中心軸から偏位した部位にファイバ保持孔を設ければ、凸レンズの光軸と光ファイバの軸線とがずれるため、光ファイバからの光射出方向と異なった向きに、凸レンズを介して照射光の光軸を曲げることができる。すなわち、光ファイバの光射出端部における軸線を、必ずしも前記照射対象部位を向くように設定しなくとも、照射光の光軸が照射対象部位を向くようにすることも可能となる。
【0017】
このように、上述した光照射装置によれば、集光度を従来に比べ格段に向上できるといった効果が得られる。
【0018】
上述した光照射装置と、当該光照射装置に光を供給する光源装置とは光ファイバ束により接続することができるが、用途によっては、筐体を共通化しこれら光照射装置と光源装置とを一体的にユニット化した光照射ユニットが使い勝手の点で好ましい場合もある。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
<第1実施形態>
この第1実施形態では、光照射装置について、図1に示すような製品検査システムの構成要素として用いられる場合を例にとり説明する。
【0020】
この製品検査システムは、水平2軸方向、すなわちX軸方向及びY軸方向に水平移動可能な可動支持体たるXYステージX1を利用するもので、このXYステージX1に支持された光導通管X2と、その光導通管X2を介して被検査体たるワークXWを撮影するための撮像装置X8と、前記XYステージX1とは別の場所に設置した電源X3と、その電源X3からロボットケーブルX4を介して電力供給されるLED光源装置X5A、X5Bと、被照明物たるワークXWに照射するための光の照射口X6Aa、X6Baを備え前記光導通管X2に取り付けられた光照射装置X6A、X6Bと、前記LED光源装置X5A、X5Bから前記光照射装置X6A、X6Bに光を導くライトガイドたる光ファイバ束X7A、X7Bとを具備する。そして、図示しない搬送装置によって搬送されてくる前記ワークXWの照射対象部位(検査部位)に前記照射口X6Aa、X6Baから射出された照射光をあて、撮像装置X8によってその外観状態を観察し検査するものである。
【0021】
各部を説明する。
【0022】
XYステージX1は、図1に示すように、例えば前記搬送装置や床等に設置された固定体XKによってX軸方向に水平スライド可能に支持されたXステージX11と、このXステージX11によってY軸方向に水平スライド可能に支持されたYステージX12とを備え、このYステージX12を水平2次元方向に自在に位置設定できるように構成したものである。各ステージX11、X12は、例えば図示しないステッピングモータ等の駆動機構を利用して、遠隔操作又は自動にて位置設定可能に駆動するようにしてある。
【0023】
光導通管X2は、同図に示すように、前記XYステージX1、具体的には前記YステージX12にブラケットXBを介して固定され鉛直に起立する円筒状をなすものである。この光導通管X2の内部には、図示しないハーフミラーやレンズなどの光学部品を収容してある。そして、前記光導通管X2の中心軸線がワークWの照射対象部位に向くように、XYステージX1を駆動してこの光導通管X2を移動させるように構成している。
【0024】
撮像装置X8は、例えばCCDカメラであり、前記光導通管X2の上端部に、その撮像面が下方を向くように固定してある。
【0025】
電源X3は、LED光源装置X5A、X5Bに電力供給するための直流タイプのもので、XYステージX1から離間した所定場所に配置してある。この電源X3から延出するロボットケーブルX4は、蛇腹上のケーブルベアX41を挿通して、LED光源装置X5A、X5Bに導かれる。このケーブルベアX41は、図1では、XステージX11に一端を取り付けられ、他端をYステージX12に取り付けられたもので、XステージX11に対するYステージX12の動きにより、ケーブルX4が捩れたり縺れたりするのを防止する役割を果たす。もちろん、固定体XKとXステージX11と間にさらにもう一つケーブルベアを設けても構わない。
【0026】
LED光源装置X5A、X5Bは、本実施形態では例えば2種類を設けている。そのうちの一方X5Aは、1つのパワーLEDX52をケーシングX53内に内蔵してなるものであり、他方は、色の異なる複数(R、G、Bの3つ)のパワーLEDX52をケーシングX53内に内蔵してなるものである。
【0027】
より具体的に説明すると、一方のLED光源装置X5Aは、図2に示すように、基板X51上に配設したLEDX52及びこのLEDX52から発される光を所定の集光部X54aに集光するレンズ機構X54を内蔵してなるケーシングX53と、光ファイバ束X7Aの光導入端部に取り付けられた光入力コネクタX71を接続されるとともに、前記集光部X54aにその光ファイバ束X7Aの光導入端面を位置させる光出力コネクタX55とを具備するものである。
【0028】
ケーシングX53は、外壁を有する金属性内部中空のもので、前記外壁にはフィンXFinが一体に設けられてLEDX52の発熱に対する放熱作用を営むように構成している。
【0029】
LEDX52は表面発光タイプのベアチップであり、このLEDX52を支持する基板X51には電気ケーブルX4が接続されてケーシングX53の側板X531から延出させてある。なお、この側板X531は基板X51及びLEDX52ごと取り外して交換可能に構成してある。
【0030】
レンズ機構X54は対をなすレンズX541、X542を直列に配置してなるもので、LEDX52と光出力コネクタX55との間に介在させてある。そして、LEDX52側に配置した光源用第1レンズX541によりLEDX52から出た光を略平行にし、光源用第2レンズX542でその光を集光する。本実施形態において第1のレンズX541は、光の進む方向に向かって外拡がり形状となるほぼコーン型円錐状のものであり、光導入端側にLEDX52の照射部が円錐面よりも内方に入り込む凹部X541aを形成してなる。そしてLEDX52から射出される光のうち所定角度内のものについては、その内部に設けた屈折平行化部によってこれを屈折させレンズ光軸と略平行にするとともに、前記所定角度よりも外側に拡がる光については、内側面に設けた反射平行化部でレンズ光軸と略平行にし、LEDX52から射出される光をほとんど漏れなく前記レンズ光軸方向に進む略平行な光とするようにしている。光源用第2レンズX542は、前記光源用第1レンズX541とレンズ光軸を一致させて対向配置した凸レンズであり、光源用第1レンズX541を通過した略平行な光を前記集光部X54aに集光するように構成している。
【0031】
光出力コネクタX55は、ケーシングX53の反LED側に取り付けたもので、光ファイバ束X7Aの端部に取り付けた光入力コネクタX71を嵌合させて保持するコネクタ孔X551を有するものである。この光出力コネクタX55に接続された光入力コネクタX71は、前記集光部X54aに光ファイバ束X7Aの光導入端を位置させる。なおこの光ファイバ束X7Aの光導入端面は、当該光ファイバ束X7Aを構成する各光ファイバX7aの端部を熱溶融により一体化し鏡面状をなすようにしたもので、前記光源用第2レンズ542により集光された光の径は、前記光導入端面と略一致して各光ファイバX7aに略均等に光が導入されるように構成してある。
【0032】
他方のLED光源装置X5Bは、図3、図4に示すように、前記LEDX52を3つ並列に配設してなるものであり、それに応じて基板X51、レンズ機構X54も3つ有している。各LEDX52の色は同一でもよいが、本実施形態ではR、G、B等の異なる色に設定している。光出力コネクタX55は、前記一方の光源装置X5Aのものと共通する形状をなし、1つのみが設けられている。各レンズ機構X54の集光部X54aには、内部光ファイバ束56の一端部が密に束ねられてそれぞれ取り付けられており、それら内部光ファイバ束56の他端部は一体にかつランダムに密に束ねて、この光出力コネクタX55に取り付けてある。しかして、特にこの光源装置X5Bの光出力コネクタX55においては、内部に光接続機構XCNを設け、この光接続機構XCNにおいて、内部光ファイバ束56から射出された光を均一に混合し、外部光ファイバ束X7Bを構成する各光ファイバに効率的に無駄なく色むらのない均一な光を導入できるように構成している。
【0033】
具体的にこの光接続機構XCNは、円柱状のガラス部材XGLの端面を除く外周に鏡面コーティングを施し、コネクタ孔X54aに嵌め込んでなるものである。ガラス部材は、各光ファイバ束X56、X7Bと略同径をなし、その軸心を当該光ファイバ束X56、X7Bと一致させるとともに、その各端面を各光ファイバ束X56、X7Bの端面と密接するように配置してある。そしてこのことにより、ガラス部材XGLが光を導通するとともに混合する光導通路としての役割を担い、その外周の鏡面コーティング部XCTが前記ガラス部材XGLを進む光を内方へ反射して逃がさない反射屈折部としての役割を担うようにしてある。このように3つに限られず複数のLEDを有して、なおかつ各LEDに色の違いがあるような光源装置X5Bにおいて光を均一に混合する際に特に有効なものとなる。もちろん、光接続機構XCNはその他に、例えばコネクタ孔の内周面を鏡面処理し、光ファイバ束56の他端と光入力コネクタの入力端との間に前記鏡面によって完全に囲まれるような空間が存在するようにしてもよいし、コアとクラッドの2層からなるクラッドロッド型ガラス部材を用いても同様の作用効果を奏し得る。なお、このLED光源装置X5Bにおいても、各基板X51及びLEDX52ごと単独で引き抜いて取り外し、交換可能に構成してある。
【0034】
これら各LED光源装置X5A、X5Bからは、外装チューブで覆われたフレキシブルなライトガイドたる光ファイバ束X7A、X7Bが延出し、外部を通って装置本体2に装着した光照射装置X6A、X6Bに接続してある。この光ファイバ束X7A、X7Bは30cm〜40cm程度の極めて短いもので、その基端には、前記光出力コネクタX55に嵌合する光入力コネクタX71が取り付けてある一方、先端には前記光照射装置X6A、X6Bがそれぞれ取り付けてある。なお、図9は光ファイバX7aを密に束ねてなる光ファイバ束X7A(7B)の一例を示している。同図中(a)よりも(b)の方が線径が小さい。
【0035】
光照射装置X6Aは、前記LED光源装置X5Aから光ファイバ束X7Aを介して光を供給され、その光を前記照射対象部位に周囲から当てて照明するためのもので、その外径が10mm〜30mm程度の超小型のものである。この光照射装置X6Aは、前記光導通管X2の照射対象部位側端部、すなわち下端部に装着してあって、図6〜図8に示すように、前記照射対象部位XWを観察するための観察孔X6Hを有してなる円筒状の筐体X6A1と、光ファイバ束X7Aの一端を保持するファイバ束保持部X6A2と、前記筐体X6A1を外側方からカバーするカバー体X6A3とを備えてなる。
【0036】
詳述すると、筐体X6A1は、円筒状をなしその内周を前記観察孔X6Hとしている筐体本体X6A11と、この筐体本体X6A11に外嵌して前記観察孔X6Hの開口周縁部、すなわち照射対象部位側の端部から外側方に鍔状に突出するリング状のヘッド部X6A12とを備えたものである。
【0037】
このヘッド部X6A12の鍔状部分には、中心軸線XLが前記照射対象部位XWの中心点を通るように、前記観察孔X6Hの軸線とは所定の角度をなして設定された複数の貫通孔XHLが円周方向に沿って等間隔で複数設けてある。
【0038】
前記貫通孔XHLは、図8に拡大して示すように、その内径が凸レンズたるボールレンズX9の外径と同一又は略同一のものであり、照射部位W側の一端部のみが若干小径に構成してあって、ボールレンズX9を他端側から隙間なく嵌め入れて前記一端側に抜けないように保持する前記レンズ保持孔としての役割を担う。なお、各貫通孔XHLの照射対象部位側開口が光の照射口X6Aaである。しかしてこの貫通孔XHLの他端部には、その内径と同径又は略同径をなす円柱部材XBが、ボールレンズX9の上方への抜け止めも兼ねて圧入等により嵌め入れてある。この円柱部材XBは例えばポリアセタール等の樹脂成形品であり、その中心軸に沿ってファイバ保持孔XB1を貫通させ、そのファイバ保持孔XB1に光ファイバX7aを挿通させて保持させている。
【0039】
かかるファイバ保持孔XB1は、その照射部位XW側の一端から例えば円錐状に座繰り形成してなる大径部XB11と、内径を光ファイバX7aの外径と同一又は略同一に設定してなる小径部XB12とからなるもので、他端部から一端部に向かって挿通させた光ファイバX7aの光照射端部をホットプレート等を用いて溶融させ、その溶融部X7a1を前記大径部XB11に隙間なく嵌合させてある。本実施形態においては溶融部X7a1の先端面を円柱部材XBにおける照射部位XW側の一端面と面一になるようにするとともに、溶融部X7a1の先端面が前記ボールレンズX9と接するように構成している。
【0040】
すなわちこのような構成により、各光ファイバX7aの光射出端それぞれにボールレンズX9を一つ一つ密接させるとともに、各光ファイバX7aの光射出端部における軸線XL及びボールレンズX9の光軸が一致して前記照射対象部位XWを向くように設定することにより、照射対象部位XWを周囲から照明するようにしている。
【0041】
ファイバ束保持部X6A2は、筐体X6A1の外側方に突出させて取り付けられたもので、前述したように、光ファイバ束X7Aの一端部を保持する。しかして各光ファイバX7aは、このファイバ束保持部X6A2までは束としての形態を保ち、ここからは1本1本にばらけて、前記各ファイバ保持部XB1にそれぞれの光射出端部を保持される。なお、光ファイバ束X7Aの他端部にはコネクタX71が取り付けてあって、前記LED光源装置X5Aから発せられた照射光を導入できるように構成してある。
【0042】
カバー体X6A3は、円筒状をなすもので、前記筐体X6A1の下端部外周面との間に空間XSを形成するようにして当該筐体X6A1に取り付けられている。そしてその空間XS内に前記各光ファイバX7aを収容し保護する。
【0043】
一方、他方の光照射装置X6Bは、図5に示すように、他方のLED光源装置X5Bから延びる光ファイバ束X7Bの先端を密に束ねて保持する細長い円筒状をなすもので、その密に集合させた先端面から、この光照射装置X6Bの先端に形成した円形状の照射口X6Baを介して、光が射出されるようにしてある。この光照射装置X6Bは、図1に示すように、その照射口X6Baを前記光導通管X21の軸方向に直交する方向に向けた姿勢で、当該光導通管X21の上端部に取着してある。そして、照射口X6Baから出た光は、光導通管X21内部に設けたハーフミラー等の光学部材を介して反射、屈折し、光導通管X21の軸方向に沿って下方に進み、筐体X6A1の下端開口から射出されて照射対象部位XWを上方から照明するように構成されている。
【0044】
このように構成した本システムは以下のように動作する。
【0045】
まず搬送装置により、プリント基板等のワークが搬送されてくると、例えばワークのアラインメントマークを撮像装置X8から取り込んで、図示しない画像認識部で認識させ、そのアラインメントマークの位置情報を算出する。そして、その位置情報からワークの照射対象部位Wの直上に光導通管X21を位置させるべく、XYステージX1を自動制御する。この結果、前記光照射装置X6A、X6Bから照射された光により、照射対象部位Wが周囲及び直上から照明され、撮像装置X8により照射対象部位Wの画像が得られる。なお、このようにしてXYステージX1の位置制御を行うことにより、逆にワークの位置情報が得られる。この位置情報をその後の工程に利用してよく、本装置は、ワークの位置測定装置として利用することもできる。またその他にバーコード読み取り等にも利用できる。
【0046】
したがって本実施形態に係る光照射装置X6Aによれば、光ファイバX7aの1本1本から射出される光が、各光ファイバX7aに対応してそれぞれ1つずつ設けられたボールレンズX9により指向性が強くなるように屈折されることとなるため、照射対象部位XWにおける集光面積をより小さくすることが容易に可能となる。また、光ファイバX7aの光射出端にボールレンズX9を密接させて配置しているため、各光ファイバX7aから射出された光はほとんど漏れなく屈折されて、極めて高効率で照射対象部位XWに照射することができる。
【0048】
また、本実施形態における光源装置X5A、X5Bによれば、一対の光源用レンズX541、X542を設け、特にLEDX52側のレンズX541において、LEDX52の照射面を収容する凹部X541aを設けたうえで、前記屈折平行化部及び反射平行化部によってLEDX52から射出される光のほとんどを一旦略平行な光としているため、最終的な集光の際に、その集光面積を可及的に小さくすることができる。一方、光ファイバにおいてその光導入端に入射した光は、その入射角度と等しい角度で射出端から射出されるところ、かかる光源装置X5A、X5Bであれば光源用第2レンズ542を適宜設定するだけで、各光ファイバX7aへの光の入射角を一挙に調整できる。したがって特に本実施形態のように各光ファイバ7aにボールレンズ9をそれぞれ対応させている光照射装置X6Aにおいて、1つ1つのレンズ9の調整を行うことなく、集光に好ましい出射角や集光面積となるように調整することが容易にできる。
【0049】
そしてこのような光照射装置X6A、X6B及び光源装置X5A、X5Bを組み合わせて用いることにより、それらの特徴が重畳されて、半導体チップやその半導体チップのプリント基板への半田付け部分など、極めて小さな部位であって精密な検査を必要とする需要に無理なく対応するシステムを構築することができる。
【0050】
一方、システム全体としてみた場合、前記LED光源装置X5A、X5Bの軽量化やコンパクト化が容易に可能なことから、XYステージX1にLED光源装置X5A、X5Bを取り付けているとはいえ、XYステージX1ひいては光照射装置X6A、X6Bの駆動にほとんど影響を与えないようにすることができる。
【0051】
また、光照射装置X6A、X6Bが各ワークの位置に対応すべく頻繁に移動しても、電気ケーブルX4のみが動き、LED光源装置X5A、X5Bと光照射装置X6A、X6Bとの相対位置関係は原則的に変わらないため、光ファイバ束X7A、7Bが変形することがない。そして電気ケーブルX4は光ファイバ7aよりも可撓性や耐久性、価格等において遙かに優れるため、従来のように光ファイバを連れ動かすことによる負荷に比べ、非常に小さな負荷でXYステージX1や光照射装置X6A、X6Bを駆動することができ、しかも耐久性や信頼性にも優れたものとなる。もちろん、光ファイバ束X7A、7Bの動きによる破壊を防止でき、装置の信頼性や寿命等への悪影響をも排除し得る。
【0052】
なお本発明は、上記実施形態に限られず種々の変形が可能である。
【0053】
図10、図11は、照射口X6aが凹球面上に形成されるようにした光照射装置6を示している。照射口X6aは凹球面上に密に配設され、各照射口X6aにはボールレンズX9を介して光ファイバX7aの先端が臨ませてある。この光照射装置X6は、光入力コネクタX71を複数(3つ)有し、それに対応して光ファイバ束X7も複数(3つ)有している。そして前記実施形態とは異なり、それぞれのファイバ束X7を構成する光ファイバX7aが、下段、中段、上段に対応して接続され、カラーハイライト照明のような用い方ができる。中央には前記実施形態同様、上下に貫通する貫通孔が設けてあって、この貫通孔を介してワークXWを検査する。なお、光照射装置X6内で各光ファイバ束X7をランダムに集合させてもよい。
【0054】
図12は、前記実施形態と同様、リングタイプの光照射装置X6を示している。このものは、光照射装置X6の厚みが薄く、例えば顕微鏡等、ワークXWと照射口X6aとの距離が短いものに用いて好適なものである。
【0055】
図13は、レンズX9の光軸と光ファイバX7aの光射出端部における軸線とがずれるように設定することにより、レンズX9を介して照射光の光軸を曲げ、当該光軸が照射対象部位XWを向くようにした光照射装置X6の部分断面図である。このようにすれば光ファイバX7aの光射出端部における軸線を、必ずしも前記照射対象部位XWを向くように設定しなくともよい。具体的には、例えば柱状部材XBの中心軸から偏位した部位にファイバ保持孔XHLを形成すればよい。
【0056】
また、図14に示すように、各レンズX9からの光をさらに集光させるために、中央に開口部X75Aが形成された単一の集光用第2レンズ(図中はフレネルレンズであるが凸レンズ等、どのようなレンズであってもよい)X75を配置して実施することもできる。この場合、前記ボールレンズX9はこの第2レンズX75での集光を考慮すれば、光ファイバーX7aからの光をそれぞれ略平行な光に変換するものが好ましい。
【0057】
さらに、用途によっては、前述した光照射装置の筐体に光源装置を一体的に設けてユニット化しても構わない。その場合光照射装置と光源装置とは光ファイバで接続し、この光ファイバを筐体内に収容しておくことが望ましい。
【0058】
もちろん、光照射装置以外にも変形は考えられる。なお、光源装置の種々の変形例に関しては主に第2実施形態で述べることとする。
【0059】
例えば、前記LED光源装置を前記照射口の近傍に配設することにより光ファイバを短くし軽量化できることから、XYステージに光照射装置を移動可能に支持させても、光照射装置の駆動を無理なく行うことが可能である。このとき、光照射装置は、光ファイバの信頼性や寿命等に問題の無い範囲で、XYステージに対し微動又はゆっくり移動するように構成しておくと良い。
【0060】
また、光ファイバ束に限らず、1本の光ファイバでも構成可能である。LED光源装置に電池を内蔵または付帯させて電源としても良い。このようにすればケーブルレス化が図れる。また、撮像装置やXYステージの駆動機構等、本光照射装置を構成する他の機構から電力をLED光源装置に供給するようにしても良い。
【0061】
さらに、可動支持体はXYステージに限らず、3次元に位置設定可能なものなど、種々のものを用いることができる。
【0062】
複数色(3色)のLEDを用いてフルカラー照明を行う場合、光照射装置6A、6B側で、各色に発光する光ファイバが偏り無く配設されていることが好ましい。
<第2実施形態>
第2実施形態では、主として光源装置側の種々の態様について説明する。なお以下の説明における符号は前記第1実施形態と全く関係がないものとする。
【0063】
図15及び図16に、光源装置が示されている。この光源装置は、ほぼ矩形状(円形でもよい)の基板K上に照射面が前方に向いた状態で取り付けた発光体としてのチップ型の発光ダイオードを構成するベアチップ2の多数、前記各発光ダイオードから照射される照射光を略平行な光にするために発光ダイオードの照射面側に配置された光源用第1レンズとしてのレンズアレイ3、前記レンズアレイ3からの光を集光させて光案内部材としての複数の光ファイバーを束ねた光ファイバー束(ライトガイトとも言う)4の光導入端4Aに導入するための光源用第2レンズとしてのフレネルレンズ5、前記基板Kの裏面を冷却するための冷却手段6を備え、それらがケーシング7内に設けられている。
【0064】
前記基板Kは、ガラエポ基板等で構成され、下側に位置するベース基板1と、これの上方に一体化されたすり鉢状の孔17aが形成された上側基板17の2層から構成されているが、上側基板17の無いベース基板1のみで基板Kを構成してもよい。前記上側基板17のうちのすり鉢状の孔17aを備えた部分をリフレクターと称する。前記リフレクター17aを設けることによって、前記ベアチップ2からの光のうちの左右に拡がる光をリフレクター17aにて反射させて前方側へ案内することができる利点があるが、無くてもよい。
【0065】
前記光源装置は、主として工場や検査室等において製品の検査等の目的で用いられるものに適しているが、他の目的で用いてもよい。又、前記光ファイバー束4を構成する光ファイバーの本数は、複数であれば何本でもよい。又、前記レンズアレイ3は、前記各発光ダイオードのベアチップ2に対応させて配置した同数のレンズ部3Aからなっているが、発光ダイオードのベアチップ2からの光を略平行な光に変換できるものであれば、どのような構成のものであってもよい。図15に示す4Bは、光射出端であり、この光射出端4Bから照射される光を検査対象物に当てて検査を行うことになり、例えば検査対象物を反射した反射光又は検査対象物を透過した透過光を撮像するためのカメラ(図示せず)を設け、前記カメラのシャッターが開いた時点又は開く前に前記発光ダイオードを点灯させ、かつ、該シャッターが閉じてから所定時間経過後に該発光ダイオードを消灯するために該発光ダイオードを点灯制御する点灯制御手段(図示せず)を設けて実施することもできる。図15に示す24は、調光つまみであり、25は、電源にON-OFFするための電源用スイッチである。
【0066】
前記発光ダイオードのベアチップ2は、図16及び図19に示すように、基板Kの上側基板17の外周縁を除いた箇所、つまり多数のすり鉢状の孔17aに対応するベース基板1に所定の順序、つまり上から赤色発光ダイオードのベアチップ2A、緑色発光ダイオードのベアチップ2B、青色発光ダイオードのベアチップ2Cの順序にて横方向にそれぞれ18個を同一ピッチにて直接実装してから、透明性を有する材料(エポキシやシリコーン等のプラスチック、エラストマー、あるいはガラス等)19でベアチップ2を密封保護するのである。ここでは、基板Kを構成する上側基板17の多数のすり鉢状の孔17aに対応するベース基板1にベアチップを実装して発光ダイオードを構成したが、1つの孔を備えたリフレクター付きの発光ダイオードの多数を連結したものであってもよいし、リフレクターのないものであってもよい。又、前記上側基板17の表面をメッキ仕上げしたり、表面に反射層をコーティングする等の処理を行うことによって、反射効率を上げるようにしてもよい。又、チップ型の発光ダイオードを、例えば樹脂やガラエポ等の絶縁物からなるベースの表裏にスルーホール(無いものでもよい)を介して一対の電極(カソードとアノード)を備えさせた表面実装型(Surface Mount Device)のものから構成してもよいし、他の構成のチップ型の発光ダイオードであってもよい。チップ型の発光ダイオードを用いることによって、実装密度を大きくすることができる利点があるが、場合によっては砲弾型の発光ダイオードを用いてもよい。図17に示す26は、ベアチップと電極(図示せず)とを接続するためのワイヤである。
【0067】
前記基板Kを構成する上側基板17の外周縁には、前記発光ダイオードのベアチップ2A,2B,2Cに接続される電流制限用の抵抗18R,18G,18Bが取り付けられている。尚、ここでは、ベース基板1と上側基板17とを一体にして基板Kを構成しているため、基板Kの上側基板17の外周縁に抵抗18R,18G,18Bを取り付けたが、前記上側基板17の無い場合やベース基板1よりも小さな寸法に構成された別体形成のリフレクターを設定した場合、つまりベアチップ2A,2B,2Cを取り付けることができる程度の大きさに別体形成されたリフレクターを設ける場合には、前記ベース基板1の外周縁に直接取り付けることになる。又、前記抵抗18R,18G,18Bの配置は、図19に示す配置以外であってもよい。又、図17に示すようにベアチップの所定個数(図では4個であるが、何個でもよい)に対して1個の抵抗を設けることによって、小型化及び組み付け面において有利になるが、1個のベアチップに対して1個の抵抗を接続する場合であってもよい。
【0068】
図15及び図16に示すように、前記光ファイバー束4の導入端4A側部分を挿入可能な円筒状部材20をケーシング7の前面に取り付け、前記円筒状部材20に光ファイバー束4の導入端4A部分を挿入した状態で固定するためのねじ23を該円筒状部材20に備えさせている。
【0069】
又、前記円筒状部材20は、図20(a)に示すものの他、図21(b),(c)に示すように内径の異なるものから構成し、それら3種類の円筒状部材20,21,22を付け替えることによって、異なる外径寸法を有する前記光ファイバー束4を装着することができるようにしている。図20(a),(b),(c)では、3種類の円筒状部材20,21,22を備えさせることにより、3つの異なる外径寸法を有する光ファイバー束4をケーシング7に装着可能とする装着手段を構成したが、内径が変更可能に構成された1種類の円筒状部材から装着手段を構成してもよいし、他の構成であってもよい。又、外径寸法が異なる光ファイバー束4の2つ又は4つ以上を装着可能として実施することもできる。
【0070】
図21に示すように、前記光ファイバー束4の導入端4A側部分を挿入可能で、かつ、前記ケーシング7に対してビスにより着脱自在なアダプタを設けて実施することによって、内径の大きさが異なる複数種類のアダプタを用意しておくだけで、外径寸法が異なる光ファイバー束4に対応して付け替えることができる。具体的には、前記光ファイバー束4の導入端4A側部分を挿入する円筒部27と、この円筒部27の中間部に前記ケーシング7の螺子孔(図示せず)にねじ込んだり緩めることにより円筒部27をケーシング7に固定及び固定解除するための4つのねじ(ビス)挿通孔を備えた矩形状のフランジ部28とからアダプタを構成している。又、図21に示すように、光ファイバー束4の導入端4Aには、長手方向ほぼ中央箇所に周溝29Aが形成され、かつ、前記円筒部27に内挿される円筒状の内挿部29と、ライトガイド保持部30とが端部側から順に外嵌固定されており、前記アダプタを構成する円筒部27内に内方側にコイルスプリングにて突出付勢された状態で配置した1つのボール(図示せず)に前記周溝29Aがそれぞれ係合することにより円筒部27に対して内挿部29を位置決めすることができるようにしている。図に示す27Aは、前記ねじ23が螺合する螺子孔であり、このねじ23を螺合させることによって、前記内挿部29を円筒部27に確実に固定することができるようにしている。
【0071】
前記冷却手段6は、図15及び図16に示すように、前記基板Kの表裏両面のうちの発光ダイオードのベアチップ2が取り付けられた側とは反対側の裏面に放熱性絶縁ゴムシート(放熱グリース等でもよい)8を介して配置された冷却プレート(無くてもよい)9と、性質の異なる2つの半導体素子に電流を流すことにより熱が移動して温度差が生じるというペルチェ効果を利用して基板Kを冷やすためのペルチェ素子10と、前記ペルチェ素子10に発生した熱を伝達して放出するための放熱フィン11と、前記放熱フィン11に冷却風を当てて熱放出を促進させるための放熱ファン12とから構成している。従って、放熱性絶縁ゴムシート8、冷却プレート9を介して伝達される熱をペルチェ素子10にて冷やし、ペルチェ素子10の冷却プレート9とは反対側に発生する熱を、放熱フィン11に伝達して放出させると共に放熱ファン12にて放熱フィン11の熱の放出を促進させるようにしている。
【0072】
前記冷却手段6を、前記のようにペルチェ素子10、放熱フィン11、放熱ファン12から構成することによって、効率よく冷却することができる利点があるが、発光ダイオード2の個数等によってはペルチェ素子10のみ設けて実施してもよいし、放熱フィン11と放熱ファン12のみ設けて実施することもできる。
【0073】
図18に示すように、前記基板Kの温度を検出する温度センサからなる温度検出手段13と、前記基板Kの温度を所望の目標温度として設定するための温度設定手段14と、前記温度設定手段14により設定された目標温度に基板Kの検出温度が一致する又はほぼ一致するようにペルチェ素子10の電流を制御するペルチェ素子電流制御部15を駆動制御するための制御装置としての温度制御手段16とを設けて、基板Kの温度を常に設定された目標温度になるようにしている。
【0074】
前記フレネルレンズ5は、前記基板K(図15参照)と同一形状で、かつ、ほぼ同一の大きさを有する外形がほぼ正方形に切断処理されたものであるが、円形のままのフレネルレンズを用いてもよい。又、前記フレネルレンズ5を用いることによって、小型軽量化は勿論のこと、通常の凸レンズ(複合レンズも含む)を用いた場合に比べて、発光ダイオード2をフレネルレンズ5に近づけることができ、その分光ファイバー束4の光導入端4Aへの光の取り込み効率を高めることができるが、通常の凸レンズを用いてもよい。尚、図17では、フレネルレンズ5とレンズアレイ3との間にある程度の隙間を空けた状態を示しているが、隙間がほとんどない接近させた状態であってもよいし、場合によっては接触する状態であってもよい。前記隙間が大きいほど発光ダイオード2からの熱が伝達され難く、変形等の問題に対して有効である。
【0075】
図19に示すように、前記基板Kに対して、上から赤色発光ダイオードのベアチップ2A、緑色発光ダイオードのベアチップ2B、青色発光ダイオードのベアチップ2Cの順に横方向にそれぞれ18個を同一ピッチにて基板Kに取り付けることによって、バランスのよい白色光を得ることができる利点があるが、他の配列であってもよい。又、前記3種類以外の複数種類の発光ダイオードのベアチップから構成する他、同一色の単色の発光ダイオードのベアチップから構成してもよい。
【0076】
前記発光ダイオードのベアチップのON時間(パルス幅)を制御することにより出力(電圧、電流、電力等)を安定化するためのPWM制御回路を設けて実施することによって、全部の発光ダイオード2からの光量を一定にすることができる等の光量制御を行うことができる。
【0077】
前述のように、発光ダイオード2の照射側に前記基板Kを兼用構成する上側基板17にすり鉢状の孔17aを設けることによって、取り込むことのできなかった光をも取り込んで光量を増大させることができる利点がある。
【0078】
前記光源装置を、図22〜図24に示すように持ち運びに便利な小型(ハンディ型)の光源装置であってもよい。図22(a),(b)について説明すれば、先端(前端)に光ファイバー束31を挿入してねじ32により固定保持可能な円筒状の保持部33の後端を内嵌支持するための円筒状の先端部34と、この先端部34の後端から後方に向けて後端側ほど外拡がり形状となる前側円錐部35と、この前側円錐部35の後端から後方にかけて延出された後側円筒部36からなるケーシング本体37と、このケーシング本体37の後端開口を閉塞するための蓋体38とからケーシング39を構成している。そして、前記ケーシング39を構成する蓋体38を金属製の放熱フィンから構成し、その放熱フィン38の内面に熱伝導性の材40を固定し、その材40の表面に多数の砲弾型の3原色の発光ダイオード、つまり4個の赤色発光ダイオード41、4個の緑色発光ダイオード42、4個の青色発光ダイオード43が取り付けられた基板44を接触した状態で固定している。前記材40としては、熱伝導性を向上させる為の適当な充填材(例えば熱伝導性のよいセラミック粒子等)を充填したシリコーンエラストマーシート等の固形物の他、ゲル状に構成された半固形のものやグリス等の液状のものを用いることができる。
【0079】
又、前記発光ダイオード41,42,43の前方にそれら各発光ダイオードに対応させて配置した同数のレンズ部45Aからなるレンズアレイ(発光ダイオードからの光を略平行な光にするための光源用第1レンズ)45を配置すると共に、前記レンズアレイ45の前方に、レンズアレイ45からの光を集光させて前記光ファイバー束31の光導入端31Aに導入するための光源用第2レンズとしてのフレネルレンズ46を配置している。そして、前記発光ダイオード41,42,43へ電力を供給する電源コード47の一端を基板44の電極(図示せず)に接続し、かつ、他端を前記放熱フィン38に形成の孔38Aを通して外部に出し、外部の電源に接続可能に構成している。
【0080】
このように構成された光源装置は、電源を備えていないことから、光源装置全体を小型で軽量なものに構成することができ、しかも前述した長い光ファイバー束(ライトガイド)4が不要になり、長い光ファイバー束4を引き回してワークに対して光を照射する場合において、光ファイバー束4の折れ等の損傷を阻止することができる利点がある。図22(a)では、前記光ファイバー束31の先端を前記保持部33の先端と同一に設定しているが、保持部33の先端よりも少し長く設定したり、少し短く設定して実施することもできる。又、ねじ32により光ファイバー束31を固定及び固定解除自在に構成していることから、長さの異なる光ファイバー束31に付け替えて使用することもできる。又、前記保持部33の長さは、図に示されるものに限定されるものではない。又、前記4個の赤色発光ダイオード41、4個の緑色発光ダイオード42、4個の青色発光ダイオード43の合計12個の発光ダイオード41,42,43を2つの同心円S1,S2上に配置すると共に、各同心円S1又はS2上の円上において円周方向で隣り合う発光ダイオードが異なる色の発光ダイオードとなるように配置することによって、一箇所に同一色の発光ダイオードが配置されることがなく、分散させることができるようにしている。ここでは、直径の小さい側の一方の同心円S1に4個の発光ダイオードを配置し、直径の大きな側の他方の同心円S2に8個の発光ダイオードを配置しているが、これら個数に限定されるものではない。尚、図において、発光ダイオード41,42,43の配置を一目で分かり易くするために発光ダイオードの表面にR,G,Bの頭文字を付している。
【0081】
図23(a),(b)では、図22(a),(b)で示した小型の光源装置の発光ダイオード41,42,43の数(12個)を24個に増大させたものを示しており、基本的構成は、図23a),(b)のものと同一であるため、同一の符号を付すと共に説明を省略する。尚、図において発光ダイオード41,42,43の配置を4つの同心円S1,S2,S3,S4上に各円上において円周方向で隣り合う発光ダイオードが異なる色の発光ダイオードになるように配置している。具体的には、直径の最も小さな同心円S1に4個の発光ダイオードを配置し、次に大きな直径を有する同心円S2に8個の発光ダイオードを配置し、次に大きな直径を有する同心円S3に4個の発光ダイオードを配置し、次に大きな直径を有する同心円S4に8個の発光ダイオードを配置しているが、同色の発光ダイオードが一箇所に集中することなく、分散して配置することができるものであれば、図の配置に限定されるものではない。
【0082】
前記小型(ハンディ型)の光源装置を、図24(a),(b)に示すように構成してもよい。これは、前記光ファイバー束31を保持する保持部48、この保持部48の後端から外面が後端側ほど外方側に広がる階段状に形成された円筒状部49からなる前側ケース部50と、この前側ケース部50に対して外嵌固定される前方開放型の底部51Aを有し、かつ、放熱フィン(無くてもよい)を側面に有する筒状の後側ケース部51とからケーシング52を構成している。前記後側ケース部51の底部51Aの内面に単一(1個)の発光ダイオード53が取り付けられた基板54をボルト55により固定している。前記発光ダイオード53の前方には、発光ダイオード53からの光を略平行な光にするための光源用第1レンズとしての外形がほぼコーン型(ほぼラッパ型)で透明な集光部材56が配置され、この集光部材56の後端面には、前記発光ダイオード53の照射部53Aが入り込む凹部56Aが形成されている。そして、前記集光部材56の前端が前記後側ケース部51の内部に固定された位置決め用の固定部材57と前記照射部53Aの間に挟まれた状態で保持されている。又、前記集光部材56の前方には、集光部材56からの光を集光させて前記光ファイバー束31の光導入端31Aに導入するための光源用第2レンズとしての凸レンズ(フレネルレンズでもよい)58が配置されている。従って、発光ダイオード53からの光のうち、発光ダイオード53の光軸に対して大きな角度にて発する光を集光部材56の外周面に備えた光反射層56Bにて反射させて凸レンズ58へ入射させるようにしている。図に示す59は、電源コードであり、それの端部に電源に接続及び接続解除自在なソケット59Aを備えさせている。
【0083】
図22〜図24に示した光源装置内に、図示していない排出ファンを設けることにより、内部の熱気を外部に排出して冷却効率を高めるようにしてもよい。又、図22〜図24では、光案内部材として光ファイバー束31を用いたが、クリスタルガラス等でなる円柱状の単一のものから構成してもよい。この場合、光射出端(先端)側ほど先細り形状にして光を集光させることにより強い光を照射できるようにしてもよい。
【0084】
図24(a),(b)で示した小型の光源装置を、図25(a),(b)に示すように構成して実施することもできる。図24(a),(b)で示した光源装置の保持部48を差し込むことにより光の受け渡しが可能な状態に接続可能な光ファイバー束31Bをそれの上端部分がバンド等により束ねられた状態でカバー部材60内に収納すると共に、前記光ファイバー束31Aの先端をカバー部材60の下端に円形状(リング状)に隣り合う該光ファイバー束同士が隙間のない密接した状態で1列(2列以上でもよい)で配置している。従って、例えば前述した長い光ファイバー束(ライトガイド)4の先端に前記カバー部材60を装着し、前述のように長い光ファイバー束4を引き回してワークに対して光を照射する場合において、光ファイバー束4の折れ等の損傷が発生してしまう等のトラブルがなく、長期間に渡って良好に使用することができる利点がある。図に示すカバー部材60には、貫通孔60Aが形成されており、この貫通孔60Aに撮像手段であるカメラのレンズ等を挿入し、延出部31Aからワークに照射して反射した光をカメラ等により撮像し、それを画像処理するようにしてもよいし、貫通孔60Aから目視により反射光を確認することもできる。図25(a)に示す60Bは、前記カバー部材60の上端に前記保持部48を内嵌支持するためのボス部であり、そのボス部60Bには、内嵌された(差し込まれた)保持部48を固定するためのねじ61を備えている。又、前記光ファイバー束31Aの先端を円形状に配置する他、矩形状又は楕円状あるいは多角形に配置して、光ファイバー束31Aの先端から照射される環状の光の形状をどのような形状に構成してもよい。尚、図に示す他説明しなかった構成は、前述した構成と同一であり、同一符号を付している。
【0085】
前記光ファイバー束4又は31を、多数の光ファイバーを捻って撚り線のように構成することによって、特に3種類の光(赤色、緑色、青色)を光ファイバー束4又は31を通して照射した場合に、バランスのよい(均一な)白色にすることが可能になり、白色光を使用する場合に有利になる。
【0086】
又、図25で示した光源装置を、図26に示すように前記カバー部材60内に収納できる形態で実施することによって、光源装置の小型化を図ることができる。尚、図26に示す光ファイバー束31Bは、光源装置の光ファイバー束31を延出したものである。又、図26に示すカバー部材60は、実際には上下分割型又は水平分割型あるいは光源装置をカバー部材60の内部に挿入できるように一側の壁のみ取り外し自在に構成して実施することになる。又、前記ケーシング52を省略し、光源装置を構成する構成部材のみ、つまり、レンズ58、集光部材56、発光ダイオード53、光ファイバー束31のみを前記カバー部材60に収納して構成することによって、更に光源装置の小型化を図ることができる。
【0087】
又、図15で示した光源装置を、図27及び図28に示すように構成してもよい。図27及び図28では、図24で示した基板54に一体化された発光ダイオード53の多数(図では9個であるが、2個以上であれば何個であってもよい)を設け、それら各発光ダイオード53から照射される照射光を略平行な光にするためのほぼコーン型(ほぼラッパ型)で透明な前記光源用第1レンズである集光部材56を各発光ダイオード53の照射面側に配置し、この集光部材56からの光を集光させて複数本(一本でもよい)の光ファイバーが束ねられた光ファイバー束(光案内部材)62の光導入端62Aに導入するための前記光源用第2レンズ58である凸レンズ(フレネルレンズでもよい)58を各光源用第1レンズ56の前方に配置し、前記9つの光ファイバー束62の光射出側端部(先端部)を束ねて集合部(発光ダイオードの明るさのバラツキによって光の偏りが発生しないように光ファイバー束をランダムに束ねることからランダム部とも言う)62Sを構成している。図では、前記凸レンズ58からの光を前記光ファイバー束62に更に集光させるための集光部材63を備えさせているが、省略して実施することもできる。又、図27及び図28に示す68は、前記9つの基板69を冷却するために、基板69の裏面に接触させて配置した放熱フィン(図では1個の放熱フィンを示しているが、9分割したものであってもよい)であり、又、図28に示す12は、図15でも示した前記放熱ファンであり、詳細については後述する。又、前記集合部62Sの光射出端(先端)を、第2の光案内部材である光ファイバー束4(図15に示しているものを使用する)を内嵌保持している円筒状部材20のケーシング7側端部に備えた円筒部20に差し込むことにより、円筒状部材20に内嵌保持された光ファイバー束4の光導入端4Aに集合部62Sからの光を受け渡し可能になっている。従って、図15にも示しているように可撓性を有する光ファイバー束4の光射出端4Bを任意の位置に移動させることによって、検査対象物を所定位置に位置した状態であらゆる方向から光を照射することができるようになっている。図27では、9つの基板69に9つの発光ダイオード53をそれぞれ取り付けた場合を示したが、単一(一枚)の基板に9つの発光ダイオード53を取り付けたものであってもよい。又、ここでは、2つのレンズ、つまり光源用第1レンズ56及び光源用第2レンズ58を用いているが、それら2つのレンズを一体化したものを用いてもよい。又、前記光源用第1レンズ56及び光源用第2レンズ58のそれぞれを、一枚の透明体に9つのレンズ部を備えさせた単一のレンズアレイあるいは単一のフレネルレンズから構成して実施することもできる。又、図27に示すものに図18で示したリフレクター17aを用いて実施することもできる。一方、図27において、円筒状部材20の円筒部20Aに、円柱状のガラス部材(図示せず)を内嵌し、光ファイバ集合部62Sの先端と光ファイバ束4の光導入端4A(図15参照)との間にこの円柱状のガラス部材を介在させる構成とすることにより、光ファイバ集合部62Sの先端から出射した光を前記ガラス部材の全反射により、効率的に無駄なくかつ色むらのない均一な光とし、光ファイバ束4の光挿入端4Aに導くことができる。
【0088】
このような構成は、2色以上の異なった色の発光ダイオードからの光を均一に混ぜるのに有効である。
【0089】
図27では、9つの発光ダイオードからの光を光ファイバ集光部62Sに集める構成が示されているが、3つあるいは6つといった任意の個数の発光ダイオードからの光を光ファイバ集合部62Sに集める構成であってもよい。
【0090】
前記円柱状のガラス部材に代えて内側が中空の円筒状ガラス部材又は金属部材の内面を鏡面処理したものや、コアとクラッドの2層からなるクラッドロッド型ガラス部材であってもよい。
【0091】
前記集光部材63について詳述すれば、例えば図29で示すように多段階(図では4段階)に屈折率が異なるように4つの層64A,64B,64C,64Dからなるマルチステップ構造の光ファイバー64の多数本を一体化した状態で熱を加えながら伸ばすことにより、図27で示すように先端側(光射出側)ほど小径となるほぼ円錐型(ほぼ逆ラッパ型又はテーパー型)に構成されたものであり、光の軌跡を内側に変更することで外側に漏れ出そうとする光を可及的になくす効果があるが、一本のガラスロッドから構成してもよいし、又、図30に示すように、先端側ほど小径となるテーパー部分65Aとこのテーパー部分65Aの先端から同径となるストレート部分65Bとからなる屈折率が徐々に連続的に変更されるような光ファイバーであるGI(グレーテッドインデックス)型の光ファイバー65であってもよい(前記ストレート部分65Bが無く前記テーパー部分65Aのみで構成した光ファイバーであってもよい)。又、前記4つの層64A,64B,64C,64Dからなるマルチステップ構造の光ファイバー64のように段階的(断続的)に屈折率が異なるものを用いてもよい。又、前記光ファイバー65は、高屈折率領域であるコア66Aと、コア66Aを取り囲む低屈折率のクラッド66Bからなる二重構造を持っているものであるが、他の構成であってもよい。又、前記集光部材63の先端と前記光ファイバー62の基端とは接着剤または熱溶着等により連結しているが、他の方法で連結してもよい。図27に示す67は、ケーシングであり、前記各種部品を収容する角筒状のケーシング本体67Bと、このケーシング本体67Bの前方の開口を閉じる9つの角板状の前側蓋部67Aとからなっている。又、前記9つのケーシング本体67Bの後方には、それら全ての開口を閉じると共に前記9つの基板69をビスにより固定するための固定部材を兼用構成する単一の放熱フィン68が配置されているが、他の構成であってもよい。又、図27に示すように、前記放熱フィン68の後側に、それに冷却風を当てて熱放出を促進させるための放熱ファン12を設けて、熱による発光ダイオード53の発光効率の低下を回避することや寿命を延ばすことができる等の利点がある。前記放熱フィン68と前記発光ダイオード53取付用の各基板69との間に熱伝導性を向上させる為の適当な充填材(例えば熱伝導性のよいセラミック粒子等)を充填したシリコーンエラストマーシート等の固形物の他、ゲル状に構成された半固形のものやグリス等の液状のものを設けて実施してもよい。図27及び図28で示す他の部材は、図15で示したものと同一であるため、同一の符号を付すと共に説明を省略する。
【0092】
図25(a),(b)で示した光源装置を、図31(a),(b)に示すように構成してもよい。つまり、図24(a),(b)で示した光ファイバー束(一本のガラスロッドで構成してもよい)31を省略し、図25(a)に示すガイド部材60に備えさせた光ファイバー71に凸レンズ58からの光を直接入射するように構成している。詳述すれば、前記ケーシング52を図31(a)では、後側ケース部51と円筒状部49の2つの部材から構成することによって、凸レンズ58からの光を直接、光ファイバー71の入射端面71Aに入射させることができるので、その分光の減衰を回避することができる利点がある。図に示す72は、前記光ファイバー71の光入射側端部をガイド部材60に保持させるための保持部材であり、又、73は、撮像手段としてのカメラのレンズ74をガイド部材60の貫通孔に差し込んだ状態で固定するためのビス73(図では2個あるが何個でもよい)である。前記光ファイバー71の射出端を単数のまま又は複数本束ねた状態で所定間隔を置いて円形(楕円又は三角形あるいは多角形等、どのような形状態でもよい)で環状(リング状)に配置しているが、図25(b)で示したように隙間の無い状態で配置することもできる。
【0093】
図31で示した光源装置の光射出端に、図32に示すように円周上に適当間隔を置いて配置された前記多数の光ファイバー71からの光をそれぞれ略平行な光に変換するための凸レンズ(略平行な光に変換できるものであればフレネルレンズ等であってもよい)70の多数(光ファイバー71と同数)を配置し、これらレンズ71からの光を集光させるために中央に開口部75Aが形成された集光レンズ(フレネルレンズあるいは凸レンズ等、どのようなレンズであってもよい)75を配置して実施することもできる。このように凸レンズ70を配置することによって、凸レンズ58により集光させた光のうち、光ファイバー71の光射出端から拡がろうとする光を、略平行な光にすることで確実に取り込むことができ、その分照射面における単位面積当たりの光量を増大させることができる利点がある。又、前記凸レンズ58を屈折率の異なるレンズに変更することにより、図31において光ファイバー71の射出端から出る射出角度を変更したり、図32において集光レンズ75から照射される光の照射範囲を変更することができる。又、前記集光レンズ75に付け替え自在に構成しておけば、各種の検査に合わせて他の集光レンズに付け替えるだけで、集光距離(光の射出端面から対象ワークまでの距離)Lを変更することができる。図31及び図32で示す他の部材は、図24及び図25で示したものと同一であるため、同一の符号を付すと共に説明を省略する。
【0094】
【発明の効果】
以上に詳述したように、本発明によれば、集光度、集光効率を従来に比べ格段に向上できるとともに、光ファイバを介在させて光照射装置と光源装置とを分離したシステムの特徴を活かしつつ、半導体チップやその半導体チップのプリント基板への半田付け部分など、極めて小さな部位であって精密な検査を必要とする需要に無理なく対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の一実施形態における光照射装置の全体斜視図。
【図2】
同実施形態における一方のLED光源装置の縦断面図及び背面図。
【図3】
同実施形態における他方のLED光源装置の一部破断させた正面図。
【図4】
同実施形態における他方のLED光源装置の一部破断させた側面図。
【図5】
同実施形態における他方の光照射装置の全体図。
【図6】
同実施形態における一方の光照射装置の縦断面図。
【図7】
同実施形態における一方の光照射装置の底面図。
【図8】
同実施形態における一方の光照射装置の部分断面図。
【図9】
同実施形態における光ファイバの密に束ねた状態を示す端面図。
【図10】
同実施形態の変形例における光照射装置の縦断面図。
【図11】
同変形例における光照射装置の底面図。
【図12】
同実施形態のさらに他の変形例における光照射装置の縦断面図。
【図13】
同実施形態のさらに他の変形例における光照射装置の部分縦断面図。
【図14】
同実施形態のさらに他の変形例における光照射装置の部分縦断面図。
【図15】
本発明の第2実施形態における光源装置の概略斜視図。
【図16】
同実施形態における光源装置の内部を示す概略平面図。
【図17】
同実施形態における光源装置の内部の要部を示す断面図。
【図18】
同実施形態における制御ブロック図。
【図19】
同実施形態における発光ダイオードが取り付けられた基板の正面図。
【図20】
同実施形態における3種類の円筒状部材((a),(b),(c))の正面図。
【図21】
同実施形態におけるアダプタの斜視図。
【図22】
同実施形態における小型の光源装置を示し、(a)は内部構造を示す断面図、(b)は(a)におけるI-I線断面図。
【図23】
図22の光源装置を少し大きくした小型の光源装置を示し、(a)は内部構造を示す断面図、(b)は(a)におけるII-II線断面図。
【図24】
同実施形態における変形例にかかる小型の光源装置を示し、(a)は内部構造を示す断面図、(b)はそれの背面図。
【図25】
図24の小型の光源装置の先端にカバー部材を装着したものを示し、(a)はそれの側面図、(b)はそれの要部の底面図。
【図26】
図25で示した光源装置をカバー部材に内装した状態の別の小型の光源装置を示す断面図。
【図27】
同実施形態におけるさらに他の変形例にかかる光源装置の内部の要部の構造を示す断面図。
【図28】
図27で示した光源装置の概略斜視図。
【図29】
同変形例における集光部材の具体的構成を示す正面図。
【図30】
同実施形態のさらに他の変形例における集光部材の具体的構成を示す側面図。
【図31】
図25で示した光源装置に備える光ファイバー束を省略した別の小型の光源装置を示し、(a)はそれの縦断側面図、(b)はそれの底面図。
【図32】
図25で示した光源装置にレンズを装着した状態の別の小型の光源装置を示す縦断側面図。
【符号の説明】
X7a、X7b・・・光ファイバ
X7A、X7B、X7・・・光ファイバ束
XW・・・照射対象部位
X6H・・・観察孔
X6A1・・・筐体
XB1・・・ファイバ保持部(ファイバ保持孔)
X9、70・・・レンズ(ボールレンズ)
XHL・・・レンズ保持部(レンズ保持孔)
XB・・・柱状部材(円柱部材)
X75・・・第2レンズ
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2005-08-30 
出願番号 特願2002-207395(P2002-207395)
審決分類 P 1 652・ 121- YA (G01N)
最終処分 維持  
特許庁審判長 高橋 泰史
特許庁審判官 長井 真一
水垣 親房
登録日 2003-04-25 
登録番号 特許第3423304号(P3423304)
権利者 シーシーエス株式会社
発明の名称 光照射装置及び光照射ユニット  
代理人 西村 竜平  
代理人 西村 竜平  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ