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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G11B
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G11B
審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 取り消して特許、登録 G11B
管理番号 1135408
審判番号 不服2003-23329  
総通号数 78 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2002-02-08 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-12-01 
確定日 2006-05-16 
事件の表示 特願2000-321761「ディスクのクランピング装置」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 2月 8日出願公開、特開2002- 42398、請求項の数(2)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成12年10月20日(パリ条約による優先権主張2000年7月12日、韓国)の出願であって、平成14年12月16日付け及び平成15年6月18日付けで手続補正がなされたところ、平成15年6月18日付の手続補正は、平成15年8月22日付けの補正の却下の決定により却下され、本願は、同日付けで、平成15年3月10日付けの拒絶理由通知書に記載した理由により拒絶の査定がなされた。
これに対し、平成15年12月1日付けで、平成15年6月18日付の手続補正は却下されるべきものではなく、よって、本願は拒絶されるべきものではないと、拒絶査定に対する不服の審判の請求がされたものである。

2.補正却下の決定
(1)平成15年6月18日付け手続補正書で補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1,2(以下、それぞれ「本願発明1」,「本願発明2」という。)の記載は、次のとおりである。

「【請求項1】 トレーの上部に安着されたディスクをデッキ本体に設けられたターンテーブルローターとデッキ覆いに設けられたクランプとの間に介在されて、クランピングされるように構成されたディスクのクランピング装置において、
前記クランプは、前記ターンテーブルローターの上面に安着された前記ディスクの内側非書き込み面と外側非書き込み面を同時に押えるよう、その内周側にはディスク押え面が、外周側には複数の押え突起が一体に構成され、
前記デッキ本体の内壁後端の一側には、前記トレーが所定の位置に引入れられて停止される際、トレーの後端が下部へ垂下がらないように支承するよう、支持突起が一体に突設され
前記トレーの上面後端の一側には、前記トレーが引入れられて停止される際、
前記クランプに連結されたレバーの後端を上部へ押してクランプを下降動作せしめるよう、複数の傾斜突起が一体に突設され
前記レバーの後端には、前記トレーが引入れられる際、前記複数の傾斜突起に対応されるように接触されるよう、折曲部が下部へ折曲されたことを特徴とするディスクのクランピング装置。
【請求項2】 前記レバーは、前記デッキ覆いの上面一側を支点にシーソ運動をされるよう、デッキ覆いの一側に固定された弾発部材によってその後端下部が弾性支持されていることを特徴とする請求項1に記載のディスクのクランピング装置。」

(2)平成15年8月22日付けの補正却下の決定の理由
補正却下の決定の理由は、概略、以下のとおりである。
「理由1
本願発明1,2のクランプ動作及び構成は不明りょうであり、本願は、特許法第36条第4項若しくは第6項に規定する要件を満たしていない。

理由2
本願発明1,2は、平成15年3月10日付けの拒絶理由通知書に記載された引用文献1乃至3に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであるから、本願は、特許法第29条2項の規定により特許を受けることができない。

したがって、本願は、特許出願の際独立して特許を受けることができない。」

(3)補正却下の決定の理由に対する当審の判断
理由1について
本件発明1における「前記デッキ本体の内壁後端の一側には、前記トレーが所定の位置に引入れられて停止される際、トレーの後端が下部へ垂下がらないように支承するよう、支持突起が一体に突設され、前記トレーの上面後端の一側には、前記トレーが引入れられて停止される際、前記クランプに連結されたレバーの後端を上部へ押してクランプを下降動作せしめるよう、複数の傾斜突起が一体に突設され、前記レバーの後端には、前記トレーが引入れられる際、前記複数の傾斜突起に対応されるように接触されるよう、折曲部が下部へ折曲された」構成は、本願の明細書及び図面に、当業者がその技術的意義を理解することができる程度に記載されており、これを不明りょうということはできない。
また、本願発明2における「レバーは、デッキ覆いの上面一側を支点にシーソ運動をされるよう、デッキ覆いの一側に固定された弾発部材によってその後端下部が弾性支持されている」構成も、本願の明細書及び図面に、当業者がその技術的意義を理解することができる程度に記載されており、これを不明りょうということはできない。本願は、特許法第36条第4項及び第6項の規定を満たしている。

理由2について
平成15年3月10日付の拒絶理由で引用された引用刊行物1乃至3には、以下の事項が記載されている。
刊行物1:実願平2-401246号(実開平3-121545号)のマイクロフィルム
「【0019】
すると、スライド部材2は駆動手段の作動によってプレーヤ本体1内方に引き込まれて行き、その最終段階で移動経路中に位置している圧着アーム9の垂直部9aの下端を先端部2aで押して圧着アーム9をスプリング12に抗して反時計方向に回動させる。
【0020】
その結果、スライド部材2がプレーヤ本体1内に完全に収納された時点で、即ち、演奏位置に達した時点で、即ち、ディスクDを演奏位置に持ち来たした時点で、圧着盤11がディスクDをターンテーブル8上に押圧し保持する。」

刊行物2:特開平7-134855号公報
「【0010】以上のように構成された光ディスク装置について、以下その動作を説明する。まず、トレイ22が図1、図2に示すようにアンローディング位置にあるとき、トレイ22に保持され付勢バネ32によって上方向に付勢されたサブトレイ21に光ディスク1を装着してクローズボタン(図示せず)を押すと駆動モータ26が回転動作を開始し、回転力がピニオンギヤ25から中間ギヤ24を介してラック23に伝達される。ラック23は中間ギヤ24の回転運動を直線運動に変換して、トレイ22を図3に示すローディング位置まで移動させる。このときサブトレイ21の側面に設けられた図1に示すピン21aが筐体31の側面に形成されたガイド溝33に沿って下降すると同時に、クランパ付勢バネ34によって上方向に付勢されたクランパ27を保持したホルダ30がトレイ22に設けられたフック22aで押されることにより下降する。次に駆動モータ26と連結したカム等により、光ピックアップモジュール28を上方向に移動させることで、ターンテーブル29と光ディスク1のセンターホールとが勘合し、さらにクランパ27と勘合して図4に示すようにローディング完了となる。」

刊行物3:実願昭59-82772号(実開昭60-194739号)のマイクロフィルム
「7は円板状のクランパーで、このクランパー7の下面中央には、上記の円錐台形状のクランパー受6と嵌合自在な逆円錐台形状の凹部8が形成され、下面の外周にはクランパー7より大径でディスク1とほぼ同径な円板部9が連設されている。」(明細書第5頁第8行〜同第12行)
「本考案は上述のように、ディスク1の全面に当接自在な円板部9を有するクランパ7を配置したので、ディスク1自体の変形によるフォーカス方向(光軸及びZ軸)の振動、共振を防止するこができる。」(明細書第7頁第13行〜同第17行)

上記刊行物1乃至3は、本願発明1の「デッキ本体の内壁後端の一側には、トレーが所定の位置に引入れられて停止される際、トレーの後端が下部へ垂下がらないように支承するよう、支持突起が一体に突設され、前記トレーの上面後端の一側には、前記トレーが引入れられて停止される際、クランプに連結されたレバーの後端を上部へ押してクランプを下降動作せしめるよう、複数の傾斜突起が一体に突設され、前記レバーの後端には、前記トレーが引入れられる際、前記複数の傾斜突起に対応されるように接触されるよう、折曲部が下部へ折曲された」構成を開示しもしくは示唆するものではない。
そして、本願発明1は前記構成により、「ディスクのピックアップの反対方向(上部方向)へたわめられた不良ディスクを平坦に繰り広げられるようにすることができる」(本願の詳細な説明の【0026】参照)との効果を奏するものである。
したがって、本願発明1は、上記刊行物1乃至3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
また、本願発明2は、本願発明1をさらに限定したものであり、本願発明1について述べた理由と同様の理由により、上記刊行物1乃至3に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(4)補正却下の決定の取消
以上のとおり、本願発明1,2は、特許出願の際独立して特許を受けることのできるものであるので、平成15年6月18日付けの手続補正が却下されるべき理由はない。
したがって、平成15年8月22日付けの補正却下の決定を取り消す。

3.本願発明
平成15年8月22日付けの補正却下の決定は上記のとおり取り消されたので、本願発明1,2は、上記「2.(1)」に記載されたとおりのものである。
そして、本願は、上記「2.(3)」で検討したように、平成15年3月10日付けの拒絶の理由によっては拒絶することはできない。

4.むすび
以上のとおりであるから、本願については、原査定の理由によっては拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2006-04-27 
出願番号 特願2000-321761(P2000-321761)
審決分類 P 1 8・ 537- WY (G11B)
P 1 8・ 121- WY (G11B)
P 1 8・ 536- WY (G11B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 齊藤 健一船越 亮  
特許庁審判長 片岡 栄一
特許庁審判官 小林 秀美
相馬 多美子
発明の名称 ディスクのクランピング装置  
代理人 志賀 正武  

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