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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1131790
審判番号 不服2003-17658  
総通号数 76 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2000-01-21 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-09-11 
確定日 2006-03-07 
事件の表示 平成10年特許願第187866号「画像部品化方法及び画像部品化プログラムを記録した記録媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成12年 1月21日出願公開、特開2000- 20694、請求項の数(5)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 1.手続きの経緯・本願発明
本願は、平成10年7月2日の出願であって、平成15年8月1日に拒絶査定がなされ、これに対して同年9月11日に拒絶査定を不服とする審判請求がなされ、平成17年12月7日に拒絶の理由がなされ、平成18年2月13日に手続き補正がなされたものである。
本願の特許請求の範囲の請求項1〜5に係る発明(以下、「本願発明1」、「本願発明2」等という。)は、平成18年2月13日付けで補正された明細書及び図面の記載からみて、本願の特許請求の範囲請求項1〜5に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。
「【請求項1】 原画像の色情報に基づいて、ラインプロセスによって表される色情報の不連続性を表す原画像の不連続情報を生成し、
生成した不連続情報に基づいて原画像に含まれている物体画像の輪郭を抽出し、抽出した輪郭を用いて該輪郭内で略同一の色領域または輪郭の相似性により原画像を複数のクラス画像にクラス分けし、該クラス分けしたクラス画像から物体画像を分離し、
分離した物体画像について、不連続情報に基づいて物体画像の輪郭をアウトライン化したアウトライン情報を求めると共に、物体画像の色情報を符号化することにより部品化し、
部品化した物体画像を拡大または縮小する場合に、前記物体画像のアウトライン情報を用いて、前記部品化した物体画像を拡大または縮小し、
前記拡大または縮小した後の部品化した物体画像によって、画像を形成する
画像部品化方法。
【請求項2】 前記物体画像の輪郭はパラメトリック曲線でアウトライン化し、前記色情報はパラメトリック曲面で符号化することを特徴とする請求項1に記載の画像部品化方法。
【請求項3】 前記物体画像を構成する要素画像毎にさらに分離して部品化することを特徴とする請求項1または2に記載の画像部品化方法。
【請求項4】 コンピュータによって原画像から該原画像に含まれる物体を表す物体画像を部品化するための画像部品化プログラムを記録した記録媒体であって、
前記画像部品化プログラムは、
原画像の色情報に基づいて、ラインプロセスによって表される色情報の不連続性を表す原画像の不連続情報を生成させ、
生成した不連続情報に基づいて原画像に含まれている物体画像の輪郭を抽出させ、抽出された輪郭を用いて該輪郭内で略同一の色領域または輪郭の相似性により原画像を複数のクラス画像にクラス分けさせ、該クラス分けされたクラス画像から物体画像を分離させ、 分離した物体画像について、不連続情報に基づいて物体画像の輪郭をアウトライン化したアウトライン情報を求めさせると共に、物体画像の色情報を符号化させることにより部品化させ、
部品化された物体画像を拡大または縮小する場合に、前記物体画像のアウトライン情報を用いて、前記部品化された物体画像を拡大または縮小させ、
前記拡大または縮小された後の部品化された物体画像によって、画像を形成させる
ことを特徴とする画像部品化プログラムを記録した記録媒体。
【請求項5】 前記物体画像の輪郭はパラメトリック曲線でアウトライン化され、前記色情報はパラメトリック曲面で符号化されることを特徴とする請求項4に記載の画像部品化プログラムを記録した記録媒体。」

2.当審の拒絶理由
一方、当審において平成17年12月7日付けで通知した拒絶の理由の概要は、請求項1〜5に係る発明は、その出願前日本国内において頒布された特開平2-226486号公報 、特開平8-221567号公報、特開平6-96199号公報、特開平7-140958号公報、特開平9-134443号公報、特開平9-161078号公報、特開昭61-274473号公報及び特開平2-4549号公報 (以下、「引用文献1」、「引用文献2」等という。)に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。

3.引用例
引用文献1には、部品画像データ2を画像入力装置3に取り込み、切り出し処理部4で背景画像と対象画像を区別する処理を行って領域情報を作成し、非可逆圧縮部5で部品画像中の対象画像の色情報の圧縮処理を行い、可逆圧縮部6で部品画像の領域情報を圧縮処理を行い、ハードディスク等の画像の記録再生装置7で圧縮処理を終えたデータを記録保存し、符号化処理することが記載されている。
引用文献2には、原画像の色情報に基づいて、ラインプロセスによって表される色情報の不連続性を表す原画像の不連続情報を生成し、生成した不連続情報に基づいて原画像に含まれている物体(顔)画像の輪郭を抽出し、抽出した輪郭を用いて物体(顔)画像を分離することが記載されている。
引用文献3、4にはアウトライン情報を求め、これを利用して符号化する技術が記載されている。
引用文献5には、画像部品を用い拡大又は縮小する技術が開示されている。
引用文献6には、閉領域の輪郭線の情報のみを符号化する技術が記載されている。
引用文献7には、カラー画像情報を同一色からなる連続領域の輪郭線情報と、内部の色情報とで符号化する技術が記載されている。
引用文献8には、文字などの輪郭情報を複数の等高線情報から構成し、その等高線情報を用いて文字などを閉図形内を塗りつぶしたり、輪郭線だけを出力したりする技術が記載されている

4.対比・判断
(1)本願発明1と引用文献1に記載された発明と対比すると、本願発明1は「生成した不連続情報に基づいて原画像に含まれている物体画像の輪郭を抽出し、抽出した輪郭を用いて該輪郭内で略同一の色領域または輪郭の相似性により原画像を複数のクラス画像にクラス分けし、該クラス分けしたクラス画像から物体画像を分離し」(以下、「本願発明1の特徴点」という。)を画像部品化方法の1工程としているが、引用文献1に記載された発明は、その工程を備えていない点を相違点としているといえる。
上記相違点を検討すると、引用文献1に記載された発明の「切り出し処理部4で背景画像と対象画像を区別する処理を行って領域情報を作成し」は、「カラー全体背景画像データ(第11図(a))、部品画像データ(第11図(b))としては色の3成分R,G、Bの値Cr、Cg、Cbを画像人力装置から取り込む。C1(i=r、g、b)は8ビツトで0〜28-1の値をとるものとする。部品画像は切り出し処理部では以下の処理を受ける。ユーザが対話的に切り出し処理を行って、第6図に示すように、背景画像とみなしたところは領域情報は0、対象画像とみなしたところは領域情報は3、エツジとみなしたところは場所によって領域情報1または2と区別され、領域情報A i(i=0〜3、Aiは2ビツト)が作られる。」(引用文献1,第4頁右上欄末行〜左下欄11行)と記載されているように、背景画像データと部品画像データとをユーザが切り出し処理を行う技術であり、原画像を複数のクラス画像にクラス分けすることも、該クラス分けしたクラス画像から物体画像を分離することも示唆するものではない。
そして、引用された引用文献2〜8のいずれにも、本願発明1の特徴点である「生成した不連続情報に基づいて原画像に含まれている物体画像の輪郭を抽出し、抽出した輪郭を用いて該輪郭内で略同一の色領域または輪郭の相似性により原画像を複数のクラス画像にクラス分けし、該クラス分けしたクラス画像から物体画像を分離し」についての記載または、これを示唆する記載は存在しない。また、上記特徴点は、本願出願時の技術水準から自明な構成であるといえないことは勿論のこと、単なる設計的事項であるともいえない。
したがって、引用文献1〜8に記載された構成要素を、種種組み合わせても、上記特徴点の工程を想到することができない。
そして、上記特徴点により、同種の物体画像は同一のクラス画像内に内包され、クラス分けされた物体画像を効率的に部品化することができるという引用された引用文献1〜8が達成することができない作用効果を奏するものと認められる。
以上のとおりであるから、本願発明1は、引用文献1〜8に基づいて、当業者が容易に想到し得たものであるとはいえない。
(2)本願発明2は、請求項1を引用し、さらに限定を加えたものであり、本願発明1の特徴点を備えるものであるから、上記(1)と同様な理由により、当業者が容易に想到し得たものであるといえない。
(3)本願発明3は、請求項1を直接または間接に引用し、さらに限定を加えたものであり、本願発明1の特徴点を備えるものであるから、上記(1)と同様な理由により、当業者が容易に想到し得る構成であるといえない。
(4)本願発明4は、「生成した不連続情報に基づいて原画像に含まれている物体画像の輪郭を抽出させ、抽出された輪郭を用いて該輪郭内で略同一の色領域または輪郭の相似性により原画像を複数のクラス画像にクラス分けさせ、該クラス分けされたクラス画像から物体画像を分離させ」の特徴点を備える記録媒体の発明であるから、上記(1)と同様な理由により、当業者が容易に想到し得る構成であるといえない。
(5)本願発明5は、請求項4を引用し、さらに限定を加えたものであり、本願発明4の特徴点を備えるものであるから、上記(1)と同様な理由により、当業者が容易に想到し得る構成であるといえない。

5.むすび
以上のとおり、本願については、当審の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2006-02-23 
出願番号 特願平10-187866
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 松永 稔  
特許庁審判長 田口 英雄
特許庁審判官 大野 弘
岡本 俊威
発明の名称 画像部品化方法及び画像部品化プログラムを記録した記録媒体  
代理人 加藤 和詳  
代理人 西元 勝一  
代理人 中島 淳  
代理人 福田 浩志  

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