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審決分類 審判 訂正 2項進歩性 訂正しない C08F
審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正しない C08F
管理番号 1136081
審判番号 訂正2005-39225  
総通号数 78 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1998-06-02 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2005-12-09 
確定日 2006-05-08 
事件の表示 特許第3437069号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.訂正の内容
本件審判請求の要旨は、特許第3437069号(平成9年9月18日特許出願;優先日 平成8年9月19日 日本)の明細書を本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおりに訂正することを求めるものであり、その訂正の内容には、以下の訂正事項a〜cが含まれているものと認める。

訂正事項a
請求項1を削除する。
訂正事項b
請求項2の項番を請求項1に繰り上げ、新請求項1(訂正前の請求項2)の「顔料が酸化チタンである請求項1に記載の光硬化性組成物。」を
「9,10-ジアルコキシアントラセン誘導体のアルコキシ基が炭素数1〜8のアルコキシ基である化合物、または、9,10-ジアラルキルオキシアントラセン誘導体のアラルキルオキシ基が炭素数7〜8のアラルキルオキシである化合物である多環芳香族化合物であり、かつ、330nmよりも長波長にUVスペクトル吸収をもつ少なくとも一種の化合物と、光カチオン重合触媒として作用するジフェニルアルキルスルホニム塩化合物、ジナフチルアルキルスルホニム塩化合物、トリフェニルスルホニム塩化合物、ジフェニルヨードニウム塩化合物、フェニルナフチルヨードニウム塩化合物、ジナフチルヨードニウム塩化合物から選ばれたアリールオニウム塩化合物の少なくとも一種、脂環型エポキシ化合物、ビニルエーテル化合物またはオキセタン化合物であるカチオン重合性化合物、及び酸化チタンからなる光硬化性塗料組成物。」と訂正する。
訂正事項c
請求項3の項番を請求項2に繰り上げ、新請求項2(訂正前の請求項3)の「請求項1または2記載の光硬化性組成物」を「請求項1記載の光硬化性塗料組成物」とする。

2.合議体の判断
2-1.訂正の目的
(1)訂正事項aは請求項1の削除であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(2)訂正事項bは、次の2つの訂正を実質的に含むものである。
(b-1)請求項2の項番を請求項1に繰り上げ、新請求項1の記載を、旧請求項1を引用する形式から独立形式に改める。
(b-2)「光硬化性組成物」を「光硬化性塗料組成物」に訂正する。
これらについてみると、
(b-1)は、訂正事項aによる請求項1の削除に伴い、項番を整理するとともに新請求項1の記載を引用形式から独立形式に改めるものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。
(b-2)は、訂正前の明細書の「本発明の光触媒組成物は、カチオン重合性化合物と混合し、光、電子線、X線等の活性エネルギー線照射により、硬化することが可能であり、特に長波長感光に優れた特性を有するため、光硬化型の塗料、接着剤、インキおよびフォトレジスト、光造形用の感光性樹脂等へ好適に用いられる。」(段落【0001】)及び「本発明の光触媒組成物は、カチオン重合性化合物と混合し、光、電子線、X線等の活性エネルギー線照射により、硬化が可能である。-中略-従って、光硬化型の塗料、接着剤、インキおよびフォトレジスト、光造形用の感光性樹脂等へ好適に用いることができる。」(段落【0034】)との記載に基づいて、光硬化性組成物を光硬化性塗料組成物に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(3)訂正事項cは、次の2つの訂正を実質的に含むものである。
(c-1)請求項3の項番を請求項2に繰り上げ、新請求項2における引用請求項を「請求項1または2」から「請求項1」に訂正する。
(c-2)「光硬化性組成物」を「光硬化性塗料組成物」に訂正する。
これらについてみると、
(c-1)は、訂正事項aによる請求項1の削除に伴い、項番を整理するとともに、引用請求項の項番を整理後のものに改めるものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。
(c-2)は、上記(b-2)と同様、訂正前の明細書の記載に基づいて、光硬化性組成物を光硬化性塗料組成物に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

2-2.独立特許要件
上記のとおり、本件訂正後の明細書(以下、「訂正明細書」という。)の特許請求の範囲の請求項1及び2は、特許請求の範囲の減縮を目的として訂正されたものである。
そこで、訂正後の請求項1及び2に係る発明(以下、「訂正発明1」及び「訂正発明2」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるか否かについて以下に検討する。

2-2-1.訂正発明1及び2
訂正発明1及び2は、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。
「【請求項1】9,10-ジアルコキシアントラセン誘導体のアルコキシ基が炭素数1〜8のアルコキシ基である化合物、または、9,10-ジアラルキルオキシアントラセン誘導体のアラルキルオキシ基が炭素数7〜8のアラルキルオキシである化合物である多環芳香族化合物であり、かつ、330nmよりも長波長にUVスペクトル吸収をもつ少なくとも一種の化合物と、光カチオン重合触媒として作用するジフェニルアルキルスルホニム塩化合物、ジナフチルアルキルスルホニム塩化合物、トリフェニルスルホニム塩化合物、ジフェニルヨードニウム塩化合物、フェニルナフチルヨードニウム塩化合物、ジナフチルヨードニウム塩化合物から選ばれたアリールオニウム塩化合物の少なくとも一種、脂環型エポキシ化合物、ビニルエーテル化合物またはオキセタン化合物であるカチオン重合性化合物、及び酸化チタンからなる光硬化性塗料組成物。
【請求項2】多環芳香族化合物が、9,10-ジメトキシアントラセン、9,10-ジエトキシアントラセン、9,10-ジベンジルアントラセンおよびそれらの誘導体から選ばれる一種以上である請求項1記載の光硬化性塗料組成物。」

2-2-2.特許法第29条第2項違反
(i)訂正拒絶理由の引用刊行物
当審において平成18年1月25日付けで通知された訂正拒絶理由は、訂正発明1及び2が特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないので、本件訂正は特許法第126条第5項の規定(独立特許要件)に違反するというものであり、その証拠として以下の刊行物1〜6が引用された。
刊行物1:特開平8-20728号公報
刊行物2:特開昭59-184220号公報
刊行物3:特開平1-232025号公報
刊行物4:特開平7-292014号公報
刊行物5:特開昭58-157805号公報
刊行物6:特開昭50-56423号公報

(ii)刊行物1〜6の記載事項
刊行物1〜6には、以下の事項が記載されている。
刊行物1
(1-1)「必須の構成成分として、(1)エネルギー線硬化性カチオン重合性有機物質を100重量部、(2)エネルギー線を吸収する芳香族有機化合物を0.001〜5重量部、(3)エネルギー線感受性カチオン重合開始剤を0.01〜15重量部含有することを特徴とする光学的立体造形樹脂組成物。」(特許請求の範囲の請求項1)

(1-2)「本発明の光学的立体造形用樹脂組成物の構成要件となる、(1)エネルギー線硬化性カチオン重合性有機物質とは、エネルギー線照射により活性化したエネルギー線感受性カチオン重合開始剤により高分子化または、架橋反応を起こす化合物をいう。例示すれば、エポキシ化合物、環状ラクトン化合物、環状アセタール化合物、環状チオエーテル化合物、スピロオルソエステル化合物、ビニル化合物などであり、これらの1種または2種以上の配合物を使用することができる。中でもエポキシ化合物が適している。該エポキシ化合物としては、芳香族エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物などが適している。」(段落【0009】)

(1-3)「本発明で用いることができる(1)エネルギー線硬化性カチオン重合性有機物質のエポキシ化合物以外の具体例としては、トリメチレンオキサイド、3,3-ジメチルオキセタン、3,3-ジクロロメチルオキセタン等のオキセタン化合物;・・・エチレングリコールジビニルエーテル、アルキルビニルエーテル、3,4-ジヒドロピラン-2-メチル(3,4-ジヒドロピラン-2-カルボキシレート)、トリエチレングリコールジビニルエーテル等のビニル化合物;・・・等が挙げられる。」(段落【0013】)

(1-4)「本発明で使用する(2)のエネルギー線を吸収する芳香族有機化合物とは、照射されたエネルギー線を一部吸収する芳香族有機化合物であり、好ましくは4から8員環が2個から5個縮合した骨格を持った芳香環を有する有機化合物である。かかる化合物の代表的なものは表1の(1)〜(25)に示される骨格を持ち、骨格中に1つ以上の芳香族性を持った環を有する有機化合物である。」(段落【0015】)

(1-5)「(2)のエネルギー線を吸収する芳香族有機化合物のさらに具体的な例としては、・・・、9,10-ジメトキシアントラセン、9,10-ジエトキシアントラセン、・・・、カルバゾール、・・・、β-ナフトール、・・・等が挙げられる。」(段落【0017】)

(1-6)「本発明で使用する(3)のエネルギー線感受性カチオン重合開始剤とは、エネルギー線照射によりカチオン重合を開始させる物質を放出することが可能な化合物であり、特に好ましいものは、照射によってルイス酸を放出するオニウム塩である複塩またはその誘導体である。かかる化合物の代表的なものとしては、一般式
[R1a R2b R3c R4d Z]m+[MXn+m]m- (A)
で表される陽イオンと陰イオンの塩を挙げることができる。上記一般式(A)中、陽イオンはオニウムであり、ZはS,Se,Te,P,As,Sb,Bi,O,ハロゲン(例えばI,Br,Cl)又はN=Nである。R1 ,R2 ,R3 ,R4 は、炭素数が1〜60で、炭素以外の原子をいくつ含んでもよい有機の基で、同一でも異なってもよい。また、R1 ,R2 ,R3 ,R4 のうち少なくとも1つは、芳香環を有する上記の如き有機の基であることが好ましい。a,b,c,dはそれぞれ0〜3なる整数であってa+b+c+dはは、Zの価数に等しい。Mはハロゲン化物錯体の中心原子である金属又は半金属(Metalloid)であり、B,P,AS,Sb,Fe,Sn,Bi,Al,Ca,In,Ti,Zn,Sc,V,Cr,Mn,Co,等である。Xはハロゲンであり、mは陽イオンの正味の電荷であり、nはMの価数を示す。上記一般式(A)中の陰イオン[MXn+m]m- の具合例としてはテトラフルオロボレート(BF4)-、ヘキサフルオロホスフエート(PF6)-、ヘキサフルオロアンチモネート(SbF6)-、ヘキサフルオロアルセネート(AsF6)-、ヘキサクロロアンチモネート(SbCl6)-等が挙げられる。」(段落【0019】)

(1-7)「本発明では、この様なオニウム塩のなかでも特に芳香族オニウム塩を使用するのが特に有効である。中でも、特開昭50-151997号、特開昭50-158680号公報に記載の芳香族ハロニウム塩、特開昭50-151997号、・・・公報等に記載のVIA族芳香族オニウム塩、・・・ 等が好ましい。」(段落【0021】)

(1-8)「・・・本発明の効果を損なわない限り、必要に応じて熱感応性カチオン重合開始剤、顔料、染料等の着色剤、レベリング剤、消泡剤、増粘剤、難燃剤、酸化防止剤等の各種樹脂添加物を添加することもできるが必須ではない。」(段落【0023】)

(1-9)「本発明の樹脂組成物を硬化させる活性エネルギー線としては、紫外線、電子線、X線、放射線、高周波等があり、紫外線がもっとも好ましい。紫外線の光源としては、紫外線レーザ、水銀ランプ、キセノンランプ、ナトリウムランプ、アルカリ金属ランプ等があるが、集光性が良好なことからレーザ光線が特に好ましい。」(段落【0024】)

(1-10)「実施例1
(1)エネルギー線硬化性カチオン重合性有機物質として、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート80部、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル20部、(2)エネルギー線を吸収する芳香族化合物として、9,10-ジエトキシアントラセン0.01部、(3)エネルギー線感受性カチオン重合開始剤として、ビス-[4-(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィドヘキサフルオロアンチモネート0.2部を用い、これらを40℃の温度条件で十分混合して光学的造形用樹脂を得た。」(段落【0032】)

刊行物2
(2-1)「(1)水、少なくとも一種の、分散されたカチオン状に硬化性の化合物および化学線を照射したとき該硬化性化合物をカチオン重合させることができる感光性オニウム塩を含んでいることを特徴とする水性分散体の形態の組成物。
(2)前記の硬化性化合物が、・・・4-ビニルシクロヘキセンジオキサイド、リモネンジオキサイド、1,2-シクロヘキセンジオキサイド、および3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-シクロヘキサンカルボキシレートから選ばれる一種またはそれ以上の低粘度エポキシ稀釈剤と、一種またはそれ以上の、比較的高分子量のエポキシ樹脂との混合物である特許請求の範囲第1項に記載の組成物。
(3)前記の光開始剤が、式・・・で示されるヨードニウム塩である特許請求の範囲第1または第2項に記載の組成物。
-省略-
(5)前記の光開始剤が、式・・・で示されるスルホニウム塩である特許請求の範囲第1または第2項に記載の組成物。
-省略-
(7)前記の感光性オニウム塩のスペクトル感度を増加させる増感剤も含まれる特許請求の範囲第1〜6項の任意の1項の組成物。
(8)前記の増感剤が、9,10-ジエトキシアントラセンまたはアルキル化9,10-ジエトキシアントラセンである特許請求の範囲第7項に記載の組成物。
-省略-
(12)一種またはそれ以上の、不活性ポリマー充填剤、不活性無機充填剤・・・も含まれる特許請求の範囲1〜11項の任意の1項に記載の組成物。
-省略-
(14)前記の不活性充填剤が、・・・または二酸化チタンである特許請求の範囲12または第13項に記載の組成物。
-以下、省略-」(特許請求の範囲)

(2-2)「本発明では、コーテイングを形成し、これに像を映すような・・・方法で照射して、照射されない部分を、例えば水による洗浄によつて除去し、ステンシル・・・またはレジスト・・・用として好適な像を残すように現像できるコーテイング形成用として好適な光重合性・・・組成物が提供される。」(第3頁左上欄14〜20行)

(2-3)「本発明の組成物は、水、少なくとも一種の分散された、カチオン状に硬化性の化合物および化学線を照射したとき該硬化性化合物をカチオン重合させることができる光開始剤(photoinitiators)としての、一種またはそれ以上の感光性オニウム塩を含む分散体である。前記の組成物が、また、一種またはそれ以上の、分散安定剤としての界面活性剤および水溶性コロイドおよび使用する輻射線に対する光開始剤のスペクトル感度を増加させるのに通常必要とされるスペクトル増感剤(Spectral sensitizers)も含有するのが好ましい。前記の組成物は、また、不活性なポリマー充填剤または無機充填剤、反応性希釈剤、可塑剤、殺生剤(biocides)、脱泡剤、顔料、または発明者等の同時係属出願第8217461号に記載のような化学線照射によって色が変化しうる染料も含有する。」(第4頁左上欄5行〜同頁右上欄1行)

(2-4)「好ましいオニウム塩光開始剤は、ヨードニウムおよびスルホニウム塩である。ヨードニウム塩は、式・・・で示すことができる。
スルホニウム塩は、式・・・で示すことができる。
-中略-
前記の式の好ましい光開始剤は、4,4’-ジメチルジフエニルヨードニウムヘキサフルオロホスフエート、ジフエニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフエニルスルホニウムヘキサフルオロホスフエートおよび4-チオフエノキシフエニル-S-ジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフエートである。」(第4頁右上欄2行〜同頁左下欄19行)

(2-5)「増感剤(Sensitizer)は、光開始剤のスペクトル感度を増加させるのに添加するのが好ましい。好ましい増感剤は、9,10-ジエトキシアントラセンおよび2-アルキル-9,10-ジエトキシアントラセンであり、・・・」(第4頁左下欄20行〜同頁右下欄4行)

(2-6)「本発明の組成物に含むことができるカチオン状に光重合性の物質には、環状ホルマールおよびアセタール、ビニルエーテル、環状エーテル、ラクトーン、ポリシロキサン、尿素-ホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂およびエポキサイドが含まれる。」(第4頁右下欄7〜12行)

(2-7)「ジグリシジルエーテル、グリシジルアクリレート、4-ビニルシクロヘキセンジオキサイド、リモネンジオキサイド、1,2-シクロヘキセンオキサイドおよび3,4-エポキシシクロヘキシルメチル3,4-シクロヘキサンカルボキシレートのような反応性希釈剤を、かようなエポキシ樹脂の粘度改良剤として使用することができる。この反応性希釈剤は、エポキシ樹脂を水性媒質中に分散性にするために必要な場合に使用される。しかし、反応性稀釈剤の過剰な使用は、比較的軟かいフィルムになり、硬化時間が増加するので避けるべきである。」(第5頁左上欄末行〜同頁右上欄11行)

(2-8)「本発明の組成物に、・・・もしくはシリカ、カオリンまたは二酸化チタンのような無機充填剤が含まれることが望ましい。かような充填剤の目的は、乾燥したフイルムの性質を、意図している最終目的により好適になるように改質することである。この充填剤の割合は、組成物の0〜10重量%である。」(第5頁左下欄8〜17行)

刊行物3
(3-1)「光硬化性樹脂に光を照射し、該光の照射された部分を硬化させると共に硬化物を積み重ねる工程を有する光学的造形法において、該光硬化性樹脂に充填材を含有させたことを特徴とする光学的造形法。」(特許請求の範囲の請求項1)

(3-2)「本発明において、前記光硬化性流動物質としては、光照射により硬化する種々の物質を用いることができ、例えば変性ポリウレタンメタクリレート、オリゴエステルアクリレート、・・・を挙げることができる。」(第3頁右上欄12〜17行)

(3-3)「本発明において、充填材としてはケイソウ土、酸化チタン等の金属酸化物、・・・を用いることができる。」(第3頁左下欄5〜9行)

(3-4)「この充填材は、光硬化性樹脂100重量部に対し例えば1〜100重量部の割合とりわけ5〜50重量部の割合で添加するのが好適である。」(第3頁右下欄4〜7行)

刊行物4
(4-1)「シアニン系色素、S-トリアジン化合物、有機ホウ素塩およびエチレン性不飽和化合物を含む近赤外光重合性組成物。」(特許請求の範囲の請求項1)

(4-2)「本発明の近赤外光重合性組成物組成物は、必要に応じて溶媒、顔料、染料、高分子結合剤、熱重合禁止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤および可塑剤のような常套の添加剤と併用することにより光硬化塗料、レーザー製版材料、ホログラム記録材料、光造形用樹脂およびレジスト材料のような光硬化性材料とすることができる。特に、本発明の近赤外光重合性組成物は高い感度を有するので顔料のような光を遮断する添加剤と併用した場合でも内部まで均質に硬化する。」(段落【0030】)

(4-3)「顔料はエチレン性不飽和化合物100重量部に対して0.1〜200重量部、好ましくは1〜40重量部の範囲の量で本発明の近赤外重合性組成物中に含有させることが好ましい。配合量が200重量部を上回ると下層部の硬化が困難となり、0.1重量部を下回ると十分な隠ぺい性が得られなくなる。」(段落【0032】)

刊行物5
(5-1)「a)オレフィン系不飽和光重合性結合剤、 b)顔料又は染料、および c)光開始剤として、少なくとも一つの次式I、II又はIII・・・で表わされる化合物を含む光硬化性着色組成物。」(特許請求の範囲の請求項1)

(5-2)「光開始剤は着色組成物、例えば印刷インク又は塗料、の光硬化を促進するために、照射前に添加されることは知られている。」(第4頁右上欄1〜3行)

(5-3)「本発明の光硬化性組成物は、顔料または染料を含む。組成物は好ましくは顔料を含んでいる。顔料は無機顔料、例えば二酸化チタン(ルチルまたはアナターゼ)、・・・であってよい。」(第26頁右上欄6〜14行)

(5-4)「顔料は、全組成物重量に対して5ないし60重量%で存在してよく、・・・」(第26頁左下欄5〜6行)

刊行物6
(6-1)「紫外線硬化性成分と有機または無機の顔料と光重合開始剤とからなる紫外線硬化性顔料化組成物において、・・・を特徴とする組成物。」(特許請求の範囲)

(6-2)「本発明は顔料化紫外線硬化性組成物に関し、特に紫外線透過率の低い顔料を含有していても、空気中においてさえ容易に硬化し得る無溶媒型塗料組成物に関するものである。」(第1頁左下欄18行〜同頁右下欄1行)

(6-3)「一方例えば白色顔料の中では、酸化チタンが耐候性、隠蔽力及び耐薬品性に最も優れ、酸化チタンを含む紫外線硬化塗料は業界に待望されているものである。
本発明者等は、例えば酸化チタンのごとき紫外線透過率の低い顔料を含む紫外線硬化性組成物について検討を重ねた結果、紫外線硬化性成分としては・・・が特に有用である事が判明した。」(第2頁左上欄6行〜同頁右上欄8行)

(6-4)「本発明組成物における顔料の添加量は、その使用目的や隠蔽力によつて異なるが、本発明者等の検討したところによれば、オリゴポリ(メタ)アクリレート100重量部に対し、顔料が100部以下であれば、紫外線照射により通常の塗膜厚(50μ以下)の硬化が出来る事が判明した。」(第6頁左上欄7〜12行)

(6-5)「実施例1
・・・オリゴポリアクリレート50部と、・・・エポキシ変性モノアクリレート(反応性希釈剤)50部の混合物に、ルチル型酸化チタン・・・を100部、50部、40部、30部、20部、10部又は5部添加し、ボールミルで16時間混練した。顔料化した上記組成物に、光重合開始剤としてベンゾインイソプロピルエーテル1.5%を加え均一に溶解させた。これを・・・冷間圧延鋼板に膜厚が約50μになるようにバーコーターで塗布し、2KWの高圧水銀灯2本を有する紫外線照射装置を用い、照射距離13cmで硬化させた。」(第9頁左下欄1〜17行)

(iii)対比・判断
(1)訂正発明1について
刊行物1には、その特許請求の範囲の請求項1に、「必須の構成成分として、(1)エネルギー線硬化性カチオン重合性有機物質を100重量部、(2)エネルギー線を吸収する芳香族有機化合物を0.001〜5重量部、(3)エネルギー線感受性カチオン重合開始剤を0.01〜15重量部含有することを特徴とする光学的立体造形樹脂組成物」(摘示記載(1-1))が記載されており、この(1)〜(3)成分について「(1)エネルギー線硬化性カチオン重合性有機物質とは、エネルギー線照射により活性化したエネルギー線感受性カチオン重合開始剤により高分子化または、架橋反応を起こす化合物をいう。例示すれば、エポキシ化合物、環状ラクトン化合物、環状アセタール化合物、環状チオエーテル化合物、スピロオルソエステル化合物、ビニル化合物などであり、これらの1種または2種以上の配合物を使用することができる。中でもエポキシ化合物が適している。該エポキシ化合物としては、芳香族エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物などが適している」(摘示記載(1-2))、「(2)のエネルギー線を吸収する芳香族有機化合物とは、照射されたエネルギー線を一部吸収する芳香族有機化合物であり、好ましくは4から8員環が2個から5個縮合した骨格を持った芳香環を有する有機化合物である」(摘示記載(1-4))及び「(3)のエネルギー線感受性カチオン重合開始剤とは、エネルギー線照射によりカチオン重合を開始させる物質を放出することが可能な化合物であり、特に好ましいものは、照射によってルイス酸を放出するオニウム塩である複塩またはその誘導体である」(摘示記載(1-6))と記載されている。更に、刊行物1には、「(1)エネルギー線硬化性カチオン重合性有機物質として、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート80部、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル20部、(2)エネルギー線を吸収する芳香族化合物として、9,10-ジエトキシアントラセン0.01部、(3)エネルギー線感受性カチオン重合開始剤として、ビス-[4-(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィドヘキサフルオロアンチモネート0.2部を用い、これらを40℃の温度条件で十分混合して光学的造形用樹脂を得た」(摘示記載(1-10))との実施例が示されている。
訂正発明1とこの刊行物1に記載された発明とを対比すると、刊行物1に記載された「光学的立体造形樹脂組成物」が「光硬化性」を有することは自明であるから、両者はともに「光硬化性組成物」である点で一致しており、組成物を構成する各成分についてみると、刊行物1に記載された発明における「(1)エネルギー線硬化性カチオン重合性有機物質」は、エネルギー線照射により活性化したエネルギー線感受性カチオン重合開始剤により高分子化等を起こす化合物であり、エポキシ化合物、ビニル化合物などであり、該エポキシ化合物としては、脂環式エポキシ化合物等が適している、とされており、実施例では「3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート」が用いられているところから、訂正発明1における「脂環型エポキシ化合物、ビニルエーテル化合物またはオキセタン化合物であるカチオン重合性化合物」に相当するものである。
また、「(2)エネルギー線を吸収する芳香族有機化合物」は、照射されたエネルギー線を一部吸収する芳香族有機化合物であり、好ましくは4から8員環が2個から5個縮合した骨格を持った芳香環を有する有機化合物、とされ、実施例では「9,10-ジエトキシアントラセン」が用いられているところから、訂正発明1における「9,10-ジアルコキシアントラセン誘導体のアルコキシ基が炭素数1〜8のアルコキシ基である化合物、または、9,10-ジアラルキルオキシアントラセン誘導体のアラルキルオキシ基が炭素数7〜8のアラルキルオキシである化合物である多環芳香族化合物」に相当するものである。そして、本件訂正明細書の、「本発明に使用される増感剤は、330nmよりも長波長にUVスペクトル吸収をもつ化合物であり、置換基として水酸基、置換されていてもよいアラルキルオキシ基またはアルコキシ基を少なくとも一つ以上を有する多環芳香族化合物またはカルバゾール誘導体である」(段落【0015】)、「多環芳香族化合物としては、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、クリセン誘導体、フェナントレン誘導体が好ましい。置換基であるアルコキシ基としては、炭素数1〜18のものが好ましく、特に炭素数1〜8のものが好ましい」(段落【0016】)及び「本発明に使用できる増感剤を例示すると、・・・、9,10-ジメトキシアントラセン、・・・9,10-ジエトキシアントラセン、・・・等のアントラセン誘導体、・・・などを挙げることができる。これら誘導体の中でも、特に炭素数1〜4のアルキル基を置換基として有していても良い9,10-ジアルコキシアントラセン誘導体が好ましく、アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基が好ましい」(段落【0017】)との記載からみて、刊行物1の実施例において「(2)エネルギー線を吸収する芳香族有機化合物」として用いられている9,10-ジエトキシアントラセンは、訂正発明1における「330nmよりも長波長にUVスペクトル吸収をもつ少なくとも一種の化合物」にも該当するものということができる。
更に、刊行物1に記載された発明における「(3)エネルギー線感受性カチオン重合開始剤」は、エネルギー線照射によりカチオン重合を開始させる物質を放出することが可能な化合物であり、特に好ましいものは、照射によってルイス酸を放出するオニウム塩である複塩またはその誘導体である、とされ、実施例では「ビス-[4-(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィドヘキサフルオロアンチモネート」、即ちトリフェニルスルホニウム塩化合物が用いられているところから、訂正発明1における「光カチオン重合触媒として作用するジフェニルアルキルスルホニム塩化合物、ジナフチルアルキルスルホニム塩化合物、トリフェニルスルホニム塩化合物、ジフェニルヨードニウム塩化合物、フェニルナフチルヨードニウム塩化合物、ジナフチルヨードニウム塩化合物から選ばれたアリールオニウム塩化合物の少なくとも一種」に相当するものである。
そうすると、訂正発明1と刊行物1に記載された発明とは、ともに、
「9,10-ジアルコキシアントラセン誘導体のアルコキシ基が炭素数1〜8のアルコキシ基である化合物、または、9,10-ジアラルキルオキシアントラセン誘導体のアラルキルオキシ基が炭素数7〜8のアラルキルオキシである化合物である多環芳香族化合物であり、かつ、330nmよりも長波長にUVスペクトル吸収をもつ少なくとも一種の化合物と、光カチオン重合触媒として作用するジフェニルアルキルスルホニム塩化合物、ジナフチルアルキルスルホニム塩化合物、トリフェニルスルホニム塩化合物、ジフェニルヨードニウム塩化合物、フェニルナフチルヨードニウム塩化合物、ジナフチルヨードニウム塩化合物から選ばれたアリールオニウム塩化合物の少なくとも一種、脂環型エポキシ化合物、ビニルエーテル化合物またはオキセタン化合物であるカチオン重合性化合物からなる光硬化性組成物」
である点で一致しているが、訂正発明1における以下の点について、刊行物1には記載されていない点で、これらの発明の間には一応の相違が認められる。
(あ)光硬化性組成物が「酸化チタン」を含む点、及び
(い)光硬化性組成物が「光硬化性塗料組成物」である点

そこでこれらの相違点について検討する。
刊行物4には、「本発明の近赤外光重合性組成物は、必要に応じて溶媒、顔料、染料、高分子結合剤、熱重合禁止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤および可塑剤のような常套の添加剤と併用することにより光硬化塗料、レーザー製版材料、ホログラム記録材料、光造形用樹脂およびレジスト材料のような光硬化性材料とすることができる」(摘示記載(4-2))と記載されており、また、本件訂正明細書自体にも「本発明の光触媒組成物は、・・・光硬化型の塗料、接着剤、インキおよびフォトレジスト、光造形用の感光性樹脂等へ好適に用いられる」(段落【0001】)と記載されているように、塗料と光造形は光重合性組成物の普通の用途に過ぎず、同じ光重合性組成物をこれらいずれの用途にも供し得ることが知られていたものというべきである。
請求人はこの点について訂正拒絶理由通知に対する平成18年2月23日付けの意見書において、刊行物4に記載された組成物は訂正発明1のように光カチオン硬化を利用する組成物ではなく近赤外光を用いて光ラジカル硬化させるものであり、また、本件訂正明細書の段落【0001】の記載は、「(顔料を含まない)クリア系」と「酸化チタンを含有する顔料系」の両方の組成物についての好ましい用途を同列に並べたものであり、「光造形用の感光性樹脂」はクリア系組成物の好ましい用途として記載したものである、旨主張している。
しかしながら、刊行物4には、顔料等の添加剤と併用することにより光重合性組成物を光硬化塗料や光造形用樹脂等の種々の用途に供し得る、という広い技術思想が開示されているのであり、これに基づいて、刊行物1に記載された光硬化性組成物について光造形用樹脂以外に光硬化塗料としての使用を試みることは、当業者が特に困難を伴うことなくなし得たものというべきである。
なお、本件訂正明細書の上記記載においても、顔料の有無はさておき、光触媒組成物が光硬化型の塗料や光造形用の感光性樹脂等に用い得ることが開示されているのであり、このような多種の用途への適用が当業界で広く知られていたことを窺わせるものである。
したがって、刊行物1に記載された発明において訂正発明1の(い)のように、光硬化性組成物を「塗料組成物」とする点に困難性は見出せない。

次に、刊行物1に記載された発明において上記のように光硬化性組成物を塗料組成物とした場合、該塗料組成物中に訂正発明1の(あ)のように酸化チタンを配合することの容易性について検討する。
刊行物1には「本発明の効果を損なわない限り、必要に応じて熱感応性カチオン重合開始剤、顔料、染料等の着色剤、レベリング剤、消泡剤、増粘剤、難燃剤、酸化防止剤等の各種樹脂添加物を添加することもできる」(摘示記載(1-8))と記載されており、光学的立体造形樹脂組成物中の任意成分として顔料が挙げられている。
一方、刊行物3には、その特許請求の範囲に「光硬化性樹脂に充填材を含有させたことを特徴とする光学的造形法」(摘示記載(3-1))が記載されており、光硬化性流動物質としては光照射により硬化する種々の物質を用いることができること(摘示記載(3-2))及び充填材として酸化チタン等を用いること(摘示記載(3-3))も記載されている。
また、着色性を有する無機系充填材を「顔料」と称するのは通常行われていることであり、塗料等に用いられる光硬化性組成物に顔料あるいは充填材として酸化チタンを配合することは、刊行物2(摘示記載(2-1))、刊行物5(摘示記載(5-1)〜(5-3))及び刊行物6(摘示記載(6-1)〜(6-3))に記載されているように、本件の出願前に当業界で周知のことにすぎない。
特に、刊行物2には、その特許請求の範囲に、カチオン状に硬化性の化合物および化学線を照射したとき該硬化性化合物をカチオン重合させることができる感光性オニウム塩を含む水性分散体の形態の組成物(請求項1)、該組成物が9,10-ジエトキシアントラセン等の増感剤を含むこと(請求項7、8)及び該組成物が二酸化チタン等の不活性無機充填剤を含むこと(請求項12、14)が記載(摘示記載(2-1))されている。また、発明の詳細な説明には、感光性オニウム塩(光開始剤)としてジフエニルヨードニウムヘキサフルオロホスフエート等を用いること(摘示記載(2-4))及びカチオン状に光重合性の物質にはビニルエーテル等が含まれること(摘示記載(2-6))が記載されており、更に、該組成物がステンシル用等のコーテイング形成用として好適な光重合性組成物(摘示記載(2-2))であること、及び、乾燥したフイルムの性質を改質する目的で該組成物に二酸化チタンのような無機充填剤を0〜10重量%含ませること(摘示記載(2-8))も記載されている。
即ち、刊行物2には、9,10-ジアルコキシアントラセン等の多環芳香族化合物、光カチオン重合触媒として作用するジフェニルヨードニウム塩化合物等のアリールオニウム塩化合物、及び、ビニルエーテル化合物を含み得る点で刊行物1に記載された発明と一致する光硬化性組成物が記載されており、このような組成物をコーティング形成用とすること、及び、該組成物中に乾燥フィルムの改質を目的として二酸化チタン等の無機充填剤を0〜10重量%含ませることも記載されているのであって、このコーティング形成用の組成物は基材表面に塗膜を形成するものであるから塗料組成物というべきものである。
そして、上記のとおり、刊行物1に記載された組成物を塗料組成物に転用することは当業者が容易になし得たものであるから、塗料等に用いられる光硬化性組成物に顔料あるいは充填材として酸化チタンを配合する上記周知技術、特に、刊行物1に記載されたものと同様の成分を含み得る塗料組成物に酸化チタン等を配合する刊行物2に記載された技術を刊行物1に記載された発明に付加して、訂正発明1のように、酸化チタンを配合した光硬化性塗料組成物という(あ)及び(い)の構成を備えたものとする点に困難性はないものというべきである。
したがって、訂正発明1は、刊行物1〜6に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
なお、この点について請求人は上記意見書中で、カチオン系光硬化性組成物中に酸化チタンを配合すると光エネルギーの大半が酸化チタンに吸収されてしまうので、刊行物1に記載された発明において酸化チタンを配合する点には困難性があった旨主張している。
しかしながら、光硬化性組成物を塗料とする場合、酸化チタン等の充填材の配合量は組成物の100重量%以下の範囲で適宜設定し得るものであり(摘示記載(2-8)、(5-4)、(6-5))、また、刊行物2に記載された組成物のように、カチオン性の光重合性物質とともに酸化チタンを用いることを特に排除していないもの(摘示記載(2-6)、(2-8))が知られている。
そうすると、刊行物1に記載された発明を塗料として用いる場合、酸化チタンを配合すること自体に困難性はなく、その配合量も任意に決定し得るものであり、訂正発明1のようにゼロに近いごく微量をも含む任意の配合量で酸化チタンを配合しても、光エネルギーの吸収という弊害が必ず生ずるということはできないから、請求人の主張は採用することができない。

(2)訂正発明2について
訂正発明2は、訂正発明1において「多環芳香族化合物が、9,10-ジメトキシアントラセン、9,10-ジエトキシアントラセン、9,10-ジベンジルアントラセンおよびそれらの誘導体から選ばれる一種以上である」との限定を付したものであるが、上記のように、刊行物1には、該多環芳香族化合物に対応する成分である「(2)エネルギー線を吸収する芳香族有機化合物」として9,10-ジメトキシアントラセン及び9,10-ジエトキシアントラセンを用いること(摘示記載(1-5))が記載されているのであるから、訂正発明2における限定事項についても刊行物1に明示されている。
したがって、訂正発明2は、上記(1)と同様の理由により、刊行物1〜6に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

3.むすび
以上のとおりであるから、訂正発明1及び2は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
したがって、本件審判の請求は、特許法第126条第5項の規定に適合しないので、拒絶すべきものである。
 
審理終結日 2006-03-08 
結審通知日 2006-03-10 
審決日 2006-03-22 
出願番号 特願平9-272183
審決分類 P 1 41・ 121- Z (C08F)
P 1 41・ 856- Z (C08F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小出 直也  
特許庁審判長 井出 隆一
特許庁審判官 藤原 浩子
佐野 整博
登録日 2003-06-06 
登録番号 特許第3437069号(P3437069)
発明の名称 光触媒組成物  
代理人 廣田 雅紀  
代理人 堀内 真  
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