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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B65D |
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管理番号 | 1136040 |
審判番号 | 不服2004-747 |
総通号数 | 78 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1997-07-22 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2004-01-08 |
確定日 | 2006-05-08 |
事件の表示 | 平成 8年特許願第 19260号「物品包装用トレー又は仕切り板とその製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成 9年 7月22日出願公開、特開平 9-188317〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 手続の経緯 本願は、平成8年1月11日の出願であって、その請求項1乃至8に係る発明は、平成15年2月3日付け手続補正書により補正された明細書の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1乃至8に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、請求項1に係る発明は、次のとおりである。 「縦及び横方向の仕切り壁と物品収納凹部とを有する中仕切り体を熱可塑性合成樹脂からなる発泡シート材により一体に形成すると共に、前記中仕切り体の所定位置に文字または模様等を表する表示部を形成して、前記表示部に直接に押圧して文字または模様等を形成してなることを特徴とする物品包装用トレー又は中仕切り板。」(以下、「本願発明」という。) 2 引用例 これに対して、原査定の拒絶の理由に引用した本願出願前に日本国内において頒布された刊行物である実願昭59-184929号(実開昭61-99583号)のマイクロフィルム(以下、「引用例」という。)には、図面とともに次の記載がある。 (a)「本考案は、発泡スチロール樹脂シート1を用いて多数の凹陥部2を形成せしめ、主に林檎、梨、桃等を多数個収置して搬送するための包装用容器であり、予め、ラミネート用フィルムへ、当該容器に最も相応しい模様、イラスト等の絵柄或いは出産地の特色となるもの、及び個数などを印刷せしめ、前記多数箇所に凹陥部を形成する該包装用容器シートの…いずれか片面に該図柄入りラミネート用フィルム3を溶着して」(明細書第3頁第12行〜第20行) (b)第3図により、包装用容器(イ)において、発泡スチロール樹脂シート1の凹陥部2以外の位置に、出産地の特色を示す「つがる」を印刷したラミネート用フィルムを溶着している点が認められる。 したがって、上記(a)及び(b)の記載を総合すると、引用例には、 「林檎、梨、桃等を収置する凹陥部を発泡スチロール樹脂シートにより一体に形成すると共に、前記発泡スチロール樹脂シートの前記凹陥部以外の位置に、出産地の特色を示す「つがる」を印刷したラミネート用フィルムを溶着してなる包装用容器。」の発明が記載されているものと認める。 3 対比 本願発明と引用例に記載された発明とを対比すると、後者の「林檎、梨、桃等を収置する凹陥部」、「発泡スチロール樹脂シート」及び「包装用容器」は、前者の「物品収納凹部」、「熱可塑性合成樹脂からなる発泡シート材」及び「包装用トレー」に相当する。 また、後者の「発泡スチロール樹脂シート」は、「凹陥部」に林檎、梨、桃等を多数個収置するものであるので、中仕切り体の機能を有するものと認める。 さらに、後者の「出産地の特色を示す「つがる」を印刷したラミネート用フィルム」は、発泡スチロール樹脂シートの凹陥部以外の位置に溶着されていることから、その位置を本願発明の「文字を表する表示部」とみることに何ら妨げる理由はない。 してみると、両者は、本願発明の表記にならえば、 「物品収納凹部を有する中仕切り体を熱可塑性合成樹脂からなる発泡シート材により一体に形成すると共に、前記中仕切り体に文字を表する表示部を形成してなる物品包装用トレー。」 である点で一致し、次の点で相違している。 〈相違点1〉 一体に形成する中仕切り体が、本願発明は、「縦及び横方向の仕切り壁と物品収納凹部とを有する」としているのに対し、引用例に記載された発明は、物品収納凹部を有するものの、縦及び横方向の仕切り壁が明瞭でない点。 〈相違点2〉 表示部を、本願発明は、「中仕切り体の所定位置に形成している」のに対し、引用例に記載された発明は、発泡スチロール樹脂シートの凹陥部以外の位置に形成している点。 〈相違点3〉 本願発明は、「前記表示部に直接に押圧して文字または模様等を形成してなる」としているのに対し、引用例に記載された発明は、前記凹欠陥部以外の位置に出産地の特色を示す「つがる」を印刷したラミネート用フィルムを溶着してなる点。 4 相違点の判断 〈相違点1〉について 引用例においても、樹脂シートに物品収納凹部が形成されている以上、仕切り壁を有することは明らかであって、しかも、一体形成する中仕切り体が、縦及び横方向の仕切り壁と物品収納凹部とを有するとすることも、周知技術(例えば、特開昭62-18241号公報参照)であるので、上記相違点1に係る本願発明の事項とすることは、当業者が容易に想到し得るものと認める。 〈相違点2〉について 上述した如く、引用例に記載の「出産地の特色を示す「つがる」を印刷したラミネート用フィルム」は、発泡スチロール樹脂シートの凹陥部以外の位置に溶着されていることから、その位置を本願発明の「文字を表する表示部」とみることに何ら妨げる理由はないので、その表示部を中仕切り体としての発泡スチロール樹脂シートの所定位置に形成することに、格別な困難性が存するとは認められない。 したがって、上記相違点2に係る本願発明の事項とすることは、当業者が容易に想到し得るものと認める。 〈相違点3〉について 包装用容器において、インクによる印刷やラベルの貼付によらず、容器の素材自体で文字または模様等を形成することは、周知技術(例えば、特開平5-220832号公報参照)であるので、引用例に記載された表示部に関して、上記周知技術を適用して、上記相違点3に係る本願発明の事項とすることは、当業者が容易に想到し得るものと認める。 そして、本願発明の効果は、引用例に記載された発明、及び前記各周知技術から、当業者であれば予測できる範囲内のものであって格別なものとはいえない。 5 むすび 以上により、本願発明は、引用例に記載された発明、及び前記各周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないので、本願は、拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2006-02-22 |
結審通知日 | 2006-02-28 |
審決日 | 2006-03-16 |
出願番号 | 特願平8-19260 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(B65D)
|
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 田村 嘉章 |
特許庁審判長 |
粟津 憲一 |
特許庁審判官 |
溝渕 良一 種子 浩明 |
発明の名称 | 物品包装用トレー又は仕切り板とその製造方法 |
代理人 | 村迫 俊一 |