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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  H04N
管理番号 1132561
異議申立番号 異議2003-73709  
総通号数 76 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2002-03-15 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-12-26 
確定日 2005-12-12 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3440451号「画像印刷装置」の請求項1から請求項6までに係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3440451号の請求項1から請求項4までに係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
本件特許(特許第3440451号、設定登録時の請求項の数:6)に係る発明についての出願は、平成12年8月29日の出願であり、その発明について、平成15年6月20日に特許権の設定の登録がされた。
その後、その請求項1から請求項6まで(全請求項)に係る特許について平成15年12月26日に、上杉則亮から特許異議の申立てがあった。
平成17年5月18日付けで取消しの理由が通知されたところ、同通知において指定された期間内(平成17年7月26日)に、訂正請求書が提出された。

2.訂正の請求
(1)結論
訂正を認める。
(2)理由
(a)請求の趣旨
平成17年7月26日付け訂正請求書(本件訂正という)の趣旨は、願書に添付した明細書(特許明細書)を訂正請求書に添付した訂正した明細書(訂正明細書)のとおりに訂正することを求めるものである。
(b)訂正の内容
〈訂正事項1〉
請求項1において、
「被写体を撮影する撮影手段と、前記撮影手段により撮影された前記被写体の画像に対応する光を投光する投光手段と、前記投光手段により投光された光に対応する画像を表示する表示手段と、前記表示手段により表示された前記画像に対する編集情報を入力する入力手段と、前記入力手段からの編集入力を受け付ける受付手段と、前記受付手段により受け付けられた前記編集入力に基づいて前記画像を編集する編集手段と、前記編集手段により編集された前記画像を印刷する印刷手段とを備え、
前記受付手段は、前記表示手段に表示された前記画像に対する前記編集入力の入力位置を、前記入力手段から、前記表示手段を介して筐体内部に入射された光を検出することにより受け付けることを特徴とする画像印刷装置。」(訂正前)とあるのを、
「被写体を撮影する撮影手段と、前記撮影手段が撮影するとき、前記被写体に光を照射する複数の照射手段と、筐体内部に設置され、前記撮影手段により撮影された前記被写体の画像に対応する光を投光する投光手段と、前記投光手段により投光された光に対応する画像を表示する表示手段と、前記表示手段に対して光を発することにより、前記表示手段により表示された前記画像に対する編集情報を入力する2つの入力手段と、前記入力手段からの編集入力を受け付ける受付手段と、前記受付手段により受け付けられた前記編集入力に基づいて前記画像を編集する編集手段と、前記編集手段により編集された前記画像を印刷する印刷手段とを備え、
前記複数の照射手段は、前記投光手段の左右近傍に設置され、前記表示手段を介して、前記被写体に光を照射し、前記受付手段は、前記投光手段の奥行き方向に設けられ、前記表示手段に表示された前記画像に対する前記編集入力の入力位置を、前記入力手段から、前記表示手段を介して前記筐体内部に入射された光を検出することにより受け付けることを特徴とする画像印刷装置。」(訂正後)と訂正する。
〈訂正事項2〉
請求項2を削除する。
〈訂正事項3〉
請求項3を削除する。
〈訂正事項4〉
請求項4(訂正前)を新たに請求項2とし、
請求項4(訂正前)に、
「前記撮影手段が前記被写体を撮影するとき、前記表示手段には、その全面に白の画像が表示されることを特徴とする請求項2に記載の画像印刷装置。」(訂正前)とあるのを、
「前記撮影手段が前記被写体を撮影するとき、前記表示手段には、その全面に白の画像が表示されることを特徴とする請求項1に記載の画像印刷装置。」(訂正後)と訂正する。
〈訂正事項5〉
請求項5(訂正前)を新たに請求項3とし、
請求項5(訂正前)に、
「前記表示手段は、利用者が選択した所定のマークを表示し、前記撮影手段は、前記表示手段が前記マークを表示したとき、前記被写体を撮影することを特徴とする請求項1、2または3に記載の画像印刷装置。」(訂正前)とあるのを、
「前記表示手段は、利用者が選択した所定のマークを表示し、前記撮影手段は、前記表示手段が前記マークを表示したとき、前記被写体を撮影することを特徴とする請求項1に記載の画像印刷装置。」(訂正後)と訂正する。
〈訂正事項6〉
請求項6(訂正前)を新たに請求項4とし、
請求項6(訂正前)に、
「前記撮影手段を上下左右に案内するレールをさらに備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の画像印刷装置。」(訂正前)とあるのを、
「前記撮影手段を上下左右に案内するレールをさらに備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の画像印刷装置。」(訂正後)と訂正する。
〈訂正事項7〉
段落0006および段落0008を訂正する(訂正の内容は省略)。

(c)訂正の適合性
(c-1)訂正の目的および訂正の範囲
〈訂正事項1〉
「前記撮影手段が撮影するとき、前記被写体に光を照射する複数の照射手段と、」(訂正後)との事項は、「画像印刷装置」(訂正前)にその構成要素の一つを付加してその構成を限定するものである。特許請求の範囲の減縮に該当する。そして、当該事項は、特許明細書の段落0036および図3に記載されている。
「筐体内部に設置され、」(訂正後)との事項は、「撮影手段により撮影された被写体の画像に対応する光を投光する投光手段」(訂正前)につき、その設置場所を限定するものである。特許請求の範囲の減縮に該当する。そして、当該事項は、特許明細書の段落0026および図3に記載されている。
「前記表示手段に対して光を発することにより、」(訂正後)および「2つの」(訂正後)との事項は、「表示手段により表示された画像に対する編集情報を入力する入力手段」(訂正前)につき、その入力態様および個数を限定するものである。特許請求の範囲の減縮に該当する。そして、当該事項は、明細書の段落0028および図3に記載されている。
「前記複数の照射手段は、前記投光手段の左右近傍に設置され、前記表示手段を介して、前記被写体に光を照射し、」(訂正後)との事項は、「画像印刷装置」(訂正前)にその構成要素の一つとして付加することとした上記「照射手段」の設置場所を特定するものである。前記のとおり、上記「照射手段」の付加が特許請求の範囲の減縮に該当することから、当該事項も特許請求の範囲の減縮に該当する。そして、当該事項は、特許明細書の段落0036および段落0058に記載されている。
「前記投光手段の奥行き方向に設けられ、」(訂正後)との事項は、「受付手段」(訂正前)につき、その設置場所を限定するものである。特許請求の範囲の減縮に該当する。そして、当該事項は、特許明細書の段落0037および図3に記載されている。
〈訂正事項2〉および〈訂正事項3〉
請求項の削除であり、特許請求の範囲の減縮に該当する。
〈訂正事項4〉から〈訂正事項6〉まで
請求項2および請求項3を削除したことに伴い請求項の番号を繰り上げるとともに引用関係を整理するものである。明りょうでない記載の釈明に該当する。なお、新たな請求項2から請求項4までは新たな請求項1を引用するので、特許請求の範囲の減縮に該当する。
〈訂正事項7〉
各訂正は、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合をとるためにする訂正である。いずれも、明りょうでない記載の釈明に該当する。
以上、訂正事項1から訂正事項7までは、訂正の目的に該当し、願書に添付した明細書または図面に記載した事項の範囲内においてする訂正である。
(c-2)特許請求の範囲の拡張・変更
訂正事項1から訂正事項7までについては、訂正の前後において、特許請求の範囲の記載された用語の意義の解釈、産業上の利用分野、解決しようとする課題及び効果に変更をもたらすものではない。いずれも、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。
(c-3)独立特許要件
訂正後の請求項1から請求項4までについてする訂正がいずれも特許請求の範囲の減縮に該当することは前記のとおりであるところ、そのうち、特許異議の申立てがされていない請求項はない。
(c-4)まとめ(適合性)
以上、本件訂正は、特許法第120条の4第2項の規定および同条第3項で準用する第126条第2項から第4項までの規定に適合する。
(d)むすび
以上のとおりであるから、本件訂正を認める。

3.本件発明
本件訂正を認める。
本件において、訂正後の請求項1から請求項4までに係る発明は、それぞれ、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1から請求項4までに記載した事項によりに特定される下記のとおりのものである。
記(訂正明細書の特許請求の範囲)
【請求項1】 被写体を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段が撮影するとき、前記被写体に光を照射する複数の照射手段と、
筐体内部に設置され、前記撮影手段により撮影された前記被写体の画像に対応する光を投光する投光手段と、
前記投光手段により投光された光に対応する画像を表示する表示手段と、
前記表示手段に対して光を発することにより、前記表示手段により表示された前記画像に対する編集情報を入力する2つの入力手段と、
前記入力手段からの編集入力を受け付ける受付手段と、
前記受付手段により受け付けられた前記編集入力に基づいて前記画像を編集する編集手段と、
前記編集手段により編集された前記画像を印刷する印刷手段と
を備え、
前記複数の照射手段は、前記投光手段の左右近傍に設置され、前記表示手段を介して、前記被写体に光を照射し、
前記受付手段は、前記投光手段の奥行き方向に設けられ、前記表示手段に表示された前記画像に対する前記編集入力の入力位置を、前記入力手段から、前記表示手段を介して前記筐体内部に入射された光を検出することにより受け付ける
ことを特徴とする画像印刷装置。
【請求項2】 前記撮影手段が前記被写体を撮影するとき、前記表示手段には、その全面に白の画像が表示される
ことを特徴とする請求項1に記載の画像印刷装置。
【請求項3】 前記表示手段は、利用者が選択した所定のマークを表示し、前記撮影手段は、前記表示手段が前記マークを表示したとき、前記被写体を撮影する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像印刷装置。
【請求項4】 前記撮影手段を上下左右に案内するレールをさらに備える
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の画像印刷装置。

4.特許異議の申立て
(4-1)申立ての理由
特許異議の申立ての理由は、概略、下記のとおりである。
記(申立ての理由)
対 象:請求項1から請求項6まで
違反条項:特許法第29条第2項
証拠方法:特開2000-69404号公報(甲第1号証)
特開平7-244337号公報(甲第2号証)
特開平11-149111号公報(甲第3号証)
「シリーズ日本カメラ(No.101)、人物の写し方、「補助 光」、(160〜162頁)、1994年3月、株式会社日本カ メラ社」(甲第4号証)
「荒木英二、ARA-JIN写真セミナー、インターネット <URL:http://www.fujicolorasami.co.jp(略)>、
基本編第7回 光の話-1(屋外編)」(甲第5号証)
特開平10-239760号公報(甲第6号証)
特許第2986544号公報(甲第7号証)
特開2000-194061公報(甲第8号証)

(4-2)申立ての理由の検討
(1)本件各発明について
(a)訂正後の請求項1から請求項4までに係る発明(本件各発明)が備える下記の構成(主要構成)は、申立人が提出した証拠方法のいずれにも記載されていない。また、各証拠方法に記載された事項を組み合わせても導き出すことはできない。
記(本件各発明が備える主要構成)
複数の照射手段は、投光手段の左右近傍に設置され、受付手段は、投光手段の奥行き方向に設けられること。
(b)そして、本件各発明は、上記主要構成を備えることにより、「被写体を照明する光の光源を、投光手段の近傍に配置することにより、映像用光源のための反射板と、撮影用光源のための反射板とを、それぞれ分けて配置することなく、図3に示すように、反射板42を1つ設置するだけで、構成することが可能となる。」(段落0013)、「映像出力装置41の奥行方向には、さらに、入力位置検出カメラ45が設けられており、利用者がライトペン14L、14Rを操作して入力する編集入力の、スクリーン13に表示された画像に対応する入力位置を検出する。すなわち、ライトペン14L、14Rから発せられ、スクリーン13を透過して筐体10の内部に入射された赤外線は、反射板42で反射され、可視光遮断フィルタ46を介して入力位置検出カメラ45により受光される。なお、可視光遮断フィルタ46は、赤外線以外の成分の光を遮断し、ライトペン14L、14Rから発せられた赤外線のみを入力位置検出カメラ45に供給する。」(段落0037)、および、「【発明の効果】本発明の画像印刷装置によれば、撮影した画像を、プロジェクション方式で、大きなスクリーンに表示するようにしたので、多くの利用者が、編集情報を迅速かつ効率的に入力することができる。」(段落0080)との効果を奏するものである。
(c)訂正後の請求項1から請求項4までに係る発明は、上記証拠方法に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである、とすることはできない。

(2)証拠方法の検討
提出された証拠方法について検討を加えておく。
(a)甲第1号証(特開2000-69404号公報)
(a1)甲第1号証には、「画像プリント作成装置」に関して以下の事項が記載されている。
(ア)「【発明の属する技術分野】本発明は、利用者の撮影画像をシール台紙などのプリント台紙に印刷して出力する画像プリント作成装置に関し、特に撮影した利用者の写真画像上に好みの化粧を施してプリントすることができる画像プリント作成装置に関する。」(段落0001)
(イ)「筐体2の前面には、上方から下方へ向かって鏡板5、操作パネル6及び下部扉7が設けられる。鏡板5は利用者が撮影の際に自己の姿勢を映し出してポーズをとるために使用される。鏡板5の略中央には利用者を撮影するためのCCDカメラ8が埋め込まれる。鏡板5の左右両側には照明19が設けられ、撮影の際に利用者を照明する。」(段落0023)
(ウ)「操作パネル6の中央には液晶ディスプレイを利用したモニタ10が設けられ、その左右両側にタッチペン11が設けられる。利用者画像の撮影が終了すると、撮影された画像がモニタ10上に表示され、利用者はタッチペン11を利用して撮影画像上に化粧処理を施すことができる。化粧処理の詳細については後述する。また、モニタ10上には、撮影画像の他に、画像プリントの作成及び印刷処理の進行段階に応じて種々の選択ボタン、メッセージなどが表示され、モニタ10上に表示された選択ボタンをタッチペン11を利用して選択することにより処理が進行する。」(段落0024)
(エ)「プリンタ20は、画像プリントを作成する部分であり、撮影部51により撮影され、後述の化粧処理などが施された後の画像(プリントすべきとして確定した画像、以下、「プリント画像」とも呼ぶ。)をシール紙などに印刷し、出力する。」(段落0029)
(オ)「モニタ10は、液晶ディスプレイ62上に透明なデジタイザ60が重ねられた構成を採用している。液晶ディスプレイ62には、上記のフレームバッファの第2の領域に記憶されたデータが表示される。よって、利用者による編集処理中はお絵かきや化粧などが施された状態の撮影画像が液晶ディスプレイ62上に表示される。デジタイザ60は、利用者が行った化粧処理、お絵かき処理などの入力データを検出するために使用される。即ち、利用者は液晶ディスプレイ62上に表示された撮影画像を参照しながら、タッチペン11を用いてその上に化粧処理、お絵かき処理などを行う。化粧処理などの入力データはデジタイザ60により検出されて入力データとして表示プロセッサ54内のフレームバッファの第2の領域に書き込まれる。」(段落0034)
(a2)上記記載によれば、甲第1号証には、本件請求項1での用語を借りて表現すると、撮影手段、照射手段、表示手段、2つの入力手段、受付手段、編集手段および印刷手段を備える画像印刷装置が記載されている。ただ、表示手段は「液晶ディスプレイ」であり本件請求項1にいう「投光手段」を備えるものではない。また、2つの入力手段および受付手段はそれぞれ、「タッチペン11」、「デジタイザ60」であり本件請求項1にいう「表示手段に対して光を発することによ(り)」るもの、「表示手段を介して筐体内部に入射された光を検出することにより受け付ける」ものではない。さらに、照射手段は筐体前面の鏡板5の左右両側に設けられており、本件請求項1にいう「表示手段を介して被写体に光を照射(し)」するものでもない。相違が認められる。
(b)甲第2号証(特開平7-244337号公報)
(b1)甲第2号証には、「情報入出力装置」に関して以下の事項が記載されている。
(カ)「光源から出た光は集光光学系(図示せず)を経て、液晶電気光学装置3へ照射される。液晶電気光学装置3を透過した光は、光学系4により拡大され、スクリーン5に投射され、スクリーン5には液晶電気光学装置3に表示された画像が拡大して投影される。」(段落0020)
(キ)「図2に本発明の情報入出力装置の他の概念図を示す。また、図2に示すように、本体1内に撮像装置8を設け、位置検出手段としてもよい。この場合、スクリーン5の表側から裏側に向かって発光ペン等を用いて光を照射し、その位置を撮像装置8で検出してもよい。このようにすることで、例えスクリーンが大きい場合であっても、その大きさに対応するには光学系を調整するだけでよく、撮像装置8自体の受光面の大きさを変える必要はない。」(段落0038)
(ク)「またスクリーン5を光の散乱状態から、高い透光性を有するように可変制御できるようにし、スクリーンの表側に存在する、原稿や物体などを画像として読み取ってもよい。読み取りのための、原稿に向かって照射されるライトを本体1内に設けてもよい。すなわち、撮像装置8をイメージセンサ的に使用する。読み取った画像情報を、記憶装置に記憶させ、スクリーンに表示させることも可能である」(段落0042)
(b2)上記記載によれば、甲第2号証には、「光源1、液晶電気光学装置2、光学系4」(投光手段)を備える情報入出力装置1が記載され、加えて、情報入出力装置1が、「発光ペン」(表示手段に対して光を発することにより)、「撮像装置8」(表示手段を介して筐体内部に入射された光を検出することにより受け付ける)、および「本体1内に設けられる原稿や物体に向かって照射されるライト」(表示手段を介して被写体に光を照射し)を備えることも記載されている。
しかしながら、「光源1、液晶電気光学装置2、光学系4」、「撮像装置8」および「ライト」の配置関係につき、本件各発明のような配置関係(上記主要構成)は記載されていない。甲第1号証に記載の画像プリント作成装置に甲第2号証に記載の情報入出力装置を採用しても、上記配置関係にまで至ることはできない。
(c)甲第3号証から甲第8号証までには、そもそも、本件各発明にいう「投光手段」につき記載がない。

(3)まとめ(申立て)
以上、訂正後の請求項1から請求項4までに係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、とすることはできない。

5.むすび
以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、訂正後の請求項1から請求項4までに係る特許を取り消すことはできない。
また、他に、訂正後の請求項1から請求項4までに係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定をする。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
画像印刷装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】被写体を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段が撮影するとき、前記被写体に光を照射する複数の照射手段と、
筐体内部に設置され、前記撮影手段により撮影された前記被写体の画像に対応する光を投光する投光手段と、
前記投光手段により投光された光に対応する画像を表示する表示手段と、
前記表示手段に対して光を発することにより、前記表示手段により表示された前記画像に対する編集情報を入力する2つの入力手段と、
前記入力手段からの編集入力を受け付ける受付手段と、
前記受付手段により受け付けられた前記編集入力に基づいて前記画像を編集する編集手段と、
前記編集手段により編集された前記画像を印刷する印刷手段と
を備え、
前記複数の照射手段は、前記投光手段の左右近傍に設置され、前記表示手段を介して、前記被写体に光を照射し、
前記受付手段は、前記投光手段の奥行き方向に設けられ、前記表示手段に表示された前記画像に対する前記編集入力の入力位置を、前記入力手段から、前記表示手段を介して前記筐体内部に入射された光を検出することにより受け付ける
ことを特徴とする画像印刷装置。
【請求項2】前記撮影手段が前記被写体を撮影するとき、前記表示手段には、その全面に白の画像が表示される
ことを特徴とする請求項1に記載の画像印刷装置。
【請求項3】前記表示手段は、利用者が選択した所定のマークを表示し、
前記撮影手段は、前記表示手段が前記マークを表示したとき、前記被写体を撮影する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像印刷装置。
【請求項4】前記撮影手段を上下左右に案内するレールをさらに備える
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の画像印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像印刷装置に関し、特に、多くの利用者が、編集情報を迅速かつ効率的に入力することができるようにする画像印刷装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、利用者の画像を撮影し、これを予め用意された背景画像と合成してシール紙などに印刷して出力する画像印刷装置(例えば、プリント倶楽部(商標))が人気を博している。
【0003】
例えば、特開2000-69404号公報には、このような画像印刷装置において、表示部に表示されている被写体の画像上に、付属のペンで、文字、図形などを書き込むことができるようにすることが提案されている。この場合、利用者は、自分自身の撮影画像上に任意の文字、マークなどを書き込んでプリント画像を作成することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した公報に記載されている画像印刷装置は、画像の表示部が狭いため、多くの利用者が撮影画像を迅速に確認することが困難である課題があった。
【0005】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、多くの利用者が、編集情報を迅速かつ効率的に入力することができるようにするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の画像印刷装置は、被写体を撮影する撮影手段と、撮影手段が撮影するとき、被写体に光を照射する複数の照射手段と、筐体内部に設置され、撮影手段により撮影された被写体の画像に対応する光を投光する投光手段と、投光手段により投光された光に対応する画像を表示する表示手段と、表示手段に対して光を発することにより、表示手段により表示された画像に対する編集情報を入力する2つの入力手段と、入力手段からの編集入力を受け付ける受付手段と、受付手段により受け付けられた編集入力に基づいて画像を編集する編集手段と、編集手段により編集された画像を印刷する印刷手段とを備え、複数の照射手段は、投光手段の左右近傍に設置され、表示手段を介して、被写体に光を照射し、受付手段は、投光手段の奥行き方向に設けられ、表示手段に表示された画像に対する編集入力の入力位置を、入力手段から、表示手段を介して筐体内部に入射された光を検出することにより受け付けることを特徴とする。
【0007】
前記撮影手段は、例えば、図1のCCDカメラ11により、前記投光手段は、例えば、図3の映像出力装置41により、前記表示手段は、例えば、図1のスクリーン13により、前記入力手段は、例えば、図1のライトペン14L,14Rにより、前記受付手段は、例えば、図3の入力位置検出カメラ45により、前記編集手段は、例えば、図6のステップS12の処理を実行するCPU61により、前記印刷手段は、例えば、図4のプリンタ67により、それぞれ構成される。
【0008】
本発明の画像印刷装置においては、被写体が撮影され、撮影されるとき、筐体内部に設置された投光手段の左右近傍に設置される複数の照射手段により表示手段を介して被写体に光が照射される。また、撮影された被写体の画像に対応する光が投光手段により投光され、投光された光に対応する画像が表示され、複数の入力手段が表示手段に対して光を発することにより、表示された画像に対する編集情報が入力される。そして、表示手段に表示された画像に対する編集入力の入力位置は、投光手段の奥行き方向に設けられた受付手段により、入力手段から、表示手段を介して筐体内部に入射された光が検出されることにより受け付けられ、受け付けられた編集入力に基づいて画像が編集され、編集された画像が印刷される。
【0009】
本発明の画像印刷装置によれば、被写体を撮影し、撮影した被写体の画像に対応する光を投光し、投光した光に対応する画像を表示し、表示した画像に対する編集情報を入力し、編集入力を受け付け、受け付けた編集入力に基づいて画像を編集し、編集した画像を印刷するようにしたので、多くの利用者が、確実かつ迅速に、編集情報を入力することができる。
【0011】
前記被写体を照明する光の光源は、例えば、図3の撮影用光源43により構成される。
【0012】
【0013】
被写体を照明する光の光源を、投光手段の近傍に配置することにより、映像用光源のための反射板と、撮影用光源のための反射板とを、それぞれ分けて配置することなく、図3に示すように、反射板42を1つ設置するだけで、構成することが可能となる。
【0014】
撮影手段が被写体を撮影するとき、表示手段には、その全面に白の画像が表示されるようにすることができる。
【0015】
【0016】
表示手段は、利用者により選択された所定のマークを表示し、撮影手段は、表示手段がマークを表示したとき、被写体を撮影するようにすることができる。
【0017】
前記マークは、例えば、星模様、またはバツ模様とすることができる。
【0018】
表示手段は、所定のマークを表示し、撮影手段は、表示手段がマークを表示したとき、被写体を撮影することにより、利用者の黒目部分に、スクリーン13に表示されたマークを写り込ませて撮影することができる。
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
撮影手段を上下左右に案内するレールをさらに備えるようにすることができる。
【0023】
前記レールは、例えば、図12のスライドレール101U,101D,101Vにより構成される。
【0024】
撮影手段を上下左右に案内するレールをさらに備えるようにすることにより、利用者は、様々な角度にCCDカメラ11を移動させて、撮影を楽しむことができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明を適用した画像印刷装置の外観の構成を示している。画像印刷装置1の筐体10の正面上方には、CCD(Charge Coupled Device)カメラ11が設けられている。利用者は、CCDカメラ11に取り付けられているカメラ調整バー12を手動操作することで、CCDカメラ11の撮影角度を変更することができ、好みの角度に調整して、自らの写真(画像)を撮影する。
【0026】
CCDカメラ11で撮影した画像は、その下に配置されている、例えば、画面サイズが29インチ以上のスクリーン13に表示される。スクリーン13は、筐体10に内蔵されている映像用光源としての映像出力装置41(図3)から出射された映像信号に対応する光が照射され、撮影した画像を表示する。また、スクリーン13は、撮影手順の進行に必要な各種選択ボタンなどを表示する。
【0027】
スクリーン13の下方の左右には、ライトペン14L,14Rが筐体10とケーブルで繋がれた状態で設けられており、利用者は、スクリーン13に表示されている選択ボタンなどをライトペン14L,14Rを利用して選択することができる。また、利用者は、スクリーン13に表示されている自分自身の画像に対して、ライトペン14L,14Rを利用し、落書きなどの画像編集を入力することができる。図1の例においては、ライトペン14L,14Rが2つ設けられており、2人の利用者が落書きなどを同時に入力することができる。
【0028】
ライトペン14L,14Rから発せられる赤外線は、スクリーン13を透過して筐体10の内部に設けられている反射板42を介して入力位置検出カメラ45(図3)により受光され、入力位置が検出される。入力位置検出カメラ45から入力位置の通知を受けたCPU61(図4)は、落書き編集処理し、落書きを施した画像をスクリーン13に表示させる。筐体10の内部構成については、図3および図4を参照して後述する。なお、ライトペン14L,14Rには、筐体10に設けられている突起部10L,10Rに係止することができるフック14LA,14RAが取り付けられており、使用しない場合、図のように格納される。
【0029】
ライトペン14L,14Rの下方に設けられているスピーカ15L,15Rは、利用者に対して、硬貨を投入してからの撮影手順を案内する音声ガイダンスや、利用者がスクリーン13に表示されている自分自身の撮影画像に対して、後述する編集入力を入力する際の音声ガイダンスなどをステレオ方式で出力する。
【0030】
スクリーン13の下方右側には、硬貨投入口16が設けられている。利用者が所定の代金を硬貨投入口16に投入すると、撮影手順が開始される。
【0031】
筐体10の右側面には、シール取出口17が設けられており、撮影し、画像編集した撮影画像が、所定数に分割されたシールに印刷されて排出される。
【0032】
筐体10の前方には、ケーブルを介して、カメラのズームイン機能を操作するとき操作されるズームイン用フットスイッチ18、カメラのズームアウト機能を操作するとき操作されるズームアウト用フットスイッチ19、およびシャッターを操作するとき操作される撮影用フットスイッチ20が設けられており、利用者は、筐体10から離れたところで、各種機能を足で操作することができる。なお、各フットスイッチのケーブルは、通常、床下を通って筐体10に接続される。
【0033】
筐体10の上部には、図2に示すように水平前方にカーテンフレーム31L,31Rが取り付けられ、それらにカーテン32が設けられる。カーテン32は、外光を遮断し、良好な画像を撮影することができるようにする。また、筐体10の前方には、筐体10の幅(カーテンフレーム31Lとカーテンフレーム31Rの距離)とほぼ同一幅の2段の階段33が設置されている。利用者は、撮影する場合、階段33を利用して、様々なポーズを取って、自分自身を撮影することができる。また、階段33に替えて、1段の撮影用踏台としてもよい。
【0034】
図3(A)は、筐体10の正面を示す図であり、内部の構成を点線で示している。また、図3(B)は、筐体10の右側面を示す図であり、図3(A)と同様に、内部の構成を点線で示している。
【0035】
映像出力装置41が発する光画像信号(例えば、利用者が撮影した自分自身の画像)は、図3(B)に示すように、映像出力装置41の上方に設けられ、光画像信号をスクリーン13に向けて反射するように、所定の角度に傾斜して配置されている反射板42により反射され、スクリーン13に照射(投影)される。
【0036】
映像出力装置41の左右近傍には、撮影用光源43L,43Rが設けられており、CCDカメラ11が撮影を行う際のフラッシュ(閃光)を発生する。撮影用光源43L,43Rからのフラッシュは、拡散板44L,44Rで拡散され、映像信号と同様に反射板42で反射されるため、スクリーン13の正面に位置している利用者(被写体)の全体を均一に照明することができる。
【0037】
映像出力装置41の奥行方向には、さらに、入力位置検出カメラ45が設けられており、利用者がライトペン14L,14Rを操作して入力する編集入力の、スクリーン13に表示された画像に対応する入力位置を検出する。すなわち、ライトペン14L,14Rから発せられ、スクリーン13を透過して筐体10の内部に入射された赤外線は、反射板42で反射され、可視光遮断フィルタ46を介して入力位置検出カメラ45により受光される。なお、可視光遮断フィルタ46は、赤外線以外の成分の光を遮断し、ライトペン14L,14Rから発せられた赤外線のみを入力位置検出カメラ45に供給する。
【0038】
図4は、画像印刷装置1の内部の電気的構成例を示すブロック図である。図1乃至図3と対応する部分については同一符号を付してある。
【0039】
CPU(Central Processing Unit)61は、ROM(Read Only Memory)62に記憶されているプログラムに従って、全体の動作、処理を制御する。すなわち、各処理部は、バス60を介してCPU61に接続され、制御される。
【0040】
RAM(Random Access Memory)63は、CPU61の作業用データを記憶するとともに、各処理部において利用者が行った選択、指示などのデータを一時的に記憶する。また、RAM63は、内部にCCDカメラ11の撮影画像を記憶するためのフレームバッファを有する。フレームバッファは、デュアルポートメモリにより構成され、それぞれの領域が一枚分の撮影画像を記憶できる2つの領域に分けて使用される。フレームバッファの第1の領域には、CCDカメラ11からの取り込み画像が入力され、撮影後は、撮影した画像(利用者がフレーム画像を選択した場合には、撮影画像とフレーム画像)が記憶される。
【0041】
一方、第2の領域は、落書き処理や明るさ調整などの編集処理において使用される記憶領域であり、撮影が終了した時点では、第1の領域と同一の撮影画像が記憶される。すなわち、編集処理において、利用者がライトペン14L,14Rを利用して落書きを入力すると、その入力データが第2の領域内に書き込まれる。なお、利用者は、消しゴム処理を指定することにより、一度付加した落書きを消去し、元の画像に戻すことができる。その場合、RAM63は、その消しゴムで指定された部分の画像データを第1の領域から読み出し、第2の領域に書き込ことにより、利用者が消しゴムで指定した部分を、落書き処理を行う前の撮影画像に戻す。
【0042】
ドライバ64は、図示せぬCD-ROM(Compact Disk-Read Only Memory)などの記録媒体を駆動し、記録情報を読み出す。CD-ROMなどの記録媒体には、撮影処理、落書き処理などを含む種々の処理を行うためのプログラムが記録されており、それらのプログラムは実行時に、RAM63に転送されて実行される。また、CD-ROMには、音声のガイダンスデータが記録されており、音声出力装置68は、CPU61の指示に基づいてCD-ROMに記録されている音声ガイダンスデータを読み出してスピーカ15L,15Rに出力する。スピーカ15L,15Rが利用者に対して出力するガイダンスには、操作方法や、撮影直前のカウントダウンなどが含まれる。
【0043】
ズーム駆動モータ65は、利用者がズームイン用フットスイッチ18、または、ズームアウト用フットスイッチ19を操作することにより入力した信号を、入力検出部70を介して受信したCPU61からの指示に基づいてズーム機能を駆動する。
【0044】
硬貨処理部66は、硬貨投入口16から投入された硬貨の金額を検出し、所定の代金が投入されたと判定した場合、その旨をCPU61に通知する。
【0045】
プリンタ67は、画像シールを作成する部分であり、CCDカメラ11により撮影され、後述の落書き処理などが施された後の画像(プリントすべきとして確定した画像、以下、プリント画像と称する)をシール紙などに印刷し、出力する。プリンタ67は、利用者が選択したプリント画像を、所定の分割単位で剥がせるようなシールシート上に印刷する。
【0046】
撮影用光源駆動装置69は、利用者の撮影用フットスイッチ20の操作に対応するCPU61からの指示に基づいて、CCDカメラ11が被写体を撮影するタイミングにおいて、撮影用光源43L,43Rを駆動し、被写体にフラッシュを照射する。
【0047】
入力検出部70は、利用者がズームイン用フットスイッチ18、ズームアウト用フットスイッチ19、または、撮影用フットスイッチ20を操作することにより入力した入力信号を検出し、CPU61に通知する。
【0048】
次に、図5および図6のフローチャートを参照して、画像印刷装置の印刷処理について説明する。
【0049】
ステップS1において、CPU61は、硬貨処理部66からの通知に基づいて、代金が投入されたか否かを判定する。CPU61は、代金が投入されたと判定するまで、ドライバ64が図示せぬCD-ROMから読み出したデモ画面をスクリーン13に表示させる。すなわち、このとき、デモ画面の画像データが映像出力装置41に供給され、光画像信号に変換される。この光画像信号は、反射板42で反射され、スクリーン13に投影され、表示される。CPU61は、代金が投入されたと判定した場合、ステップS2の処理に進む。
【0050】
ステップS2において、CPU61は、CCDカメラ11が撮影している取り込み画像に、ドライバ64から提供された撮影案内画面を重畳した映像信号を生成し、映像出力装置41に供給する。この映像信号は、光画像信号に変換され、反射板42を介してスクリーン13に投影され、表示される。撮影案内には、CCDカメラ11の撮影角度をカメラ調整バー12で調整できる旨の案内、各種フットスイッチを操作してカメラ調整、撮影開始などが指示できる旨の案内などが含まれる。また、CPU61は、撮影案内画面を表示させるとともに、音声出力装置68に対して、ドライバ64から提供された音声ガイダンスを出力させることもできる。
【0051】
ステップS3において、CPU61は、ズーム調整のフットスイッチ(ズームイン用フットスイッチ18、またはズームアウト用フットスイッチ19)が操作されたか否かを入力検出部70からの通知に基づいて判定する。CPU61は、ズーム調整用のフットスイッチが操作されたと判定した場合、ステップS4の処理に進む。
【0052】
ステップS4において、CPU61は、ステップS3でズームイン用フットスイッチ18が操作されたと判定した場合、ズーム駆動モータ65に対して、被写体にズームインすることを指示し、ズームアウト用フットスイッチ19が操作されたと判定した場合、ズーム駆動モータ65に対して、被写体からズームアウトすることを指示する。その後、CPU61は、ステップS2の処理に戻り、それ以降の処理を繰り返し実行する。
【0053】
ステップS3において、CPU61は、入力検出部70からの通知に基づいて、ズーム調整用のフットスイッチが操作されていないと判定した場合、ステップS5の処理に進む。
【0054】
ステップS5において、CPU61は、入力検出部70からの通知に基づいて、撮影用フットスイッチ20が操作されたか否かを判定する。CPU61は、撮影用フットスイッチ20が操作されていないと判定した場合、ステップS6の処理に進む。
【0055】
ステップS6において、CPU61は、代金投入後、CCDカメラ11の調整用に設けた所定時間が経過したか否かを判定する。CPU61は、所定時間が経過していないと判定した場合、ステップS2の処理に戻り、それ以降の処理を繰り返し実行する。
【0056】
一方、ステップS6において、CPU61は、所定時間が経過したと判定した場合、ステップS7の処理に進む。また、ステップS5において、CPU61は、入力検出部70からの通知に基づいて、撮影用フットスイッチ20が操作されたと判定した場合、ステップS6の処理をスキップし、ステップS7に進む。
【0057】
ステップS7において、CPU61は、撮影までのカウントダウンの画像(例えば、数字が所定の周期で、5,4,3,2,1と順次小さい値となる画像)をスクリーン13に表示させるとともに、スピーカ15L,15Rから音声でカウントダウンを出力させる。
【0058】
ステップS7の処理でカウントダウンの処理が終了したとき、ステップS8において、CPU61は、CCDカメラ11に対して撮影することを指示する。それとともに、撮影用光源駆動装置69に対して、フラッシュの発生を指示する。撮影用光源43L,43Rから出射され、拡散板44L,44Rで拡散されたフラッシュは、反射板42L,42Rで反射されてスクリーン13を透過し、利用者に照射される。このとき、CCDカメラ11が撮影した撮影画像データは、RAM63のフレームバッファの第1および第2の領域に記憶される。なお、このとき、フラッシュを効果的に被写体に照射させるため、フラッシュ発生時は、映像出力装置41が出力する光画像信号は、全面が白色の画像とされる。白色の光画像信号に基づく照明だけで、充分な明るさを確保することができる場合には、撮影用光源43L,43Rを省略することもできる。
【0059】
ステップS9において、CPU61は、スクリーン13に画像確認画面を表示させる処理を実行する。すなわち、CPU61は、RAM63に記憶されている撮影画像を読み出し、映像出力装置41で光画像信号に変換させ、スクリーン13に表示させる。画像確認画面には、表示されている画像をプリントすることに対して、利用者に承諾を求めるための不図示の選択ボタン(例えば、「YESボタン」、「NOボタン」)が表示される。それに対して、利用者は、ライトペン14L,14Rを操作して、赤外線を発生させ、プリントするか否かを選択する。入力位置検出カメラ45は、反射板42で反射され、可視光遮断フィルタ46を介して供給された赤外線から、スクリーン13上の操作された位置を識別し、CPU61に通知する。
【0060】
ステップS10において、CPU61は、入力位置検出カメラ45からの通知に基づいて、ステップS8の処理で撮影した画像をプリントすることが確認されたか否かを判定する。CPU61は、確認されていない(「NOボタン」が選択された)と判定した場合、ステップS2の処理に戻り、それ以降の処理を繰り返し実行する。
【0061】
ステップS10において、CPU61は、画像をプリントすることが確認された(「YESボタン」が選択された)と判定した場合、ステップS11の処理に進む。
【0062】
ステップS11において、CPU61は、スクリーン13に、選択した画像に対して落書き処理を行うか否かを選択するボタンを表示させる。そして、CPU61は、入力位置検出カメラ45からの通知に基づいて、落書き処理が選択されたか否か(そのボタンが操作されたか否か)を判定する。
【0063】
ステップS11において、CPU61は、入力位置検出カメラ45からの通知に基づいて、落書き処理を実行することが選択されたと判定した場合、ステップS12の処理に進む。
【0064】
ステップS12において、CPU61は、落書き画面をスクリーン13に表示させる。落書き画面には、利用者に対して、撮影画像に落書する色を選択するとき操作される「色選択ボタン」、落書きの線の太さを選択するとき操作される「太さ選択ボタン」、落書き処理を終了して、落書き編集されたプリント画像をプリントするとき操作される「プリントボタン」などが表示される(いずれも図示せず)。
【0065】
また、ステップS12において、CPU61は、落書き入力に基づいて画像編集処理を実行する。すなわち、CPU61は、RAM63のフレームバッファの第2の領域に記憶されている画像に対して、入力位置検出カメラ45から通知された位置に対応する画像データを上書きする。
【0066】
ステップS13において、CPU61は、落書き処理のために予め設定されている所定時間が経過したか否か、または、スクリーン13に表示されているプリントボタン(図示せず)が操作されたか否かを判定する。CPU61は、所定時間が経過しておらず、かつ、プリントボタンが操作されていないと判定した場合、ステップS12の処理に戻り、それ以降の処理を繰り返し実行する。
【0067】
ステップS13において、CPU61は、所定時間が経過した、または、入力位置検出カメラ45からの通知に基づいて、プリントボタンが操作されたと判定した場合、ステップS14の処理に進む。また、ステップS11において、CPU61は、落書き処理が選択されていないと判定した場合、ステップS12,S13の処理をスキップし、ステップS14に進む。
【0068】
ステップS14において、CPU61は、シールシートのサイズを利用者に選択させる分割数選択画面を表示させる。利用者は、この画面から、ライトペン14L,14Rを操作することで分割数を選択する。
【0069】
ステップS15において、CPU61は、プリンタ67に対して、利用者が選択した分割数のシールシートに、画像(RAM63のフレームバッファの第2の領域に記憶されている画像)をプリントすることを指示する。この指示に基づいてプリンタ67によりプリントが行われ、シールシートがシール取出口17から排出される。その後、処理はステップS1に戻り、それ以降の処理が繰り返し実行される。
【0070】
以上においては、撮影用光源43L,43Rを映像出力装置41の近傍に配置することとしたが、図7に示すように、離して配置することもできる。
【0071】
図7に示すように、筐体10の内部の左右後方に、撮影用光源43L,43R、拡散板44L,44R、フラッシュ反射板82L,82Rより構成されるフラッシュボックス81L,81Rが設けられる。フラッシュ反射板82L,82Rは、図7(A)に示すように、筐体10の上部に近づくにつれ、筐体10の前方に向かって曲線を描いており、撮影用光源43L,43Rから発せられたフラッシュがスクリーン13の全面に照射できるように構成されている。
【0072】
図8は、本発明を適用した画像印刷装置1の他の外観の構成を示している。
【0073】
画像印刷装置1の筐体10の前面に設けられているスクリーン13の両側には、フラッシュ照射口91L,91Rが設けられている。図1の画像印刷装置1において、撮影するときに照射されるフラッシュは、スクリーン13から照射されることとしたが、図8の画像印刷装置1においては、フラッシュ照射口91L,91Rからフラッシュが照射される。
【0074】
図9(A)は、図8の画像印刷装置1の正面を、図9(B)は、図8の画像印刷装置1の右側面を、図10は、図8の画像印刷装置1の上面を、それぞれ示す図である。図10に示すように、フラッシュボックス81L,81Rはスクリーン13の左右に垂直方向に配置されている。なお、フラッシュボックス81L,81Rは、図9(B)に示すように、図7(A)に示すフラッシュボックス81L,81Rと同様に構成される。ただし、フラッシュ反射板82L,82Rは、フラッシュをフラッシュ照射口91L,91Rから出射するように構成されている。
【0075】
このように、フラッシュ照射口91をスクリーン13の両側に設ける場合、利用者に、自分の黒目部分に様々な模様を写り込ませて、撮影させることができる。すなわち、この場合、CPU61は、撮影のタイミング(フラッシュが発生されるタイミング)において、CCDカメラ11により撮影された画像に代えて、利用者が選択した特殊記号(所定のマーク)をスクリーン13の全体に同時に表示させることにより、利用者の黒目部分に特殊記号を写り込ませ、撮影する。
【0076】
図11は、写り込み効果を説明する図である。図11(A)は、撮影する瞬間に、黒地に白色の星の図形をスクリーン13の全体に大きく表示させると、利用者の黒目部分には、対応する星の図形が写り込むこと(「瞳キラキラ」)を示している。また、図11(B)は、撮影する瞬間に、黒地に白色のバツの図形をスクリーン13の全体に大きく表示させると、利用者の黒目部分には、対応するバツの図形が写り込むこと(「瞳キラキラ」)を示している。
【0077】
図12は、本発明を適用した画像印刷装置1のさらに他の外観を示す図である。
【0078】
図12の画像印刷装置1においては、フラッシュボックス81L,81Rが、筐体10の左右上部に取り付けられている。これにより、利用者は、上述した写り込み効果を利用した撮影を楽しむことができる。また、筐体10の正面の上部と下部には、スライドレール101U,101Dが取り付けられており、スライドレール101Vの上端と下端は、それぞれスライドレール101U,101Dに、スライド自在に取り付けられ、CCDカメラ11は、スライドレール101Vにスライド自在に取り付けられている。従って、利用者は、カメラ調整バー12を手動操作して、CCDカメラ11を上下方向、および左右方向に移動させて、様々な角度から撮影を楽しむことができる。
【0079】
以上においては、利用者がライトペン14L,14Rを利用して落書きを入力した場合、ライトペン14L,14Rから発せられる赤外線を、入力位置検出カメラ45が受光し、落書き入力の位置を検出することとしたが、スクリーン13に超音波方式のタッチパネルを積層させることによっても、落書きの入力位置を検出させることができる。超音波方式のタッチパネルの隅には、超音波発振子が取り付けられており、タッチパネルに繋がれた位置検出部は、発振子から発振された超音波が受信子に到達する時間を測定することにより落書き位置を検出する。利用者がタッチパネル上に落書きを入力した場合、その位置で、入力ペンなどにより超音波が吸収されるため、位置検出部は、弱まった超音波が受信子に到達するまでの時間を測定し、入力位置を測定する。
【0080】
【発明の効果】
本発明の画像印刷装置によれば、撮影した画像を、プロジェクション方式で、大きなスクリーンに表示するようにしたので、多くの利用者が、編集情報を迅速かつ効率的に入力することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明を適用した画像印刷装置の外観の構成例を示す斜視図である。
【図2】
本発明を適用した画像印刷装置の他の外観の構成例を示す斜視図である。
【図3】
本発明を適用した画像印刷装置の正面および右側面の構成を示す図である。
【図4】
本発明を適用した画像印刷装置の内部の電気的構成例を示すブロック図である。
【図5】
本発明を適用した画像印刷装置の処理を説明するフローチャートである。
【図6】
図5に続くフローチャートである。
【図7】
本発明を適用した他の画像印刷装置の右側面および上面の構成を示す図である。
【図8】
本発明を適用した画像印刷装置のさらに他の外観の構成例を示す斜視図である。
【図9】
本発明を適用した画像印刷装置の正面および右側面の構成を示す図である。
【図10】
本発明を適用した画像印刷装置の上面の構成を示す図である。
【図11】
写り込み効果を説明する図である。
【図12】
本発明を適用した画像印刷装置の外観の構成例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 画像印刷装置
10 筐体
11 CCDカメラ
12 カメラ調整バー
13 スクリーン
14L,14R ライトペン
18 ズームイン用フットスイッチ
19 ズームアウト用フットスイッチ
20 撮影用フットスイッチ
33 階段
41 映像出力装置
42 反射板
43L,43R 撮影用光源
44L,44R 拡散板
45 入力位置検出カメラ
46 可視光遮断フィルタ
60 バス
61 CPU
62 ROM
63 RAM
64 ドライバ
65 ズーム駆動モータ
69 撮影用光源駆動装置
81L,81R フラッシュボックス
82L,82R フラッシュ反射板
91L,91R フラッシュ照射口
101U,101D,101V スライドレール
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2005-11-24 
出願番号 特願2000-258885(P2000-258885)
審決分類 P 1 651・ 121- YA (H04N)
最終処分 維持  
前審関与審査官 鈴木 明  
特許庁審判長 新宮 佳典
特許庁審判官 堀井 啓明
原 光明
登録日 2003-06-20 
登録番号 特許第3440451号(P3440451)
権利者 オムロン株式会社
発明の名称 画像印刷装置  
代理人 稲本 義雄  
代理人 稲本 義雄  

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