• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1134088
審判番号 不服2002-7102  
総通号数 77 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2001-02-20 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-04-24 
確定日 2006-04-03 
事件の表示 平成11年特許願第225011号「弾球遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 2月20日出願公開、特開2001- 46634〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成11年8月9日の出願であって、平成13年12月25日付で拒絶理由通知がなされ、平成14年2月22日付で手続補正がなされ、平成14年3月25日付で拒絶査定がなされ、これに対し、平成14年4月24日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、平成14年5月24日付で手続補正がなされたものである。

2.平成14年5月24日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成14年5月24日日付の手続補正を却下する。

[理由]
(1)補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、

「主に遊技盤(5) に関わる動作を制御する主制御手段(50)と、
遊技者に不利な閉状態と遊技者に有利な開状態に変化可能な開閉式入賞手段(18)と、少なくとも1又は複数の図柄を変動表示可能な変動図柄表示手段(22)と、前記変動図柄表示手段(22)を制御する表示制御手段(60)と、遊技球の検出を条件に表示制御手段(60)に対して変動図柄表示手段(22)の図柄の変動を開始させる図柄始動手段(17)と、前記変動図柄表示手段(22)の変動後の図柄が所定の表示となった場合に開閉式入賞手段(18)を開閉させて遊技者に利益状態を与える特別遊技状態とする特別遊技発生手段(54)とを有する弾球遊技機であって、
前記主制御手段(50)は、図柄始動手段(17)で遊技球が検出されたことを条件に表示制御手段に図柄始動指令信号を出力するように構成され、
前記表示制御手段は、前記図柄始動指令信号を受けて変動図柄表示手段(22)に表示する図柄を見かけ上複数回変動させる制御を行う図柄制御機能を有する共に、変動図柄表示手段(22)に表示される図柄の背景色を前記複数回の図柄変動に対応付けて変化させるように設定した複数種類の演出パターンを予め記憶しており、
前記表示制御手段は、前記図柄制御機能による複数回の図柄変動の際に、複数種類の演出パターンのうちから前記複数回の図柄変動に適合する演出パターンを選択し、この選択した演出パターンの背景色を変動図柄表示手段(22)に表示させることを特徴とする弾球遊技機。」
と補正された。
上記補正は、平成14年2月22日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「変動図柄表示手段(22)に表示される図柄の背景としての背景色又は背景画像」を「変動図柄表示手段(22)に表示される図柄の背景色」と限定し、同じく「この選択した演出パターンの背景色又は背景画像」を「この選択した演出パターンの背景色」と限定するものであって、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成15年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された特開平11-33182号公報(以下、引用例1という。)には、図面とともに、
「表示状態が変化可能な可変表示装置を含み、前記可変表示装置に表示される識別情報の表示結果があらかじめ定められた特定の表示態様となった場合に所定の遊技価値が付与可能となる遊技機であって、
前記可変表示装置に識別情報を変動表示する識別情報制御手段と、
前記可変表示装置の変動表示を行う条件となる所定の変動表示条件が成立する度に前記可変表示装置の表示内容について決定する表示内容決定手段と、
前記表示内容決定手段が決定した表示内容を前記所定の変動表示条件の成立に関連づけ所定の上限値をもって記憶する記憶手段とを備え、
前記識別情報制御手段は、前記記憶手段が記憶している表示内容にもとづく表示結果が特定の表示態様または特定の表示態様を想起させる表示態様となる場合に、その表示内容に対応する変動までの各変動の相互の間隔を通常より短くすることを特徴とする弾球遊技機。」(特許請求の範囲、請求項1)、
「識別情報制御手段は、記憶手段が記憶している表示内容にもとづく表示結果が特定の表示態様または特定の表示態様を想起させる表示態様となる場合に、その表示内容に対応する変動までの各変動中に所定の識別情報を表示して変動を一時停止するとともに、各変動の相互の間隔を一時停止時間に近づける請求項1記載の弾球遊技機。」(特許請求の範囲、請求項2)、
「識別情報制御手段は、一時停止時にリーチ態様の表示を行う請求項2記載の弾球遊技機。」(特許請求の範囲、請求項3)、
「 【発明の属する技術分野】
本発明は、パチンコ遊技機等の弾球遊技機に関し、特に、表示状態が変化可能な可変表示装置を含み、可変表示装置における表示結果があらかじめ定められた特定の表示態様となった場合に所定の遊技価値が付与可能となる弾球遊技機に関する。」(段落【0001】)、
「 【従来の技術】
遊技機として、表示状態が変化可能な可変表示部を有する可変表示装置が設けられ、可変表示部の表示結果があらかじめ定められた特定の表示態様となった場合に所定の遊技価値を遊技者に与えるように構成されたものがある。可変表示装置には、複数の可変表示部を有するものがあり、通常、複数の可変表示部の表示結果を時期を異ならせて表示するように構成されている。可変表示部には、例えば、図柄等の複数の識別情報が可変表示される。可変表示部の表示結果があらかじめ定められた特定の表示態様の組合せとなることを、通常、「大当たり」という。なお、遊技価値とは、遊技機の遊技領域に設けられた可変入賞球装置の状態が打玉が入賞しやすい遊技者にとって有利な状態になることや、遊技者にとって有利な状態となるための権利を発生させたりすることである。」(段落【0002】)、
「・・・そこで、本発明は、可変表示装置による可変表示の面白さを十分に演出し、遊技者の期待感を十分に高め、遊技の興趣をより向上させることができる遊技機を提供する・・・。」(段落【0005】)、
「図1に示すように、パチンコ遊技機1は、・・・。ガラス扉枠2の後方には、遊技盤6が着脱可能に取り付けられている。また、遊技盤6の前面には遊技領域7が設けられている。」(段落【0008】)、
「遊技領域7の中央付近には、複数種類の図柄を可変表示するための画像表示部9と・・・可変表示器10とを含む可変表示装置8が設けられている。画像表示部9には、「左」、「中」、「右」の3つの図柄表示エリア9a,9b,9cがあり、これらの図柄表示エリア9a,9b,9cは各可変表示部を構成する。・・・。また、始動入賞口14に入った入賞球は、・・・、始動口センサ17によって検出される。また、始動入賞口14の下部には・・・可変入賞球装置15が設けられている。可変入賞球装置15は、ソレノイド16によって開状態とされる。可変入賞球装置15の下部には、特定遊技状態(大当たり状態)においてソレノイド21によって開状態とされる開閉板20が設けられている。・・・。可変表示装置8の下部には、始動入賞口14に入った入賞球数を表示する4個の表示部を有する始動入賞記憶表示器18が設けられている。この例では、4個を上限として、始動入賞がある毎に、始動入賞記憶表示器18は点灯している表示部を1つずつ増やす。そして、画像表示部9の可変表示が開始される毎に、点灯している表示部を1つ減らす。」(段落【0009】)、
「打球発射装置から発射された打球・・・が始動入賞口14に入り始動口センサ17で検出されると、画像表示部9内の図柄が回転を始める。画像表示部9内の画像の回転は、一定時間が経過したときに停止する。停止時の画像の組み合わせが大当たり図柄の組み合わせであると、大当たり遊技状態に移行する。すなわち、開閉板20が、・・・開放する。・・・」(段落【0011】)、
「図4は、遊技制御基板(メイン基板)31における回路構成の一例を示す・・・。なお、・・・表示制御基板80も示されている。メイン基板31には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1を制御する基本回路53と、・・・、始動口センサ17、・・からの信号を基本回路53に与えるスイッチ回路58と、・・・開閉板20を開閉するソレノイド21を基本回路53からの指令に従って駆動するソレノイド回路59と、・・・、CRTによる画像表示部9に基本回路53からのコマンドやストローブ信号を与えるCRT回路63と、・・・を含む。」(段落【0016】)、
「基本回路53は、ゲーム制御用のプログラム等を記憶するROM54、ワークメモリとして使用されるRAM55、制御用のプログラムに従って制御動作を行うCPU56およびI/Oポート57を含む。・・・」(段落【0017】)、
「図6は、表示制御基板80内の回路とCRT82による画像表示部9の構成を示すブロック図である。画像表示部9には、画像を表示するためのCRT82と、CRT82の画像表示を制御するCRTコントロール回路81とが含まれる。さらに、画像表示部9には、・・・、CRT82に表示される画像のうちの使用頻度の高い画像データをあらかじめ記憶するキャラクタROM85と、CRTコントロール回路81が生成した画像データを記憶するVRAM86とが含まれている。ここで、使用頻度の高い画像データとは、例えば、CRT82に表示される人物、動物、または、文字、図形もしくは記号等からなる画像などである。」(段落【0020】)、
「CRTコントロール回路81は、メイン基板31のCRT回路63からストローブ信号が入力されるとCRT回路63からのコマンドデータを入力し、そのコマンドデータが示す状態を認識する。CRTコントロール回路81は、コマンドデータの状態に従ってキャラクタROM85から画像データを読み出して、CRT82に表示するための画像データを生成する。そして、画像データをVRAM86に記憶する。VRAM86に記憶された画像データは、・・・CRT82に送出され、CRT82において画像が表示される。」(段落【0021】)、
「図7は、CRTコントロール回路81の構成を示すブロック図である。CRTコントロール回路81には、表示制御用CPU91、ビデオコントローラ93および制御データが記憶された制御データROM92が含まれる。表示制御用CPU91は、CRT回路63からのコマンドデータに従って、制御データROM92からCRT82の表示を制御するためのデータを読み出す。そして、表示制御用CPU91は、読み出した制御データにもとづいてビデオコントローラ93に制御信号を送る。ビデオコントローラ93は、制御信号に従ってキャラクタROM85から画像データを読み出し、読み出した画像データを用いてCRT82に表示するための画像データを生成し、その画像データをVRAM86に格納する。VRAM86に格納されたデータは、CRT82にビデオ信号として送出される。・・・」(段落【0022】)、
「次に動作について・・・。図8は、メイン基板31における基本回路53の動作を示すフローチャートである。・・・、この処理は、・・・、例えば2ms毎に起動される。基本回路53が起動されると、基本回路53は、まず、・・・スタックセット処理を行う(ステップS1)。次いで、初期化処理を行う(ステップS2)。・・・。そして、画像表示部9に送出されるコマンドコードをRAM55の所定の領域に設定する処理を行った後に(ステップS3)、コマンドコードを出力する処理を行う(ステップS4)。」(段落【0023】)、
「次いで、・・・所定のコマンドを送信するための処理を行うとともに、・・・、ホール管理用コンピュータに大当たり情報、・・・などのデータを送信するための処理を行う(データ出力処理:ステップS5)。また、・・・種々の異常診断処理が行われ、・・・る(エラー処理:ステップS6)。」(段落【0024】)、
「次に、各判定用乱数を示す各カウンタを更新する処理を行う(ステップS7)。・・・。
図9は、各乱数を示す説明図である。・・・」(段落【0025】)、
「なお、遊技効果を高めるために、上記(1)〜(8)の乱数以外の乱数も用いられている。また、画像表示部9には、遊技効果を高めるために、各図柄以外の画像、例えば背景や所定の動きをするキャラクタ等も表示される。
ステップS7では、・・・、(1)の大当たり判定用乱数および(3)の特定図柄判定用乱数のカウントアップ(1加算)を行う。すなわち、それらが判定用乱数である。」(段落【0026】)、
「次に、・・・、特別図柄プロセス処理を行う(ステップS8)。特別図柄プロセス制御では、遊技状態に応じてパチンコ遊技機1を所定の順序で制御するための特別図柄プロセスフラグに従って該当する処理が選び出されて実行される。そして、特別図柄プロセスフラグの値は、遊技状態に応じて各処理中に更新される。・・・(ステップS9)。・・・。さらに、・・・、スイッチ回路58を介して、・・・、始動口センサ17、・・・の状態を入力し、・・・入賞があったか否か判定する(ステップS10)。」(段落【0027】)、
「・・・、さらに、表示用乱数を更新する処理を行う(ステップS11)。・・・」(段落【0028】)、
「また、・・・、賞球基板37との間の信号処理を行う(ステップS12)。・・・。」(段落【0029】)、
「その後、・・・、・・・リセットパルスが与えられるまで、ステップS13の表示用乱数更新処理を繰り返す。すなわち、各乱数の値の1加算を行う。なお、ここで加算されるのは、図9に示されている・・・。」(段落【0030】)、
「次に、図柄の変動の態様について・・・。
図10は、この実施の形態で用いられる図柄の変動パターンを示す説明図である。・・・、変動パターンaは、最初の0.680秒間で少しずつ変動速度が上がり、その後、一定速度で図柄変動が行われるパターンである。変動パターンbは、変動速度が徐々に低下して、停止するパターンであり、0.900秒間で2図柄の変動が行われる。変動パターンcは、0.680秒間変動速度が徐々に低下し、その後1図柄あたり0.300秒で変動するような一定速度で変動が行われ、さらに、1図柄あたり0.450秒で変動するような一定速度で変動が行われるパターンである。変動パターンdは、0.600秒間、徐々に変動速度を遅くしていって変動を停止するパターンである。この間、12図柄の変動が行われる。」(段落【0031】)、
「図13は、始動入賞記憶に複数の始動入賞が記憶されていた場合のリーチ3の図柄の変動およびはずれの変動の例を示すタイミング図である。
図13(A),(B),(C)に示すように、リーチ3では、連続的な図柄の変動がある場合には、直前の変動の終了から0.510秒後に左右中図柄が同時に変動開始する。そして、左右中図柄は、6.000秒間変動パターンaで変動した後同時に一時停止する。そして、0.480秒間一時停止した後、左右中図柄は再変動を開始する。このような変動が1〜3回繰り返された後、再度0.480秒間一時停止する。そして、左図柄は5.000秒間変動パターンaで変動した後、0.900秒間変動パターンbで変動した後停止する。また、右図柄は5.900秒間変動パターンaで変動した後、0.900秒間変動パターンbで変動した後停止する。そして、中図柄は6.800秒間変動パターンaで変動した後、6.106秒間変動パターンcで変動した後停止する。以上のように、リーチ3では、結局、1〜3回の一時停止が行われる。・・・。なお、連続的な変動が行われない場合、すなわち、単独でリーチ3の図柄の変動が行われる場合には、通常どおり、左図柄の変動開始時点から0.375秒経過すると右図柄が変動開始し、左図柄の変動開始時点から0.750秒経過すると中図柄が変動開始する。そして、左図柄は、6.000秒間変動パターンaで変動した後一時停止する。右図柄は、5.625秒間変動パターンaで変動した後一時停止する。中図柄は、5.250秒間変動パターンaで変動した後一時停止する。」(段落【0034】)、
「図13には、リーチ3の態様とともに、一時停止を伴うはずれ時の変動の態様も示されている。
始動入賞記憶に複数の始動入賞が記憶され、かつ、それらの始動入賞にもとづいて行われる変動のうち最終回の変動がリーチ3の態様で行われる場合には、それ以前の変動も、一時停止を伴う態様で行われる。一時停止を伴うはずれ時の変動では、・・・、左図柄の変動開始時点から0.375秒経過すると右図柄が変動開始し、左図柄の変動開始時点から0.750秒経過すると中図柄が変動開始する。そして、左図柄は、6.000秒間変動パターンaで変動した後一時停止する。右図柄は、5.625秒間変動パターンaで変動した後一時停止する。中図柄は、5.250秒間変動パターンaで変動した後一時停止する。図13に示すように、左右中図柄は、同時に一時停止する。そして、0.480秒間一時停止した後、左右中図柄は再変動を開始する。このような変動が1〜3回繰り返された後、再度一時停止が行われる。そして、左図柄は6.000秒間変動パターンaで変動した後、0.900秒間変動パターンbで変動した後停止する。また、右図柄は6.000秒間変動パターンaで変動した後、0.900秒間変動パターンbで変動した後停止する。そして、中図柄は6.300秒間変動パターンaで変動した後、0.600秒間変動パターンdで変動した後停止する。結局、一時停止を伴うはずれ時の変動でも、1〜3回の一時停止が行われる。
なお、連続的な図柄の変動がある場合には、直前の変動の終了から0.510秒後に左右中図柄が同時に変動開始する。そして、左右中図柄は、6.000秒間変動パターンaで変動した後同時に一時停止する。そして、0.480秒間一時停止した後、左右中図柄は再変動を開始する。
図13(A)に示された例(最初の変動)は1回の変動において3回の一時停止が行われる例であり、図13(B),(C)に示された例(最終回以外の変動)は1回の変動において1回の一時停止が行われる例である。」(段落【0035】)、
「なお、図13に示された一時停止の回数は一例であって、一時停止の回数は各変動毎に決定され、その都度一時停止回数が1〜3回のうちのいずれかに決定される。
また、ここでは、リーチ1〜3のリーチ種類を有する遊技機を例にとるが、一般には、遊技の趣向を向上させるために、さらに多くの種類のリーチが用意されている。」(段落【0036】)、
「次に、始動入賞口14への入賞(始動入賞)にもとづいて画像表示部9に可変表示される図柄の決定方法について・・・説明する。・・・」(段落【0037】)、
「打球が・・・始動入賞口14に入賞すると、始動口センサ17がオンする。ステップS10のスイッチ処理において、基本回路53は、図14に示すように、スイッチ回路58を介して始動口センサ17がオンしたことを判定する(ステップS41)。オンしたことを検出した場合には、始動入賞記憶数が最大値である4に達しているかどうか確認する(ステップS42)。始動入賞記憶数が4に達していなければ、始動入賞記憶数を1増やし(ステップS43)、大当たり判定用乱数の値を抽出する(ステップS44)。なお、始動入賞記憶数が4に達している場合には、始動入賞記憶数を増やす処理を行わない。すなわち、この実施の形態では、最大4個の始動入賞口17に入賞した打球数が記憶される。」(段落【0038】)、
「基本回路53は、・・・。まず、抽出した大当たり判定用乱数の値にもとづいて大当たりとするか否か決定する(ステップS45)。・・・」(段落【0039】)、
「大当たりと判定されたときには、基本回路53は、特定図柄判定用乱数の値にもとづいて停止図柄を決定する。ここで、リミッタが作動中でないならば、図16に示すテーブルにあるような特定図柄判定用乱数の値と停止図柄との対応関係に従って停止図柄を決定する(ステップS46,S47)。このとき、図16に示されているように、リミッタが作動していないときには、全図柄を含むテーブルから停止図柄が決定される。
なお、この実施の形態では、可変表示装置8の画像表示部9には、図16のテーブル中に示されたような「0」〜「ん」の各図柄が変動表示されるとする。」(段落【0040】)、
「リミッタが作動している場合には、基本回路53は、図17に示す非特定図柄用テーブルにあるような特定図柄判定用乱数の値と停止図柄との対応関係に従って停止図柄を決定する(ステップS46,S48)。・・・。
さらに、基本回路は、図18(B)に示すように、ランダム5の値に従って、リーチ種類を決定する(ステップS49)。」(段落【0041】)、
「次に、基本回路は、始動入賞記憶数に応じた格納エリアに、大当たりとするか否か、大当たりの場合の図柄、およびリーチ種類を設定する(ステップS50)。なお、格納エリアは、基本回路53におけるRAM55に設けられる。」(段落【0043】)、
「ステップS45においてはずれと判定されていた場合には、基本回路53は、リーチとするか否か判定する(ステップS51)。・・・。リーチすることを決定したときには、基本回路は、停止図柄の決定を行う。この実施の形態では、ランダム2-1の値に従って左右図柄を決定する(ステップS52)。また、ランダム2-2の値に従って中図柄を決定する(ステップS53)。すなわち、ランダム2-1およびランダム2-2の値の0〜14の値にそれぞれ対応した「0」〜「ん」のいずれかの図柄が停止図柄として決定される。ここで、決定された中図柄が左右図柄と一致した場合には、中図柄に対応した乱数の値に1加算した値に対応する図柄を中図柄の確定図柄として、大当たり図柄と一致しないようにする。」(段落【0044】)、
「さらに、基本回路は、・・・、格納エリア中に「リーチ3による大当たり」が設定されている場合には(ステップS54)、この回の変動をリーチ3の態様とすることに決定する(ステップS55)。例えば、図19(A)に示す例において、格納エリア=1に設定されている「はずれ」に関してリーチすることに決定した場合には、格納エリア=3において「リーチ3による大当たり」が設定されているので、この回の図柄の変動はリーチ3の態様とすることが決定される。なお、格納エリア=3に対応する始動入賞にもとづく変動は、格納エリア=1に対応する始動入賞にもとづく変動の次の次に実行される変動である。格納エリア中に「リーチ3による大当たり」が存在しない場合には、図18(B)に示すように、ランダム5の値に従って、リーチ種類を決定する(ステップS55)。
そして、始動入賞記憶数に応じた格納エリアに、「リーチ」、リーチ図柄、およびリーチ種類を設定する(ステップS57)。
ステップS51における抽選結果がはずれである場合には、始動入賞記憶数に応じた格納エリアに、はずれであることを設定する(ステップS58)。」(段落【0045】)、
「次に、図20のフローチャートを参照して基本回路の変動制御について説明する。
基本回路53は、まず、始動入賞記憶数の値を確認する(ステップS60)。始動入賞記憶数が0でなければ、始動入賞記憶数=1に対応する格納エリアに格納されている値を読み出すとともに(ステップS61)、始動入賞記憶数の値を1減らし、かつ、各格納エリアの値をシフトする(ステップS62)。・・・。なお、始動入賞記憶数が0であるならば、連続変動フラグをクリアしておく(ステップS77)。」(段落【0047】)、
「基本回路53は、ステップS61で読み出した値、すなわち格納エリア中の値にもとづいて、大当たりとすることが決定されているかどうか確認する(ステップS63)。大当たりとするかはずれとするかは、始動入賞があったときにステップS45の処理において決定されている。大当たりとすることが決定されている場合には、ステップS49で決定されているリーチ種類がリーチ3であるかどうか確認する(ステップS64)。リーチ種類がリーチ3である場合には、一時停止回数と一時停止時に表示する図柄を決定する(ステップS65)。」(段落【0048】)、
「図21は、一時停止回数と一時停止時に表示する図柄を決定する処理を示すフローチャートである。・・・、基本回路は、まず、ランダム6の値に応じて、一時停止(低)「()内は、誤記と認められ、当審で訂正する。」回数を決定する(ステップS80)。・・・。次に、ランダム7-1,7-2,7-3の値に応じて1回目の一時停止時に表示される図柄を決定する(ステップS81)。・・・。図22に示されたテーブルに従って一時停止時の左右中図柄が決定される場合には(図22におけるランダム7-3,8-3,9-3の欄参照)、1/2の割合で左右図柄がそろった図柄の組合せ、すなわちリーチ図柄が一時停止図柄として現れる。」(段落【0049】)、
「ステップS80において決定された一時停止回数が2回または3回の場合には、基本回路は、ランダム8-1,8-2,8-3の値に応じて2回目の一時停止時に表示される図柄を決定する(ステップS82,S83)。決定の仕方は、用いる乱数がランダム8-1,8-2,8-3であることを除いて、1回目の一時停止図柄を決定する場合と同様である。
ステップS80において決定された一時停止回数が3回の場合には、基本回路は、ランダム9-1,9-2,9-3の値に応じて3回目の一時停止時に表示される図柄を決定する(ステップS84,S85)。決定の仕方は、用いる乱数がランダム9-1,9-2,9-3であることを除いて、1回目および2回目の一時停止図柄を決定する場合と同様である。」(段落【0050】)、
「基本回路は、一時停止図柄を決定すると、連続変動フラグがセットされているか否か確認する(ステップS66)。連続変動フラグとは、図13に示されたような連続した図柄の変動を行うべきか否かを示すフラグである。連続変動フラグがセットされているときには、変動開始のタイミングを、前回に変動の終了から0.510秒後とすることを決定する(ステップS67)。また、0.510秒後に開始される変動は、左右中図柄が同時に変動開始されるものであることを決定する。」(段落【0051】)、
「ステップS63の判断において大当たりとしないことが確認されたら、基本回路は、ステップS61で読み出した値にもとづいて、リーチ(大当たりとはしない)することが決定されているかどうか確認する(ステップS68)。・・・。リーチすることが決定されている場合には、大当たりと決定されている場合と同様にステップS64以下の処理を行う。リーチしないことが決定されている場合には、基本回路53は、ランダム2-1〜2-3の値に応じてはずれ図柄の組合せを決定する(ステップS70)。・・・。」(段落【0052】)、
「さらに、基本回路53は、格納エリア中に「リーチ3による大当たりまたは大当たりとしないリーチ」が設定されている場合には(ステップS71)、この回の変動の態様を一時停止を伴う変動態様とすることに決定する(ステップS72)。例えば、図19に示す例において、格納エリア=1に設定されている「はずれ」に関する変動については、格納エリア=3において「リーチ3による大当たり」が設定されているので、その変動は一時停止を伴う変動態様によることが決定される。さらに、一時停止回数と一時停止時に表示する図柄を決定する(ステップS73)。なお、一時停止を伴う変動態様とは、図13に示されたような変動である。そして、連続変動フラグがセットされているか否か確認し(ステップS74)、セットされていなければ、ここで連続変動フラグをセットする(ステップS75)。連続変動フラグがセットされているときには、変動開始のタイミングを、前回の変動の終了から0.510秒後とすることを決定する(ステップS76)。また、0.510秒後に開始される変動は、左右中図柄が同時に変動開始されるものであることを決定する。
このような連続変動フラグのON/OFF制御によって、始動入賞記憶に複数の始動入賞が記憶され、それらのうちの最新の始動入賞にもとづく変動(最後の図柄変動に対応)がリーチ3の態様で行われる場合に、連続変動の第2回目以降の変動の開始タイミングが、前回の変動の終了タイミングから0.510秒後とされる。また、0.510秒後に、左右中図柄が同時に変動開始する。
なお、一時停止を伴う変動態様とされない場合には、図11に示す通常のはずれ態様による変動が行われる。」(段落【0053】)、
「以上のように、基本回路は、始動入賞口14への入賞を検出すると大当たりとするかはずれとするか決定し、その後、可変表示装置8の画像表示部9における停止図柄を決定する。そして、決定結果を、CRT回路63を介して表示制御基板80にコマンドデータとして与える・・・。表示制御基板80におけるCRTコントロール回路81は、基本回路53から受信したコマンドデータを解析し、コマンドデータで指令された態様で画像表示部9を構成するCRT82の表示制御を行う。・・・。」(段落【0054】)、
「次に、連続的に行われるの変動態様について・・・。
図13(A)に示された例は、始動入賞記憶に2つの始動入賞が記憶され、1番目の始動入賞に関してはずれと決定され、2番目の始動入賞に関してリーチ3の態様でリーチ(大当たりとする場合、またはしない場合の双方)することが決定された場合の例である。・・・、1番目の始動入賞については、図20におけるステップS71,S72の処理によって変動態様が一時停止を伴うはずれ時の変動とすることが決定される。そして、この例は、ステップS73の一時停止回数および一時停止図柄を決定する処理において、一時停止回数が3回に決定された例である。各一時停止における一時停止図柄はそのときのランダム7-1〜7-3,8-1〜8-3,9-1〜9-3の値に応じて決められるが、・・・、1/2の確率で一時停止図柄をリーチ図柄とすることが決定される。」(段落【0055】)、
「図13(A)に示す最後の(2番目の)変動はリーチ3による変動であるが、・・・、ステップS65の処理によって一時停止回数および一時停止図柄が決定される。この例は、ステップS65の処理において、一時停止回数が2回に決定された例である。また、1番目の変動についてステップS75において連続変動フラグがセットされているので、ステップS67において、変動開始タイミングを1番目の変動終了から0.510秒後とすることが決定される。そして、1番目の変動終了から0.510秒後に、左右中図柄が同時に変動開始する。
図13(B),(C)に示された例も、図13(A)に示された例と同様、・・・一時停止回数が決定されたものである。・・・。」(段落【0056】)、
「・・・、この実施の形態では、始動入賞記憶に複数の始動入賞が記憶され、そのうちに始動入賞にもとづく変動がリーチ3とすることが決定されたものがある場合には、それ以前の各変動(その回の変動を含む)を一時停止を含む変動とし、かつ、各変動の間隔(この例では0.510秒)が一時停止時間(この例では0.480秒)に近いものとされるとともに、0.510秒後に開始される図柄の変動は左右中図柄が同時に変動開始するものとなる。従って、複数回の図柄の変動があたかも長い1回のリーチ変動であるかのように、遊技者にアピールすることができる。この結果、遊技者の期待感は一連の変動中において最終回の停止図柄が現れるまで徐々に高まっていく。」(段落【0057】)、
「なお、この実施の形態では、大当たりを発生させないリーチ時にも一連の連続した図柄の変動が行われるようにしたが、そのような態様の変動は、大当たりが発生するときにのみ行われるようにしてもよい。大当たりを発生させないリーチ時にも一連の連続した図柄の変動が行われる場合には、そのような変動が実行された場合に大当たりとならないこともあるので、すなわち、遊技者は最終回の停止図柄が現れるまで大当たりとなるかどうかわからないので、遊技者に与えられる興奮度はより大きくなる。また、大当たりが発生するときにのみ行われる場合には、そのような変動は遊技者に対する大当たりを予告する機能も含むことになるので、やはり、そのような変動が生じたときの遊技者の興奮度は大きくなる。
また、大当たりを予告する機能も含むことになる場合に、最終回の変動の停止図柄が確変図柄であるときと非確変図柄であるときとで、一時停止図柄の発生のさせ方を異ならせてもよい。例えば、最終回の変動の停止図柄が確変図柄であるときには全ての一時停止における図柄をリーチ図柄とし、最終回の変動の停止図柄が非確変図柄であるときには、全ての一時停止図柄のうちの一部の一時停止時にリーチ図柄を表示する。」(段落【0058】)、
「さらに、この実施の形態では、連続的な図柄変動が行われる場合に、最終回の変動よりも前の変動では、停止図柄としてはずれ図柄もリーチ図柄も生じうるが、最終回の変動よりも前の変動では、必ずリーチ図柄で停止するように制御してもよい。その際、最終回の変動に近づくにつれて、大当たりの表示状態に近づくようにしてもよい(例えば、「四,一,四」→「七,六,七」→「七,七,七」)。そのようにすれば、遊技者にさらに大きな期待感を抱かせることができる。」(段落【0059】)、
「・・・、最終回の変動がリーチ図柄以外で大当たりを想起させる図柄の組合せで連続的な変動を行うようにしてもよい。
図23は、リーチ図柄以外で大当たりを想起させる図柄の組合せを導入した場合の実施の形態で用いられる図柄の例を示す。この実施の形態では、リーチ図柄以外で大当たりを想起させる図柄として、図23に示すようなリーチ目図柄を用いる。また、さらに、リーチ目図柄を想起させる図柄としてリーチ目擬き図柄を用いる。」(段落【0061】)、
「・・・、始動入賞記憶に複数の始動入賞が記憶されている場合に、それらのうちに始動入賞にもとづく図柄変動の結果リーチ3による大当たり図柄の組合せとすることまたはリーチ目図柄とすることが決定されているときには、その図柄変動以前の図柄の変動があたかも1回の変動であるかのように表示される。そして、図25(B)に示された関係から、最終回の変動の停止図柄が大当たり図柄の組合せである場合には、一連の変動における一時停止図柄が、1/2の割合でリーチ目図柄とされる。また、最終回の変動の停止図柄がリーチ目図柄である場合には、一連の変動における一時停止図柄が、1/2の割合でリーチ目擬き図柄とされる。従って、遊技者は、経験によって、大当たりにつながる一連の変動中にリーチ目図柄が頻繁に現れることがわかる。そして、リーチ目図柄で図柄が確定する場合には、それにつながる一連の変動中にリーチ目擬き図柄が頻繁に現れることがわかる。すると、遊技者は、リーチ目擬き図柄が出現することによって、大当たりに対する期待感を強める。すなわち、一連の連続的な図柄の変動と、大当たりを想起させるリーチ目およびリーチ目擬きとを組み合わせることによって、遊技者の期待感を高めることができる。」(段落【0070】)、
「また、この実施の形態では、最終回の変動の停止図柄が大当たり図柄の組合せまたはリーチ目図柄である場合に、あたかも1変動とみなされる一連の図柄変動を行うようにしたが、最終回の変動の停止図柄が、大当たり図柄の組合せ、リーチ図柄またはリーチ目図柄である場合に、そのような図柄変動を行うようにしてもよい。」(段落【0072】)、
「【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、弾球遊技機を、あらかじめ記憶されている表示内容にもとづく表示結果が特定の表示態様、またはリーチ図柄やリーチ目図柄等の特定の表示態様を想起させる表示態様となる場合に、その表示内容に対応する変動までの各変動の相互の間隔を通常よりも短くするように構成したので、可変表示の面白さをより効果的に演出し、遊技者の期待感を十分に高めることができる効果がある。
また、記憶されている表示内容にもとづく表示結果が特定の表示態様または特定の表示態様を想起させる表示態様となるときに、その表示内容に対応する変動までの各変動中に所定の識別情報を表示して変動を一時停止するとともに、各変動の相互の間隔を一時停止時間に近づけるように構成した場合には、一連の変動があたかも1回の変動であるかのように表示でき、遊技者が期待感を抱く時間を長くすることができる。
そして、一時停止時にリーチ態様の表示を行うように構成した場合には、遊技者が興味を持つ表示態様が繰り返し現れるので、遊技者の期待感をさらに高めることができる。」(段落【0074】)、
との記載が認められ、また、上記摘記事項より、遊技効果を高めるために、判定用乱数以外の乱数も用いること、画像表示部9には、遊技効果を高めるために、各図柄以外の画像、例えば背景や所定の動きをするキャラクタ等も表示されることから、基本回路53は、一時停止を伴う図柄変動の変動態様でも、背景等の各図柄以外の画像を遊技効果を高めるように変化させるように設定して予めRAM55に記憶するものと認められ、また、上記摘記事項より、基本回路53は、連続的な図柄の変動がある場合に、1〜3回の一時停止を行うような図柄制御機能を有するものと認められる。これらの記載によれば、引用例1には、

「遊技盤6の前面に遊技領域7が設けられているパチンコ遊技機1を制御する基本回路53と、遊技者にとって有利な状態になるようにソレノイド21によって開状態とする開閉板20と、複数種類の図柄を可変表示するためのCRT82と、前記CRT82の画像表示を制御するCRTコントロール回路81と、打球が検出されるとCRTコントロール回路81に対してCRT82の図柄の回転をはじめさせる始動口センサ17と、前記CRT82の停止時の図柄の組み合わせが大当たり図柄の組み合わせであると開閉板20を開閉させて遊技者にとって有利な状態になる大当たり状態とするソレノイド回路59とを有する弾球遊技機であって、
前記基本回路53は、始動口センサ17で打球が検出されるとCRTコントロール回路81にコマンドデータを与えるように構成され、
前記基本回路53は、連続変動フラグのON/OFF制御によって、始動入賞記憶に複数の始動入賞が記憶され、それらのうちの最新の始動入賞にもとづく変動がリーチ3の態様で行われる場合の決定によりCRT82に表示する図柄を一時停止を1〜3回繰り返される処理を行う図柄制御機能を有する共に、CRT82に表示される背景等の各図柄以外の画像を変化させるように設定した1〜3回の一時停止およびその各停止図柄を伴う変動態様を予めRAM55に記憶しており、
前記基本回路53は、前記図柄制御機能による1〜3回の一時停止を伴う図柄変動の際に、この変動態様の各図柄以外の画像をCRT82に表示させる弾球遊技機。」
との発明(以下「引用例1発明」という。)が開示されていると認めることができる。

(3)対比
そこで、本願補正発明と引用例1発明とを比較すると、引用例1発明の「遊技盤6の前面に遊技領域7が設けられているパチンコ遊技機1を制御する」、「基本回路53」、「遊技者にとって有利な状態になるようにソレノイド21によって開状態とする」、「開閉板20」、「複数種類の図柄を可変表示するための」、「CRT82」、「CRT82の画像表示を制御する」、「CRTコントロール回路81」、「打球が検出されると」、「回転をはじめさせる」、「始動口センサ17」、「停止時の図柄の組み合わせが大当たり図柄の組み合わせであると」、「開閉板20」、「遊技者にとって有利な状態になる大当たり状態とする」、「ソレノイド回路59」、「コマンドデータを与える」、「一時停止を1〜3回繰り返される処理を行う」、「1〜3回の一時停止およびその各停止図柄に伴う変動態様」、「予めRAM55に記憶」および「1〜3回の一時停止を伴う図柄変動」は、本願補正発明の「主に遊技盤(5) に関わる動作を制御する」、「主制御手段(50)」、「遊技者に不利な閉状態と遊技者に有利な開状態に変化可能な」、「開閉式入賞手段(18)」、「少なくとも1又は複数の図柄を変動表示可能な」、「変動図柄表示手段(22)」、「変動図柄表示手段(22)を制御する」、「表示制御手段(60)」、「遊技球の検出を条件に」、「変動を開始させる」、「図柄始動手段(17)」、「変動後の図柄が所定の表示となった場合に」、「開閉式入賞手段(18)」、「遊技者に利益状態を与える特別遊技状態とする」、「特別遊技発生手段(54)」、「図柄始動指令信号を出力する」、「見かけ上複数回変動させる制御を行う」、「複数種類の演出パターン」、「予め記憶」および「複数回の図柄変動」に相当すると認められる。また、引用例1発明の「前記基本回路53は、連続変動フラグのON/OFF制御によって、始動入賞記憶に複数の始動入賞が記憶され、それらのうちの最新の始動入賞にもとづく変動がリーチ3の態様で行われる場合の決定により」と、本願発明の「前記表示制御手段は、前記図柄始動指令信号を受けて」は、「表示変動制御手段は、表示変動指令信号により」で共通し、また、引用例1発明の「背景等の各図柄以外の画像」と、本願発明の「図柄の背景色」は、「背景」で共通し、また、引用例1発明の「この変動態様の背景等の各図柄以外の画像」と、本願発明の「この選択した演出パターンの図柄の背景色」は、「前記複数種類の一つの演出パターンの背景」で共通する。
したがって、両者は、

「主に遊技盤に関わる動作を制御する主制御手段と、遊技者に不利な閉状態と遊技者に有利な開状態に変化可能な開閉式入賞手段と、少なくとも1又は複数の図柄を変動表示可能な変動図柄表示手段と、前記変動図柄表示手段を制御する表示制御手段と、遊技球の検出を条件に表示制御手段に対して変動図柄表示手段の図柄の変動を開始させる図柄始動手段と、前記変動図柄表示手段の変動後の図柄が所定の表示となった場合に開閉式入賞手段を開閉させて遊技者に利益状態を与える特別遊技状態とする特別遊技発生手段とを有する弾球遊技機であって、
前記主制御手段は、図柄始動手段で遊技球が検出されたことを条件に表示制御手段に図柄始動指令信号を出力するように構成され、
表示変動制御手段は、表示変動指令信号により変動図柄表示手段に表示する図柄を見かけ上複数回変動させる制御を行う図柄制御機能を有する共に、変動図柄表示手段に表示される背景を変化させるように設定した複数種類の演出パターンを予め記憶しており、
前記表示変動制御手段は、前記図柄制御機能による複数回の図柄変動の際に、前記複数種類の一つの演出パターンの背景を変動図柄表示手段に表示させる弾球遊技機。」

の点で一致し、以下の点で相違している。

相違点1、表示変動指令信号により、特定の制御や記憶を行う表示変動制御手段が、本願補正発明では、主制御手段(50)とは別の「表示制御手段」であるのに対して、引用例1発明では「基本回路53」そのものである点、

相違点2、表示変動制御手段における変動図柄表示手段に表示される背景の設定条件において、本願補正発明では、「図柄の背景色を複数回の図柄変動に対応付けて変化させるように設定した」のに対して、引用例1発明では「背景等の各図柄以外の画像を変化させるように設定した」ものであり、本願補正発明のような設定条件となっているかどうか明らかでない点、

相違点3、表示変動制御手段において、複数回の図柄変動の際に、一つの演出パターンの背景を変動図柄表示手段に表示させるのに、本願補正発明では、「複数種類の演出パターンのうちから前記複数回の図柄変動に適合する演出パターンを選択し、この選択した演出パターンの背景色を変動図柄表示手段(22)に表示させる」のに対して、引用例1発明では基本回路で決定した「1〜3回の一時停止およびその各停止図柄を伴う変動態様の各図柄以外の画像をCRT82に表示させる」ものであり、本願補正発明のような表示のさせ方になっていない点、


(4)判断
上記相違点について検討する。
相違点1について、一般的に、可変表示装置に表示する表示種別、例えば大当たり等の停止指令を遊技制御手段側から表示制御手段側に指令し、表示制御手段側で指令に基づいてその後の表示制御を行わせるような、表示制御手段側に遊技制御手段側の制御の一部を負担させることが周知(例えば、特開平6-246050号公報、特開平9-140878号公報参照)であり、引用例1発明ように、基本回路が、始動入賞記憶に複数の始動入賞が記憶され、それらのうちの最新の始動入賞にもとづく変動がリーチ3の態様で行われる場合の決定により発生させる信号により、内部処理としてその後の制御や記憶を行う構成に代えて、本願補正発明のように図柄始動指令信号を受けて、表示制御手段が主制御手段とは別の外部処理としてその後の制御や記憶を行う構成とすることは、当業者が格別の創意工夫を要したとはいえず、必要に応じて容易に想到し得るものである。

相違点2について、フィーバー機において、変動図柄表示手段に背景を表示させるのに、表示される数字の色やその背景色を変動させることが従来周知(例えば、特開平10-174753号公報、特開平10-234951号公報参照。)であり、引用例1発明のように背景等の各図柄以外の画像を変化させるように設定するにあたり、前記周知のものを適用して、本願補正発明のように図柄の背景色を複数回の図柄変動に対応付けて変化させるように設定することは、当業者が必要に応じて適宜なし得る程度の設計的事項である。

相違点3について、先ず、複数種類の演出パターンの選択について検討すると、引用例1発明は、一時停止回数が1回の場合、2回の場合、3回の場合といずれかが決定される毎にその都度、その各回の停止図柄が決定される変動態様となっている。つまり、1〜3回の一時停止およびその各停止図柄を伴う変動態様である複数種類の演出パターンを持つが、初めにROM等に書き込まれた演出パターンのどれかを選択するものでなく、単に組合せの数が複数存在し、その中の一つが決まるというものである。また、本願補正発明は複数種類の演出パターンが書き込まれるROM等から1つの演出パターンを選択し読み出すものである。これらのことから、複数種類の演出パターンの中にある複数回の図柄変動に適合する演出パターンの選択についてさらに検討すると、引用例1発明のように一時停止回数およびその停止図柄を決定して演出パターンを決めるか、本願補正発明のように複数種類の演出パターンの中から1つの演出パターンを選び出すかは、演出パターンを帰納的に決めるか演繹的に決めるかの違いであり、演出パターンを選び出すのに格別の発明力を要したとはいえず、当業者が容易にできる設計事項である。次に、変動図柄表示手段に表示させる演出パターンについて検討すると、演出パターンの背景を表示させるのに、相違点2の判断で示したように背景色を表示することが周知であるから、引用例1発明のように背景等の各図柄以外の画像を表示させるか、本願補正発明のように背景色を表示させるかは、当業者が適宜なし得る程度の設計的事項である。

そして、本願補正発明が奏する効果は、引用例1発明および周知技術から当業者が予測し得るものであって格別のものとは認められない。
したがって、本願補正発明は、引用例1発明および周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
以上のとおり、本件補正は、平成15年改正前特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第4項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について
平成14年5月24日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、同項記載の発明を「本願発明」という。)は、平成14年2月22日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「主に遊技盤(5) に関わる動作を制御する主制御手段(50)と、
遊技者に不利な閉状態と遊技者に有利な開状態に変化可能な開閉式入賞手段(18)と、
少なくとも1又は複数の図柄を変動表示可能な変動図柄表示手段(22)と、
前記変動図柄表示手段(22)を制御する表示制御手段(60)と、
遊技球の検出を条件に表示制御手段(60)に対して変動図柄表示手段(22)の図柄の変動を開始させる図柄始動手段(17)と、
前記変動図柄表示手段(22)の変動後の図柄が所定の表示となった場合に開閉式入賞手段(18)を開閉させて遊技者に利益状態を与える特別遊技状態とする特別遊技発生手段(54)とを有する弾球遊技機であって、
前記主制御手段(50)は、図柄始動手段(17)で遊技球が検出されたことを条件に表示制御手段に図柄始動指令信号を出力するように構成され、
前記表示制御手段は、前記図柄始動指令信号を受けて変動図柄表示手段(22)に表示する図柄を見かけ上複数回変動させる制御を行う図柄制御機能を有すると共に、変動図柄表示手段(22)に表示される図柄の背景としての背景色又は背景画像を前記複数回の図柄変動に対応付けて変化させるように設定した複数種類の演出パターンを予め記憶しており、
前記表示制御手段は、前記図柄制御機能による複数回の図柄変動の際に、複数種類の演出パターンのうちから前記複数回の図柄変動に適合する演出パターンを選択し、この選択した演出パターンの背景色又は背景画像を変動図柄表示手段(22)に表示させることを特徴とする弾球遊技機。」

(1)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例、および、その記載事項は、前記「2.(2)」に記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「2.(4)」に記載したとおり、引用例1発明および周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用例1発明および周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1発明および周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-02-06 
結審通知日 2006-02-07 
審決日 2006-02-20 
出願番号 特願平11-225011
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 一宮 誠瀬津 太朗  
特許庁審判長 二宮 千久
特許庁審判官 林 晴男
篠崎 正
発明の名称 弾球遊技機  
代理人 岡村 俊雄  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ