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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04M 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 H04M |
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管理番号 | 1135779 |
審判番号 | 不服2004-3026 |
総通号数 | 78 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1996-03-22 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2004-02-16 |
確定日 | 2006-05-01 |
事件の表示 | 平成 6年特許願第232329号「通信端末装置」拒絶査定不服審判事件〔平成 8年 3月22日出願公開、特開平 8- 79340〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成6年8月31日の出願であって、平成16年1月13日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年2月16日に拒絶査定に対する審判請求がなされ、その後同年3月12日付けで手続補正がなされたものである。 2.平成16年3月12日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成16年3月12日付けの手続補正を却下する。 (1)補正の目的の適否について 平成16年3月12日付けの手続補正の目的が特許法第17条の2第4項の規定に適合するか否かを検討する。 上記本件手続補正の請求項1についての補正内容は、 「装置本体と、 上記装置本体に設けられ、当該装置本体の内部回路に電源を投入し、当該内部回路への電源の供給を切るために操作される電源キーを含む各種操作キーと、 上記装置本体に開閉自在に取り付けられ、当該装置本体に対する閉状態のときには上記各種操作キーのうち特定操作キー以外の上記電源キーを含む上記操作キーの操作を無効とするキーロツク状態にし、上記装置本体に対する開状態のときには上記特定操作キー以外の上記電源キーを含む上記操作キーのキーロツク状態を解除するアームマイクと、 上記電源キーの操作に応じた電源投入後、所定期間の間に所定のキー操作がなかつた場合、上記電源を自動的に切断するように制御する制御手段と を具えることを特徴とする通信端末装置。」を、 「装置本体と、 上記装置本体に設けられた各種操作キーと、 上記装置本体に開閉自在に取り付けられたアームマイクと、 上記各種操作キーのうちの特定操作キーの操作に応じて、上記装置本体に対して上記アームマイクが閉状態のときには上記各種操作キーのうち上記特定操作キー以外の操作キーの操作を無効とするキーロツク状態にし、かつ上記装置本体に対して上記アームマイクが開状態のときには上記操作キーに対する上記キーロツク状態を解除するように設定すると共に、上記装置本体の内部回路に対する電源投入後、所定期間の間に所定のキー操作がなかつた場合、上記電源を自動的に切断するように制御する制御手段と を具えることを特徴とする通信端末装置。」 に補正しようとするものであるが、補正前の「上記装置本体に設けられ、当該装置本体の内部回路に電源を投入し、当該内部回路への電源の供給を切るために操作される電源キーを含む各種操作キー」を、補正後は「上記装置本体に設けられた各種操作キー」とし、「当該装置本体の内部回路に電源を投入し、当該内部回路への電源の供給を切るために操作される電源キーを含む」との限定を省くものである。 よって、上記補正後の請求項1に係る発明は、上記補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項を限定して特許請求の範囲の減縮をしたものとは認められないから、特許法第17条の2第4項第2号の規定に適合しない。 また、上記補正が、特許法第17条の2第4項第1号の請求項の削除、第3号の誤記の訂正、第4号の明りょうでない記載の釈明に該当するものとも認められない。 (2)むすび よって、平成16年3月12日付けの手続補正は、特許法第17条の2第4項に違反するものであり、特許法第159条第1項で準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 3.補正却下の決定を踏まえた検討 (1)本願発明 平成16年3月12日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成15年12月16日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの次のものと認める。(以下、「本願発明」という。) 「装置本体と、 上記装置本体に設けられ、当該装置本体の内部回路に電源を投入し、当該内部回路への電源の供給を切るために操作される電源キーを含む各種操作キーと、 上記装置本体に開閉自在に取り付けられ、当該装置本体に対する閉状態のときには上記各種操作キーのうち特定操作キー以外の上記電源キーを含む上記操作キーの操作を無効とするキーロツク状態にし、上記装置本体に対する開状態のときには上記特定操作キー以外の上記電源キーを含む上記操作キーのキーロツク状態を解除するアームマイクと、 上記電源キーの操作に応じた電源投入後、所定期間の間に所定のキー操作がなかつた場合、上記電源を自動的に切断するように制御する制御手段と を具えることを特徴とする通信端末装置。」 (2)引用発明 (あ)引用発明1 原査定の拒絶の理由に引用された特開平2-44843号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。 a.「本発明は、一般的に携帯型の電話装置に関し、さらに詳しくは、機能を制御するためのスイッチまたは同様の部材および電話番号をダイヤルするためのキーパッドを使用した携帯型無線電話機に関する。」(第2頁右下欄第1〜5行) b.「セルラー無線電話システムに利用する携帯型無線電話機を第1図に示す。この携帯型機器は、容易に理解できるとおり、本体部102とフリップ部104の2つの部分から構成される。第1図は、「開いた」第2の位置にあるフリップ部を示し、その結果、この携帯型機器の使用者は、受話口106を介して聴取し、マイクロホン107に向かって話すことができる。ダイヤルすなわちキーパッド110は、電話機として周知の1から0、#および*と番号をつけられた複数のボタンさらに「送話」、「終了」、「入/切」のような機能ボタンおよびメモリ呼び出しに使用するその他のボタンによって構成される。」(第3頁左下欄第14行〜同右下欄第6行) c.「スレーブ・マイクロプロセッサ402は、またボタン110′のキーパッド・マトリックスにも接続され、このボタンによって携帯型無線電話機の使用者は電話番号の入力(ダイヤル)、電話番号情報の記憶と呼出、およびその他の無線電話機の機能(電話呼び出しの開始等)を実行することができる。本発明の好適実施例では、マトリックス110′のキーの1つ408は、電源をオン/オフする機能に特に使用される。電源のオン/オフは、一時的にスイッチ(キー408による)を閉じてアースし、オン/オフ回路を動作させることによって行われる。」(第4頁左下欄第12行〜同右下欄第4行) d.「したがって、第6図の手順は、段階602における、フック・スイッチ306の状態の変化またはマイクロコンピュータ・システムを動作させるためのキーパッド110からのキーの接触による割り込みで開始される。フリップ部が開いているか閉じているかの判定を段階604で行う。もしフリップ部が開いている場合、次にどのキーが接触しているかを判定するために段階606でキーパッドを読む。もし段階608でキーが押されると、このキーで指定された機能または文字を段階610で動作させる。もしキーパッド110のキーが押されていなければ、動作を行わず、マイクロコンピュータ・システムは、段階612で示すように、送受信機、表示部、およびその他の内部処理を制御する通常の機能を再び始める。もしフリップ部が開いていないと判定されると(604において)、どのキーパッドのキーが押されても所定外のものであると判断され、段階604の判定ブロックから直接通常の内部処理機能ブロック612に進み、このキーパッドの操作は無視される。」(第5頁右下欄第7行〜第6頁左上欄第7行) 上記摘記事項a.記載の「携帯型無線電話機」は、「通信端末装置」の一種であるといえる。 上記摘記事項c.記載の「キー408」は、電源のオン/オフを行うものであるから、「電源キー」といえる。 上記摘記事項b.とc.の記載から明らかなように、電源のオン/オフを行う「機能ボタン」と「複数のボタン」によって構成される「キーパッド110」は、第1図の記載からも明らかなように、本体部に設けられていることから、「各種操作キー」といえる。 よって、上記摘記事項a.〜d.の記載及び図面ならびにこの分野における技術常識を考慮すると、引用例1には、次の発明が記載されているものと認められる。(以下、「引用発明1」という。) 「本体部102と、 上記本体部に設けられ、当該本体部の内部回路に電源を投入し、当該内部回路への電源の供給を切るために操作される電源キーを含む各種操作キーと、 上記本体部に開閉自在に取り付けられ、当該本体部に対する閉状態のときには上記電源キーを含む上記各種操作キーの操作を無効とするキーロツク状態にし、上記本体部に対する開状態のときには上記電源キーを含む上記各種操作キーのキーロツク状態を解除するフリップ部104と、 を具えることを特徴とする通信端末装置。」 (い)引用発明2 原査定の拒絶の理由に引用された特開平3-96021号公報(以下、「引用例2」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。 e.「マイクロプロセッサを備え、該マイクロプロセッサが電源の切断を行い得るセルラー無線電話機において、電源投入後の所定の時間、キーパッドから入力されるキー情報を監視し、前記所定の時間内にキー情報が入力されない場合、電源の切断を行うことを特徴とするセルラー無線電話機。」(第1頁第5〜11行) f.「この実施例において、マイクロプロセッサ2は、公知の通信制御のために用いられると共に、本発明により、電源スイッチ4により電源が投入された後キーパット1から入力されるキー情報を監視し、所定の時間内にキー情報あるいは正しいパスワードが入力されない場合、電源を切断する動作を行う。」(第2頁右下欄第7〜13行) 上記摘記事項e.記載の「セルラー無線電話機」は、「通信端末装置」の一種であるといえる。 上記摘記事項f.記載の「マイクロプロセッサ2」は、「制御手段」の一種であるといえる。 よって、上記摘記事項e.〜f.の記載及び図面ならびにこの分野における技術常識を考慮すると、引用例2には、次の発明が記載されているものと認められる。(以下、「引用発明2」という。) 「電源スイッチの操作に応じた電源投入後、所定期間の間に所定のキー操作がなかつた場合、電源を自動的に切断するように制御する制御手段を具えることを特徴とする通信端末装置。」 (3)対比 引用発明1における「本体部102」は、本願発明における「装置本体」に相当し、本願発明の「アームマイク」と引用発明1の「フリップ部104」とは、両者とも、開閉自在な「開閉部材」である点で一致する。 したがって、両者は、 「装置本体と、 上記装置本体に設けられ、当該装置本体の内部回路に電源を投入し、当該内部回路への電源の供給を切るために操作される電源キーを含む各種操作キーと、 上記装置本体に開閉自在に取り付けられ、当該装置本体に対する閉状態のときには上記電源キーを含む上記各種操作キーの操作を無効とするキーロツク状態にし、上記装置本体に対する開状態のときには上記電源キーを含む上記各種操作キーのキーロツク状態を解除する開閉部材を具えることを特徴とする通信端末装置。」 である点で一致し、次の点で相違する。 <相違点1> 「キーロック状態」にする対象であって、「キーロック状態を解除する」対象となる「上記電源キーを含む上記操作キー」が、本願発明は、「上記各種操作キーのうち特定操作キー以外の」ものであるのに対し、引用発明1は、そのようになっていない点。 <相違点2> 「開閉部材」について、本願発明は、「アームマイク」であるのに対し、引用発明1は、「フリップ部」である点。 <相違点3> 本願発明には、「上記電源キーの操作に応じた電源投入後、所定期間の間に所定のキー操作がなかつた場合、上記電源を自動的に切断するように制御する制御手段」を具えているのに対し、引用発明1には、そのような手段を具えていない点。 (4)判断 上記相違点1について検討する。 特開平2-134926号公報に記載されているように、複数のキーを具えた通信端末装置において、一部のキー(キーボード31)のみをキーロック状態とキーロック状態を解除する状態にし、それ以外のキー(押しボタン32やプッシュ・トゥ・トーク(PTT)スイッチ34)を、該一部のキーの状態にかかわらず、キーロック状態にしないように構成することは、周知技術である。 また、本願発明の「特定操作キー」は、常にキーロック状態とならないキーに過ぎないから、上記周知技術における上記それ以外のキーと何ら違いはない。 したがって、引用発明1も上記周知技術と同じく複数のキーを具えていることから、該複数のキーである各種操作キーのうちのいずれかのキーを上記周知技術のように、一部のキーのキーロック状態か否かにかかわらず、キーロック状態にしないようにすることは、当業者が適宜なし得ることと認められる。 上記相違点2について検討する。 通信端末装置において、装置本体に開閉自在に取り付けられたアームマイクは周知技術である(必要とあらば、実願平4-51344号(実開平6-9242号)のCD-ROM、実願平2-104043号(実開平4-61950号)のマイクロフィルム参照)。 引用発明1のフリップ部と、周知技術であるアームマイクは、ともに、マイクロホンを具える開閉部材である点で一致するから、引用発明1のフリップ部をアームマイクとすることは、当業者が容易になし得ることと認められる。 上記相違点3について検討する。 引用発明1と引用発明2は通信端末装置という技術分野を共通とするものであるから、引用発明2を引用発明1に適用して相違点3に係る本願発明の構成を得ることは当業者が容易に想到し得ることである。 また、本願発明の構成によってもたらされる効果も、引用発明1,2及び周知技術から当業者ならば容易に予測することができる程度のものであって、格別のものとはいえない。 (5)むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明1,2及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2006-02-27 |
結審通知日 | 2006-03-03 |
審決日 | 2006-03-14 |
出願番号 | 特願平6-232329 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(H04M)
P 1 8・ 572- Z (H04M) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 梶尾 誠哉 |
特許庁審判長 |
廣岡 浩平 |
特許庁審判官 |
小林 紀和 宮下 誠 |
発明の名称 | 通信端末装置 |
代理人 | 田辺 恵基 |