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審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
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無効2010800100 | 審決 | 特許 |
無効200580005 | 審決 | 特許 |
無効200335239 | 審決 | 特許 |
無効200480218 | 審決 | 特許 |
無効200680250 | 審決 | 特許 |
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審決分類 |
審判 全部無効 1項3号刊行物記載 訂正を認める。無効としない A61K 審判 全部無効 2項進歩性 訂正を認める。無効としない A61K 審判 全部無効 特36条4項詳細な説明の記載不備 訂正を認める。無効としない A61K 審判 全部無効 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 訂正を認める。無効としない A61K |
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管理番号 | 1133137 |
審判番号 | 無効2003-35136 |
総通号数 | 77 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1999-01-06 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2003-04-10 |
確定日 | 2005-10-21 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 上記当事者間の特許第3053650号発明「新規な酸化組成物および新規な髪のパーマネント変形またはブリーチ方法」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 訂正を認める。 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
1.手続の経緯 本件特許第3053650号の請求項1〜10に係る発明については、平成8年10月21日(優先日:1995年10月20日、仏国)に国際出願され、平成12年4月7日に特許権の設定登録がされたものである。 これに対して、平成15年4月10日に請求人花王株式会社から請求項1〜10に対して無効審判請求がされ、被請求人は、その答弁書提出期間内に訂正請求を行った。 その後、平成17年8月2日付けで審判合議体から特許法153条に基づき無効理由が通知され、被請求人は、先の訂正請求を取り下げると共に、意見書提出期間内である平成17年8月10日に訂正請求を行った。 2.訂正の可否に対する判断 ア)訂正事項 訂正事項は別紙に記載のとおりである。 イ)訂正の適否 上記訂正事項において、「セラミドタイプ化合物」を、化学式(I)に相当する天然又は合成の分子より選択される少なくとも一のセラミドタイプの化合物に限定する点、「酸化組成物」を「ケラチン物質のパーマネント変形用又はブリーチ用酸化組成物」に限定する点、及び請求項3を削除する点は、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正であり、また、項番号を繰り上げる訂正は、元の請求項3の削除により生ずる項番号の不整合を修正するものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正である。 そして、これらの訂正は願書に最初に添付した明細書に記載した事項の範囲内のものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、変更するものではない。 したがって、上記訂正は、特許法134条第2項並びに同条第5項により準用する同法第126条第2及び第3項の規定に適合するので、訂正を認める。 3.請求人の主張の概要 請求人は、「特許第3053650号の特許請求の範囲の請求項1〜10に係る発明についての特許はこれを無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、証拠方法として下記の書証を提出し、以下のア〜ウの理由により、本件特許は、特許法第123条第1項第2号並びに第4号の規定により無効とされるべきであると主張している。(項番号は訂正前のものである。) (ア)本件特許の請求項1〜3、7、8、10に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号の規定に該当し特許を受けることができないものであるから、その特許は特許法第123条第1項2号の規定により無効とされるべきである。 (イ)本件特許の請求項4〜6、9、10に係る発明は、甲第1〜3、5号証に記載された発明から当業者が容易に想到しうる発明であって、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、その特許は特許法第123条第1項2号の規定により無効とされるべきである。 (ウ)本件特許の請求項1、2、7〜10について明細書には記載不備があり、特許法第36条第4項及び第6項第2号に規定する要件を満たしていないので、その特許は特許法第123条第1項4号の規定により無効とされるべきである。 <証拠方法> 甲第1号証:特表平7-508294号公報 甲第2号証:特開平4-327563号公報 甲第3号証:特開平7-165690号公報 甲第4号証:大木道則ほか編「化学大辞典」株式会社東京化学同人 (1989年10月20日) p1273、p1214 甲第5号証:光井武夫「新化粧品化学」南山堂、1993年1月、 p447〜450 甲第6号証:D. Balzer, “Nonioinc Surfactants” Marcel Dekker, 2000, p.1-5 甲第7号証:K. Holmberg, “Novel Surfactants” Marcel Dekker, 1998, p.1-3 甲第8号証:田宮信雄ほか訳「コーン,スタンプ『生化学』」 株式会社東京化学同人(1988年3月) p241 甲第9号証:今堀和友「生化学事典」株式会社東京化学同人 (1998年10月) p565,p746〜747 4.被請求人の主張の概要 被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求め、上記請求人の主張する無効理由ア〜ウは、いずれも理由がない旨主張している。 5.本件発明 上記のとおり訂正は認容されるから、本件無効審判の対象である請求項1〜9(訂正前の1、2、4〜10に対応)に係る発明は平成17年6月9日の訂正請求書に添付された訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1〜9により特定される、次のとおりのものである。(以下、請求項1〜9に係る発明を、それぞれ、本件発明1〜本件発明9という。) 【請求項1】適当な化粧品ビヒクル中に、 i)少なくとも1つの、以下式(I): (式中、 R1は、直鎖または分岐で、飽和または不飽和の、1以上のヒドロキシル基で置換されてもよいC5-C50炭化水素基であり、 R2は、水素原子であり、 R3は、飽和または不飽和の、ヒドロキシル化または非ヒドロキシル化された、C5-C17炭化水素基であり、 R4は、水素原子であり、 R5は、水素原子を示す) に相当する天然又は合成分子より選択される、セラミドタイプの化合物、および ii)過酸化水素水溶液、臭素酸のアルカリ金属塩、過酸基塩、およびポリチオナート、またはこれらの混合物から選択される少なくとも1つの酸化剤 とを含有し、 前記セラミドタイプの化合物が、組成物の全重量に付して0.005重量%から10重量%の範囲の濃度で存在し、前記組成物が、酸化剤を含有する小胞体を含有しないことを特徴とするケラチン物質のパーマネント変形用又はブリーチ用酸化組成物。 【請求項2】前記セラミドタイプの化合物の濃度が、0.01重量%から5重量%の範囲であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。 【請求項3】セラミドタイプの化合物が、式(I)において、R1が、C14-C22脂肪酸から誘導された、飽和または不飽和で、任意にヒドロキシル化されたアルキル基を示し:R2が、水素原子を示し:R3が、飽和で、直鎖で、任意にヒドロキシル化されたC11-C17基を示す化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。 【請求項4】前記セラミドタイプの化合物が、 - 2-N-リノレオイルアミノオクタデカン-1,3-ジオール、 - 2-N-オレオイルアミノオクタデカン-1,3-ジオール、 - 2-N-パルミトイルアミノオクタデカン-1,3-ジオール、 - 2-N-ステアロイルアミノオクタデカン-1,3-ジオール、 - 2-N-ベヘノイルアミノオクタデカン-1,3-ジオール、 - 2-N-[2-ヒドロキシパルミトイル]アミノオクタデカン-1,3-ジオール、 - 2-N-ステアロイルアミノオクタデカン-1,3,4-トリオール、 - 2-N-パルミトイルアミノヘキサデカン-1,3-ジオール、 またはこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。 【請求項5】前記セラミドタイプの化合物が、2-N-オレオイルアミノオクタデカン-1,3-ジオール、2-N-[2-ヒドロキシパルミトイル]アミノオクタデカン-1,3-ジオール、および、N-ステアロイルフィトスフィンゴシンから選択されることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。 【請求項6】酸化剤が過酸化水素水溶液であることを特徴とする、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の組成物。 【請求項7】過酸化水素水溶液の濃度が、0.5から40容量の範囲であることを特徴とする、請求項6に記載の組成物。 【請求項8】ケラチン物質のパーマネント変形を得るための、ケラチン物質の処理方法であって、 (i)還元組成物を、処理されるべきケラチン物質に適用し、該適用前、適用中、または適用後に、ケラチン物質に機械的引張力をかけ、 (ii)前記処理されたケラチン物質を任意に濯ぎ洗いし、 (iii)請求項1ないし7のいずれか1項に記載のパーマネント変形用酸化組成物を、前記任意に濯ぎ洗いしたケラチン物質に適用し、 (iv)ケラチン物質を再度、任意に濯ぎ洗いする 工程を有することを特徴とする、ケラチン物質の処理方法。 【請求項9】ケラチン物質のブリーチ方法であって、 (i)請求項1ないし7のいずれか1項に記載のブリーチ用酸化組成物を、ケラチン物質に適用し、 (ii)前記処理されたケラチン物質を濯ぎ洗いする工程を有することを特徴とする、ケラチン物質のブリーチ方法。 6.当審の判断 ア)特許法第29条第1項3号について 甲第1号証(第7頁)には、例I:アルカリ性酸化染料-クリームベヒクルと題し、1-(ドコサノイル-メチル-アミノ)-1-デオキシ-グルシト-ル(同第4頁例1の化合物)を含有するアルカリ性酸化染料組成物を、使用時に過酸化水素(酸化剤)で希釈し、毛髪の染色を行う方法が記載されている。(1-(ドコサノイル-メチル-アミノ)-1-デオキシ-D-グルシト-ルは本件発明1の化学式(I)において、R1=C21H43、R2=水素原子、R3=水素原子、R4=メチル基、R5=ヒドロキシル化されたC4炭化水素基の場合に該当する。) しかしながら、本件発明1で使用する化合物(I)の置換基のうち、R1、R2以外は一致しないから、上記化合物は本件発明1のセラミドタイプの化合物に該当しないうえ、例Iの組成物は、パーマネント変形用又はブリーチ用酸化組成物にも該当しない。 したがって、本件発明1は甲第1号証に記載された発明ではなく、同様に本件発明2、6、7、9も、甲第1号証に記載された発明ではない。 イ)特許法第29条第2項に関する主張について 甲第1号証の化合物は「好ましくない油ぎった外観を髪に与えることなく毛髪を再構成するために使用温度で固体であり、・・・実質的に水性である処方を用いて毛髪に施すことのできる十分に規定された合成化合物」(第3頁左上欄参照)という一定の基準を満たす化合物を探索した結果、甲第1号証の請求項1に記載された式(1)のアミノデオキシアルジトールの親油性誘導体に到達したものであって、この化合物は本件発明1のものと異なりセラミドに特徴的な2本の疎水鎖を有していないものであるうえ、アルカリ性酸化染料組成物に配合しているものであるから、このことが本件発明1の式(I)のセラミドタイプの化合物をパーマネント変形用又はブリーチ用酸化組成物に配合して使用することを示唆するとはいえない。 また、甲第2号証及び甲第第3号証には、合成セラミドを化粧品に配合することが記載され、化粧品として効力を有する物質として酸化剤が例示されているが、酸化剤は小球中に封じこめられた状態で使用されるものであって、酸化剤を含有する小胞体を含有しないことを要件とする本件発明1のパーマネント変形用又はブリーチ用酸化組成物を示唆するものとはいえないうえ、パーマネント変形用又はブリーチ用酸化組成物に直接セラミドを配合した場合にも、パーマネント変形又はブリーチ効果を維持しつつ毛髪の保護が可能であることを当業者が予期できるとはいえない。 甲第5号証は、単に永久染毛とヘアブリーチについて一般的な記載があるだけであって、本件発明のセラミドタイプの化合物及びその用途についての開示はない。 そうすると、甲第1〜3,5号証に記載された発明に基づいて当業者が本件発明1を容易に発明することができたとすることはできない。 また、本件発明3〜5、8、9についても、同様の理由により、当業者が容易に発明することができたとすることはできない。 ウ)特許請求の範囲、明細書の記載不備について 請求人は、甲第4、6〜9号証を挙げて、「セラミドタイプ化合物」の用語が明確な技術用語ではないこと、本件明細書においてその効果が裏付けされているのは、N-オレイルジヒドロスフインゴシンのみであり、他の「セラミドタイプ化合物」が本件発明の効果を奏することが裏付けられない旨を主張しているが、上記訂正によりセラミドタイプの化合物が置換基を特定された化合物(I)(2本の疎水鎖を有するもの)に減縮された結果、これらの不備はすべて解消されている。 なお、当審の職権による無効理由通知で指摘した訂正前の請求項の記載が特許法第36条第6項1号に適合しないという理由についても、上記訂正により解消した。 6.結び 以上のとおりであるから、請求人の主張する理由及び提出した証拠方法によっては、本件発明1〜9の特許を無効とすることはできない。 審判に関する費用については、特許法169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。 よって結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別紙:訂正事項[式(I)中を除き、式の記号の下付き数字は、通常の数字で表記した。] 特許請求の範囲の 「【請求項1】適当な化粧品ビヒクル中に、i)少なくとも1つのセラミドタイプの化合物およびii)過酸化水素水溶液、臭素酸のアルカリ金属塩、過酸基塩、およびポリチオナート、またはこれらの混合物から選択される少なくとも1つの酸化剤とを含有し、前記セラミドタイプの化合物が、組成物の全重量に付して0.005重量%から10重量%の範囲の濃度で存在し、前記組成物が、酸化剤を含有する小胞体を含有しないことを特徴とする酸化組成物。 【請求項2】前記セラミドタイプの化合物の濃度が、0.01重量%から5重量%の範囲であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。 【請求項3】セラミドタイプの化合物が以下の式(I): (式中、R1は:- 直鎖または分岐で、飽和または不飽和のC1-C50の炭化水素基、該基は、任意に酸:R7COOH(式中、R7は、直鎖または分岐で、飽和または不飽和で、任意にモノ-またはポリヒドロキシル化された、C1-C35炭化水素基であり、R7基のヒドロキシル基は、飽和または不飽和で、直鎖または分岐で、任意にモノ-またはポリヒドロキシル化された、C1-C35脂肪酸でエステル化されてもよい)でエステル化される1以上のヒドロキシル基で置換されてもよい、または、- R″-(NR-CO)-R′基(式中、Rは水素原子またはモノ-またはポリヒドロキシル化されたC1-C20炭化水素基を示し、R′およびR″は、炭化水素基であり、これらの炭素原子の合計が9から30までの間であり、R′は2価の基である)、または、- R8-O-CO-(CH2)p基(式中、R8は、C1-C20炭化水素基を示し、pは1から12の整数である)を示し: R2は、水素原子、サッカリドタイプの基、スルファートまたはホスファート基、ホスホリルエチルアミン基、およびホスホリルエチルアンモニウム基から選択され、ここで、nは1から4の整数であり、mは1から8の整数である: R3は、水素原子、または、飽和または不飽和で、ヒドロキシル化または非ヒドロキシル化されたC1-C33炭化水素基を示し、該ヒドロキシル基は、無機酸または酸:R7COOH(式中、R7は、上記と同様の意味を示す)でエステル化されてもよく、該ヒドロキシル基は、(グリコシル)n、(ガラクトシル)m、スルホガラクトシル基、ホスホリルエチルアミン基、およびホスホリルエチルアンモニウム基でエーテル化されてもよく、R3は1以上のC1-C14アルキル基で置換されてもよい: R4は、水素原子、メチルまたはエチル基、飽和または不飽和で、直鎖または分岐で、任意にヒドロキシル化されたC3-C50炭化水素基、または、-CH2-CHOH-CH2-O-R6基(式中、R6は、C10-C26炭化水素基またはR8-O-CO-(CH2)p基(式中、R8は、C1-C20炭化水素基を示し、pは1から12の整数である)を示す)を示す: R5は、水素原子、または、飽和または不飽和で、直鎖または分岐で、任意にモノ-またはポリヒドロキシル化されたC1-C30炭化水素基を示し、該ヒドロキシル基は、(グリコシル)n、(ガラクトシル)m、スルホガラクトシル基、ホスホリルエチルアミンまたはホスホリルエチルアンモニウム基でエーテル化されてもよい: ただし、R3およびR5が水素原子を示す場合、または、R3が水素原子を示し、R5がメチル基を示す場合、R4は、水素原子またはメチルまたはエチル基を示さない) で表わされる化合物であることを特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。 【請求項4】セラミドタイプの化合物が、式(I)において、R1が、C14-C22脂肪酸から誘導された、飽和または不飽和で、任意にヒドロキシル化されたアルキル基を示し:R2が、水素原子を示し:R3が、飽和で、直鎖で、任意にヒドロキシル化されたC11-C17基を示す化合物であることを特徴とする、請求項3に記載の組成物。 【請求項5】セラミドが、- 2-N-リノレオイルアミノオクタデカン-1,3-ジオール、- 2-N-オレオイルアミノオクタデカン-1,3-ジオール、- 2-N-パルミトイルアミノオクタデカン-1,3-ジオール、- 2-N-ステアロイルアミノオクタデカン-1,3-ジオール、- 2-N-ベヘノイルアミノオクタデカン-1,3-ジオール、- 2-N-[2-ヒドロキシパルミトイル]アミノオクタデカン-1,3-ジオール、- 2-N-ステアロイルアミノオクタデカン-1,3,4-トリオール、- 2-N-パルミトイルアミノヘキサデカン-1,3-ジオール、またはこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項4に記載の組成物。 【請求項6】セラミドが、2-N-オレオイルアミノオクタデカン-1,3-ジオール、2-N-[2-ヒドロキシパルミトイル]アミノオクタデカン-1,3-ジオールおよび、N-ステアロイルフィトスフィンゴシンから選択されることを特徴とする、請求項5に記載の組成物。 【請求項7】酸化剤が過酸化水素水溶液であることを特徴とする、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の組成物。 【請求項8】過酸化水素水溶液の濃度が、0.5から40容量の範囲であることを特徴とする、請求項7に記載の組成物。 【請求項9】ケラチン物質のパーマネント変形を得るための、ケラチン物質の処理方法であって、(i)還元組成物を、処理されるべきケラチン物質に適用し、該適用前、適用中、または適用後に、ケラチン物質に機械的引張力をかけ、(ii)前記処理されたケラチン物質を任意に濯ぎ洗いし、(iii)請求項1ないし8のいずれか1項に記載の酸化組成物を、前記任意に濯ぎ洗いしたケラチン物質に適用し、(iv)ケラチン物質を再度、任意に濯ぎ洗いする工程を有することを特徴とする、ケラチン物質の処理方法。 【請求項10】ケラチン物質のブリーチ方法であって、(i)請求項1ないし8のいずれか1項に記載の酸化組成物を、ケラチン物質に適用し、(ii)前記処理されたケラチン物質を濯ぎ洗いする工程を有することを特徴とする、ケラチン物質のブリーチ方法。」 を 「【請求項1】適当な化粧品ビヒクル中に、 i)少なくとも1つの、以下式(I): (式中、 R1は、直鎖または分岐で、飽和または不飽和の、1以上のヒドロキシル基で置換されてもよいC5-C50炭化水素基であり、 R2は、水素原子であり、 R3は、飽和または不飽和の、ヒドロキシル化または非ヒドロキシル化された、C11-C17炭化水素基であり、 R4は、水素原子であり、 R5は、水素原子を示す) に相当する天然又は合成分子より選択される、セラミドタイプの化合物、および ii)過酸化水素水溶液、臭素酸のアルカリ金属塩、過酸基塩、およびポリチオナート、またはこれらの混合物から選択される少なくとも1つの酸化剤 とを含有し、 前記セラミドタイプの化合物が、組成物の全重量に付して0.005重量%から10重量%の範囲の濃度で存在し、前記組成物が、酸化剤を含有する小胞体を含有しないことを特徴とするケラチン物質のパーマネント変形用又はブリーチ用酸化組成物。 【請求項2】前記セラミドタイプの化合物の濃度が、0.01重量%から5重量%の範囲であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。 【請求項3】セラミドタイプの化合物が、式(I)において、R1が、C14-C22脂肪酸から誘導された、飽和または不飽和で、任意にヒドロキシル化されたアルキル基を示し:R2が、水素原子を示し:R3が、飽和で、直鎖で、任意にヒドロキシル化されたC11-C17基を示す化合物であることを特徴とする、請求項3に記載の組成物。 【請求項4】前記セラミドタイプの化合物が、 - 2-N-リノレオイルアミノオクタデカン-1,3-ジオール、 - 2-N-オレオイルアミノオクタデカン-1,3-ジオール、 - 2-N-パルミトイルアミノオクタデカン-1,3-ジオール、 - 2-N-ステアロイルアミノオクタデカン-1,3-ジオール、 - 2-N-ベヘノイルアミノオクタデカン-1,3-ジオール、 - 2-N-[2-ヒドロキシパルミトイル]アミノオクタデカン-1,3-ジオール、 - 2-N-ステアロイルアミノオクタデカン-1,3,4-トリオール、 - 2-N-パルミトイルアミノヘキサデカン-1,3-ジオール、 またはこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項4に記載の組成物。 【請求項5】前記セラミドタイプの化合物が、2-N-オレオイルアミノオクタデカン-1,3-ジオール、2-N-[2-ヒドロキシパルミトイル]アミノオクタデカン-1,3-ジオール、および、N-ステアロイルフィトスフィンゴシンから選択されることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。 【請求項6】酸化剤が過酸化水素水溶液であることを特徴とする、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の組成物。 【請求項7】過酸化水素水溶液の濃度が、0.5から40容量の範囲であることを特徴とする、請求項6に記載の組成物。 【請求項8】ケラチン物質のパーマネント変形を得るための、ケラチン物質の処理方法であって、 (i)還元組成物を、処理されるべきケラチン物質に適用し、該適用前、適用中、または適用後に、ケラチン物質に機械的引張力をかけ、 (ii)前記処理されたケラチン物質を任意に濯ぎ洗いし、 (iii)請求項1ないし7のいずれか1項に記載のパーマネント変形用酸化組成物を、前記任意に濯ぎ洗いしたケラチン物質に適用し、 (iv)ケラチン物質を再度、任意に濯ぎ洗いする 工程を有することを特徴とする、ケラチン物質の処理方法。 【請求項9】ケラチン物質のブリーチ方法であって、 (i)請求項1ないし7のいずれか1項に記載のブリーチ用酸化組成物を、ケラチン物質に適用し、 (ii)前記処理されたケラチン物質を濯ぎ洗いする工程を有することを特徴とする、ケラチン物質のブリーチ方法。」 に訂正する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 新規な酸化組成物および新規な髪のパーマネント変形またはブリーチ方法 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】適当な化粧品ビヒクル中に、 i)少なくとも1つの、以下の式(I): (式中、 R1は、直鎖または分岐で、飽和または不飽和の、1以上のヒドロキシル基で置換されてもよいC5-C50炭化水素基であり、 R2は、水素原子であり、 R3は、飽和または不飽和の、ヒドロキシル化または非ヒドロキシル化された、C11-C17炭化水素基であり、 R4は、水素原子であり、 R5は、水素原子を示す) に相当する天然又は合成分子より選択される、セラミドタイプの化合物、および ii)過酸化水素水溶液、臭素酸のアルカリ金属塩、過酸基塩、およびポリチオナート、またはこれらの混合物から選択される少なくとも1つの酸化剤 とを含有し、 前記セラミドタイプの化合物が、組成物の全重量に対して0.005重量%から10重量%の範囲の濃度で存在し、前記組成物が、酸化剤を含有する小胞体を含有しないことを特徴とするケラチン物質のパーマネント変形用又はブリーチ用酸化組成物。 【請求項2】前記セラミドタイプの化合物の濃度が、0.01重量%から5重量%の範囲であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。 【請求項3】セラミドタイプの化合物が、式(I)において、R1が、C14-C22脂肪酸から誘導された、飽和または不飽和で、任意にヒドロキシル化されたアルキル基を示し;R2が、水素原子を示し;R3が、飽和で、直鎖で、任意にヒドロキシル化されたC11-C17基を示す化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。 【請求項4】前記セラミドタイプの化合物が、 - 2-N-リノレオイルアミノオクタデカン-1,3-ジオール、 - 2-N-オレオイルアミノオクタデカン-1,3-ジオール、 - 2-N-パルミトイルアミノオクタデカン-1,3-ジオール、 - 2-N-ステアロイルアミノオクタデカン-1,3-ジオール、 - 2-N-ベヘノイルアミノオクタデカン-1,3-ジオール、 - 2-N-[2-ヒドロキシパルミトイル]アミノオクタデカン-1,3-ジオール、 - 2-N-ステアロイルアミノオクタデカン-1,3,4-トリオール、 - 2-N-パルミトイルアミノヘキサデカン-1,3-ジオール、 またはこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。 【請求項5】前記セラミドタイプの化合物が、2-N-オレオイルアミノオクタデカン-1,3-ジオール、2-N-[2-ヒドロキシパルミトイル]アミノオクタデカン-1,3-ジオール、および、N-ステアロイルフィトスフィンゴシンから選択されることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。 【請求項6】酸化剤が過酸化水素水溶液であることを特徴とする、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の組成物。 【請求項7】過酸化水素水溶液の濃度が、0.5から40容量の範囲であることを特徴とする、請求項6に記載の組成物。 【請求項8】ケラチン物質のパーマネント変形を得るための、ケラチン物質の処理方法であって、 (i)還元組成物を、処理されるべきケラチン物質に適用し、該適用前、適用中、または適用後に、ケラチン物質に機械的引張力をかけ、 (ii)前記処理されたケラチン物質を任意に濯ぎ洗いし、 (iii)請求項1ないし7のいずれか1項に記載のパーマネント変形用酸化組成物を、前記任意に濯ぎ洗いしたケラチン物質に適用し、 (iv)ケラチン物質を再度、任意に濯ぎ洗いする 工程を有することを特徴とする、ケラチン物質の処理方法。 【請求項9】ケラチン物質のブリーチ方法であって、 (i)請求項1ないし7のいずれか1項に記載のブリーチ用酸化組成物を、ケラチン物質に適用し、 (ii)前記処理されたケラチン物質を濯ぎ洗いする 工程を有することを特徴とする、ケラチン物質のブリーチ方法。 【発明の詳細な説明】 本発明は、髪に対してブリーチまたはパーマネント変形操作を行うための酸化化粧品組成物に関し、また、ケラチン物質、特に髪をパーマネント変形、特にウエーブパーマヘアーの形態にパーマネント変形するための、または、ブリーチするための、ケラチン物質、特に髪を処理する方法に関する。 髪をパーマネント変形するための最も一般的な技術は、まず第1工程として、ケラチンの-S-S-ジスルフィド結合(システイン)を適当な還元剤を含有する組成物を用いて開裂し(還元段階)、次いで、上記処理された髪を濯ぎ洗いした後、第2工程として、最終的に所望の髪の形状にするために、機械的引張力(カーラー等)が予めかけられている髪に対して酸化組成物を適用することにより(酸化段階、定着段階としても知られている)、前記ジスルフィド結合を再構成することからなることが知られている。該技術によれば、髪にウエーブをかけるか、または、髪をストレートにしたりカールをとるかのいずれかを行うことが可能である。上記のような化学処理によって髪に与えられた新しい形状は、簡単な一時的な処理方法、たとえばセット処理方法と比較して、経時的に著しく持続性があるものであり、水またはシャンプーを用いた洗浄に対して特に耐性がある。 パーマウエーブ操作の第1段階を行うのに使用可能な還元組成物は、一般的には、還元剤として、亜硫酸塩類、重亜硫酸塩類、アルキルホスフィン類、または好ましくはチオール類を含有する。これらの還元剤として一般的に使用されるものとしては、システインおよびその種々の誘導体、システアミンおよびその誘導体、チオ乳酸、チオグリコール酸およびその塩およびエステル類、特にグリセリル=モノチオグリコラートが挙げられる。 定着工程を行うために必要な酸化組成物に関しては、通常、実際には、過酸化水素水溶液または臭素酸のアルカリ金属塩をベースとした組成物が使用されている。 これまで知られているパーマネントウエーブ組成物の技術における問題点は、これらの組成物を髪に適用することによって、長い期間に、髪質にダメージを与えることである。該髪質へのダメージの本質的な要因は、還元工程および酸化工程の間の濯ぎ洗い操作中にケラチン繊維が膨潤することによる、化粧品特性、たとえば、艶が減少したり、機械的特性が劣化したり、特に機械的強度が劣化したりすることであり、これによって、髪の孔度が高くなる可能性もある。 髪は弱くなり、ブロー乾燥などの引き続く処理中に脆化してしまう。 ケラチン繊維へのダメージの同様の問題点は、髪を染色したりブリーチするための工程中にも起こる。このような髪は、機械的または化学的ヘアー処理、たとえば、ヘアダイ、ブリーチ、および/またはパーマネントウエーブ操作によって、種々の度合で敏感となっており、すなわち、ダメージを受けているものである。 髪質へのダメージの問題点を解決するために、還元剤または酸化剤のいずれかとともに、カチオン性ポリマを組み合わせることが提案されている。 しかしながら、これらは、髪の機械的特性を減少される問題点を全く解決するものではないため、満足のいくものではない。特に、髪のパーマネント変形処理の場合には、該髪は不満足な感触となり、カールの保持性が不十分である。 本発明の目的は、特に上記問題点を解決することである。 より詳細には、本発明の目的は、髪へのパーマネント変形操作の第2段階中使用すると、ケラチン物質の機械的特性の劣化、特に髪の傷つきを制限または防止可能とし、ブロー乾燥に耐え、美しいカールを保持可能とする、新規酸化組成物を提供することである。 本発明の目的はまた、パーマネント変形処理を施した場合、ケラチン繊維の、化粧品特性、たとえば柔軟性およびもつれのほどきやすさを改善することを可能とする上記酸化組成物を提供することである。 最後に、本発明の目的は、本発明による酸化組成物を用いて髪をパーマネント変形する新規な方法を提供することである。 本出願人による出願、EP-A-0,647,617およびFR-A-2,673,179では、水溶性活性物質をカプセル化する小胞体用エンベロープとしての、脂質と組み合わせた特別なセラミドを使用することを開示しており、組成物中に存在可能な反応性化合物から、および種々の有害な薬剤から、前記活性物質を保護するために、該活性物質が、特に酸化剤であってもよい。 ここに、本出願人は、驚くべきことに、酸化剤をカプセル化する小胞体を含有しない、パーマネント変形方法の酸化組成物中にセラミドタイプの化合物を使用することによって、パーマネントウエーブ方法の最終段階で優れた状態の髪繊維が得られるものである。 したがって、本発明よる主題は、適当な化粧品ビヒクル中に、i)少なくとも1つのセラミドタイプの化合物およびii)過酸化水素水溶液、臭素酸のアルカリ金属塩、過酸基塩、およびポリチオナート、またはこれらの混合物から選択される少なくとも1つの酸化剤とを含有し、前記セラミドタイプの化合物が、組成物の全重量に対して0.005重量%から10重量%の範囲の濃度で存在し、前記組成物が酸化剤を含有する小胞体を含有しない、新規な酸化組成物である。 本発明による主題はまた、ケラチン物質、特に髪の、特にパーマネントウエーブヘアー形態で、パーマネント変形を得るための、ケラチン物質、特に髪の処理方法であって、(i)還元組成物を、処理されるべきケラチン物質に適用し、該適用前、適用中、または適用後に、ケラチン物質に機械的引張力をかけ、(ii)前記処理されたケラチン物質を任意に濯ぎ洗いし、(iii)本発明による上記酸化組成物を、前記任意に濯ぎ洗いしたケラチン物質に適用し、(iv)ケラチン物質を再度、任意に濯ぎ洗いする工程を有することを特徴とする、ケラチン物質の処理方法である。 本発明による方法は特に、ケラチン繊維の劣化のリスクがなく、パーマネントウエーブヘアーを得るのに適当である。特に、本発明による方法は、髪の傷つき(breaking of the hair)を制限するものである。美しく均一なカール、並びにヘアースタイルの良好な保持性が得られる。本発明の方法によって処理された髪は、濡れている場合にも心地よく、スタイリングが容易である。本発明によるパーマネント変形処理を行った髪に得られる変形はまた、シャンプーに関しても経時的に良好な耐性が得られる。 本発明の主題はまた、ケラチン物質、特に髪の、新規なブリーチ方法であって、(i)本発明による上記酸化組成物を、ケラチン物質に適用し、(ii)前記処理されたケラチン物質を濯ぎ洗いする工程を有する、ケラチン物質のブリーチ方法であって、該組成物は、好ましくはアルカリ媒体中の過酸基塩の存在下、または、過酸化水素水溶液を含有するものである。 本発明の他の特徴および優位点は、以下の詳細な説明およびそれを例解する具体的な実施例からより明らかになるであろう。ただし、これらの実施例は本発明を限定するものではない。 髪のトリートメントの特別な場合に焦点を当てて記載するが、本発明による方法は、一般的なケラチン物質、特にまつげ、ひげ、体毛、ウールなどに適用可能であることに留意されたい。 上記および下記の”小胞体(vesicles)”とは、カプセル化した水相を含有する組織化された分子相からなる脂質球体を意味すると理解されたい。これらの相は、少なくとも1つの他の脂質化合物を組み合わせた少なくとも1つのセラミドタイプの化合物からなるものである。 本発明によれば、”セラミドタイプの化合物”とは、セラミドおよび/またはグリコセラミドおよび/または偽セラミド(pseudoceramides)を意味する。これらは好ましくは、以下の式(I): (式中、R1は: - 直鎖または分岐で、飽和または不飽和のC1-C50、好ましくはC5-C50の炭化水素基、該基は、任意に酸:R7COOH(式中、R7は、直鎖または分岐で、飽和または不飽和で、任意にモノ-またはポリヒドロキシル化された、C1-C35炭化水素基であり、R7基のヒドロキシル基は、飽和または不飽和で、直鎖または分岐で、任意にモノ-またはポリヒドロキシル化された、C1-C35脂肪酸でエステル化されてもよい)でエステル化される1以上のヒドロキシル基で置換されてもよい、または、 - R”-(NR-CO)-R’基(式中、Rは水素原子またはモノ-またはポリヒドロキシル化され、好ましくはモノヒドロキシル化されたC1-C20炭化水素基を示し、R’およびR”は、炭化水素基であり、これらの炭素原子の合計が9から30までの間であり、R’は2価の基である)、または、 - R8-O-CO-(CH2)p基(式中、R8は、C1-C20炭化水素基を示し、pは1から12の整数である)を示し; R2は、水素原子、サッカリドタイプの基、特に(グリコシル)n、(ガラクトシル)m、またはスルホガラクトシル基、スルファートまたはホスファート基、ホスホリルエチルアミン基、およびホスホリルエチルアンモニウム基から選択され、ここで、nは1から4の整数であり、mは1から8の整数である; R3は、水素原子、または、飽和または不飽和で、ヒドロキシル化または非ヒドロキシル化されたC1-C33炭化水素基を示し、該ヒドロキシル基は、無機酸または酸:R7COOH(式中、R7は、上記と同様の意味を示す)でエステル化されてもよく、該ヒドロキシル基は、(グリコシル)n、(ガラクトシル)m、スルホガラクトシル基、ホスホリルエチルアミン基、およびホスホリルエチルアンモニウム基でエーテル化されてもよく、R3は1以上のC1-C14アルキル基で置換されてもよい; 好ましくはR3は、C15-C26α-ヒドロキシアルキル基であり、該ヒドロキシル基は任意にC16-C30α-ヒドロキシ酸でエステル化される; R4は、水素原子、メチルまたはエチル基、飽和または不飽和で、直鎖または分岐で、任意にヒドロキシル化されたC3-C50炭化水素基、または、-CH2-CHOH-CH2-O-R6基(式中、R6は、C10-C26炭化水素基またはR8-O-CO-(CH2)p基(式中、R8は、C1-C20炭化水素基を示し、pは1から12の整数である)を示す)を示す; R5は、水素原子、または、飽和または不飽和で、直鎖または分岐で、任意にモノ-またはポリヒドロキシル化されたC1-C30炭化水素基を示し、該ヒドロキシル基は、(グリコシル)n、(ガラクトシル)m、スルホガラクトシル基、ホスホリルエチルアミンまたはホスホリルエチルアンモニウム基でエーテル化されてもよい; ただし、R3およびR5が水素原子を示す場合、または、R3が水素原子を示し、R5がメチル基を示す場合、R4は、水素原子またはメチルまたはエチル基を示さない) に相当する天然または合成分子から選択される。 上記式(I)の化合物中、文献:”Downing,Journal of Lipid Research,Vol.35,Page 2060,1994”に記載されたセラミドおよび/またはグリコセラミドまたは仏国特許出願:FR-2,673,179に記載されたものが好ましい。尚、これらの開示は本願に参照して組み入れられるものである。 セラミドタイプの化合物は特に、式(I)において、R1が、C14-C22脂肪酸から誘導された、飽和または不飽和で、任意にヒドロキシル化されたアルキル基を示し;R2が、水素原子を示し;R3が、飽和で、直鎖で、任意にヒドロキシル化されたC11-C17、好ましくはC13-C15基を示す化合物である。 このような化合物は、たとえば、 - 2-N-リノレオイルアミノオクタデカン-1,3-ジオール、 - 2-N-オレオイルアミノオクタデカン-1,3-ジオール、 - 2-N-パルミトイルアミノオクタデカン-1,3-ジオール、 - 2-N-ステアロイルアミノオクタデカン-1,3-ジオール、 - 2-N-ベヘノイルアミノオクタデカン-1,3-ジオール、 - 2-N-[2-ヒドロキシパルミトイル]アミノオクタデカン-1,3-ジオール、 - 2-N-ステアロイルアミノオクタデカン-1,3,4-トリオール、 特に、N-ステアロイルフィトスフィンゴシン、 - 2-N-パルミトイルアミノヘキサデカン-1,3-ジオール、 またはこれらの混合物である。 特別な組み合わせ、たとえば、Downing分類によるセラミド2とセラミド5の混合物も使用可能である。 式(I)において、R1が、脂肪酸から誘導された、飽和または不飽和のアルキル基を示し;R2が、ガラクトシルまたはスルホガラクトシル基を示し;R3が、飽和または不飽和のC12-C22炭化水素基、好ましくは-CH=CH-(CH2)12-CH3基を示す化合物も使用可能である。 セラミドタイプの化合物は、たとえば、特許出願:DE4,424,530、DE4,424,533、DE4,402,929、DE4,420,736、WO95/23807、WO94/07844、EP-A-0,646,572、WO95/16665、FR-2,673,179、EP-A-0,227,944、WO94/07844、WO94/24097、およびWO94/10131に開示されている。これらの教示はここに参照して組み入れられるものである。 たとえば、”Waitaki International Biosciences”社から”Glycocer”の商品名で販売されている、グリコセラミドの混合物からなる製品が挙げられる。 特許出願:EP-A-0,227,994、EP-A-0,647,617、EP-A-0,736,522、およびWO94/07844に記載された化合物も使用可能である。 このような化合物としてはたとえば、”Quest”社から”Questamide H”の商品名で販売され、ビス(N-ヒドロキシエチル-N-セチル)マロンアミド、およびセチル酸N-(2-ヒドロキシエチル)-N-(3-セチルオキシ-2-ヒドロキシプロピル)アミドが挙げられる。 特許出願:WO94/24097に記載されたN-ドコサノイル-N-メチル-D-グルカミンもまた使用可能である。 本発明で使用されるセラミドタイプの化合物は、好ましくは、2-N-オレオイルアミノオクタデカン-1,3-ジオール、2-N-[2-ヒドロキシパルミトイル]アミノオクタデカン-1,3-ジオール、および、N-ステアロイルフィトスフィンゴシンから選択される。 セラミドおよび/またはグリコセラミドは、本発明による組成物中に、0.005重量%から10重量%、好ましくは0.01重量%から5重量%までの範囲の濃度で存在する。 本発明による組成物用酸化剤は、過酸化水素水溶液、臭素酸のアルカリ金属塩、過酸基塩またはポリチオナート、またはこれらの混合物、たとえば、臭素酸のアルカリ金属塩と過酸基塩、または、過酸基塩と過酸化水素水溶液の混合物からなる群から選択される。本発明による組成物用酸化剤は、好ましくは過酸化水素水溶液である。 過酸化水素水溶液の濃度は、0.5から40容量の範囲、好ましくは2から30容量の範囲であってもよい。臭素酸のアルカリ金属塩の濃度は、一般的には、酸化組成物の全重量に対して、1重量%から12重量%であり、過酸基塩の濃度は、0.1重量%から25重量%である。 全酸化組成物のpHは、好ましくは1から13までの間、さらに好ましくは2から12までの間である。 該pHは、塩基性化剤、たとえば、アンモニア水、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン、プロパン-1,3-ジアミン、アンモニウムまたはアルカリカーボナートまたはバイカーボナート、有機カーボナート、たとえばグアニジン=カーボナート、または、アルカリヒドロキシド(明らかに、これらの化合物の全ては、単独でまたは混合物として使用可能である)、または、酸性化剤、たとえば塩酸、酢酸、乳酸、またはホウ酸を添加することによって、常法にしたがって調整および/または得ることが可能である。 酸化組成物は、任意に増粘化されてもよいローション、クリーム、ゲル、または他の適当な形状であってもよく、髪をブリーチまたはパーマネント変形するための酸化組成物に使用されることが知られている添加剤を含有可能である。該組成物は、シャンプーの形態であってもよい。 酸化組成物はまた、特にブリーチの場合、使用時に混合する2つのパートの形態、すなわち、2つのパートのうちの1つはアルカリ性剤を含有し、固形または液状形態である。 酸化組成物はまた、このタイプの組成物用に通常知られている化粧品添加剤、たとえば、塩基性化剤または酸性化剤、保存剤、金属イオン封鎖剤、カチオン、乳白剤、および任意にカチオンポリマを含有可能である。 本発明の第2の主題は、上記組成物を酸化組成物として用いる、ケラチン繊維、特に髪のパーマネント変形方法である。 本発明による方法の第1工程は、還元組成物を髪に適用することからなる。該適用は、一度に全ての髪に、または、髪束毎に行われる。 還元組成物は、チオグリコール酸、システイン、システアミン、グリセリルチオグリコラート、チオ乳酸、またはチオ乳酸またはチオグリコール酸の塩から特に選択される少なくとも1つの還元剤を含有する。 最終的な所望の髪形に対応する形(たとえばカール等)に、髪に引張力をかける通常の工程は、適当な手段、特に、髪に引張力をかけるためのそれ自体知られている機械的手段、たとえばローラー類、カーラー類等によって行うことが可能である。 該髪は、外部手段なしで、単に指によってでも変形可能である。 任意の濯ぎ流し工程を行う前に、還元組成物が適用された髪は、通常、2、3分、一般的には5分から1時間、好ましくは10分から30分の間、前記還元組成物を髪に正常に作用させるために、放置すべきである。該放置は好ましくは、35℃から45℃までの温度で、好ましくは髪をフードで保護しながら行われる。 本発明による方法の第2工程(工程(ii))において、還元組成物が染み込んだ髪は、全体的に水性組成物で濯ぎ洗いする。 次いで、処理方法の第3工程(工程(iii))において、本発明による酸化組成物が濯ぎ洗いされた髪に適用され、髪に新たな形を定着させるものである。 還元組成物が適用された場合、酸化組成物が適用された髪は通常、2、3分、一般的には3から30分、好ましくは5から15分間、放置される。 本発明により使用される還元および酸化組成物用のビヒクルは、好ましくは、水または低級アルコール、たとえばエタノール、イソプロパノール、またはブタノールのアルコール水溶液である。 過酸化水素水溶液は、たとえば、フェナセチン、アセトアニリド、リン酸一および三ナトリウムで、または8-ヒドロキシキノリン=スルファート、またはスズ酸ナトリウムを含むスズ酸塩を用いて安定化可能である。 髪への引張力が外部手段によって保持された場合には、これらの手段(カーラー、ローラーなど)は、定着工程前または後に髪から除去可能である。 最後に、任意である本発明による方法の最終工程(工程(iv))において、酸化組成物が染み込んだ髪は、一般的には水で全体的に濯ぎ洗いされる。 柔軟でもつれが解きやすい髪が最終的には得られる。該髪はウエーブがかかったものである。 本発明による酸化組成物はまた、ケラチン繊維、特に髪のブリーチ方法にも使用可能である。 本発明によるブリーチ方法は、本発明による酸化組成物をケラチン繊維に適用する工程を含み、該組成物は好ましくは、アルカリ媒体中過酸化水素水溶液を含有するものである。通常、本発明によるブリーチ方法の第2工程は、ケラチン繊維を濯ぎ洗いする工程である。 本発明を例解する具体的な例を以下に挙げる。 上記および下記において、特記しない限り、パーセントは重量ベースである。 実施例1: 本出願人は、ケラチン繊維のパーマネント変形するための処理工程用酸化組成物にセラミドを添加することによって、ケラチン繊維の機械的強度に関する改善を例解するため、比較テストをおこなった。 本発明による定着剤として知られる以下の酸化組成物Aを調製した。 定着剤A: - N-オレイルジヒドロスフィンゴシン(セラミド) 1% - 200容量の過酸化水素水 4.8% - 30%活性材料含有の水溶液としてのラウリルジメチルアミンオキシド 1% - クエン酸 全体としてpH=3 - 脱イオン水 合計100% N-オレイルジヒドロスフィンゴシンを含有しない酸化組成物Aと同様の、比較酸化組成物Bを調製した。 上記酸化組成物は、単に、混合し、溶解および分散後、セラミドを加熱することによって調製した。 髪のパーマネント変形処理中、2つの酸化組成物を比較するために、以下の還元組成物を調製した。 還元組成物: - 30%活性材料含有のココイルアミドプロピルベタイン/グリセリル=モノラウラート混合物 総体して1.4% - チオグリコール酸 6.7% - 炭酸水素アンモニウム 5.1% - 金属イオン封鎖剤 0.2% - 20%NH3含有のアンモニア水 6.2% - 脱イオン水 合計 100% 還元組成物は単に混合することによって調製された。 該還元組成物を次いで、敏感化した髪束に、溶液(bath)2g/髪重量(g)の割合で適用した。敏感化した髪とは、環境薬剤(atmospheric agent)および/または機械的または化学的ヘアートリートメント、たとえば、染色、ブリーチ、および/またはパーマネントウエーブ操作の作用によって、種々の度合でダメージを受けた髪を意味する。該組成物を髪に10分間適用放置後、該髪を水で濯ぎ洗いした。 各組成物AおよびBを、次いで、濯ぎ洗いされた髪に溶液2g/髪重量(g)の割合で適用した。組成物適用後5分放置して、該髪を濯ぎ洗いして乾燥した。 各組成物のケラチン繊維の劣化を制限する能力を以下の方法にしたがって評価した。上記のように予め組成物AおよびBで処理された各髪に対して、3つの髪束に水分を与え、次いで、毛根を保持するために金属サポートを置いた。ブロー乾燥を、できる限り均一に行った。 ブロー乾燥中に切れた髪をブラシで集め、ペトリ皿にいれ、20℃プラスマイナス2℃で、50%プラスマイナス2%の相対湿度で12時間の条件にふした後、重量を計った。 得られた結果を以下の表(I)に示す。 これらの結果から明らかに、パーマネント変形工程用の酸化組成物にセラミドを導入すると、ケラチン繊維の劣化が非常に制限されることがわかる。 実施例2: 髪をブリーチするための酸化組成物の具体的を以下に示す: - 過硫酸カリウム 27% - 過硫酸ナトリウム 23% - リン酸二アンモニム 9% - シリカ 15% - メタケイ酸ナトリウム 15% - 炭酸マグネシウム 6% - ヒドロキシエチルセルロース 2.5% - N-オレイルジヒドロスフィンゴシン 0.5% - 金属イオン封鎖剤 2% |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審理終結日 | 2005-08-22 |
結審通知日 | 2005-08-25 |
審決日 | 2005-09-08 |
出願番号 | 特願平9-516354 |
審決分類 |
P
1
112・
113-
YA
(A61K)
P 1 112・ 121- YA (A61K) P 1 112・ 537- YA (A61K) P 1 112・ 536- YA (A61K) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 塚中 直子、福井 悟 |
特許庁審判長 |
竹林 則幸 |
特許庁審判官 |
弘實 謙二 森田 ひとみ |
登録日 | 2000-04-07 |
登録番号 | 特許第3053650号(P3053650) |
発明の名称 | 新規な酸化組成物および新規な髪のパーマネント変形またはブリーチ方法 |
代理人 | 須藤 阿佐子 |
代理人 | 志賀 正武 |
代理人 | 須藤 晃伸 |
代理人 | 志賀 正武 |