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審決分類 |
審判 査定不服 産業上利用性 特許、登録しない。 G06F |
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管理番号 | 1135955 |
審判番号 | 不服2003-4544 |
総通号数 | 78 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2002-05-10 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2003-03-20 |
確定日 | 2006-05-08 |
事件の表示 | 特願2000-330569「要素部位分析手法による部品製造作業改善システム」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 5月10日出願公開、特開2002-133028〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成12年10月30日の出願であって、平成15年2月6日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年3月20日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同日付および同年4月17日付で手続補正がなされたものである。 2.平成15年4月17日付の手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成15年4月17日付の手続補正を却下する。 [理由] (1)平成15年3月20日付の手続補正の適否について 平成15年4月17日の手続補正(以下「本件第二補正」という。)の直前の補正は、平成15年3月20日付の手続補正(以下「本件第一補正」という。)であるので、本件第一補正が適法な補正であるかどうかを判断する必要がある。 したがって、最初に、本件第一補正の適否について以下に検討する。 本件第一補正により、補正前の請求項1-3は削除され、補正前の請求項4は、 「管理ステーション側にパソコンおよびデータベース用サーバ、検索用サーバが備えられるとともに、一方社内の工場の作業ステーション側には通信できる端末が備えられ、若しくは社外のメーカ側には通信によって前記管理ステーション側のパソコン及び前記夫々のサーバに通信によって接続できるパソコンを備え、多種の部品から構成される製品の構成部品夫々の加工作業を加工要素に分割し、分割した夫々の加工要素について、機能別に分類分けして構成部品に共通する加工機能と該加工機能毎の要素部位に集約化して、前記データベース用サーバに、外径加工、溝加工、平面加工、穴加工のように加工機械の面からみて機能別に分類分けした加工機能種別が上位階層に、前記上位階層の各加工機能につながる下位階層には、構成部品に共通する各要素部位の加工種類毎にグルーピング化と階層化させてホームページが形成されているとともに、社内の作業ステーション側の端末が、前記データベース用サーバのホームページを閲覧するための検索ソフトとしてのWWWブラウザが設けられている無線移動体通信端末であり、一方前記データベース用サーバは、夫々の要素部位別の工具データベース、標準段取り要領書等のデータがHTML形式のテキストデータで記憶されており、管理ステーション側のパソコンと前記端末とのでデータ通信のアクセスが行なわれることを特徴とする要素部位分析手法による部品製造作業改善システム。」 と補正され、補正後の請求項1とされた。 本件第一補正により、補正前の「管理ステーション側にパソコンおよびデータベース用サーバ、検索用サーバが備えられ一方社内の工場の作業ステーション側には通信できる端末が備えられ、又社外のメーカ側には通信によって前記管理ステーション側のパソコン及び前記夫々のサーバに通信によって接続できるパソコンを備え」は、補正後の「管理ステーション側にパソコンおよびデータベース用サーバ、検索用サーバが備えられるとともに、一方社内の工場の作業ステーション側には通信できる端末が備えられ、若しくは社外のメーカ側には通信によって前記管理ステーション側のパソコン及び前記夫々のサーバに通信によって接続できるパソコンを備え」の記載に変更された。(なお、下線は変更箇所を表す。) そして、この変更により、請求項1に係る発明が「管理ステーション側にパソコン、データベース用サーバ、検索用サーバ、社内の工場の作業ステーション側の端末、および社外のメーカ側のパソコン」を備えたものから、「管理ステーション側にパソコンおよびデータベース用サーバ、検索用サーバ、および社内の工場の作業ステーション側の端末」若しくは「管理ステーション側にパソコンおよびデータベース用サーバ、検索用サーバ、および社外のメーカ側のパソコン」を備えたものに変更され、「管理ステーション側にパソコン、データベース用サーバ、検索用サーバ、社内の工場の作業ステーション側の端末、および社外のメーカ側のパソコン」のうち、社内の工場の作業ステーション側の端末と社外のメーカ側のパソコンのいずれか1つを欠くものも特許請求の範囲に含まれることになるので、本件第一補正は特許請求の範囲を実質的に拡大させるものである。 したがって、本件第一補正は、特許請求の範囲を実質的に拡大させるものであるので、特許法第17条の2第4項第2号に掲げられた特許請求の範囲の減縮を目的とするものとは認められない。 また、本件第一補正は、特許法17条の2第4項第1号に掲げられた請求項の削除、同第3号に掲げられた誤記の訂正、同第4号に掲げられた不明りょうな記載の釈明のいずれをも目的とするものでないことは明らかである。 したがって、本件第一補正は、特許法第17条の2第4項の規定に違反するものである。 (2)本件第二補正の適否について 本件第一補正は、上記(1)で述べたとおり、特許法第17条の2第4項の規定に違反しており、本件第二補正の直前の適法な補正であるとは認められないので、平成15年1月20日付の手続補正が本件第二補正の直前の適法な手続補正であると認める。 補正後の請求項1に係る本件第二補正の内容は、本件第一補正の内容と同じであるから、本件第二補正も、上記(1)で述べたように、実質的に特許請求の範囲を拡大させるものであるので、特許法第17条の2第4項第2号に掲げられた特許請求の範囲の減縮を目的とするものとは認められない。 また、本件第二補正も、特許法17条の2第4項第1号に掲げられた請求項の削除、同第3号に掲げられた誤記の訂正、同第4号に掲げられた不明りょうな記載の釈明のいずれをも目的とするものでないことは明らかである。 (3)まとめ したがって、本件第二補正は、特許法第17条の2第4項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 3.平成15年3月20日付の手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成15年3月20日付の手続補正を却下する。 [理由] 上記2.(1)で検討したとおり、平成15年3月20日付の手続補正は、特許法第17条の2第4項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 4.本願発明 平成15年3月20日付の手続補正および平成15年4月17日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成15年1月20日付の手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。 「管理ステーション側にパソコンおよびデータベース用サーバ、検索用サーバが備えられ一方社内の工場の作業ステーション側には通信できる端末が備えられ、又社外のメーカ側には通信によって前記管理ステーション側のパソコン及び前記夫々のサーバに通信によって接続できるパソコンを備え、多種の部品から構成される製品の構成部品夫々の加工作業を加工要素に分割し、分割した夫々の加工要素について、機能別に分類分けして構成部品に共通する加工機能と該加工機能毎の要素部位に集約化して、前記データベース用サーバに、外径加工、溝加工、平面加工、穴加工のように加工機械の面からみて機能別に分類分けした加工機能種別が上位階層に、前記上位階層の各加工機能につながる下位階層には、構成部品に共通する各要素部位の加工種類毎にグルーピング化と階層化させてホームページが形成されていることを特徴とする要素部位分析手法による部品製造作業改善システム。」 5.原査定の拒絶の理由の概要 原査定の拒絶の理由の概要は、拒絶理由通知および拒絶査定の記載からみて、以下のとおりである。 「請求項1には、サーバに接続できるコンピュータの概要とデータベース用サーバに形成されるホームページの内容が特定されているが、当該システムが行う情報処理は特定されず、本願発明は、実質的にホームページの掲載内容にのみ特徴を有するものであるから、情報の単なる提示にすぎず、自然法則を利用した技術的思想の創作である発明には該当しない。したがって、本願発明は、特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしていないので、特許を受けることができない。」 6.当審の判断 請求項1の「管理ステーション側にパソコンおよびデータベース用サーバ、検索用サーバが備えられ一方社内の工場の作業ステーション側には通信できる端末が備えられ、又社外のメーカ側には通信によって前記管理ステーション側のパソコン及び前記夫々のサーバに通信によって接続できるパソコンを備え、」の記載では、要素部位分析手法による部品製造作業改善のために道具として用いられるパソコン、サーバ、および端末の配置の概要を特定したにすぎず、それらのパソコン、サーバ、および端末の配置の概要は人為的に取り決められたものにすぎない。 また、請求項1の「多種の部品から構成される製品の構成部品夫々の加工作業を加工要素に分割し、分割した夫々の加工要素について、機能別に分類分けして構成部品に共通する加工機能と該加工機能毎の要素部位に集約化して、前記データベース用サーバに、外径加工、溝加工、平面加工、穴加工のように加工機械の面からみて機能別に分類分けした加工機能種別が上位階層に、前記上位階層の各加工機能につながる下位階層には、構成部品に共通する各要素部位の加工種類毎にグルーピング化と階層化させてホームページが形成されている」の記載は、要素部位分析手法による部品製造作業改善に用いるためにデータベースサーバに形成されるホームページが提示する情報の内容を特定したにすぎず、その内容は人為的に取り決められたものにすぎない。 これらの点を考慮すると、本願発明は、人為的取り決めた部品製造作業改善のための仕組みともいうべきシステムにすぎず、単なる人為的取り決めにすぎないので、自然法則を利用した技術的思想の創作である発明には該当せず、特許法第29条第1条柱書の規定を満たしていない。 なお、請求項1には、本願発明においてサーバ等のコンピュータが処理を実行することは記載されていないが、発明の詳細な説明に記載された実施例に関する記載には、サーバ等のコンピュータによりホームページの閲覧等のための処理を実行していることが記載されていることを考慮して、仮に、本願発明の「システム」が「コンピュータシステム」であるとして以下に検討する。 本願発明は、パソコン、データベース用サーバ、検索用サーバ等のいわゆるコンピュータが設けられており、これらのコンピュータの情報処理にソフトウエアを必要とするところの、いわゆるソフトウエア関連発明である。 そして、こうしたソフトウエアを利用するソフトウエア関連発明が、「自然法則を利用した技術的思想の創作」であるためには、発明はそもそもが一定の技術的課題の解決手段になっていなければならないことから、ハードウエア資源を用いて具体的に実現されたソフトウエアによる情報処理が具体的に提示されている必要があるというべきである。 請求項1の「管理ステーション側にパソコンおよびデータベース用サーバ、検索用サーバが備えられ一方社内の工場の作業ステーション側には通信できる端末が備えられ、又社外のメーカ側には通信によって前記管理ステーション側のパソコン及び前記夫々のサーバに通信によって接続できるパソコンを備え」の記載は、コンピュータシステムのシステム構成を特定したにすぎない。 また、請求項1の「多種の部品から構成される製品の構成部品夫々の加工作業を加工要素に分割し、分割した夫々の加工要素について、機能別に分類分けして構成部品に共通する加工機能と該加工機能毎の要素部位に集約化して、前記データベース用サーバに、外径加工、溝加工、平面加工、穴加工のように加工機械の面からみて機能別に分類分けした加工機能種別が上位階層に、前記上位階層の各加工機能につながる下位階層には、構成部品に共通する各要素部位の加工種類毎にグルーピング化と階層化させてホームページが形成されている」の記載は、データベースサーバに形成されるホームページを特定したにすぎない。 以上のことからみて、請求項1には、ソフトウエアによりサーバ等のコンピュータが実行する閲覧などのための情報処理の内容が全く記載されていないので、コンピュータのハードウエア資源を用いて具体的に実現されたソフトウェアによる情報処理が具体的に示されているとは認められない。 したがって、本願発明の「システム」が「コンピュータシステム」であると仮定しても、本願発明は、自然法則を利用した技術的思想の創作とは認められず、特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしていない。 7.まとめ 本願発明は、自然法則を利用した技術的思想の創作とは認められず、特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしていないので、特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2006-03-07 |
結審通知日 | 2006-03-10 |
審決日 | 2006-03-27 |
出願番号 | 特願2000-330569(P2000-330569) |
審決分類 |
P
1
8・
14-
Z
(G06F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 山下 達也 |
特許庁審判長 |
赤穂 隆雄 |
特許庁審判官 |
佐藤 智康 篠原 功一 |
発明の名称 | 要素部位分析手法による部品製造作業改善システム |
代理人 | 高橋 昌久 |
代理人 | 花田 久丸 |