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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1136053
審判番号 不服2004-8256  
総通号数 78 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2001-08-03 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-04-22 
確定日 2006-05-08 
事件の表示 特願2000-16168「回路基板」拒絶査定不服審判事件〔平成13年8月3日出願公開、特開2001-210744〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 【1】手続の経緯
本願は、平成12年1月25日の出願であって、平成15年12月18日付けで拒絶理由が通知され、その指定期間内の平成16年2月23日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成16年3月12日付けで拒絶査定がなされた。これに対し、平成16年4月22日に拒絶査定に対する審判請求がなされたものである。

【2】この出願の発明
この出願の発明は、前記平成16年2月23日付けの手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲に記載された事項により特定されるものであり、その請求項1に係る発明は、
「ベース部材と、このベース部材の表面に設けられた第一の配線層と、この第一の配線層と同一平面内にあって、この第一の配線層と短絡が発生しない程度の僅かな間隙を介して空間領域を埋めるような第一の浮遊導体層と、前記ベース部材の裏面に設けられた第二の配線層と、この第二の配線層と同一平面内にあって、この第二の配線層と短絡が発生しない程度の僅かな間隙を介して空間領域を埋めるような第二の浮遊導体層と、を有することを特徴とする回路基板。」(以下、「本願発明」という)であると認める。
ここで、本願明細書の特許請求の範囲の請求項1中に、「前記ベース層」と記載されているが、当該請求項1中には「ベース層」なる発明特定事項の記載はなく、かつ、この「前記ベース層」に続く記載では、その裏面に第二の配線層が設けられることになっており、これは「ベース部材の表面に設けられた第一の配線層」と対をなす内容である。
したがって、前記「ベース層」は、「ベース部材」であることが明白であるから、上記のように本願発明を認定した。

【3】原審における拒絶理由の概要
原審における拒絶理由の概要は、
「1.この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
・・・
記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)
請求項:1-3,6
引用文献:1-5
引用文献1-5には、両面プリント配線板にダミーの配線層を設けることによって、表裏両面の金属層の量を略等しくする技術が記載されている。
引用文献等一覧
1.実願昭57-002922号(実開昭58-105166号)のマイクロフィルム
2.実願昭59-119849号(実開昭61-034765号)のマイクロフィルム
3.実願昭61-067086号(実開昭62-178564号)のマイクロフィルム(以下、「引用例」という)
・・・」というものである。

【4】引用例の記載事項および、その開示内容
【4-1】引用例の記載事項
第1頁第5〜10行に、
(引a)「半田面及び部品面にパターンが布設されたプリント配線基板において、前記半田面及び部品面の前記パターンの分布を均一にし、かつ前記半田面と前記部品面とのパターン布設面積を同一にする余剰パターンを布設したことを特徴とするプリント配線基板」と記載され、
第1頁第13,14行に、
(引b)「本考案は、基板の反りを防止することができるプリント配線基板に関する」と記載され、
第2頁第8〜18行に、
(引c)「ところで、回路パターン2,3は熱膨張係数等において基板1とは異なっている。このため上述した従来のプリント配線基板のように回路パターンの面積バランスを考慮していないものにあっては、基板1の表面に働く力が均一にならず基板に反りが生じるという問題があった。これは、回路パターンの面積の片寄りが大きい程顕著になる。この考案は上記事情に鑑みてなされたもので、基板の反りを防止することができるプリント配線基板を提供することを目的とする」と記載され、
第3頁第11行〜第4頁第2行に、
(引d)「第1図の(イ)及び(ロ)は、各々この考案の一実施例によるプリント配線基板の半田面及び部品面を示す図である。この図において10は基板であり、この基板10の半田面(同図(イ)参照)には電源もしくはグランド回路パターン11a及び11bと信号回路パターン12a,12b,12cとが布設されている。又、この半田面には3箇所に余剰パターン13a,13b,13cが布設されている」と記載され、
第4頁第10〜16行に、
(引e)「次に基板10の部品面(同図(ロ)参照)には電源もしくはグランド回路パターン14と、信号回路パターン15a,15bがが布設されている。又、この部品面には、2箇所に余剰パターン16a,16bが布設されている。この余剰パターン16a,16bによって部品面のパターンの分布が均一化されている」と記載され、
第5頁第3〜18行に、
(引f)「これら半田面と部品面においては余剰パターン13a,13b,13c及び16a,16bによって回路パターンの布設面積が等しくなっている。すなわち、半田面における回路パターン11a,11b,12a,12b,12cの面積の総和と、部品面における回路パターン14,15a,15bの面積の総和は等しくなく、余剰パターン13a,13b,13cと16a,16bは半田面におけるパターン面積の総和と、部品面におけるパターン面積の総和を等しくする。すなわち、余剰パターン13a,13b,13c及び16a,16bは半田面及び部品面においてパターンの分布を均一化し、かつ半田面と部品面とのパターンの布設面積を同一にしている」と記載され、
第6頁第1〜15行に、
(引g)「以上の構成において半田面では余剰パターン13a,13b,13cによってパターンの分布が均一化されているため、半田面の表面に働く力が均一化され、パターンの不均一による反りが生じることがなくなる。又、部品面でも余剰パターン16a,16bによってパターンの分布が均一化されているため、部品面の表面に働く力が均一化され、パターンの不均一による反りが生じることがなくなる。さらに、余剰パターン13a,13b,13c及び16a,16bによって半田面と部品面とのパターンの布設面積が等しくなっているので、半田面及び部品面の各々に働く表面力が等しくなり、上下の面に働く表面力が異なることによる反りが生じることがなくなる」と記載され、
第1図に、
(引h)「プリント配線基板の半田面及び部品面(裏表面)に、回路パターンに近接して余剰パターンが布設され、これら回路パターン及び余剰パターンにより配線基板の大部分が覆われたプリント配線基板」が記載されている。

【4-2】引用例の開示内容
前記(引a)〜(引h)の記載事項から、引用例には、
「基板10と、この基板の表面(部品面)に設けられた第一の回路パターン(14,15)と、この第一の回路パターンと同一平面内にあって、この第一の回路パターンと近接して空間領域を埋めるような第一の余剰パターン16と、前記基板の裏面(半田面)に設けられた第二の回路パターン(11,12)と、この第二の回路パターンと同一平面内にあって、この第二の回路パターンと近接して空間領域を埋めるような第二の余剰パターン13と、を有することを特徴とする配線基板」の発明(以下、「引用発明」という)が開示されている。

【5】当審の判断
【5-1】本願発明と引用発明との対比
本願発明と引用発明とを対比すると、
引用発明の「基板」,「第一の回路パターン」,「第二の回路パターン」,「配線基板」は、
本願発明の「ベース部材」,「第一の配線層」,「第二の配線層」,「回路基板」に、それぞれ相当すると認められる。
したがって、両者は「ベース部材と、このベース部材の表面に設けられた第一の配線層と、この第一の配線層と同一平面内にあって、この第一の配線層と近接して空間領域を埋めるような第一のパターン層と、前記ベース部材の裏面に設けられた第二の配線層と、この第二の配線層と同一平面内にあって、この第二の配線層と近接して空間領域を埋めるような第二のパターン層と、を有することを特徴とする回路基板」であることで一致する。
一方、本願発明では「第一,第二のパターン層が、第一,第二の浮遊導体層」であるのに対して、引用発明では「第一,第二のパターン層が、第一,第二の余剰パターン」である点(相違点1)と、本願発明では「第一,第二の配線層と第一,第二の浮遊導体層とが、短絡が発生しない程度の僅かな間隙を介して」存在するのに対して、引用発明では「第一,第二の配線層と第一,第二の余剰パターンとが、近接して」存在する点(相違点2)とで、両者は相違する。

【5-2】相違点の検討
[1]相違点1について、
引用例の記載事項からして、
引用例の「余剰パターン」は、電源もしくはグランドや信号源とは接続されておらず、電気的には、いわゆる「浮いた状態」にある。
また、引用例の「回路パターン」と「余剰パターン」とは、その材料面で何ら区別されていない。
そして、両者が同じ導体材料から形成されていることは、周知でありかつ自明でもある。
したがって、引用例の「余剰パターン」は、本願発明でいう「浮遊導体層」であると認められる。
よって、この相違点1は実質的な差異ではない。

[2]相違点2について、
引用例の記載事項からして、
引用例の回路パターン(配線層)と余剰パターンとは接触ないし短絡はしていない。すなわち、両者は短絡が発生しない程度の間隙を介して近接して布設されている。
そして、本願発明でいう「間隙」が「僅かな」ものであることについては、多分に主観的なものであって、客観的かつ具体的な数値による特定ではない一方、引用例においても、回路パターンと余剰パターンとにより配線基板の大部分が覆われているから、残余の「間隙」は僅かであるともいえる。
要するに、本願発明でいう「配線層と短絡が発生しない程度の僅かな間隙を介して空間領域を埋めるような浮遊導体層」なる特定事項は、当業者が適宜容易に設定したものと認められる。
よって、この相違点2は当業者が容易に想到できたものといえる。

【5-3】発明の作用効果
本願発明において、「ベース部材における被積層面のほぼ全体が配線層および浮遊導体層によって覆われる」ので、「ベース部材における反りによるストレスの発生が抑制される」とともに、「絶縁層の上方・下方に対する水分の浸入を阻止することができる」という作用効果が認められる。
しかし、一方の引用発明においても、「余剰パターンによって半田面と部品面とのパターンの布設面積が等しくなっているので、半田面及び部品面の各々に働く表面力が等しくなり、上下の面に働く表面力が異なることによる反りが生じることがなくなる」とともに、「配線基板の半田面及び部品面(裏表面)に、回路パターンに近接して余剰パターンが布設され、これら回路パターン及び余剰パターンにより配線基板の大部分が覆われ」るので実質的に、水分の浸入を阻止することができる。
したがって、双方の発明の作用効果に格別顕著な差があるとは認め難い。

【6】むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、上記の引用例に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-03-03 
結審通知日 2006-03-07 
審決日 2006-03-22 
出願番号 特願2000-16168(P2000-16168)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 酒井 英夫  
特許庁審判長 池田 正人
特許庁審判官 大嶋 洋一
川真田 秀男
発明の名称 回路基板  
代理人 徳丸 達雄  

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