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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G11B |
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管理番号 | 1135080 |
審判番号 | 不服2003-23353 |
総通号数 | 78 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1996-11-12 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2003-12-02 |
確定日 | 2006-04-13 |
事件の表示 | 平成 7年特許願第102121号「情報記録装置および情報記録方法」拒絶査定不服審判事件〔平成 8年11月12日出願公開、特開平 8-297920〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成7年4月26日の出願であって、その請求項1〜3に係る発明は、明細書の特許請求の範囲の請求項1〜3に記載されたとおりのものであって、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。 「入力情報に基づく記録データを記録媒体に記録する記録手段と、前記記録媒体に記録されているアドレスを管理する手段とを備える情報記録装置において、 前記記録手段が、前記記録媒体へ複数の記録データを記録するに際し、 前記複数の記録データは、それぞれ別の記録動作によって記録されるものであり、 前記複数の記録データのうち、一の記録データと隣接する記録データとの間には、リンク領域を設けて当該一の記録データと当該隣接する記録データとを記録し、 前記一の記録データとは異なる記録データと隣接する記録データとの間には、リンク領域を設けずに当該一の記録データとは異なる記録データと当該隣接する記録データとを連続して記録することを特徴とする情報記録装置。」 2.引用例 1)第1引用例 これに対して、原査定の拒絶の理由で引用された特開平4-212761号公報(以下、「第1引用例」という。)には、図面とともに次の技術事項が記載されている。 (a) 「【請求項1】事前に記録されたアドレスにより記録領域の物理セクタ番号が与えられる記録可能型記録媒体に、非完結型インタリーブを用いて情報の記録再生を行う情報記録再生装置において、所定数n個の有効セクタ毎にその前部にn1個の前部付加セクタ、後部にn2個の後部付加セクタを設定した(n+n1+n2)個のセクタにより構成されるブロックを単位として、記録すべき情報を上記n個の有効セクタ単位に分割し、各ブロックの有効セクタの情報に対しそのブロックの前部付加セクタに記録する前部付加データと後部付加セクタに記録する後部付加データとを生成・付加して上記情報を記録する第1モードと、それぞれ(n+n1+n2)個のセクタにより構成される複数のブロックにわたって、先頭のブロックにおける記録すべき情報の前部のn1個のセクタのみに前部付加データを付加するとともに末尾のブロックにおける記録すべき情報の後部のn2個のセクタのみに後部付加データを付加して上記情報を連続的に記録する第2モードとのいずれかのモードにより情報の記録を行う記録手段を備えていることを特徴とする情報記録再生装置。」 (b) 「【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、各種書替可能型光ディスク等の記録可能な記録媒体に、いわゆる非完結型インタリーブを用いて情報の記録再生を行う情報記録再生装置に関するものである。」 (c) 「【0029】 【実施例】本発明の一実施例を図1乃至図7に基づいて詳細に説明すれば、以下のとおりである。 【0030】図6に示すように、書替可能型記録媒体としての光磁気ディスク1には、その内周側端部にTOC領域1aが設けられるとともに、TOC領域1aより外周寄りの大部分の領域が情報記録領域1bとされている。 【0031】情報記録領域1bには、音楽情報を始め、文字・画像・コードデータ等の各種の情報が記録される一方、TOC領域1aには、情報記録領域1bに記録された各情報に関する付加情報、例えば、各情報毎の開始ブロック位置及び終了ブロック位置等が記録されるようになっている。 【0032】図7に示すように、光磁気ディスク1におけるTOC領域1a及び情報記録領域1bには予め螺旋状の案内溝2・2…(便宜上ハッチングで示す)がディスク半径方向に所定の間隔を隔てて形成されている。そして、ディスク上の絶対アドレス(アドレス)は、バイフェーズマーク変調後、各ビットが“1”であるか“0”であるかに対応して、案内溝2・2…を光磁気ディスク1の半径方向の外側又は内側に偏倚させることにより記録されている。 【0033】上記の絶対アドレスは、ディスク上の位置を表すとともに、CLV制御等を行う際の回転制御情報としても利用される。なお、本実施例における絶対アドレスは、上記CDフォーマットにおける各セクタに対応しているので、以下、絶対アドレスを物理セクタ番号と呼ぶ。」 (d) 「【0034】図5のブロック図において、本実施例に係る情報記録再生装置は、光磁気ディスク1を支持して回転させるスピンドルモータ3と、記録及び再生時に光磁気ディスク1にレーザ光を照射する光ヘッド4と、記録時に光磁気ディスク1に磁界を印加するコイル5を備えている。 【0035】光ヘッド4及びコイル5は記録手段を構成し、後述するように、コントローラ13による制御に基づいて、第1または第2モードで情報の記録を行うものである。 【0036】本情報記録再生装置は、いわゆる磁界変調方式で記録を行うように構成され、かつ、記録済の情報の上に新たな情報を重ねて記録するオーバーライトが行えるようになっている。 【0037】上記情報記録再生装置は、いわゆるパーソナルコンピュータ等の上位装置(図示せず)から記録/再生等の指示を受けたり、或いは上位装置との間で文字・画像情報等のデータの入出力を行うための端子6を備え、記録を行う際には、上位装置から端子6を介して入力される情報がインターフェース18からディジタルデータfとして切替回路19に供給される。なお、上位装置は、本情報記録再生装置に対して記録、再生等の指令を発するものである。 【0038】切替回路19には、インターフェース18からのディジタルデータfと、セクタデータ生成回路20からの付加データeが入力されている。端子6及びインターフェース18を介してコントローラ13が上位装置から情報の記録等の指示を受けると、コントローラ13が切替回路19に切替指示を送る。切替回路19は、この切替指示に基づいて、上記データe、fの内、何れか一方を選択して、それをディジタルデータhとして記録信号処理回路7に出力するように構成されている。 【0039】記録信号処理回路7では、ディジタルデータhに対してエラー検出訂正用パリティの生成付加が行われるとともにサブコード生成回路17からのサブコード情報が付加された後、EFM変調され、更に、フレーム同期信号が付加されてコイルドライバ8に供給されるようになっている。 【0040】コイルドライバ8は供給された信号に基づいて、コイル5を駆動し、それと同時に光ヘッド4から光磁気ディスク1にレーザ光が照射されることにより、信号の記録が行われるものである。なお、ここでの信号フォーマットは、例えば、従来例として前記図9及び図10に示したものと同様とすることができる。」 (e) 「【0043】アドレス検出回路12は、例えば、バイフェーズマーク復調回路及びアドレスデコーダからなり、事前記録情報検出回路11で抽出された事前記録情報のバイフェーズマーク復調を行った後、アドレスデコーダによりディスク上のアドレス、すなわち、物理セクタ番号にデコードされて、この物理セクタ番号がコントローラ13に供給される。」 (f) 「【0046】又、コントローラ13はアドレス検出回路12からの物理セクタ番号を受けて光磁気ディスク1上の光ヘッド4の位置を認識し、光ヘッド4及びコイル5の移動機構(図示せず)により光ヘッド4及びコイル5を所定の位置に移動させるアクセス機能を有する。 【0047】更に、コントローラ13は、サブコード検出回路16から供給されるサブコード情報を選択してTOCメモリ14に記憶するか、又は、インターフェース18を介して与えられる上位装置からのTOC内容に係る情報等をTOCメモリ14に記憶したり、TOCメモリ14の内容の読出が行えるようになっている。 【0048】又、TOCメモリ14内のサブコード情報は必要に応じてサブコード生成回路17に供給され、ここで、サブコードが生成されて記録信号処理回路7でEFM変調され、コイルドライバ8に供給される。これにより、TOCメモリ14内のサブコード情報が光磁気ディスク1のTOC領域1aに記録される。」 (g) 「【0059】なお、記録を行った小容量情報daの領域管理については、上位装置が領域管理情報そのものを小容量情報daとして所定のブロックを割り当て、前記と同様の動作を経て記録するか、或いは、コントローラ13及びTOCメモリ14を経てサブコード生成回路17で所定のフォーマットに変換後、記録信号処理回路7へ供給して記録を行えば良い。後者の方式の場合、通常、領域管理情報の記録領域としてTOC領域1aが使用される。」 (h) 「【0068】なお、上記のように記録した大容量情報dbの領域管理については、上位装置からの指示により、領域管理情報としてコントローラ13及びTOCメモリ14を経てサブコード生成回路17で所定のフォーマットに変換後、記録信号処理回路7へ供給されて記録が行われる。この場合は、領域管理情報の記録領域として、TOC領域1aが使用される。」 上記第1引用例の記載事項及び図面を総合勘案すると、第1引用例には、結局、次の発明が記載されている。 「上位装置から端子6を介して入力される情報を光磁気ディスク1に記録する光ヘッド4及びコイル5から構成される記録手段と、TOCメモリ14の管理及び光磁気ディスク1のTOC領域にTOCメモリ14の内容を記録するコントローラ13からなる情報記録再生装置において、 非完結型インタリーブを用いて上記情報を記録する際に、それぞれ(n+n1+n2)個のセクタにより構成される複数のブロックにわたって、先頭のブロックにおける記録すべき上記情報の前部のn1個のセクタのみに前部付加データを付加するとともに末尾のブロックにおける記録すべき上記情報の後部のn2個のセクタのみに後部付加データを付加して上記情報を連続的に記録する情報記録再生装置。」 3.対 比 本願発明と上記第1引用例に記載された発明とを対比する。 第1引用例に記載された発明における「情報」、「光磁気ディスク1」及び「情報記録再生装置」は、本願発明における「記録データ」、「記録媒体」及び「情報記録装置」に相当する。 第1引用例に記載された発明における「TOCメモリ14の管理及び光磁気ディスク1のTOC領域にTOCメモリ14の内容を記録するコントローラ13」とは、「コントローラ13」が光磁気ディスクに記録される各情報毎のサブコード情報すなわちアドレス等が記載されるTOCメモリの管理を行うものであるから、本願発明における「記録媒体に記録されているアドレスを管理する手段」に相当する。 通常の光磁気ディスクを用いた情報記録再生装置においては、複数の記録データをそれぞれ別の記録動作によって記録することが可能であるから、第1引用例に記載された情報記録再生装置においても「記録手段が、前記記録媒体へ複数の記録データを記録するに際し、前記複数の記録データは、それぞれ別の記録動作によって記録されるもの」と認められる。 第1引用例に記載された発明における「非完結型インタリーブを用いて上記情報を記録する際に、それぞれ(n+n1+n2)個のセクタにより構成される複数のブロックにわたって、先頭のブロックにおける記録すべき上記情報の前部のn1個のセクタのみに前部付加データを付加するとともに末尾のブロックにおける記録すべき上記情報の後部のn2個のセクタのみに後部付加データを付加して上記情報を連続的に記録する」とは、情報を記録する際には書き換えを容易にするために情報の前部及び後部にそれぞれ前部付加データ及び後部付加データを付加して記録するものであり、前回記録された情報と今回記録される情報との間には付加データが記録された領域が形成されるものであるから、本願発明における「複数の記録データのうち、一の記録データと隣接する記録データとの間には、リンク領域を設けて当該一の記録データと当該隣接する記録データとを記録する」に相当する。 そうすると、本願発明と第1引用例に記載された発明とは次の点で一致する。 <一致点> 「入力情報に基づく記録データを記録媒体に記録する記録手段と、前記記録媒体に記録されているアドレスを管理する手段とを備える情報記録装置において、 前記記録手段が、前記記録媒体へ複数の記録データを記録するに際し、 前記複数の記録データは、それぞれ別の記録動作によって記録されるものであり、 前記複数の記録データのうち、一の記録データと隣接する記録データとの間には、リンク領域を設けて当該一の記録データと当該隣接する記録データとを記録する情報記録装置。」 一方、次の点で相違する。 (相違点1) 一の記録データとは異なる記録データと隣接する記録データとの間に、本願発明ではリンク領域を設けずに当該一の記録データとは異なる記録データと当該隣接する記録データとを連続して記録するのに対して、第1引用例に記載された発明ではこの点が特には記載されていない点。 4.当審の判断 そこで、上記相違点について検討する。 1)相違点1について 書き換えを前提とする記録データと書き換えを前提としない記録データのいずれの記録も可能とした情報記録装置は周知の技術(例えば、特開平1-287872号公報(以下、「周知例1」という。特に、公報第4頁左上欄第8行〜同右上欄第9行)、特開平4-67471号公報(特に、特許請求の範囲の記載)、特開昭63-20770号公報(特に、特許請求の範囲の記載)を参照)であり、また、通常の書き換えを前提としないコンパクトディスクの記録においてはリンク領域を設けずに記録しており、さらに、光磁気ディスクを用いた情報記録装置において記録データと隣接する記録データとの間にリンク領域を設けずに連続して記録することも周知の技術(例えば、周知例1、特開平5-189881号公報(特に、特許請求の範囲の記載)を参照)であることから、第1引用例に記載された情報記録装置においても書き換えを前提としない記録データの記録を可能として、一の記録データとは異なる記録データと隣接する記録データとの間には、リンク領域を設けずに当該一の記録データとは異なる記録データと当該隣接する記録データとを連続して記録することは当業者が容易に想到し得たものである。 5.むすび 以上のとおりであって、本願発明は、上記第1引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2006-02-07 |
結審通知日 | 2006-02-14 |
審決日 | 2006-03-01 |
出願番号 | 特願平7-102121 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G11B)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 早川 卓哉 |
特許庁審判長 |
片岡 栄一 |
特許庁審判官 |
山田 洋一 山澤 宏 |
発明の名称 | 情報記録装置および情報記録方法 |
代理人 | 山形 洋一 |
代理人 | 前田 実 |