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審決分類 審判 一部申し立て 2項進歩性  G03F
審判 一部申し立て 1項3号刊行物記載  G03F
管理番号 1130809
異議申立番号 異議2003-71215  
総通号数 75 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1993-10-08 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-05-12 
確定日 2005-11-30 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3343140号「スクリーンシステム」の請求項1ないし5、7、8、10に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3343140号の請求項1ないし7に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許第3343140号の請求項1〜10に係る発明についての出願は、平成4年7月27日(出願番号:特願平4-199987号)(パリ条約による優先権主張:2003年7月25日)の出願であって、平成14年8月23日にその発明について特許権の設定登録がされ、その後、その特許について、異議申立人松浦佳子より特許異議の申立てがなされ、取消の理由が通知され、その指定期間内である平成16年7月9日に訂正請求がされたものである。

2.訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容
特許権者が求めている訂正の内容は以下の訂正事項a及びbのとおりである。
訂正事項a.特許請求の範囲の請求項1を
「【請求項1】 スクリーン線数と、夫々異なるスクリーン角度とを有する第1ないし第3の独立したスクリーンを具備し、
これらスクリーン線数のうち少なくとも2つは異なり、
前記第1ないし第3のスクリーンのうち1対のスクリーンの2つの周波数成分の少なくとも1つのベクトル和は、残りのスクリーンの周波数成分の少なくとも1つのベクトルと等しいか、倍数または約数と等しく、
前記第1のスクリーンのスクリーン角度と第2のスクリーンのスクリーン角度とは、30度もしくはその倍数±0.5度異なっており、
前記第2のスクリーンのスクリーン角度と第3のスクリーンのスクリーン角度とは、30度もしくはその倍数±0.5度異なっており、
30度もしくはその倍数オフセットしたスクリーン角度を有し、周波数成分のベクトル長が同じスクリーンを含んでいないことを特徴とする像の印刷再生のためのスクリーンシステム。」と訂正する。

訂正事項b.特許請求の範囲の請求項2を
「【請求項2】 前記第1ないし第3のスクリーンは、マゼンタと、シアンとブラックとを表すことを特徴とする請求項1のスクリーンシステム。」と訂正する。

訂正事項c.特許請求の範囲の請求項3を
「【請求項3】 前記第1ないし第3のスクリーンは、同じ色を表すことを特徴とする請求項1のスクリーンシステム。」と訂正する。

訂正事項d.特許請求の範囲の請求項4を
「【請求項4】 前記第1ないし第3のスクリーンは、3色調を表すことを特徴とする請求項1のスクリーンシステム。」と訂正する。

訂正事項e.特許請求の範囲の請求項5を
「【請求項5】 前記第1ないし第3のスクリーンのスクリーン角度は有理タンジエント角度であることを特徴とする請求項1のスクリーンシステム。」と訂正する。

訂正事項f.特許請求の範囲の請求項6を
「【請求項6】 前記第1ないし第3のスクリーンの少なくとも1つのスクリーン角度は無理タンジエント角度であることを特徴とする請求項1のスクリーンシステム。」と訂正する。

訂正事項g.特許請求の範囲の請求項7を
「【請求項7】 前記スクリーン線数の2つは等しいことを特徴とする請求項1のスクリーンシステム。」と訂正する。

訂正事項h.明細書第段落【0010】を
「 シアン: 75.0度
ブラック: 45.0度
マゼンタ: 15.0度
イエロー: 0.0度
これら角度が正確に使用されると、シアンとマゼンタとブラックのドットの同相対位置は決して繰り辺されなく、前記第1の要求を満足する。そして、約150 l/iのスクリーン線数が使用されたときに、モアレは、“マイクロモアレ”となる。」と訂正する。

(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
上記訂正事項aは、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当し、新規事項の追加に該当せず、また、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものでもない。
また、上記訂正事項bないしgは、特許請求の範囲の請求項2ないし4の削除にともない、番号を繰り上げたもので、実質的な訂正ではない。
また、訂正事項hは、誤記の訂正に該当し、新規事項の追加に該当せず、また、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものでもない。
他に、発明の詳細な説明中に、何カ所か訂正があるが、それらは、不明りょうな記載の釈明、または誤記の訂正に該当し、新規事項の追加に該当せず、また、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものでもない。

(3)むすび
したがって、上記訂正は、特許法第120条の4第3項で準用する平成6年改正前の特許法第126条第1項ただし書き、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.特許異議の申立ての概要
(A)異議申立人は、本件請求項1〜5、7、8、10に係る特許発明は、甲第1号証(特開平2-105678号公報)に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してなされたものであるか、もしくは、甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、本件発明の特許を取り消すべき旨、主張している。

4.特許異議申立についての判断
(1)本件発明
上記2.で示したように上記訂正が認められる。したがって、本件各発明のうち、異議申立がされたものは、上記「2.訂正の適否についての判断 (1)訂正の内容」で示した、請求項1、2、4、5、7に記載された事項により特定されるとおりのもの(以下、例えば、「本件発明1」のようにいう。)である。

(2)引用例(甲第1号証)に記載された発明
(ア)網点データ作成方法について、「CMYK4版の網角度として0°、15°、45°、75°を選択し、0°にはY版を割付け、残りの3つの角度にそれぞれC、M、K版を割付けるものとする。このときY版によるモアレは視覚上認識できず、CMKの3版によるモアレだけを考えればよいことは経験的な事実である。ここで15°と75°は、正確に云えば有理正接による網生成を使用すれば、第4図に示すようなm/n=1/3のとき18.4°と71.6°となる。このように15°と75°は、45°を挟んで対称な関係にある。」(公報第3頁左下欄2〜11行)と記載されている。

(イ)2次モアレの発生しない条件について、「ここにおいて、45°±(30°±Δθ)(ただし15°、75°は名目角度)の2版によって形成される一次モアレは45°丁度に発生し、この一次モアレの周期と3版目45°の網点間隔とが一致することは、2次モアレの発生しない十分条件となる。」(公報第4頁左下欄9〜13行)と記載されている。

(ウ)さらに、2次モアレの発生しない条件について、「そして、二次モアレが発生しない条件は、一次モアレの周期と45°スクリーンの周期とが完全に等しいこと、つまり(13)式と(18)式とが全く等しいことであり、
K=d45 ・・・(19)
となる。このとき
a1=a0/(m0-n0) ・・・(20)
が成り立ち、
a0=(m0-n0)・a1 ・・・(21)
となる。」(公報第5頁左上欄5〜右上欄4行)と記載されている。

(エ)「上記(21)式を元に走査ピッチp=11.25μmとして使用可能なスクリーン線数を計算すると、表1のようになる。*印は、モアレ周期の比較的長い組合せを示し、その他はモアレのでない組合せである。なお、*印の場合もモアレ周期が長いため、実用的には大きな支障とはならない。」(公報第5頁右下欄1〜6行)と記載され、表1に計算例が示されている。

(3)対比・判断
本件発明と上記引用例に記載された発明とを比較検討する。
引用例には、本件発明1の構成要件である「第1のスクリーンのスクリーン角度と第2のスクリーンのスクリーン角度とは、30度もしくはその倍数±0.5度異なっており、
第2のスクリーンのスクリーン角度と第3のスクリーンのスクリーン角度とは、30度もしくはその倍数±0.5度異なっており、
30度もしくはその倍数オフセットしたスクリーン角度を有し、周波数成分のベクトル長が同じスクリーンを含んでいないこと」の構成が記載されておらず、それを示唆する記載もない。そのことにより、本件発明1は、明細書に記載された2次モアレが生じないという、格別の効果を奏するものである。

したがって、本件発明1は、引用例に記載された発明であるとも、引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易になし得た発明であるとすることもできない。

本件発明2、4、5、7は、いずれも、本件発明1を引用するもので、本件発明1の構成を全て含む発明であるから、本件発明1について述べた理由と同様の理由により、本件発明2、4、5、7は、引用例に記載された発明であるとはいえないし、また、引用例に記載された発明に基いて当業者が容易になし得た発明であるともいえない。

5.むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由、及び、その証拠によっては、本件発明についての特許を取り消すことができない。
また、他に本件発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
スクリーンシステム
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】スクリーン線数と、夫々異なるスクリーン角度とを有する第1ないし第3の独立したスクリーンを具備し、
これらスクリーン線数のうち少なくとも2つは異なり、
前記第1ないし第3のスクリーンのうち1対のスクリーンの2つの周波数成分の少なくとも1つのベクトル和は、残りのスクリーンの周波数成分の少なくとも1つのベクトルと等しいか、倍数または約数と等しく、
前記第1のスクリーンのスクリーン角度と第2のスクリーンのスクリーン角度とは、30度もしくはその倍数±0.5度異なっており、
前記第2のスクリーンのスクリーン角度と第3のスクリーンのスクリーン角度とは、30度もしくはその倍数±0.5度異なっており、
30度もしくはその倍数オフセットしたスクリーン角度を直し、周波数成分のベクトル長が同じスクリーンを含んでいないことを特徴とする像の印刷再生のためのスクリーンシステム。
【請求項2】前記第1ないし第3のスクリーンは、マゼンタと、シアンとブラックとを表すことを特徴とする請求項1のスクリーンシステム。
【請求項3】前記第1ないし第3のスクリーンは、同じ色を表すことを特徴とする請求項1のスクリーンシステム。
【請求項4】前記第1ないし第3のスクリーンは、3色調を表すことを特徴とする請求項1のスクリーンシステム。
【請求項5】前記第1ないし第3のスクリーンのスクリーン角度は有理タンジエント角度であることを特徴とする請求項1のスクリーンシステム。
【請求項6】前記第1ないし第3のスクリーンの少なくとも1つのスクリーン角度は無理タンジエント角度であることを特徴とする請求項1のスクリーンシステム。
【請求項7】前記スクリーン線数の2つは等しいことを特徴とする請求項1のスクリーンシステム。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、スクリーン印刷システム、特に2次のモアレの生じないスクリーン印刷システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
オフセット印刷は、紙面の特定の箇所にインクの有無をプリントする二元のプロセスである。写真もしくは他の“コントーン”の再生プロセスとは異なり、色調や色彩の種々の陰影を得ることが制御されていない変調のインク密度により可能である。
【0003】
絵の再生のために必要な、異なる密度の効果を得るために、サイズが変調されるドットのパターンが使用されている。0%のドットサイズはインクが無いのに対応し、100%のドットサイズは濃いインク領域に相当する。ドットサイズを変調することにより密度を得るプロセスはハーフトーン変調と呼ばれている。
【0004】
ドットのパターンは、角度(2つのドットの中心を結ぶ最短線の方向に沿って見た角度)と、スクリーン線数(スクリーン角の方向から見た測定ユニット当たりのドットの中心の数により規定される)と、0%から100%になるのに従うドットの形状(通常は“スポット函数”により制御せされ)とにより決定される。
【0005】
通常のカラー印刷では、シアンと、マゼンタと、黄とブラックとの4色のインクが使用されている。全ての印刷が可能な色は、これら4色のインクのドットパーセントの特別な組み合わせを重ねて印刷することにより得ている。
【0006】
これら4色のインクのドットのパターンの角度並びにスクリーン線数は、以下の2つの状態で選定される。
【0007】
1)レジストレーションエラーに対するカラー再生の感度を低くするために、4色のインクのドット間の相対的位置を(疑似の)ランダムにしなければならない。
【0008】
2)ドット幾何学的パターンは相互に作用し、“モアレ”として知られている新たなパターンが生じることが知られている。カラー印刷でのドットパターンをモアレパターンが生じないように選ぶ必要がある。
【0009】
従来の技術では、上記2つの要求は、同じスクリーン線数を正確に有するシアンとマゼンタとブラックのインクのためのドットのパターンを使用し、かつ互いに30度並びに60度正確に離れた角度を使用することにより達成されている。イエローインクは、他と同じスクリーン線数と、他のインクの1つに対して15度離れた角度とを使用したスクリーンにより、通常は印刷されている。良く使用されている角度の組み合わせは以下の通りである。
【0010】
シアン:75.0度
ブラック:45.0度
マゼンタ:15.0度
イエロー:0.0度
これら角度が正確に使用されると、シアンとマゼンタとブラックのドットの同相対位置は決して繰り辺されなく、前記第1の要求を満足する。そして、約150l/iのスクリーン線数が使用されたときに、モアレは、“マイクロモアレ”となる。
【0011】
デジタルスクリーンシステム;
デジタルフイルム印刷機でハーフトーンのドットのパターンを作る幾つかの方法が知られている。代表的なデジタルフイルム印刷機は高解像度で感光材を露光する走査レーザビームを使用している。代表的には、レーザビームがONもしくはOFFに変調され得る解像度を決定する“グリッド”は1/2400インチの範囲のピッチを有する。デジタル印刷のアルゴリズムは、所望の部分的密度レベルに対応するサイズのハーフトーンドットを作るマイクロドットのクラスターを形成するように印刷グリッドでのマイクロドットをONもしくはOFFに転じなければならない。
【0012】
多くのデジタル印刷アルゴリズムは、コントーン画素値を印刷機のグリットでハーフトーンマイクロドットに変更するスレショールドメカニズムを使用している。スクリーン函数値は“山と谷”の態様として配置される。これら山は高スクリーン函数値と対応し、谷は低スクリーン函数値と対応する。この態様の実際の形状は“スポット函数”により制御される。図1は、これを1次元モデルで示している。
【0013】
印刷のとき、スクリーン函数値は、ハーフトーンにされる像の画素値に対して、印刷グリッド上で、ドット対ドット並びにライン対ラインとして比較される。スクリーン函数値が、印刷グリッド上の位置で画素値よりも高い場合には、レーザビームは“ON”に変調され、フイルムにブラックマイクロドットを作る。スクリーン函数値の配列により、ハーフトーンドットの小さいクラスターは、像の明るい部分でハイルムに生じ、一方大きいマイクロドットのクラスターは原像の暗い部分で見える。この方法で、原像の画素の明るさの情報が、対応するサイズでハーフトーンドットに遷移される。
【0014】
上述したように、スクリーン函数値の配置は、画素の明るさのレベルを減じるためにどの様にドットが小から大になるかを正確に制御する。この配置は、またハーフトーンドットの中心の相対位置(線数並びに角度)を制御する。最もハーフトーン的にアルゴリズム間の区別は、スクリーン函数値が印刷のときに得られるようにしてなされ得る。あるアナゴリズムは、煽りでの印刷グリッドの夫々の部材に対する適当なスクリーン函数値を得るために、全て数学的評価がなされる。他のアナゴリズムはオフラインの計算をし、この結果をマトリックスで記憶し、印刷のときに適当なオーダーで予め記憶された値を呼び出す。
【0015】
“簡単”な有理タンジエント印刷;
図2で、最も基本的な有理タンジエントスクリーン印刷の働きを説明する。
【0016】
スレショールド値はオフラインで予め計算され、矩形マトリスとして記憶される。マトリックスのサイズは、形成されるドットのサイズを決定する。印刷のときに、マトリックス要素は所定のオーダーで呼び出されてコントーンデータをハーフトーンにするのに使用去れる。この動作は、印刷グリッドでのスクリーン角度のもとで、マトリックス要素の配置並びに複写と等価である。このような印刷の周波数(frequency)と角度とは以下のようになる(図2参照)
alfa=arctan(A/B)
freq=res/sqrt(A*A+B*B)
ここで、resは解像度
この方法での全てのドットは、印刷グリッドで1つのそして同じマトリックスの複写から得られるので、マトリックスの4つのコーナーが印刷グリッドの点と一致するように働くことがこの方法にとって必要である。これは、角度のアークタンジエントが2つの整数A並びにBの比と常に等しいので、この方法が有理タンジエントと呼ばれる所以である。これは、この方法で生じ得る線数と角度並びに通常の角度と線数とが近ずき得る精度とに対して、非常に密接な関係を有する。
【0017】
図3は、特に、小さいセルaに対して、複写の角度が正確に制御できない様子を示す。角度的精度は、タイルが大きくなると、良くなる。カラー印刷の分野で、モアレの無いカラー再生となるシアン、マゼンタ、ブラック分離のための角度と線数との組み合わせを達成することは難しいことが証明されている。米国特許No.3,657,472号,4,084,183号,4,443,060号並びに4,537,470号には、これらスクリーンの組み合わせを使用したときに印刷で生じる問題を少なくする技術が示唆されている。
【0018】
米国特許No.4,084,183号の実施例には、4つのスクリーンのため小さい合同部分が使用されると、従来の彩紋とは異なり、目を害することのない繰り返しマイクロ構造が得られることが開示されている。
【0019】
有理タンジエントスクリーン印刷の改良が、単一のドツを含む代わりに、水平並びに垂直方向に“m”ドットを含む“スウパーセル”を使用することにより得られる。この場合、個々のドットの4つのコーナーの点では無く、スウパーセルの4つのコーナーの点が印刷グリッド上にあることのみが必要である。“スウパーセル”のサイズは個々のドットよりも大きいので、比較的高い精度が、従来の角度近くで達成できる。この方法は図4に示されている。得られる角度は、これらのアークタンジエントがまだ2つの整数A並びにBの比に等しいので、まだ“有理タンジエント角度”である。
【0020】
このアナゴリズムで得られるスクリーンの周波数と角度とは以下のように示される。
【0021】
alfa=arctan(A/B)
freq=m*res/sqrt(A*A+B*B)
ここでresは解像度
mは掛け算
“無理タンジエント”スクリーン印刷
カラー再生におけるモアレを最小にするために、非常に高精度で通常のスクリーン角度を均似値できるスクリーン印刷のアルゴリズムを発展させるために過去に多くの努力が費やされた。これらのアルゴリズムは、最高に可能な精度で15度並びに75度の角度(これらは無理タンジエント)に最終的には近ずくので、“無理タンジエントスクリーン印刷アルゴリズム”と称されている。これらアルゴリズムのほとんどは、所定の角度並びに所定の周波数で、スポット関数の1期間をサンプリングすることにより、スクリーン函数値を招じる。この技術は、図5に示されている。サンプリング角度並びに周波数は、得られるであろうスクリーンの角度と線数とを決定する。サンプリング角度が本当に無理数(即ち、2つの整数の比として表され得ない)であれば、スクリーン函数期間での同じxy位置は再びサンプリンされないであろう。
【0022】
これら無理タンジエントスクリーン印刷アルゴリズムの逐行の可能な2つの方法がある。第1の方法では、スクリーン函数期間でのサンプルの値がフライで評価される。この数学的評価は早くしなければならないので、必要な速度を達成するためには特別名ハードウエアが通常は必要である。また、この方法は、非常に多くの計算を必要としないスポット関数に制限されている。米国特許No.4,419,690号にこの方法が開示されている。
【0023】
他の方法では、1期間のスクリーン函数値が事前に計算され、これらが、代表的には32×32もしくは64×64の要素のサイズの二次元マトリックスに記憶される。スクリーン函数期間のサンプリングは、サンプル点のxy位置に最も近く位置する、予め計算されたマトリックス要素を抽出することにより果たされる。しかし、マトリックスのアドレスのときに周期的な丸める効果から生じるアーティフアクトを減じるために、サンプルのxy位置座標にノイズを通常は加算し、特別の平均化技術が使用されなければならない。この技術は、米国特許No.4,499,489号,4,456,924号,4,700,235号並びに4,918,622号に開示されている。この特別な平均化技術は、無理タンジエントスクリーン印刷アルゴリズムの逐行を比較的複雑で高価にする。
【0024】
既存のスクリーン印刷システムのモアレの解析
上述したスクリーン印刷システムでの、カラー印刷の逐行は、カラー印刷でのモアレの解析のための技術での前説明の後、説明する。
【0025】
モアレ解析の原理
カラー複写におけるラスターの周波数と角度との相互作用は、“周波数ドメイン”でのベクトルダイアグラムにより最も良く調べられうる。全てのドットのラスターは、夫々の長さがスクリーンの周波数に対応し、そして角度がラスターの角度に対応した2つの直交するベクトルにより表され得る。ラスターの“調和周波数”の影響は無視されている。
【0026】
2つもしくはそれ以上のラスター間の相互作用は、複数の原ベクトルの和もしくは差の全ての可能な組合わせに対応する。
【0027】
カラー印刷において、モアレの単一の最も重要な源は、シアンとマゼンタとブラックのラスターの重ね合せから生じる2次のモアレ(*)と関連している。カラー複写での最終目的は、無限大の、これらラスターからのモアレ期間を得ることで有る。図6は、これを従来のスクリーンを使用した場合で示す。15度マゼンタ成分と135度ブラック成分との和は75度シアン成分に正確に一致し、モアレに対してゼロ周波数(かくして、無限期間)となる。同様に、45度ブラック成分と165度シアン成分との和は105度マゼンタ成分と正確に一致擦る。この式は以下のようになる。
【0028】
C=M5+K35
M105=K45+C165
図7は、分離の1つ、例えば、ブラックが離れた場合を示す。15度マゼンタと135度ブラックとの和は75度シアンベクトルと一致しない。“2次のモアレ”は、この場合ゼロ周波数を有しない。そして、角度と期間とが差ベクトルに対応した周期的パターンが生じる。ここで使用するように、“2次モアレ”と言う用語は、原成分(例えば“シアン”)と2つの他の原成分(例えば、マゼンタとブラック)間の相互作用の結果生じた成分との間の相互作用の結果としてのモアレを意味する。
【0029】
図6のベクトルダイアグラムは、周波数ベクトルの長さと角度との間の関係のみを示す。この関係に加えて、3つのラスターの相対位相も示されている。3つのラスターの相対位相はハーフトーンドット間の平均重なりに対して影響を与え、どの種類の彩紋が得られるかを決定する。図8(a)は特別な位相関係での3つのラスター(15,45並びに75度)のモアレの無い組合わせを示す。図8(b)は、同じセットのラスターを示す。ここで45度スクリーンが位相でシフトした期間の半分である。これら図から、“彩紋”構造が両方の場合で異なることが解る。図8(a)の彩紋構造は、これを所定距離から見たときに目に粗く見えず、かつ影で好ましいぼかしを維持しているので、好ましいものである。図9はモアレの場合を示す。15度並びに75度ラスターの和間の相対位相は連続的に変化しており、シフト彩紋となっている。ある種の彩紋から他種の彩紋へ、そしてまた最初の彩紋への完全な1サイクルの最短距離はモアレ期間に一致し、これは対応するベクトルダイアグラムから解るであろう。
【0030】
最も実用的な場合、2つの2次モアレの1つのみを数学的に調べるのに充分である、1セットのスクリーンの生成で充分な対称性がある。この場合の図6は、三角形を示す図10での単純化したダイアグラムに取換えられ得る。もし、三角形が“閉じられ”ていれば、二次のモアレは生じていない。そして、もし、開いていれば、二次のモアレは、3つのベクトルの和から計算され得る。数学的にこれは以下のようになる。
【0031】
Mx=F1*cos(alfa1)+F2*cos(90.0-alfa2)-F3*cos(alfa3)
My=F1*sin(alfa1)-F2*sin(90.0-alfa2)-F3*sin(alfa3)
Mperiod=1.0/sqrt(Mx*Mx+My*My)
“有理タンジエント”スクリーンの組合わせのためのモアレ解析
前述したように、有理タンジエントスクリーンの組合わせを得ることは、これが2次モアレを完全に除去される前に表されるので、不可能である。最も一般的な場合、即ち2つの整数A並びにBにより規定される3つのスクリーンのセットのための証明は以下の通りである。
【0032】
Given:A,B,res.
screen1:alfa1=arctan(A/B);F1=res/sqrt(A*A+B*B)
screen2:alfa1=arctan(1.0);F2=res/sqrt(A-B)*(A-B)
screen3:alfa3=arctan(B/A);F3=F1+(A-B)*(A-B)
このようなスクリーンのセットの例は以下の通りである。
【0033】
res=2400dpi,A=4,B=15.
この値を前記式に代入すると以下のようになる。
【0034】
alfa1=14.9314度;F1=154.5976
alfa2=45.0000度;F2=154.2778
alfa3=75.0686度;F3=154.5976
スクリーン(screen)1並びにスクリーン(screen)3に対応するベクトルのエンドポイント(endpoint)は以下のようになる。
【0035】
endpoint sreen1:(xo,yo)=(F1*cos(alfa1),F3*sin(alfa1)
endpoint sreen3:(x1,y1)=(F3*cos(alfa3),F3*sin(alfa3)
もしくは、F1=F3,cos(alfa3)=sin(alfa1),sin(alfa3)=cos(alfa1)であると、以下のようになる。
【0036】
endpoint sreen1:(xo,yo)=(F1*cos(alfa1),F1*sin(alfa1)
endpoint sreen3:(x1,y1)=(F1*sin(alfa1),F1*sin(alfa1)
モアレが無いようにするために、理想の周波数ベクトルは45.0度に、そして長さはスクリーン1とスクリーン3との2つのエンドポイント間の距離に夫々するべきである。
【0037】
F2’=sqrt[(x0-x1)*(x0-x1)+(y0-y1)*(y0-y1)]
=F1*sqrt[2.0-4*cos(alfa1)*sin(alfa1)]
=F1*sqrt[2.0-4*A*B/(A*A+B*B)]
=F1*sqrt[(2*A*A+2*B*B-4*A*B)/(A*A+B*B)]
しかし、周波数ベクトルスクリーン2の実際の長さは以下の通りである。
【0038】
F2=res/sqrt[(A-B)*(A-B)+(A-B)*(A-B)];F1*sqrt[(A*A+B*B)/sqrt[(A-B)*(A-B)+(A-B)*(A-B)];
F1*sqrt[(A*A+B*B)/(2*A*A+2*B*B-4*A*B)]
二次のモアレが無いようにするためには、F2=F2’であることが要求される。 この式を計算した後、以下の状態となる。
【0039】
3*z*z*z*z-16*z*z*z+22*z*z-16*z+4=0
ここで、z=A/Bである。
【0040】
これは“A/B”の4次の多項式であり、以下の2つの実根を持つ。
z0=2.0-sqrt(3.0);
z1=2.0+sqrt(3.0);
これら両根は、夫々アークタンジェント15.0と75.0とを有する無理数である。換言すれば、モアレ期間を無限的に大きくする整数A,Bは存在しない。
【0041】
上記実施例のモアレ期間は計算でき、1.56インチで有る。これは多くのプリント状態に対して悪影響を及ぼす。
【0042】
“スウパーセル”スクリーン印刷のモアレ解析
複合ドットである“スウパーセル”を使用することにより、スクリーンの角度の精度をかなり良くすることができる。“スウパーセル”の着想にもとずくモアレ解析は、長いモアレ期間を得ることができるが、前述した場合と同様の理由により、完全にモアレのない結果を得ることは不可能であると言う事を示す。この例は以下の通りである。
res=2400,A=15,B=56,m=3;
screen1:alfa1=14.9951;F1=124.1933;
screen2:alfa2=45.0000;F2=124.1748;
screen3:alfa3=75.0049;F3=F1
この場合のモアレ期間は27.07インチであり、前記の例よりも好ましい。
【0043】
“無理タンジエントスクリーン印刷”のモアレ解析”
無理タンジエントスクリーン印刷の場合のモアレ解析は、かなり単純である。互いに30度オフセットし、かつ同じ線数を正確に有する3つのスクリーンのセットが使用される場合、周波数ダイアグラムは、スクリーンの3つのベクトルが閉じた二等辺三角形を形成し、かくしてモアレが生じないことを示すであろう。
【0044】
したがって、本発明の主目的は像の印刷再生のための改良されたスクリーンシステム並びに方法を提供することである。
【0045】
本発明の特定の目的は、2次のモアレの発生を防止したスクリーンシステムを提供することである。
【0046】
本発明の他の目的は、スクリーン角度を利用することができ、かつ有理タンジエント角度であるスクリーンシステムを提供することである。
【0047】
本発明のさらに他の目的は、スクリーン角度を利用することができ、かつ無理タンジエント角度であるスクリーンシステムを提供することである。
【0048】
本発明のさらに他の目的は、有理タンジエント角度で予め設定されたドットを有する矩形“タイル”を利用したハーフトーンスクリーン函数値を作るための方法を提供することである。
【0049】
【課題を解決するための手段】
像の印刷再生のためのスクリーンシステムは3つの独立したスクリーンを具備する。これらスクリーンはスクリーン線数と、夫々異なるスクリーン角度とを有する。これらスクリーン線数のうち少なくとも2つは異なり、1対のスクリーンの2つの周波数成分の和の少なくとも1つのベクトルは、残りのスクリーンの周波数成分の少なくとも1つのベクトルと等しいか、倍数または約数と等しい。そして30度もしくはその倍数度オフセットしたスクリーン角度を有しかつ周波数成分のベクトル長が等しいスクリーンを具備していない。
【0050】
【実施例】
従来のスクリーンシステムでモアレの無いことは、周波数の領域で、1対のスクリーンの周波数成分の和が第3のスクリーンの周波数成分と完全に一致するという事実により説明されているという解析により、“2次のモアレ”の発生がまた従来のスクリーンシステムでは無い場合に完全に防止され得る。図11は、3つのスクリーンセットの線数が現実的でなく、角度を適当に選ぶことにより、2次のモアレの発生を阻止する従来のテクノロジイと正確に同じ状態を得ることができることを示す。従来の場合からの角度並びに線数の変更が小さい(1.0度以下、好ましくは0.5度以下)と、モアレ、彩紋構造、印刷可能性、及び全体に渡って微視並びに巨視的な現象となるときに、従来のスクリーン印刷で得られる結果と実質的に区別できないスクリーン印刷結果が得られる。
【0051】
また、有理タンジエントのスクリーンの特別な組合わせを使用すれば、この方法で2次のモアレの発生を阻止することができる。これは、“有理タンジエント”スクリーンを生じる方法はより複雑で設置がより高価であるのにも係わらず、有理タンジエントスクリーンを使用した他の方法では、前に述べたように2次のモアレを完全に除去できないので、特に重要である。
【0052】
図12は予め角度が設定された複合ドットを有するセルの幾何学模様を示す。タイルが生じているスクリーンの角度は2つの整数A,Bの比により決定される。スクリーンの期間はタイルのサイズに比例する。以下の関係が図12から直接導きだされる。
【0053】
ここで、alfa:スクリーン角度;
Period:スクリーン期間(インチ)
TS:印字ドット数で表されるタイルのサイズ
res:ドット/インチで表される印刷解像度
alfa=acrtan(A/B);
TS*(1/res)=スクリーン期間*sqrt(A*A+B*B)
また、以下の関係が導きだされる。
【0054】
ここで、freq:スクリーンの線数
shades:1ドット当たりの印刷要素の平均数
dots:タイルに含まれるドット数
freq=res*sqrt(A*A+B*B)/TS;
shades=TS*TS/t(A*A+B*B)
dots=A*A+B*B
図12のタイルは、水平並びに垂直に写されたときに隣接したスクリーンを作る1つのスクリーン期間として見ることができる。ここで有理タンジエントスクリーンを作る方法は図4で説明した方法とは基本的にことなる。図4では、セル境界に平行に角度付けられた、複合ドットを有するセル有理タンジェント角度で写されているが、図12では予め角度付けられたセルが水平並びに垂直に写されている。これら両技術を比較すると、これらは対称となる。
【0055】
もし、パラメータTS,A,Bが同じ整数により乗除されると、同じ角度並びに線数を生じるタイルの等しいセットが得られることが明らかであろう。
【0056】
タイルのモアレのない組合せ
完全にモアレの無い結果を生じ、また従来のスクリーンシステムとは異なる、上述した“タイル”から得られるスクリーン相互を組み合わせることが可能で有る。このようなスクリーンシステムを得る状態は以下のように要約される。
【0057】
1)3つのスクリーン全てのタイルサイズが等しい。
【0058】
2)第1のスクリーンは2つの整数A,Bにより規定され、角度alfa1=arctan(A/B)である。
【0059】
3)第2のスクリーンは2つの整数C,Dにより規定され、角度alfa2=arctan(C/D)である。
【0060】
4)第3のスクリーンは2つの整数E=(B-D)、D=(C-A)により規定され、角度alfa3=arctan(B-D/C-A)である。
【0061】
5)alfa1とalfa2との差は30度±0.5度である。
【0062】
6)alfa2とalfa3との差は30度±0.5度である。
【0063】
7)3つのスクリーンの線数は±2.0%の範囲内で等しい。
【0064】
8)もしタイルの角度を規定する2つの整数X,Yが共通の除数を有するのであれば、パラメータTS,X,Yは共通の除数により除算されたもとの値に置換えられ得る。
【0065】
9)これらスクリーンを規定する整数TS,X,Yが任意の整数により乗算され得る。これは結果が等しいタイルとなるからである。
【0066】
上記のようなスクリーンシステムの一例は下記の通りである。
【0067】
res=2400dpi;
screen1:TS1=627;A=11;B=33;
screen2:TS2=627;C=34;D=7;
screen3:TS3=627;E=26;F=23;
このスクリーンシステムは以下のスクリーンシステムと等価である。
【0068】
screen1:TS1=57;A=1;B=3;
screen2:TS2=627;C=34;D=7;
screen3:TS3=627;E=26;F=23;
もしスクリーン角度と線数のための式がこれらスクリーンパラメータに適用されると、以下の結果が得られる。
【0069】
screen1:alfa1=18.4349度;freq1=133.1485l/i.
screen2:alfa2=78.3554度;freq2=132.8731l/i.
screen3:alfa3=48.5035度;freq3=132.8731l/i.
式にこれら値を使用してモアレ期間を計算すると以下のようになる。
【0070】
Miorex=0.0;
Miorey=0.0;
Mperiod=無限
これは、スクリーンのこの組合せで、従来の場合とは異なり、有理タンジエントを有する各々がモアレを完全に生じさせないということを意味する。
【0071】
“2次モアレのないのの数学的証明”
上記要求を満足するスクリーンセットは“2次モアレ”が生じないという証明は以下の通りである。
【0072】
同じタイルサイズから得られ、以下の対の整数により規定される有理タンジエント角度を有する3つのスクリーンからなる1セットを考える。
【0073】
screen1:A,B;
screen2:E,F;
screen3:E=B-C;F=C-A;
これらタイルを生じるスクリーンの角度は次の通りである。
【0074】
screen1:alfa1=arctan(A/B);
screen2:alfa2=arctan(E/F);
screen3:alfa3=arctan(C/D);
そして周波数は次の通りである。
【0075】
screen1:freq1=res*sqrt(A*A+B*B)/TS;
screen2:freq2=res*sqrt(E*E+F*F)/TS;
screen3:freq3=res*sqrt(C*C+D*D)/TS;
図13は、周囲を矩形の枠で囲ったこのスクリーンシステムに対応するベクトルダイアグラムを示す。この図での“長さの単位”はres/TSに等しい。B=E+Dであり、C=F+Aであので3つのベクトルの三角形はとじている。そしてスクリーンシステムは、これが有理タンジエントスクリーンにより構成されているのにも係わらず、“2次のモアレ”を生じない。
【0076】
図12並びに図13に記したパラメータの計算は、以下のプログラムによりなされる。
【0077】
【数1】

【数2】

スクリーンの実際の製造は、米国特許No.4,700,235号の技術を小して行われ得る。
【0078】
“スーパセル”有理タンジエントスクリーン方法においては、ドットはセル境界に平行に指向され、かつセル自身は印刷グリッド(図4参照)を横切って配置され写されると言う事を前に説明したが、本発明の“タイル”方法では、セルは予め角度が設定されたドットを含み、水平並びに垂直に配置され(図12参照)写される。
【0079】
これら両方法がどうして組合せられないかの理由は無い。この場合に得られる幾何学態様を図14に示す。角度alfa並びに周波数freqは以下のようにして計算される。
【0080】
A,B,C,D,resを与えると
alfa=alfa1-alfa2;
tan(alfa)=tan(alfa1-alfa2)+
=[tan(alfa1)-tan(alfa2)]/[1.0+tan(alfa1)*tan(alfa2)];
=(A/B-C/D)/(1.0+AC/BD);
=(AD-BC)/(BD+AC);
かくして、alfa=arctan[(AD-BC)/(BD+AC)]
freq=res*squt(CC+DD)/TS;TS*TS=A*A+B*B+
かくして、freq=res*sqrta[(CC+DD)/(AA+BB)]
写されるスクリーンの角度を制御するために2つの自由度を有することにより、より多くの角度を得ること、もしくは特定の角度においてより良い均似値を達成することが可能である。これは以下の例で達成される。
【0081】
res=2400dpi;A=160;B=280;C=5;D=19;
alfa=15.0013度
freq=146.2138l/i
この方法は、比較的小さいタイルでより良い角度精度を“スウパーセル”の場合と比べると得ることができる(2つの自由度の採用による)意味でこれ自体で効果があるが、夫々がモアレをすでに呈さない3つのタイルのセットを回転させるのに特に有用である。
【0082】
実際、2次のモアレを有さないようにマッチングされた3つの有理タンジエントスクリーンのセットは、上述したように、同じタイルサイズから得られる。もしこれらが同じタイルサイズを有するのであれば、これらスクリーンは、図14で説明したような方法で同じ量だけ回転され得、かくして同じ相対角度を維持し、これらの線数は同じ定数フアクターにより変更する。1セットのマッチしたタイルの幾何学態様から出発し、スクリーン全体の組合せは小さい角度増加で得られる。これの例は以下の通りである。
【0083】
res=2400dpi;C1=4;D1=15;C2=11;D2=11;C3=15;D3=4;
set1:A=0;B=280;
screen1:angle1=14.9314度;freq1=133.0644l/i.
screen2:angle2=45.0000度;freq2=133.3401l/i.
screen3:angle3=75.0686度;freq3=133.0644l/i.
set2:A=1;B=280;(全ての角度が0.2046度だけ増加している)
screen1:angle1=15.1360度;freq1=133.0635l/i.
screen2:angle2=45.2046度;freq2=133.3393l/i.
screen3:angle3=75.2732度;freq3=133.0635l/i.
set3:A=2;B=280;(全ての角度が0.4092度だけ増加している)
screen1:angle1=15.3470度;freq1=133.0610l/i.
screen2:angle2=45.4092度;freq2=133.3367l/i.
screen3:angle3=75.4778度;freq3=133.0610l/i.
等…(+7.5度の増加もしくは-7.5度の減少)
基本のセット(set1)がモアレを生じず、3つのスクリーンの全てが正確に同じ角度だけ回転され、そして線数は全て同じ定数フアクターだけ変更されるので、上記スクリーンセットの各々は2次モアレを生じない。
【0084】
スクリーンセットの内30度対称のために、これを±7.5度よりも大きく回転させる必要は無い。7.5度の回転は、cos(7.5)=0.991(1%以下の変更)Kフアクターによる線数の変更に相当する。有理タンジエントスクリーンのセットでのモアレが無いのから出発して、回転されたスクリーンセットの完全な範囲は小さい角度増加で、かつほとんど同じ線数で得ることができるということは重要である。
【0085】
図15は、同じ“タイルサイズ”を有する15度のスクリーンと、45度のスクリーンと、75度のスクリーンとが重なった状態を示す。これらスクリーンの1つの予め設定された角度のドットの幾何学態様は図12に示すものと対応する。3つのスクリーンは同じタイルサイズを使用しているので、これらは図16に示すように互いに“ロックされて”維持されている。この“ロックされた”状態で、相対位置エラーの増加は生じず、かくして彩紋は印刷されたページを横切って残る。
【0086】
本発明の好ましい実施例を詳細に説明したが、請求範囲にて規定したような本発明の範囲から外れないで種々の変形が可能であることは当業者にとって明白であろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】
従来の電子スクリーン印刷のデメンションの例を示す図である。
【図2】
従来のタンジエントスクリーン印刷の原理〃説明する図である。
【図3】
従来技術での小並びに大セルサイズでの達成され得る角度精度を説明する図である。
【図4】
“スウパーセル”を使用した従来の有理タンジエントスクリーン印刷を説明するための図である。
【図5】
従来の無理タンジエントスクリーン印刷方法の原理を説明する図である。
【図6】
モアレを無くすために、同じスクリーン線数を有する15,45並びに75度での3つのラスターの相互作用を説明するベクトル図である。
【図7】
異なるスクリーン線数を有する15,45並びに75度での3つのラスターの相互作用の結果として生じたモアレを説明するベクトル図である。
【図8】
(a)は、ドットが中心の彩紋を生じる、同じスクリーン線数を有する15,45並びに75度でのラスターで0%から90%までの3段階での重なりにより作られる像を示す図である。
(b)は鮮明な中心彩紋を生じる半期間に渡って45度ラスターをオフセットした結果を示す図である。
【図9】
僅かに異なるスクリーン線数を有する15,45並びに75度での3つのラスターの相互作用により生じるモアレ示す図である。
【図10】
三角形のスクリーンの相互作用を説明する簡略化したベクトル図である。
【図11】
2次モアレを生じない本発明のスクリーンシステムを説明するベクトル図である。
【図12】
本発明に係わる予め角度が設定されたセルの幾何学的状態を説明する図である。
【図13】
3つのベクトルが閉じた三角形を形成するときに、2次モアレの発生を防止することを示すモアレ解析のためのベクトル図である。
【図14】
有理タンジエント角度での配置されかつ写された所定設定角度のタイルを示す図である。
【図15】
同じ“タイルサイズ”を使用した15,45並びに75度の3つのスクリーンの重なりを示す図である。
【図16】
同じ“タイルサイズ”を有する15、45並びに75度のスクリーンとを使用しスクリーンを互いに“ロック”し、相対位置エラーの増加は生じず、かくして彩紋は印刷されたページを横切って残ることを示す図である。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2005-11-16 
出願番号 特願平4-199987
審決分類 P 1 652・ 113- YA (G03F)
P 1 652・ 121- YA (G03F)
最終処分 維持  
前審関与審査官 山鹿 勇次郎  
特許庁審判長 末政 清滋
特許庁審判官 辻 徹二
上野 信
登録日 2002-08-23 
登録番号 特許第3343140号(P3343140)
権利者 ゼイコン・ナムローゼ・フェンオーシャップ アグファ・コーポレーション
発明の名称 スクリーンシステム  
代理人 村松 貞男  
代理人 鈴江 武彦  
代理人 村松 貞男  
代理人 橋本 良郎  
代理人 白根 俊郎  
代理人 鈴江 武彦  
代理人 鈴江 武彦  
代理人 橋本 良郎  
代理人 橋本 良郎  
代理人 白根 俊郎  
代理人 坪井 淳  
代理人 村松 貞男  
代理人 坪井 淳  
代理人 白根 俊郎  
代理人 坪井 淳  

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