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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04M |
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管理番号 | 1133881 |
審判番号 | 不服2003-23914 |
総通号数 | 77 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1999-11-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2003-12-11 |
確定日 | 2006-03-30 |
事件の表示 | 平成10年特許願第136929号「構内交換機」拒絶査定不服審判事件〔平成11年11月30日出願公開、特開平11-331389〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯と本願発明 本願は、平成10年5月19日の出願であって、特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成15年9月16日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものと認める。 (本願発明) 「個々に異なる内線端末番号と各々に対応する制御データおよびスライド先内線端末データとを有する複数の内線端末と、 内線端末間で通信路を形成するための通話路スイッチと、当該構内交換機全体を制御する中央制御装置とを備え、 前記複数の内線端末間で着信に対するスライド設定を可能とし、前記スライド設定をした前記複数の内線端末のうち、何れかの内線端末に着信中に発信者が特定の操作をすることで前記スライド設定されている内線端末へ着信先を変更することを特徴とする構内交換機。」 2.引用発明および周知技術 (1)これに対して、原審の拒絶理由に引用された特開昭57-65054号公報(以下、「引用例」という。)には図面とともに以下の事項が記載されている。 「従来の着信呼自動転送制御方式としては第1図および第2図に示す方式によって行なわれている。まず第1図において、1は構内交換機のネットワーク(NW)、2は中央制御装置(CC)、3は内線電話機A乃至D、4は加入者回路(LC)、5は加入者線走査装置(LSCN)、6はラインリンク通話路駆動装置(LSC)、7はリングバックトーントランク(RBT)、8はリンギングトーントランク(RGT)、9は継電器駆動装置(RC)、10は転送先索引装置(CFD)を示す。第1の内線加入者(B)3は着信呼自動転送登録のため特定番号に続き転送先第2の内線加入者(C)3の番号をダイヤルする。自動交換装置の加入者線走査装置(LSCN)5によってダイヤルした番号を検出し中央制御装置(CC)2は転送先該第2の内線加入者(C)3の番号を転送先索引装置(CFD)10に格納する。 第1の内線加入者(B)3が第3の内線加入者(A)3によってダイヤルされたときは第2図に於いて自動交換装置の加入者線走査回路(LSCN)5によってダイヤルした番号を検出し、中央制御装置(CC)2はダイヤルした番号が着信呼自動転送登録済の内線加入者であるかを転送先索引装置(CFD)10を索引して調らべ、登録されている転送先該第2の内線加入者(C)3の番号を抽出する。中央制御装置(CC)2は、第2の内線加入者(C)3の呼出し制御を公知の方法により行なう。 第2図は上記第1図の着信呼自動転送制御方式にさらに新たな機能を付加したもので、第2の内線加入者(C)3が第4の内線加入者(D)3を転送先として転送先索引装置(CFD)10に格納することもある。」(1頁右下欄3行目〜2頁左上欄15行目) 上記引用例の記載及び図面ならびにこの分野における技術常識を考慮すると、上記「内線電話機」はいわゆる「内線端末」であり、上記「構内交換機のネットワーク」は「内線端末間で通信路を形成するための通話路スイッチ」を含むものであり、上記「中央制御装置」は「構内交換機全体を制御する」ものであるから、上記引用例には以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 (引用発明) 「複数の内線端末と、 内線端末間で通信路を形成するための通話路スイッチと、当該構内交換機全体を制御する中央制御装置とを備え、 前記複数の内線端末間で着信に対する着信呼自動転送登録を可能とし、前記着信呼自動転送登録をした前記複数の内線端末のうち、何れかの内線端末に着信があると前記着信呼自動転送登録されている内線端末へ着信先を変更する構内交換機。」 (2)また、原審の拒絶査定に引用された特開平7-74831号公報(以下、「周知例」という。)には図面とともに以下の事項が記載されている。 イ.「【0018】図1を参照すると、本発明の第1の実施例は発呼者(CLG)1にインタフェースするライン回路(LC)11と、被呼者(CLD)2にインタフェースするLC12と、話中のCLD2への着信呼の転送先のボイスメールシステム(VMS)3および内線(STA)4にそれぞれインタフェースするLC13および14と、CLG1へCLD2が話中である旨を伝えるとともに呼処理方式の選択操作を促すアナウンスを送出するアナウンス回路(ANM)5と、CLD2が話中の時に待合わせ着信呼があることを知らせるトーンを送出するトーン送出回路(TNT)6と、CLG1が呼処理選択のためダイヤルした選択番号を受信する受信回路(REG)7と、LC11,…,14,ANM5,TNT6およびREG7を収容するスイッチ(SW)8と、この電子式構内交換装置内のシーケンス制御を司る中央処理装置(CPU)9と、転送先のLC13,14のSW8上の収容位置情報を記憶する記憶装置(MEM)10とを備えている。」(2頁2欄〜3頁3欄、段落18) ロ.「【0022】また、CLD2が話中であれば(S3でNO)、CPU9はSW8を制御し、LC11を通してCLG1をANM5に接続する(S7)とともにREG7に接続する(S8)。 【0023】ANM5は自動応答後、CLG1へCLD2が話中である旨を伝え、その後の呼処理方式として次の4つの呼処理手順のうちいずれかを選択するようアナウンスして案内する。 【0024】ここで、アナウンスは例えば「次の4つの処理のうちご希望の選択番号をダイヤルしてください。選択番号#1:相手から呼び返してもらう。選択番号#2:相手が終話するまで待つ。選択番号#3:伝言を録音して欲しい。選択番号#4:他の内線へ転送して欲しい。」などである。 【0025】CLG1は上記4つの呼処理手順から1つを選択し、その選択番号をダイヤルする(S9)。 【0026】REG7はLC11およびSW8を通してCLG1からの選択番号を受信してCPU9に伝え(S10)、CPU9はこの選択番号に対応した呼処理を実行する(S11)。 ・・・(中略)・・・ 【0030】選択数字#4のときは、CPU9はSW8を制御してLC11とLC14とを接続し、CLG1からの着信呼をSTA4へ転送する(S14)。」(3頁3欄、段落22〜30) ハ.「【0035】SUP21はあらかじめ設定した時間内にCLD2が応答するか否かを監視して、CLD2がこの設定時間内に応答しなければ(S6でNO)、CLD2が不在である旨をCPU9に伝える。 【0036】CPU9はSW8を制御してLC11とANM5とを接続し(S7)、ANM5は自動応答後CLG1へCLD2が未応答(不在)である旨を伝え、第1の実施例における呼処理選択番号#1,#3および#4のいずれかを選択するようアナウンスする。 【0037】その後の動作は第1の実施例で説明したS8,〜S12およびS14の処理と同一であるので、説明を省略する。」(3頁4欄、段落35〜37) 例えば上記周知例に開示されているように、「着信呼の転送が可能な内線に着信があり、当該内線が話中または不在のとき、その旨を報知するとともに発信者が特定の操作をすることで着信先を転送先の内線へ変更する着信呼処理手段を備えた構内交換機」は周知である。 3.対比 本願発明と引用発明とを対比すると、引用発明の「着信呼自動転送登録」は本願発明でいう「スライド設定」のことであり、引用発明の「何れかの内線端末に着信があると前記着信呼自動転送登録されている内線端末へ着信先を変更する」構成と本願発明の「何れかの内線端末に着信中に発信者が特定の操作をすることで前記スライド設定されている内線端末へ着信先を変更する」構成はいずれも「何れかの内線端末に着信中に前記スライド設定されている内線端末へ着信先を変更する」構成であるという点で一致している。 したがって、本願発明と引用発明は、以下の点で一致ないし相違する。 <一致点> 「複数の内線端末と、 内線端末間で通信路を形成するための通話路スイッチと、当該構内交換機全体を制御する中央制御装置とを備え、 前記複数の内線端末間で着信に対するスライド設定を可能とし、前記スライド設定をした前記複数の内線端末のうち、何れかの内線端末に着信中に前記スライド設定されている内線端末へ着信先を変更する構内交換機。」 <相違点> (1)「複数の内線端末」に関し、本願発明はそれぞれ「個々に異なる内線端末番号と各々に対応する制御データおよびスライド先内線端末データとを有する」ものであるのに対し、引用発明はその点の構成が不明瞭である点。 (2)「何れかの内線端末に着信中に前記スライド設定されている内線端末へ着信先を変更する」構成に関し、本願発明は「何れかの内線端末に着信中に発信者が特定の操作をすることで前記スライド設定されている内線端末へ着信先を変更する」構成であるのに対し、引用発明は「何れかの内線端末に着信があると前記着信呼自動転送登録されている内線端末へ着信先を変更する」構成である点。 4.判断 そこで、まず、上記相違点(1)の「複数の内線端末」について検討するに、複数の内線端末に「個々に異なる内線端末番号」を割り当て、また例えば発着信やスライド機能(転送機能)を実行するための制御データやスライド先内線端末データを記憶しておくことは構内交換機では普通に行われていることであるから、引用発明の「複数の内線端末」を「個々に異なる内線端末番号と各々に対応する制御データおよびスライド先内線端末データとを有する」ものとする程度のことは、当業者であれば適宜成し得ることである。 ついで、上記相違点(2)の「何れかの内線端末に着信中に前記スライド設定されている内線端末へ着信先を変更する」構成について検討するに、例えば上記周知例に開示されているように、「着信呼の転送が可能な内線に着信があり、当該内線が話中または不在のとき、その旨を報知するとともに発信者が特定の操作をすることで着信先を転送先の内線へ変更する着信呼処理手段を備えた構内交換機」は周知であるところ、当該周知技術を引用発明に適用する上での阻害要因は何ら見あたらず、また「その旨を報知する」構成を省略し簡略化することは利便性やコスト等に関する単なる設計的事項であるから、引用発明の「何れかの内線端末に着信があると前記着信呼自動転送登録されている内線端末へ着信先を変更する」構成に代えて構成を省略し簡略化した前記周知の着信呼処理手段を採用して本願発明のような「何れかの内線端末に着信中に発信者が特定の操作をすることで前記スライド設定されている内線端末へ着信先を変更する」構成とする程度のことは当業者であれば容易なことである。 5.むすび 以上のとおり、本願発明は、上記引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2006-01-30 |
結審通知日 | 2006-01-31 |
審決日 | 2006-02-13 |
出願番号 | 特願平10-136929 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(H04M)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 梶尾 誠哉 |
特許庁審判長 |
山本 春樹 |
特許庁審判官 |
浜野 友茂 衣鳩 文彦 |
発明の名称 | 構内交換機 |
代理人 | 青木 輝夫 |