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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A01G
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A01G
管理番号 1134219
審判番号 不服2002-17661  
総通号数 77 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2003-07-08 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-09-12 
確定日 2006-04-10 
事件の表示 特願2001-391844「植物栽培設備及び植物栽培用カバーシート」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 7月 8日出願公開、特開2003-189747〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成13年12月25日の出願であって、平成14年8月2日付で拒絶査定がされ、これに対し、平成14年9月12日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、同年10月7日付で手続補正がなされたものである。

2.平成14年10月7日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成14年10月7日付の手続補正を却下する。
[理由]
(1)補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「植物栽培空間を形成するためのアーチ形をした複数のリブから成る枠組と、この枠組に張設されるカバーシートとを具備して構成される植物栽培設備において、前記カバーシートに前記枠組を構成する各リブへの固定を可能にする係止手段が一体的に設けられ、その係止手段が各リブを個別に通すべくカバーシートの幅方向に沿って延びる複数列のスリーブで成り、このスリーブの全長がカバーシートの全幅より短く、その両端がカバーシートの両側縁よりも内側に隔てた位置に開口され、前記リブの両端を地中に突き刺したときにスリーブの両端開口部が地面より高い位置にあってカバーシートの両端部をスリーブの位置まで捲り上げ得るよう設定されて成ることを特徴とする植物栽培設備。」と補正された。
上記補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「複数のリブから成る枠組」について「アーチ形をした」との限定を付加し、同じく「係止手段」について「係止手段が各リブを個別に通すべくカバーシートの幅方向に沿って延びる複数列のスリーブで成り、このスリーブの全長がカバーシートの全幅より短く、その両端がカバーシートの両側縁よりも内側に隔てた位置に開口され、前記リブの両端を地中に突き刺したときにスリーブの両端開口部が地面より高い位置にあってカバーシートの両端部をスリーブの位置まで捲り上げ得るよう設定されて成る」との限定を付加するものであって、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか、即ち、平成15年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に適合するかについて以下に検討する。

(2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された登録実用新案第3012089号公報(発行日平成7年6月6日。以下、この文献を「引用例」という。)には、「園芸用シート」に関して、図面と共に、以下の記載がある。
(イ)「【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 合成樹脂製のカバーシート材(1) と、該カバーシート材(1) の所定間隔に平行に取り付けられ、且つ可撓性を有する支柱(2) からなることを特徴とする園芸用シート。
【請求項2】 前記支柱(2) が、カバーシート材(1) の所定間隔に形成された支柱取付け部を介してカバーシート材(1) に取り付けられてなる請求項1に記載の園芸用シート。
【請求項3】 前記支柱取付け部が、カバーシート材(1) の所定間隔に別体のシート片(4) を該シート片(4) とカバーシート材(1) の間に支柱(2) を挿通可能に取り付けられて形成されてなる請求項2に記載の園芸用シート。」
(ロ)「【0001】【産業上の利用分野】本考案は、園芸用のシート、特に地面に両端部を固定した支柱と、該支柱に被覆された合成樹脂製のカバーシートからなる園芸用シートの改良に関する。【0002】【従来の技術】 従来、家庭菜園等でキュウリ、トマト等の作物の苗等には、低温や霜等から保護するために、図10に示すような園芸シート23を被せていた。 即ち、竹等の可撓性を有する支柱22を折り曲げて、該支柱22の両端部を作物が植えられた畝の両側の地面に固定し、この支柱22を所定間隔をあけて畝に沿って複数本固定した後に、塩化ビニル等のカバーシート21をかけ、カバーシート21の周囲は土を乗せて地面に固定して、苗が植えられた畝全体を覆う園芸シート23である。」
(ハ)「【0007】【課題を解決するための手段】すなわち、本考案の上記課題を解決するための手段は、合成樹脂製のカバーシート材1 と、該カバーシート材1 の所定間隔に平行に取り付けられ、且つ可撓性を有する支柱2 からなることにある。【0008】また、別の手段としては、支柱2 が、カバーシート材1 の所定間隔に形成された支柱取付け部を介してカバーシート材1 に取り付けられてなることにもある。【0009】さらに、支柱取付け部が、カバーシート材1 の所定間隔に別体のシート片4 を該シート片4 とカバーシート材1 の間に支柱2 を挿通可能に取り付けられて形成されてなることにも別の手段を有する。」
(ニ)「【0015】【作用】本考案は、上述のように支柱2がカバーシート材1に一体的に取り付けられてなるため、その使用時には、支柱2を曲げながら両端部を地面に固定すると同時にカバーシート材1も取り付けられ、園芸シートの組み立て作業をすばやく、且つ容易に行うことができる。【0016】また、使用時にカバーシートの一部分を捲った場合にも、カバーシートと支柱が一体的に取り付けられているため、必要以上にカバーシートが剥がれることがなく、園芸シート全体が崩れることがない。」
(ホ)「【0018】【実施例】実施例1 まず、本実施例の園芸シートの構成を図面に従って説明する。図1及び図2に示す、1は所定の位置に空気孔8が穿設された長尺状の透明合成樹脂製シートからなるカバーシート材である。 該カバーシート材1の材質としては、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン等からなる合成樹脂製シートが適宜使用できる。【0019】2は、前記カバーシート材1の長手方向において所定間隔、本実施例の場合には約80cm間隔、に設けられた取り付け手段を介して、カバーシート材1に取り付けられた支柱である。該支柱2はカバーシート材1の短手方向の幅と略等しい長さの棒状体で、図2に示すように鉄製の芯材2aに合成樹脂によってコーティング層2bが形成されており、容易に折り曲げて変形することができる。【0020】該支柱2をカバーシート材1に取り付ける取り付け手段は、カバーシート材1に帯状の合成樹脂製のシート片4が、カバーシート材1の短手方向と平行に配置され、図2に示すように該シート片4の長手方向の両側縁部4a,4b がヒートシールによってカバーシート材1の一面側に接着されることによって形成されている。【0021】このシート片4とカバーシート材1間に支柱2を挿通することによって、複数本の支柱2がカバーシート材1の短手方向と平行に取り付けられている。【0022】5はカバーシート材1の長手方向の両端近傍に一端が取り付けられた留め付け手段としての紐体である。【0023】 次にこのような構成からなる園芸シート6を使用する場合について説明する。まず、支柱2のうちの一本を図3に示すように手で撓ませて、その両端部を畝の両側の地面に突き刺して固定する。【0024】次に、その固定された支柱2の隣の支柱2を同様に撓ませて、先に固定した支柱2との間のカバーシート材1が弛まないように地面に固定する。このように順次支柱2を撓ませて地面に固定していくと、支柱2が固定されると同時にカバーシート材1も張られ、畝の全体が園芸シート6によって覆われる。【0025】すべての支柱2を固定した後に、カバーシート材1の両端の支柱2からはみ出た余剰部分のカバーシート材1を図3(図4:当審注)に示すように前記紐体5で括り、該紐体5は留め金具7等に留め付けて地面突き刺して固定する。【0026】また、カバーシート材1の長手方向の側縁部は土等を被せて、地面とカバーシート材1との間に隙間ができないにように地面に固定する。【0027】このように組み立てられた園芸シート6内の苗に水や肥料を与えるための作業を行う場合には、図3(図4:当審注)に示すようにカバーシート材1の一部分を地面から離すように、支柱2の途中まで捲りあげて開口部分Aを形成する。【0028】この時、カバーシート材1は支柱2に固定されているため、開口部分A以外のカバーシート材1が不用意に支柱2から外れてしまうことがない。そして、作業終了後には再び捲りあげたカバーシート材1を地面に下ろして、縁部に土を被せて地面に固定するだけで簡単に元の状態にすることができる。」
(ヘ)図1からは、シート片4は、その全長がカバーシート材1の全幅より短く、その両端がカバーシートの両側縁よりも内側に位置することが、みてとれる。
上記(イ)〜(ホ)の記載及び図面の内容を総合すると、引用例には、
「合成樹脂製のカバーシート材1と、カバーシート材1の所定間隔に全長がカバーシート材1の全幅より短いシート片4 を該シート片4 とカバーシート材1 の間に支柱2 を挿通可能となるように、かつ、シート片の両端がカバーシートの両側縁よりも内側に位置するように、シート片4の長手方向の両側縁部4a,4b がヒートシールによってカバーシート材1の一面側に接着されてなる支柱取付け部とを有し、このシート片4とカバーシート材1間に容易に折り曲げて変形することのできる可撓性を有する支柱2を挿通することによって、複数本の支柱2がカバーシート材1の短手方向と平行に取り付けられ、支柱2のうちの一本を手で撓ませて、その両端部を畝の両側の地面に突き刺して固定し、次に、その固定された支柱2の隣の支柱2を同様に撓ませて、先に固定した支柱2との間のカバーシート材1が弛まないように地面に固定して、順次支柱2を撓ませて地面に固定して、キュウリ、トマト等の作物の苗が植えられた畝の全体が園芸シート6によって覆われるようにすると共に、園芸シート6内の苗に水や肥料を与えるための作業を行う場合には、カバーシート材1の一部分を地面から離すように、支柱2の途中まで捲りあげて開口部分Aを形成するようにした園芸用シート」(以下、「引用発明」という。)が開示されていると認めることができる。

(3)対比
本願補正発明と引用発明とを対比すると、引用発明の「畝」及び「支柱取付け部」は、本願補正発明の「植物栽培空間」及び「係止手段(スリーブ)」に、それぞれ相当し、引用発明の「支柱2」と、本願補正発明の「アーチ形をした複数のリブから成る枠組」とは、カバーシートが張設される「柱材」である点で共通する。また、本願の願書に最初に添付された明細書中の「アーチ形を成すリブ(支柱)」(段落【0015】参照)という記載を鑑みれば、本願補正発明と引用発明とは、植物栽培空間を柱材によって形成する点で共通する。さらに、引用発明において、畝とそれを覆う園芸用シートとが、全体として、植物栽培設備を構成していることは明らかである。
そうすると、両者は、
「植物栽培空間を形成するための複数の柱材と、この柱材に張設されるカバーシートとを具備して構成される植物栽培設備において、前記カバーシートに前記柱材の固定を可能にする係止手段が一体的に設けられ、その係止手段が各柱材を個別に通すべくカバーシートの幅方向に沿って延びる複数列のスリーブで成り、このスリーブの全長がカバーシートの全幅より短く、その両端がカバーシートの両側縁よりも内側に隔てた位置に開口され、カバーシートの両端部を捲り上げ得るよう設定されて成る植物栽培設備」である点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点1]
植物栽培空間を形成するための複数の柱材が、本願補正発明では、アーチ形をしたリブから成る枠組であるのに対して、引用発明では、可撓性を有する支柱である点。

[相違点2]
本願補正発明は、リブの両端を地中に突き刺したときにスリーブの両端開口部が地面より高い位置にあって、カバーシートの両端部をスリーブの位置まで捲り上げ得るよう設定されているのに対して、引用発明が、そのような構成を有するか否か不明である点。

(4)判断
[相違点1]について
植物栽培空間を形成するためのアーチ形をした複数のリブから成る枠組は、登録実用新案第3054311号公報や、実願昭58-162554号(実開昭60-68969号)のマイクロフィルムにみられるように、周知技術である。
したがって、引用発明における可撓性を有する支柱に替えて、アーチ形をした枠組みという周知技術を採用して、相違点1に係る本願補正発明の構成を得ることは、当業者にとって容易になし得る事項である。

[相違点2について]
支柱の両端を地中に突き刺したときに係止手段が地面より高い位置にあってカバーシートの両端部を係止手段(スリーブ)の位置まで捲り上げ得るよう設定することは、実公昭47-6179号公報や、実願平1-1136号(実開平2-93945号)のマイクロフィルムにみられるように、周知技術である。
したがって、引用発明に、周知技術を適用することで、相違点2に係る本願補正発明の構成を得ることは、当業者にとって容易になし得る事項である。

そして、本願補正発明の作用効果も、引用発明及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。
したがって、本願補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
以上のとおり、本件補正は、平成15年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について
平成14年10月7日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、願書に最初に添付された明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「植物栽培空間を形成するための複数のリブから成る枠組と、この枠組に張設されるカバーシートとを具備して構成される植物栽培設備において、前記カバーシートに前記枠組を構成する各リブへの固定を可能にする係止手段が一体的に設けられて成ることを特徴とする植物栽培設備。」

(1)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例、及びその記載事項は、前記「2.(2)」に記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明は、前記2.で検討した本願補正発明から、「複数のリブから成る枠組」についての限定事項である「アーチ形をした」との構成を省くと共に、「係止手段」についての限定事項である「係止手段が各リブを個別に通すべくカバーシートの幅方向に沿って延びる複数列のスリーブで成り、このスリーブの全長がカバーシートの全幅より短く、その両端がカバーシートの両側縁よりも内側に隔てた位置に開口され、前記リブの両端を地中に突き刺したときにスリーブの両端開口部が地面より高い位置にあってカバーシートの両端部をスリーブの位置まで捲り上げ得るよう設定されて成る」との構成を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記2.(4)に記載したとおり、引用発明、慣用技術及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願の他の請求項に係る発明を検討するまでもなく、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-01-30 
結審通知日 2006-02-07 
審決日 2006-02-20 
出願番号 特願2001-391844(P2001-391844)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A01G)
P 1 8・ 575- Z (A01G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 吉田 佳代子  
特許庁審判長 木原 裕
特許庁審判官 安藤 勝治
柴田 和雄
発明の名称 植物栽培設備及び植物栽培用カバーシート  
代理人 羽鳥 亘  
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