• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61B
審判 査定不服 4項4号特許請求の範囲における明りょうでない記載の釈明 特許、登録しない。 A61B
管理番号 1133808
審判番号 不服2005-8531  
総通号数 77 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2002-04-02 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-05-09 
確定日 2006-03-16 
事件の表示 平成10年特許願第544052号「頭骨における空間を覆い、かつ頭骨の形状に合致する多孔カバー」拒絶査定不服審判事件〔平成10年10月22日国際公開、WO98/46154、平成14年 4月 2日国内公表、特表2002-510218号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、1998年4月10日(パリ条約による優先権主張外国庁受理1997年4月11日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成17年1月28日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成17年5月9日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年6月7日付けで手続補正がなされたものである。

2.平成17年6月7日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成17年6月7日付けの手続補正を却下する。

[理由]
平成17年6月7日付けの手続補正(以下、「本件手続補正」という。)により、特許請求の範囲の請求項2、3の記載が補正前には、
「【請求項2】
一定のねじ受容開口部に隣接する全てのアームの中心線は、全て、そのねじ受容開口部の中心へ、同一の程度まで、かつ同一の方向に傾斜している、請求項1記載の多孔カバー。
【請求項3】
おおむね均一に離間するねじ受容開口部と、1つのねじ受容開口部から隣接するねじ受容開口部へ、ねじ受容開口部間で延びるアームとから構成されており、かつ、それぞれのねじ受容開口部は中心を有し、またそれぞれのアームは、中心線を有する多孔カバーにおいて、
ねじ受容開口部とアーム間の空間は、菱形を形成し、その菱形の軸は、隣接するねじ受容開口部の共通中心線に対して偏らされている、多孔カバー。」
であったものが、補正後には
「【請求項2】
一つのねじ孔に隣接するすべてのアームの中心線が、ねじ孔の中心に対して、すべて同じ角度で、同じ方向に傾いている請求項1記載の多孔カバー。
【請求項3】
等間隔に配置されたねじ孔と、ねじ孔同士の間のアームとを有し、各ねじ孔は中心を有し、各アームは中心線を有する多孔カバーにおいて、
ねじ孔とアームの間に菱形の空間を有し、この菱形の軸が、ねじ孔の中心に対し、偏らされていることを特徴とする多孔カバー。」
と補正された。

そこでまず請求項2の補正について検討する。
請求項2の補正は、拒絶査定の理由である平成16年7月30日付の拒絶理由通知の拒絶の理由に示す事項に対して、明りようでない記載の釈明を目的として補正を行うものと考えられるが、上記補正は上記拒絶の理由に示す事項である「ねじ受容開口部の中心へ、同一の程度まで、かつ同一の方向に傾斜している」以外の記載についても補正されるとともに、補正後の「すべてのアームの中心線が、ねじ孔の中心に対して、すべて同じ角度で、同じ方向に傾いている」という記載では、ねじ孔の中心(すなわちねじ孔の中心点)に対するアームの中心線の角度の意味が不明であるから、このような補正は明りょうでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)を目的とするものとは認められない。また、このような補正が、請求項の削除、特許請求の範囲の減縮、誤記の訂正の何れかを目的するものでないことは明らかである。
次に請求項3の補正について検討する。
請求項3の補正は、上記請求項2の補正と同様に、拒絶査定の理由である平成16年7月30日付の拒絶理由通知の拒絶の理由に示す事項に対して、明りようでない記載の釈明を目的として補正を行うものと考えられるが、上記補正は上記拒絶の理由に示す事項である「菱形の軸」以外の記載について補正されるとともに、上記拒絶の理由に示す事項である「菱形の軸」は依然として記載されたままであるから、「菱形の軸」が何を指しているのかが依然として不明であり、このような補正は明りょうでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)を目的とするものとは認められない。また、このような補正は、請求項の削除、特許請求の範囲の減縮、誤記の訂正の何れかを目的とするものでないことは明らかである。

したがって、本件手続補正は、特許法第17条の2第4項の各号に掲げる何れの事項を目的とするものにも該当せず、同法第17条の2第4項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項において準用する同法第53条第1項の規定により、上記結論の通り決定する。

3.本願発明について
(1)本願明細書及び図面
本件手続補正は上記のとおり却下されたので、本願明細書及び図面は、平成12年9月28日付け手続補正により補正されたとおりのものであり、その請求項1〜3の記載は以下のとおりのものである。
【請求項1】
おおむね均一に離間するねじ受容開口部と、1つのねじ受容開口部から隣接するねじ受容開口部へ、ねじ受容開口部間で延びるアームとから構成されている網目であって、それぞれのねじ受容開口部は、中心を有し、またそれぞれのアームは、中心を有する網目を有し、
各アームの中心線は、間でアームが延びる隣接するねじ受容開口部の共通中心線に関して、傾斜している多孔カバー。
【請求項2】
一定のねじ受容開口部に隣接する全てのアームの中心線は、全て、そのねじ受容開口部の中心へ、同一の程度まで、かつ同一の方向に傾斜している、請求項1記載の多孔カバー。
【請求項3】
おおむね均一に離間するねじ受容開口部と、1つのねじ受容開口部から隣接するねじ受容開口部へ、ねじ受容開口部間で延びるアームとから構成されており、かつ、それぞれのねじ受容開口部は中心を有し、またそれぞれのアームは、中心線を有する多孔カバーにおいて、
ねじ受容開口部とアーム間の空間は、菱形を形成し、その菱形の軸は、隣接するねじ受容開口部の共通中心線に対して偏らされている、多孔カバー。

(2)原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由のうち、理由2の概要は特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない、というものであって、具体的理由として以下のものを示している。
「B.理由2について
・請求項1
・備考
請求項1における「またそれぞれのアームは、中心を有する網目を有し」は、意味が不明で理解できない。

・請求項2
・備考
請求項2における「ねじ受容開口部の中心へ、同一の程度まで、かつ同一の方向に傾斜している」は、どのような状体を指しているのか意味が不明で理解できない。

・請求項3
・備考
請求項3における「菱形の軸」は、何を指しているのかが不明であり理解できない。」

(3)当審の判断
そこで、上記拒絶の理由について検討する。
(3-1)請求項1の記載について
請求項1には網目に関し、「おおむね均一に離間するねじ受容開口部と、1つのねじ受容開口部から隣接するねじ受容開口部へ、ねじ受容開口部間で延びるアームとから構成されている網目であって、」と、網目は、ねじ受容開口部とアームとから構成されることが記載されているが、それに続く記載として「またそれぞれのアームは、中心を有する網目を有し」が記載されている。そうすると、網目の構成要素の一部であるアームのそれぞれがさらに「中心を有する網目」を有するということになるが、アームのそれぞれが有する「中心を有する網目」とはどのような構成であるのかが本願明細書の発明の詳細な説明の記載や図面の記載を参酌しても理解できないから、請求項1に記載された「またそれぞれのアームは、中心を有する網目を有し」は意味が不明である。

(3-2)請求項2の記載について
請求項2には「一定のねじ受容開口部に隣接する全てのアームの中心線は、全て、」という記載に続いて「ねじ受容開口部の中心へ、同一の程度まで、かつ同一の方向に傾斜している」と記載されており、「ねじ受容開口部の中心へ、同一の程度まで、かつ同一の方向に傾斜している」のは「一定のねじ受容開口部に隣接する全てのアームの中心線」ということになるが、ねじ受容開口部に隣接する全てのアームの中心線が、受容開口部の中心へ、同一の程度まで、かつ同一の方向に傾斜しているという状態がどのような状態を意味するのか本願明細書の発明の詳細な説明の記載や図面の記載を参酌しても理解できないから、請求項2に記載された「ねじ受容開口部の中心へ、同一の程度まで、かつ同一の方向に傾斜している」は意味が不明である。

(3-3)請求項3の記載について
請求項3に記載された「菱形の軸」では、例えば、対角線を通る軸、対向する2辺を通る軸、隣り合う2辺を通る軸等無数の軸が考えられ、本願明細書の発明の詳細な説明の記載や図面の記載を参酌しても菱形の軸がどのような軸であるのか特定することができないから、請求項3に記載された「菱形の軸」はどのような軸を指しているのかが不明である。

したがって、請求項1〜3の記載では、特許を受けようとする発明が明確でない。

(4)むすび
以上のとおり、原査定の他の理由を検討するまでもなく、本願明細書は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないから特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-10-05 
結審通知日 2005-10-11 
審決日 2005-10-25 
出願番号 特願平10-544052
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A61B)
P 1 8・ 574- Z (A61B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 石川 太郎  
特許庁審判長 阿部 寛
特許庁審判官 北川 清伸
柳 五三
発明の名称 頭骨における空間を覆い、かつ頭骨の形状に合致する多孔カバー  
代理人 中馬 典嗣  
代理人 竹沢 荘一  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ