• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 判定 同一 属さない(申立て不成立) E06B
管理番号 1134378
判定請求番号 判定2005-60051  
総通号数 77 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許判定公報 
発行日 1991-03-14 
種別 判定 
判定請求日 2005-08-01 
確定日 2006-04-27 
事件の表示 上記当事者間の特許第1932810号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 
結論 (イ)号パンフレットに示す「サッシ取付け開口部の防水構造」は、特許第1932810号発明の技術的範囲に属しない。 
理由 1.請求の趣旨
本件の判定請求人は、イ号パンフレット(甲第1号証)に示すところの「ディメンション防水システム」(以下、「イ号物件」という。)が、特許第1932810号の技術的範囲に属するとの判定を求めているところ、判定請求書において請求項2、3についての説明がないという事実に鑑みれば、本件判定の請求の趣旨は、イ号物件が、特許第1932810号の請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)に属するとの判定を求めるものであると認められる。
なお、イ号物件は、被請求人である大倉工業株式会社が製造・販売する「ディメンション・ガード」と同じく被請求人が製造・販売する「防水・水切りシート」とを「サッシ枠」と組み合わせた防水構造であって、被請求人が発行するイ号パンフレットに記載されている。

2.本件発明の出願経過
本件判定請求書の「6.請求の理由」の項にも示されているように、本件発明の出願経過等の概略を示すと、次のとおりである。
(1)出 願:平成1年7月27日
(2)出願公開:平成3年3月14日
(3)出願公告:平成6年7月20日
(4)特許登録:平成7年5月26日

3.本件発明
本件発明は、願書に添付された明細書及び図面(以下、「特許明細書」という。)の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものであり、その構成要件を分説すると、次のとおりである。
A-1 平面シート部と、
A-2 該平面シート部の端縁から直角に立ち上る側面シート部と、
A-3 該側面シート部と前記平面シート部との両面から背部に延長した形に前記両面に直角をなす前面シート部とからなり、
A-4 且つ軟質の防水材により一体成形された防水部品を、
B サッシの左右下部と該サッシの左右下部に対応するサッシ取付け開口部の左右隅角部との間に介装すると共に、
C 左右の該防水部品と前記サッシ取付け開口部の下部壁面との間に防水紙を介在させる
D ことを特徴とするサッシ取付け開口部の防水構造。

4.イ号物件
判定請求書に添付のイ号パンフレットの各記載内容を参考にすると、イ号物件は、次のa〜dの構成からなるものとするのが相当と認める。
a-1 平面シート部と、
a-2 該平面シート部の端縁から直角に立ち上る側面シート部と、
a-3 該側面シート部と前記平面シート部との両面から背部に延長した形に前記両面に直角をなす前面シート部とからなり、
a-4 PE,EVA複合素材からなる2枚の軟質の平面状のシート(a-3前面シート部に相当する平面シートと、a-1平面シート部及びa-2側面シート部に相当する折り曲げた平面シート)が融着して形成されたディメンション・ガードを、
b サッシの左右下部と該サッシの左右下部に対応するサッシ取付け開口部の左右隅角部との間に介装すると共に、
c 左右の前記ディメンション・ガードと前記サッシ取付け開口部の下部壁面との間に、素材がブチルゴムとPET不織布である防水・水切りシートを介在させる
d ことを特徴とするサッシ取付け開口部の防水構造。

5.対比
(1)本件発明とイ号物件との対比
両者を対比すると、イ号物件が、本件発明の構成要件A-1〜A-3及びB,Dと文言上一致する構成を備えていることが明らかであり、また、JIS工業用語大辞典(第5版 2001年3月30日 財団法人 日本規格協会発行)によれば、「紙」とは「広義には素材として合成高分子物質を用いて製造した合成紙をも含む」ものであるため(392頁)、防水紙は素材がブチルゴムとPET不織布である防水シートを含むものといえるから、イ号物件は、本件発明の構成要件A-1〜A-3及びB〜Dを充足するといえる。
しかしながら、イ号物件の構成a-4が、本件発明の構成要件A-4を充足するか否かが明らかでない。そこで、前者が後者を充足するかの点について、均等論の適用の可否を含めて、以下に検討する。

6.イ号物件の構成a-4が本件発明の構成要件A-4を充足するか否かについて
本件発明の構成要件A-4とイ号物件の構成a-4とを対比すると、少なくとも文言上違いがあるのは、本件発明の構成要件A-4が「軟質の防水材により一体成形」されているのに対し、構成a-4が「2枚の軟質の平面状のシートが融着して形成」されている点である。
先ず、本件発明の構成要件A-4における「一体成形」の技術的意味について検討する。JIS工業用語大辞典(第5版)によれば、「一体成形」とは「二次接着や機械的接合を用いないで、部材の接合と同時に製品を一体で成形すること」であり(第136頁)、「二次接着」とは「固体どうしの接着」であって(第1666頁)、融着を含むものであり、また、「成形 moulding(process)」とは「通常、熱及び圧力を加えることによって、金型で材料を成形する工程」である(第1149頁)とされている。そうすると、通常の概念によって把握される「一体成形」の一般的な技術的意味は、融着等の二次接着を用いないで、部材の接合と同時に製品を一体で成形することであるということができるから、「融着して成形」とは別異のものであって、両者は相違するものといえる。
次に、本件発明の「一体成形」の技術的意義については、上記したとおりであるので、一義的に明確に理解することができない等の特段の事情があるとはいうことはできず、発明の詳細な説明の記載を参酌することが許されるものではないが(平成3.3.8最高裁昭和62年(行ツ)第3号)、当該「一体成形」に別の概念が規定されている可能性を考慮して、念のため、発明の詳細な説明の記載を参酌して、同上「一体成形」の意味を検討する。本件特許明細書には、「…この防水部品7は…、特徴的に、軟質の合成ゴム材で一体成形されている。」(甲第3号証第3頁第5欄第31〜35行)、「防水部品は、基本的に、…、一体成形されているので、…、平面シートから加工してつくり上げる場合にみられる3面交点におけるピンホールがないから防水部品自体からの水濡れがない。」(同第4頁第7欄第29〜34行)、「…本発明によれば、サッシ取付け開口部の下部左右の隅角部と対応するサッシ個所との間に、切れ目や継ぎ目のない一体成形の防水部品を介在させると共に、… させるようにしたので、サッシ回りの雨水はすべて防水部品と防水紙の表面を流下して外部に排出され、従ってサッシ取付け開口部下部の壁体や窓台を濡らして腐食させることがなくなる、という効果が得られる。」(同第4頁第8欄第3〜11行)の記載があり、これらの記載は、何れも、上記した「一体成形」の一般的な技術的意味と符合するものであるし、特に、「切れ目や継ぎ目のない一体成形の防水部品」という記載に鑑みれば、本件発明における「一体成形」が、継ぎ目がない成形を意味していることが明らかであるし、「一体成形された防水部品」は、上記した本件発明の効果を奏する上での本質的な特徴部分であるといえる。
以上のことから、本件発明の「一体成形」とは、請求項の記載のみに基づいて判断しても、また、発明の詳細な説明を参酌して判断しても、「2枚の軟質の平面状のシートが融着して形成」されることを、概念として含まないと解するのが相当である。
さらに、上記したように、本件発明の「一体成形された防水部品」は、発明の本質的な特徴部分であって、これを、2枚の平面状のシートを融着により接合した継ぎ目のある部材に置き換えた場合には、防水の効果が低減されることが明らかであるから、本件発明の構成要件A-4とイ号物件の構成a-4との構成上相違する部分は、均等論適用の要件を欠くものである。

したがって、イ号物件の構成a-4は、均等論の適用の可否を含めて検討してみても、本件発明の構成要件A-4を充足するということはできない。

7.むすび
以上のとおり、イ号物件は、本件発明の構成要件A-4を充足するとはいえないから、本件発明の技術的範囲に属しない。
よって、結論のとおり判定する。

イ号パンフレット(甲第1号証)

 
判定日 2006-04-17 
出願番号 特願平1-195223
審決分類 P 1 2・ 1- ZB (E06B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 米田 昭佐田 洋一郎  
特許庁審判長 大元 修二
特許庁審判官 柴田 和雄
木原 裕
登録日 1995-05-26 
登録番号 特許第1932810号(P1932810)
発明の名称 サッシ取付け開口部の防水構造  
代理人 磯野 道造  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ