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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06T
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06T
管理番号 1135319
審判番号 不服2003-17907  
総通号数 78 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2000-11-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-09-16 
確定日 2006-04-20 
事件の表示 平成11年特許願第135900号「輪郭に沿うトラッカを自動的に決定するための方法、及び該方法を実施するプログラムを記憶した記憶媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成12年11月30日出願公開、特開2000-331156〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成11年5月17日の出願であって、平成15年6月17日付で拒絶査定がされ、これに対し、同年9月16日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同日付で手続補正がなされたものである。

2.平成15年9月16日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成15年9月16日付の手続補正を却下する。
[理由]
(1)本願補正発明
平成15年9月16日付の手続補正(以下「本件補正」という。)により、特許請求の範囲の請求項1は、
「表示画像中の特定のオブジェクトの輪郭に沿うトラッカを自動的に決定するための方法であって、
前記特定のオブジェクトを内部に含む初期領域を設定し、該初期領域の境界上に複数の初期点を設定するステップであって、前記複数の初期点を設定するステップは、初期点間の距離が所定の閾値以下になるように、新たな初期点を増やすステップをさらに含む、前記設定するステップと、
前記複数の初期点のそれぞれから前記初期領域の内部に向かって画像をスキャンするための目標点を設定するステップと、
前記複数の初期点のそれぞれと前記目標点との間の線分に沿って1以上のトラッカ候補点を輪郭の強度に基づいて選択するステップと、
前記複数の初期点のうちの選択された初期点を起点として、動的計画法を用いてコストを最小とするトラッカ候補点の組み合わせを求めるステップと、
前記求められたトラッカ候補点の組み合わせから、トラッカ間の距離が所定の閾値を超えるように候補点を間引いてトラッカ候補点を決定するステップと
を含む方法。」と補正された。
本件補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「複数の初期点を設定するステップ」について「初期点間の距離が所定の閾値以下になるように、新たな初期点を増やすステップをさらに含む」との限定を付加し、また、「トラッカ候補点の組み合わせを求めるステップ」について「前記求められたトラッカ候補点の組み合わせから、トラッカ間の距離が所定の閾値を超えるように候補点を間引いてトラッカ候補点を決定するステップ」を追加することで限定を加えるものであって、特許法17条の2第4項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成15年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(2)引用例
原審で引用された、特開平6-282652号公報(以下、「引用例」という。)には、図面と共に、以下の(ア)ないし(キ)が記載されている。
(ア)
「本実施例では図2に示すような人物画像を輪郭抽出の対象としている。この人物画像は、まず原画像用メモリー1に記憶される。」(段落【0019】)
(イ)
「ライン間隔は輪郭抽出の細かさに対応しているので、目的に合わせて設定する。」(段落【0024】)
(ウ)
「強エッジ点抽出装置4は、図6に示すようにスキャンライン上の原画像のエッジ強度を計算し、エッジの強い画素の座標を強エッジ座標メモリー5に記録していく。」(段落【0026】)
(エ)
「最も上のスキャンライン上の点を評価するときはA点として図3(a)に示す点Cを用いる。また、最も下のスキャンライン上の点を評価するときはB点として図3(b)に示す点Aを用いる。つまり、常に輪郭モデルは処理領域の分割に用いた端点を両端とする。」(段落【0038】)
(オ)
「すると、次の関数Energyを評価関数として用いることができる。
Energy=Wedge×Edge(xp,yp)-Wcurve×cos(T)
ただし、
Wedge:評価値に寄与するエッジ強度の重み
Edge(x,y):座標(x,y)における画像のエッジ強度
Wcurve:評価値に寄与する輪郭モデル滑らかさの程度の重み
を表す。」(段落【0039】、【0040】)
(カ)
「結局、エネルギー最小化計算部は節点位置メモリーに記憶されていたX座標を読みだし、その点と、その両側で隣接する強エッジ点のX座標についてエネルギーを評価し、最もエネルギー値が小さいX座標で節点位置メモリー7の内容を更新する。」(段落【0042】)
(キ)
「前述の実施例ではスキャンラインをY軸またはX軸に平行な直線としたが、この場合は図16(b)に示すように上部の処理領域については領域の中心点からの放射状の直線を、また、残りの処理領域については領域のひとつの角を中心とした放射状の直線をスキャンラインとしてもよい。」(段落【0046】)

以上の記載及び図面を参照すると、引用例には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「画像の輪郭に沿う節点の位置を自動的に決定するために、輪郭抽出の対象となる原画像(図2)を入力し、輪郭抽出の細かさに対応して設定された間隔で、処理領域(図16(b)上の矩形)の外枠上の点と領域の中心点を結ぶ放射状の直線をスキャンラインとして、スキャンライン上の原画像のエッジ強度を計算し、エッジの強い画素(図16(b)の点『○』)の座標を強エッジ点座標メモリー5に記録し、処理領域の分割に用いた端点(図16(b)の点『●』)を起点として、関数Energyを評価関数としてエネルギーを評価し、最もエネルギー値が小さい節点位置を見つけ、節点位置メモリー7の内容を更新する方法。」

(3)対比
本願補正発明と、引用発明を比較する。
引用発明の「節点」は、本願補正発明の「トラッカ」に相当するので、引用発明の「画像の輪郭に沿う節点の位置を自動的に決定する」ことは、本願補正発明の「画像中の特定のオブジェクトの輪郭に沿うトラッカを自動的に決定する」ことに相当する。
引用発明の「処理領域(図16(b)上の矩形)」は、本願補正発明の「特定のオブジェクトを内部に含む初期領域」に相当し、引用発明の「処理領域の外枠上の点(外枠とスキャンラインの交点)」は、本願補正発明の「複数の初期点」に相当する。
引用発明の「領域の中心点」は、本願補正発明の「目標点」に相当し、引用発明の「スキャンライン上の原画像のエッジ強度を計算し、エッジの強い画素の座標を記録」することは、本願補正発明の「複数の初期点のそれぞれと目標点との間の線分に沿って1以上のトラッカ候補点を輪郭の強度に基づいて選択するステップ」に相当する。
引用発明の「処理領域の分割に用いた端点(図16(b)の点『●』)」は、本願補正発明の「選択された初期点」に相当し、引用発明で「関数Energyを評価関数としてエネルギーを評価」することは、本願補正発明の「動的計画法を用いてコスト」を計算することに相当するので、引用発明の「処理領域の分割に用いた端点を起点として、関数Energyを評価関数としてエネルギーを評価し、最もエネルギー値が小さい節点位置を見つけ、節点位置メモリー7の内容を更新する」ことが、本願補正発明の「前記複数の初期点のうちの選択された初期点を起点として、動的計画法を用いてコストを最小とするトラッカ候補点の組み合わせを求めるステップ」に相当する。
したがって、両者は
「画像中の特定のオブジェクトの輪郭に沿うトラッカを自動的に決定するための方法であって、前記特定のオブジェクトを内部に含む初期領域を設定し、該初期領域の境界上に複数の初期点を設定するステップと、前記複数の初期点のそれぞれから前記初期領域の内部に向かって画像をスキャンするための目標点を設定するステップと、前記複数の初期点のそれぞれと前記目標点との間の線分に沿って1以上のトラッカ候補点を輪郭の強度に基づいて選択するステップと、前記複数の初期点のうちの選択された初期点を起点として、動的計画法を用いてコストを最小とするトラッカ候補点の組み合わせを求めるステップと、を含む方法。」で一致し、以下の点で相違する。

(相違点1)
本願補正発明は「表示画像中の特定のオブジェクトの輪郭に沿うトラッカを自動的に決定するための方法」であるのに対し、引用発明には表示することが記載されていない点。
(相違点2)
本願補正発明は「複数の初期点を設定するステップは、初期点間の距離が所定の閾値以下になるように、新たな初期点を増やすステップをさらに含む」のに対し、引用発明にはこのことが記載されていない点。
(相違点3)
本願補正発明は「求められたトラッカ候補点の組み合わせから、トラッカ間の距離が所定の閾値を超えるように候補点を間引いてトラッカ候補点を決定するステップ」を有するのに対し、引用発明にはこのことが記載されていない点。

(4)判断
(相違点1)について
画像メモリーの内容をディスプレイ装置に出力して表示することは普通に行われており、引用発明において、「原画像用メモリー1」の内容を表示できるようにすることは、当業者が必要に応じて、容易に想到できた事項にすぎない。
(相違点2)について
引用発明には、上記「(2)(イ)」で引用したように、目的とする輪郭抽出の細かさに対応してスキャンラインの間隔を設定することが記載されている。したがって、スキャンラインの間隔を決定する初期点の位置について、「初期点間の距離が所定の閾値以下になるように、新たな初期点を増やすステップをさらに含む」ことは、引用発明から当業者が容易に想到できたものである。
(相違点3)について
特開平8-106527号公報(前置報告書で引用された周知例)には、「ここでいうモデルの詳細度を落とすということは、モデルの近似化を意味する。つまりモデルの持つ頂点数を減らしたり、ポリゴンの面数を減ずることである。」(段落【0003】)、「従来においても、形状の近似化は行われている場合があった。しかしながら、これは、単純に近い距離にある頂点を一つにまとめる処理であって、…」(段落【0004】)と記載されている。つまり、本願出願時に、輪郭モデル上の近い距離にある頂点を間引くことで、モデルを近似化する技術は周知であったと認められる。
したがって、「求められたトラッカ候補点の組み合わせから、トラッカ間の距離が所定の閾値を超えるように候補点を間引いてトラッカ候補点を決定するステップ」を引用発明に付加することは、抽出する輪郭の使用目的に応じて、当業者が容易に想到できたものである。
また、本願補正発明の効果も、引用例から当業者が予測できる範囲のものである。

したがって、本願補正発明は、引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
以上のとおり、本件補正は平成15年改正前特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第4項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について
平成15年9月16日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成14年6月25日付手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。
「表示画像中の特定のオブジェクトの輪郭に沿うトラッカを自動的に決定するための方法であって、
前記特定のオブジェクトを内部に含む初期領域を設定し、該初期領域の境界上に複数の初期点を設定するステップと、
前記複数の初期点のそれぞれから前記初期領域の内部に向かって画像をスキャンするための目標点を設定するステップと、
前記複数の初期点のそれぞれと前記目標点との間の線分に沿って1以上のトラッカ候補点を輪郭の強度に基づいて選択するステップと、
前記複数の初期点のうちの選択された初期点を起点として、動的計画法を用いてコストを最小とするトラッカ候補点の組み合わせを求めるステップと、
を含む方法。」

4.引用例
原査定の拒絶理由に引用された引用例、及び、その記載事項は、前記「2.(2)」に記載したとおりである。

5.対比・判断
本願発明は、前記「2.」で検討した本願補正発明において、構成要件の限定事項を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成要件をさらに限定して記載したものに相当する本願補正発明が、前記「2.(3)」「2.(4)」で対比・判断したとおり、引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

6.むすび
以上のとおり、本願発明は引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本願は、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-11-29 
結審通知日 2005-11-29 
審決日 2005-12-12 
出願番号 特願平11-135900
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06T)
P 1 8・ 575- Z (G06T)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 松浦 功星野 昌幸  
特許庁審判長 杉山 務
特許庁審判官 大野 弘
岡本 俊威
発明の名称 輪郭に沿うトラッカを自動的に決定するための方法、及び該方法を実施するプログラムを記憶した記憶媒体  
代理人 坂口 博  
復代理人 松井 光夫  
復代理人 五十嵐 裕子  
代理人 市位 嘉宏  

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