ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 全部申し立て 特36 条4項詳細な説明の記載不備 B32B 審判 全部申し立て 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備 B32B 審判 全部申し立て 2項進歩性 B32B |
---|---|
管理番号 | 1132550 |
異議申立番号 | 異議2001-72507 |
総通号数 | 76 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1994-02-08 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2001-09-12 |
確定日 | 2005-12-12 |
異議申立件数 | 2 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3145196号「バリヤー性紙複合容器」の請求項1ないし4に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第3145196号の請求項1ないし4に係る特許を維持する。 |
理由 |
1.経緯 特許出願 平成4年7月21日 特許設定登録 平成13年1月5日 特許異議の申立て 申立人 三菱化学株式会社 平成13年9月10日 申立人 凸版印刷株式会社 平成13年9月12日 取消理由通知(第1回) 平成14年10月26日 訂正請求(第1回) 平成14年12月25日 (訂正請求取下書 平成17年8月26日) 特許異議意見書 平成14年12月25日 取消理由通知(第2回) 平成17年6月16日 訂正請求 平成17年8月26日 特許異議意見書 平成17年8月26日 2.訂正の適否 (1)訂正の内容 訂正事項(イ) 【特許請求の範囲】の請求項1に係る記載 「【請求項1】紙からなる層を有する基材層に、少なくとも内面層と酸素バリヤー層とが積層されてなる複合包装材料により形成されたバリヤー性紙複合容器において、上記酸素バリヤー層がけい素酸化物(SiOx)蒸着層を有する二軸延伸樹脂フィルムからなるとともに該酸素バリヤー層と上記内面層とが接着剤層を介して積層されていることを特徴とするバリヤー性紙複合容器。」を、 「【請求項1】紙からなる層を有する基材層に、少なくとも内面層と酸素バリヤー層とが積層されてなる複合包装材料により形成されたバリヤー性紙複合容器において、上記紙からなる層を有する基材層が、紙とポリオレフィン系樹脂層との積層体からなり、上記酸素バリヤー層が、けい素酸化物(SiOx)蒸着層を有する二軸延伸樹脂フィルムからなり、更に、上記紙からなる層を有する基材層と上記酸素バリヤー層とが、上記紙からなる層を有する基材層の上記ポリオレフィン系樹脂層の面と反対側の面と、上記酸素バリヤー層を構成する上記二軸延伸樹脂フィルムの面に設けたカルボキシル基含有ポリエチレン樹脂層の面との間に、カルボキシル基含有ポリエチレン樹脂を押し出しながら熱融着させて積層され、また、上記酸素バリヤー層と上記内面層とが、上記酸素バリヤー層を構成する上記けい素酸化物(SiOx)蒸着層の面と、上記内面層の面とを対向させてイソシアネート系接着剤層を介して積層されていることを特徴とするバリヤー性紙複合容器。 」に訂正する。 (2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張変更の存否 訂正事項イは、願書に添付した明細書の、段落【0010】の「基材層1としては、支持体11とポリオレフィン系樹脂層12との積層体が好適に用いられる。ここで、支持体11としては、たとえば紙……などを特に用いることが可能であり」、段落【0012】の「基材層1にはポリサンド層4を介して酸素バリヤー層2が積層されている。」、段落【0013】の「ここで、ポリサンド層4は、複合包装材料の製造工程において、酸素バリヤー層2と内面層3との積層体と基材層1とを熱融着する作用乃至機能を有する層であり、次に詳述する酸素バリヤー層2を構成するカルボキシル基含有ポリエチレン樹脂層23上にカルボキシル基含有ポリエチレン樹脂を押し出しながら基材層1を熱融着させることにより形成される。」、段落【0014】の「酸素バリヤー層2は、けい素酸化物(SiOx)の薄膜層21が蒸着された二軸延伸樹脂フィルム層22を有する層であり、たとえば、けい素酸化物(SiOx)の薄膜層21が蒸着された二軸延伸樹脂フィルム層22とカルボキシル基含有ポリエチレン樹脂層23とを積層してなる三層積層体が好適に用いられる。」、段落【0020】の「酸素バリヤー層2におけるけい素酸化物(SiOx)の薄膜層21が形成されている面には接着剤層5を介して内面層3が積層されている。」、段落【0023】の「酸素バリヤー層2と内面層3との間に介在する接着剤層5は、イソシアネート系接着剤を好適に用いて形成されている。」及び段落【0029】の「次に、上記の基材層における耐酸紙の露出している片面にカルボキシル基含有ポリエチレン樹脂(……)を押出しながら上記の3層積層体のカルボキシル基含有ポリエチレン樹脂層を熱融着することにより複合包装材料を作成した。」との記載に基づいて、 紙からなる層を有する基材層を、紙とポリオレフィン系樹脂層との積層体からなるものに特定し、紙からなる層を有する基材層と酸素バリヤー層との積層構造を、紙からなる層を有する基材層のポリオレフィン系樹脂層の面と反対側の面と、酸素バリヤー層を構成する二軸延伸樹脂フィルムの面に設けたカルボキシル基含有ポリエチレン樹脂層の面との間に、カルボキシル基含有ポリエチレン樹脂を押し出しながら熱融着させて積層されたものと特定し、さらに、酸素バリヤー層と上記内面層との積層構造を、酸素バリヤー層を構成するけい素酸化物(SiOx)蒸着層の面と、内面層の面とを対向させてイソシアネート系接着剤層を介して積層されていることに特定したものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当し、特許明細書又は図面に記載された範囲内においてするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。 (3)むすび 上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書、第2項及び第3項の規定に適合するので、この訂正を認める。 3.特許異議申立について (1)本件請求項1ないし4に係る発明 上記「2.訂正の適否」において記載したとおり、訂正前の本件請求項1ないし4は、適法な訂正により新たな請求項1ないし4となった。 本件請求項1ないし4に係る発明(以下、「本件発明1」ないし「本件発明4」という)は訂正後の明細書及び図面の記載からみてその特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定される、以下のとおりのものと認められる。 【特許請求の範囲】 【請求項1】紙からなる層を有する基材層に、少なくとも内面層と酸素バリヤー層とが積層されてなる複合包装材料により形成されたバリヤー性紙複合容器において、上記紙からなる層を有する基材層が、紙とポリオレフィン系樹脂層との積層体からなり、上記酸素バリヤー層が、けい素酸化物(SiOx)蒸着層を有する二軸延伸樹脂フィルムからなり、更に、上記紙からなる層を有する基材層と上記酸素バリヤー層とが、上記紙からなる層を有する基材層の上記ポリオレフィン系樹脂層の面と反対側の面と、上記酸素バリヤー層を構成する上記二軸延伸樹脂フィルムの面に設けたカルボキシル基含有ポリエチレン樹脂層の面との間に、カルボキシル基含有ポリエチレン樹脂を押し出しながら熱融着させて積層され、また、上記酸素バリヤー層と上記内面層とが、上記酸素バリヤー層を構成する上記けい素酸化物(SiOx)蒸着層の面と、上記内面層の面とを対向させてイソシアネート系接着剤層を介して積層されていることを特徴とするバリヤー性紙複合容器。 【請求項2】前記二軸延伸樹脂フィルムが二軸延伸ポリエステルフィルムである請求項1記載のバリヤー性紙複合容器。 【請求項3】前記二軸延伸樹脂フィルムが二軸延伸ポリビニルアルコールフィルムである請求項1記載のバリヤー性紙複合容器。 【請求項4】前記二軸延伸樹脂フィルムが二軸延伸エチレン-ビニルアルコール共重合体フィルムである請求項1記載のバリヤー性紙複合容器。 (2)特許異議申立の概要 (2)-1 特許異議申立人三菱化学株式会社(以下、「申立人A」という。)は、甲第1号証 実開平1-96879号(実願昭62-193057号)のマイクロフィルム、甲第2号証 実開平2-37878号(実願昭63-116977号)のマイクロフィルム、甲第3号証 特開平1-184127号公報、甲第4号証 特開平1-267032号公報を提出して、訂正前の請求項1ないし4に係る発明は、甲第1号証ないし甲第4号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1ないし4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるので、特許法第113条第1項第2号の規定により取り消されるべきものである旨、主張している。 (2)-2 特許異議申立人凸版印刷株式会社(以下、「申立人B」という。)は、甲第1号証 実開平2-43228号のマイクロフィルム、甲第2号証 特開平3-243340号公報、甲第3号証 特公昭53-12953号公報、甲第4号証 特公昭58-42027号公報を提出して、訂正前の請求項1ないし4に係る発明は、甲第1号証ないし甲第4号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1ないし4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるので、特許法第113条第1項第2号の規定により取り消されるべきものである旨、主張している。 (3)甲各号証の記載 (3)-1 申立人Aの提出した甲各号証の記載 甲第1号証には、以下の事項が記載されている。 A1-1「紙及び珪素酸化物の薄膜層を設けたプラスチックフィルムを主体としたマイクロ波透過性シートを積層してなる積層シートより形成したことを特徴とする液体容器」(実用新案登録請求の範囲)、 A1-2「図面の簡単な説明 第1図は本考案の一実施例を示す一部を切欠いた説明斜視図である。 (A)…容器 (1)(3)(6)…PE層 (2)………紙層 (4)………SiO蒸着層 (5)………PET層」(第5頁12-19行)」(図面の簡単な説明)、 A1-3 A1-2に記載された、(1)ないし(6)の各層が順次積層された積層構成を有するゲーベルトップ型の酒パック用の容器(A)の説明斜視図(第1図)。 甲第2号証には、以下の事項が記載されている。 A2-1「紙を主体とした積層構成のマイクロ波透過性のシートより形成したカップ容器本体と密封蓋とからなるカップ容器において、前記積層構成中にバリヤー性無機物層を設けたことを特徴とするカップ容器」(実用新案登録請求の範囲)、 A2-2「第1図は本考案の一実施例の一部分を切り欠いた説明断面図であり、容器本体(11)と該容器本体(11)の開口部周縁で密封シールした密封蓋(12)とからなるカップ容器(1)である。 容器本体(11)を形成するシートの構成は外側より、押し出しコートしたPE(a)/印刷(b1)を施した紙(b)/耐熱性接着剤(e)/PET(c)フィルム/SiO2(d)薄膜層/押し出しコートしたPE(a)であり、密封蓋(12)も容器本体(11)と同じ構成のシートである。」(第3頁12行-第4頁1行)、 A2-3「図面の簡単な説明 第1図は本考案の一実施例のカップ容器の一部を拡大して示した説明断面図である。 (1)……カップ容器 (11)……カップ容器本体 (12)……密封蓋 (a)……PE (b)……紙 (b1)……印刷 (c)……PET (d)……SiO2 (e)耐熱性接着剤」(図面の簡単な説明)、 A2-4 A2-2に記載された各層が、内側から順にa、d、c、e、b、b1、aの積層構成で積層されたものであるカップ容器(1)の説明断面図(第1図)。 甲第3号証には、以下の事項が記載されている。 A3-1「(1)ケン化度が99モル%以上のポリビニルアルコールからなり、温度120℃の条件における寸法変化率が2%の範囲内である延伸されたポリビニルアルコールフィルムの片方の面に、ケイ素酸化物の透明な薄膜層が形成されてなることを特徴とする、ガスバリヤ性の優れた透明プラスチックフィルム。 (2)ポリビニルアルコールフィルムの片方の面に形成されたケイ素酸化物の透明な薄膜層の面に、別の透明なプラスチック薄膜が積層形成されてなることを特徴とする、請求項(1)記載のガスバリヤ性の優れた透明プラスチックフィルム。」(特許請求の範囲請求項1、2)、 A3-2「食品、……等の包装材料に用いられる透明なプラスチックフィルムは、包装された内容物の変質を防ぐために、水蒸気や酸素などのガス透過率の小さい材質のものが用いられている。そして、さらに高度のガスバリヤ性が必要な包装材料の場合は、フィルムにアルミニウム箔を貼り合せたものや、フィルムの表面にアルミニウムを蒸着させたものが用いられてきた。 しかしながら、このような金属箔を用いた包装材料は、水蒸気や酸素などに対するガスバリヤ性には優れているものの、不透明であり、内容物を外から見ることができないという欠点があって、包装材料としては適当でない面があった。」(第1頁右下欄6-18行)、 A3-3「本発明者らは、かかる現状に鑑み、透明で、かつ高度のガスバリヤ性を有し、包装材料として好ましい性能を有するフィルムを提供することを目的とする。一般に、ポリビニルアコールフィルムは低湿度下では優れた酸素バリヤ性を有しているが、高湿度下では吸湿により分子構造が変化し、酸素バリヤ性が著しく低下する。しかしながら、本発明者らは、その物性および応用につき鋭意検討した結果、ポリビニルアルコールフィルムとして、高ケン化度のポリビニルアルコールよりなり高温における寸法変化率の少ない延伸フィルムを用い、このフィルムにケイ素酸化物の透明な薄膜層を設けると、得られる積層フィルムは、透明で、高湿度下での酸素バリヤ性が著しく向上したものとなるのみならず、水蒸気バリヤ性も著しく改善されたものとなることを知見し、これに基づいて、本発明を完成したものである。」(第2頁左下欄8行-同頁右下欄4行)、 A3-4「上記延伸フィルムはPVAフィルム製造時において、……二軸方向に延伸されたものであってもよい。」(第3頁左上欄13-18行)、 A3-5「本発明の目的は、上記、PVAフィルムの片面にケイ素酸化物の透明な薄膜層を設けたフィルムの透明な薄膜層の面に、別の透明なプラスチック薄膜を新たに設けることによって、一層効果的に達成される。」(第4頁左上欄17行-同頁右上欄1行)、 A3-6「また、本発明に係るガスバリヤ性の優れた透明プラスチックフィルムには、そのポリビニルアルコールフィルムの表面または他の表面、更には両面に、その使用形態に応じてフィルムのヒートシール性を向上させる物質を塗布したり積層してもよい。」(第4頁右下欄19行-第5頁左上欄4行)。 甲第4号証には、以下の事項が記載されている。 A4-1「(1)エチレン含有量20〜60モル%、ケン化度90%以上のエチレン-ビニルアルコール共重合体からなり、120℃、5分間の条件における縦方向及び横方向の寸法変化率の各々の絶対値の和が2%以下で、かつ上記条件における揮発減量が1重量%以下であり、少なくとも一軸方向に3倍以上延伸されたエチレン-ビニルアルコール共重合体フィルムの片方の面に、ケイ素酸化物の透明な薄膜層が形成されてなることを特徴とするガスバリヤ性の優れた透明プラスチックフィルム。 (2)エチレン-ビニルアルコール共重合体フィルムの片方の面に形成されたケイ素酸化物の透明な薄膜層の面に、別の透明なプラスチック薄膜が積層形成されてなることを特徴とする請求項(1)記載のガスバリヤ性の優れた透明プラスチックフィルム。(特許請求の範囲請求項1、2)、 A4-2「食品、……等の包装材料に用いられる透明なプラスチックフィルムは、包装された内容物の変質を防ぐために、水蒸気や酸素などのガス透過率の小さい材質のものが用いられている。そして、さらに高度のガスバリヤ性が必要な包装材料の場合は、フィルムにアルミニウム箔を貼り合せたものや、フィルムの表面にアルミニウムを蒸着させたものが用いられてきた。しかし、このような金属箔を用いた包装材料は、水蒸気や酸素などに対するガスバリヤ性には優れているものの、不透明であり、内容物を外から見ることができないという欠点があって、包装材料としては適当でない面があった。」(第1頁10行-第2頁2行)、 A4-3「本発明は、以上に述べた現状に鑑み、優れた透明性と高度のガスバリヤ性を有し、包装材料として好ましい性能を有するプラスチックフィルムを提供することを目的とする。一般に、エチレン-ビニルアルコール共重合体フィルムは、前述のように低湿度では優れた酸素バリヤ性を有しているが、高湿度下では吸湿により分子構造が変化し、酸素バリヤ性が著しく低下する。本発明者等は、このフィルムの物性とその応用について鋭意検討した結果、特定範囲のエチレン含有量で高ケン化度のエチレン-ビニルアルコール共重合体からなり、かつ、昇温下における寸法変化率及び揮発減量が共に小さい延伸エチレン-ビニルアルコール共重合体フィルムを用い、このフィルムにケイ素酸化物の透明な薄膜層を設けると、得られる積層フィルムが透明で、高湿度下での酸素バリヤ性が著しく向上したものとなるのみならず、水蒸気バリヤ性も著しく改善されたものとなることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成したものである。」(第2頁左下欄8行-同頁右下欄7行)、 A4-4「延伸倍率が3倍以上のものであれば、一軸延伸のみであっても、また二軸方向に延伸されたものであってもよい」(第3頁左下欄12-14行)、 A4-5「本発明の目的は、上記、エチレンービニルアルコール共重合体フィルムの片面にケイ素酸化物の透明な薄膜層を設けたフィルムの透明な薄膜層の面に、別の透明なプラスチック薄膜を新たに設けることによって、一層効果的に達成される」(第4頁左上欄17行-同頁右上欄1行)、 A4-6「また、本発明の透明プラスチックフィルムには、そのエチレン-ビニルアルコール共重合体フィルムの表面または他の表面、更には両面に、その使用形態に応じてフィルムのヒートシール性を向上させる物質を塗布したり積層してもよい」(第4頁右下欄20行-第5頁左上欄5行)。 (3)-2 申立人Bの提出した甲各号証の記載 甲第1号証には、以下の事項が記載されている。 B1-1「(1)紙を主体とした積層構成のマイクロ波透過性のシートより形成した液体紙容器において、前記積層構成中にバリヤー性無機物をコートした耐熱性フィルムを設けたことを特徴とする液体紙容器。」(実用新案登録請求の範囲)、 B1-2「この液体紙容器(A)は、外側よりPE(1)/紙(2)/ポリエステル(3)(以下PETという)/SiO2薄膜層(4)/PE(1)の積層構成よりなる。」(第3頁17-20行)、 B1-3「この実施例において、SiO2薄膜層(4)は通常行われている方法により、PET(3)フィルムを基材としてスパッタリング法、プラズマ法、真空蒸着法等の方法を用いて設けるが」(第4頁1-4行)、 B1-4「ここで、上記実施例において、バリヤー性無機物層にSiO2を用いたが、SiO、Si2O3、Si3O4等の珪素酸化物、珪素を用いてもよい。」(第4頁7-9行)。 甲第2号証には、以下の事項が記載されている。 B2-1「蒸着膜を設けた基体シートの蒸着膜面に三層のプラスチック層を積層して成り、かかる三層のプラスチックの中間層の融点が両側のプラスチック層の融点より低いことを特徴とする熱接着性蒸着シート。」(特許請求の範囲請求項1)、 B2-2「基体シート(1)がプラスチック単体から成る場合は、……ポリオレフィン……塩化ビニル系樹脂;ポリ塩化ビニリデン;ポリエステル;……ポリアミド;ポリカーボネート;ポリアクリロニトリル……アクリル酸系重合体……フッ素系樹脂;ポリウレタンなどが使用できる。」(第2頁右上欄12行-同頁左下欄10行)、 B2-3「(c)プラスチックと他の材料の積層材料からなる場合。 他の材料としては紙……などが使用できる。」(第3頁左下欄3-6行)、 B2-4「プラスチックは延伸または未延伸のものであって良い。」(第3頁左下欄14-15行)、 B2-5「金属の酸化物としては、SiOx、AlOx、SnOx、CuOx、FeOx、InOx、MgOx、PbOx、ZrOx、TaOx、TiOx、CaOx、あるいはITOなどである。」(第5頁左下欄20行-同頁右下欄3行)、 B2-6「IV.プラスチック層。 本発明にかかるプラスチック層は、蒸着膜(2)にクラックを生じることなく、熱接着を可能とするものである。」(第8頁左上欄4-7行)、 B2-7「なお、蒸着膜(2)は熱によりクラックを生じることがあるから、積層にあたっては、この蒸着膜(2)面に高温がかからない方法で積層することが望ましい。すなわち、接着剤による積層である。接着剤としてはウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤などが使用できる。」(第10頁左上欄6-12行)、 B2-8「VI.用途。 (a)包装材料。 本発明に係る蒸着シートは包装材料として使用できる。この蒸着シートにより密封された包装体は、外部の酸素などの流入などを遮断し、……内容物の長期保存を可能にする。」(第10頁左下欄-15行)、 B2-9「また、第7図A及びBは基体シート(1)が紙を含む場合の包装体を示している。かかる形状の包装体とその製造方法は公知であり、酒、ジュース、ミルク、コーヒーなどの液体飲料の容器として使用できる。」(第11頁左上欄5-9行)。 甲第3号証には、以下の事項が記載されている。 B3-1「厚さ5〜300μのフレキシブルプラスチツクフイルムの少なくとも片面に一般式SixOy(……)なる組成の珪素化合物の厚さ100〜3000Åの透明薄膜層を設けた高度の耐透気性と耐透湿性を有する透明フレキシブルプラスチツクフイルム」(特許請求の範囲第1項)、 B3-2「ベースとして用いられる透明なフレキシブルプラスチックフイルムとしては、セロフアン、ポリ塩化ビニール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、ポリビニル、アルコール等のプラスチックフイルムが用いられるが、」(第2頁3欄31-35行)、 B3-3「多くのプラスチックフイルムについて行なった実験結果のうちでは二軸延伸ナイロンフイルム、二軸延伸ポリエステルフイルムに関してのものが最も良好なる結果が得られた。」(第2頁3欄40-43行)。 甲第4号証には、以下の事項が記載されている。 B4-1「1 厚さ15〜100mμの金属あるいは金属化合物の蒸着を施した同種あるいは異種のフイルム・シートを、厚さ1.5ないし35μの接着層の両面に金属蒸着面を内側にしてラミネートすることを特徴とする包装用金属蒸着フイルム・シート複合体。」(特許請求の範囲第1項) B4-2「本発明において、金属蒸着の基板となるフイルム・シートには、いわゆるプラスチックフイルムやプラスチックからなるシート……などが対象となる。……プラスチックフイルム・シートの中では、代表的なものとしてポリエチレンテレフタレートを代表とするポリエステル……ポリビニルアルコール……ポリエチレン・ビニルアルコール共重合体……などが代表的なものとして挙げられるが必ずしもこれらに限定されないことは自明で、いずれにしても、これらのポリマーからなるフイルム上に金属が真空蒸着でき、且つ、ガス・水蒸気の透過遮断性が改良されるものがあてはまる。またこれらのフイルムは1軸あるいは2軸などの延伸・配向されたものでもよく或は無延伸のものでもよい。」(1頁2欄28行-2頁3欄17行)。 (4)取消理由の概要 (4)-1 第1回取消理由通知の概要 第1回取消理由通知の概要は、 (A)訂正前の請求項1に係る発明の、けい素酸化物(SiOx)蒸着層と二軸延伸樹脂フィルムと接着剤層と内面層との積層構成の態様が、けい素酸化物(SiOx)蒸着層/二軸延伸樹脂フィルム/接着剤層/内面層の場合には、接着剤層を設けたことによりどのような効果を生ずるのかが特許明細書中に記載されていないので、特許明細書の発明の詳細な説明中には、請求項1に係る発明について当業者が容易に実施できる程度に発明の効果に関する記載がなされているとは認められないから、請求項1ないし4に係る特許は、特許法第36条第4項の規定を満たしていない出願に対してなされたものと認められる、 (B)訂正前の請求項1ないし2に係る発明は、刊行物1(申立人Bの提出した甲第1号証に同じ。)及び刊行物2(申立人Bの提出した甲第2号証に同じ。)に記載された発明に基づいて、請求項3に係る発明は、前記刊行物1、前記刊行物2及び刊行物3(申立人Aの提出した甲第3号証に同じ。)に記載された発明に基づいて、請求項4に係る発明は、前記刊行物1、前記刊行物2及び刊行物4(申立人Aの提出した甲第4号証に同じ。)に記載された発明に基づいて、それぞれ、当業者が容易に発明をすることができたものと認められる、 というものである。 (4)-2 第2回取消理由通知の概要 第2回取消理由通知の概要は、第1回訂正後の明細書の記載に関し、 (C)請求項1に係る発明の接着剤がイソシアネート系接着剤以外の場合にもこの発明の効果が得られることが明細書中に記載されていないので、本件特許明細書の発明の詳細な説明には請求項1ないし4に係る発明を当業者が容易に実施できる程度に記載されていないから、請求項1ないし4に係る特許は、特許法第36条第4項に規定する要件を満たしていない出願に対してなされたものであり、 (D)請求項1の「上記紙からなる層を有する基材層を構成する上記ポリオレフィン系樹脂層の面と反対側の面と、」の記載は、「反対側の面」が何の反対側にあるのか不明であるので、請求項1に係る発明の構成に欠くことができない事項のみを記載したものではないから、本件請求項1及び当該請求項1を引用する請求項2ないし4に係る特許は、特許法第36条第5項及び第6項に規定する要件を満たしていない出願に対してなされたものである、というものである。 (5)当審の判断 (5)-1 取消理由についての判断 (5)-1-1 特許法第36条第4項又は第5項及び第6項違反(理由(A)、理由(C)及び理由(D))について 前記したとおり、請求項1に係る発明は訂正により、積層構造の層構成が、「二軸延伸樹脂フィルム/けい素酸化物(SiOx)蒸着層/接着剤層/内面層」と特定され、使用する接着剤はイソシアネート系接着剤に特定され、紙からなる層を有する基材層を構成するポリオレフィン系樹脂層の面と反対側の面とは、基材層におけるものであることが明瞭となったので、第1、第2回取消理由で通知した特許法第36条第4項又は第5項及び第6項違反に関する指摘事項は解消した。 (5)-1-2 特許法第29条第2項違反(理由(B))について 刊行物1ないし4の記載 刊行物1及び刊行物2には、上記3.(3)-2のB1-1〜B1-4、B2-1〜B2-9として適示したとおりの事項が記載され、刊行物3及び刊行物4には、上記3.(3)-1のA3-1〜A3-6、A4-1〜A4-6として適示したとおりの事項が記載されている。 対比・判断 (a)本件発明1について 刊行物1には、摘示B1-1ないしB1-4の記載から見て、外側より、PE(1)/紙(2)/ポリエステルフィルム(3)/SiO2薄膜層(4)/PE(1)の積層構成よりなる液体紙容器の発明(以下、「刊行物1発明」という。)が記載され、 その「PE(1)/紙(2)層」、「ポリエステルフィルム(3)/SiO2薄膜層(4)からなる層」及び「PE(1)層」は、それぞれ、本件発明1の「紙からなる層を有する基材層」、「けい素酸化物(SiOx)蒸着層を有する樹脂フィルムからなる酸素バリヤー層」及び「内面層」に対応すると認められるから、 本件発明1と刊行物1発明とを対比すると、両者は、ともに、紙からなる層を有する基材層に、少なくとも内面層と酸素バリヤー層とが積層されてなる複合包装材料により形成されたバリヤー性紙複合容器において、上記紙からなる層を有する基材層が、紙とポリオレフィン系樹脂層との積層体からなり、上記酸素バリヤー層がけい素酸化物(SiOx)蒸着層を有する樹脂フィルムからなるバリヤー性紙複合容器である点で共通しているが、 相違点1;蒸着層を有するフィルムが、本件発明1では、二軸延伸されたものであるのに対して、刊行物1発明では、ポリエステルフィルムと特定されているのみで、延伸されているか不明である点、 相違点2;紙からなる層を有する基材層と酸素バリヤー層とが、本件発明1では、紙からなる層を有する基材層のポリオレフィン系樹脂層の面と反対側の面と、酸素バリヤー層を構成する二軸延伸樹脂フィルムの面に設けたカルボキシル基含有ポリエチレン樹脂層の面との間に、カルボキシル基含有ポリエチレン樹脂を押し出しながら熱融着させて積層されているのに対して、刊行物1発明では、紙とポリエチレンフィルムとが積層されていることのみが明らかで、その積層手段について特定されていない点、 相違点3;上記酸素バリヤー層と上記内面層とが、本件発明1では、上記酸素バリヤー層を構成する上記けい素酸化物(SiOx)蒸着層の面と、上記内面層の面とを対向させてイソシアネート系接着剤層を介して積層されているのに対して、刊行物1発明では、けい素酸化物(SiOx)蒸着層と内面層とが積層されていることのみが明らかで、その積層手段について特定されていない点 で相違している。 そこで、先ず、相違点2について検討する。 刊行物2には、蒸着膜を設けた基体シートの蒸着膜面に三層のプラスチック層を積層して成り、かかる三層のプラスチックの中間層の融点が両側のプラスチック層の融点より低い熱接着性蒸着シートに係る発明が記載され、その蒸着膜を設けた基体シートにはプラスチックと紙との積層材料を用いることができると記載されていると認められるが、蒸着膜がプラスチックのいずれの層に形成されるか明らかでなく、ましてや、紙からなる層を有する基材層のポリオレフィン系樹脂層の面と反対側の面と、酸素バリヤー層を構成する二軸延伸樹脂フィルムの面に設けたカルボキシル基含有ポリエチレン樹脂層の面との間に、カルボキシル基含有ポリエチレン樹脂を押し出しながら熱融着させて積層されているという、相違点2に係る技術的事項については記載も示唆もされていない。 したがって、相違点2は、刊行物2に記載された事項に基づいて当業者が容易に想到し得たものとはいえない。 そして、本件発明1は、相違点2に係る技術的事項を構成に欠くことのできない事項の一部として有することにより、明細書に記載された、充填機によるシール時の熱によっても劣化することのない安定した酸素バリヤー性を有しているとともに充分な強度を有しており、しかも焼却後に灰分が残らず、焼却性に優れ、焼却による廃棄処理が容易なバリヤー性紙複合容器を提供することができるという効果を奏するものである。 したがって、本件発明1は、他の相違点について検討するまでもなく、刊行物1及び刊行物2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (b)本件発明2について 本件発明2は、本件発明1を引用するものであって、さらに、二軸延伸樹脂フィルムの材料を特定したものであるから、本件発明1について記載した理由と同じ理由により、本件発明2は、刊行物1及び刊行物2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (c)本件発明3及び本件発明4について 刊行物3、4には、摘示A3-1ないしA3-6及び摘示A4-1ないしA4-6によれば、共に、包装材料に関するものであって、ケイ素酸化物の透明な薄膜層を形成した特定の二軸延伸フィルム及び当該フィルムの樹脂面又は他面、さらには両面にフィルムのヒートシール性を向上させる物質を塗布又は積層したもので、二軸延伸フィルムの材料として、それぞれ、ポリビニルアルコール、エチレン-ビニルアルコール共重合体を用いたものが記載されているが、紙からなる基材を含む包装材料ではなく、層構成において相違し、特定の樹脂材料が包装フィルムとして用いられていることを示すために提示したものにすぎず、上記相違点2のような特定の樹脂層と同じ特定の樹脂を押し出し、溶融押出ラミネートすることについて記載するところはないことから、本件発明1を引用してさらに技術的事項を特定し、限定したものである本件発明3及び本件発明4は、本件発明1について記載した理由と同じ理由により、刊行物1、刊行物2及び刊行物3に記載された発明、刊行物1、刊行物2及び刊行物4に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 以上のとおりであるから、特許法第29条第2項違反(理由(B))に係る取消理由によっては、本件発明1ないし本件発明4に係る特許を取り消すことはできない。 (5)-2異議申立について (5)-2-1 申立人(A)の異議申立について (a) 本件発明1について 甲第1号証には、摘示A1-1ないしA1-3からみて、 外側より、PE層(1)/紙層(2)/PE層(3)/SiO蒸着層(4)/PET層(5)/PE層(6)の各層が順次積層された積層シートより形成した液体容器の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載され、 その「PE(1)/紙(2)層」、「PE層(3)/SiO蒸着層(4)/PET層(5)からなる層」及び「PE(6)層」は、それぞれ、本件発明1の「紙からなる層を有する基材層」、「けい素酸化物(SiOx)蒸着層を有する樹脂フィルムからなる酸素バリヤー層」及び「内面層」に対応すると認められるから、 本件発明1と甲1発明とを対比すると、両者は、ともに、紙からなる層を有する基材層に、少なくとも内面層と酸素バリヤー層とが積層されてなる複合包装材料により形成されたバリヤー性紙複合容器において、上記紙からなる層を有する基材層が、紙とポリオレフィン系樹脂層との積層体からなり、上記酸素バリヤー層がけい素酸化物(SiOx)蒸着層を有する樹脂フィルムからなるバリヤー性紙複合容器である点で共通しているが、 相違点1;蒸着層を有するフィルムが、本件発明1では、樹脂フィルムが二軸延伸されたものであるのに対して、甲1発明では、PE層(3)及びPET層(5)共に延伸されているか不明である点、 相違点2;紙からなる層を有する基材層と酸素バリヤー層とが、本件発明1では、紙からなる層を有する基材層のポリオレフィン系樹脂層の面と反対側の面と、酸素バリヤー層を構成する二軸延伸樹脂フィルムの面に設けたカルボキシル基含有ポリエチレン樹脂層の面との間に、カルボキシル基含有ポリエチレン樹脂を押し出しながら熱融着させて積層されているのに対して、甲1発明では、紙層(2)とPE層(3)とが積層されていることのみが明らかで、その積層手段について特定されていない点、 相違点3;上記酸素バリヤー層と上記内面層とが、本件発明1では、酸素バリヤー層を構成するけい素酸化物(SiOx)蒸着層の面と、内面層の面とを対向させてイソシアネート系接着剤層を介して積層されているのに対して、甲1発明では、酸素バリヤー層を構成するPET層(5)の面と内面層の面とを対向させて積層され、さらにその積層手段について特定されていない点 で相違している。 そこで、先ず、相違点2について検討する。 甲第2号証には、摘示A2-1ないしA2-4からみて、外側より、押し出しコートしたPE(a)/印刷(b1)を施した紙(b)/耐熱性接着剤(e)/PET(c)フィルム/SiO2(d)薄膜層/押し出しコートしたPE(a)であるシートで容器本体(11)を形成したカップ容器の発明が記載されていると認められるが、各層の積層手段については特に記載するところがなく、相違点2について記載するところはない。 また、甲第3、4号証には、前記(5)-1-2(c)に記載したとおり、相違点2について記載するところはない。 したがって、相違点2は、甲第2ないし4号証に記載された事項に基づいて当業者が容易に想到し得たものとはいえない。 そして、本件発明1は、相違点2に係る技術的事項を構成に欠くことのできない事項の一部として有することにより、明細書に記載された、充填機によるシール時の熱によっても劣化することのない安定した酸素バリヤー性を有しているとともに充分な強度を有しており、しかも焼却後に灰分が残らず、焼却性に優れ、焼却による廃棄処理が容易なバリヤー性紙複合容器を提供することができるという効果を奏するものである。 よって、本件発明1は、他の相違点について検討するまでもなく、甲第1号証ないし甲第4号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (b)本件発明2ないし4について 本件発明2ないし4は、本件発明1を引用するものであって、さらに、二軸延伸樹脂フィルムの材料を特定したものであるから、本件発明1について記載した理由と同じ理由により、本件発明2ないし4は、甲第1号証ないし甲第4号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (5)-2-1 申立人(B)の異議申立について (a)本件発明1について 甲第1号証には、上記(5)-1-2(a)において刊行物1に記載された発明として述べた発明が記載されており、本件発明1と甲第1号証に記載された発明とを対比すると、本件発明1と甲第1号証に記載された発明とは、上記(5)-1-2(a)において述べた、相違点1ないし相違点3において相違している。 そこで、先ず、相違点2について検討する。 甲第2号証には、上記(5)-1-2(a)において刊行物2について述べたように、相違点2に係る技術的事項については記載も示唆もされていない。 甲第3号証には、フレキシブルプラスチックフィルムの少なくとも片面にSixOyの透明薄膜層を設けた高度の耐透気性と耐透湿性を有する透明フレキシブルプラスチックフィルムの発明が記載されているが、各層の積層手段については特に記載がなく、上記相違点2に係る技術的事項については記載も示唆もされていない。 甲第4号証には、金属化合物蒸着フィルム・シートを使用したラミネート複合体に係る発明であって、金属蒸着の基板となるフィルム・シートとして高分子塗料をコーティングした紙を用いることができると記載されているが、各層の積層手段については特に記載がなく、上記相違点2に係る技術的事項については記載も示唆もされていない。 したがって、相違点2は、甲第2ないし4号証に記載された事項に基づいて当業者が容易に想到し得たものとはいえない。 そして、本件発明1は、上記相違点2に係る技術的事項を構成に欠くことのできない事項の一部として有することにより、明細書に記載された、充填機によるシール時の熱によっても劣化することのない安定した酸素バリヤー性を有しているとともに充分な強度を有しており、しかも焼却後に灰分が残らず、焼却性に優れ、焼却による廃棄処理が容易なバリヤー性紙複合容器を提供することができるという効果を奏するものである。 したがって、本件発明1は、他の相違点について検討するまでもなく、甲第1号証ないし甲第4号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (b)本件発明2ないし本件発明4について 本件発明2ないし4は、本件発明1を引用してさらにその技術的事項を特定し、限定したものであるから、本件発明1についての理由と同様の理由により、甲第1号証ないし甲第4号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 4.むすび 以上のとおりであるから、申立人A及び申立人Bの特許異議申立の理由及び証拠によっては本件発明1ないし4に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件発明1ないし4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 バリヤ-性紙複合容器 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】紙からなる層を有する基材層に、少なくとも内面層と酸素バリヤー層とが積層されてなる複合包装材料により形成されたバリヤー性紙複合容器において、上記紙からなる層を有する基材層が、紙とポリオレフィン系樹脂層との積層体からなり、上記酸素バリヤー層が、けい素酸化物(SiOx)蒸着層を有する二軸延伸樹脂フィルムからなり、更に、上記紙からなる層を有する基材層と上記酸素バリヤ-層とが、上記紙からなる層を有する基材層の上記ポリオレフィン系樹脂層の面と反対側の面と、上記酸素バリヤ-層を構成する上記二軸延伸樹脂フィルムの面に設けたカルボキシル基含有ポリエチレン樹脂層の面との間に、カルボキシル基含有ポリエチレン樹脂を押し出しながら熱融着させて積層され、また、上記酸素バリヤー層と上記内面層とが、上記酸素バリヤ-層を構成する上記けい素酸化物(SiOx)蒸着層の面と、上記内面層の面とを対向させてイソシアネ-ト系接着剤層を介して積層されていることを特徴とするバリヤー性紙複合容器。 【請求項2】前記二軸延伸樹脂フィルムが二軸延伸ポリエステルフィルムである請求項1記載のバリヤー性紙複合容器。 【請求項3】前記二軸延伸樹脂フィルムが二軸延伸ポリビニルアルコールフィルムである請求項1記載のバリヤー性紙複合容器。 【請求項4】前記二軸延伸樹脂フィルムが二軸延伸エチレン-ビニルアルコール共重合体フィルムである請求項1記載のバリヤー性紙複合容器。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本発明はバリヤー性複合容器に関し、さらに詳しくは充填機によるシール時の熱によっても劣化することがない安定した酸素バリヤー性を有しているとともに充分な強度を有し、しかも焼却後に灰分が残らず、焼却処理により容易に廃棄することができるバリヤー性紙複合容器に関する。 【0002】 【従来の技術】 基材層に少なくとも内面層と酸素バリヤー層とが積層されてなる複合包装材料により形成された複合容器は、たとえば清酒、ジュース、牛乳、ミネラルウォーター等の各種飲料が充填される液体用カートンとして広く利用されるに至っている。 【0003】 そして、従来の液体用カートンにおける酸素バリヤー層の形成材料としては、積層体中にアルミ箔の層を一層介在させることが一般に行なわれている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】 アルミ箔を酸素バリヤー層に用いて形成された液体用カートンにおいては、充填機によるシール時の熱によってもアルミ箔の酸素バリヤー性は劣化することがなく、したがって、安定した酸素バリヤー性は得られるものの、焼却適性が劣るために廃棄処理が容易ではないという欠点があった。 【0005】 本発明はかかる事情に基づいてなされたものであり、本発明の目的は、充填機によるシール時の熱によっても劣化することがない安定した酸素バリヤー性を有しているとともに充分な強度を有し、しかも焼却後に灰分が残らず、焼却により容易に廃棄処理することができるバリヤー性紙複合容器を提供することにある。 【0006】 【課題を解決するための手段】 上記の目的を達成するための本発明の構成は、紙からなる層を有する基材層に、少なくとも内面層と酸素バリヤー層とが積層されてなる複合包装材料により形成されたバリヤー性複合容器において、上記酸素バリヤー層がけい素酸化物(SiOx)蒸着層を有する二軸延伸樹脂フィルムからなるとともに該酸素バリヤー層と上記内面層とが接着剤層を介して積層されていることを特徴とするバリヤー性紙複合容器であり、前記二軸延伸樹脂フィルムが二軸延伸ポリエステルフィルムであるバリヤー性紙複合容器であり、前記二軸延伸樹脂フィルムが二軸延伸ポリビニルアルコールフィルムであるバリヤー性紙複合容器であり、前記二軸延伸樹脂フィルムが二軸延伸エチレン-ビニルアルコール共重合体フィルムであるバリヤー性紙複合容器である。 【0007】 【作用】 本発明のバリヤー性紙複合容器は、基材層に少なくとも内面層と酸素バリヤー層とが接着剤層を介して積層された複合包装材料からなり、酸素バリヤー層はけい素酸化物(SiOx)蒸着層を有する二軸延伸樹脂フィルムにより形成されている。 ここで、酸素バリヤー層には酸素バリヤー性に優れているとともに焼却後に灰分を残さないけい素酸化物(SiOx)蒸着層と充分な強度を有する二軸延伸樹脂フィルムとの積層体が用いられているため、このバリヤー性複合容器は安定した酸素バリヤー性を有しているとともに、焼却後においても灰分が残らず、したがって焼却適性が高く、しかも充分な強度を有している。 【0008】 【実施例】 次に、本発明の実施例について、図面を参照して説明する。 【0009】 図1に示すように、このバリヤー性紙複合容器の形成材料は基材層1に少なくとも酸素バリヤー層2と内面層3とが積層されてなるものである。 【0010】 基材層1としては、支持体11とポリオレフィン系樹脂層12との積層体が好適に用いられる。 ここで、支持体11としては、たとえば紙、二軸延伸ポリエステルフィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルムなどを特に好適に用いることが可能であり、この支持体11の厚さは、通常、100〜800μm程度であり、好ましくは100〜600μm程度である。 また、ポリオレフィン系樹脂層12は、たとえばポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂により形成されるが、各種ポリオレフィン系樹脂のなかでも、好ましいのは低密度ポリエチレンである。 このポリオレフィン系樹脂層12の厚さは、通常、10〜50μm程度であり、好ましくは20〜30μm程度である。 【0011】 上記の支持体11とポリオレフィン系樹脂層12とは、たとえば押出しラミネートされて基材層1が形成される。 【0012】 基材層1にはポリサンド層4を介して酸素バリヤー層2が積層されている。 【0013】 ここで、ポリサンド層4は、複合包装材料の製造工程において、酸素バリヤー層2と内面層3との積層体と基材層1とを熱融着する作用乃至機能を有する層であり、次に詳述する酸素バリヤー層2を構成するカルボキシル基含有ポリエチレン樹脂層23上にカルボキシル基含有ポリエチレン樹脂を押し出しながら基材層1を熱融着させることにより形成される。 このようなポリサンド層4の厚さは、通常、10〜30μm程度である。 【0014】 酸素バリヤー層2は、けい素酸化物(SiOx)の薄膜層21が蒸着された二軸延伸樹脂フィルム層22を有する層であり、たとえば、けい素酸化物(SiOx)の薄膜層21が蒸着された二軸延伸樹脂フィルム層22とカルボキシル基含有ポリエチレン樹脂層23とを積層してなる三層積層体が好適に用いられる。 【0015】 けい素酸化物(SiOx)の薄膜層21は、二軸延伸樹脂フィルム層22上に例えば二酸化けい素(SiO2)薄膜を蒸着することにより形成されている。 このけい素酸化物(SiOx)の薄膜の形成方法としては、たとえばイオンビーム法、電子ビーム法などの真空蒸着法が好適に採用される。 【0016】 このようなけい素酸化物(SiOx)の薄膜層21の厚さは、通常、20nm以上であり、好ましくは30〜150nm程度である。 ただし、この厚さが30nm未満であると、酸素バリヤー性が充分に発現しないことがある。 一方、150nmを超えると、この薄膜層21にクラックが入り易くなって酸素バリヤー性が劣化する恐れが生じるとともにコストが割高となり、好ましくない。 【0017】 けい素酸化物(SiOx)の薄膜層21が蒸着される二軸延伸樹脂フィルム層22は、たとえばポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、エチレン-ビニルアルコール共重合体樹脂、ポリスチレン樹脂などの熱可塑性樹脂を二軸延伸してなるフィルムにより形成されている。 これらの各種二軸延伸樹脂フィルムのなかでも、好ましいのは二軸延伸ポリエステルフィルム、二軸延伸ポリビニルアルコールフィルム、二軸延伸エチレン-ビニルアルコール共重合体フィルムである。 【0018】 この二軸延伸樹脂フィルム層22の厚さは、通常、12〜25μm程度であり、好ましくは12〜16μm程度である。 【0019】 図1に示した複合包装材料においては、二軸延伸樹脂フィルム層22におけるけい素酸化物(SiOx)の薄膜層21が蒸着されている面とは反対側の面にはカルボキシル基含有ポリエチレン樹脂層23が積層されている。 このカルボキシル基含有ポリエチレン樹脂層23は、酸素バリヤー層2にヒートシール性を付与する作用乃至機能を有する層であり、カルボキシル基含有ポリエチレン樹脂層23を形成するカルボキシル基含有ポリエチレン樹脂としては、たとえばエチレン-メタクリル酸共重合樹脂(EMAA)、エチレン-アクリル酸共重合樹脂(EAA)、アイオノマー樹脂、エチレン-無水マレイン酸共重合樹脂、エチレン-エチルアクリレート-無水マレイン酸共重合樹脂などが挙げられる。 たとえばこれらのカルボキシル基含有ポリエチレン樹脂により形成されるカルボキシル基含有ポリエチレン樹脂層23の厚さは、通常、10〜30μm、好ましくは10〜20μmである。 【0020】 酸素バリヤー層2におけるけい素酸化物(SiOx)の薄膜層21が形成されている面には接着剤層5を介して内面層3が積層されている。 【0021】 ここで、内面層3は、容器の形状に形成したときに、内容物と接する層であり、形成材料としてはポリエチレン樹脂が好ましく、低密度ポリエチレンは特に好ましい。 【0022】 この内面層3の厚さは、通常、40〜100μm程度であり、好ましくは60〜100μm程度である。 【0023】 酸素バリヤー層2と内面層3との間に介在する接着剤層5は、イソシアネート系接着剤を好適に用いて形成されている。 ここで、イソシアネート系接着剤としては、たとえばポリエステルポリウレタン系接着剤、ポリエーテルポリウレタン系接着剤を主剤とし、このような主剤にトリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネートなどの硬化剤を添加させる二液硬化タイプの接着剤が挙げられる。 【0024】 この接着剤層5の厚さは、通常、2〜10g/m2、好ましくは2〜5g/m2である。 【0025】 このような構成の複合包装材料からなるバリヤー性紙複合容器の形態としては、たとえば図2に示すようなゲーベルトップ型の有底容器50が挙げられる。 そして、このバリヤー性複合容器は、たとえば清酒、ジュース、ミネラルウォーター、牛乳などが充填される液体用カートンに好適に利用可能である。 【0026】 次に、実験例を示し、このバリヤー性紙複合容器についてさらに詳細に説明する。 実験例1 けい素酸化物(SiOx)の蒸着層(厚さ0.07μm)を有する二軸延伸ポリエステルフィルム(厚さ12μm、三菱化成ポリテック社製「テックバリアU」)を用いてなる酸素バリヤー層(厚さ12.07μm)の蒸着層側にイソシアネート接着剤(武田薬品工業社製「タケラックA-515」及び「タケネートA-50」)を塗布して接着剤層(厚さ5g/m2)を形成し、この接着剤層に低密度ポリエチレン樹脂フィルム(タマポリ社製「A-1」)を用いてなる内面層(厚さ100μm)を積層して酸素バリヤー層と内面層との2層積層体を得た。 【0027】 次いで、上記の2層積層体における内面層とは反対側の面にアンカーコート剤(武田薬品工業社製「タケラックA-310」及び「タケネートA-3」)を塗布してアンカーコート層(厚さ3g/m2)を形成し、このアンカーコート層の上にカルボキシル基含有ポリエチレン樹脂(三井デュポンポリケミカル社製「ニュークレル0908C」)を押出ラミネートして厚さ15μmのカルボキシル基含有ポリエチレン樹脂層を形成することにより内面層と酸素バリヤー層とカルボキシル基含有ポリエチレン樹脂層との3層積層体を作成した。 【0028】 一方、坪量400g/m2の耐酸紙を用いてなる支持体の片面に低密度ポリエチレン樹脂(三井石油化学工業社製「ミラソン16sp」)を押出ラミネートして厚さ30μmのポリオレフィン系樹脂層を形成することにより2層積層体構造の基材層を作成した。 【0029】 次に、上記の基材層における耐酸紙の露出している片面にカルボキシル基含有ポリエチレン樹脂(三井デュポンポリケミカル社製「ニュークレル0908C」)を押出しながら上記の3層積層体のカルボキシル基含有ポリエチレン樹脂層を熱融着することにより複合包装材料を作成した。 【0030】 得られた複合包装材料を所定の大きさに打ち抜いた後、所定の製函工程により85mm×85mm、高さ300mmの大きさでゲーベルトップ型の有底容器サンプルを作成し、この有底容器サンプルについて酸素バリヤー性、容器強度および焼却性を測定した。 【0031】 結果を表1に示す。 【0032】 なお、酸素バリヤー性、容器強度および焼却性はそれぞれ下記の条件で測定した。 酸素バリヤー性;常温、常圧下で有底容器サンプルの酸素透過量を測定した。 なお、この測定にはモダンコントロール社製「オキシトラン」を使用した。 容器強度;30cmの高さから有底容器サンプルを底面側から落下させ、液洩れ状態を判定し、(液洩れした容器数)/(落下試験を行なった容器数)の割合で評価した。 焼却性;有底容器サンプル1個を完全に焼却処理して灰分の残り具合を判定した。 【0033】 ※(液漏れした容器数)/(落下試験を行った全容器数) 比較実験例1 前記実験例1において、けい素酸化物(SiOx)の蒸着層を有する二軸延伸ポリエステルフィルム(三菱化成ポリテック社製「テックバリアU」)と低密度ポリエチレン樹脂フィルム(タマポリ社製「A-1」)からなる内面層とを接着層により積層して2層積層体を作成するのに代えてけい素酸化物(SiOx)の蒸着層を有する二軸延伸ポリエステルフィルム(三菱化成ポリテック社製「テックバリアU」)の蒸着層側に20μmの低密度ポリエチレン樹脂(三井石油化学工業社製「ミラソン16sp」)を押出しながら厚さ80μmの内面層を熱融着させラミネートして2層積層体を作成したほかは、前記実験例1と同様にして複合包装材料を形成した。 【0034】 次いで、上記の複合包装材料を用いて前記実験例1と同様にして有底容器サンプルを作成し、得られた有底容器サンプルについて酸素バリヤー性、容器強度および焼却性を測定した。 【0035】 結果を表1に示す。 【0036】 比較実験例2 前記実験例1において、けい素酸化物(SiOx)の蒸着層を有する二軸延伸ポリエステルフィルム(厚さ12μm、三菱化成ポリテック社製「テックバリアU」)を用いてなる酸素バリヤー層に代えてポリエステルフィルム(厚さ12μm、東洋紡社製「E4100」)とアルミ箔(厚さ9μm、東海金属社製「IN-30」)との2層積層体を用いてなる酸素バリヤー層を形成したほかは、前記実験例1と同様にして複合包装材料を形成した。 【0037】 次いで、上記の複合包装材料を用いて前記実験例1と同様にして有底容器サンプルを作成し、得られた有底容器サンプルについて酸素バリヤー性、容器強度および焼却性を測定した。 【0038】 結果を表1に示す。 【0039】 結果の検討 表1から明らかなように、実験例1の有底容器サンプルは良好な酸素バリヤー性および高い強度を有しており、しかも焼却後に灰分を残さず、良好な焼却性を有していることが確認された。 これに対し、比較実験例1の有底容器サンプルは強度および焼却性は良好ではあるが、実験例1の有底容器サンプルに比較して酸素バリヤー性が劣っていた。 その理由は、比較実験例1の有底容器サンプルにおいては、酸素バリヤー層と内面層とが押出ラミネートにより積層されているため、押出ラミネートの際の熱によりけい素酸化物の蒸着層がダメージを受けたものと推測される。 一方、比較実験例2の有底容器サンプルは、酸素バリヤー性および強度は良好であるものの焼却後に灰分が残り、焼却性が劣っていた。 【0040】 【発明の効果】 以上に詳述したとおり、本発明によれば、充填機によるシール時の熱によっても劣化することのない安定した酸素バリヤー性を有しているとともに充分な強度を有しており、しかも焼却後に灰分が残らず、焼却性に優れ、焼却による廃棄処理が容易なバリヤー性紙複合容器を提供することができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明のバリヤー性紙複合容器の形成材料に好適に用いられる複合包装材料の構成例を示す断面図である。 【図2】 本発明の一実施例を示す説明図である。 【符号の説明】 1…基材層 2…酸素バリヤー層 3…内面層 5…接着剤層 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2005-11-21 |
出願番号 | 特願平4-193796 |
審決分類 |
P
1
651・
534-
YA
(B32B)
P 1 651・ 121- YA (B32B) P 1 651・ 531- YA (B32B) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 中島 庸子 |
特許庁審判長 |
石井 淑久 |
特許庁審判官 |
鴨野 研一 石井 克彦 |
登録日 | 2001-01-05 |
登録番号 | 特許第3145196号(P3145196) |
権利者 | 大日本印刷株式会社 |
発明の名称 | バリヤー性紙複合容器 |
代理人 | 金山 聡 |
代理人 | 長谷川 曉司 |
代理人 | 金山 聡 |