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審決分類 |
審判 査定不服 特36 条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない。 C12N 審判 査定不服 4項(5項) 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 C12N |
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管理番号 | 1136101 |
審判番号 | 不服2001-17451 |
総通号数 | 78 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1997-11-04 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2001-10-01 |
確定日 | 2006-05-10 |
事件の表示 | 平成 8年特許願第294439号「急性呼吸性疾患に関連する独特のクラミジア株の検出」拒絶査定不服審判事件〔平成 9年11月 4日出願公開、特開平 9-285288〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願は、1987年5月1日(パリ条約による優先権主張1986年5月1日、米国)を国際出願日とする特願昭62-502959号の一部を平成8年10月16日にあらたな出願(特願平8-294439号)としたものの一部を、更に平成10年8月10日に新たな出願(特願平10-236626号)としたものであって、その発明の要旨は、平成13年10月29日付けの手続補正書により補正された明細書の記載からみて、その特許請求の範囲の、発明の構成に欠くことができない事項のみを記載した請求項1、8、15に記載された、以下のとおりのものと認められる(以下、それぞれ本願発明1、2、3という。)。 「【請求項1】 クラミジア・プネウモニアエ(Chlamydiae pneunoniae)に由来する全染色体DNA又はランダムDNA断片である、クラミジア・プネウモニアエのDNAに特異的にハイブリダイズする単離されたオリゴヌクレオチドプローブ。 【請求項8】 生物学的サンプル中のクラミジア・プネウモニアエの存在を検出する方法において、 クラミジア・プネウモニアエを含むと疑われる生物学的サンプルを処理して該サンプルに関連するDNAを単離し; 前記単離されたDNAを支持体に固定し; 前記固定されたDNAを担持する前記支持体を、クラミジア・プネウモニアエのDNAに特異的にハイブリダイズする単離されたオリゴヌクレオチドプローブと共にインキュベートし、ここで該プローブは、クラミジア・プネウモニアエに由来する全染色体DNAプローブ又はランダムDNA断片であり; 前記支持体から、ハイブリダイズしていないプローブを分離し;そして 前記支持体に固定されたDNAに関連するラベルの量を測定し、そしてクラミジア・プネウモニアエの存在又は不存在を決定する; ことを含んで成る方法。 【請求項15】 生物学的サンプル中のクラミジア・プネウモニアエの存在を検出する方法において、 クラミジア・プネウモニアエを含むと疑われる生物学的サンプルを処理して該サンプル中のDNAを放出せしめ;そして 前記処理されたサンプルのDNAを、クラミジア・プネウモニアエの単離株由来のオリゴヌクレオチド分子と共にインキュベートし、ここで、該オリゴヌクレオチド分子は、クラミジア・プネウモニアエのDNA配列の少なくとも部分と特異的にハイブリダイズすることが出来るものであり、そしてこれにより、前記サンプル中のクラミジア・プネウモニアエの存在又は不存在を決定する; ことを含んで成る方法。」 2.原審が平成11年10月18日付で通知した拒絶理由 本願に対し、原審は、平成11年10月18日付で、以下の拒絶理由を通知している。 「この出願は、明細書及び図面の記載が下記の点で、特許法第36条第3項又は第4項又は第5項に規定する要件を満たしていない。」 3.当審の判断 (3-1)上記拒絶理由通知の後、本件審判請求後の平成13年10月29日付で上述の手続補正書が提出され、本願特許請求の範囲は上述のとおり補正されている。 (3-2)これにつき、当審は、平成17年8月1日付で、審判請求人に対して、本願出願は以下の点からみて原審が平成11年10月18日付で通知した拒絶理由により拒絶すべきものであると考られる旨指摘し、これについて意見があれば述べるよう、審尋した。 「本願発明1〜3は、以下の点で、発明の構成が不明瞭であり、また、当業者が容易に実施することができる程度に本願明細書にその目的、構成、効果が記載されておらず、本願出願は、本願発明について、特許法第36条第3項及び第4項に規定する要件を満たしていない。 (1)本願発明1、2における「クラミジア・プネウモニアエに由来する全染色体DNA又はランダムDNA断片」という記載では、クラミジア・プネウモニアエのDNAに特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブが特定されているとはいえず、特許を受けようとする発明の構成が明確でない(この点を解消するためには、「クラミジア・プネウモニアエ」を「ATCCに寄託番号第53592号で寄託されたクラミジア株」のように特定するとともに、本願優先日前にATCCに当該株を寄託した事実を証明するATCCの受託証の写しを提出することが必要である。)。 (2)本願発明1、2における「クラミジア・プネウモニアエに由来する全染色体DNA又はランダムDNA断片」について、本願明細書には、任意の「ニックトランスレートされた全染色体DNA」および「ランダムDNA断片」が「クラミジア・プネウモニアエのDNAに特異的にハイブリダイズする」ことは裏付けられておらず、本願明細書は、この点につき、当業者が本願発明1、2を容易に実施することができる程度に記載されていない(クラミジア・プネウモニアエのDNA断片であれば、どのような長さや部位のものであっても、他のクラミジア属のDNAとハイブリダイズせず、クラミジア・プネウモニアエのDNAとのみハイブリダイズするとは考えられない。この点については、「制限酵素PstIによる約900bp、約1200bp、約3200bp又は約3800bpの消化断片」とすれば、解消する。なお、本願当初明細書には、クラミジア・プネウモニアエのDNAに特異的にハイブリダイズしたニックトランスレートされた全染色体プローブが400〜800bpであることは記載されておらず、制限酵素PstIによる約500bpの消化断片がクラミジア・プネウモニアエのDNAに特異的にハイブリダイズしたことも記載されていない。)。 (3)本願発明2は、オリゴヌクレオチドプローブが検出可能なマーカーによりラベルされたものであることが記載されていないので、測定されるラベルの由来が明らかでなく、特許を受けようとする発明の構成が明確でない。 (4)本願発明3における「クラミジア・プネウモニアエの単離株由来のオリゴヌクレオチド分子」であって、「クラミジア・プネウモニアエのDNA配列の少なくとも部分と特異的にハイブリダイズすることが出来るもの」という記載では、クラミジア・プネウモニアエのDNAに特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブが特定されているとはいえず、特許を受けようとする発明の構成が明確でない(請求項16のように特定しても、本願明細書には当該発明の効果を裏付ける記載がないので、特許性を有さない。)。」 (3-3)これにつき、審判請求人からは、何ら回答がなかった。 してみると、請求人は上記審尋で当審が指摘した事項のいずれについても反論できなかったと解されるから、先の拒絶理由は妥当なものであるといえ、本願発明1〜3は、発明の構成が不明瞭であり、また、当業者が容易に実施することができる程度に本願明細書にその目的、構成、効果が記載されていないとすべきものであるといえる。 4.むすび 以上のとおりであるから、本特許出願は、特許法第36条第3項及び第4項に規定する要件を満たしていない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2005-12-01 |
結審通知日 | 2005-12-06 |
審決日 | 2005-12-27 |
出願番号 | 特願平8-294439 |
審決分類 |
P
1
8・
531-
Z
(C12N)
P 1 8・ 532- Z (C12N) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 鵜飼 健、小暮 道明 |
特許庁審判長 |
種村 慈樹 |
特許庁審判官 |
佐伯 裕子 長井 啓子 |
発明の名称 | 急性呼吸性疾患に関連する独特のクラミジア株の検出 |
代理人 | 石田 敬 |
代理人 | 西山 雅也 |