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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06K
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06K
管理番号 1135817
審判番号 不服2004-57  
総通号数 78 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1997-06-20 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-01-05 
確定日 2006-05-12 
事件の表示 平成 7年特許願第320066号「表領域文字認識方法」拒絶査定不服審判事件〔平成 9年 6月20日出願公開、特開平 9-161007〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成7年12月8日の出願であって,平成15年11月21日付で拒絶査定がされ,これに対し,平成16年1月5日に拒絶査定不服審判がされるとともに,同年2月4日付で手続補正がなされたものである。

第2 平成16年2月4日付の手続補正についての補正却下の決定
1 補正却下の決定の結論
平成16年2月4日付の手続補正を却下する。

2 理由
(1)補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「【請求項1】表領域の罫線によって囲まれた枠の内部の文字を、該枠内の黒連結の矩形を抽出することで切り出して認識する方法であって、
表領域の画像より主走査方向及び副走査方向の一定値以上の長さの黒ランを抽出して、主走査方向及び副走査方向の罫線の矩形を抽出する罫線矩形抽出ステップと、
表領域の罫線によって囲まれる枠を、前記罫線矩形抽出ステップにより抽出された罫線の矩形の外側の座標を用いて認識する枠認識ステップと、
表領域の画像より、前記罫線矩形抽出ステップにより抽出された黒ランの情報を参照して、少なくとも前記枠認識ステップで認識された枠の領域にある罫線の黒画素を除去した画像を生成する罫線除去ステップと、
前記罫線除去ステップにより生成された画像より、前記枠認識ステップで認識された枠の領域の黒連結の外接矩形を抽出する黒連結外接矩形抽出ステップと、
前記黒連結外接矩形抽出ステップにより抽出された黒連結の外接矩形を用いて文字を切り出し認識する文字切り出し認識ステップとを有することを特徴とする表領域文字認識方法。」と補正された。

上記補正は,補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「罫線矩形抽出ステップ」「枠認識ステップ」及び「罫線除去ステップ」について限定を付加するものであって,特許法17条の2第4項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで,本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下,「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法17条の2第5項において準用する同法126条5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(2)引用文献
原査定の拒絶の理由に引用された,本願の出願前である平成3年7月26日に公開された特開平3-172984号公報(以下,「引用例」という。)には,次の事項が開示されている。
ア 「本発明の目的は、文書画像が傾いて人力された場合においても、表中の文字を正しく切り出し認識することが可能な表処理方法を提供することである。
〔課題を解決するための手段〕
本発明の表処理方法は、表領域において主走査方向及び副走査方向の罫線を包含する矩形を抽出し、罫線によって囲まれる枠を罫線の矩形の外側(枠内より見て)の座標を用いて認識し、枠内の黒連結の外接矩形を求め、枠に接している外接矩形を除去し、残った外接矩形を用いて枠内の文字を切り出すことを特徴とするものである。」(2ページ左上欄7〜18行)

イ 「他方、罫線の矩形の外側の座標を用いるため、認識された枠の内部に、枠を構成する罫線の一部が含まれる。しかし、枠内の黒連結の外接矩形の中で枠に接触したものを排除することにより、そのような罫線の線分部分を除去できる。」(2ページ右上欄7〜11行)

ウ 「主走査方向線分抽出部15において、表領域イメージに対して、主走査方向に連結した黒画素を追跡して主走査方向の罫線を囲む矩形を抽出し、その始点座標(Xs,Ys)及び終点座標(Xe,Ye)を主走査方向線分座標メモリ16に格納する(第5図参照、処理ステップ33)。
副走査方向線分抽出部17において、表領域イメージに対し、同様に副走査方向の罫線の矩形を抽出し、その始終点座標を副走査方向線分座標メモリ18に格納する(処理ステップ34)。
次に枠認識部19において、主走査方向罫線と副走査方向罫線の組合せにより枠の認識を行い、この枠の例えば対角頂点の座標を枠座標メモリ20に格納する(ステップ35)。この際、前述の如く、枠を構成する罫線の矩形の外側の座標(上辺の罫線では上側、下辺の罫線では下側、左辺の罫線では左側、右辺の罫線では下側の座標)を用いて、枠の対角頂点の座標を求める。このようにして、第3図にハツチング領域として示したような枠の領域が認識される。」(2ページ左下欄7行〜同ページ右下欄6行)

エ 「次に枠領域抽出部21において、枠座標に従って表領域イメージより枠内のイメージを切り出し、それを枠内イメージメモリ22に格納する(処理ステップ36)。
黒連結外接矩形抽出部23において、枠内イメージより黒連結の外接矩形を抽出し、その座標を外接矩形メモリ24に格納する(処理ステップ37)。
行切出し部25において、抽出された黒連結の外接矩形の座標と枠の座標との比較により、外接矩形と枠との接触を調べ、枠に接した黒連結外接矩形を枠を構成する罫線の一部であるとみなし除去する(処理ステップ38)。そして、残った枠内の黒連結外接矩形について、文字サイズの推定、統合を行って枠内の文字行(文字素を構成する外接矩形の統合矩形)を生成し、また、その必要な修正または削除を行い、最終的な文字行のイメージを枠内イメージメモリ22より切り出して行イメージメモリ26に格納する(処理ステップ39,40,41,42)。
次に文字切出し・認識部27において、文字行イメージより文字を切出して認識する(処理ステップ44)。」(2ページ右下欄7行〜3ページ左上欄9行)

以上の記載事項によると、引用例には、
「表中の文字を正しく切り出し認識する表処理方法であって、表領域イメージに対して、主走査方向に連結した黒画素を追跡して主走査方向の罫線を囲む矩形を抽出するステップと、同様に表領域イメージに対し副走査方向の罫線の矩形を抽出するステップと、枠を構成する罫線の矩形の外側の座標を用いて、枠の領域を認識するステップと、枠内のイメージを切り出し、枠内イメージより黒連結の外接矩形を抽出するステップと、前記外接矩形と枠との接触を調べ、枠に接した黒連結外接矩形を枠を構成する罫線の一部であるとみなし除去するステップと、残った枠内の黒連結外接矩形について、文字素を構成する外接矩形の統合矩形である文字行のイメージを生成するステップと、前記文字行のイメージより文字を切出して認識するステップとを備えた表処理方法」の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

(3)対比
本願補正発明と引用発明を対比する。
引用発明に記載の「表処理方法」は、表領域の罫線によって囲まれた枠の中の文字を黒連結の外接矩形を抽出することで切り出して認識するものであるので、本願補正発明の「表領域文字認識方法」に相当する。
引用発明の「表領域イメージ」は、本願補正発明の「表領域の画像」に相当する。
引用発明の「表領域イメージに対して、主走査方向に連結した黒画素を追跡して主走査方向の罫線を囲む矩形を抽出するステップと、同様に表領域イメージに対し副走査方向の罫線の矩形を抽出するステップ」は、本願補正発明の「表領域の画像より、主走査方向及び副走査方向の罫線の矩形を抽出する罫線矩形抽出ステップ」に相当する。
そして、引用発明の「枠を構成する罫線の矩形の外側の座標を用いて、枠の領域を認識するステップ」は、本願補正発明の「表領域の罫線によって囲まれる枠を、前記罫線矩形抽出ステップにより抽出された罫線の矩形の外側の座標を用いて認識する枠認識ステップ」に相当する。
引用発明の「枠内のイメージを切り出し、枠内イメージより黒連結の外接矩形を抽出するステップと、前記外接矩形と枠との接触を調べ、枠に接した黒連結外接矩形を枠を構成する罫線の一部であるとみなし除去するステップ」は、表領域の画像から切り出された、枠認識ステップで認識された枠の領域にある黒連結外接矩形のうち、枠と接触する当該黒連結外接矩形を除去することにより、罫線の一部を除去するものである。したがって、本願補正発明の「表領域の画像より、少なくとも前記枠認識ステップで認識された枠の領域にある罫線の黒画素を除去した画像を生成する罫線除去ステップ」は引用発明に示されている。
また、引用発明の「残った枠内の黒連結外接矩形について、文字素を構成する外接矩形の統合矩形である文字行のイメージを生成するステップ」は、罫線除去ステップで残った枠の領域内の黒連結外接矩形を用いて、新たな外接矩形である文字行のイメージを生成しているので、本願補正発明の「前記罫線除去ステップにより生成された画像より、前記枠認識ステップで認識された枠の領域の黒連結の外接矩形を抽出する黒連結外接矩形抽出ステップ」は引用発明に示されている。
引用発明の「文字行のイメージより文字を切出して認識するステップ」は、本願補正発明の「前記黒連結外接矩形抽出ステップにより抽出された黒連結の外接矩形を用いて文字を切り出し認識する文字切り出し認識ステップ」に相当する。

以上を踏まえると,本願補正発明と引用発明とは,次の一致点及び後記する相違点が認められる。
【一致点】表領域の罫線によって囲まれた枠の内部の文字を、該枠内の黒連結の矩形を抽出することで切り出して認識する方法であって、表領域の画像より、主走査方向及び副走査方向の罫線の矩形を抽出する罫線矩形抽出ステップと、表領域の罫線によって囲まれる枠を、前記罫線矩形抽出ステップにより抽出された罫線の矩形の外側の座標を用いて認識する枠認識ステップと、表領域の画像より、少なくとも前記枠認識ステップで認識された枠の領域にある罫線の黒画素を除去した画像を生成する罫線除去ステップと、前記罫線除去ステップにより生成された画像より、前記枠認識ステップで認識された枠の領域の黒連結の外接矩形を抽出する黒連結外接矩形抽出ステップと、前記黒連結外接矩形抽出ステップにより抽出された黒連結の外接矩形を用いて文字を切り出し認識する文字切り出し認識ステップとを有することを特徴とする表領域文字認識方法。

【相違点1】罫線矩形抽出ステップにおいて、本願補正発明は、主走査方向及び副走査方向の一定値以上の長さの黒ランを抽出することにより、罫線を抽出するのに対し、引用発明は、主走査方向及び副走査方向に連結した黒画素を追跡することは記載されているが、その結果から具体的にどのように罫線を抽出しているのか明記されていない点。

【相違点2】罫線除去ステップにおいて、本願補正発明は、前記罫線矩形抽出ステップにより抽出された黒ランの情報を参照して、枠の領域にある罫線の黒画素を除去するのに対し、引用発明は、枠と接触する黒連結外接矩形を除去することにより、罫線を除去する点。

(4)相違点についての判断
【相違点1】について
2値画像において罫線は、黒画素が長く連続したものになるということは自明であり、主走査方向及び副走査方向の一定値以上の長さの黒ランを抽出することにより、罫線を抽出する構成は、例えば、平成17年11月9日付け審尋で引用した、本願の出願前である平成3年1月17日に公開された特開平3-9489号公報の3ページ右上欄第2〜5行の「表領域候補の矩形内のランより閾値THT以上の長さのランで接したものを統合することにより罫線(ここでは横書き文書を想定しているので、横罫線)の候補を得る。」の記載に見られるように周知の技術にすぎない。
したがって、引用発明の罫線矩形抽出ステップにおける、主走査方向及び副走査方向に連結した黒画素を追跡することにより、罫線を抽出する構成に、上記周知の主走査方向及び副走査方向の一定値以上の長さの黒ランを抽出することにより、罫線を抽出する構成を適用して、表領域の画像より主走査方向及び副走査方向の一定値以上の長さの黒ランを抽出して、主走査方向及び副走査方向の罫線の矩形を抽出する罫線矩形抽出ステップとすることは当業者が容易になし得たことと認められる。

【相違点2】について
文字を切り出し、文字認識を行う本願補正発明と同一の技術分野において、罫線と接触した、もしくは接近した文字についても確実に切り出し認識することができるようにするために、文字を切り出す前に罫線のみを消去する構成は、例えば、原審の拒絶理由で引用した、本願の出願前である平成3年7月16日に公開された特開平3-164885号公報の第3ページ右下欄11〜15行の「帳票上の文字にアンダーラインや罫線が付されていても、イメージバッファ上にてそのアンダーラインや罫線のイメージを消去することにより、通常の処理の場合と同様、良好に文字の検出切出し処理を行うことができる。」の記載や、原審の拒絶査定で引用した、本願の出願前である平成7年8月11日に公開された特開平7-210628号公報の「【0067】次に、切り出し領域207の中に横罫線がある場合は、横罫線の除去処理を行う(705)。免許証の場合、文字と罫線が重なって印刷されている場合があるため、罫線除去の時には、罫線の上下に黒ドットのある部分717の罫線は除去せず、罫線の上下に黒ドットのないライン部分718の罫線のみを除去することで、文字の欠けを防止できる。」の記載に見られるように周知の技術にすぎない。
上記周知の技術である罫線のみを消去するステップにおいて、罫線の位置座標を抽出するが、その抽出を、どのステップで行うかは、当業者が適宜なし得る設計的事項であり、引用発明において、罫線除去ステップより前の、罫線矩形抽出ステップにより抽出された黒ランの情報を参照して、罫線の位置座標を抽出する構成とすることは、当業者が容易に想到し得る程度にすぎない。
したがって、引用発明の罫線除去ステップに、上記周知の文字を切り出す前に罫線を消去する構成を適用し、罫線矩形抽出ステップにより抽出された黒ランの情報を参照して、枠の領域にある罫線の黒画素を除去する構成とすることは、両者が類似の技術であり、かつ適用に際し阻害要因も認められないことから、当業者が容易になし得たことと認められる。
そして,本願補正発明の作用効果も,引用例に記載された事項から周知事項を勘案すれば当業者が予測できる範囲のもので,格別顕著な効果も認められない。

したがって,本願補正発明は,引用例に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
以上のとおり,本件補正は,特許法17条の2第5項で準用する同法126条5項の規定に違反するものであり,159条1項で準用する53条1項の規定により却下されるべきものである。

第3 本願発明について
平成16年2月4日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成15年8月4日付け手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「【請求項1】表領域の罫線によって囲まれた枠の内部の文字を認識する方法であって、表領域の画像より主走査方向及び副走査方向の罫線の矩形を抽出する罫線矩形抽出ステップと、表領域の枠を、それを囲む該罫線矩形抽出ステップにより抽出された罫線の矩形の外側の座標を用いて認識する枠認識ステップと、表領域の画像より、少なくとも該枠認識ステップで認識された枠の領域にある罫線の黒画素を除去した画像を生成する罫線除去ステップと、該罫線除去ステップにより生成された画像より該枠認識ステップで認識された枠の領域の黒連結の外接矩形を抽出する黒連結外接矩形抽出ステップと、該黒連結外接矩形抽出ステップにより抽出された黒連結の外接矩形を用いて文字を切り出し認識する文字切り出し認識ステップとを有することを特徴とする表領域文字認識方法。」

1 引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例及びその記載事項は、前記「第2 2(2)」に記載したとおりである。

2 対比・判断
本願発明は、前記「第2」で検討した本願補正発明から「罫線矩形抽出ステップ」の「主走査方向及び副走査方向の一定値以上の長さの黒ランを抽出して」との限定、「枠認識ステップ」の「表領域の罫線によって囲まれる枠を」との限定、及び「罫線除去ステップ」の「前記罫線矩形抽出ステップにより抽出された黒ランの情報を参照して」との限定を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、更に他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「第2 2(4)」に記載したとおり、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用例記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

3 むすび
以上のとおり,本願発明は,引用例に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたもので,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから,他の請求項について検討するまでもなく,本願は拒絶すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-03-09 
結審通知日 2006-03-15 
審決日 2006-03-28 
出願番号 特願平7-320066
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G06K)
P 1 8・ 121- Z (G06K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 星野 昌幸佐藤 実  
特許庁審判長 田口 英雄
特許庁審判官 鈴木 明
大野 弘
発明の名称 表領域文字認識方法  
代理人 鈴木 誠  

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