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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01N
管理番号 1132083
審判番号 不服2004-21998  
総通号数 76 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2003-07-18 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-10-25 
確定日 2006-02-22 
事件の表示 特願2002-290341「電子ビーム検査方法」拒絶査定不服審判事件〔平成15年7月18日出願公開、特開2003-202307〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本件出願は、平成11年6月23日に出願した特願平11-176781号(1991年5月30日にアメリカ合衆国でされた特許出願(優先権主張番号第710351号)による優先権を主張して平成4年5月18日に特許出願がされた特願平4-124951号の一部を新たな特許出願としたもの)の一部を平成14年10月2日に新たな特許出願としたものであり、平成16年7月23日付けで拒絶査定がされ、同月27日に発送されたところ、同年10月25日に拒絶査定に対する審判が請求され、同年11月24日に手続補正書が提出されたものである。
そして、その特許を受けようとする発明は、平成16年5月18日に提出した手続補正書及び同年11月24日に提出した手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし16に記載されたとおりのものであるところ、その請求項1には以下のとおり記載されている。
「【請求項1】 フィールドエミッション電子源を用いて電子ビームを供給するステップと、荷電粒子ビームコラムを用いて、前記フィールドエミッション電子源からの電子ビームを基板表面に送りスキャンするステップと、少なくとも1つの荷電粒子検出器を使用して、前記基板の上面或いは底面から生じる、二次荷電粒子、後方散乱荷電粒子及び透過荷電粒子の3タイプの荷電粒子のうちの少なくとも一つの荷電粒子を検出するステップと、前記基板を保持するx-yステージを連続的に移動して、前記基板が前記荷電粒子ビームによりスキャンされている間に、前記基板に少なくとも一自由度の動きを与えるステップと、前記ステージの連続的な移動において生ずる高周波誤差を、干渉計からの位置データに基づき電子ビームを偏向することにより修正するステップと、を具備することを特徴とする基板の自動検査方法。」(以下、「本願発明」という。)

2.刊行物に記載された発明
(1)原査定の拒絶の理由に引用された本願の優先権主張の日前に頒布された刊行物である特開昭63-17523号公報(以下、「刊行物1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。
ア.「(1)設計データに基づいてブランキング制御されたビームを試料に照射して、その試料上に所定パターンを描画する電子ビーム描画装置において、前記試料に代えて取り付けられたマスクからの反射電子を検出してマスク上のパターンを撮像する像検出手段と、この像検出手段の出力から前記設計データに基づく設計パターンに対応させた撮像パターンデータを創成するための撮像パターンデータ発生手段と、該設計パターンデータと撮像パターンデータとを比較して該マスクのパターンの欠陥を検出する比較検査手段とを設け、前記電子ビームを走査しながら前記マスクの検査ができるよう構成したことを特徴とする電子ビーム描画装置。」(1頁左下欄5〜18行)
イ.「測長システム20は、Yテーブル16上に固定されX反射ミラー23と、このX反射ミラー23に向けてレーザ光を照射するための光源を含みX反射ミラー23からの反射光を受けてこれと基準光とを干渉することによってXテーブル12の移動変位ないし現在値を検出するレーザ干渉計24とから形成されている。なお、Y位置検出についても同様である(図示省略)。」(4頁左上欄5〜12行)
ウ.「電子光学系30はフレーム1の上部に設けられた電子銃3から射出された電子ビーム4を試料5上に所定のビーム径をもって所定の位置に照射できるようビームコントロールするための第1コンデンサレンズ31と第2コンデンサレンズ32と対物レンズ33とをこの順で上方から下方側に配置させて形成されている。電子銃3は電子を放出するカソードとビームを加速するアノードとからなる。また、第1コンデンサレンズ31と第2コンデンサレンズ32との間にはブランキング制御するためのブランキング電極35およびアパーチャ36が設けられ、第2コンデンサレンズ32と対物レンズ33との間にはビームをX軸方向に偏向させるための偏向電極37が設けられている。偏向電極37は印加する電圧を制御して試料5上に照射するビーム位置を移動させるものである。偏向電極37と対峙するY軸方向用の偏向電極は図示省略している。Yテーブル16の上方側に設けられた像検出手段である反射電子検出器39は試料5からの反射電子を検出し撮像パターンデータ発生手段を形成する校正ユニット90にその情報を出力するためのものである。」(4頁左上欄12行〜右上欄15行)
エ.「偏向制御ユニット80は、第5図(A)に示すようにCPU50から指令される偏向幅相当デジタル信号をアナログ信号に変換する偏向用D/A変換器81と、変換された信号を積分し鋸刃状波形信号を発生させる積分器83と、同様にCPU50の指令される偏向開始位置相当デジタル信号をアナログ信号に変換する偏向開始位置用D/A変換器82と、積分器83および偏向開始位置用D/A変換器82の両アナログ信号を加算してブランキング電極35(当審注:偏向電極37の誤記と認める)へ偏向制御信号を出力するための加算器85とを含み形成されている。なお、第1図に示される上記偏向電極37はX偏向用であり、Y偏向用の偏向電極を図示省略しているが、この偏向制御ユニット80は第5図に示した加算器85等々の2系列を設け形成されている。・・・また、偏向制御ユニット80は、テーブル12,16移動時の水平方向の蛇行や振動をリアルタイムで検出した測長システム20からの信号を受けてパターン位置の変動を補正する機能をも備えている。従って、描画および検査の精度を一層向上させることができる。」(5頁左下欄12行〜右下欄18行)
オ.「スキャン制御ユニット62は、測長システム20(第1図においてはY軸方向の測長システムは図示省略している)からXテーブル12およびYテーブル16の移動に伴って発生されるアップ/ダウンパルス信号をカウントして両テーブル12,16の現在値を求めCPU50がいつでも読み取れるようするとともにCPU50から指令されるスキャン開始位置Ps、スキャンピッチP、スキャン本数等の指令信号を受けて、スキャン開始位置Psに達するとビット変換ユニット70、偏向制御ユニット80にタイミング信号を送出でき、かつ指定された走査本数が完了するとこれを停止するよう形成されている。ここに、本装置の描画方法は第8図に示すようにX偏向電極37によって電子ビームをX軸方向に走査しつつYテーブル16をY軸方向に連続移動させるとともにXテーブル12を間歇的に移動させて第8図の点線で示したように帯状の領域毎にジグザグ走行させながら実線の方向に順次行われるものとされている。」(6頁左上欄20行〜右上欄18行)
カ.「テーブル制御ユニット64は、CPU50からの速度、方向および移動距離指定に基づき、内蔵したドライバ(図示省略)を介しモータ13,17を駆動させてXおよびYテーブル12,16を制御するものである。」(6頁右上欄19行〜左下欄3行)
キ.「(描画作業)・・・従って、スキャン制御ユニット62、テーブル制御ユニット64とを協働させ第8図で示すようにYテーブル16を移動させつつ偏向制御ユニット80によって一列目のX走査を行い、この一列目が完了したときにはXテーブル12を二列目の位置に移動させ、Yテーブル16を逆方向に移動し、図で点線で示すようにジグザグに試料5の所定領域に所定のパターンを描画することができる。」(8頁右上欄2行〜左下欄17行)
ク.「(マスク形成)描画作業完了後、描画された試料5をYテーブル16から取り外し、別個の装置によって試料5を現像し、エッチングを行う等所定の公知手順によってマスクを形成する。このようにして製造したマスクまたは別個の描画装置で製造したマスクをYテーブル16上の所定位置にセットする。」(8頁左下欄18〜右下欄5行)
ケ.「(検査作業)・・・次いで、先の設計データ・・・に基づきビット変換ユニット70、偏向制御ユニット80、スキャン制御ユニット62およびテーブル制御ユニット64を協働させて描画作業の場合と同様な手順によりマスク上に区画されたパターンをスキャンする。・・・(2)このデータセットが終了するころに移動させつつあったYテーブル16がスキャン開始位置Ps(第8図)に到達すると偏向制御ユニット80が行うビームスキャンに同期させるスキャン制御ユニット62のタイミング信号を基準としたシフトクロックSC1が発せられシフトレジスタ107にはコンパレータ108で2値化した撮像データが校正ユニット90からロードされる。」(8頁右下欄6行〜9頁右上欄19行)

コ.マスクの検査作業における電子ビームの走査に関し、上記摘記事項ケに「先の設計データ・・・に基づきビット変換ユニット70、偏向制御ユニット80、スキャン制御ユニット62およびテーブル制御ユニット64を協働させて描画作業の場合と同様な手順によりマスク上に区画されたパターンをスキャンする。」と記載されている。そして、描画作業におけるスキャンに関し、上記摘記事項キには「スキャン制御ユニット62、テーブル制御ユニット64とを協働させ第8図で示すようにYテーブル16を移動させつつ偏向制御ユニット80によって一列目のX走査を行い、この一列目が完了したときにはXテーブル12を二列目の位置に移動させ、Yテーブル16を逆方向に移動し、図で点線で示すようにジグザグに試料5の所定領域に所定のパターンを描画することができる。」と記載され、また、スキャン制御ユニット62に関し、上記摘記事項オに「ここに、本装置の描画方法は第8図に示すようにX偏向電極37によって電子ビームをX軸方向に走査しつつYテーブル16をY軸方向に連続移動させるとともにXテーブル12を間歇的に移動させて第8図の点線で示したように帯状の領域毎にジグザグ走行させながら実線の方向に順次行われるものとされている。」と記載されている。そして、上記摘記事項クに「このようにして製造したマスク・・・をYテーブル16上の所定位置にセットする。」と記載されていることからみて、刊行物1に記載された電子ビーム描画装置は、マスクの検査作業において、偏向制御ユニット80、スキャン制御ユニット62およびテーブル制御ユニット64を協働させてX偏向電極37によって電子ビームをX軸方向に走査しつつ、マスクが所定位置にセットされているYテーブル16をY軸方向に連続移動させるとともにXテーブル12を間歇的に移動させマスク上に区画されたパターンをスキャンすることが読み取れる。
サ.偏向制御ユニット80に関し、上記摘記事項エに「偏向制御ユニット80は、テーブル12,16移動時の水平方向の蛇行や振動をリアルタイムで検出した測長システム20からの信号を受けてパターン位置の変動を補正する機能をも備えている。」と記載されている。そして、マスクの検査作業についての上記摘記事項ケに「ビット変換ユニット70、偏向制御ユニット80、スキャン制御ユニット62およびテーブル制御ユニット64を協働させて・・・マスク上に区画されたパターンをスキャンする。」と記載され、上記摘記事項イに「測長システム20は、・・・移動変位ないし現在値を検出するレーザ干渉計24とから形成されている。なお、Y位置検出についても同様である」と記載されていることからみて、刊行物1に記載された電子ビーム描画装置は、マスクの検査作業において、偏向制御ユニット80によりXテーブル12及びYテーブル16移動時の水平方向の蛇行や振動をリアルタイムで検出したレーザ干渉計24からの信号を受けてパターン位置の変動を補正するものであることが読み取れる。
シ.電子ビームの走査をするための装置に関する上記摘記事項ウからみて、マスクの検査作業において、第1及び第2のコンデンサレンズ31、32、対物レンズ33、ブランキング電極35、アパーチャ36、偏向電極37により、電子銃3から射出された電子ビーム4を所定のビーム径をもってマスクの所定の位置にスキャンしており、また、反射電子検出器39によりマスクからの反射電子を検出するものであることが読み取れる。

そして、上記コ〜シの考察から、刊行物1には、電子ビーム描画装置によるマスクの検査方法に関して、次の発明が記載されているものと認められる。
「電子銃3から電子ビーム4を射出し、
第1及び第2のコンデンサレンズ31、32、対物レンズ33、ブランキング電極35、アパーチャ36、偏向電極37により、電子銃3からのの電子ビーム4をマスクの所定の位置にスキャンし、
反射電子検出器39によりマスクからの反射電子を検出し、
偏向制御ユニット80、スキャン制御ユニット62およびテーブル制御ユニット64を協働させてX偏向電極37によって電子ビームをX軸方向に走査しつつ、マスクが所定位置にセットされているYテーブル16をY軸方向に連続移動させるとともにXテーブル12を間歇的に移動させマスク上に区画されたパターンをスキャンし、
偏向制御ユニット80によって、Xテーブル12及びYテーブル16移動時の水平方向の蛇行や振動をリアルタイムで検出したレーザ干渉計24からの信号を受けてパターン位置の変動を補正するものであるマスクの検査方法。」(以下、「引用発明」という。)

(2)原査定の拒絶の理由に引用された本願の優先権主張の日前に頒布された刊行物である特開昭59-155941号公報(以下、「刊行物2」という。)には、図面ととも次の事項が記載されている。
ス.「本発明は、電子ビームを用いて、金属または半導体からなる基板上に絶縁膜を有する試料、あるいは該絶縁膜上に任意の形状の金属または半導体が孤立して形成された試料の、前記絶縁膜の欠陥を検査する電子ビーム検査装置に関する。」(1頁左下欄15〜19行)
セ.「第6図は、本発明の第1の実施例の電子ビーム検査装置の概略ブロック図である。この図において、11は電子ビーム源となる電界放射陰極で、尖針11aとこれに接続されたWフィラメント11bからなる。18は-1kV程度の直流高電圧の電源で、電界放射陰極11に電界放射のための電位を与える。19はフィラメント11bを通電加熱し1100℃近傍に保つための電源である。12はアノード、12aはアノード12の絞り孔で、電界放射陰極11からは電子が放射角1/4rad程度で絞り孔12aに放射される。」(4頁左下欄10行〜右下欄9行)

3.対比・判断
(1)引用発明の「電子ビーム4」、「マスク」、「反射電子検出器39」、「マスクからの反射電子」、「Xテーブル12及びYテーブル16」、「レーザ干渉計24」は、それぞれ本願発明の「電子ビーム」、「基板」、「少なくとも1つの荷電粒子検出器」、「基板の上面或いは底面から生じる、二次荷電粒子、後方散乱荷電粒子及び透過荷電粒子の3タイプの荷電粒子のうちの少なくとも一つの荷電粒子」、「x-yステージ」、「干渉計」に相当する。
(2)引用発明の「電子銃3」と本願発明の「フィールドエミッション電子源」とは、ともに「電子源」といえる。してみると、引用発明の「電子銃3から電子ビーム4を射出し」と本願発明の「フィールドエミッション電子源を用いて電子ビームを供給するステップ」とは、ともに「電子源を用いて電子ビームを供給するステップ」である点で共通する。
(3)引用発明において、電子ビームをスキャンするために用いられる、第1及び第2のコンデンサレンズ31、32、対物レンズ33、ブランキング電極35、アパーチャ36及び偏向電極37は、本願発明の「荷電粒子ビームコラム」に相当するものといえるから、引用発明の「第1及び第2のコンデンサレンズ31、32、対物レンズ33、ブランキング電極35、アパーチャ36、偏向電極37により、電子銃3からのの電子ビーム4をマスクの所定の位置にスキャンし」と本願発明の「荷電粒子ビームコラムを用いて、前記フィールドエミッション電子源からの電子ビームを基板表面に送りスキャンするステップ」とは、「電子源からの電子ビームを基板表面に送りスキャンするステップ」である点で共通する。
(4)引用発明の「反射電子検出器39によりマスクからの反射電子を検出し」は、本願発明の「少なくとも1つの荷電粒子検出器を使用して、前記基板の上面或いは底面から生じる、二次荷電粒子、後方散乱荷電粒子及び透過荷電粒子の3タイプの荷電粒子のうちの少なくとも一つの荷電粒子を検出するステップ」に相当する。
(5)引用発明は、Xテーブル12及びYテーブル16のうち、Yテーブル16が連続的に移動することで、そのYテーブル16の所定位置にセットされたマスクに一自由度の動きを与えるものであるから、引用発明の「電子ビームをX軸方向に走査しつつ、マスクが所定位置にセットされているYテーブル16をY軸方向に連続移動させるとともにXテーブル12を間歇的に移動させマスク上に区画されたパターンをスキャンし」は、本願発明の「前記基板を保持するx-yステージを連続的に移動して、前記基板が前記荷電粒子ビームによりスキャンされている間に、前記基板に少なくとも一自由度の動きを与えるステップ」に相当する。
(6)引用発明の検査方法においてYテーブルは連続移動していることから、Xテーブル12及びYテーブル16移動時の水平方向の蛇行や振動のうち、Yテーブル移動時の水平方向の振動は、その連続的な移動において生ずるものであって、本願発明の「ステージの連続的な移動において生ずる高周波誤差」と実質的な意味において異なるものではない。そして、刊行物1の第5図(A)及び上記摘記事項エに示されているように、偏向制御ユニット80は偏向電極37に偏向制御信号を出力し、電子ビーム4の偏向を制御するものであるから、引用発明の「パターン位置の変動を補正する」とは、電子ビームの偏向を制御してXテーブル12及びYテーブル16移動時の水平方向の蛇行や振動による変動を修正することを意味することは明らかである。したがって、引用発明の「Yテーブル16移動時の水平方向の振動をリアルタイムで検出したレーザ干渉計24からの信号を受けてパターン位置の変動を補正する」は、「ステージの連続的な移動において生ずる高周波誤差を、干渉計からの位置データに基づき電子ビームを偏向することにより修正するステップ」に相当する。
(7)引用発明のマスクを検査する方法は、偏向制御ユニット80、スキャン制御ユニット62およびテーブル制御ユニット64を協働させることで、Xテーブル12及びYテーブル16を移動させつつ電子ビームをX軸方向に走査させるものであるが、上記摘記事項エないしカに示されているように、偏向制御ユニット80、スキャン制御ユニット62およびテーブル制御ユニット64は、CPUからの指令のもとに動作するものであることからみて、引用発明の「マスクの検査方法」が自動でなされることは明らかである。したがって、引用発明の「マスクの検査方法」は本願発明の「基板の自動検査方法」に相当する。

以上(1)〜(7)から、本願発明と引用発明とは、以下の【一致点】で一致し、【相違点】で相違する。

【一致点】
電子源を用いて電子ビームを供給するステップと、荷電粒子ビームコラムを用いて、
前記電子源からの電子ビームを基板表面に送りスキャンするステップと、
少なくとも1つの荷電粒子検出器を使用して、前記基板の上面或いは底面から生じる、二次荷電粒子、後方散乱荷電粒子及び透過荷電粒子の3タイプの荷電粒子のうちの少なくとも一つの荷電粒子を検出するステップと、
前記基板を保持するx-yステージを連続的に移動して、前記基板が前記荷電粒子ビームによりスキャンされている間に、前記基板に少なくとも一自由度の動きを与えるステップと、
前記ステージの連続的な移動において生ずる高周波誤差を、干渉計からの位置データに基づき電子ビームを偏向することにより修正するステップと、
を具備することを特徴とする基板の自動検査方法。

【相違点】
本願発明が、電子源としてフィールドエミッション電子源を用いているのに対して、引用発明は、電子源について電子銃としか記載されていない点。

そこで、上記【相違点】について検討する。電子ビームを用いた検査装置に用いる電子源としてフィールドエミッション電子源を用いることは、上記刊行物2にも示されているとおり周知であり、引用発明の電子銃として、このような周知のフィールドエミッション電子源を用いることに格別の困難性はない。

そして、本願発明の奏する効果も、引用発明及び周知技術から容易に予測し得る程度のものである。

4.むすび
したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
そして、本願発明が特許を受けることができないものであるから、その余の請求項2ないし16に係る発明について審理するまでもなく、本願は、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-09-21 
結審通知日 2005-09-27 
審決日 2005-10-11 
出願番号 特願2002-290341(P2002-290341)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G01N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 堀部 修平  
特許庁審判長 瀧 廣往
特許庁審判官 山川 雅也
福田 裕司
発明の名称 電子ビーム検査方法  
代理人 白根 俊郎  
代理人 橋本 良郎  
代理人 村松 貞男  
代理人 鈴江 武彦  

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