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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B60H
管理番号 1135221
審判番号 不服2005-9428  
総通号数 78 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1997-08-12 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-05-19 
確定日 2006-04-13 
事件の表示 平成 8年特許願第 22719号「空調装置」拒絶査定不服審判事件〔平成 9年 8月12日出願公開、特開平 9-207543〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成8年2月8日の出願であって、請求項1に係る発明(以下、同項に係る発明を「本願発明」という。)は、平成17年1月26日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。

「内部に通風路が形成されるケースと、
該ケースを組み付けた後にケース壁面に形成された挿入口から挿入されることにより前記ケースの内部に配設され、通過する空気を冷却または加熱する熱交換器と、
前記熱交換器の通風面を区画するように配され、前記通風路を第1の通風路と第2の通風路とに区画する仕切板とを有し、
前記熱交換器の通風面と前記仕切板との間に前記熱交換器を前記ケースに組み付けるための間隙を有し、
前記仕切板の前記熱交換器側の端部に設けられ、前記熱交換器の組み付け時に前記熱交換器と接触しても該熱交換器を曲げてしまうことのない弾性部材からなり、前記仕切板の端部と前記熱交換器の通風面との間の前記間隙をシールするシール材を有することを特徴とする空調装置。」

2.引用文献
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用した特開平07-237430号公報(以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに次のように記載されている。

「従来の車両用空気調和装置の略示的構成が図4に示されている。空気調和装置10のケーシング12の上流側には内気吸込口13と外気吸込口14が形成され、下流側にはフェイス吹出口20、フート吹出口24及びデフロスト吹出口23が形成されている。
内気吸込口13と外気吸込口14は内外気切換ダンパ15によって切り換えられる。フェイス吹出口20、フート吹出口24は吹出モード切換ダンパ25によって開閉され、デフロスト吹出口23は吹出モード切換ダンパ26によって開閉される。
ケーシング12内にはブロア16及びその下流側にエバポレータ17が、更にその下流側にヒータ19がそれぞれ配設されている。」(第2頁第1欄第30行〜第42行)、

「ブロア16をモータ21により駆動すると、内外気切換ダンパ15を切り換えることによって選択された内気吸込口13又は外気吸込口14から車室内空気又は外気がケーシング12内に吸入され、ブロア16によって付勢された後、エバポレータ17を通過することによって冷却される。
次いで、この空気はエアミックスダンパ18によって分流され、その一部はヒータ19を流過することによって加熱された後、ヒータ19をバイパスした残部の空気と混合して所定温度の調和空気となる。そして、この調和空気は吹出モード切換ダンパ25、26を開閉することによって選択されたフェイス吹出口20、フート吹出口24、デフロスト吹出口23から車室内に吹き出される。」(第2頁第2欄第1行〜第13行)、

「図3には本発明の第2の実施例が示されている。この第2の実施例においては、ケーシング12は仕切9によって左右に仕切られ、運転席側に吹き出される吹出風及び助手席側に吹き出される吹出風の風量、温度、吹出モード、吹出方向は互いに独立して個別に制御しうるようになっている。」(第4頁第5欄第13行〜第18行)。

上記の記載及び図面の記載からみて、引用文献1には、
「内部に通風路が形成されるケーシング12と、
前記ケーシング12の内部に配設され、通過する空気を冷却または加熱するエバポレータ17及びヒータ19と、
前記エバポレータ17及びヒータ19の通風面を区画するように配され、前記通風路を運転席側の通風路と助手席側の通風路とに区画する仕切9とを有することを特徴とする車両用空気調和装置。」
が記載されている。

同じく、原査定の拒絶の理由に引用した特開平03-109121号公報(以下、「引用文献2」という。)には、図面とともに次のように記載されている。

「第2図および第3図に示すように、仕切板10の各端面のうち、蒸発器20と対向する部分以外の各部分には、シール材14が固定されている。このシール材14は、冷凍室3の壁面3aと仕切板10との間のギャップを埋めることにより、各部分空間LS,RS(第1図)の間の冷気の漏れを防止する。このシール材14は、ゴム,スポンジ,独立気泡の発泡剤(たとえばウレタン)などを用いて形成される。第3図示例のシール材14は両爪形の断面を有し、仕切板10に固着されている。また、第4図示のような断面片爪形のシール材14aをビス14bで仕切板10に固定してもよい。」(第4頁左下欄第12行〜右下欄第4行)。

3.対比
本願発明と引用文献1に記載された発明とを対比すると、引用文献1に記載された発明における「ケーシング12」、「エバポレータ17及びヒータ19」、「運転席側の通風路」、「助手席側の通風路」、「仕切9」、「車両用空気調和装置」は、その機能に照らし、本願発明における「ケース」、「熱交換器」、「第1の通風路」、「第2の通風路」、「仕切板」、「空調装置」にそれぞれ相当する。

したがって、上記両者は、
「内部に通風路が形成されるケースと、
前記ケースの内部に配設され、通過する空気を冷却または加熱する熱交換器と、
前記熱交換器の通風面を区画するように配され、前記通風路を第1の通風路と第2の通風路とに区画する仕切板とを有することを特徴とする空調装置。」で一致し、以下の点で相違している。

[相違点1]
本願発明では、熱交換器は、ケースを組み付けた後にケース壁面に形成された挿入口から挿入されるのに対し、引用文献1に記載された発明では、熱交換器は、ケースの内部に配設されるものではあるが、ケースを組み付けた後にケース壁面に形成された挿入口から挿入されるとの限定はない点。

[相違点2]
本願発明では、熱交換器の通風面と仕切板との間に前記熱交換器を前記ケースに組み付けるための間隙を有するのに対し、引用文献1に記載された発明では、そのような間隙を有するとの限定はない点。

[相違点3]
本願発明では、仕切板の熱交換器側の端部に設けられ、前記熱交換器の組み付け時に前記熱交換器と接触しても該熱交換器を曲げてしまうことのない弾性部材からなり、前記仕切板の端部と前記熱交換器の通風面との間の前記間隙をシールするシール材を有するのに対し、引用文献1に記載された発明では、そのようなシール材を有するとの限定はない点。

4.当審の判断
そこで、上記相違点について以下検討する。

[相違点1]について
空調装置において、熱交換器を、ケースを組み付けた後にケース壁面に形成された挿入口から挿入することにより、ケースの内部に配設することは、従来周知の事項である(例えば、実願昭59-44633号(実開昭60-156009号)のマイクロフィルム、実願昭62-160883号(実開平1-63513号)のマイクロフィルム、実願昭62-12294号(実開昭63-121281号)のマイクロフィルム 参照)。
してみると、引用文献1に記載された発明において、熱交換器を、ケースを組み付けた後にケース壁面に形成された挿入口から挿入することは、当業者が容易に想到し得たことである。

[相違点2]について
引用文献1に記載された発明において、上記周知の事項のように、熱交換器を、ケースを組み付けた後にケース壁面に形成された挿入口から挿入するよう構成した場合、熱交換器の挿入時に熱交換器と仕切板とが接触して、薄く変形し易い熱交換器のフィン(コルゲートフィン)が曲がってしまうことのないように、熱交換器の通風面と仕切板との間に、前記熱交換器を前記ケースに組み付けるための間隙を設けることは、単なる設計事項である。

[相違点3]について
引用文献1に記載された発明において、熱交換器の通風面と仕切板との間に前記熱交換器を前記ケースに組み付けるための間隙を設けた場合、各通風路の通風抵抗の違いによってこの間隙を介して一方の通風路を通過する空気が他方の通風路へ、また他方の通風路を通過する空気が一方の通風路へ流入して各通風路を通過する空気の分離性が低下することはその構成から自明の事項である。
また引用文献2には、仕切板10の各端面に弾性部材からなるシール材14を設けて、冷凍室3の壁面3aと仕切板10との間の隙間を埋めて冷気の漏れを防ぐことが記載されている。
しかも、壁面等に形成した開口に挿入物を挿入して組み付けるのに際して、該開口に弾性部材からなるシール材を取り付けた後に、該挿入物を挿入して取り付け、該シール材により両者の間隙をシールすることは、空調装置の分野を含み種々の技術分野において周知の事項である(例えば、実願昭57-38069号(実開昭58-142471号)のマイクロフィルム、実願平2-117870号(実開平4-75200号)のマイクロフィルム、特開平6-280473号公報、特開平6-217439号公報 参照)。
してみると、引用文献1に記載された発明において、仕切板の熱交換器側の端部に弾性部材を設け、前記仕切板の端部と前記熱交換器の通風面との間の前記間隙をシールすること、その際に、熱交換器のフィン(コルゲートフィン)は薄く曲がり易いものであることから、弾性部材を、熱交換器の組み付け時に該熱交換器と接触しても熱交換器を曲げてしまうことのない弾性部材として構成することは、単なる設計事項である。

そして、本願発明が奏する作用、効果は、引用文献1及び引用文献2に記載された発明、並びに上記周知の事項から容易に予測することができたものである。

5.むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、引用文献1及び引用文献2に記載された発明、並びに上記周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-02-08 
結審通知日 2006-02-14 
審決日 2006-02-27 
出願番号 特願平8-22719
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B60H)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 岩本 正義近藤 裕之  
特許庁審判長 水谷 万司
特許庁審判官 櫻井 康平
原 慧
発明の名称 空調装置  
代理人 加藤 大登  
代理人 碓氷 裕彦  
代理人 伊藤 高順  
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