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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B04B |
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管理番号 | 1135139 |
審判番号 | 不服2003-2963 |
総通号数 | 78 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1995-04-20 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2003-02-24 |
確定日 | 2006-04-17 |
事件の表示 | 平成 5年特許願第514163号「オペレータが選択可能な制御パラメータを遠心機に入力する際に用いるインタフェース方法」拒絶査定不服審判事件〔平成 5年 8月19日国際公開、WO93/15844、平成 7年 4月20日国内公表、特表平 7-503654〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願は、1993年2月2日(パリ条約による優先権主張外国庁受理1992年2月7日、米国)を国際出願日として出願され、拒絶査定がなされ、平成15年2月24日付けで拒絶査定不服審判が請求されたものである。その後、当審において、請求人に対して所定の期間を指定して前記拒絶査定の内容に関して回答を求める審尋したところ、請求人からの応答はなかった。 本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成14年7月22日付けの手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲請求項1に記載される次のとおりのものである。 「遠心機の運転パラメータに対する値を示す方法であって、前記運転パラメータの値がN桁の有効数字であり、該N桁の有効数字は第1サブセットのn個の有効数字と第2サブセットの有効数字であり、n<Nである方法において、 (a)前記第1サブセットの有効数字の値を第1乗数の積として表示するステップと、 (b)前記第2サブセットの有効数字のうちの1つを受け取って開始するステップであって、前記第2サブセットの各数字を受け取ったとき、前記第1サブセットの各数字を、前記第2サブセットの数字とともに、第2の異なる乗数の積として表示するステップと を備えたことを特徴とする方法。」 2.引用文献に記載される事項 原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先権主張の日前に明らかに頒布された刊行物である特開平1-189360号公報(以下、「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載される。 (2-1-1)「第3図は従来の遠心分離機の操作パネルの構成図、・・・第3図・・・において、1は温度表示器、2はそのスイッチ、3は回転数表示器、4はそのスイッチ、5は時間表示器、6はそのスイッチ」(第1頁右欄17行-第2頁左上欄1行) (2-1-2)「第5図は・・・従来の通常運転時の操作手順を示すもので、例えば回転数を設定するには、スイッチ4を押し、テンキー14で所望の回転数を入力して、エンタースイッチ15で登録する。温度や運転時間についても同様にスイッチ2、6およびテンキー14エンタースイッチ15を押してそれらを設定し、スタートスイッチ10を押して運転を開始するようにしている。」(第2頁左上欄12-19行) (2-1-3)第3図は従来の遠心分離機の操作パネルの構成図であり、第3図からは、遠心分離機の操作パネルには、1で示される温度表示器、3で示される回転数表示器、5で示される時間表示器、14で示されるテンキー等が配置されていることが把握される。 また、同様に、原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先権主張の日前に明らかに頒布された刊行物である「特開昭56-116140号公報」(以下、「引用文献2」という。)には、以下の事項が記載される。 (2-2-1)「・・・表示器DISに「12,000」が表示される。・・・ここで、3( 引用文献2では、「□」の中に「3」記入した文字。以下、同様)キーが押下されると、・・・表示器DISには「12,003」が表示される。更に、順次にキー4,5を押下すると、・・・表示器には「12,345」が表示される。・・・次いで、キー6を押下すると、・・・表示器DISには「12,345,600」が表示される。以下、順次キー7,8を押下すると、・・・数値「12,345,670」,「12,345,678」が順次に表示器DISに表示される。」(第3頁左上欄9行-左下欄9行) (2-2-2)第2図(B)は本発明電気機器の操作例と表示例の説明図であり、第2図(B)からは、「表示器DISが「12,000」となった後に、キー操作3押下で表示器DISの表示は「12,003」となり、続いて、キー操作4押下で表示器DISの表示は「12,034」となり、続いて、キー操作5押下で表示器DISの表示は「12,345」となり、続いて、キー操作6押下で表示器DISの表示は「12,345,600」となり、続いて、キー操作7押下で表示器DISの表示は「12,345,670」となること」が把握される。 3.当審の判断 引用文献1の上記摘示箇所(2-1-1)ないし(2-1-3)からは、遠心分離機の操作に関して、以下の手順で行わることが把握できる。 「遠心分離機の操作パネル上の回転数表示器スイッチを押した後に、所望の回転数を入力し、温度数表示器スイッチを押した後に、所望の温度を入力し、運転時間表示器スイッチを押した後に、所望の温度を入力する操作」 斯かる操作手順で、敢えて、表示器スイッチを押した後に、所望の回転数等を入力していることからいって、入力した回転数等の値は、遠心分離機の表示器に表示させることが窺える。また、「回転数」や「温度」、「運転時間」とは、遠心分離機の「運転パラメータ」のことであるから、引用文献1には、「運転パラメータを入力し、その値を表示させる遠心分離機」が記載されるといえる。 一方、引用文献2には、電気機器のキー操作と表示との関係が説明され、上記摘示箇所(2-2-1)及び(2-1-2)からは、『キー操作3押下で「12,003」との表示、続いて、キー操作4押下で「12,034」との表示、続いて、キー操作5押下で「12,345」との表示』となる段階(以下、「(i)段階」という。)、『続いて、キー操作6押下で「12,345,600」との表示』となる段階(以下、「(ii)段階」という。)があることが把握される。ここにおいて、各段階について検討するに、(i)段階は、キー操作3回までの段階であり、この段階でのキー操作により入力された数字の値はそのまま表示し且つ前段階で入力された数字の値を1,000の積として表示する段階といえ、(ii)段階は、(i)段階での3回のキー操作により入力された数字を(ii)段階でのキー操作により入力された数字とともに、100の積として表示し且つ前段階で入力された数字の値を1,000,000の積として表示する段階であるといえる。 加えて、(i)段階における「入力された数字の値はそのまま表示」するとの事項は、「入力された数字の値を1の積として表示」するといえるので、以上整理すると、引用文献2には、以下の発明(以下、「引用文献2発明」という。)が記載されるといえる。 「電気機器に数値の表示させる方法であって、 (i) キー操作3回までの段階であり、この段階でのキー操作により入力された数字の値を1の積として表示し且つ前段階で入力された数字の値を1,000の積として表示する段階と、 (ii) (i)段階に続く段階であり、(i)段階での3回のキー操作により入力された数字をこの段階でのキー操作により入力された数字とともに、100の積として表示し且つ前段階で入力された数字の値を1,000,000の積として表示する段階 を備える電気機器に数値の表示させる方法」 ここにおいて、本願発明と引用文献2発明を対比すると、引用文献2発明の「(i) キー操作3回までの段階であり、この段階でのキー操作により入力された数字の値を1の積として表示し且つ前段階で入力された数字の値を1,000の積として表示する段階」は、本願発明の「(a)前記第1サブセットの有効数字の値を第1乗数の積として表示するステップ」において、第1サブセットを3個の有効数字とし、第1乗数を1とし且つ表示の際には前段階で入力された数字も同時に表示した場合に当たる特定の態様であるといえ、引用文献2発明の「(ii) (i)段階に続く段階であり、(i)段階での3回のキー操作により入力された数字をこの段階でのキー操作により入力された数字とともに、100の積として表示し且つ前段階で入力された数字の値を1,000,000の積として表示する段階」は、本願発明の「(b)前記第2サブセットの有効数字のうちの1つを受け取って開始するステップであって、前記第2サブセットの各数字を受け取ったとき、前記第1サブセットの各数字を、前記第2サブセットの数字とともに、第2の異なる乗数の積として表示するステップ」において、第2サブセットを1個の有効数字とし、第2乗数を100とし且つ表示の際には前段階で入力された数字も同時に表示した場合に当たる特定の態様であるといえる。また、斯かる特定の態様は、当然、表示させる桁数は第1サブセットの有効数字の3個より大きく、加えて、第1乗数と第2乗数は異なっているものであるので、本願発明と引用文献2発明は、 「N桁の有効数字の値を示す方法であって、該N桁の有効数字は第1サブセットのn個の有効数字と第2サブセットの有効数字であり、n<Nである方法において、 (a)前記第1サブセットの有効数字の値を第1乗数の積として表示するステップと、 (b)前記第2サブセットの有効数字のうちの1つを受け取って開始するステップであって、前記第2サブセットの各数字を受け取ったとき、前記第1サブセットの各数字を、前記第2サブセットの数字とともに、第2の異なる乗数の積として表示するステップと を備えたことを特徴とする方法。」である点で一致し、以下の点で相違する。 相違点: 本願発明は、遠心機のN桁の運転パラメータの数値を表示するものであるのに対し、引用文献2発明は、電気機器に数値を表示するものである点 次いで、相違点を検討するに、遠心機という機器においては、引用文献1に記載(引用文献1の「遠心分離機」は「遠心機」に相当する)されるように、運転パラメータを入力し、その値を表示させることは公知の技術であるので、引用文献2発明を、すなわち、一般の電気機器おいて利用される数値を表示する発明を、機器を特定した遠心機のN桁の運転パラメータの数値を表示する方法に適用することは、特に阻害事由もなく、当業者が容易になし得るものである。 また、遠心機のN桁の運転パラメータの数値を表示する方法に適用したからといって、格別顕著な効果が生じるものでもない。 4.むすび したがって、本願発明は、引用文献1及び引用文献2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許をうけることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2005-11-24 |
結審通知日 | 2005-11-25 |
審決日 | 2005-12-06 |
出願番号 | 特願平5-514163 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(B04B)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 中村 泰三 |
特許庁審判長 |
板橋 一隆 |
特許庁審判官 |
野田 直人 鈴木 毅 |
発明の名称 | オペレータが選択可能な制御パラメータを遠心機に入力する際に用いるインタフェース方法 |
代理人 | 阿部 和夫 |
代理人 | 谷 義一 |