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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G02F
管理番号 1135873
審判番号 不服2003-16580  
総通号数 78 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1995-11-10 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-08-28 
確定日 2006-05-11 
事件の表示 平成 6年特許願第 92320号「液晶表示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成 7年11月10日出願公開、特開平 7-294905〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成6年4月28日に出願された特許出願であって、審査請求時に手続補正がなされ、原審において平成15年4月17日付けで拒絶理由が通知され、同年7月25日付けで拒絶査定がなされたものである。
これに対し、平成15年8月28日付けで拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年9月25日付けで手続補正がなされたものである。

2.本願発明
本願の請求項に係る発明は、本願出願時の特許請求の範囲の請求項1-3に記載されたとおりのものであると認められるところ、請求項1に係る発明は、以下のものである。
「内側に電極を有する一対の透明基板間に、正の誘電率異方性を有するネマチック液晶分子が、電圧を印加しない状態では分子長軸を基板に対して平行且つ分子長軸が透明基板垂直方向に180度ないし270度捩じれた構造をとるように構成された液晶セルと、
一対の透明基板の外側に配置された一対の直線偏光フィルム及び
液晶セルと直線偏光フィルムとの間に配置された補償用位相差層からなるFTN型液晶表示装置であって、
下記の構成を有することを特徴とする液晶表示装置。
構成:PL/(PLC/PC/PC )/液晶セル/PL
但し、
PL :直線偏光フィルム
( ):補償用位相差層
PC :正の屈折率異方性を有する熱可塑性樹脂からなる一軸配向性位相差フィルム
PLC:下記から選ばれた垂直配向膜
・ネマチック相またはスメクチック相を示す高分子液晶を製膜した後結晶相(またはガラス相)/液晶相転移温度(Tg)以上液晶相/等方相転移温度(Ti)未満の温度で熱処理を施して垂直配向させて得た垂直配向膜
又は
・ネマチック相またはスメクチック相を示す重合性液晶オリゴマーを製膜した後Tg以上Ti未満の温度で熱処理を施して垂直配向させ、配向を保持しながら重合させて得た垂直配向膜」(以下、本願発明という。)

3.刊行物記載の発明
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用文献6として引用された本願出願前に日本国内において頒布された刊行物である特開平6-11710号公報(以下、「引用例」という。)には、図面とともに、次の(1)〜(8)の事項が記載されている。

(1)「【0002】
【従来の技術・発明が解決しようとする課題】近年、液晶表示素子パネルの用途は益々拡大しており、最近では白黒STN(Super Twisted Nematic )型液晶表示パネルが開発されている。
【0003】この表示パネルにおいては、液晶固有の複屈折に由来する着色が生じるため、着色の原因となる液晶固有の複屈折を液晶セルと偏光板との間に挿入した光学位相差素子で補償することにより、無彩色化が図られている。そして、この光学位相差素子で補償する方法として、駆動用液晶セルと同じSTN型液晶セルを光学位相差素子として用いる方法や、STN型液晶セルと固有複屈折の値が同符号、すなわち正であるポリカーボネート樹脂やポリビニルアルコール樹脂の異方性配向フィルムを光学位相差素子とする方法、などが提案されている。とくに後者のばあい、液晶表示パネル(FTN型液晶表示パネル)としてその軽量化、光線透過率の向上が図られている。さらに、固有複屈折の値が正である2枚以上のポリカーボネート樹脂やポリビニルアルコール樹脂の異方性配向フィルムを、面内の屈折率楕円の長軸方向が互いに交差するように重ね合わせた光学位相差素子を使用した液晶表示パネルも提案されている。しかし、延伸などにより膜面内方向に複屈折性が付与された異方性配向フィルムのみでは、斜方向の補償が適正に行なわれず着色し、視野角が狭くなってしまう。」
(2)「【0013】
【実施例】本発明が対象とする液晶表示素子は、対向して配置された一対の透明電極の間にねじれ配向したネマティック液晶を狭持した液晶セルと、液晶セルの両側に配置された1対の偏光板とを有する液晶表示素子である。
【0014】前記液晶セルとしては、従来から知られているものをとくに限定なく利用することができる。その代表例としては、2枚の相対して設けられたガラスまたは樹脂質の透明基板の間にねじれ配向したネマチック液晶が挟まれたものがあげられる。
【0015】前記透明基板の内側表面には、ITO膜などの透明電極が設けられており、該透明電極の上には配向膜が設けられている。」
(3)「【0019】本発明においては、液晶セルと偏光板との間に膜面内方向に最大屈折率方向がある光学補償板と最大屈折率方向が膜厚方向にある薄膜とが挿入されている。」
(4)「【0020】前記光学補償板は、高分子フィルムを延伸して膜面内方向に最大屈折率方向があるようにしたものでもよく、また、液晶セルや光学的に異方性を有する結晶を切り出して作製した板などでもよい。
【0021】前記光学補償板として高分子フィルムを使用するときは、原料となる高分子材料をキャスティングなどの方法によりフィルム化し、一軸あるいは二軸延伸して膜面内方向に最大屈折率方向を付与するのが、一般的である。
【0022】前記高分子材料として好ましいものの具体例としては、たとえばポリエステル、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン、……」
(5)「【0023】一方、前記最大屈折率方向がその膜厚方向にある薄膜は、通常、ジルコン、ルチル、シリコンカーバイトなどの複屈折性を有する無機材料や、液晶性を有する低分子や高分子材料などから形成されている。必要に応じて、光学的に均一な支持基板を用いてもよい。」
(6)「【0030】本発明は、前記のごとく、膜面内方向に最大屈折率方向がある光学補償板と最大屈折率方向がその膜厚方向にある薄膜との組み合わせによるものであるから、その組み合わせには種々の態様があり、液晶表示素子として使用するばあい種々の態様で使用することができる。 …… さらに、2枚以上の種々の光学補償板、最大屈折率方向がその膜厚方向にある薄膜を使用してもよいし、液晶セルと一方の偏光板との間に一部の光学補償板などを配置し、液晶セルと他方の偏光板との間にのこりの光学補償板などを配置してもよい。 …… 」
(7)「【0041】偏光板、光路差が800nmでツイスト角が240゜であるSTN液晶セル、前記のシリコンカーバイト薄膜が表面に形成されたポリアリレートの光学補償板、最後に偏光板をクロスニコルにして組み立て、オフ状態で暗くなる白黒STN液晶表示パネル用液晶表示素子を作製した。」
(8)図1には、内側に電極を有する一対の透明基板間にネマティック液晶を挟持した液晶セル、及び、偏光板/(薄膜/光学補償板)/液晶セル/偏光板、なる液晶表示パネルの構成が見てとれる。

上記摘記事項によれば、
上記(2)に記載されている「ねじれ配向したネマティック液晶」がSTN液晶を前提としていることは上記(1)の記載からみて明らかであり、またSTN液晶が正の誘電率異方性を有しており、電圧を印加しない状態では分子長軸を基板に対して平行且つ分子長軸が透明基板垂直方向に180度ないし270度捩じれた構造であることは、従来周知の事項(上記(7)も参照のこと)である。
また、上記(3)に記載されている「膜面内方向に最大屈折率方向がある光学補償板と最大屈折率方向が膜厚方向にある薄膜」が、上記(1)に記載されている「FTN型液晶表示パネル」における「光学位相差素子」にあたることは明らかである。
さらに、上記(4)の記載から「光学補償板」が正の屈折率異方性を有する熱可塑性樹脂からなる一軸配向性のものであること、及び上記(5)の記載から「薄膜」が液晶性を有する高分子材料からなることが読み取れる。
そして、上記(6)には「2枚以上の種々の光学補償板、最大屈折率方向がその膜厚方向にある薄膜を使用してもよい」との態様が開示されている。

したがって、上記(1)〜(8)の記載事項からみて、引用例には以下の発明が記載されていると認められる。
「内側に電極を有する一対の透明基板間に、正の誘電率異方性を有するネマティック液晶が、電圧を印加しない状態では分子長軸を基板に対して平行且つ分子長軸が透明基板垂直方向に180度ないし270度捩じれた構造をとるように構成された液晶セルと、
一対の透明基板の外側に配置された一対の偏光板及び
液晶セルと偏光板との間に配置された光学位相差素子からなるFTN型液晶表示パネルであって、
下記の構成を有する液晶表示パネル。
構成:PL/(PLC/PC /PC)/液晶セル/PL
但し、
PL :偏光板
( ):光学位相差素子
PC :正の屈折率異方性を有する熱可塑性樹脂からなる一軸配向性光学補償板
PLC:高分子液晶よりなる薄膜」(以下、引用発明という。)

4.対比
次に、本願発明と引用発明とを対比すると、
引用発明における「ネマティック液晶」,「偏光板」,「光学位相差素子」,「光学補償板」及び「液晶表示パネル」は、それぞれ、本願発明における「ネマチック液晶分子」,「直線偏光フィルム」,「補償用位相差層」,「位相差フィルム」及び「液晶表示装置」に相当する。

したがって、本願発明と引用発明とは、
「内側に電極を有する一対の透明基板間に、正の誘電率異方性を有するネマチック液晶分子が、電圧を印加しない状態では分子長軸を基板に対して平行且つ分子長軸が透明基板垂直方向に180度ないし270度捩じれた構造をとるように構成された液晶セルと、
一対の透明基板の外側に配置された一対の直線偏光フィルム及び
液晶セルと偏光板との間に挿入された補償用位相差層からなるFTN型液晶表示装置であって、
下記の構成を有する液晶表示装置。
構成:PL/(PLC/PC /PC )/液晶セル/PL
但し、
PL :直線偏光フィルム
( ):補償用位相差層
PC :正の屈折率異方性を有する熱可塑性樹脂からなる一軸配向性位相差フィルム
PLC:高分子液晶よりなる膜」である点で一致し、次の点で相違している。

[相違点]
本願発明では「PLC:高分子液晶よりなる膜」が「ネマチック相またはスメクチック相を示す高分子液晶を製膜した後結晶相(またはガラス相)/液晶相転移温度(Tg)以上液晶相/等方相転移温度(Ti)未満の温度で熱処理を施して垂直配向させて得た垂直配向膜」であるのに対して、引用発明では「PLC:高分子液晶よりなる膜」は「最大屈折率方向が膜厚方向にある薄膜」であって、高分子液晶の配向状態及び形成方法は不明である点。

5.判断
以下、上記相違点について検討する。
高分子液晶よりなる薄膜の最大屈折率方向を膜厚方向とするために、該高分子液晶を垂直方向に配向させることは周知技術(例えば、特開平4-16916号公報の第2頁右下欄参照)であり、その形成手段として、高分子液晶をネマチック相またはスメクチック相を示す状態となる温度(即ち、結晶相(またはガラス相)/液晶相転移温度(Tg)以上液晶相/等方相転移温度(Ti)未満の温度)で熱処理して垂直配向させて垂直配向膜を得ることも周知技術(上記文献の同箇所、特開平5-241019号公報の段落【0008】〜【0009】参照)である。
したがって、引用発明の「最大屈折率方向が膜厚方向にある高分子液晶よりなる薄膜」の「最大屈折率方向が膜厚方向にある」構成を、上記周知技術を用いて、高分子液晶を垂直配向させて得ることに格別の困難性はない。
よって、上記相違点は上記周知技術を用いて当業者が適宜なし得る事項である。

6.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-02-22 
結審通知日 2006-02-28 
審決日 2006-03-24 
出願番号 特願平6-92320
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G02F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 橿本 英吾  
特許庁審判長 向後 晋一
特許庁審判官 鈴木 俊光
吉野 三寛
発明の名称 液晶表示装置  
代理人 久保山 隆  
代理人 榎本 雅之  
代理人 中山 亨  
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