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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G01T
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01T
管理番号 1131979
審判番号 不服2004-19377  
総通号数 76 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1998-09-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-09-17 
確定日 2006-02-24 
事件の表示 平成 9年特許願第 70438号「エネルギー分散型半導体X線検出器」拒絶査定不服審判事件〔平成10年 9月25日出願公開、特開平10-253762〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成9年3月7日の出願であって、平成16年8月6日付けで拒絶査定がなされ、これに対して平成16年9月17日に審判請求がなされるとともに、同年10月15日付けで手続補正がなされたものである。

2.平成16年10月15日付け手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成16年10月15日付け手続補正を却下する。
[理由]独立特許要件違反
(1)補正の内容、補正後の本願発明
平成16年10月15日付け手続補正(以下「本件補正」という。)により、補正前の特許請求の範囲の請求項1が削除され、補正前の同請求項2が請求項1として次のとおり補正された。
「小型ガス循環式冷凍機によってX線検出素子を冷却するようにした、電子ビームにより励起されて試料から放出される特性X線を測定するX線マイクロアナライザやX線励起による蛍光X線分析装置などのエネルギー分散型元素分析装置に用いられるエネルギー分散型半導体X線検出器において、前記X線検出素子として、厚さが2から5mmであって、真空中で高温になっても特性劣化が生ずることがない高純度のn型シリコンウェハから構成される高純度のシリコン検出素子からなるものを用いたことを特徴とするエネルギー分散型半導体X線検出器。」(以下「本願補正発明」という。)
なお、本件補正前の請求項2は、以下のとおりである。
「小型ガス循環式冷凍機によってX線検出素子を冷却するようにしたエネルギー分散型半導体X線検出器において、前記X線検出素子として、厚さが2〜5mmの高純度n型シリコンウエハから構成される高純度のシリコン検出素子からなるものを用いたことを特徴とするエネルギー分散型半導体X線検出器。」

(2)補正の目的
上記本件補正により、補正前の請求項2の「エネルギー分散型半導体X線検出器」について、補正後の請求項1に「電子ビームにより励起されて試料から放出される特性X線を測定するX線マイクロアナライザやX線励起による蛍光X線分析装置などのエネルギー分散型元素分析装置に用いられる」と記載されるように、その用途が限定されるとともに、X線検出素子に関し、補正前の請求項2の「厚さが2〜5mmの」を「厚さが2から5mmであって、真空中で高温になっても特性劣化が生ずることがない」と補正されているので、本件補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当することは明らかである。

よって、本件補正は、特許法第17条の2第4項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本願補正発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する特許法第126条第5項の規定に適合するか)について検討する。

(3)引用刊行物に記載された発明
本願の出願前に頒布され、原査定の拒絶の理由に引用された特開昭63-195584号公報(以下「引用刊行物1」という。)には、「エネルギ分散型X線検出装置」の発明に関して、以下の事項が記載されている。
<記載事項1>
「2.特許請求の範囲
X線検出器として高純度シリコン検出器を用いるとともに、その検出器の支持部材を冷媒に接続して所定の温度に冷却するよう構成し、かつ、上記検出器の近傍には、上記温度よりも高いあらかじめ設定された温度範囲内に上記検出器温度を保持するための温度制御手段を備えた制御手段を備えたエネルギ分散型X線検出装置。」(第1ページ左下欄第4〜11行)
<記載事項2>
「従来のSi(Li)検出器に代えて、高純度シリコン検出器を用いた検出装置が検討されている。高純度シリコン検出器はLiによる補償を行わないので、常温→液体(「常温」と「液体」の間に「両方向の矢印」が記載されているが、記載上「→」と記載した。)チッ素温度のサイクルに対しても安定であり、不使用時に冷却を必要としないという利点がある。」(第1ページ右下欄第8〜13行)
<記載事項3>
「これに対し高純度シリコン検出器は、ボロン、イオウ等をイオン注入、あるいは熱拡散により導入してpn接合を作る必要があり、更に1000℃以上での工程を経て完成される。このため、様々なトラップ準位が導入されるのは、半導体分野において周知の通りである。このトラップ準位がいかなるふるまいを示すかについては必ずしも現時点において明らかではないが、少くとも温度依存性を持っていることは確実である。」(第2ページ右上欄第12〜20行)
<記載事項4>
「<実施例>
本発明の実施例を、以下、図面に基づいて説明する。
図面は本発明の実施例の検出器近傍の構成を示す部分断面図である。
高純度シリコン検出器1は、チッ化ホウ素製のコールドフィンガ2の先端部に支持されている。コールドフィンガ2の後端部は、銅棒3を介して液体チッ素デュワー(図示せず)に接続されている。
高純度シリコン検出器1の出力信号は、信号線4を介して同じくコールドフィンガ2上に支持されたFET5に導かれる。このFET5は前置増幅器の入力段を形成しており、そのノイズ特性を良好なものとするために、ヒータ6を設けてその温度を制御している。
コールドフィンガ2には、その高純度シリコン検出器1の支持部に近接して、例えばチップ抵抗を用いてなるヒータ7が貼着もしくは埋め込まれており、このヒータ7はヒータ駆動回路8に接続されている。
以上の本発明実施例において、コールドフィンガ2は液体チッ素温度近傍にまで冷却されるが、FTE5はヒータ6により、また、高純度シリコン検出器1はヒータ7により、それぞれ加熱され、ノイズ特性が最適な温度範囲、例えば120゜K〜150゜K内に収まるよう制御される。」(第2ページ左下欄第19行〜第3ページ左上欄第5行)

したがって、上記記載事項1ないし4、及びそこで参照されている図面に基づけば、引用刊行物1には、
「X線検出器を冷却するようにしたエネルギー分散型X線検出装置において、前記X線検出器として、常温、液体チッソ温度のサイクルに対して安定である高純度シリコン検出器からなるものを用いたことを特徴とするエネルギー分散型X線検出装置。」の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

同じく、本願の出願前に頒布され、原査定の拒絶の理由に引用された特開平6-109339号公報(以下「引用刊行物2」という。)には、「EDS検出器の素子冷却装置」の発明に関して、以下の事項が記載されている。
<記載事項5>
「【請求項1】 電子顕微鏡(1)に元素分析を行うEDS検出器を配置し、このEDS検出器の素子とパルス管冷凍機(6)の冷熱発生部(5)とを冷熱伝達棒を介して熱的に接続し、パルス管冷凍機(6)の圧縮機(18)からの高圧ガス路(24)と圧縮機(18)へのガス戻り路(25)との間に予備ガス室(23)を配置し、予備ガス室(23)と高圧ガス路(24)及びガス戻し路(25)との間に配置した流路開閉弁(26)(27)を開閉制御することにより、初期冷却時にガス量を増加させて加速冷却させるとともに、定常運転時にパルス管冷凍機(6)の冷熱発生部(5)に送り込むガス量を減少させてガス圧力波振動を低減させるようにしたことを特徴とするEDS検出器の素子冷却装置。」(【請求項1】)
<記載事項6>
「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子顕微鏡に設けたEDS検出器の素子を冷却するための冷却装置に関する。
【0002】
【従来技術】従来、電子顕微鏡に装着したEDS検出器の素子冷却装置は、電子顕微鏡の鏡胴に対してリトラクト移動可能な状態で液体窒素容器を支持させ、この液体窒素容器とEDS検出器の素子とを冷熱伝達棒を介して熱的に接続し、液体窒素の保有冷熱でEDS検出器の素子を冷却するようにしていた。」(段落【0001】〜【0002】)
<記載事項7>
「【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来のEDS検出器の素子冷却装置では、検出作業時に振動を抑制した状態で検出器の素子を冷却しなければならないことから、液体窒素を使用しているのであるが、この場合、液体窒素の消費を補償しなければならず液体窒素の管理が面倒であるという問題があった。また、液体窒素容器及び内部に収容した液体窒素の重量を電子顕微鏡の鏡胴部分が支持しなければならないことから、その支持構造を強固に形成しなければならないとともに、重心が高くなるため、電子顕微鏡の耐振性が不十分となるという問題もあった。本発明はこのような点に着目してなされたもので、液体窒素の管理をなくしてEDS検出器の素子冷却を簡単な操作で行え、しかもそれを取り付けた電子顕微鏡の耐振性を向上させることのできる素子冷却装置を提供することを目的とする。
」(段落【0003】)
<記載事項8>
「【0005】
【作用】本発明は、EDS検出器の素子とパルス管冷凍機の冷熱発生部とを冷熱伝達棒を介して熱的に接続し、パルス管冷凍機の圧縮機からの高圧ガス路と圧縮機へのガス戻り路との間に予備ガス室を配置し、予備ガス室と高圧ガス路及びガス戻し路との間に配置した流路開閉弁を開閉制御することにより、初期冷却時にガス量を増加させて加速冷却させるとともに、定常運転時にパルス管冷凍機の冷熱発生部に送り込むガス量を減少させてガス圧力波振動を低減させるようにしているので、EDS検出器の検出素子をパルス管冷凍機が発生させる冷熱で直接冷却するとともに、冷却初期には急速に、また、定常運転時には圧力波振動の影響を受けることなくEDS検出器の素子を冷却できることになる。これにより、液体窒素の管理を不要にすることができるようになる。」(段落【0005】)

(4)対比
本願補正発明と引用発明とを比較する。
引用発明の「X線検出器」は本願補正発明の「X線検出素子」に相当する。
また、引用発明の「エネルギー分散型X線検出装置」は、半導体であるシリコンによりX線を検知するシリコン検出器を有するので、本願補正発明の「エネルギー分散型半導体X線検出器」に相当する。

さらに、引用発明の「高純度シリコン検出器」と本願補正発明の「高純度のn型シリコンウェハから構成される高純度のシリコン検出素子」とは高純度のシリコン検出素子という上位概念で一致する。

そして、本願明細書には、「ところで、前記液体窒素に代わるものとして、ジュール・トムソン方式やパルスチューブ方式などの小型ガス循環式冷凍機が開発されている。」(段落【0005】)、「万一、停電などによって小型ガス循環式冷凍機が作動しなくなってこれによる冷却が得られなくなり真空中で高温になっても、特性劣化が生ずることがない」(段落【0009】)、及び「最後に、温度サイクルに対する性能維持のため、側面dの表面保護を行う。この表面保護は、X線検出素子7を冷却したり、室温に戻したりしても特性が劣化しない所謂耐温度サイクル特性を高める」(段落【0017】)と記載されている。
してみれば、本願補正発明でいう「高温」は、液体窒素に代わる小型ガス循環式冷凍機により冷却されるシリコン検出素子の温度に比して高い温度である「高温」を意味することは明らかであるので、引用発明の「常温」は本願補正発明の「高温」に相当する。

また、引用発明の「安定である」は本願補正発明の「特性劣化が生ずることがない」に相当する。

したがって、引用発明の「常温、液体チッソ温度のサイクルに対して安定である」と本願補正発明の「真空中で高温になっても特性劣化が生ずることがない」とは、高温になっても特性劣化が生ずることがないという上位概念で一致する。

よって、両者は、
「X線検出素子を冷却するようにした、エネルギー分散型半導体X線検出器において、前記X線検出素子として、高温になっても特性劣化が生ずることがない高純度のシリコン検出素子からなるものを用いたことを特徴とするエネルギー分散型半導体X線検出器。」の点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点1]
X線検出素子を冷却する手段が、本願補正発明は、小型ガス循環式冷凍機であるのに対して、引用発明は、液体窒素及びヒータを有する温度制御手段である点。
[相違点2]
エネルギー分散型半導体X線検出器の用途が、本願補正発明は、電子ビームにより励起されて試料から放出される特性X線を測定するX線マイクロアナライザやX線励起による蛍光X線分析装置などのエネルギー分散型元素分析装置であるのに対して、引用発明は、その用途が特定されていない点。
[相違点3]
高純度のシリコン検出素子として、高温になっても特性劣化が生ずることがない環境について、本願補正発明は、真空中であるとしているのに対して、引用発明は、真空中であるか否か特定されていない点。
[相違点4]
高純度のシリコン検出素子が、本願補正発明は、厚さが2から5mmであって、高純度のn型シリコンウェハから構成されるのに対して、引用発明は、その厚み及び高純度のn型シリコンウェハから構成されることについて限定されていない点。

(5)当審の判断
上記相違点について検討する。
・相違点1
引用刊行物2には、電子顕微鏡に装着した元素分析を行うEDS検出器の素子をパルス管冷凍機により冷却することが記載されている(記載事項5,6,8)。
そして、電子顕微鏡においては、電子ビームを試料に照射することにより、試料の拡大像を得ているので、引用刊行物2に記載されたものにおいて、試料に電子ビームが照射された際、X線が発生し、上記EDS検出器の素子が上記X線を検出することは明らかである。
一方、本願明細書には、例えば、「【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明では、小型ガス循環式冷凍機によってX線検出素子を冷却するようにしたEDS検出器において、前記X線検出素子として高純度のシリコン検出素子からなるものを用いている。」(段落【0008】)との記載及び「小型ガス循環式冷凍機によってX線検出素子を冷却するようにした、(中略)に用いられるエネルギー分散型半導体X線検出器において、(略)」(【請求項1】)なる記載からみて、本願補正発明の「エネルギー分散型半導体X線検出器」は換言すると「EDS検出器」であることが分かる。
してみると、引用刊行物2に記載されたパルス管冷凍機により冷却されるEDS検出器は、該EDS検出器の機能、及び本願明細書の上記記載からみて、本願補正発明の「エネルギー分散型半導体X線検出器」に相当するといえる。
また、引用刊行物2には、「パルス管冷凍機の圧縮機からの高圧ガス路と圧縮機へのガス戻り路との間に予備ガス室を配置し」(記載事項8)と記載されているので、引用刊行物2に記載された「パルス管冷凍機」は、ガス循環式パルス管冷凍機ともいえることは明らかである。
したがって、引用刊行物2には、EDS検出器の素子、即ちエネルギー分散型半導体X線検出器のX線検出素子をガス循環式パルス管冷凍機で冷却することが記載されている。

引用発明は、X線検出素子の冷却手段として液体窒素及びヒータを有する温度制御手段を用いているが、X線検出素子を適切な温度範囲に冷却する機能を有する冷却手段であれば、引用発明とは異なる冷却手段も選択可能であることは当業者にとって自明であるから、その機能を達成するために、引用発明の液体窒素及びヒータを有する温度制御手段に代えて、引用刊行物2に示されるようなX線検出素子を冷却するガス循環式パルス管冷凍機を選択することは設計変更にすぎない。
なお、ガス循環式パルス管冷凍機を本願補正発明において「小型」とした点は、単なる設計事項にすぎない。

よって、相違点1に係る本願補正発明の発明特定事項は、引用刊行物1及び引用刊行物2に記載された発明に基づいて当業者が容易になし得たものといえる。

・相違点2
エネルギー分散型半導体X線検出器の用途として、電子ビームにより励起されて試料から放出される特性X線を測定するX線マイクロアナライザやX線励起による蛍光X線分析装置などのエネルギー分散型元素分析装置は周知に過ぎない〔例えば、特開平9-54052号公報(段落【0002】)、特開平4-175648号公報参照〕。
したがって、相違点2に係る本願補正発明の発明特定事項は、エネルギー分散型半導体X線検出器の用途を周知の用途に限定したにすぎないので、格別なものとはいえない。

・相違点3
エネルギー分散型半導体X線検出器のX線検出素子を真空中で用いることは周知に過ぎない(例えば、特開平5-258707号公報及び特開平9-49882号公報参照)。
したがって、相違点3に係る本願補正発明の発明特定事項は、格別なものとはいえない。

・相違点4
X線又はX線に類似するγ線を検知する高純度シリコンとして、n型シリコンは周知の材料であるので〔例えば、特開昭63-64368号公報(第1ページ右下欄第3〜8行)、特開昭63-193088号公報(第3ページ右上欄第9行〜同左下欄第19行)参照〕、本願補正発明のように、高純度のシリコン検出素子をn型シリコンウェハから構成することは、格別なものとはいえない。
また、放射線を検出する検出素子の厚みは、検出対象となる放射線の種類及びそのエネルギー範囲に応じて、適宜に決定しえる設計事項といえる。ちなみに、シリコンからなるX線検出素子の厚みを本願補正発明と相当程度重複する3から5mmとすることは、本願出願前に頒布された刊行物である米国特許第5,268,578号明細書(第3欄第8〜11行)に記載されている。

したがって、相違点4に係る本願補正発明の発明特定事項は、上記周知事項に基づいて当業者が容易になし得たものといえる。

そして、本願補正発明の効果は、引用刊行物1及び引用刊行物2の記載並びに周知事項から当業者が予測し得る範囲内のものである。

よって、本願補正発明は、引用刊行物1及び引用刊行物2に記載された発明並びに周知事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものである。

以上のとおり、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

(6)まとめ
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項において準用する特許法第126条第5項の規定に違反するので、特許法第159条第1項で読み替えて準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項2に係る発明は、平成16年2月18日付けの手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項2に記載された事項により特定される以下のとおりのものと認める。(以下「本願発明」という。)
「小型ガス循環式冷凍機によってX線検出素子を冷却するようにしたエネルギー分散型半導体X線検出器において、前記X線検出素子として、厚さが2〜5mmの高純度の高純度n型シリコンウエハから構成される高純度のシリコン検出素子からなるものを用いたことを特徴とするエネルギー分散型半導体X線検出器。」

4.引用刊行物に記載された発明
原査定の拒絶の理由に引用された引用刊行物1,2の記載事項は、前記「2.(3)」に記載したとおりである。

5.対比・判断
本願発明は、前記「2.(1)」で認定した本願補正発明から、エネルギー分散型半導体X線検出器に関し、その用途の限定が省かれるとともに、X線検出素子に関し、「真空中で高温になっても特性劣化が生じることがない」との限定が省かれたものである。

そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含み、さらに他の発明特定事項を付加したものに相当する本願補正発明が、上記「2.(5)」に記載したとおり、引用刊行物1及び引用刊行物2に記載された発明並びに周知事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用刊行物1及び引用刊行物2に記載された発明並びに周知事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものである。

6.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用刊行物1及び引用刊行物2に記載された発明並びに周知事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-12-08 
結審通知日 2005-12-13 
審決日 2006-01-04 
出願番号 特願平9-70438
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G01T)
P 1 8・ 575- Z (G01T)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 青木 洋平中塚 直樹  
特許庁審判長 江塚 政弘
特許庁審判官 井口 猶二
上野 信
発明の名称 エネルギー分散型半導体X線検出器  
代理人 藤本 英夫  

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