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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1135928
審判番号 不服2002-1552  
総通号数 78 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1998-04-07 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-01-31 
確定日 2006-05-08 
事件の表示 平成 8年特許願第265454号「パチンコ機」拒絶査定不服審判事件〔平成10年 4月 7日出願公開、特開平10- 85395〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成8年9月13日の出願であって、平成14年1月7日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年1月31日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同日付けで手続補正がなされたものである。

2.平成14年1月31日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成14年1月31日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
(1)補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項4は、次のとおりに補正された。
「複数の図柄を変動表示可能な特別図柄表示部を有する特別図柄表示装置と特別図柄装飾具と図柄始動口を遊技領域に配設し、
遊技球が図柄始動口に入賞したことによって行う図柄変動ゲームにおいて、
前記特別図柄表示部の図柄が変動を開始してから所定時間後に停止した図柄が予め設定の図柄であると、遊技者に有利となる特別遊技状態を生起するパチンコ機であって、
前記特別図柄装飾具には流入口と流下路と排出口及びステージを設け、
流入口に入った遊技球は流下路を通って排出口から前記ステージに排出された後、前記図柄始動口に入賞可能であり、
前記特別図柄表示部の図柄が変動中に、遊技球が前記図柄始動口に入賞すると、順次、入賞球を加算記憶し、この記憶値によって図柄変動ゲームを行うと共に、前記記憶値を減算する図柄始動記憶手段を設け、 特別図柄装飾具の上部に設置してある前記流入口は、スライドする可動部材を介して開閉可能であり、 図柄変動ゲームにおいて、前記特別図柄表示部に予め決められた停止図柄(全開図柄)が表示されると、前記流入口を小さく開口して遊技球の流入し難い或いは遊技球の流入不能な第2状態から、この第2状態より大きく開口する第1状態にすることを特徴とするパチンコ機。」
上記補正は、請求項4に記載した発明に「前記特別図柄表示部の図柄が変動中に、遊技球が前記図柄始動口に入賞すると、順次、入賞球を加算記憶し、この記憶値によって図柄変動ゲームを行うと共に、前記記憶値を減算する図柄始動記憶手段を設け」及び「特別図柄装飾具の上部に設置してある前記流入口は、スライドする可動部材を介して開閉可能であり」との構成を付加したものであり、特許法第17条の2第4項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする。
そこで、本件補正後の前記請求項4に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて以下検討する。

(2)刊行物等の記載内容
原査定の拒絶の理由に引用され本願出願前に頒布された刊行物である特開平7-185082号公報(以下、「刊行物1」という。)には、図面とともに、次のことが記載されている。
「【0001】【産業上の利用分野】本発明は、遊技機に係わり、詳しくは遊技領域に設けられた特定位置における遊技球の検出(例えば、始動口への入賞)に基づいて特定遊技(例えば、識別情報の可変表示)を行う遊技機に関する。」、
「【0005】・・・本発明は、大当り確率の変動中は特定入賞口への入賞率を高めて、特定遊技を連続して多く行わせることによって大当り発生の期待度を高めるとともに、特定入賞口への入賞に対する遊技価値を遊技者が十分に得られる・・・遊技機を提供することを目的としている。」、
「【0018】図2は遊技盤13を示す正面図である。図2において、遊技領域の周囲には弾発された玉を遊技領域の上方部まで案内したり、・・・可変表示装置102は後述の特図始動口104〜106の何れかに玉が入賞すると、図柄(すなわち、特図)の可変表示を開始し、・・・そして、1桁ずつ順次停止し、3桁の図柄が揃い、ゾロ目になると、後述の変動入賞装置108を開放する制御が行われる。」、
「【0019】ここで、可変表示装置102としては・・・映像を表示可能なものが使用されており、映像表示部は特別図柄表示器102A〜102Cの3つに区分され、・・・」、
「【0020】・・・普電装置103には特図始動口104が形成されており、特図始動口104に玉が入賞し、後述の特図始動スイッチ321によって検出されると、可変表示装置102の図柄が変動を開始するようになっている。・・・
【0021】特図始動口104・・・への入賞は4個を限度として記憶されるようになっており、この始動記憶数は可変表示装置102に設けられた4つのランプからなる特図入賞記憶表示器107によって表示される。・・・」、
「【0026】・・・本実施例の特徴部分について説明する。可変表示装置102の上部には、誘導電動役物装置(以下、誘導電役装置という。なお、俗称ではワープ電役という)151が配置されており、誘導電役装置151は入賞誘導手段としての機能を有し、特図始動口104(特定位置)に対して、その入賞率を高めるように遊技球を誘導する遊技球誘導手段に相当する。誘導電役装置151は一対の変動可能な羽根部材151a、151bを有しており、羽根部材151a、151bは通常は縮小状態にあって玉が1個通過可能な隙間、すなわち入賞口152を形成しているが、特図の確率変動(大当り確率のアップ)が行われているとき拡大して玉を受け入れやすい状態になるように制御される。図2は羽根部材151a、151bが玉を受入れ難い縮小状態にあることを示している。
【0027】図3は可変表示装置102のケーシング153を示す斜視図であり、特に、可変表示のため蛍光表示部を除いた状態を示している。図3において、可変表示装置102のケーシング153の上部前面側には4つのランプからなる特図入賞記憶表示器107が配置され、ケーシング153の上部側には誘導電役装置151が配置されている。誘導電役装置151の羽根部材151a、151bは後述の誘導電役ソレノイド333によって拡大制御され、図3は羽根部材151a、151bが拡大して玉を受け入れやすい状態になった様子を示している。
【0028】また、ケーシング153の内部にはワープ装置154が形成されている。誘導電役装置151によって形成される入賞口152は、遊技領域を流下する遊技球Tを取り込み、ワープ装置154に送る。ワープ装置154は入賞口152より取り込まれた遊技球Tを矢印で示すようにケーシング153内部の壁面に沿って流下させ、遊技盤13面側に傾斜するように形成された排出口(傾斜路)155から特図始動口104の上流側の遊技盤13面に排出させる機能(すなわち、ワープさせて排出させる機能)を有している。したがって、誘導電役装置151はワープ装置154の入賞口側に配設されることになり、誘導電役装置151を拡大制御することで、特図始動口104に対して遊技球を安定的に誘導可能できることになる。」、
「【0046】ステップS30では特別遊技が終了したか否かを判別し、終了していなければ、ステップS22に進んで再び特別遊技のルーチンを繰り返す。そして、特別遊技が終了すると、ステップS32に分岐して特殊図柄による特別遊技であるか否かを判別する。特殊図柄とは、大当り確率を変動させるラッキーナンバー(特殊識別情報)のことで、例えば「777」のような図柄をいう。特殊図柄による特別遊技でなければ(例えば、「222」によって大当り遊技を行った場合)、ステップS34で通常確率にしてステップS22に進む。したがって、このときは大当り確率が変動せず、通常の確率で次回を大当りチャンスに期待することになる。一方、特殊図柄による特別遊技である場合(例えば、「777」によって大当り遊技を行った場合)には、ステップS36で大当り確率を変動し、アップする。・・・」、
「【0051】[E]ワープ電役遊技
ステップS22で確率変動中であるときはステップS38に分岐し、始動記憶数が[4]未満であるか否かを判別する。始動記憶数が[4]未満のときはステップS40に進んでワープ電役をオンする。・・・
【0053】このように本実施例では、特殊識別情報(ラッキーナンバー)の発生により大当り確率が変動(アップ)すると、始動記憶数が[4]未満の範囲内でワープ電役をオンする制御が行われ、特図始動口104に対して遊技球が安定的に誘導され、特図始動口104への入賞率が高められる。したがって、大当り確率の変動に加えて特定遊技(可変遊技)の行われる割合(以下、始動率という)が向上する。そのため、可変遊技を連続して多く行わせることが可能になり、単に大当り確率が変動して大当りの発生率が高められた状態に比べ、さらに大当り乱数の抽選の頻度を多くなって次の大当り発生を早めることができ、大当り発生に対する遊技者の期待度を高めることができる。・・・」。

上記記載及び技術常識から、刊行物1には、
「複数の図柄を変動表示可能な特別図柄表示器102A〜102Cを有する特別図柄表示装置とケーシング153と特図始動口104を遊技領域に配設し、
遊技球が特図始動口104に入賞したことによって行う図柄変動ゲームにおいて、
前記特別図柄表示器102A〜102Cの図柄が変動を開始してから所定時間後に停止した図柄が予め設定の図柄であると、遊技者に有利となる特別遊技状態を生起するパチンコ機であって、
前記ケーシング153には入賞口152とワープ装置154及び排出口155を設け、
入賞口152に入った遊技球はワープ装置154を通って前記特図始動口104に入賞可能であり、
前記特別図柄表示器102A〜102Cの図柄が変動中に、遊技球が前記特図始動口104に入賞すると、順次、入賞球を加算記憶し、この記憶値によって図柄変動ゲームを行い、
前記記憶値を減算表示する特図入賞記憶表示器107を設け、
ケーシング153の上部に設置してある前記入賞口152は、羽根部材151a、151bを介して開閉可能であり、
前記特別図柄表示器102A〜102Cに特殊識別情報(ラッキーナンバー)が表示されると共に、始動記憶数が[4]未満の範囲内であれば、入賞口152を、遊技球を受け入れ難い縮小状態から、拡大して遊技球を受け入れやすい状態にするパチンコ機。」の発明が記載されていると認められる。

(3)対比
そこで、本願補正発明と刊行物1記載の発明とを対比すると、刊行物1記載の発明の「特別図柄表示器102A〜102C」が、本願補正発明の「特別図柄表示部」に相当し、以下同様に、「ケーシング153」が「特別図柄装飾具」に、「特図始動口104」が「図柄始動口」に、「入賞口152」が「流入口」に、「ワープ装置154」が「流下路及びステージ」に、「玉を受入れ難い縮小状態」が「遊技球の流入し難い第2状態」に、「玉を受け入れやすい状態」が「第2の状態より大きく開口する第1の状態」に、それぞれ相当し、刊行物1記載の発明は「特図入賞記憶表示器107」を備えることから、本願補正発明と同様に「図柄始動記憶手段」を設けていることは明らかである。したがって、両者は、
「複数の図柄を変動表示可能な特別図柄表示部を有する特別図柄表示装置と特別図柄装飾具と図柄始動口を遊技領域に配設し、
遊技球が図柄始動口に入賞したことによって行う図柄変動ゲームにおいて、
前記特別図柄表示部の図柄が変動を開始してから所定時間後に停止した図柄が予め設定の図柄であると、遊技者に有利となる特別遊技状態を生起するパチンコ機であって、
前記特別図柄装飾具には流入口と流下路及びステージを設け、
流入口に入った遊技球は流下路を通って前記ステージに排出された後、前記図柄始動口に入賞可能であり、
前記特別図柄表示部の図柄が変動中に、遊技球が前記図柄始動口に入賞すると、順次、入賞球を加算記憶し、この記憶値によって図柄変動ゲームを行うと共に、前記記憶値を減算する図柄始動記憶手段を設け、
特別図柄装飾具の上部に設置してある前記流入口は、開閉可能であり、
図柄変動ゲームにおいて、前記流入口を、遊技球の流入し難い第2状態と、第2状態より大きく開口する第1状態にするパチンコ機。」である点で一致し、次の各点で相違する。
(相違点1)
本願補正発明が「流入口に入った遊技球は流下路を通って排出口から前記ステージに排出」されるのに対し、刊行物1記載の発明が、流入口、流下路、ステージを有するものの「排出口」を有さない点。
(相違点2)
本願補正発明が「流入口は、スライドする可動部材を介して開閉可能」であるのに対し、刊行物1記載の発明が「流入口は、羽根部材を介して開閉可能」である点。
(相違点3)
前記流入口を小さく開口して遊技球の流入し難い第2状態から、この第2状態より大きく開口する第1状態にするのは、本願補正発明が「前記特別図柄表示部に予め決められた停止図柄(全開図柄)が表示される」ことを条件とするのに対し、刊行物1記載の発明が「前記特別図柄表示部に特殊識別情報(ラッキーナンバー)が表示され、始動記憶数が[4]未満の範囲内である」ことを条件とする点。

(4)判断
(相違点1)について
パチンコ機において、遊技球が流下路を通って排出口から前記ステージに排出するようにしたものは、特開平6-327824号公報(図2,図3、【0012】)、特開平6-238041号公報(図3)等に記載されているように周知であるから、刊行物1記載の発明において、相違点1の本願補正発明に係る構成とすることは、当業者であれば容易になし得ることである。

(相違点2)について
パチンコ機において、流入口を、スライドする可動部材を介して開閉可能にする点は、実公平8-5738号公報及び特開昭63-257588号公報等に記載されているように周知であるから、刊行物1記載の発明において、相違点2の本願補正発明に係る構成とすることは、当業者であれば容易になし得ることである。

(相違点3)について
上記相違点3を検討すると、刊行物1記載の発明は、始動記憶数が[4]未満の範囲内で「特別図柄表示部に特殊識別情報(ラッキーナンバー)が表示」されれば、「流入口を小さく開口して遊技球の流入し難い第2状態から、この第2状態より大きく開口する第1状態にする」ものである。そして、上記特殊識別情報(ラッキーナンバー)の表示による開口(第1の状態)を、始動記憶数が「4」未満のときに限らないようにすることは、単に条件を緩くしたにすぎず適宜なし得る程度のものであり、また、上記予め定められた停止図柄をどの図柄に定めるかは当業者にとって適宜なし得る事項にすぎず本願補正発明のように(全開図柄)とすることに格別困難性はないから、刊行物1記載の発明において、相違点3の本願補正発明に係る構成とすることは、当業者であれば容易になし得ることである。

そして、本願補正発明の構成にしたことによる格別の作用効果も認められない。

よって、本願補正発明は、刊行物1記載の発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
以上のとおり、本件補正は、平成15年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項において読み替えて準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について
平成14年1月31日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項4に係る発明(以下、本願発明という。)は、平成13年6月20日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項4に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「複数の図柄を変動表示可能な特別図柄表示部を有する特別図柄表示装置と特別図柄装飾具と図柄始動口を遊技領域に配設し、
遊技球が図柄始動口に入賞したことによって行う図柄変動表示ゲームにおいて、
前記特別図柄表示部の図柄が変動を開始してから所定時間後に停止した図柄が予め設定の図柄であると、遊技者に有利となる特別遊技状態を生起するパチンコ機であって、
前記特別図柄装飾具には流入口と流下路と排出口及びステージを設け、
流入口に入った遊技球は流下路を通って排出口から前記ステージに排出された後、前記図柄始動口に入賞可能であり、
図柄変動表示ゲームにおいて、前記特別図柄表示部に全開図柄が表示されると、前記流入口を小さく開口して遊技球の流入し難い或いは遊技球の流入不能な第2状態から、この第2状態より大きく開口する第1状態にすることを特徴とするパチンコ機。」

(1)刊行物
原査定に引用され本願出願前に頒布された刊行物1及びその記載事項は、前記「2.(2)」に記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明は、前記「2.」で検討した本願補正発明から、「前記特別図柄表示部の図柄が変動中に、遊技球が前記図柄始動口に入賞すると、順次、入賞球を加算記憶し、この記憶値によって図柄変動ゲームを行うと共に、前記記憶値を減算する図柄始動記憶手段を設け」及び「特別図柄装飾具の上部に設置してある前記流入口は、スライドする可動部材を介して開閉可能であり」との構成を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「2.(4)」に記載したとおり、刊行物1記載の発明並びに周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、刊行物1記載の発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上のとおり、本願発明は、刊行物1記載の発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本願の他の請求項に係る発明を検討するまでもなく、本願は拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-02-22 
結審通知日 2006-02-28 
審決日 2006-03-14 
出願番号 特願平8-265454
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 澤田 真治藤田 年彦  
特許庁審判長 木原 裕
特許庁審判官 白樫 泰子
塩崎 進
発明の名称 パチンコ機  
代理人 犬飼 達彦  
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