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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 C02F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 C02F
管理番号 1135536
審判番号 不服2003-14748  
総通号数 78 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2002-01-15 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-07-31 
確定日 2006-04-27 
事件の表示 特願2000-197082「汚染水浄化装置」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 1月15日出願公開、特開2002- 11484〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯
本願は、平成12年6月29日にした特許出願であって、平成15年6月25日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成15年7月31日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年8月29日付けで手続補正がなされたものである。
2.平成15年8月29日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)について
[補正却下の決定の結論]
平成15年8月29日付けの手続補正を却下する。
[理由]
(1)補正後の請求項1に記載された発明
本件補正により、平成15年6月9日付けで提出された手続補正書により補正された請求項1の「汚染水浄化装置」について、「活性炭吸着による小規模」で「オゾンガス混合および紫外線照射を補助機能として有する」とし、「曝気装置」について「前記曝気装置」とし、「紫外線照射装置」について「前記紫外線照射装置」とし、また、「汚染水浄化速度が2m3 /hr以下であり、前記混合装置で混合するオゾンガスの濃度が25g/Nm3 以下であり」を付加とすることによって、「活性炭吸着による小規模汚染水浄化装置において、揮発性汚染物質を含む汚染水を貯留する汚染水貯留装置と、該揮発性汚染物質を分解させるために、該汚染水貯留装置に貯留された汚染水中にオゾンガスを混合する混合装置と、該揮発性汚染物質の分解を促進するために、オゾンガスを混合された汚染水に紫外線を照射する紫外線照射装置と、紫外線が照射された汚染水中に残存する揮発性汚染物質を曝気用気体中に気化させるために、該照射後汚染水に該曝気用気体を接触させる曝気装置と、該曝気装置から排出した曝気後ガス中の揮発性汚染物質を該曝気後ガスから除去するために、該曝気後ガス中揮発性汚染物質を吸着する活性炭吸着装置と、該曝気装置で処理した処理後水を貯留する処理後水貯留装置とを有し、汚染水浄化速度が2m3 /hr以下であり、前記混合装置で混合するオゾンガスの濃度が25g/Nm3 以下であり、前記混合装置は、混合方式が、前記曝気装置まで汚染水を送水するポンプの役目を果たすターボミキシング方式であり、さらに、前記紫外線照射装置が流れる汚染水に紫外線を照射するようになっていて、前記曝気装置まで送水される汚染水が前記紫外線照射装置を流れるようにし、オゾンガス混合および紫外線照射を補助機能として有することを特徴とする小規模汚染水浄化装置。」と補正された。
そして、上記の補正は、「曝気装置」、「紫外線照射装置」、「汚染水浄化装置」および「オゾンガス」についてそれぞれ限定を付加するものであって、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
(2)そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に適合するか)について以下検討する。
(i)引用文献
(ア)原査定の拒絶の理由において引用文献1として提示された特開平7-241557号公報(以下、「引用文献1」という。)には、汚染水の処理方法とその装置に関し、図面とともに以下の記載がある。
(ア-1)「【0005】しかし、トリクロロエチレン等、あるいは農薬等の有機化合物を含む液中には、溶解性の鉄,マンガン,シリカ,浮遊物質,フミン酸等有機物を含んでいることが多く、活性炭吸着法によるときには、上記成分によって吸着開始直後に活性炭が飽和して有機塩素化合物等の有効な処理が妨げられるという問題がある。
【0006】この問題を解決するため、廃水中にオゾン等の酸化剤を添加し、紫外線を照射して有機塩素化合物等を酸化分解させる紫外線分解処理法が開発された(特開平4-7082号参照)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、この方法によるときには、トリクロロエチレン,テトラクロロエチレン,1,1,1-トリクロロエタン,クロロホルムなどの有機塩素化合物の分解は可能であるが、処理物質の分解のために必要とされる紫外線照射量が処理物質により大きな違いが生ずる。実験によると、例えば有機塩素化合物の初期濃度0.5mg/Lを0.001mg/Lまで低下させるために必要とされる紫外線照射量は、トリクロロエチレンを1とすると、1,1,1-トリクロロエタンは100以上必要であり、特に有機塩素化合物中に、多量の紫外線照射量を必要とする物質を含む場合には、特開平4-7082号に示される紫外線分解処理法によると、非常に大規模な装置となり、その実用性に乏しい可能性がある。」(段落【0005】〜【0007】)、
(ア-2)「【0013】また、本発明による汚染水の処理装置においては、殺菌装置と、浮遊物除去装置と、分解装置と、残存酸化剤除去装置と、酸化剤添加装置とを有し、被処理液中に含まれた有機化合物を酸化分解して被処理液中から除去する汚染水の処理装置であって、殺菌装置は、被処理液中のバクテリヤその他の菌を殺菌する装置であり、浮遊物除去装置は、被処理液中に含まれる浮遊物を濾過,沈殿などにより被処理液中から分離除去する装置であり、分解装置は、紫外線ランプを有し、紫外線ランプは、被処理液中に含まれた有機化合物を酸化剤の存在の下に酸化分解するものであり、残存酸化剤除去装置は、被処理液中に残留する酸化剤を還元剤,活性炭あるいは触媒等を用いて被処理液中から除去するものであり、酸化剤添加装置は、少なくとも殺菌装置と分解装置に酸化剤を供給するものである。
【0014】また、気液接触・吸着装置を有し、気液接触・吸着装置は、有機化合物を分解した後の被処理液を強制的に空気と接触させ、揮発性の有機化合物を水相から気相へとり込み、気相中にとり込まれた有機化合物を活性炭に吸着させるものである。
【0015】また、酸化剤添加装置は、分解装置へ被処理液を供給する管路内で、しかもできるだけ分解装置に近い位置で被処理液中に酸化剤を供給するものである。」(段落【0013】〜【0015】)、
(ア-3)「【0019】殺菌は、被処理液中に酸化剤を添加することによって行う。被処理液に添加する酸化剤には、液状の過酸化水素,次亜塩素酸ソーダ,塩酸など、また気体のオゾンなどを用いる。次亜塩素酸ソーダ,塩酸は、塩素イオンを含み、処理後の2次汚染のおそれがあるので使用しない方が好ましい。オゾンは、気体であり、オゾンの水への溶解度は小さいが、スタティックミキサーなどにより気液接触を行うことは容易であり有効である。しかし、取扱いの点からは、過酸化水素は取扱い易い点で特に適している。」(段落【0019】)、
(ア-4)「【0025】酸化剤を含む被処理液に紫外線が照射されると、活性なヒドロキシラジカルが被処理液中に発生し、該ラジカルが有機化合物等を酸化分解する。尚、この処理を行う紫外線酸化分解装置の水槽には、シリンダー形式あるいはタンク形式のどちらを用いてもよいが、設置スペース及びメンテナンス及び紫外線照射効率の点ではシリンダー形式のものが有利である。また、紫外線ランプは、高圧水銀ランプ,中圧水銀ランプ,低圧水銀ランプのいずれを用いてもよいが、酸化剤に過酸化水素やオゾンを用いる場合には過酸化水素やオゾンを効率よく分解するための波長253.7nmのエネルギーを多く有する低圧水銀ランプ又は中圧水銀ランプを用いるとよい。
【0026】第4工程は、気液接触・吸着処理である。気液接触・吸着処理は、被処理液中に空気を送り込んで被処理液を曝気し、被処理液中に残存する揮発性の未分解物質と空気との気液接触を行わせ、被処理液中の有機塩素化合物等の揮発性有機物を水相から気相に移し、しかる後活性炭で吸着させる処理である。」(段落【0025】〜【0026】)、
(ア-5)「【0049】その結果を図7に示した。5分後0.1mg/L,10分後0.007mg/L,15分後0.003mg/L,20分後0.0011mg/L,25分後0.001mg/L以下で検出限界以下となった。他方、気液接触・吸着装置9内の被処理液に対し、図9のように曝気槽18の底からポンプ19で空気を送り込み、被処理液を曝気し、被処理液中の揮発性成分を泡中にとり込み、これを液上で活性炭層20に吸着させた。水相から気相へ移った1,1,1-トリクロロエタンは、活性炭で吸着された。」(段落【0049】)、
(ア-6)図1には、浮遊物除去処理後でポンプ5を用いて分離装置に送られる汚染水を貯留するタンク4と気液接触後の汚染水を貯留するタンク10を有する汚染水の処理装置が示されている。(図1及び関連説明箇所)、
記載事項(ア-1)〜(ア-6)を本願補正発明の記載に沿って整理すると、引用文献1には、
「ポンプ5を用いて分解装置に送られる揮発性有機化合物を含有する汚染水を貯留するタンク4と、オゾンを水に有効に溶解させるスタティックミキサー等の気液接触装置と、有機化合物を紫外線酸化分解する設置スペースの点で有利なシリンダー形式の紫外線酸化分解装置の水槽と、有機化合物を分解した後の被処理液を強制的に空気と接触させ、揮発性の有機化合物を水相から気相へとり込む曝気槽、気相中にとり込まれた有機化合物を活性炭に吸着させる活性炭層を有し、気液接触後の汚染水を貯留するタンク10を有する汚染水の処理装置」の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。
(イ)原査定の拒絶の理由において周知例として提示された特開平10-230285号公報(以下、「周知例1」という。)には、高速オゾン反応システムに関し、図面とともに以下の記載がある。
(イ-1)「【請求項1】 加圧ポンプを備えて被処理水を供給する被処理水供給系と、所要濃度のオゾンを発生させるオゾン発生手段と、発生したオゾンを被処理水供給系の加圧ポンプ上流側に注入するオゾン注入手段と、供給された被処理水をオゾン反応槽内で加圧状態を保ってオゾン反応処理させるオゾン反応処理手段と、オゾン反応処理された処理水を大気圧に減圧させる減圧手段とを有し、減圧手段を通して処理水を排出させたことを特徴とする高速オゾン反応システム。」(【請求項1】)、
(イ-2)「【請求項5】 オゾン発生手段は、20g/Nm3 級の常用濃度あるいは数十g/Nm3 級ないし百数十g/Nm3 級濃度のオゾンを発生させるオゾン発生器である請求項1記載の高速オゾン反応システム。」(【請求項2】)、
(イ-3)「【0006】一般に、オゾン(O3 )は酸素の同素体で毒性を有し、人肺等にダメージを与える恐れがあるために、大気中に放出されるオゾンは0.01PPM以下のオゾン濃度となるように法規制している。このため、オゾン反応槽1から排出される廃オゾンを大型の廃オゾン分解槽5に案内し、この廃オゾン分解槽5に収容された活性炭で廃オゾンを無害の酸素に代えて大気中に放出している。
【0007】しかしながら、オゾンの分解速度は気中では(半減期が半日〜1日程度で水中での半減期(20〜30分)に較べ長い)小さいため、廃オゾン分解槽5が大型化し、設置面積が増大化する恐れがある。また、廃オゾン量が多いため、廃オゾン分解槽5に収容される活性炭量も多くなり、さらに活性炭を取り換えるために、廃オゾン分解槽5を定期的にメンテナンスする必要があった。また、オゾン処理槽1内にオゾン注入装置2を設置したり、オゾン注入装置2に散気管3を備えているため、オゾン処理槽1の内部構造が複雑化し、オゾン処理槽1の単純化、シンプル化を図ることが困難であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従来のオゾン反応システムは、被処理水へのオゾン吸収効率が低いため、廃オゾン量も多く、大型の廃オゾン分解槽が必要となったり、この廃オゾン分解槽に収容される活性炭量も多く、また定期的なメンテナンスが必要であった。
【0009】また、従来のオゾン反応システムは、被処理水へのオゾン吸収効率が悪いため、オゾン反応速度が遅く、オゾン反応時間の短縮を図ることができず、オゾン反応槽1を含めたシステム全体が大型化し、システムの小型・コンパクト化を図ることが困難であった。さらに、オゾン反応槽1内にオゾン注入装置を設置したり、オゾン注入装置に散気管を備えているため、オゾン反応槽1内の内部構造が複雑化し、メンテナンスに手間隙がかかる恐れがあった。
【0010】本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、被処理水へのオゾン吸収効率を向上させ、オゾン反応速度の増大を図ることができる高速オゾン反応システムを提供することを目的とする。
【0011】本発明の他の目的は、被処理水へのオゾン吸収効率を向上させて反応効率を向上させ、オゾン反応時間を短縮し、システムの小型・コンパクト化を図ることができる高速オゾン反応システムを提供するにある。」(段落【0006】〜【0011】)、
(イ-4)「【0037】オゾン発生器12で発生したオゾンは流量調整弁等の流量調整器13によりオゾン流量が調節されてオゾン注入手段14に案内され、このオゾン注入手段14により被処理水供給系15の供給流路(流入配管)15aに注入される。流量調整器13は制御装置16により作動制御され、注入オゾン量が調整される。被処理水にオゾンを注入するオゾン注入手段14は、加圧ポンプ手段を構成する加圧ポンプ17の吸込側(上流側)に設置される。加圧ポンプ17には渦流ポンプあるいはスクリュポンプ、ギヤポンプが好適に用いられる。」(段落【0037】)、
(イ-5)「【0044】被処理水はオゾン処理槽10の上部あるいは頂部から供給され、このオゾン反応槽10内でオゾン反応処理される。このオゾン反応により、被処理水に混入し、溶解した溶存オゾン(溶解オゾン)が図4に示すように化学反応(酸化反応)に寄与し、水質汚濁物を酸化分解し、被処理水の脱臭、脱色、殺菌や鉄、マンガンなどの溶解無機物の不溶化除去、有機物の分解・低分子化等の処理を行なっている。」(段落【0044】)、
(イ-6)「【0057】この高速オゾン反応システムでは被処理水に注入されたオゾンを加圧ポンプ17でミキシングしつつ加圧してつぶし、この加圧状態を保ってオゾン反応槽10内で被処理水をオゾン反応させることにより、被処理水へのオゾン溶解やオゾン吸収を促進させ、オゾン反応速度を向上させ、オゾン反応時間の短縮を図ることができる。オゾン溶解によりオゾン吸収効率をほぼ100%としてオゾン反応時間を大幅に短縮でき、システムの小型・コンパクト化を図ることができる。オゾン反応時間は、反応速度の増大により従来の10〜20分を約5分に短縮でき、しかも排出される廃オゾンを抑制し、環境への適合が容易となる。」(段落【0057】)、
(イ-7)「【0073】その際、オゾン反応槽45を横置きタイプとして水平方向に設置しても、気体がオゾン反応槽45の槽上部に溜まることなく旋回流で気液接触が促進されるので、オゾン反応を効率よく、迅速に進めることができる。また、オゾン反応槽45内に螺旋状の捩りプレート47を挿入することでオゾン反応距離を充分に確保できるので、均一な気液接触と相俟って圧力条件下で被処理水へのオゾン溶解性を向上させてオゾン反応(酸化反応)を促進させ、有機物分解等を効率よく能率的に行なうことができる一方、廃オゾンの発生を抑制することもできる。」(段落【0073】)、
(ウ)原査定の拒絶の理由において周知例として提示された特開平9-290280号公報(以下、「周知例2」という。)には、オゾン接触槽とその制御方法に関し、図面とともに以下の記載がある。
(ウ-1)「【0003】このような高度経済成長に伴う水源の水質悪化に対処するため、前塩素処理が一般的に採用されているが、前塩素処理を採用した浄水過程で発生する有機塩素化合物であるトリハロメタン(THM)が発ガン性を有していることが知られている。このような水源のカビ臭とか藻臭の消去、及びトリハロメタン等発ガン物質対策として、浄水の操作工程中にオゾン処理、又は該オゾン処理と活性炭処理との複合処理を導入する高度浄水システムが検討されている。
【0004】オゾンガスはそれ自身の持つ強力な酸化力で水中に溶解している溶存性の有害物質を酸化除去する作用があり、近時は上水のみならず下水処理にも採用されている。しかしオゾン処理は塩素処理に比して約2倍のコスト増となるため、オゾンガスの処理効果をより一層高めることが要求され、そのため無数の微細なオゾンガスの気泡を作ることによって水とオゾンガスとの接触効率を上げて、効率良くオゾンガスを水中に溶解吸収させることが必須の要件となっている。」(段落【0003】〜【0004】)、
(ウ-2)「【0025】15はオゾン接触槽11に送り込まれる被処理水20の流入管であり、この流入管15に対する被処理水20の流入部には、加圧渦流ポンプ16と流入水量を調整する可変速器17(インバータ)とが配備されている。図2に拡大して示したように、加圧渦流ポンプ16内にはインペラー部16aが構成されており、更に加圧渦流ポンプ16の前段には被処理水20中に図外のオゾン発生装置からオゾンガスを送り込むためのオゾン注入管18が挿入されている。この加圧渦流ポンプ16は、オゾンガスと被処理水20とを「混合・微細気泡化・圧送」するという三つの機能を有している。」(段落【0025】)、
(ウ-3)「【0054】更に請求項5,6にかかるオゾン接触槽とその制御方法によれば、上記の効果に加えて被処理水に含まれる高濁質成分が凝集剤注入による浮上分離法によって濃縮除去されるので、オゾンの注入率の低減効果と、後段工程である砂濾過池とか活性炭濾過装置等に対する負荷が低減されるという効果が得られる。
【0055】本実施例にかかるオゾン接触槽は従来のUチューブ反応槽のように20〜30メートルの長さに形成しなくてもよいので、装置の大型化を伴わずに被処理水に対するオゾンガスの吸収効率を高めることができる。」(段落【0054】〜【0055】)、
(ii)対比・判断
本願補正発明と引用発明を対比する。
引用発明の、「揮発性有機化合物を含有する汚染水を貯留するタンク」、「オゾンを水に有効に溶解させる気液接触装置」、「有機化合物を紫外線分化する紫外線分解装置」、「有機化合物を分解した後の被処理液を強制的に空気と接触させ、揮発性の有機化合物を水相から気相へとり込む曝気槽」、「気相中にとり込まれた有機化合物を活性炭に吸着させる活性炭層」及び「気液接触後の汚染水を貯留するタンク」が、それぞれ、本願補正発明の「揮発性汚染物質を含む汚染水を貯留する汚染水貯留装置」、「揮発性汚染物質の分解を促進するために、オゾンガスを混合された汚染水に紫外線を照射する紫外線照射装置」、「紫外線が照射された汚染水中に残存する揮発性汚染物質を曝気用気体中に気化させるために、該照射後汚染水に該曝気用気体を接触させる曝気装置」、「曝気装置から排出した曝気後ガス中の揮発性汚染物質を該曝気後ガスから除去するために、該曝気後ガス中揮発性汚染物質を吸着する活性炭吸着装置」及び「曝気装置で処理した処理後水を貯留する処理後水貯留装置」に相当する。また、引用発明の処理装置は、活性炭による吸着を行うから本願補正発明と同様に「活性炭吸着による」ものであり、さらに、引用発明の紫外線分解装置も、曝気槽まで送水される汚染水が流れるようになっていて流れる汚染水に紫外線を照射することは、明らかであるから、両者は、「活性炭吸着による汚染水浄化装置において、揮発性汚染物質を含む汚染水を貯留する汚染水貯留装置と、該揮発性汚染物質を分解させるために、該汚染水貯留装置に貯留された汚染水中にオゾンガスを混合する混合装置と、該揮発性汚染物質の分解を促進するために、オゾンガスを混合された汚染水に紫外線を照射する紫外線照射装置と、紫外線が照射された汚染水中に残存する揮発性汚染物質を曝気用気体中に気化させるために、該照射後汚染水に該曝気用気体を接触させる曝気装置と、該曝気装置から排出した曝気後ガス中の揮発性汚染物質を該曝気後ガスから除去するために、該曝気後ガス中揮発性汚染物質を吸着する活性炭吸着装置と、該曝気装置で処理した処理後水を貯留する処理後水貯留装置とを有する汚染水浄化装置。」で一致し、以下の点で相違する。
(a)本願補正発明では汚染水浄化装置が、小規模で汚染水浄化速度が2m3 /hr以下であり、前記混合装置で混合するオゾンガスの濃度が25g/Nm3 以下であるのに対して、引用発明では装置の規模、汚染水浄化速度及びオゾンガス濃度については記載のない点。
(b)本願補正発明では「混合装置は、混合方式が、前記曝気装置まで汚染水を送水するポンプの役目を果たすターボミキシング方式であ」るのに対して、引用発明では、「スタティックミキサー等の気液接触装置」である点。
(c)本願補正発明では「オゾンガス混合および紫外線照射を補助機能として有する」ものであるのに対して、引用発明では、紫外線分解と活性炭吸着のどちらの処理機能を主とするか、補助とするか、については特に記載のない点。
そこで、上記の相違点について検討する。
(相違点(a)について)
審判請求書によれば、本願補正発明において小規模であることは具体的に「汚染水浄化速度が2m3 /hr以下であり、前記混合装置で混合するオゾンガスの濃度が25g/Nm3 以下である」特定事項によるものであるが、まず、オゾンガス濃度については、上記記載事項(イ-2)にも記載されるように、20g/Nm3 級の常用濃度を含むものであり、特に小規模と認めることはできず、汚染水浄化速度についても、例えば特開平11-276859号公報の段落【0039】にも、有機塩素系溶剤の分解方法においてオゾンガス濃度12〜60mg/L(12〜60g/m3)で被処理液の流量を5L/min(0.3m3/hr)であることが記載されるから、これら数値限定が臨界的意義を有するものとは認められず、当業者であれば引用発明に適宜適用しうる程度の操業条件にすぎないものである。
(相違点(b)について)
引用発明においても「設置スペースの点で有利なシリンダー形式の紫外線酸化分解装置の水槽」と「オゾンを水に有効に溶解させるスタティックミキサー等の気液接触装置」を採用しており、記載事項(イ-6)にもあるように、オゾンを渦流ポンプでミキシングしつつ加圧してつぶし、オゾン反応時間を大幅に短縮でき、システムの小型・コンパクト化を図ることができることや同(イ-7)にも螺旋状の捻りプレートの挿入により有機物分解等を効率よく行うことができること及び記載事項(ウ-2)に「加圧渦流ポンプ16は、オゾンガスと被処理水20とを「混合・微細気泡化・圧送」するという三つの機能を有している。」ことが明記されているので、これら周知技術としてあげた文献の記載事項から、引用発明におけるスタティックミキサーに加えて本願補正発明の加圧渦流ポンプによる「ターボミキシング方式」を追加することは当業者であれば格別の創意なくなし得る事項である。そして、該加圧渦流ポンプにより後工程の気液接触・吸着装置まで送水することは単なる設計事項の限定にすぎないものである。
(相違点(c)について)
引用発明においても活性炭層を設け気相に移った未分解の揮発性有機物を吸着することは、明記され、記載事項(ウ-3)にもあるように加圧渦流ポンプによる溶解吸収効率の向上により活性炭濾過装置に対する負荷の低減が当然得られているものと認められるので、引用発明における紫外線分解による処理のコンパクト化に併せて補助機能と称して有することは当業者であれば容易になし得る事項にすぎない。
そして、本願補正発明によって得られる効果も格別のものとすることができない。
したがって、本願補正発明は、上記引用発明及び上記周知例1、2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
以上のとおりであるから、本願補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
そうすると、本件補正は、特許法第17条の2の第5項で準用する同法第126条第4項の規定に違反してなされたものであるから、同補正は、特許法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
(3)むすび
上記(2)の理由により、本件補正は、特許法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
3.本願発明について
平成15年8月29日付けで提出された手続補正書によりなされた補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。」は平成15年6月9日付けで提出された手続補正書により補正された本願明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。
「揮発性汚染物質を含む汚染水を貯留する汚染水貯留装置と、該揮発性汚染物質を分解させるために、該汚染水貯留装置に貯留された汚染水中にオゾンガスを混合する混合装置と、該揮発性汚染物質の分解を促進するために、オゾンガスを混合された汚染水に紫外線を照射する紫外線照射装置と、紫外線が照射された汚染水中に残存する揮発性汚染物質を曝気用気体中に気化させるために、該照射後汚染水に該曝気用気体を接触させる曝気装置と、該曝気装置から排出した曝気後ガス中の揮発性汚染物質を該曝気後ガスから除去するために、該曝気後ガス中揮発性汚染物質を吸着する活性炭吸着装置と、該曝気装置で処理した処理後水を貯留する処理後水貯留装置とを有する汚染水浄化装置において、前記混合装置は、混合方式が、曝気装置まで汚染水を送水するポンプの役目を果たすターボミキシング方式であり、さらに、紫外線照射装置が流れる汚染水に紫外線を照射するようになっていて、曝気装置まで送水される汚染水が紫外線照射装置を流れるようにしたことを特徴とする汚染水浄化装置。」
4.引用文献
原査定の拒絶の理由において提示した引用文献1、周知例1、2及びそれらの記載事項は上記「2.(2)(i)(ア)」、「2.(2)(i)(イ)」、「2.(2)(i)(ウ)」に記載したとおりである。
5.対比・判断
本願発明は、上記「2.(2)(ii)」で検討した本願補正発明からみると、「曝気装置」、「紫外線照射装置」、「汚染水浄化装置」および「オゾンガス」について、それぞれ限定事項を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の限定事項を付加したものである本願補正発明が上記「2.(2)(ii)」で述べたとおり引用発明及び上記の周知例1,2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明及び上記周知例1、2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
したがって、本願発明も特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
6.審判請求人の主張について
審判請求人は、審判請求書の平成15年8月29日付け手続補正書において「本発明において、オゾンガス混合および紫外線照射は補助機能であり、オゾンガスの濃度が25g/Nm3 以下と低いのですが、それでも活性炭の寿命を延ばす点では有効です。また、オゾンガスの濃度が低いから、残留オゾンすなわち廃オゾンの還元処理(特開平10-230285号公報参照)が不要です。」と主張するが、本願明細書段落【0023】には、「また
、混合装置20で混合されるオゾンガス(後述)が曝気装置40から排出した曝気後ガス中に含まれてくるので、オゾンガス活性炭吸着装置50の吸着部52は、オゾンガス分解物質を有しており、該オゾンガスを吸着・分解して該曝気後ガスから除去する。」と明記されており、事実と異なる主張である。
そして、「しかし、引用文献1は、本願明細書の公知技術の欄に記載した非活性炭法すなわち化学的分解法に属する技術であります。すなわち、引用文献1では、過酸化水素水を使用しており、これは本願明細書の公知技術の欄に記載した非活性炭法における特開平2-184393号公報に記載の方法と範疇を同じくします。この技術は、高価な過酸化水素水を使うので、本発明が避けるものです。
したがって、引用文献1で、活性炭による吸着工程が含められているとしても、それは化学的分解処理の後に残留する揮発性有機物を吸着させる点で補助的なものであります。このため、本発明(補正後の請求項1)に係る発明と引用文献1に記載された発明とは、発明を特定する事項に差異があることが明らかです。」という主張についても、本願補正発明の「曝気装置から排出した曝気後ガス中の揮発性汚染物質を該曝気後ガスから除去するために、該曝気後ガス中揮発性汚染物質を吸着する活性炭吸着装置」と構成上異なるものでなく、単に、引用文献1の吸着装置が補助的であるという独自の見解に基づく主張である。
さらに、「ターボミキシング方式でオゾン混合、紫外線照射を介して曝気処理まで一気に送水することにより、オゾンガス混合および紫外線照射を補助機能として取り入れ、活性炭の寿命を延ばす」という技術を、引用された従来技術に導入する方向に当業者の心が動かされるものではないといえます。」という主張についても「一気に」という発明の構成に記載のない事項に基づくものであって、採用することができない。
7.むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、引用発明及び周知例1、2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-02-22 
結審通知日 2006-02-28 
審決日 2006-03-13 
出願番号 特願2000-197082(P2000-197082)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (C02F)
P 1 8・ 121- Z (C02F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小久保 勝伊  
特許庁審判長 松本 貢
特許庁審判官 野田 直人
増田 亮子
発明の名称 汚染水浄化装置  
代理人 鴨田 哲彰  
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