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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
審判 査定不服 特174条1項 取り消して特許、登録 G06F
審判 査定不服 産業上利用性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1133390
審判番号 不服2005-22417  
総通号数 77 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2005-04-07 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-11-21 
確定日 2006-04-01 
事件の表示 特願2003-325616「競技用具の使用履歴特定システム」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 4月 7日出願公開、特開2005- 92566、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 1.手続の経緯、本願発明
本願は、平成15年9月18日の出願であって、その請求項1ないし3に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成18年2月21日付の手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲1ないし3に記載されたとおりの次のものと認める。
「【請求項1】競技用具の使用履歴を特定するシステムであって、
競技場に設置された基地局と通信をしてその通信履歴を記録する前記競技用具に一体の無線端末と、
前記無線端末と通信をする前記基地局と、前記基地局の前記通信の通信履歴を記録する記憶装置と、競技の進行状況を示す参照データを記録する記録手段と、前記記憶装置出力と前記記録手段出力を纏めてイベントデータを作成するイベントデータ作成装置と、から構成されるイベントデータ作成システムと、
前記無線端末から前記通信履歴を読取る読取手段と、前記読取手段出力を前記イベントデータ内の前記通信履歴と照合して一致する通信履歴を特定してその一致した通信履歴に対応する前記イベントデータ内の前記参照データを出力する照合/参照手段とを具備することを特徴とする競技用具の使用履歴特定システム。
【請求項2】前記読取手段と、前記イベントデータ作成システムと、前記照合/参照手段とがネットワークで接続されていることを特徴とする請求項1に記載の競技用具の使用履歴特定システム。
【請求項3】前記イベント作成システムを複数備えると共に、前記ネットワークに接続され、複数の前記イベント作成システム内のイベントデータを記憶する中央記憶装置を具備し、前記照合/参照手段は前記中央記憶装置に記憶されたイベントデータを照合、出力することを 特徴とする請求項2に記載の競技用具の使用履歴特定システム。」

2.原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、概略、下記理由1のとおりである。
[理由1]平成16年9月17日付でした手続補正は、下記の点で願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。

(1)請求項1において、「無線端末から前記通信の通信履歴を読取る読取手段」の出力と照合するのは、イベントデータ作成手段により作成されたデータであって、「前記読取手段出力を前記記憶装置出力と照合し」とすることは、新規事項の追加である。
(2)図6ないし10を追加し、図6ないし10についての説明を発明の詳細な説明に追加することは、新規事項の追加である。
(3)図1の「証明書」との記載を「使用履歴書」と変更すること、請求項3の「使用履歴書として印刷する」は新規事項の追加である。

3.前置報告
前置報告は、概略、下記理由2,3のとおりである。
[理由2]請求項1に記載された「前記読取手段出力を前記イベントデータ作成システム出力内の前記通信履歴と照合し、その照合結果に前記イベントデータ作成システム出力内の前記参照データを参照して前記使用履歴を特定する」とのコンピュータが果たすべき機能を特定した程度の記載しかなく、ソフトウエアによる情報処理が、ハードウエア資源を用いて具体的に実現されていないから、自然法則を利用した技術的思想の創作であるとは言えず、特許法第2条に規定する発明には該当しないものである。
したがって、本願請求項1ないし3に係る発明は、特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしていない。
[理由3]本願発明は、下記刊行物1ないし5に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

刊行物1:特開2001-225915号公報
刊行物2:国際公開第2003/002209号パンフレット
刊行物3:特開2003-199032号公報
刊行物4:国際公開第01/88884号パンフレット
刊行物5:特開2001-265562号公報

4.当審の判断
(3-1)[理由1]について
(1)については、願書に最初に添付した明細書又は図面(以下、「当初明細書等」という。)の請求項1には、「前記無線端末から通信履歴を読取りその出力と前記基地局側で記録した通信履歴と照合する」との記載からみて、当初明細書等に記載された事項の範囲であるから、拒絶の理由は失当である。
(2)については、実施例の追加にあたり、当初明細書等に記載された事項の範囲内ではないが、平成17年11月21日付の手続補正により削除されたから、拒絶の理由は解消した。
(3)については、当初明細書等の第23段落には「照合/参照装置6でイベントデータを編集して使用履歴の証明書を作成し、プリンター8にて出力」と記載され、当初明細書等には「使用履歴」そのものを出力することは記載されていないが、平成17年11月21日付の手続補正により元に戻す補正がなされたから、拒絶の理由は解消した。

(3-2)[理由2]について
平成18年2月21日付の手続補正により、「前記無線端末から前記通信履歴を読取る読取手段と、前記読取手段出力を前記イベントデータ内の前記通信履歴と照合して一致する通信履歴を特定してその一致した通信履歴に対応する前記イベントデータ内の前記参照データを出力する照合/参照手段」と補正され、照合/参照手段が、無線端末の通信履歴とイベントデータ内の通信履歴とを照合して一致するものを特定して対応する参照データを出力するという、具体的な情報処理が発明の特定事項として記載されたから、本願発明は、特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしている。

(3-3)[理由3]について
(3-3-1)刊行物
原審の拒絶の理由で引用された、及び、前置報告で挙げられた上記刊行物1ないし5には、以下の事項が開示されている。
[刊行物1]
「【0012】商品を移動する場合、作業者は倉庫管理サーバから作業指示を受け、対象商品の格納場所に向かう。作業者が身につけたり、移動手段に組込んでいる前記装置を用いて、格納場所を探したり、商品に貼付けてある記憶媒体から商品情報を読取り、作業指示を受けた商品と、選択した商品が正しいものか確認する。商品を移動する際、移動する日付、時間を記録し、商品情報タグに移動記録を蓄積したり、移動先への到着日付、時間、移動手段、保管場所などの情報を記録すれば、商品の移動履歴が分かるようにできる。つまり、正規の移動手段を用いないと、不正に移動されたことが分かるようにできたり、移動時の不都合があれば、不良移動手段や経路を探索したりすることもできるようになる。本来なら通過すべき移動経路を素通りしていることまで知ることができる。移動先でも、倉庫管理サーバと前記装置との通信によって、倉庫管理サーバに商品が移動したことを登録する。」
[刊行物2]
RFIDトランスポンダを備えたゴルフボールと、検知器を設けたホールにより、ホールインワンを検出すること。
[刊行物3]
競技情報に設けられた位置センサと、競技者のユニフォーム等に埋設された発信機、受信機とにより、競技者の移動履歴情報を取得し、前記移動履歴情報と競技者を撮影したカメラの撮影位置情報との比較によりカメラで撮影された競技者を特定すること。
[刊行物4]
野球のボールなどのスポーツ用品にRFIDタグを取り付け、RFIDタグから識別コードを読み取り、識別コードと前記スポーツ用品にサインする様子をカメラで撮影した画像とを対応付けて記憶しておき、RFIDタグから識別コードを読み取り、撮影された画像にアクセスすることにより、スポーツ用品のサインが真正なものと判断すること。
[刊行物5]
スポーツイベントにおいて、ボールとプレーヤーにセンサを取り付け、センサの移動履歴を保存し、ボールと選手の動きを表すグラフィックデータを作成すること。

また、下記刊行物6ないし8には、以下の事項が開示されている。
[刊行物6]特開2002-104617号公報
「【0053】即ち、 絵画や骨董品などの取り扱い業者である商品生産業者500おいても、鑑定を行った際、鑑定者名や鑑定組織名、商品の特徴又は鑑定の内容等を商品情報としてICタグ10に記憶させ、且つ、この商品情報を総合管理手段310に登録し、この商品情報を記憶させたICタグ10を商品識別具としてシールなどにより商品に添付しておけば、以後、商品としての流通を安全且つ確実に行うことができる。」
[刊行物7]特開2003-132117号公報
「【請求項1】流通する製品の識別番号を入力し、上記製品を流通経路に流通させる製品の出荷元と流通経路にある少なくとも1つの流通ポイントとにより上記製品の製品情報の入力を促す入力部と、
上記入力部により入力された製品の識別番号を記憶する識別番号記憶部と、
上記入力部により入力された上記製品情報を上記製品の識別番号に対応して時系列に記憶する製品情報記憶部とを備えたことを特徴とするサーバ装置。」
[刊行物8]特開2003-146437号公報
「【請求項1】拠点システムを含む流通管理システムであって、前記拠点システムは、
流通段階の製品を特定する識別情報を読取る読取手段と、
前記読取った識別情報に対応する前記製品の流通経路の前拠点内流通時刻に関する情報を入力する手段と、
前記入力した前拠点の流通時刻と現時刻とから、前記識別情報で特定される前記製品の真贋を判定する手段とを備えたことを特徴とする流通管理システム。」

(3-3-2)本願発明と刊行物1ないし8に記載された発明との対比・検討
(a)上記刊行物1ないし8は、本願発明が備える下記の構成を開示しもしくは示唆するものではない。
記(本願発明が備える構成)
競技用具に一体の無線端末から読取った通信履歴と、競技場に設置された基地局の通信履歴とを照合して、一致した通信履歴に対応する競技の進行状況を示すイベントデータ内の参照データを出力すること。
(b)そして、本願発明は前記構成により、
競技用具の使用履歴が証明できるとの効果を奏するものである。
(c)したがって、本願発明は、上記刊行物1ないし8に記載された各発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

4.むすび
以上のとおりであるから、本願発明が特許法第17条の2第3項の規定により特許を受けることができないものとする原査定の理由によっては本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって結論のとおり審決する。
 
審決日 2006-03-09 
出願番号 特願2003-325616(P2003-325616)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
P 1 8・ 55- WY (G06F)
P 1 8・ 14- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 青柳 光代金子 幸一  
特許庁審判長 佐藤 伸夫
特許庁審判官 山本 穂積
高瀬 勤
発明の名称 競技用具の使用履歴特定システム  

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