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審決分類 審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正しない H04M
審判 訂正 2項進歩性 訂正しない H04M
管理番号 1133561
審判番号 訂正2004-39251  
総通号数 77 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1998-12-22 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2004-11-02 
確定日 2006-03-15 
事件の表示 特許第3408154号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯と請求要旨
本件特許第3408154号の請求項1〜3に係る発明についての出願は、平成4年11月9日に出願した特願平4-298630号の一部を平成7年11月28日に新たな特許出願とした特願平7-309275号の一部を平成10年6月26日に新たな特許出願としたものであって、平成15年3月14日に特許の設定登録がなされ、その後、平成15年11月18日に異議申立人佐野正、細江利昭より、また、同年11月19日に異議申立人金子和弘、上野圭子、株式会社ラブロス、金森英彦より、それぞれ全請求項に係る発明について特許異議の申立てがなされ、平成16年6月29日付けで請求項1ないし3に係る特許を取り消す旨の異議決定が行われ、同年11月2日に訂正審判の請求がなされたものであり、その請求の要旨は、特許第3408154号に係る明細書を本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおりに訂正するというものである。

第2.訂正事項及び訂正発明
1.訂正事項aと訂正発明1
(1)特許請求の範囲の請求項1について、特許請求の範囲の減縮、誤記の訂正及び明りょうでない記載の釈明を目的として、
「アンテナを有し、該アンテナによって、公衆通信回線に無線によって接続され、該公衆通信回線を経由して発信、または受信を行う無線通信手段と、
マイクと、 スピーカと、 該無線通信手段に対する制御指令の出力、上記無線通信手段を経由して上記公衆通信回線からデータを入力、または上記無線通信手段を経由して上記公衆通信回線にデータを送出する処理を行うコンピュータと、
該コンピュータによって所定の画像を表示する第1のディスプレイと、所定の画像を表示する第2のディスプレイと、
オン信号を出力するオンスイッチが操作された場合に上記第1のディスプレイと、上記コンピュータを含む全体に電源を供給して、該第1のディスプレイを利用した入出力が行われるアクティブ状態にし、オフ信号を出力するオフスイッチが操作された場合に、上記コンピュータと、上記無線通信手段とを含む所定の部分にのみ電源を供給して、上記第1のディスプレイを利用した入出力が行われることのない待機状態にする電源コントローラと、
上記無線通信手段と、上記マイクと、上記スピーカと、上記コンピュータと、上記第1のディスプレイと、上記第2のディスプレイとを組み合わせた状態で保持する筺体とを備え、
上記コンピュータは、 上記オンスイッチと、上記オフスイッチの操作状態に拘わりなく、上記無線通信手段が受信を待機している受信待機中であるかを繰り返し判断する受信待機中判断手段と、
該受信待機中判断手段が受信待機中であると判断した場合に、上記第2のディスプレイに画像を用いて受信待機中の表示を行う受信待機中表示手段と、 ワードプロセッサのデータ受信中か否かを予め定められた時間毎に判断する手段と、 上記受信待機中表示手段による受信待機中の表示とは別に上記第2のディスプレイに画像を用いて蓄電池の電源容量表示をする手段と、 を備え、 上記筺体は、上記第1のディスプレイを収納する収容枠と、本体と、該収容枠と本体とを2つ折り可能に連結する連結部とを備え、 携帯型無線電話装置として機能することを特徴とする携帯型コミュニケータ。」
と訂正する。(訂正箇所には下線を付した。以下、この訂正後の請求項1に記載された発明を「訂正発明1」という。)
(2)また、当該請求項1の訂正に伴い、特許明細書の段落[0006]において、「請求項1の発明の携帯型コミュニケータは、…を備えることを要旨とする。」とあったのを、明りょうでない記載の釈明を目的として、
「請求項1の発明の携帯型コミュニケータは、アンテナを有し、該アンテナによって、公衆通信回線に無線によって接続され、該公衆通信回線を経由して発信、または受信を行う無線通信手段と、マイクと、スピーカと、該無線通信手段に対する制御指令の出力、上記無線通信手段を経由して上記公衆通信回線からデータを入力、または上記無線通信手段を経由して上記公衆通信回線にデータを送出する処理を行うコンピュータと、該コンピュータによって所定の画像を表示する第1のディスプレイと、所定の画像を表示する第2のディスプレイと、オン信号を出力するオンスイッチが操作された場合に上記第1のディスプレイと、上記コンピュータを含む全体に電源を供給して、該第1のディスプレイを利用した入出力が行われるアクティブ状態にし、オフ信号を出力するオフスイッチが操作された場合に、上記コンピュータと、上記無線通信手段とを含む所定の部分にのみ電源を供給して、上記第1のディスプレイを利用した入出力が行われることのない待機状態にする電源コントローラと、上記無線通信手段と、上記マイクと、上記スピーカと、上記コンピュータと、上記第1のティスプレイと、上記第2のディスプレイとを組み合わせた状態で保持する筺体とを備え、上記コンピュータは、上記オンスイッチと、上記オフスイッチの操作状態に拘わりなく、上記無線通信手段が受信を待機している受信待機中であるかを繰り返し判断する受信待機中判断手段と、該受信待機中判断手段が受信待機中であると判断した場合に、上記第2のディスプレイに画像を用いて受信待機中の表示を行う受信待機中表示手段と、ワードプロセッサのデータ受信中か否かを予め定められた時間毎に判断する手段と、上記受信待機中表示手段による受信待機中の表示とは別に上記第2のディスプレイに画像を用いて蓄電池の電源容量表示をする手段と、を備え、上記筺体は、上記第1のディスプレイを収納する収容枠と、本体と、該収容枠と本体とを2つ折り可能に連結する連結部とを備え、携帯型無線電話装置として機能することを要旨とする。」と訂正する(訂正箇所には下線を付した)。

2.訂正事項bと訂正発明2
(1)特許請求の範囲の請求項2について、特許請求の範囲の減縮、誤記の訂正及び明りょうでない記載の釈明を目的として、
「アンテナを有し、該アンテナによって、公衆通信回線に無線によって接続され、該公衆通信回線を経由して発信、または受信を行う無線通信手段と、
マイクと、 スピーカと、 該無線通信手段に対する制御指令の出力、上記無線通信手段を経由して上記公衆通信回線からデータを入力、または上記無線通信手段を経由して上記公衆通信回線にデータを送出する処理を行うコンピュータと、
該コンピュータによって所定の画像を表示する第1のディスプレイと、所定の画像を表示する第2のディスプレイと、
オン信号を出力するオンスイッチが操作された場合に上記第1のディスプレイと、上記コンピュータを含む全体に蓄電池から電源を供給して、該第1のディスプレイを利用した入出力が行われるアクティブ状態にし、オフ信号を出力するオフスイッチが操作された場合に、上記コンピュータと、上記無線通信手段とを含む所定の部分にのみ上記蓄電池から電源を供給して、上記第1のディスプレイを利用した入出力が行われることのない待機状態にする電源コントローラと、
上記無線通信手段と、上記マイクと、上記スピーカと、上記コンピュータと、上記第1のディスプレイと、上記第2のディスプレイとを組み合わせた状態で保持する筺体とを備え、
上記コンピュータは、 上記オンスイッチと、上記オフスイッチの操作状態に拘わりなく、上記蓄電池の電源容量を繰り返し検出する電源容量検出手段と、
上記第2のディスプレイに、上記電源容量検出手段が検出した電源容量の表示を画像を用いて行う電源容量表示手段と、 ワードプロセッサのデータ受信中か否かを予め定められた時間毎に判断する手段と、 を備え、
上記筺体は、上記第1のディスプレイを収納する収容枠と、本体と、該収容枠と本体とを2つ折り可能に連結する連結部とを備え、 上記収容枠は、該収容枠と本体とを折り畳んだ状態で、上記第1のディスプレイを視認可能な位置に保持する構造を有し、 携帯型無線電話装置として機能することを特徴とする携帯型コミュニケータ。」
と訂正する。(訂正箇所には下線を付した。以下、この訂正後の請求項2に記載された発明を「訂正発明2」という。)
(2)また、当該請求項2の訂正に伴い、特許明細書の段落[0007]において、「請求項2の発明の携帯型コミュニケータは、…を備えることを要旨とする。」とあったのを、明りょうでない記載の釈明を目的として、
「請求項2の発明の携帯型コミュニケータは、アンテナを有し、該アンテナによって、公衆通信回線に無線によって接続され、該公衆通信回線を経由して発信、または受信を行う無線通信手段と、マイクと、スピーカと、該無線通信手段に対する制御指令の出力、上記無線通信手段を経由して上記公衆通信回線からデータを入力、または上記無線通信手段を経由して上記公衆通信回線にデータを送出する処理を行うコンピュータと、該コンピュータによって所定の画像を表示する第1のディスプレイと、所定の画像を表示する第2のディスプレイと、オン信号を出力するオンスイッチが操作された場合に上記第1のディスプレイと、上記コンピュータを含む全体に蓄電池から電源を供給して、該第1のディスプレイを利用した入出力が行われるアクティブ状態にし、オフ信号を出力するオフスイッチが操作された場合に、上記コンピュータと、上記無線通信手段とを含む所定の部分にのみ上記蓄電池から電源を供給して、上記第1のディスプレイを利用した入出力が行われることのない待機状態にする電源コントローラと、上記無線通信手段と、上記マイクと、上記スピーカと、上記コンピュータと、上記第1のディスプレイと、上記第2のディスプレイとを組み合わせた状態で保持する筺体とを備え、
上記コンピュータは、上記オンスイッチと、上記オフスイッチの操作状態に拘わりなく、上記蓄電池の電源容量を繰り返し検出する電源容量検出手段と、上記第2のディスプレイに、上記電源容量検出手段が検出した電源容量の表示を画像を用いて行う電源容量表示手段と、ワードプロセッサのデータ受信中か否かを予め定められた時間毎に判断する手段と、を備え、上記筺体は、上記第1のディスプレイを収納する収容枠と、本体と、該収容枠と本体とを2つ折り可能に連結する連結部とを備え、上記収容枠は、該収容枠と本体とを折り畳んだ状態で、上記第1のディスプレイを視認可能な位置に保持する構造を有し、携帯型無線電話装置として機能することを要旨とする。」と訂正する(訂正箇所には下線を付した)。

3.訂正事項c
(1)特許請求の範囲の減縮を目的として、特許請求の範囲の請求項3を削除する。
(2)そして、当該請求項3の削除に伴い、特許明細書の段落[0008]全体、段落[0013]における「本発明の請求項3の携帯型コミュニケータは、…入出力が可能になる。」の部分、段落[0014]全体、段落[0015]全体、段落[0107]における「本発明の請求項3の携帯型コミュニケータは、…常時可能になる。」の部分、及び段落[0108]全体については、明りょうでない記載の釈明を目的として削除する。

第3.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
1.訂正事項aについて
(1)上記訂正事項aの(1)は、請求項1に係る発明に対し、「無線通信手段」が「アンテナを有し、該アンテナによって」発信、または受信を行う旨、「マイク」と「スピーカ」とを備える旨、「第2のディスプレイ」が「所定の画像を表示する」旨、「筺体」が「マイク」と「スピーカ」も組み合わせた状態で保持する旨、「受信待機中判断手段」が受信待機中であるかを「繰り返し」判断する旨、「受信待機中表示手段」が第2のディスプレイに「画像を用いて」受信待機中の表示を行う旨、「ワードプロセッサのデータ受信中か否かを予め定められた時間毎に判断する手段」を備える旨、「上記受信待機中表示手段による受信待機中の表示とは別に上記第2のディスプレイに画像を用いて蓄電池の電源容量表示をする手段」を備える旨、「上記筐体は、上記第1のディスプレイを収納する収容枠と、本体と、該収容枠と本体とを2つ折り可能に連結する連結部とを備え」る旨、及び、「携帯型無線電話装置として機能する」旨の限定を付加しようとするものである。これらの限定は、特許請求の範囲の減縮に該当する。
また、上記訂正事項aは、請求項1に係る発明において、「上記オンスイッチと、上記オフスイッチの操作状態に拘わりなく、」の部分の修飾先がその直後の「上記無線通信手段が…判断する受信待機中判断手段」における「判断する」の部分であることを明確にするため、「上記オンスイッチと、上記オフスイッチの操作状態に拘わりなく、」の部分の直後でなされていた改行をやめるとともに、当該部分の直前の部分で改行を行うものである。これは、誤記の訂正及び明りょうでない記載の釈明に該当する。
(2)尚、特許明細書の段落[0006]の訂正は、上記のように請求項1を訂正することに伴い、課題を解決するための手段の対応する部分を訂正する、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。

2.訂正事項bについて
(1)上記訂正事項bの(1)は、請求項2に係る発明に対し、「無線通信手段」が「アンテナを有し、該アンテナによって」発信、または受信を行う旨、「マイク」と「スピーカ」とを備える旨、「第2のディスプレイ」が「所定の画像を表示する」旨、「筺体」が「マイク」と「スピーカ」も組み合わせた状態で保持する旨、「電源容量検出手段」が蓄電池の電源容量を「繰り返し」検出する旨、「電源容量表示手段」が第2のディスプレイに「画像を用いて」電源容量の表示を行う旨、「ワードプロセッサのデータ受信中か否かを予め定められた時間毎に判断する手段」を備える旨、「上記筺体は、上記第1のディスプレイを収納する収容枠と、本体と、該収容枠と本体とを2つ折り可能に連結する連結部とを備え、上記収容枠は、該収容枠と本体とを折り畳んだ状態で、上記第1のディスプレイを視認可能な位置に保持する構造を有」する旨、及び、「携帯型無線電話装置として機能する」旨の限定を付加しようとするものである。これらの限定は、特許請求の範囲の減縮に該当する。
また、上記訂正事項bは、請求項2に係る発明において、「上記オンスイッチと、上記オフスイッチの操作状態に拘わりなく、」の部分の修飾先がその直後の「上記蓄電池の…検出する電源容量検出手段」における「検出する」の部分であることを明確にするため、「上記オンスイッチと、上記オフスイッチの操作状態に拘わりなく、」の部分の直後でなされていた改行をやめるとともに、当該部分の直前の部分で改行を行うものである。これは、誤記の訂正及び明りょうでない記載の釈明に該当する。
(2)尚、特許明細書の段落[0007]の訂正は、上記のように請求項2を訂正することに伴い、課題を解決するための手段の対応する部分を訂正する、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。

3.訂正事項cについて
(1)上記訂正事項cの(1)は、特許請求の範囲の請求項3を削除するものであり、これは、特許請求の範囲の減縮に該当する。
(2)また、請求項3の削除に伴い、特許明細書の段落[0008]全体、段落[0013]における「本発明の請求項3の携帯型コミュニケータは、…入出力が可能になる。」の部分、段落[0014]全体、段落[0015]全体、段落[0107]における「本発明の請求項3の携帯型コミュニケータは、…常時可能になる。」の部分、及び段落[0108]全体を削除する。これは、明りょうでない記載の釈明に該当する。

4.結語
以上のとおり、上記訂正は、平成6年法改正前の特許法第126条第1項ただし書き第一号から第三号に規定する特許請求の範囲の減縮ないし誤記の訂正もしくは明りょうでない記載の釈明を目的するものであり、かつ、これらの訂正はいずれも、願書に最初に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてなされるものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
したがって、上記訂正は、平成6年法改正前の特許法第126条第1項ただし書き第一号から第三号の規定に適合し、かつ、同法同条第2項の規定に適合する。

第4.独立特許要件
上記訂正は、平成6年法改正前の特許法第126条第1項ただし書き第一号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的する訂正を含むものであるから、平成6年法改正前の特許法第126条第3項の規定(独立特許要件)に基づき、訂正後の特許請求の範囲に記載されている事項により構成される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて以下に検討する。

1.訂正発明
訂正後の請求項1、2に係る訂正発明1、訂正発明2は上記「第2.訂正事項と訂正発明」の項で認定したとおりである。

2.引用発明と周知技術
<引用刊行物一覧>
刊行物1:特開平3-235116号公報
刊行物2:実願昭63-153716号の願書に添付された明細書と図面
を撮影したマイクロフィルム(実開平2-73865号参照)
刊行物3:特開平4-156051号公報
刊行物4:特開平3-184431号公報
刊行物5:特開昭60-203065号公報
刊行物6:特開平4-259156号公報
刊行物7:特開平4-134962号公報
刊行物8:特開平3-177180号公報
刊行物9:特開平4-10012号公報

(1)上記刊行物1(特開平3-235116号公報)には図面とともに次の事項が記載されている。
イ.「データの通信手段を有する情報処理装置において、各種の情報を表示する表示画面を開閉自在にした第1の表示手段と、
上記第1の表示手段と独立してデータ通信の状態を表示する第2の表示手段と、
上記表示画面の開閉状態に応じて上記第1表示手段の表示制御を行うとともに、上記第2表示手段の表示制御は上記表示画面の開閉状態と無関係に行う制御手段を有することを特徴とする情報処理装置。」(公報1頁左下欄、特許請求の範囲)
ロ.「また右のヒンジM39にはデイスプレイの開閉を検知するマイクロスイツチM44が配置され、ヒンジの部材M45に取り付けたアクチユエータM46がマイクロスイツチM44をデイスプレイの回転位置に応じてON、OFFし開閉状態を検知する。」(公報3頁右上欄18行目〜左下欄3行目)
ハ.「M48、M49はそれぞれ赤、緑のLEDであって、緑はPOWERを、赤はスタンバイ状態、FAX受信などの表示をするものである。」(公報3頁左下欄19行目〜右下欄1行目)
ニ.「第6図に示すように、デイスプレイ後ろカバーM14には、バツクライト液晶ユニツトM16が固定され、その前面にはタツチパネルM19が2mmの薄いクツシヨンM60を介して取り付けられている。・・・さらに下方両端には前述のヒンジユニツト部材M40が固定部材M41によって固定され、デイスプレイがヒンジ回りに回転する。
デイスプレイ前カバーM15は、前記後ろカバーM14にたいしビス止めされており、その表示枠周囲の裏面に張り付けた、緩衝部材M61で前記液晶デイスプレイM16、タツチパネルM19を押さえ、液晶デイスプレイに対するタツチパネルのずれをなくしている。」(公報3頁右下欄9行目〜4頁左上欄5行目)
ホ.「ハンドセツトM86を備えたハンドセツト置台M81は第22図、第23図に示すよう本体に結合される。」(公報6頁右下欄15〜17行目)
ヘ.「E18はスピーカであり、TEL・FAX・音源コントローラE23による音声、音楽、信号等を再生する場合に使用する。」(公報11頁右下欄19行目〜12頁左上欄1行目)
ト.「E25はハンドセツトである。本ハンドセツトは、ダイヤルボタン、フツクボタン等を持つ電話機である。」(公報12頁右上欄14〜16行目)
チ.「E26は1200/300BAUDの非同期通信モデムである。本モデムボードを対応するコネクタに挿入することによって、電話/フアクス共用の公衆回線E14をパソコン通信としても使用できるようになる。」(公報12頁左下欄3〜7行目)
リ.「E105はマイクの入力信号MICinである。ハンドセツトをマイクの代わりとして使用するときにこの部分からADPCM回路に入力を行なう。」(公報14頁右上欄18〜20行目)
ヌ.「E116は公衆回線用の端子(モジユラ ジヤツク)である。この端子を用いて本機器を公衆回線に接続する。」(公報14頁右下欄8〜10行目)
ル.「第28図から第53図は本発明の実施例のCPUE1の制御動作を示した図である。
第28図は本実施例のおけるソフトウエア構造である。S1-3のOS(オペレーテイングシステム)は、FAXの送受信をバツクグラウンドで行えるようにマルチタスクOSである。S1-2のマネージヤと呼ばれる管理プログラムが、S1-3のOSとS1-1のアプリケーシヨンの間に介在し、ユーザとアプリケーシヨンとのインターフエースを取り持っている。その中で特に、タツチパネルへのタツチ、キーボード入力、タイマなどの各種イベントを一括して管理し、発注したイベントを待っているアプリケーシヨンに制御を渡す、いわゆるイベント駆動型システムを制御する機能を持つ。」(公報15頁右上欄11行目〜左下欄5行目)
ヲ.「アプリケーシヨンは複数メモリ上に常駐し、それぞれイベント待ちの状態にある。イベント待ちとは、制御はマネージヤの中にあり、あるイベントが発生するまでマネージヤが監視している状態を言う。あるイベントが発生すると、そのイベントを待っているアプリケーシヨンを起動する。マネージヤによって起動されたアプリケーシヨンは、制御が渡ると発生したイベントに応じた処理を行い、その後マネージヤに制御を帰しイベントを待つ状態になる。」(公報15頁左下欄15〜右下欄5行目)
ワ.「また、デイスプレイ自体が蓋の役目をしているので、デイスプレイを閉められると画面を消し、開けるとつける制御をする。」(公報16頁左上欄19〜右上欄2行目)
カ.「S2-3はワープロアプリケーシヨンである。第31図はこのワープロの基本画面、第32図は印刷設定画面で、S5-1のフアクス送信スイツチは、印刷することなく、直接送信用フアイルを作成しフアイル送信を行うものである。」(公報16頁左下欄10〜14行目)
ヨ.「第29図のS2-6は電話アプリケーシヨンである。・・・FAXアプリケーシヨンと電話アプリケーシヨンは、内部ではお互いに呼びあっているので、マネージヤのイベント制御下では、1つのアプリケーシヨンと見なされる。」(公報17頁左上欄12行目〜右上欄7行目)
タ.「以上の様に本発明によれば、表示画面を開閉自在にした情報処理装置においても表示画面の開閉状態に拘らずデータ通信状態を常時認識可能にできる。」(公報23頁右上欄2〜5行目)

上記刊行物1の記載及び添付図面ならびにこの分野の技術常識を勘案すると、上記「情報処理装置」は「FAXアプリケーシヨンと電話アプリケーシヨン」及び「ワープロアプリケーシヨン」を備え、「公衆回線」に接続され、該公衆回線を経由して音声又はFAXデータ、ワープロデータの送受信及びパソコン通信を行う装置であり、該「公衆回線」はいわゆる「公衆通信回線」であるから、当該装置は「公衆通信回線に接続され、該公衆通信回線を経由して音声とデータの発信、または受信を行う通信手段」を備えた通信装置、即ち「コミュニケータ」である。
また、上記「ハンドセツト」は電話機であるから当然マイクとスピーカを備えるものであり、保持強度は不明であるがハンドセツト置台を介して本体に保持されるものである。また別のスピーカも本体に備えられている。
また、上記「情報処理装置」は「FAXの送受信をバックグラウンドで行う」OSで動作するイベント駆動型コンピュータ(即ち、前記「通信手段」に対する制御指令の出力、前記「通信手段」を経由して前記「公衆通信回線」からデータを入力、または前記「通信手段」を経由して前記「公衆通信回線」にデータを送出する処理を行うイベント駆動型コンピュータ)「CPUE1」を備えている。そして、「イベント駆動型コンピュータ」はイベント待ち(即ち、「タイマイベントを含む各種イベント監視」)を繰り返し、イベントの発生により所定のアプリケーションを制御し、その処理を実行するものである。
また、上記「マイクロスイツチ」は第1のディスプレイの開を検出してONする「オンスイッチ」の機能を有しており、閉を検出してOFFする「オフスイッチ」の機能を有している。
また、上記「第1の表示手段」は、「コンピュータによって所定の画像を表示するディスプレイ」と「オン信号を出力するオンスイッチが操作された場合に上記表示手段の表示制御を行い、オフ信号を出力するオフスイッチが操作された場合に、表示手段の画面を消す制御を行う制御手段」を備え、上記「第2の表示手段」は、コンピュータの制御により、前記オンスイッチと前記オフスイッチの操作状態に拘わりなく、スタンバイ状態即ち受信待機中及びFAX受信等のデータ通信状態を表示する「通信状態表示手段」と、当該通信状態表示手段とは別にPOWER即ち電源の表示を行う「電源表示手段」とからなっている。
また、上記「情報処理装置」は上記通信手段と、上記マイクと、上記スピーカと、上記コンピュータと、上記第1の表示手段と、上記第2の表示手段とを組み合わせた状態で保持する本体(即ち、「筺体」)を備えており、当該筺体は「ディスプレイを収納するディスプレイ後ろカバーとディスプレイ前カバーとからなる収容枠と、本体と、該収容枠と本体とを2つ折り可能に連結するヒンジユニットからなる連結部とを備え」ている。
したがって、上記刊行物1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「公衆通信回線に接続され、該公衆通信回線を経由して音声又はデータの発信、または受信を行う通信手段と、
マイクと、
スピーカと、
該通信手段に対する制御指令の出力、上記通信手段を経由して上記公衆通信回線からデータを入力、または上記通信手段を経由して上記公衆通信回線にデータを送出する処理を行うコンピュータと、
該コンピュータによって所定の画像を表示するディスプレイを備えた第1の表示手段と、第2の表示手段と、
オン信号を出力するオンスイッチが操作された場合に上記第1の表示手段の表示制御を行い、オフ信号を出力するオフスイッチが操作された場合に、第1の表示手段の画面を消す制御を行う制御手段と、
上記通信手段と、上記マイクと、上記スピーカと、上記コンピュータと、上記第1の表示手段と、上記第2の表示手段とを組み合わせた状態で保持する筺体とを備え、
上記コンピュータは、
タイマイベントを含む各種イベント監視を繰り返し、
第2の表示手段に受信待機中を表示する通信状態表示手段と、
第2の表示手段に通信状態表示手段とは別に電源の表示を行う電源表示手段と、
を備え、
上記筺体は、上記ディスプレイを収納する収容枠と、本体と、該収容枠と本体とを2つ折り可能に連結する連結部とを備え、
電話装置として機能することを特徴とするコミュニケータ。」

(2)上記刊行物2(実願昭63-153716号の願書に添付された明細書と図面を撮影したマイクロフィルム、実開平2-73865号)には図面とともに次の事項が記載されている。
イ.「操作入力した文書データを出力するワードプロセッサと、原稿を読み取った画像信号を出力するセンサと、受信の画像信号を記録するプリンタと、無線回線によって前記文書データと画像信号を送受信する無線機とを有することを特徴とするファクシミリ装置。」(明細書1頁、実用新案登録請求の範囲)
ロ.「相手のワードプロセッサから受信された文書信号は無線機9で信号線20を介してワードプロセッサ4又は、ファクシミリ5へ出力される。」(明細書3頁10〜12行目)

上記「ファクシミリ装置」はワードプロセッサを備え、画像信号ばかりでなく、ワードプロセッサデータも文書データとして無線回線を介して送受信するものであるから上記刊行物2の記載によれば、「無線回線によってワードプロセッサのデータを送受信するファクシミリ装置(即ち、コミュニケータ)」は周知である。

(3)上記刊行物3(特開平4-156051号公報)には図面とともに次の事項が記載されている。
イ.「充電式内蔵バッテリを使用するファクシミリ装置において、
ファクシミリの伝送時間を計測する手段と、受信画像の”黒”の数を計測する手段と、計測した伝送時間および”黒”の数から残りのバッテリ容量を求める手段と、残りバッテリ容量から送受信可能な原稿枚数を求める手段と、求めた原稿枚数を表示する手段とを含むことを特徴とするファクシミリ装置。」(公報1頁左下欄5〜13行目)
ロ.「携帯型ファクシミリや携帯型電話において、内蔵バッテリを使用した際の残り使用時間検出の従来例には、バッテリの電圧の変化を検出する方法がある。カドニカ電池に代表される内蔵バッテリの放電特性は第2図に示す曲線aのようになるため、電池電圧にしきい値THを設定しておき、電圧がしきい値TH以下になると、コンパレータなどで構成された検出回路が作動し、表示用ランプを点灯あるいはブザーを鳴らすなどの方法で、オペレータに知らせている。」(公報1頁右下欄4〜13行目)

上記「携帯型ファクシミリや携帯型電話」はいわゆる「携帯型コミュニケータ」であり、「求めた原稿枚数」は「残りバッテリ容量」を「原稿枚数」に換算した数値に他ならず、第1図の記載によれば「計測」を繰り返しているから、上記刊行物3の記載によれば、「携帯型コミュニケータにおいて、蓄電池の電源容量を繰り返し検出する電源容量検出手段と、ディスプレイに、上記電源容量検出手段が検出した電源容量の表示を行う電源容量表示手段とを備える」ことは周知である。

(4)上記刊行物4(特開平3-184431号公報)には第4図とともに以下の事項イ.が記載されており、また、また、上記刊行物5(特開昭60-203065号公報)には図面とともに以下の事項ロ.が記載されている。
イ.「本発明の携帯電話機は、電話機本体の筺体の一部を構成する電池パックの背面に、電話機本体と同一平面となる部分と、この部分以外の部分に突設した突部を形成している。そして、この突部内にも2次電池を収納することで、高容量型電池パックを構成する。
この場合、突部の背面に電池残量を表示する表示部を設けることができる。」(2頁右下欄18行目〜3頁左上欄5行目)
ロ.「第1および第2の表示手段を設け、これらの表示手段のうち一方に入力部により入力された外部情報を表示し、かつ他方に装置本体より発せられた内部情報を表示するようにしたことを特徴とするファクシミリ装置の情報表示方式。」(1頁左下欄特許請求の範囲)

上記「携帯電話機」や「ファクシミリ」はいわゆる「コミュニケータ」であるから上記刊行物4、5の記載によれば、「コミュニケータにコンピュータによって所定の画像を表示する第2のディスプレイを設ける」構成は周知である。

(5)上記刊行物6(特開平4-259156号公報)には図面とともに以下の事項が記載されている。
「【0015】上述したように、当該携帯電話機は、動作状態に応じて電力消費量を必要最小限に抑制しようとするものである。この実施例では、当該携帯電話機の動作状態をつぎの3つのモードにしている。第1のモードはアイドルモードであり、第2のモードはスタンバイモードであり、第3のモードはアクティブモードである。
【0016】アイドルモードは、着信があるかどうかを監視するモードであり、CPU22,入力インタフェース23およびRF受信部24の一部にB電源が供給されるようにセレクタ21が切り換えられる。セレクタ21のスイッチ21A〜21Fは、すべてオープン状態に切り換えられる。3つのモードの中、消費電力の最も少ないモードである。なお、着信があるかどうかの判定のためには、このようにRF受信部24の一部のみにB電源を供給すればよい。この着信があるかどうかを判定するための電力消費量は通話中の電力消費量に比較して1/5〜1/10程度になるので、一部にのみ電源を供給することにより、当該携帯電話機全体として消費電力を節約することができるからである。
【0017】スタンバイモードは、発信処理および着信処理が直ちに行えるモードであり、CPU22,入力インタフェース23,RF受信部24の残された一部,表示インタフェース26および音声インタフェース28にB電源が供給されるようにセレクタ21が切り換えられる。3つのモードの中、消費電力が2番目に少ないモードである。
【0018】アクティブモードは、通話可能な状態(通話状態)にあるモードであり、CPU22,入力インタフェース23,RF受信部24の全部,表示インタフェース26,RF送信部25,データ処理部27および音声インタフェース28等すべてのブロックにB電源が供給されている。3つのモードの中、最も消費電力の大きいモードである。
【0019】アイドルモード,スタンバイモードおよびアクティブモードにおける上述した電源供給のアルゴリズムを表1に示す。なお、さらに、細かく動作モードを分けることも可能である。
【0021】これらの動作モードは、当該携帯電話機が、図1に示すように、送話部3が開かれた状態になっているかまたは閉じられた状態になっているか等により、予め定められたアルゴリズムに基づき決定される。」(3頁3欄33行目〜4頁5欄28行目)

上記「携帯電話機」はいわゆる「携帯型コミュニケータ」であるから上記刊行物6の記載によれば、「携帯型コミュニケータの送話部の開閉状態等により使用する機能を選択するとともに選択した機能に関連する部分にのみ電源を供給して省電力を計る」ことは単なる慣用手段である。

(6)上記刊行物7(特開平4-134962号公報)には図面とともに以下の事項イ.が記載されており、また、上記刊行物8(特開平3-177180号公報)には図面とともに以下の事項ロ.が記載されている。
イ.「まず、ファクシミリ受信処理の動作について説明する。
制御装置1は、操作部8からの入力を受けてファクシミリ受信待ち状態となると(ステップ20)、ファクシミリ入出力装置4を監視して受信データがあるか否かをチェックする(ステップ21)。そして、受信データが有る場合には、ファクシミリ入出力制御装置4を通じて発信元に関する情報を受信し(ステップ22)、これによりタイトル情報を作成して表示装置9の画面の所定領域に表示させる(ステップ23)。
・・・
制御装置1は、上述のとおり表示処理と見かけ上においては並行して、継続ページが有るか否かを確認し(ステップ28)、継続ページが有る場合には、ステップ24に戻り、同様の動作を繰り返す。一方、継続するページが無い場合には、受信データの登録が完了したことを後述する表示処理のステップ46へ報告する(ステップ29)。」(4頁左下欄2行目〜右下欄15行目)
ロ.「また第3図は,画像データ受信時のディスプレイ(2)における画面表示を例示したもので,(A)は画像データ受信開始時,(B)は画像データ受信中,(C)は画像データ受信終了時の表示をそれぞれ示す。」(3頁右下欄20行目〜4頁左上欄1行目)

上記「ファクシミリ」や「静止画テレビ電話機」はいわゆる「コミュニケータ」であるから上記刊行物7、8の記載を勘案すると、「コミュニケータにおいて、表示中の画面の一部に通信状況(例えば、通信中または受信中あるいは受信中の発信元に関する情報等)を示す表示を行うこと」は単なる慣用手段である。

(7)上記刊行物9(特開平4-10012号公報)には図面とともに以下の事項が記載されている。
「キーボードと、
前記キーボードが収納された本体ケースと、
表示装置の表示面と座標入力用のタブレットを重ねて一体化した一体型表示入力装置と、
前記一体型表示入力装置が収納されたカバーと、
前記本体ケースと前記カバーを、前記キーボートと前記一体型表示入力装置とが対向するように重なる状態から、前記本体ケースと前記カバーのそれぞれの背面とが対向するように重なる状態となるように、それぞれを回動自在に結合するヒンジ手段と、
を具備したことを特徴とするポータブルコンピュータ。」(1頁左下欄、特許請求の範囲請求項(1))

上記「ポータブルコンピュータ」はいわゆる「携帯機器」であるから上記刊行物9の記載によれば、「携帯機器において、表示装置を収納したカバーと本体とを折り畳んだ状態で、当該表示装置を視認可能な位置に保持する構造」は周知である。

3.訂正発明1と引用発明の対比及び判断
訂正発明1と引用発明とを対比すると、訂正発明1の「アンテナを有し、該アンテナによって、公衆通信回線に無線によって接続され」という構成と引用発明の「公衆通信回線に接続され」という構成はいずれも「公衆通信回線に接続され」という構成である点で一致しており、訂正発明1の「無線通信手段」、「携帯型無線電話装置」、「携帯型コミュニケータ」と引用発明の「通信手段」、「電話装置」、「コミュニケータ」はそれぞれ「通信手段」、「電話装置」、「コミュニケータ」であるという点で一致している。
また、引用発明の「第1の表示手段」は「コンピュータによって所定の画像を表示するディスプレイ」を備えているから、当該構成と訂正発明1の「第1のディスプレイ」の間に実質的な差異はなく、訂正発明1の「所定の画像を表示する第2のディスプレイ」と引用発明の「第2の表示手段」はいずれも「第2の表示手段」であるという点で一致している。
また、訂正発明1の「オン信号を出力するオンスイッチが操作された場合に上記第1のディスプレイと、上記コンピュータを含む全体に電源を供給して、該第1のディスプレイを利用した入出力が行われるアクティブ状態にし、オフ信号を出力するオフスイッチが操作された場合に、上記コンピュータと、上記通信手段とを含む所定の部分にのみ電源を供給して、上記第1のディスプレイを利用した入出力が行われることのない待機状態にする電源コントローラ」と引用発明の「オン信号を出力するオンスイッチが操作された場合に上記第1の表示手段の表示制御を行い、オフ信号を出力するオフスイッチが操作された場合に、第1の表示手段の画面を消す制御を行う制御手段」はいずれの構成も「オンオフ信号に伴う電源制御手段」であるという点で一致している。
また、訂正発明1の「上記オンスイッチと、上記オフスイッチの操作状態に拘わりなく、上記無線通信手段が受信を待機している受信待機中であるかを繰り返し判断する受信待機中判断手段と、該受信待機中判断手段が受信待機中であると判断した場合に、上記第2のディスプレイに画像を用いて受信待機中の表示を行う受信待機中表示手段と、ワードプロセッサのデータ受信中か否かを予め定められた時間毎に判断する手段と、上記受信待機中表示手段による受信待機中の表示とは別に上記第2のディスプレイに画像を用いて蓄電池の電源容量表示をする手段」を備える構成と引用発明の「タイマイベントを含む各種イベント監視を繰り返し、第2の表示手段に受信待機中を表示する通信状態表示手段と、第2の表示手段に通信状態表示手段とは別に電源を表示する電源表示手段」を備える構成は、いずれも「状態監視と監視結果の表示を行う手段」を備えているという点で一致している。
したがって、訂正発明1と引用発明は以下の点で一致し、また、相違している。
<一致点>
「公衆通信回線に接続され、該公衆通信回線を経由して音声とデータの発信、または受信を行う通信手段と、
マイクと、
スピーカと、
該通信手段に対する制御指令の出力、上記通信手段を経由して上記公衆通信回線からデータを入力、または上記通信手段を経由して上記公衆通信回線にデータを送出する処理を行うコンピュータと、
該コンピュータによって所定の画像を表示する第1のディスプレイと、第2の表示手段と、
オンオフ信号に伴う電源制御手段と、
上記通信手段と、上記マイクと、上記スピーカと、上記コンピュータと、上記第1のディスプレイと、上記第2の表示手段とを組み合わせた状態で保持する筺体とを備え、
上記コンピュータは、
状態監視と監視結果の表示を行う手段と、
を備え、
上記筺体は、上記第1のディスプレイを収納する収容枠と、本体と、該収容枠と本体とを2つ折り可能に連結する連結部とを備え、
電話装置として機能することを特徴とするコミュニケータ。」

<相違点>
(1)「通信手段」と「コミュニケータ」に関し、訂正発明1の「通信手段」は「アンテナを有し、該アンテナによって、公衆通信回線に無線によって接続され」る「無線通信手段」であり、「コミュニケータ」は、「携帯型無線電話装置」として機能する「携帯コミュニケータ」であるのに対し、引用発明のそれらはそれぞれ単に「公衆回線に接続され」る「通信手段」、「電話装置」として機能する「コミュニケータ」である点。
(2)「第2の表示手段」に関し、訂正発明1の「第2の表示手段」は「所定の画像を表示する第2のディスプレイ」であるのに対し、引用発明のそれは単に「第2の表示手段」である点。
(3)「オンオフ信号に伴う電源制御手段」に関し、訂正発明1の手段は「オン信号を出力するオンスイッチが操作された場合に上記第1のディスプレイと、上記コンピュータを含む全体に電源を供給して、該第1のディスプレイを利用した入出力が行われるアクティブ状態にし、オフ信号を出力するオフスイッチが操作された場合に、上記コンピュータと、上記無線通信手段とを含む所定の部分にのみ電源を供給して、上記第1のディスプレイを利用した入出力が行われることのない待機状態にする電源コントローラ」であるのに対し、引用発明のそれは「オン信号を出力するオンスイッチが操作された場合に上記第1の表示手段の表示制御を行い、オフ信号を出力するオフスイッチが操作された場合に、第1の表示手段の画面を消す制御を行う制御手段」である点。
(4)「状態監視と監視結果の表示を行う手段」に関し、訂正発明1は「上記オンスイッチと、上記オフスイッチの操作状態に拘わりなく、上記無線通信手段が受信を待機している受信待機中であるかを繰り返し判断する受信待機中判断手段と、該受信待機中判断手段が受信待機中であると判断した場合に、上記第2の表示手段に画像を用いて受信待機中の表示を行う受信待機中表示手段と、ワードプロセッサのデータ受信中か否かを予め定められた時間毎に判断する手段と、上記受信待機中表示手段による受信待機中の表示とは別に上記第2の表示手段に画像を用いて蓄電池の電源容量表示をする手段」を備える構成であるのに対し、引用発明は「タイマイベントを含む各種イベント監視を繰り返し、第2の表示手段に受信待機中を表示する通信状態表示手段と、第2の表示手段に通信状態表示手段とは別に電源を表示する電源表示手段」を備える構成である点。

そこで、まず、上記相違点(1)の「通信手段」と「コミュニケータ」について検討するに、上記刊行物2の記載によれば「無線回線によってワードプロセッサのデータを送受信するファクシミリ装置(即ち、コミュニケータ)」は周知であり、上記刊行物3の記載によれば「充電式内蔵バッテリを使用する携帯型ファクシミリ装置」も周知であり、また、上記刊行物4の第1図、上記刊行物6の図1に開示されているように携帯電話機(即ち、携帯型コミュニケータ)が「アンテナを有し、該アンテナによって、公衆通信回線に無線によって接続され」るものであることも周知であるところ、これらの周知技術を引用発明に適用する上での阻害要因は何ら見あたらないから、引用発明の「通信手段」を訂正発明1のような「アンテナを有し、該アンテナによって、公衆通信回線に無線によって接続され」る「無線通信手段」に変更し、「コミュニケータ」を「携帯型無線電話装置」として機能する「携帯コミュニケータ」に変更する程度のことは、当業者であれば、容易なことである。

ついで、上記相違点(2)の「第2の表示手段」について検討するに、上記刊行物4、5の記載によれば、「通信装置(いわゆる「コミュニケータ」)にコンピュータによって所定の画像を表示する第2のディスプレイを設ける」構成は周知であり、当該周知技術を引用発明に適用する上での阻害要因は何ら見あたらないから、引用発明の「第2の表示手段」を「所定の画像を表示する第2のディスプレイ」として構成する程度のことは当業者であれば適宜成し得ることである。

また、上記相違点(3)の「オンオフ信号に伴う電源制御手段」について検討するに、引用発明の「第1の表示手段の表示制御を行う」ことは、ディスプレイをつける(動作させる、即ちアクティブにする)とともに、画面を含む装置の入出力に応じた表示制御を行う(即ち、コンピュータの少なくとも表示制御および入出力に関する機能等をアクティブにする)ことであり、この状態で装置が有する全機能が使用可能であるか否かは、当業者がその所望に応じていかようにも成し得る単なる設計的事項であり、「第1の表示手段の画面を消す」ことは必然的に第1の表示手段を必要とする機能を使用不可とすることである。また、「送話部の開閉状態等により使用する機能を選択するとともに選択した機能に関連する部分にのみ電源を供給して省電力を計る」ことは、例えば上記刊行物6に開示されているように、単なる慣用手段である。そして、前記設計的事項や慣用手段を引用発明に適用することを阻害する要因は何ら見あたらないから、引用発明の「オン信号を出力するオンスイッチが操作された場合に上記第1の表示手段の表示制御を行い、オフ信号を出力するオフスイッチが操作された場合に、第1の表示手段の画面を消す制御を行う制御手段」を訂正発明1のように「オン信号を出力するオンスイッチが操作された場合に上記第1のディスプレイと、上記コンピュータを含む全体に電源を供給して、該第1のディスプレイを利用した入出力が行われるアクティブ状態にし、オフ信号を出力するオフスイッチが操作された場合に、上記コンピュータと、上記無線通信手段とを含む所定の部分にのみ電源を供給して、上記第1のディスプレイを利用した入出力が行われることのない待機状態にする電源コントローラ」とする程度のことは当業者であれば所望に応じて適宜成し得ることである。

また、上記相違点(4)の「状態監視と監視結果の表示を行う手段」について検討するに、引用発明のタイマイベントを含む各種イベント監視はオンスイッチとオフスイッチの操作状態に拘わりなく所定の状態監視(例えば通信状態や電源の監視)を行うものであるところ、引用発明の通信状態表示装置は、当該タイマイベントを含む各種イベント監視を繰り返し、その結果スタンバイ状態即ち受信待機中を表示するものであるから、当該「タイマイベントを含む各種イベント監視を繰り返し」行う手段は「オンスイッチと、オフスイッチの操作状態に拘わりなく、通信手段が受信を待機している受信待機中であるかを繰り返し判断する受信待機中判断手段」として機能している。したがって、上記相違点(1)〜(3)の検討結果を踏まえると、引用発明の「タイマイベントを含む各種イベント監視を繰り返し、第2の表示手段に受信待機中を表示する通信状態表示手段」を訂正発明1のように「上記オンスイッチと、上記オフスイッチの操作状態に拘わりなく、上記無線通信手段が受信を待機している受信待機中であるかを繰り返し判断する受信待機中判断手段」を備え、「該受信待機中判断手段が受信待機中であると判断した場合に、上記第2のディスプレイに画像を用いて受信待機中の表示を行う」構成とする程度のことは上記刊行物1、2、4、5に基づいて、当業者であれば容易に想到し得たものである。
また、「通信装置において、表示中の画面の一部に通信状況(例えば、通信中または受信中あるいは受信中の発信元に関する情報等)を示す表示を行うこと」は上記刊行物7、8に開示されているように従来から普通に行われていることであるところ、引用発明はワードプロセッサのデータの送受信も行うのであるから、これらの通信状況を表示するために、引用発明の「タイマイベントを含む各種イベント監視」に「ワードプロセッサのデータ受信中か否かを予め定められた時間毎に判断する手段」を含ませる程度のことは、当業者であれば、単なる設計的事項に過ぎないものである。
また、上記刊行物3には「携帯型ファクシミリにおいて、蓄電池の電源容量を繰り返し検出する電源容量検出手段と、ディスプレイに、上記電源容量検出手段が検出した電源容量の表示を行う電源容量表示手段とを備える」構成が開示されており、また、上記刊行物4には「背面の(即ち、第2の)ディスプレイに画像を用いて蓄電池の電源容量表示をする」構成が開示されている。そして、当該いずれの周知技術も上記引用発明に適用できない理由は見いだせないから、引用発明の電源を「蓄電池」とするとともに電源表示手段を「上記受信待機中表示手段による受信待機中の表示とは別に上記第2のディスプレイに画像を用いて蓄電池の電源容量表示をする手段」に変更する程度のことも当業者であれば、上記刊行物1、3、4、5に基づいて、容易に想到し得たものである。
したがって、相違点(4)にかかる引用発明の「タイマイベントを含む各種イベント監視を繰り返し、第2の表示手段に受信待機中を表示する通信状態表示手段と、第2の表示手段に通信状態表示手段とは別に電源を表示する電源表示手段」を備える構成を、訂正発明1のような「上記オンスイッチと、上記オフスイッチの操作状態に拘わりなく、上記無線通信手段が受信を待機している受信待機中であるかを繰り返し判断する受信待機中判断手段と、該受信待機中判断手段が受信待機中であると判断した場合に、上記第2のディスプレイに画像を用いて受信待機中の表示を行う受信待機中表示手段と、ワードプロセッサのデータ受信中か否かを予め定められた時間毎に判断する手段と、上記受信待機中表示手段による受信待機中の表示とは別に上記第2のディスプレイに画像を用いて蓄電池の電源容量表示をする手段」を備える構成とする程度のことは当業者であれば容易なことである。

以上のとおり、訂正発明1は、上記刊行物1〜8に記載された発明および周知技術ないしは慣用手段を単に寄せ集めたに過ぎないものであり、その効果も個々の構成に基づいて予想される範囲内のものであるから、当業者であれば、上記刊行物1〜8に記載された発明および周知技術ないしは慣用手段に基づいて、容易に発明できたものである。
したがって、訂正発明1は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

4.訂正発明2と引用発明の対比及び判断
訂正発明2と引用発明とを対比すると、訂正発明2の「アンテナを有し、該アンテナによって、公衆通信回線に無線によって接続され」という構成と引用発明の「公衆通信回線に接続され」という構成はいずれも「公衆通信回線に接続され」という構成である点で一致しており、訂正発明2の「無線通信手段」、「携帯型無線電話装置」、「携帯型コミュニケータ」と引用発明の「通信手段」、「電話装置」、「コミュニケータ」はそれぞれ「通信手段」、「電話装置」、「コミュニケータ」であるという点で一致している。
また、引用発明の「第1の表示手段」は「コンピュータによって所定の画像を表示するディスプレイ」を備えているから、当該構成と訂正発明2の「第1のディスプレイ」の間に実質的な差異はなく、訂正発明2の「所定の画像を表示する第2のディスプレイ」と引用発明の「第2の表示手段」はいずれも「第2の表示手段」であるという点で一致している。
また、訂正発明2の「オン信号を出力するオンスイッチが操作された場合に上記第1のディスプレイと、上記コンピュータを含む全体に電源を供給して、該第1のディスプレイを利用した入出力が行われるアクティブ状態にし、オフ信号を出力するオフスイッチが操作された場合に、上記コンピュータと、上記通信手段とを含む所定の部分にのみ電源を供給して、上記第1のディスプレイを利用した入出力が行われることのない待機状態にする電源コントローラ」と引用発明の「オン信号を出力するオンスイッチが操作された場合に上記第1の表示手段の表示制御を行い、オフ信号を出力するオフスイッチが操作された場合に、第1の表示手段の画面を消す制御を行う制御手段」はいずれの構成も「オンオフ信号に伴う電源制御手段」であるという点で一致している。
また、訂正発明2の「上記オンスイッチと、上記オフスイッチの操作状態に拘わりなく、上記蓄電池の電源容量を繰り返し検出する電源容量検出手段と、上記第2のディスプレイに、上記電源容量検出手段が検出した電源容量の表示を画像を用いて行う電源容量表示手段と、ワードプロセッサのデータ受信中か否かを予め定められた時間毎に判断する手段」を備える構成と引用発明の「タイマイベントを含む各種イベント監視を繰り返し、第2の表示手段に受信待機中を表示する通信状態表示手段と、第2の表示手段に通信状態表示手段とは別に電源を表示する電源表示手段」を備える構成は、いずれも「状態監視と監視結果の表示を行う手段」を備えているという点で一致している。
したがって、訂正発明2と引用発明は以下の点で一致し、また、相違している。
<一致点>
「公衆通信回線に接続され、該公衆通信回線を経由して音声とデータの発信、または受信を行う通信手段と、
マイクと、
スピーカと、
該通信手段に対する制御指令の出力、上記通信手段を経由して上記公衆通信回線からデータを入力、または上記通信手段を経由して上記公衆通信回線にデータを送出する処理を行うコンピュータと、
該コンピュータによって所定の画像を表示する第1のディスプレイと、第2の表示手段と、
オンオフ信号に伴う電源制御手段と、
上記通信手段と、上記マイクと、上記スピーカと、上記コンピュータと、上記第1のディスプレイと、上記第2の表示手段とを組み合わせた状態で保持する筺体とを備え、
上記コンピュータは、
状態監視と監視結果の表示を行う手段と、
を備え、
上記筺体は、上記第1のディスプレイを収納する収容枠と、本体と、該収容枠と本体とを2つ折り可能に連結する連結部とを備え、
電話装置として機能することを特徴とするコミュニケータ。」

<相違点>
(1)「通信手段」と「コミュニケータ」に関し、訂正発明2の「通信手段」は「アンテナを有し、該アンテナによって、公衆通信回線に無線によって接続され」る「無線通信手段」であり、「コミュニケータ」は、「携帯型無線電話装置」として機能する「携帯コミュニケータ」であるのに対し、引用発明のそれらはそれぞれ単に「公衆回線に接続され」る「通信手段」、「電話装置」として機能する「コミュニケータ」である点。
(2)「第2の表示手段」に関し、訂正発明2の「第2の表示手段」は「所定の画像を表示する第2のディスプレイ」であるのに対し、引用発明のそれは単に「第2の表示手段」である点。
(3)「オンオフ信号に伴う電源制御手段」に関し、訂正発明2の手段は「オン信号を出力するオンスイッチが操作された場合に上記第1のディスプレイと、上記コンピュータを含む全体に電源を供給して、該第1のディスプレイを利用した入出力が行われるアクティブ状態にし、オフ信号を出力するオフスイッチが操作された場合に、上記コンピュータと、上記無線通信手段とを含む所定の部分にのみ電源を供給して、上記第1のディスプレイを利用した入出力が行われることのない待機状態にする電源コントローラ」であるのに対し、引用発明のそれは「オン信号を出力するオンスイッチが操作された場合に上記第1の表示手段の表示制御を行い、オフ信号を出力するオフスイッチが操作された場合に、第1の表示手段の画面を消す制御を行う制御手段」である点。
(4)「状態監視と監視結果の表示を行う手段」に関し、訂正発明2は「上記オンスイッチと、上記オフスイッチの操作状態に拘わりなく、上記蓄電池の電源容量を繰り返し検出する電源容量検出手段と、上記第2のディスプレイに、上記電源容量検出手段が検出した電源容量の表示を画像を用いて行う電源容量表示手段と、ワードプロセッサのデータ受信中か否かを予め定められた時間毎に判断する手段」を備える構成であるのに対し、引用発明は「タイマイベントを含む各種イベント監視を繰り返し、第2の表示手段に受信待機中を表示する通信状態表示手段と、第2の表示手段に通信状態表示手段とは別に電源を表示する電源表示手段」を備える構成である点。
(5)訂正発明2は「上記収容枠は、該収容枠と本体とを折り畳んだ状態で、上記第1のディスプレイを視認可能な位置に保持する構造を有し」ているのに対し、引用発明はそのような構成を有していない点。

そこで、まず、上記相違点(1)〜(3)について検討するに、これらの点は前項の訂正発明1と引用発明の相違点(1)〜(3)で検討したとおりである。

ついで、上記相違点(4)の「状態監視と監視結果の表示を行う手段」について検討するに、引用発明のタイマイベントを含む各種イベント監視はオンスイッチとオフスイッチの操作状態に拘わりなく所定の状態監視(例えば電源の監視)を行うものであるところ、上記刊行物3には「携帯型ファクシミリにおいて、蓄電池の電源容量を繰り返し検出する電源容量検出手段と、ディスプレイに、上記電源容量検出手段が検出した電源容量の表示を行う電源容量表示手段とを備える」周知の構成が開示されており、また、上記刊行物4には「背面の(即ち、第2の)ディスプレイに画像を用いて蓄電池の電源容量表示をする」(即ち、電源容量を繰り返し検出し、その結果を表示する)周知の構成が開示されている。そして、前記いずれの周知技術も上記引用発明に適用できない理由は見いだせないから、引用発明の電源を「蓄電池」とするとともに「上記オンスイッチと、上記オフスイッチの操作状態に拘わりなく、上記蓄電池の電源容量を繰り返し検出する電源容量検出手段と、上記第2のディスプレイに、上記電源容量検出手段が検出した電源容量の表示を画像を用いて行う電源容量表示手段」を備えるように構成する程度のことは当業者であれば、上記刊行物1、3、4、5に基づいて、容易に想到し得たものである。
また、「通信装置において、表示中の画面の一部に通信状況(例えば、通信中または受信中あるいは受信中の発信元に関する情報等)を示す表示を行うこと」は上記刊行物7、8に開示されているように従来から普通に行われていることであるところ、引用発明はワードプロセッサのデータの送受信も行うのであるから、これらの通信状況を表示するために、引用発明の「タイマイベントを含む各種イベント監視」に「ワードプロセッサのデータ受信中か否かを予め定められた時間毎に判断する手段」を含ませる程度のことは、当業者であれば、単なる設計的事項に過ぎないものである。
したがって、相違点(4)にかかる引用発明の「タイマイベントを含む各種イベント監視を繰り返し、第2の表示手段に受信待機中を表示する通信状態表示手段と、第2の表示手段に通信状態表示手段とは別に電源を表示する電源表示手段」を備える構成を、訂正発明2のような「上記オンスイッチと、上記オフスイッチの操作状態に拘わりなく、上記蓄電池の電源容量を繰り返し検出する電源容量検出手段と、上記第2のディスプレイに、上記電源容量検出手段が検出した電源容量の表示を画像を用いて行う電源容量表示手段と、ワードプロセッサのデータ受信中か否かを予め定められた時間毎に判断する手段」を備える構成とする程度のことは当業者であれば容易なことである。

ついで、上記相違点(5)について検討するに、上記刊行物9の記載によれば「携帯機器において、表示装置を収納したカバーと本体とを折り畳んだ状態で、当該表示装置を視認可能な位置に保持する構造」は周知であり、当該周知技術を上記引用発明に適用できない理由は見いだせないから、引用発明の第1のディスプレイの保持構造を、訂正発明2のような「上記収容枠は、該収容枠と本体とを折り畳んだ状態で、上記第1のディスプレイを視認可能な位置に保持する構造」とする程度のことも、当業者であれば、適宜成し得ることである。

以上のとおり、訂正発明2は、上記刊行物1〜9に記載された発明および周知技術ないしは慣用手段を単に寄せ集めたに過ぎないものであり、その効果も個々の構成に基づいて予想される範囲内のものであるから、当業者であれば、上記刊行物1〜9に記載された発明および周知技術ないしは慣用手段に基づいて、容易に発明できたものである。
したがって、訂正発明2は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

第5.むすび
以上のとおり、上記訂正発明1、2に係る訂正は、いずれの訂正発明も特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、平成6年法改正前の特許法126条第3項の規定に適合していない。
したがって、本件訂正は認められない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-01-31 
結審通知日 2005-02-02 
審決日 2005-02-15 
出願番号 特願平10-180964
審決分類 P 1 41・ 856- Z (H04M)
P 1 41・ 121- Z (H04M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大塚 良平川嵜 健山田 洋一  
特許庁審判長 佐藤 秀一
特許庁審判官 浜野 友茂
望月 章俊
登録日 2003-03-14 
登録番号 特許第3408154号(P3408154)
発明の名称 携帯型コミュニケータ  
代理人 足立 勉  

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