• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) C02F
管理番号 1133985
審判番号 不服2001-13425  
総通号数 77 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1997-09-16 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-08-01 
確定日 2006-04-07 
事件の表示 平成 8年特許願第 81026号「復水脱塩装置再生処理廃水の処理方法」拒絶査定不服審判事件〔平成 9年 9月16日出願公開、特開平 9-239379〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯

本願は、平成8年3月8日の出願であって、平成13年6月21日付けで拒絶査定がなされ、平成13年8月1日に拒絶査定に対する審判請求がなされ、平成15年7月1日付けで審尋が通知され、平成15年8月29日付けで回答書が提出され、平成17年3月1日付けで拒絶理由が通知され、平成17年4月27日付けで意見書と手続補正書が提出され、平成17年7月21日付けで審尋が通知され、これに対する回答がなかったものである。

2.本願発明

本願発明は、平成17年4月27日付け手続補正書により、補正前の【請求項1】〜【請求項5】を1つの請求項にまとめたもので、実質的には、補正前の【請求項2】〜【請求項5】に規定の、触媒湿式酸化分解の対象廃水を「又は」という択一的な表現で規定した次のとおりのものである。
「【請求項1】 復水脱塩装置におけるイオン交換樹脂再生時に生じる再生処理廃水を処理して該廃水中に含まれる窒素化合物を、酸化剤として空気等の酸素含有ガスや過酸化水素を供給しながら触媒湿式酸化により酸化分解するにあたり、(1)分離再生方式にあっては、カチオン交換樹脂を再生する際の酸再生剤通薬工程から生じる再生処理廃水について、又は、カチオン交換樹脂を再生する際の酸再生剤通薬工程、酸再生剤押出工程の各工程から生じる再生処理廃水について、(2)一塔再生方式にあっては、アンモニア通薬工程から生じる再生処理廃水、及びカチオン交換樹脂を再生する際の酸再生剤通薬工程から生じる再生処理廃水について、又は、アンモニア通薬工程から生じる再生処理廃水、及びカチオン交換樹脂を再生する際の酸再生剤通薬工程、酸再生剤押出工程の各工程から生じる再生処理廃水について、これらを他の処理工程から生じる再生処理廃水と分別して、窒素化合物が高濃度で含まれている再生処理廃水について選択的に触媒湿式酸化を行なうと共に、該触媒湿式酸化処理における処理流量と触媒充填容積との関係を規定する空間速度が1〜8/hとなる条件にて触媒湿式酸化を行なうことを特徴とする復水脱塩装置再生処理廃水の処理方法。」

以下、補正前の【請求項2】及び【請求項3】に対応する、分離再生方式にかかる下記の発明(以下、「第1の発明」及び「第2の発明」という)について検討する。
「(1)復水脱塩装置におけるイオン交換樹脂再生時に生じる再生処理廃液を処理して該廃水中に含まれる窒素化合物を、酸化剤として空気等の酸素含有ガスや過酸化水素を供給しながら触媒湿式酸化によりにより酸化分解するにあたり、分離再生方式にあっては、カチオン交換樹脂を再生する際の酸再生剤通薬工程から生じる再生処理廃水について、他の処理工程から生じる再生処理廃液と分別して、窒素化合物が高濃度で含まれている再生処理廃水について選択的に触媒湿式酸化を行なうと共に、該触媒湿式酸化処理における処理流量と触媒充填容積との関係を規定する空間速度が1〜8/hとなる条件にて触媒湿式酸化を行なうことを特徴とする復水脱塩装置再生処理廃水の処理方法。(第1の発明)
(2)復水脱塩装置におけるイオン交換樹脂再生時に生じる再生処理廃液を処理して該廃水中に含まれる窒素化合物を、酸化剤として空気等の酸素含有ガスや過酸化水素を供給しながら触媒湿式酸化によりにより酸化分解するにあたり、分離再生方式にあっては、カチオン交換樹脂を再生する際の酸再生剤通薬工程、酸再生剤押出工程の各工程から生じる再生処理廃水について、他の処理工程から生じる再生処理廃液と分別して、窒素化合物が高濃度で含まれている再生処理廃水について選択的に触媒湿式酸化を行なうと共に、該触媒湿式酸化処理における処理流量と触媒充填容積との関係を規定する空間速度が1〜8/hとなる条件にて触媒湿式酸化を行なうことを特徴とする復水脱塩装置再生処理廃水の処理方法。(第2の発明)」

3.刊行物の記載について

3-1.刊行物1(特開平4-293553号公報)には下記の事項が記載されている。
(a)「ボイラ復水を通液して脱イオンを行う復水処理用混床式イオン交換装置の再生方法において、混床式イオン交換装置を構成するカチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂とを分離し、分離されたカチオン交換樹脂を酸で再生し、分離されたアニオン交換樹脂をアルカリで再生し、カチオン交換樹脂の再生によって生成する窒素を含む再生排液を、これに亜硝酸または亜硝酸塩を添加して加熱処理することを特徴とする復水処理用混床式イオン交換装置の再生方法。」(【請求項1】)
(b)「本発明の目的は、不定期的に発生する高濃度のアンモニア性窒素を含む再生排液を効果的に無害化して、効率よく再生を行うことができる復水処理用混床式イオン交換装置の再生方法を提案することである。」(【0009】)
(c)「分離したカチオン交換樹脂は塩酸、硫酸等の酸を通液して再生し・・・再生工程は・・・再生剤を通液する薬注工程、再生剤とほぼ同量の純水を通液して再生剤を押出す押出工程、および純水または復水を通液して洗浄を行う通水洗浄工程を行うのが一般的である。」(【0016】)
(d)「反応は無触媒で行うこともできるが、触媒の存在下で行うのが好ましい。触媒としては白金触媒、ゼオライト、アルミナなどがあげられる。これらの触媒は反応槽に充てんし、加熱下にアンモニア性窒素を含有する排水を通水して反応を行うのが好ましい。」(【0020】)
(e)「実施例1 図1においてカチオン交換樹脂再生塔1から得られるpH0.7、アンモニア性窒素(NH4-N)濃度9700mg/l・・・の酸排液からなる再生排液を、再生排液槽3から加熱処理槽4に供給し、薬剤貯槽16から亜硝酸性窒素(NO2-N)・・・の亜硝酸ナトリウム水溶液をNO2-N/NH4-N比が1.14となるように注入した。加熱処理槽4には触媒12としてPt/アルミナ触媒を充填し・・加熱処理を行った。得られた処理水の水質はNH4-N濃度1.5mg/l、NO2-N濃度2.3mg/lであった。」(【0030】)

3-2.刊行物2(特開平7-328647号公報)には下記の事項が記載されている。
(a)「本発明方法においては、アンモニア性窒素含有水に、酸化剤を添加したのち、加温下に金属触媒と接触させてアンモニアを分解させる。使用する酸化剤には特に制限はなく、例えば、亜硝酸塩、過酸化水素、酸素、オゾンなどを用いることができる」(【0005】)
(b)「本発明において使用する触媒としては、例えば、α-アルミナ・・・などの担体に白金・・・などの金属を担持したものを用いることができる。・・・SVは通常0.5〜20hr-1、好ましくは2〜8hr-1の範囲が有利である。」(【0006】)

4.対比 ・判断

4-1.第1の発明について

上記刊行物1の記載を第1の発明と対比すると、両者は、混床式復水脱塩装置から排出され、アニオン交換樹脂から分離されたカチオン交換樹脂を酸で再生し、その際に生じる窒素化合物を含む再生排水に、酸化剤を供給しながら触媒湿式酸化させて前記窒素化合物を酸化分解して再生排水を無害化する点で一致する。
なお、上記刊行物1の記載(c)にみるように、この種のカチオン交換樹脂の再生は、再生剤(酸)を通液する薬注工程と、再生剤を押出す押出工程と、通水洗浄工程とからなることは、当業者の常識である。
ところで、上記の窒素化合物を含む再生排水とは、上記のいずれの工程からの排水であるか、直ちに決めかねるところがあるが、上記刊行物1の記載(e)の実施例1によると、上記の再生排水のアンモニア性窒素濃度は9700mg/lときわめて高いものであるから、申立人の提出した平成15年9月1日付け実験成績証明書の図1のデータを考慮すると、少なくとも洗浄工程の廃水を含んでいないものと解することが相当である。即ち、上記再生排水とは、その濃度からみて、主に再生剤薬注工程から排出されたものと言うことができる。したがって、上記刊行物1には、実施例1として、主に再生剤(酸)薬注工程からの排水を直接触媒湿式酸化分解して無害化する方法が開示されていると言える。
なお、用水に応じて各種の廃水が出る際に、なるべく高濃度の廃水を分別して選択的に処理することは普通に行われており(必要なら、「改訂二版 用水廃水便覧」 885〜886頁 を参照のこと。)、特に新規な技術事項とはいえないものである。

そこで改めて、第1の発明と上記刊行物1の記載を対比すると、上記の構成で一致し、以下の点で相違する。
相違点1:第1の発明が、上記の触媒湿式酸化における酸化剤として「空気等の酸素含有ガスや過酸化水素」を用いるのに対し、上記刊行物1では、「亜硝酸又は亜硝酸塩」を用いている。
相違点2:第1の発明が、「触媒湿式酸化処理における処理流量と触媒充填容積との関係を規定する空間速度」(以下、単に「空間速度」という)を「1〜8/h」と規定するのに対し、上記刊行物1では、この点について明示的な記載が認められない。

以下、上記相違点について検討する。

上記相違点1については、上記刊行物2に記載のように、アンモニア性窒素の触媒湿式酸化に用いる酸化剤として、亜硝酸塩、過酸化水素、酸素、オゾンなどが周知であるところから、上記刊行物1記載の発明において、「亜硝酸塩」の代わりに「過酸化水素や酸素」を用いることは当業者が容易になしうることである。
上記相違点2については、上記刊行物2に記載のように、アンモニア性窒素含有水を触媒湿式酸化するときの空間速度として、「2〜8/h」の範囲が有利であることが公知であるところから、上記刊行物1記載の発明において、上記空間速度を「1〜8/h」と規定することは当業者が容易になしうることである。
したがって、第1の発明は、刊行物1及び2に記載された発明に基いて当業者が容易になしえたものである。

4-2.第2の発明について

上記刊行物1の記載(c)にみるように、この種のカチオン交換樹脂の再生は、再生剤(酸)を通液する薬注工程と、再生剤を押出す押出工程と、通水洗浄工程とからなる以上、再生剤を押出した後の通水洗浄工程からの排水中のアンモニア性窒素は実質的にゼロかきわめて低いものと解するのが相当であり、上記刊行物1の記載(b)の「高濃度のアンモニア性窒素を含む再生排液」とは相容れないものであることは明らかである。
してみると、上記刊行物1の発明において、触媒湿式酸化の対象として、「通水洗浄工程からの排水」を分別して排液の無害化を行うことは、当業者ならば普通に行うことである。
したがって、上記4-1.で指摘の相違点1及び2を含めて、第2の発明は上記刊行物1及び2の記載に基いて当業者が容易になしえたものである。

4-3.本願発明について

本願発明は、上記2.で指摘のように、第1の発明及び第2の発明を択一的に包含するものであるから、本願発明は、上記4-1.及び上記4-2.に記載の理由で特許を受けることができないものである。

5.まとめ

以上のように、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-02-02 
結審通知日 2006-02-08 
審決日 2006-02-21 
出願番号 特願平8-81026
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (C02F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 杉江 渉真々田 忠博小久保 勝伊  
特許庁審判長 板橋 一隆
特許庁審判官 野田 直人
佐藤 修
発明の名称 復水脱塩装置再生処理廃水の処理方法  
代理人 細井 勇  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ