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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04M
管理番号 1133877
審判番号 不服2003-18047  
総通号数 77 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1998-12-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-09-18 
確定日 2006-03-30 
事件の表示 平成 9年特許願第148369号「情報処理装置」拒絶査定不服審判事件〔平成10年12月22日出願公開、特開平10-341291〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯と本願発明
本願は、平成9年6月6日の出願であって、特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成17年12月2日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものと認める。

「ネットワークを介して接続された情報提供装置と閲覧端末との間で情報の送受信を行なう情報処理システムであって、
閲覧端末は、端末固有のアクセス番号を送信するアクセス番号送信手段と、電話番号の送信を要求する要求手段を備え、
情報提供装置は、前記アクセス番号送信手段から送信されたアクセス番号が予め登録されたものであるかを判断する判断手段と、電話番号を要求するための連絡ボタンを含む画面情報を送信する画面情報送信手段と、前記要求手段による電話番号の送信要求に基いて電話番号を送信する電話番号送信手段を備え、
前記情報提供装置は判別手段が判断する閲覧端末へ電話番号を要求するための連絡ボタンを含む画面情報を送信すると共に、閲覧端末からの電話番号送信要求に対して電話番号を送信することを特徴とする情報処理システム。」

2.引用発明および周知技術
(1)これに対して、当審の拒絶理由に引用された特開平8-340391号公報(以下、「引用例」という。)には図面とともに以下の事項が記載されている。
イ.「通信ネットワークを介して接続を設定する方法において、
(A)第一ロケーションから第二ロケーションへの前記ネットワークを介した接続を前記第一ロケーションにおいて入力された前記第二ロケーションのネットワークアドレスを用いて設定する段階と、
(B)前記第一ロケーションから製品に関連する製品識別子コードを前記設定された接続を介して前記第二ロケーション宛に送出する段階と、
(C)前記第二ロケーションにおいて前記製品識別子コードを前記製品に関連する第三ロケーションのネットワークアドレスに変換する段階と、
(D)前記第三ロケーションのネットワークアドレスを用いて前記第一ロケーションと前記第三ロケーションとの間の接続を設定する段階と、
を有することを特徴とする製品識別子コードを用いた通信方法。」(2頁1欄、請求項1)
ロ.「図1に関連することであるが、以下、本発明は、相異なったロケーション60、140、150の間の電話通信接続を可能にする、電話において用いられる通信ネットワーク130として具体的に記述されているが、データネットワーク、インターネット等の他のタイプの通信ネットワークも相異なったロケーション間の接続を実現するために用いられるということも企図されている。よって、より一般的には、ユーザは、UPC案内サービスへの接続を設定するために用いられる電話番号、名前識別子、ワールドワイドウェブのユニバーサルリソース識別子(URI)等のネットワークアドレスを入力することになる。さらに、より一般的には、顧客サービスエージェント150は、”生身の”エージェント、インタラクティブ音声応答システム、インタラクティブ文書検索システム、FAXサーバ、あるいはマルチメディア情報すなわち文書を電子的に伝送するコンピュータサーバ(例えばワールドワイドウェブサーバ)等であり得る。」(3頁4欄、段落6)
ハ.「図7には第三の接続配置が示されている。図7においては、UPC案内サービスは消費者エージェントのネットワークアドレスをユーザロケーション160宛に送出し、ユーザロケーションが、ユーザロケーション160と消費者エージェント150との間の接続経路eを設定することを可能にしている。経路aとbとからなる接続は、必要に応じて維持されるかあるいは切断される。」(5頁8欄、段落23)

上記引用例の記載および図面ならびにこの分野の技術常識を考慮すると、上記「第一ロケーション(即ち、ユーザロケーション)」の一実施例は電話通信も可能な「ワールドワイドウェブ」の「閲覧端末」であり、同様に上記「第二ロケーション(即ち、UPC案内サービス)」はインターネット上の「情報提供装置」であり、これらはいわゆる「情報処理システム」を構成している。
また、上記「(B)前記第一ロケーションから製品に関連する製品識別子コードを前記設定された接続を介して前記第二ロケーション宛に送出する段階」は「第三ロケーション(即ち、電話で接続される顧客サービスエージェントまたは消費者エージェント)」の「電話番号の送信を要求する要求手段」に他ならない。
したがって、上記引用例には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が開示されている。

「ネットワークを介して接続された情報提供装置と閲覧端末との間で情報の送受信を行う情報処理システムであって、
閲覧端末は、電話番号の送信を要求する要求手段を備え、
情報提供装置は、前記要求手段による電話番号の送信要求に基いて電話番号を送信する電話番号送信手段を備え、
前記情報提供装置は、閲覧端末からの電話番号の送信要求に対して電話番号を送信する情報処理システム。」

(2)同じく、当審の拒絶理由に引用された特開平9-114783号公報(以下、「周知例」という)には図面とともに以下の記載がある。
イ.「複数の端末装置に接続されるとともに、ネットワークを介して複数のサーバに接続されている情報処理装置において、
前記端末装置のユーザの個人情報を登録する登録手段と、
前記ユーザを認識する認識手段と、
前記ユーザからの前記サーバに対する要求を、前記登録手段に登録されている前記ユーザの個人情報に対応して制御する制御手段とを備えることを特徴とする情報処理装置。」(2頁1欄、請求項1)
ロ.「【0050】次に、図9乃至図11のフローチャートを参照して、所定のユーザの端末装置1-iが、課金プロクシ11を介して、所定のインフォメーションプロバイダ4-jにアクセスし、オンラインで商品を購入する場合の処理について説明する。なお、便宜上、これらの図においては、端末装置1-i(加入者)(WWWブラウザ)、課金プロクシ11(課金業者)およびインフォメーションプロバイダ4-j(オンラインショッピング事業者)(WWWサーバ)の行う各処理を、それぞれ異なる列に分けて示してある。
【0051】なお、上述したように、このシステムにおいても、WWWの検索システムを利用するため、各端末装置はWWWブラウザ(例えば、Netscape Navigator)を、インフォメーションプロバイダ4-jはWWWサーバを備え、課金プロクシ11も、WWW上で動作するアプリケーション(例えば、Netscape Commerce Server)を有している。」(6頁9〜10欄、段落50〜51)
ハ.「例えば、WWWブラウザにより、ディスプレイ49に、図12に示すようにショッピングとVOD(Video On Demand)のボタンが表示されている状態で、カーソル53が、例えばショッピングのボタン51上に移動表示されると、ディスプレイ49のURL表示部52には、このショッピングのボタン51に対応されているURLが表示される。そして、使用者が、このショッピングのボタン51上にカーソル53が位置する状態においてマウスをクリックすると、URL表示部52に表示されているURLに対するアクセス(オンラインショッピングのサーバに対するアクセス)が行われる。」(6頁10欄〜7頁11欄、段落55)
ニ.「これに対して、メニュー画面上に購入を希望する商品が存在すると判定された場合、ステップS76に進み、そのメニュー画面から購入を希望する商品を選択する。すなわち、図13の例においては、商品W乃至Zのボタンのうち、所定のボタン上にカーソル53を移動し、マウスをクリックすることで、商品の選択を行う。」(7頁11欄、段落61)
ホ.「以上の実施例においては、課金プロクシ11をアクセスプロバイダとインフォメーションプロバイダとしても機能させるようにした・・・以下略・・・」(10頁17欄、段落95)
ヘ.「【0105】以上の実施例においては、ユーザの会員情報(個人情報)のうち、特にクレジットカードの有効期間に対応して、ユーザに対して異なるサービスを提供するようにした。すなわち、有効期間が満了しているユーザに対しては、オンラインショッピングを利用することができないようにし、有効なクレジットカードを所持しているユーザに対してのみ、オンラインショッピングのサービスを受けることができるようにした。これ以外に、例えばA会員とB会員とで、異なるメニュー画面を転送させるようにすることも可能である。
【0106】このようにするには、例えば、図9のステップS72における課金プロクシ11の指定画面の転送を要求する処理を、図19のフローチャートに示すように行うようにする。
【0107】すなわち、図19のステップS161において、課金プロクシ11のCPU21は、HTTPの認証機能に従って、WWWブラウザのユーザIDとパスワードを取得する。そして、ステップS162に進み、ステップS161で取得したユーザIDとパスワードが、図7を参照して説明したユーザIDデータベースに登録されているか否か、すなわちアクセス会員であるか否かを判定する。いま、アクセスしてきたユーザがアクセス会員でないと判定された場合においては、ステップS163に進み、アクセスを拒絶する処理を実行する。
【0108】これに対して、ステップS162において、いまアクセスしてきたユーザがアクセス会員であると判定された場合においては、ステップS164に進み、A会員であるかB会員であるかを判定する。この判定も、ユーザIDデータベースに登録されている会員種別から行うことができる。
【0109】ユーザがA会員であると判定された場合においては、ステップS165に進み、CPU21は、WWWブラウザからの指定画面の転送要求を、A会員用の指定画面の転送要求としてWWWサーバに出力する。これに対して、ユーザがB会員であると判定された場合、ステップS166において、B会員用の指定画面の転送を、WWWサーバに対して要求する。
【0110】その他の処理は、図9乃至図11に示す場合と同様である。従って、この場合ステップS73において、WWWサーバがWWWブラウザに向けて転送するメニュー画面は、アクセスしてきたユーザがA会員であれば、A会員用のメニュー画面となり、アクセスしてきたユーザがB会員であれば、B会員用のメニュー画面となる。これにより、WWWサーバは、会員の種別に対応して、異なる商品やサービスを提供したり、同一の商品やサービスであっても、異なる価格で提供したりすることが可能となる。
【0111】あるいはまた、ユーザの年齢、興味のあることなどに対応して、異なる商品やサービスを提供するようにすることも可能である。例えば、20才未満のユーザに対しては、アダルト向けの映画の提供を拒絶するようにし、20才以上のユーザに対してのみ、アダルト向けの映画を提供するようにすることもできる。」(10頁18欄〜11頁19欄、段落105〜111)

例えば上記周知例に記載されているように、「複数の端末装置に接続されるとともに、ネットワークを介して複数のサーバに接続されている情報処理装置において、前記端末装置のユーザの個人情報を登録する登録手段と、前記ユーザを認識する認識手段と、前記ユーザからの前記サーバに対する要求を、前記登録手段に登録されている前記ユーザの個人情報に対応して制御する制御手段とを備えた情報処理装置」、「WWWサーバにアクセスする際にアクセス会員であるか否かを認証する手段を付加すること」、「WWWサーバにアクセスすると、最初に会員種別に応じたメニュー項目を選択するためのボタンを含むメニュー画面が転送表示され、その後ユーザにより選択されたメニュー項目の選択データが送信され、WWWサーバから選択データに対する処理結果が転送され表示される技術手段」はいずれも周知である。

3.対比
本願発明と引用発明とを対比すると、本願発明と引用発明は、以下の点で一致し、また、相違している。

<一致点>
「ネットワークを介して接続された情報提供装置と閲覧端末との間で情報の送受信を行う情報処理システムであって、
閲覧端末は、電話番号の送信を要求する要求手段を備え、
情報提供装置は、前記要求手段による電話番号の送信要求に基いて電話番号を送信する電話番号送信手段を備え、
前記情報提供装置は、閲覧端末からの電話番号の送信要求に対して電話番号を送信する情報処理システム。」

<相違点>
本願発明における「閲覧端末」は「端末固有のアクセス番号を送信するアクセス番号送信手段」を備え、「情報提供装置」は「前記アクセス番号送信手段から送信されたアクセス番号が予め登録されたものであるかを判断する判断手段と、電話番号を要求するための連絡ボタンを含む画面情報を送信する画面情報送信手段」を備え、「判断手段の判断する閲覧端末へ電話番号を要求するための連絡ボタンを含む画面情報を送信する」構成を更に備えているのに対し、引用発明はそれらの構成が不明である点。

4.検討
そこで、上記相違点について検討するに、例えば上記周知例に開示されているように「複数の端末装置に接続されるとともに、ネットワークを介して複数のサーバに接続されている情報処理装置において、前記端末装置のユーザの個人情報を登録する登録手段と、前記ユーザを認識する認識手段と、前記ユーザからの前記サーバに対する要求を、前記登録手段に登録されている前記ユーザの個人情報に対応して制御する制御手段とを備えた情報処理装置」、「WWWサーバにアクセスする際にアクセス会員であるか否かを認証する手段を付加すること」、「WWWサーバにアクセスすると、最初に会員種別に応じたメニュー項目を選択するためのボタンを含むメニュー画面が転送表示され、その後ユーザにより選択されたメニュー項目の選択データが送信され、WWWサーバから選択データに対する処理結果が転送され表示される技術手段」はいずれも周知であるところ、これらの周知技術を引用発明に適用する上での阻害要因は何ら見あたらないから、引用発明の「情報処理システム」に「アクセス会員であるか否かを認証する手段」を付加する程度のことは当業者であれば適宜成し得ることである。そして、このような認証手段を付加した場合に「閲覧端末」が「端末固有のアクセス番号を送信するアクセス番号送信手段」を備え、「情報提供装置」が「前記アクセス番号送信手段から送信されたアクセス番号が予め登録されたものであるかを判断する判断手段」を備えるものとなることは自明のことである。また、引用発明の「電話番号の送信を要求する要求手段」における例えば「製品識別子コード」の入力および送信に先だって、第二ロケーション(即ち、UPC案内サービス)にアクセスしたときに「会員種別に応じたメニュー項目を選択するためのボタンを含むメニュー画面が転送表示され」るように構成する程度のことも当業者であれば適宜成し得ることである。そして、送信データをボタン情報のみとするか否か及びボタンを連絡ボタンとするか否か等は単なる設計的事項である。
したがって、引用発明の情報処理システムの「閲覧端末」と「情報提供装置」にそれぞれ本願発明のような「端末固有のアクセス番号を送信するアクセス番号送信手段」と「前記アクセス番号送信手段から送信されたアクセス番号が予め登録されたものであるかを判断する判断手段と、電話番号を要求するための連絡ボタンを含む画面情報を送信する画面情報送信手段」を備え、「情報提供装置」が「判断手段の判断する閲覧端末へ電話番号を要求するための連絡ボタンを含む画面情報を送信する」構成を備えるようにする程度のことは当業者であれば容易なことである。

5.むすび
以上のとおり、本願発明は、上記引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものと認められるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-01-24 
結審通知日 2006-01-31 
審決日 2006-02-13 
出願番号 特願平9-148369
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H04M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 稲葉 和生  
特許庁審判長 山本 春樹
特許庁審判官 小林 紀和
浜野 友茂
発明の名称 情報処理装置  
代理人 佐野 静夫  

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