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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1134044
審判番号 不服2003-19353  
総通号数 77 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1998-05-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-10-02 
確定日 2006-04-06 
事件の表示 平成 8年特許願第301965号「基板搬送装置」拒絶査定不服審判事件〔平成10年 5月29日出願公開、特開平10-144762〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本件出願は、平成8年11月13日の特許出願であって、平成14年11月11日付けで拒絶の理由が通知され、平成15年1月20日付けで意見書とともに手続補正書が提出され、同15年8月28日付けで拒絶をすべき旨の査定がされ、同15年10月2日に本件審判の請求がされ、同年11月4日付けで明細書を補正対象書類とする手続補正(以下、「本件補正」という。)がなされたものである。

第2 本件補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
本件補正を却下する。

[理由]
1.補正の内容の概要
本件補正は、特許請求の範囲を含む明細書について補正をするものであって、特許請求の範囲の請求項1について補正前後の記載を補正箇所に下線を付して示すと以下のとおりである。
1-1 補正前の請求項1
「 【請求項1】 開閉自在なシャッタ部材を有する開口部を通して基板処理装置に基板を搬入または搬出する基板搬送装置において、
前記開口部に形成された縦案内溝に挿入または引き出し自在に配置された前記シャッタ部材を、前記縦案内溝への挿入により前記開口部の遮蔽状態とし、また前記シャッタ部材の前記縦案内溝からの引き出しにより前記開口部の開放状態とするシャッタ機構と、
基板を保持しつつ、基板の搬送を行う搬送手段と、
前記開口部を通して前記基板処理装置に基板を搬入または搬出するように前記搬送手段を移動させる駆動手段と、
前記駆動手段による前記搬送手段の移動に連動させて前記シャッタ機構により前記シャッタ部材の開閉を行わせる連動手段と、
を備えたことを特徴とする基板搬送装置。」

1-2 補正後の請求項1
「 【請求項1】 開閉自在なシャッタ部材を有する開口部を通して基板処理装置に基板を搬入または搬出する基板搬送装置において、
前記開口部に形成された縦案内溝に挿入または引き出し自在に配置された前記シャッタ部材を、前記縦案内溝への挿入により前記開口部の遮蔽状態とし、また前記シャッタ部材の前記縦案内溝からの下方への引き出しにより前記開口部の開放状態とする前記シャッタ部材の下辺に設けられたシャッタ機構と、
所定のアーム部材に基板を保持しつつ、基板の搬送を行う搬送手段と、
前記アーム部材を支持するベース部材に固定され、前記開口部を通して前記基板処理装置に基板を搬入または搬出するように前記搬送手段を移動させて前記アーム部材を前記開口部を介して移動させる駆動手段と、
前記駆動手段による前記搬送手段の移動に連動させて前記シャッタ機構により前記シャッタ部材の開閉を行わせる連動手段と、
を備えたことを特徴とする基板搬送装置。」

2.補正の適否
前記請求項1についての補正は、シャッタ部材の縦案内溝からの引き出しについて「下方への」との限定事項を付加し、シャッタ機構について「前記シャッタ部材の下辺に設けられた」との限定事項を付加し、搬送手段について「所定のアーム部材に」との限定事項を付加し、駆動手段について「前記アーム部材を支持するベース部材に固定され、」及び「前記アーム部材を前記開口部を介して移動させる」との限定事項を付加するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そこで、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明(以下、「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて、以下検討する。

2-1 本件補正発明
本件補正発明は、本件補正により補正がされた明細書及び図面の記載からみて、前記第2の1-2に示した補正後の請求項1に記載された事項により特定されたとおりのものと認める。

2-2 引用刊行物
原査定の拒絶の理由に引用された本件出願前に日本国内において頒布された刊行物である特開平5-275519号公報(以下、「刊行物1」という。)、及び原査定の備考欄で、基板処理装置において、ガイド部材の溝内を挿脱自在にスライドするシャッタ部材等が周知であることを示す例として挙げられた特開平6-267919号公報(以下、「刊行物2」という。)には、以下の技術的事項が記載されている。

(1)刊行物1
(1-a)段落【0001】
「【産業上の利用分野】本発明は、例えば、超LSI等の半導体デバイス等で製造する際に、基板に種々の処理を行なう多室型基板処理装置に関する。」
(1-b)段落【0003】,【0004】
「・・・複数の処理室(例えばエッチングチャンバ、オリフラチャンバ、薄膜形成チャンバ等)を備えた多室型基板処理装置が考えられている。
このような多室型基板処理装置では、一般にハンドラ室に設けたハンドラを介して各処理室に基板の出入れを行って、一連の基板処理が実行される。」
(1-c)段落【0018】〜【0023】
「図1に示すように、回転自在のハンドラ1が備えられているハンドラ室2の周囲に、それぞれゲートバルブ3,4,5,6,7を介してロード・アンロード・チャンバ8、エッチングチャンバ9、オリフラチャンバ10、薄膜形成チャンバ11、測定チャンバ12を接続することによって多室型基板処理装置が構成されている。
・・・(中略)・・・
また、ハンドラ室2内に配設されているハンドラ1による基板15の搬入・搬送操作は、駆動装置18によって行われる。」
(1-d)段落【0024】〜【0030】
「・・・基板処理装置の基板処理動作について説明する。
前記処理されたカセット等に収納されたクリーンルーム等から搬送されてきた基板15は、先ずカセットステーション14にカセットごと設置される。
そして、カセットステーション14に設置された基板15を、扉13の開閉操作に連動させてロード・アンロード・チャンバ8内に搬送した後、ゲートバルブ3の開閉動作に連動させてハンドラ室2のハンドラ1によりハンドラ室2内に搬送し、さらに、ゲートバルブ4の開閉動作に連動させてハンドラ1によりエッチングチャンバ9内に搬送する。
・・・(中略)・・・
エッチングチャンバ9で基板15の酸化膜が除去されると、この基板15をハンドラ1によりゲートバルブ4の開閉動作に連動させてハンドラ室2に搬送し、さらに、ゲートバルブ5開閉動作に連動させてハンドラ1によりオリフラチャンバ10内に搬送する。
・・・(中略)・・・
オリフラチャンバ10で基板15のオリフラの測定が終了すると、この基板15をハンドラ1によりゲートバルブ5の開閉動作に連動させてハンドラ室2に搬送し、さらに、ゲートバルブ6の開閉動作に連動させてハンドラ1により薄膜形成チャンバ11内に搬送する。」
(1-e)図1,2
ハンドラ1は、そのアーム部材に基板を保持していることが看取される。

刊行物1記載の上記事項において、基板15をハンドラ1によりゲートバルブ4,5,6,7の開閉動作に連動させて各処理室内に搬送していることから、各処理室に開口部が設けられていて、その開口部を遮蔽状態とし、また開放状態とする何らかのシャッタ機構が前記ゲートバルブ4,5,6,7に設けられていること、及び前記ゲートバルブ4,5,6,7の開閉動作と前記駆動装置18によるハンドラ1の移動とを連動させるための何らかの連動手段が備えられていることは明らかである。

以上のことから、刊行物1には、次の発明(以下、「刊行物1記載の発明」という。)が記載されていると認められる。
「開閉自在なゲートバルブ4,5,6,7を有する開口部を通して処理室に基板15を搬入または搬出する基板処理装置において、
前記開口部の遮蔽状態とし、また前記開口部の開放状態とする前記ゲートバルブ4,5,6,7に設けられたシャッタ機構と、
所定のアーム部材に基板15を保持しつつ、基板15の搬送を行うハンドラ1と、
前記開口部を通して前記処理室に基板15を搬入または搬出するように前記ハンドラ1を移動させて前記アーム部材を前記開口部を介して移動させる駆動装置18と、
前記シャッタ機構による前記ゲートバルブ4,5,6,7の開閉動作に連動させて前記駆動装置18により前記ハンドラ1の移動を行わせる連動手段と、
を備えた基板処理装置。」

(2)刊行物2
(2-a)段落【0175】,【176】
「・・・図82は・・・半導体洗浄装置の窓構造を示す斜視図である。図中、180は洗浄部、水洗部及び乾燥部を密閉室内に密閉するための仕切り板に設けられた開口部、181は開口部180の外周部に形成された外枠、182は外枠181に沿って開閉自在に設けられた扉、183は扉182の開閉動作を案内するためのガイド部材である。
洗浄部、水洗部及び乾燥部を密閉室内に密閉すると共に製品カセット22あるいは洗浄用ウエハカセット21の出し入れを自在に行うために図82に示されるような窓構造177が設けられている。扉182は、ガイド部材183に沿ってスライドすることにより、外枠181に接触しないように開口部180を開閉する。また、外枠181には複数の排気口184が形成されており、少なくとも扉182が開閉動作をしている間は排気口184から排気が行われる。これにより、扉182の開閉に起因して発生するダストと洗浄装置内からのミストの舞い込みを防止することができる。なお、この実施例は、洗浄用カセットを用いたカセット方式の洗浄装置にも、また洗浄用カセットを用いずに直接ウエハをハンドリングするカセットレス方式の洗浄装置にも適用できる。」
(2-b)図82
開口部180の外周部に形成された外枠181は下方が解放され、また、外枠181に縦溝が設けられていて、前記縦溝に扉182が挿入または引き出し自在に配置されていることが看取される。

刊行物2記載の上記事項において、扉182は外枠181に沿って開閉自在に設けられているから、扉182には何らかのシャッタ機構が設けられていることは明らかである。

以上のことから、刊行物2には、次の事項(以下、「刊行物2記載の事項」という。)が記載されていると認められる。
「開閉自在な扉182を有する開口部を通して洗浄部にウエハを搬入または搬出する半導体洗浄装置の窓構造177において、
前記開口部に形成された外枠181に設けられた縦溝に挿入または引き出し自在に配置され、ガイド部材183で案内される前記扉182を、前記縦溝への挿入により前記開口部の遮蔽状態とし、また前記扉182の前記縦案内溝からの下方への引き出しにより前記開口部の開放状態とするシャッタ機構が扉182に設けられていること。」

(3)対比
本件補正発明と刊行物1記載の発明とを対比すると、後者の「ゲートバルブ4,5,6,7」は「シャッタ部材」に相当し、以下同様に、後者の「処理室」は前者の「基板処理装置」に、後者の「ハンドラ1」は前者の「搬送手段」に、後者の「駆動装置18」は前者の「駆動手段」に、それぞれ相当することは明らかである。
そして、後者の「基板処理装置」は、開閉自在なゲートバルブ4,5,6,7を有する開口部を通して処理室に基板15を搬入または搬出するものである限りにおいて、前者の「基板搬送装置」と共通している。
してみると、両者の一致点及び相違点は、次のとおりである。

[一致点]
「開閉自在なシャッタ部材を有する開口部を通して基板処理装置に基板を搬入または搬出する基板搬送装置において、
前記開口部の遮蔽状態とし、また前記開口部の開放状態とする前記シャッタ部材に設けられたシャッタ機構と、
所定のアーム部材に基板を保持しつつ、基板の搬送を行う搬送手段と、
前記開口部を通して前記基板処理装置に基板を搬入または搬出するように前記搬送手段を移動させて前記アーム部材を前記開口部を介して移動させる駆動手段と、
前記駆動手段による前記搬送手段の移動と前記シャッタ機構による前記シャッタ部材の開閉とを連動させる連動手段と、
を備えた基板搬送装置。」

[相違点1]
前者では、シャッタ部材が開口部に形成された縦案内溝に挿入又は引き出し自在に配置され、また、シャッタ機構が、シャッタ部材を前記縦案内溝への挿入により前記開口部の遮蔽状態とし、また前記シャッタ部材の前記縦案内溝からの下方への引き出しにより前記開口部の開放状態とするものであって、前記シャッタ部材の下辺に設けられているのに対して、
後者では、そのようになされていない点。

[相違点2]
前者では、搬送手段のアーム部材を支持するベース部材に駆動部材が固定されているのに対して、
後者では、搬送手段におけるアーム部材と駆動部材が固定されている部分との区分が不明である点。

[相違点3]
前者では、連動手段が駆動手段による搬送手段の移動に連動させてシャッタ機構により前記シャッタ部材の開閉を行わせるのに対して、
後者では、連動手段がシャッタ機構によるゲートバルブの開閉動作に連動させて駆動手段により搬送手段の移動を行わせる点。

(4)判断
前記相違点について検討する。
[相違点1について]
刊行物2記載の事項の「扉182」は本件補正発明の「シャッタ部材」に、以下同様に、後者の「洗浄部」は前者の「基板処理装置」に、後者の「ウエハ」は前者の「基板」に、それぞれ相当することは明らかであるので、刊行物2記載の事項は、「開閉自在なシャッタ部材を有する開口部を通して基板処理装置に基板を搬入または搬出する半導体洗浄装置の窓構造において、
前記開口部に形成された外枠に設けられた縦溝に挿入または引き出し自在に配置され、ガイド部材で案内される前記シャッタ部材を、前記縦溝への挿入により前記開口部の遮蔽状態とし、また前記シャッタ部材の前記縦溝からの下方への引き出しにより前記開口部の開放状態とするシャッタ機構がシャッタ部材に設けられていること。」といい換えることができる。
刊行物2記載の窓構造において、シャッタ機構がシャッタ部材のどこに設けられているのかは不明であるが、開口部の外周部に形成された外枠の下方が解放されていること(上記摘記事項(2-b)参照。)から、例えば、特開平4-196530号公報にも記載されているように、基板処理装置において、基板入出用の開口部を開閉するシャッタ部材を上下動するためのシャッタ機構(シリンダー)を前記シャッタ部材の下辺に設けること(第3頁左上欄第1〜8行及び第10,11図参照。)は、本件出願前に周知であることを勘案すれば、シャッタ機構はシャッタ部材の下辺に設けられているとするのが自然である。
また、開口部に形成された縦案内溝にシャッタ部材を直接開閉自在に案内することは、例示するまでもなく慣用されている。
してみると、刊行物1記載の発明に、刊行物2記載の事項の窓構造及び前記慣用技術を適用することにより、相違点1に関する本件補正発明の特定事項とすることは当業者であれば容易に想到し得たことである。

[相違点2について]
刊行物1記載の発明において、搬送手段のどの部分を基板を保持するアーム部材とし、またどの部分を該アーム部材を支持し駆動手段が固定されたベース部材とするかは、格別な技術的意義を見出せないことから、当業者が適宜なし得た設計的事項にすぎないことである。

[相違点3について]
駆動手段による搬送手段の移動とシャッタ機構によるシャッタ部材の開閉とのいずれか一方を先にして、これに連動する他方を後にするかは、搬送手段とシャッタ部材との衝突を防止する上で格別な作用効果上の差異は認められない以上、当業者が容易になし得た設計的事項にすぎないことである。

そして、本件補正発明の奏する効果も刊行物1記載の発明、刊行物2記載の事項及び前記周知慣用技術から当業者が予測できる範囲内であって、格別なものとも認められない。

したがって、本件補正発明は、刊行物1記載の発明、刊行物2記載の事項及び前記周知慣用技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3.むすび
以上のとおり、本件補正は、平成15年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で読み替えて準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

第3 本願発明について
1.本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本件出願の請求項1ないし3に係る発明は、平成15年1月20日付けの手続補正書により補正がされた明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、前記第2の1-1に示したとおりのものと認められる。

2.引用刊行物
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された刊行物及びその記載内容は、前記第2の2-2に示したとおりである。

3.対比・判断
本願発明は、前記第2の2で検討したように、本件補正発明の特定事項から前記限定事項を省いたものである。
そうすると、前記第2の2の(4)に記載したとおり、本願発明の特定事項を全て含み、さらに他の特定事項を付加したものに相当する本件補正発明が、刊行物1記載の発明、刊行物2記載の事項及び前記周知慣用技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、刊行物1記載の発明、刊行物2記載の事項及び前記周知慣用技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、請求項2ないし3に係る発明について検討するまでもなく、本件出願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-02-03 
結審通知日 2006-02-07 
審決日 2006-02-20 
出願番号 特願平8-301965
審決分類 P 1 8・ 575- Z (H01L)
P 1 8・ 121- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 中島 昭浩  
特許庁審判長 西川 恵雄
特許庁審判官 佐々木正章
鈴木 孝幸
発明の名称 基板搬送装置  
代理人 伊藤 孝夫  
代理人 小谷 悦司  
代理人 植木 久一  
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