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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F
管理番号 1133732
審判番号 不服2003-4775  
総通号数 77 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1995-07-06 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-03-24 
確定日 2006-03-29 
事件の表示 平成 6年特許願第518920号「文字認識におけるストリングのカテゴライズ」拒絶査定不服審判事件〔平成 6年 9月 1日国際公開、WO94/19757、平成 7年 7月 6日国内公表、特表平 7-506207〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、1993年2月23日(外国庁受理1993年2月23日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成14年12月13日付で拒絶査定がされ、平成15年3月24日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年4月15日付で手続補正書が提出されている。
これに対し、当審において平成17年7月13日付で拒絶の理由が通知され、同年10月7日付けで意見書と共に手続補正書が提出されたものである。

2.本願発明
本願の請求項1に係る発明は、平成17年10月7日付手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、請求項1に記載された次のとおりのものである。(以下、「本願発明」という。)
「【請求項1】 記憶媒体と、前記記憶媒体にアクセスすることができるプロセッサと、を有し、前記記憶媒体は、ストリングデータを記憶し、前記ストリングデータは、文字のストリングに含まれる文字を示す情報を含むデータユニットと、前記データユニットを含む複数のサブシーケンスと、前記文字を示す情報を含むデータユニットと、該文字が最終の文字である前記文字のストリングが許容可能であることと、該文字のストリングの少なくとも一のカテゴリーと、を示す情報を含むデータユニットと、を有する、エンディングサブシーケンスと、前記複数のサブシーケンスと、エンディングサブシーケンスと、を含むシーケンスと、を有し、前記サブシーケンスは、次のサブシーケンスを有するのか否かと、該次のサブシーケンスを有する場合には該次のサブシーケンスのロケーションと、を示す情報と、代替可能なサブシーケンスを有するのか否かと、該代替可能なサブシーケンスを有する場合には該代替可能なサブシーケンスのロケーションと、を示す情報と、をさらに有し、前記プロセッサは、文字のストリングを受信し、前記文字のストリングに含まれる文字と、前記データユニットの文字を示す情報と、がマッチするか否かを決定し、マッチしない場合には許容不可能をリターンし、前記文字のストリングに含まれる最終の文字に対しては、前記エンディングサブシーケンスに含まれる、前記文字のストリングが許容可能であることと、該文字のストリングのカテゴリーと、を示す情報を含むデータユニットを使用して、該最終の文字を含む文字のストリングが許容可能であるか否かを決定し、許容可能である場合には、前記文字のストリングが許容可能であることと、該文字のストリングの少なくとも一のカテゴリーと、をリターンする、システム。」

3.引用例
当審における拒絶の理由に引用した、特開昭63-153632号公報(以下「引用例」という。)には、図面とともに次の(1)ないし(7)の事項が記載されている。
(1)「情報処理の分野においては、或る未知文字列を認識するため、計算機のメモリ等に備えた文字列テーブルから、順次文字列を読出して未知文字列と比較し、一致したことでその或る文字列を認識している。」(2頁左上欄1〜5行目)
(2)「プロセッサ17はメモリ18に例えばディスク22から語長別ポインタテーブル19と先頭文字順ポインタテーブル20と文字列テーブル21をロードする。そして、インターフェース回路23から入る未知文字列をメモリ18に格納する。」(2頁右下欄5〜9行目)
(3)「プロセッサ17は未知文字列が3文字であることから、語長別ポインタテーブル19の指示する先頭文字順ポインタテーブル202を参照する。先頭文字列順ポインタテーブル202はA〜Zまでアルファベット順に文字列テーブルを指示する構成となっており、プロセッサ17は未知文字列の先頭がEであるため、先頭文字順ポインタテーブル202のA〜Dまでを飛び越して、Eが指示する文字列テーブル213の検索開始を示す文字列の一番目の文字コードを読出し、未知文字列の二番目の文字コードと比較する。」(3頁右上欄7〜17行目)
(4)「文字列テーブル213は例えば『ADD』から順次『FOR』まで比較すべき文字列を用意しているものとすると、先頭の一文字を除いて、二番目と三番目の文字をテーブルにして備えており、図示する如く、『ADD』はDDのみを、『BIT』はITのみを、『EGI』はGIのみを、『EMI』はMIのみを、『END』はNDのみを、『FOR』はORのみを備えている。」(3頁右上欄18〜同左下欄6行目)
(5)「先頭文字順ポインタテーブル202は、『EGI』から『EOP』までの文字列群の先頭GIを指示するため、プロセッサ17はGの文字コードを読出し、未知文字列Nの文字コードと比較する。当然不一致となるため、プロセッサ17は次のMの文字コードと比較し、不一致のため次のNの文字コードを読出して比較する。」(3頁左下欄7〜13行目)
(6)「当然一致となるため、プロセッサ17は未知文字列はENDであることを認識する。」(3頁左下欄19〜20行目)
(7)「若し、未知文字列がENDで無く、ENQであるとすると、不一致となるため、プロセッサ17は次の文字列OPのOの文字コードと未知文字列の二番目の文字Nの文字コードを比較する。この場合不一致となるが、先頭文字順ポインタテーブル202は、ここまでしか比較範囲を指示しないため、プロセッサ17は未知文字列の検索が成功しなかったと判定する。」(3頁右下欄1〜8行目)

4.対比
前記「3.(2)」の記載からみて、引用例の「プロセッサ17」、「ディスク22」は、本願発明の「記憶媒体にアクセスすることができるプロセッサ」、「記憶媒体」にそれぞれ相当する。
前記「3.(3)」の記載からみて、引用例の「アルファベットA〜Z」は、本願発明の「文字のストリングに含まれる文字を示す情報」に相当するので、引用例のアルファベットA〜Zの個数(複数)用意された「先頭文字列順ポインタテーブル202」は、本願発明の「文字のストリングに含まれる文字を示す情報を含むデータユニットと、前記データユニットを含む複数のサブシーケンス」に相当する。
前記「3.(4)」の記載からみて、引用例の「文字列テーブル213が備えている二番目と三番目の文字」は、本願発明の「文字を示す情報」に相当し、引用例の「文字列テーブル213」に一致する文字列が存在することは、本願発明で「該文字が最終の文字である前記文字のストリングが許容可能であること」と同じであるから、引用例の「文字列テーブル213」は、本願発明の「前記文字を示す情報を含むデータユニットと、該文字が最終の文字である前記文字のストリングが許容可能であることと、を示す情報を含むデータユニットと、を有する、エンディングサブシーケンス」に相当する。
引用例の第2図を参照すると、未知の文字列が1文字の場合、「先頭文字順ポインタテーブル」がそのまま「文字列テーブル211」となっている。これは、本願発明の「次のサブシーケンスを有さない」場合である。引用例で、未知の文字列が3文字の場合、「先頭文字列順ポインタテーブル202」が示す「文字列テーブル213」への「ポインタ」が、本願発明の「該次のサブシーケンスを有する場合には該次のサブシーケンスのロケーションと、を示す情報」に相当する。
また、前記「3.(5)」によると、「文字列テーブル213」の「GI」の「G」と比較して不一致であれば次に「MI」の「M」と比較することが記載されているので、「文字列テーブル213」の「MI」は「GI」と「代替可能」であり、「MI」への「ロケーション」を示す情報を有していると認められる。
一方、前記「3.(7)」には、「文字列テーブル213」の「OP」まで比較しても一致しない場合、検索が成功しなかったとして終了することが記載されている。これは、「文字列テーブル213」の「OP」が、本願発明の「代替可能なサブシーケンス」を有さない場合に相当する。
したがって、引用例の「文字列テーブル213」は、本願発明の「前記サブシーケンスは、次のサブシーケンスを有するのか否かと、該次のサブシーケンスを有する場合には該次のサブシーケンスのロケーションと、を示す情報と、代替可能なサブシーケンスを有するのか否かと、該代替可能なサブシーケンスを有する場合には該代替可能なサブシーケンスのロケーションと、を示す情報と、をさらに有し」ていることに相当する。
前記「3.(7)」によると、引用例には「プロセッサ17は未知文字列の検索が成功しなかったと判定する。」と記載されており、本願発明の「前記文字のストリングに含まれる文字と、前記データユニットの文字を示す情報と、がマッチするか否かを決定し、マッチしない場合には許容不可能をリターン」することに相当する。
前記「3.(6)」によると、引用例には「当然一致となるため、プロセッサ17は未知文字列はENDであることを認識する。」と記載されており、「ENDであることを認識する」ことは、「該最終の文字を含む文字のストリングが許容可能である」ことに相当する。
したがって、本願発明と引用例記載の発明は
「記憶媒体と、前記記憶媒体にアクセスすることができるプロセッサと、を有し、前記記憶媒体は、ストリングデータを記憶し、前記ストリングデータは、文字のストリングに含まれる文字を示す情報を含むデータユニットと、前記データユニットを含む複数のサブシーケンスと、前記文字を示す情報を含むデータユニットと、該文字が最終の文字である前記文字のストリングが許容可能であることと、を有する、エンディングサブシーケンスと、前記複数のサブシーケンスと、エンディングサブシーケンスと、を含むシーケンスと、を有し、前記サブシーケンスは、次のサブシーケンスを有するのか否かと、該次のサブシーケンスを有する場合には該次のサブシーケンスのロケーションと、を示す情報と、代替可能なサブシーケンスを有するのか否かと、該代替可能なサブシーケンスを有する場合には該代替可能なサブシーケンスのロケーションと、を示す情報と、をさらに有し、前記プロセッサは、文字のストリングを受信し、前記文字のストリングに含まれる文字と、前記データユニットの文字を示す情報と、がマッチするか否かを決定し、マッチしない場合には許容不可能をリターンし、前記文字のストリングに含まれる最終の文字に対しては、前記エンディングサブシーケンスに含まれる、前記文字のストリングが許容可能であることと、を示す情報を含むデータユニットを使用して、該最終の文字を含む文字のストリングが許容可能であるか否かを決定し、許容可能である場合には、前記文字のストリングが許容可能であることと、をリターンする、システム。」で一致し、次の点で相違する。
(相違点)
本願発明は、「エンディングサブシーケンス」に「文字のストリングの少なくとも一のカテゴリーを示す情報を含むデータユニット」を有し、「文字のストリングの少なくとも一のカテゴリーをリターン」しているのに対し、引用例には前記「3.(6)」で引用したように「未知文字列はENDであることを認識する。」と記載されているが、未知文字列の「カテゴリー」を認識することは記載されていない点。

5.当審の判断
前記相違点について検討する。
引用例は、前記「3.(1)」で引用したように、「未知文字列を認識」するための発明であり、認識結果として、入力された「未知文字列」について、どのような情報をリターンするかは、必要に応じて当業者が適宜定めればよいのであって、例えば、未知文字列として「END」が入力された場合、リターンされる情報として、認識された「END」や、日本語での意味である「終了」等、種々考えることができる。
そして、本願発明では「少なくとも一のカテゴリーをリターン」することが記載されているにとどまり、具体的なカテゴリーについて特許請求するものではないから、当業者が必要に応じて容易に想到できたものと認められる。
また、本願発明の効果も、引用例から当業者が予測できる範囲のものである。

6.むすび
以上のことから、本願発明は引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-10-24 
結審通知日 2005-11-01 
審決日 2005-11-14 
出願番号 特願平6-518920
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 廣瀬 文雄  
特許庁審判長 杉山 務
特許庁審判官 岡本 俊威
佐藤 敬介
発明の名称 文字認識におけるストリングのカテゴライズ  
代理人 中島 淳  
代理人 加藤 和詳  

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