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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  C02F
管理番号 1136198
異議申立番号 異議2003-73864  
総通号数 78 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1999-01-06 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-12-25 
確定日 2006-03-13 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3471567号「浄水器」の請求項1、2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3471567号の請求項1、2に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯

本件特許第3471567号は、平成9年6月12日に特許出願され、平成15年9月12日に特許権の設定登録がなされ、その後、特許異議申立人東レ株式会社より、特許異議の申立てがなされ、取消理由が通知され、その指定期間内である平成17年1月7日付けで訂正請求がなされ、その後、特許異議申立人東レ株式会社より、上申書の提出がなされたものである。

2.訂正の適否

2-1.訂正の内容

本件訂正の内容は、本件特許明細書を、訂正請求書に添付された訂正明細書のとおりに訂正すること、即ち、下記訂正事項(a)ないし(c)のとおりに訂正しようとするものである。

訂正事項(a)
【特許請求の範囲】の、
「【特許請求の範囲】
【請求項1】 浄水器本体に着脱自在に取り付けられ、内部に導入された原水を濾過する濾過カートリッジと、
該濾過カートリッジの使用開始以後に該濾過カートリッジ内を流れた水の積算流量を算出する積算流量算出手段と、
該積算流量算出手段により算出された積算流量と該濾過カートリッジの基準寿命到達積算流量とを比較する比較手段とを備えた浄水器において、
該濾過カートリッジは、該濾過カートリッジの寿命到達積算流量を識別可能とする寿命到達積算流量識別部を備えてなり、
該濾過カートリッジが該浄水器本体に取り付けられたときに、該寿命到達積算流量識別部から該濾過カートリッジの寿命到達積算流量を識別して、そのデータを該基準寿命到達積算流量として該比較手段に供給する寿命到達積算流量設定部を備えてなることを特徴とする浄水器。
【請求項2】 請求項1記載の浄水器において、前記比較手段による比較結果を報知する報知手段を備えてなることを特徴とする浄水器。」
との記載を、
「【特許請求の範囲】
【請求項1】 浄水器本体に着脱自在に取り付けられ、内部に導入された原水を濾過する濾過カートリッジと、
該濾過カートリッジの使用開始以後に該濾過カートリッジ内を流れた水の積算流量を算出する積算流量算出手段と、
該積算流量算出手段により算出された積算流量と該濾過カートリッジの基準寿命到達積算流量とを比較する比較手段とを備えた浄水器において、
該濾過カートリッジは、該濾過カートリッジの寿命到達積算流量を識別可能とする寿命到達積算流量識別部を備えてなり、
異種の該濾過カートリッジが該浄水器本体に取り付けられたときに、該寿命到達積算流量識別部から該濾過カートリッジの寿命到達積算流量を識別して、そのデータを該基準寿命到達積算流量として該比較手段に供給する寿命到達積算流量設定部を備えてなり、
前記濾過カートリッジに設けられた寿命到達積算流量識別部は、磁性体又は突部であり、且つ前記浄水器本体と接続されて該浄水器本体から前記原水が導入される前記濾過カートリッジの原水導入口と同一面に設けられていることを特徴とする浄水器。
【請求項2】 請求項1記載の浄水器において、前記比較手段による比較結果を報知する報知手段を備えてなることを特徴とする浄水器。」
と訂正する。

訂正事項(b)
段落【0008】の
「【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明は、以下の構成を採用している。
請求項1記載の浄水器は、浄水器本体に着脱自在に取り付けられ、内部に導入された原水を濾過する濾過カートリッジと、該濾過カートリッジの使用開始以後に該濾過カートリッジ内を流れた水の積算流量を算出する積算流量算出手段と、該積算流量算出手段により算出された積算流量と該濾過カートリッジの基準寿命到達積算流量とを比較する比較手段とを備えた浄水器において、該濾過カートリッジは、該濾過カートリッジの寿命到達積算流量を識別可能とする寿命到達積算流量識別部を備えてなり、該濾過カートリッジが該浄水器本体に取り付けられたときに、該寿命到達積算流量識別部から該濾過カートリッジの寿命到達積算流量を識別して、そのデータを該基準寿命到達積算流量として該比較手段に供給する寿命到達積算流量設定部を備えてなることを特徴とする。」
との記載を、
「【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明は、以下の構成を採用している。
請求項1記載の浄水器は、浄水器本体に着脱自在に取り付けられ、内部に導入された原水を濾過する濾過カートリッジと、該濾過カートリッジの使用開始以後に該濾過カートリッジ内を流れた水の積算流量を算出する積算流量算出手段と、該積算流量算出手段により算出された積算流量と該濾過カートリッジの基準寿命到達積算流量とを比較する比較手段とを備えた浄水器において、該濾過カートリッジは、該濾過カートリッジの寿命到達積算流量を識別可能とする寿命到達積算流量識別部を備えてなり、異種の該濾過カートリッジが該浄水器本体に取り付けられたときに、該寿命到達積算流量識別部から該濾過カートリッジの寿命到達積算流量を識別して、そのデータを該基準寿命到達積算流量として該比較手段に供給する寿命到達積算流量設定部を備えてなり、前記濾過カートリッジに設けられた寿命到達積算流量識別部は、磁性体又は突部であり、且つ前記浄水器本体と接続されて該浄水器本体から前記原水が導入される前記濾過カートリッジの原水導入口と同一面に設けられていることを特徴とする。」
と訂正する。

訂正事項(c)
段落【0036】の
「【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係る浄水器によれば、濾過カートリッジの寿命到達積算流量を識別可能とする寿命到達積算流量識別部と、寿命到達積算流量識別部を識別して濾過カートリッジの基準寿命到達積算流量を設定する寿命到達積算流量設定部を備える構成となっている。
これにより、水の使用量の増減に際しても、浄水器を新たに購入することなく、濾過カートリッジに応じて寿命到達積算流量識別部を変更したときに、寿命到達積算流量設定部が変更に対応して寿命到達積算流量を設定することができるという優れた効果を奏するものである。」
との記載を、
「【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係る浄水器によれば、濾過カートリッジの寿命到達積算流量を識別可能とする寿命到達積算流量識別部と、寿命到達積算流量識別部を識別して異種の濾過カートリッジの基準寿命到達積算流量を設定する寿命到達積算流量設定部を備え、寿命到達積算流量識別部は、磁性体又は突部であり、且つ前記浄水器本体と接続されて該浄水器本体から前記原水が導入される前記濾過カートリッジの原水導入口と同一面に設けられている構成となっている。
これにより、水の使用量の増減に際しても、浄水器を新たに購入することなく、濾過カートリッジに応じて寿命到達積算流量識別部を変更したときに、寿命到達積算流量設定部が変更に対応して寿命到達積算流量を設定することができるという優れた効果を奏するものである。」
と訂正する。

2-2.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否

上記訂正事項(a)は、訂正前【請求項1】の「該濾過カートリッジが」から「異種の該濾過カートリッジが」と訂正することはその範囲を減縮するものであり、前記濾過カートリッジに設けられた寿命到達積算流量識別部は、磁性体又は突部であり、「且つ前記浄水器本体と接続されて該浄水器本体から前記原水が導入される前記濾過カートリッジの原水導入口と同一面に設けられていることを特徴とする」構成を附加する訂正は、浄水器の構成の特定化であるから、上記訂正事項(a)は、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当する。
上記訂正事項(b)は、【0008】の記載を、【請求項1】の記載に整合させるために行うものであるから、明りようでない記載の釈明を目的とする訂正に該当するものである。
上記訂正事項(c)は、【0036】の記載を、【請求項1】の記載に整合させるために行うものであるから、明りようでない記載の釈明を目的とする訂正に該当するものである。
そして、上記訂正事項(a)ないし(c)は、段落【0017】、【0019】、【0032】、【0034】、【図2】及び【図3】の記載に基づくものであり、上記訂正事項(a)ないし(c)は、いずれも願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてなされたものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない

2-3.まとめ

以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項において準用する特許法第126条第2項から第4項までの規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.特許異議の申立てについての判断

3-1.本件発明

訂正後の本件請求項1、2に係る発明(以下、「本件発明1、2」という。)は、上記2.で示したように、上記訂正が認められるから、上記訂正請求に係る訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1、2に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
(上記2-1.の訂正事項参照)

「【請求項1】 浄水器本体に着脱自在に取り付けられ、内部に導入された原水を濾過する濾過カートリッジと、
該濾過カートリッジの使用開始以後に該濾過カートリッジ内を流れた水の積算流量を算出する積算流量算出手段と、
該積算流量算出手段により算出された積算流量と該濾過カートリッジの基準寿命到達積算流量とを比較する比較手段とを備えた浄水器において、
該濾過カートリッジは、該濾過カートリッジの寿命到達積算流量を識別可能とする寿命到達積算流量識別部を備えてなり、
異種の該濾過カートリッジが該浄水器本体に取り付けられたときに、該寿命到達積算流量識別部から該濾過カートリッジの寿命到達積算流量を識別して、そのデータを該基準寿命到達積算流量として該比較手段に供給する寿命到達積算流量設定部を備えてなり、
前記濾過カートリッジに設けられた寿命到達積算流量識別部は、磁性体又は突部であり、且つ前記浄水器本体と接続されて該浄水器本体から前記原水が導入される前記濾過カートリッジの原水導入口と同一面に設けられていることを特徴とする浄水器。
【請求項2】 請求項1記載の浄水器において、前記比較手段による比較結果を報知する報知手段を備えてなることを特徴とする浄水器。」

3-2.特許異議の申立ての理由の概要

【理由1】 申立人は、証拠として甲第1ないし5号証を提示し、甲第3ないし5号証を勘案すれば、訂正前の本件請求項1、2に係る発明は下記の刊行物1ないし2に記載された発明であるから、訂正前の本件請求項1、2に係る発明は特許法第29条第1項の規定に違反するものであり、訂正前の本件請求項1、2に係る発明に係る特許は取り消されるべきであると主張している。

【理由2】 申立人は、証拠として甲第1ないし5号証を提示し、訂正前の本件請求項1、2に係る発明は下記の甲第1号証ないし甲第5号証の記載に基づいて当業者が容易に想到し得る発明であるから、訂正前の本件請求項1、2に係る発明は特許法第29条第2項の規定に違反するものであり、訂正前の本件請求項1、2に係る特許は取り消されるべきであると主張している。

刊行物1:特開平8-10752号公報(甲第1号証)
刊行物2:米国特許第5628895号明細書(異議2003-73866号の甲第2号証)
甲第2号証:特開平8-206648号公報
甲第3号証:特開昭62-95552号公報
甲第4号証:特開平2-160262号公報
甲第5号証:特開平4-284807号公報
甲第6号証:日立製作所・日立家電、「ミニロカ」のカタログ 平成2年1月
甲第7号証:三友新聞、「トレビーノ・カセッティーHi」に関する記事 平成9年5月29日発行

3-3.取消理由の概要

訂正前の本件請求項1、2に係る発明は刊行物1ないし刊行物2の記載に基づいて当業者が容易に想到し得る発明であるから、訂正前の本件請求項1、2に係る発明は特許法第29条第2項の規定に違反するものであり、訂正前の本件請求項1、2に係る特許は取り消すべきものと認められるというものである。

3-4.刊行物の記載

3-4-1.上記刊行物1の記載事項

(1-ア)「カートリッジ装着後の積算流量及び/又は積算時間を測定し、カートリッジ交換時期を使用者に表示警告する機能を有する浄水器において、カートリッジ交換時以外にカートリッジを脱着した時、それまで積算された積算値が初期化されることのない浄水器を得ること。」(第1頁の要約)
(1-イ)「本発明は・・・濾過材を格納したカートリッジにより、水道水を浄水濾過する浄水器に係り、特にカートリッジの装着後の積算使用流量及び/又は積算時間の計測を行うことにより、カートリッジの交換時期を使用者に表示する機能を有する浄水器に関する。」(第2頁左欄第21〜26行)
(1-ウ)「計測部は、流量検出部からの出力により使用流量を積算するとともに、カートリッジを装着してからの時間を積算し、これら積算値が、予めカートリッジ寿命から算出して設定した設定値に達したとき、計測部に配設された表示部を点灯させる。」(第3頁左欄第12〜16行)
(1-エ)「新しいカートリッジを装着すると、管理記号検出部が、カートリッジ表面に印刷された管理記号部の管理記号を読み込み、計測部に出力を行う。」(第3頁右欄第16〜18行)
(1-オ)「カートリッジ内に埋め込んで用いる管理記号部としては、プラスチック若しくはゴムマグネットの微小着磁体等が挙げられる。」(第2頁右欄第30〜33行)
(1-カ)「計測部は、以前装着されていたカートリッジの管理記号を記憶しているので、以前の管理記号と新しく装着されたカートリッジの管理記号の比較を行い、同一でない場合には、新しい管理記号を計測部に記憶するとともにそれまで積算された積算使用量と積算時間のデータをリセットして、新たに初期値積算を開始する。」(第3頁右欄第18〜24行)
(1-キ)「本発明の浄水器は、カートリッジを取り外した後、同じカートリッジを装着しても、計測部において積算されたカートリッジ装着後の使用流量、時間の積算値が消去されることがなく、それまでの積算値に加算して積算を開始する」(第3頁右欄第31〜35行)

3-4-2.上記刊行物2の記載事項

( 2-ア)「濾過カートリッジは、配管と取替え可能な構造で、それぞれ異なる内部構造と濾材を持つカートリッジの複数の中から選択できる。」(第8欄第37〜41行)

3-5.当審における判断

3-5-1.取消理由について

3-5-1-1.本件発明1について

上記刊行物1の(1-イ)の「水道水を浄水濾過する交換可能な濾過カートリッジ」は本件発明1の「浄水器本体に着脱自在に取り付けられ、内部に導入される原水を濾過する濾過カートリッジ」に対応する。
上記刊行物1の(1-イ)の「カートリッジの装着後の積算使用流量の計測手段」及び(1-ウ)の「流量検出部からの出力により使用流量を積算する手段」は本件発明1の「該濾過カートリッジの使用開始以後に該濾過カートリッジ内を流れた水の積算流量を算出する積算流量算出手段」に対応する。
上記刊行物1の(1-ウ)の「積算値が予めカートリッジ寿命から算出して設定値に達したときを確認する手段」は本件発明1の「積算流量算出手段により算出された積算流量と該濾過カートリッジの基準寿命到達積算流量とを比較する比較手段」に対応する。
上記刊行物1の(1-エ)の「カートリッジ表面に印刷された管理記号部の管理記号」及び(1-オ)の「カートリッジ内に埋め込んで用いる管理記号部としては、プラスチック若しくはゴムマグネットの微小着磁体」は本件発明1の「寿命到達積算流量識別部(具体的には磁性体25)」に対応する。
上記刊行物1の(1-ウ)の「予めカートリッジ寿命から算出して設定した設定値」は本件発明1の「寿命到達積算流量設定部」に対応している。
この点をふまえて、上記刊行物1の記載事項についてみるに、上記刊行物1には、記載(1-ア)、(1-エ)、(1-キ)からして「寿命が同じで残存寿命が異なる同種の濾過カートリッジの識別部を識別し、カートリッジ交換時にカートリッジを着脱した時には、新たに装着された同種のカートリッジが脱着された同種のカートリッジとは別のものであるかどうかを検出する検出手段で識別し、新たに装着された同種のカートリッジが脱着された同種のカートリッジとは別のものであると識別した時はそれまで積算された積算値が初期化され、新たに装着された同種のカートリッジが脱着された同種のカートリッジとは別のものでないと識別した時はそれまで積算された積算値が初期化されることのない、濾過カートリッジを流れる水の積算流量を算出する積算流量算出手段」が記載されており、記載(1-ア)、(1-ウ)からして「寿命の同一の同種のカートリッジに固有の単一の寿命到達積算流量を設定する寿命到達積算流量設定部」が記載されていることからして、刊行物1の記載を本件発明1の記載ぶりに則って整理すると、
「浄水器本体に着脱自在に取り付けられ、内部に導入された原水を濾過する濾過カートリッジと、
該濾過カートリッジの使用開始以後に該濾過カートリッジ内を流れた水の積算流量を算出する、寿命が同じで 残存寿命が異なる同種の濾過カートリッジに設けられた識別部を識別し、カートリッジ交換時にカートリッジを着脱した時には、新たに装着された同種のカートリッジが脱着された同種のカートリッジとは別のものであるかどうかを検出する検出手段で識別し、新たに装着された同種のカートリッジが脱着された同種のカートリッジとは別のものであると識別した時はそれまで積算された積算値が初期化され、新たに装着された同種のカートリッジが脱着された同種のカートリッジとは別のものでないと識別した時はそれまで積算された積算値が初期化されることのない、積算流量算出手段と、
該積算流量算出手段により算出された積算流量と該濾過カートリッジの基準寿命到達積算流量とを比較する比較手段とを備えた浄水器において、
該濾過カートリッジは、寿命が同じで 残存寿命が異なる同種の濾過カートリッジを識別可能とする識別部を備えてなり、
該濾過カートリッジが該浄水器本体に取り付けられたときに、寿命の同一の同種のカートリッジに固有の単一の寿命到達積算流量を設定する寿命到達積算流量設定部を備えてなり、
前記濾過カートリッジに設けられた寿命到達積算流量識別部は、カートリッジ表面に印刷された管理記号又はカートリッジ内に埋め込んで用いるプラスチック若しくはゴムマグネットの微小着磁体であることを特徴とする浄水器。」(以下、「刊行物1発明」という。)
が記載されていると云える。
そこで、本件発明1と上記刊行物1発明とを対比すると、両者は、
「浄水器本体に着脱自在に取り付けられ、内部に導入された原水を濾過する濾過カートリッジと、
該濾過カートリッジの使用開始以後に該濾過カートリッジ内を流れた水の積算流量を算出する積算流量算出手段と、
該積算流量算出手段により算出された積算流量と該濾過カートリッジの基準寿命到達積算流量とを比較する比較手段とを備えた浄水器において、
該濾過カートリッジは、該濾過カートリッジを識別可能とする識別部を備えてなり、
該濾過カートリッジが該浄水器本体に取り付けられたときに、寿命到達積算流量を設定する寿命到達積算流量設定部を備えてなり、
前記濾過カートリッジに設けられた寿命到達積算流量識別部は、磁性体であることを特徴とする浄水器。」
である点で一致するが、

本件発明1では「異種の該濾過カートリッジが該浄水器本体に取り付けられたときに、該寿命到達積算流量識別部から該濾過カートリッジの寿命到達積算流量を識別して、そのデータを該基準寿命到達積算流量として該比較手段に供給する寿命到達積算流量設定部」であるのに対し、上記刊行物1発明では「寿命の同一の同種のカートリッジに固有の単一の寿命到達積算流量を設定する寿命到達積算流量設定部」である点(相違点1)、
本件発明1は「濾過カートリッジの寿命到達積算流量を識別可能とする寿命到達積算流量識別部」であるのに対して、上記刊行物1発明では「寿命が同じで 残存寿命が異なる同種の濾過カートリッジを識別可能とする識別部」である点(相違点2)、
本件発明1では「原水が浄水部流入路を通過しているときに作動して積算流量を算出する積算流量算出手段」であるのに対し、上記刊行物1発明では「該濾過カートリッジの使用開始以後に該濾過カートリッジ内を流れた水の積算流量を算出する、寿命が同じで残存寿命が異なる同種の濾過カートリッジを識別し、カートリッジ交換時にカートリッジを着脱した時には、新たに装着された同種のカートリッジが脱着された同種のカートリッジとは別のものであるかどうかを検出する検出手段で識別し、新たに装着された同種のカートリッジが脱着された同種のカートリッジとは別のものであると識別した時はそれまで積算された積算値が初期化され、新たに装着された同種のカートリッジが脱着された同種のカートリッジとは別のものでないと識別した時はそれまで積算された積算値が初期化されることのない、積算流量算出手段」である点(相違点3)、
本件発明1では「前記濾過カートリッジに設けられた寿命到達積算流量識別部が、磁性体であり、且つ前記浄水器本体と接続されて該浄水器本体から前記原水が導入される前記濾過カートリッジの原水導入口と同一面に設けられている」のに対し、上記刊行物1発明では「前記濾過カートリッジに設けられた寿命到達積算流量識別部が、磁性体であるが、且つ前記浄水器本体と接続されて該浄水器本体から前記原水が導入される前記濾過カートリッジの原水導入口と同一面に設けられているものであるかどうかは明記されていない」点(相違点4)、
で相違する。

以下、相違点について検討する。

まず、相違点1について検討する。

刊行物2のポータブル水処理装置は濾過カートリッジを配管と接続するもので、濾過カ-トリッジはそれぞれ異なる内部構造と濾材を持つ複数のもの選択できるものであるが、刊行物2にはこのポータブル水処理装置が「異種の該濾過カートリッジが該浄水器本体に取り付けられたときに、該寿命到達積算流量識別部から該濾過カートリッジの寿命到達積算流量を識別して、そのデータを該基準寿命到達積算流量として該比較手段に供給する寿命到達積算流量設定部」を有することは記載も示唆もされていない。
甲第2号証の浄水器は使用するカートリッジの寿命を検出できるものであるが、甲第2号証にはこの浄水器が「異種の該濾過カートリッジが該浄水器本体に取り付けられたときに、該寿命到達積算流量識別部から該濾過カートリッジの寿命到達積算流量を識別して、そのデータを該基準寿命到達積算流量として該比較手段に供給する寿命到達積算流量設定部」を有することは記載も示唆もされていない。
甲第6号証には「・仕様」として複数種類の本体毎と推測されるカートリッジ本体寿命、及び本体とカートリッジの対応が記載されているが、一種類の本体に対して寿命の異なる異種の濾過カートリッジが交換可能である点については何ら記載されておらず、これらの本体が「異種の該濾過カートリッジが該浄水器本体に取り付けられたときに、該寿命到達積算流量識別部から該濾過カートリッジの寿命到達積算流量を識別して、そのデータを該基準寿命到達積算流量として該比較手段に供給する寿命到達積算流量設定部」を有することは記載も示唆もされていない。
甲7号証には浄水器「トレビーノ・カセッティHi」のカートリッジが、「トレビーノ・カセッティHi」、「トレビーノ・カセッティHi」にも互換性があることが記載されているが、該記載は「4〜5ヶ月」という一種類の寿命を有するカートリッジについてのものであるから、一種類の本体に対して寿命の異なる異種の濾過カートリッジが交換可能である点については何ら記載されておらず、これらの本体が「異種の該濾過カートリッジが該浄水器本体に取り付けられたときに、該寿命到達積算流量識別部から該濾過カートリッジの寿命到達積算流量を識別して、そのデータを該基準寿命到達積算流量として該比較手段に供給する寿命到達積算流量設定部」を有することは記載も示唆もされていない。

してみると、甲第2、6、7号証を勘案して刊行物1ないし2を組み合わせても、上記相違点1の構成は当業者が容易に想到し得るものであるとすることはできない。

そして、本件発明1は、上記の相違点1の構成を採用することにより、「水の使用量の増減に際しても、浄水器を新たに購入することなく、濾過カートリッジに応じて寿命到達積算流量識別部を変更したときに、変更に対応して寿命到達積算流量を設定できるとともに、濾過カートリッジの交換時期の到来を容易に知ることができる」という明細書記載の効果を奏するものである。

したがって、相違点2ないし4について検討するまでもなく、本件発明1は、甲第2、6、7号証を勘案して刊行物1ないし2を組み合わせても、当業者が容易に想到し得るものであるとすることはできない。

そして、甲第3ないし5号証は技術分野がまったく異なるものであって、本件発明1の同一性と容易性の判断の根拠となるものではないから、これらの文献を勘案する異議申立人の主張を採用することもできない。

3-5-1-2.本件発明2について

本件発明2は、本件発明1を引用してさらに限定した発明であるから、上記3-5-1-1.と同じ理由で、甲第2、6、7号証を勘案して刊行物1ないし2を組み合わせてみても、当業者が容易に想到し得るものであるとすることはできない。

3-5-2.申立人のその余の主張について

(理由1について)

上記3-5-1-1.で述べたとおり、甲第1ないし2号証には本件発明1の構成要件である「異種の該濾過カートリッジが該浄水器本体に取り付けられたときに、該寿命到達積算流量識別部から該濾過カートリッジの寿命到達積算流量を識別して、そのデータを該基準寿命到達積算流量として該比較手段に供給する寿命到達積算流量設定部」が記載されておらず、甲第3ないし5号証を勘案することもできないので、本件発明1ないし2は、甲第1ないし2号証に記載された発明ではない。

(理由2について)

上記3-5-1-1.で述べたとおり、甲第1ないし2号証には本件発明1の構成要件である「異種の該濾過カートリッジが該浄水器本体に取り付けられたときに、該寿命到達積算流量識別部から該濾過カートリッジの寿命到達積算流量を識別して、そのデータを該基準寿命到達積算流量として該比較手段に供給する寿命到達積算流量設定部」が記載されておらず、甲第3ないし5号証を勘案することもできないので、本件発明1ないし2は、甲第1ないし5号証に記載された発明から当業者が容易に想到し得る発明ではない。

4.むすび

以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件発明1ないし2に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1ないし2に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
浄水器
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】浄水器本体に着脱自在に取り付けられ、内部に導入された原水を濾過する濾過カートリッジと、
該濾過カートリッジの使用開始以後に該濾過カートリッジ内を流れた水の積算流量を算出する積算流量算出手段と、
該積算流量算出手段により算出された積算流量と該濾過カートリッジの基準寿命到達積算流量とを比較する比較手段とを備えた浄水器において、
該濾過カートリッジは、該濾過カートリッジの寿命到達積算流量を識別可能とする寿命到達積算流量識別部を備えてなり、
異種の該濾過カートリッジが該浄水器本体に取り付けられたときに、該寿命到達積算流量識別部から該濾過カートリッジの寿命到達積算流量を識別して、そのデータを該基準寿命到達積算流量として該比較手段に供給する寿命到達積算流量設定部を備えてなり、
前記濾過カートリッジに設けられた寿命到達積算流量識別部は、磁性体又は突部であり、且つ前記浄水器本体と接続されて該浄水器本体から前記原水が導入される前記濾過カートリッジの原水導入口と同一面に設けられていることを特徴とする浄水器。
【請求項2】請求項1記載の浄水器において、
前記比較手段による比較結果を報知する報知手段を備えてなることを特徴とする浄水器。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、浄水用濾過カートリッジの寿命を検出する機能を有する浄水器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、飲料水として飲用する水道水には、各種細菌類やカルキ臭等の異臭が含まれており、この水道水をより安全で美味しい水にするために広く浄水器が用いられている。
この種の浄水器は、その設置する形態により据置型、蛇口直結型、アンダーシンク型等に分けられているが、その多くが、蛇口から流出する原水を浄水器に設けられた濾材により濾過した後、浄水として吐出する構造を有している。
【0003】
従来、この種の濾材としては、活性炭等の吸着剤により水のカルキ臭、カビ臭、トリハロメタン等を除去して、多孔質中空糸膜により細菌類、濁度成分等を除去する機能を有するものが知られているが、これらは長期に亘る使用で寿命が尽きたときに交換可能なように、濾過カートリッジとして浄水器本体に着脱自在に取り付けられている。
【0004】
この濾過カートリッジ内の活性炭や中空糸膜は、水道水中の不純物をその微細構造の中に取り込むことで水道水を浄化している。
そのため、濾過カートリッジは、ある一定量の不純物を取り込むことにより、それ以上の量の不純物を取り込むことができなくなり寿命に達する。
【0005】
この濾過カートリッジを新たに交換してから寿命に達するまでの期間は、個々の浄水器の構造や使用環境によって異なるので、新しい濾過カートリッジへの交換時期を前もって予想することは難しい。
そこで、従来より浄水器に濾過した水の積算流量を検出する検出手段を設け、その検出量が所定の量に到達した場合には、浄水器が浄水器使用者に濾過カートリッジの交換時期到来を知らせるという方法が広く用いられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような従来の浄水器には、以下のような問題が存在する。
前記検出手段は、予め設定された一種類の濾過カートリッジにしか対応していないため、家の増改築等により水道水の使用量が変化した場合には、その使用量に応じた濾過カートリッジに交換したとしても既存の浄水器では新たな濾過カートリッジに対応できず、この濾過カートリッジの寿命を事前に知るには該濾過カートリッジの寿命を検出可能な浄水器を新たに購入する必要があった。
【0007】
本発明は、以上のような点を考慮してなされたもので、異種の濾過カートリッジに交換した際にも、新たな浄水器を購入することなく、該濾過カートリッジの交換時期を検出できる浄水器を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明は、以下の構成を採用している。
請求項1記載の浄水器は、浄水器本体に着脱自在に取り付けられ、内部に導入された原水を濾過する濾過カートリッジと、該濾過カートリッジの使用開始以後に該濾過カートリッジ内を流れた水の積算流量を算出する積算流量算出手段と、該積算流量算出手段により算出された積算流量と該濾過カートリッジの基準寿命到達積算流量とを比較する比較手段とを備えた浄水器において、該濾過カートリッジは、該濾過カートリッジの寿命到達積算流量を識別可能とする寿命到達積算流量識別部を備えてなり、異種の該濾過カートリッジが該浄水器本体に取り付けられたときに、該寿命到達積算流量識別部から該濾過カートリッジの寿命到達積算流量を識別して、そのデータを該基準寿命到達積算流量として該比較手段に供給する寿命到達積算流量設定部を備えてなり、前記濾過カートリッジに設けられた寿命到達積算流量識別部は、磁性体又は突部であり、且つ前記浄水器本体と接続されて該浄水器本体から前記原水が導入される前記濾過カートリッジの原水導入口と同一面に設けられていることを特徴とする。
【0009】
従って、本発明の浄水器によれば、濾過カートリッジを交換した際に、寿命到達積算流量設定部が該濾過カートリッジの寿命到達積算流量識別部を識別して該濾渦カートリッジの寿命到達積算流量を設定すると共に、そのデータを基準寿命到達積算流量として比較手段に供給することができる。
そして、比較手段が寿命到達積算流量設定部から供給された基準寿命到達積算流量と、積算流量算出手段により算出された積算流量とを比較することができる。
【0010】
請求項2記載の浄水器は、請求項1記載の浄水器において、前記比較手段による比較結果を報知する報知手段を備えてなることを特徴とする。
【0011】
従って、本発明の浄水器によれば、報知手段により、寿命到達積算流量設定部により設定された濾過カートリッジの基準寿命到達積算流量と、積算流量算出手段により算出された積算流量とを比較手段が比較した結果を報知することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の浄水器の実施の形態を、図1ないし図4を参照して説明する。
ここでは、例えば、蛇口直結型浄水器の例を用いて説明する。
図2および図3において、符号1は、浄水器である。
浄水器1は、蛇口2に固定される浄水器本体3と、該浄水器本体3に着脱自在に取り付けられる濾過カートリッジ4とを備えた構成とされるものである。
【0013】
浄水器本体3には、蛇口2から原水が流入する流路5と、該流入した原水を濾過カートリッジ4へ導く浄水部流入路6と、前記流入した原水を直射して吐出する吐出口7へ導く第一の原水流入路8と、原水をシャワー状に吐出する吐出口9へ導く第二の原水流入路(図示せず)が形成されており、これら浄水部流入路6、第一の原水流入路8、第二の原水流入路への分岐部には、回動することにより流入した原水をこれら各流入路へ切り換えて流入させる切換弁10が設けられており、切換弁10には、該切換弁10を回動するための切換レバー19が設けられている。
【0014】
濾過カートリッジ4は、カートリッジ本体13と、該カートリッジ本体13に間隙14を隔てて設けられた濾過体15とを備えた構成とされている。
濾過体15は、原水導入口16から流入し、間隙14を経て濾過導入口17に到った原水を濾過するものであって、内部に活性炭11と中空糸膜12とを収納している。
活性炭11は、原水のカルキ臭、カビ臭、トリハロメタン等を除去するものであり、中空糸膜12は原水中の細菌類、濁度成分等を除去するものである。
【0015】
濾過部15の下流側には、該濾過部15で濾過された浄水が集水される集水部18が形成され、集水部18には一端が集水部18に開口して、他端が外部に開口する吐出口20とされる吐出路21が形成されている。
【0016】
また、図4に示すように、間隙14の上端には、水抜部22が設けられている。
水抜部22は、濾過後、濾過カートリッジ4内の水を抜く機能を有するものであって、外部に開口する空気導入口23と、該空気導入口23の中間部に配設されたゴム弁24とを備えた構成とされている。
【0017】
一方、濾過カートリッジ4には、浄水器本体3との接合面に、該浄水器本体3に対向して磁性体25(寿命到達積算流量識別部)が設けられており、浄水器本体3には浄水部流入路6の途中に、かつ磁性体25の近傍に濾材寿命計測器26が設けられている。
磁性体25は、該磁性体25が設けられた濾過カートリッジ4の寿命到達積算流量を識別可能とする識別手段として設けられたものである。
【0018】
図1に示すように、濾材寿命計測器26は、寿命検知回路28と識別回路29(寿命到達積算流量設定部)と表示回路30(報知手段)とこれら回路に電力を供給する電源回路31とを備えた構成とされている。
識別回路29は、磁性体25を識別して濾過カートリッジ4の寿命到達積算流量を設定するものであって、識別用演算回路32と濾材寿命設定回路33とから構成されるものである。
【0019】
識別用演算回路32は、濾過カートリッジ4が浄水器本体3に取り付けられたときに磁性体25からの信号を処理するものであって、電源回路31との間に定電流回路34を介して配置され、磁性体25の情報を磁気抵抗として読み取る磁気抵抗素子35と、該磁気抵抗素子35からの出力を増幅する増幅回路36と、該増幅回路36で増幅された出力を基準電圧と比較する濾材比較回路37とを備えた構成とされている。
濾材寿命設定回路33は、識別用演算回路32が処理した結果に基づいて濾過カートリッジ4が、小容量か大容量を識別すると共に、そのときの濾過カートリッジ4の寿命到達積算流量を基準寿命到達積算流量として設定するものである。
【0020】
寿命検知回路28は、積算流量算出回路38(積算流量算出手段)と寿命比較回路39(比較手段)とを備えた構成とされるものである。
積算流量算出回路38は、濾過カートリッジ4が浄水器本体3に取り付けられた後に濾過カートリッジ4内を流れた水の積算流量を算出するものであって、流量計測手段27と計測用演算回路40と積算流量記憶回路41とから構成されるものである。
【0021】
流量計測手段27は、浄水部流入路6を経て濾過カートリッジ4へ向かう原水の流量を計測するものであり、計測した信号は計測用演算回路40へ送られる。
計測用演算回路40は、流量計測手段27から送られた信号を演算処理して浄水部流入路6を経た原水の流量を算出するものであり、算出された流量値は積算流量記憶回路41へ送られる。
【0022】
積算流量記憶回路41は、計測用演算回路40で算出された流量値を積算して積算流量値として記憶するものである。
また、この積算流量記憶回路41は、濾過カートリッジ4が交換されて濾材寿命設定回路33に該濾過カートリッジ4の寿命到達積算流量が設定されたときに初期化されるものである。
【0023】
寿命比較回路39は、積算流量算出回路38で算出された積算流量と、濾材寿命設定回路33で設定され、該濾材寿命設定回路33から供給された濾過カートリッジ4の基準寿命到達積算流量とを比較するものであり、比較した結果、積算流量が基準寿命到達積算流量に達していたときには、その信号を表示回路30へ送るものである。
表示回路30は、寿命比較回路39からの信号に基づいて、積算流量が基準寿命到達積算流量に達していたときに、使用者に対してLED等により表示するものである。
【0024】
上記の構成の浄水器の動作について説明する。
まず、浄水器本体3に小容量の濾過カートリッジ4を取付ける。
これにより、識別回路29が作動して、磁気抵抗素子35が濾過カートリッジ4に設けられた磁性体25の磁気抵抗を読み取り、定電流回路34を介して増幅回路36へ出力する。
そして、増幅回路36で増幅された出力信号は、濾材比較回路37へ送られ、ここで基準電圧と比較された後、比較結果として濾材寿命設定回路33へ送られる。
【0025】
濾材寿命設定回路33は、濾材比較回路37から送られた比較結果により、濾過カートリッジ4を小容量のものと識別し、あらかじめ記憶している小容量用の寿命到達積算流量を取付けられた濾過カートリッジ4の基準寿命到達積算流量として設定すると共に、寿命検知回路28の積算流量記憶回路41に記憶されている積算流量値を初期化する。
【0026】
次に、浄水を使用するためには、切換レバー19を操作して蛇口2からの原水が浄水部流入路6へ流入する位置へ切換弁10を回動させる。
そして、蛇口2を開くと、蛇口2から流路5を通って流入した原水は、切換弁10により浄水部流入路6を経て原水導入口16から濾過カートリッジ4内の間隙14へ流入する。
【0027】
間隙14を経て濾過導入口17に到った原水は、そこから濾過体15内へ導入され、内部の活性炭11および中空糸膜12により濾過されて浄水となる。
この後、浄水は、集水部18から吐出路21を通って吐出口20から浄水として吐出される。
【0028】
このとき、水抜部22のゴム弁24は、間隙14から空気導入口23へ侵入した原水の水圧により、空気導入口23の外部側(図4左側)に押圧されて空気導入口23を閉塞して、原水が外部へ漏れることを防止する。
また、使用者が浄水使用を中断したときには、間隙14への原水供給が停止されるため、ゴム弁24の押圧が解除される。
これにより、空気導入口23から空気が導入されるため、濾過体15内に残留していた原水および浄水が吐出口20から外部へ排出され、濾過体15内が衛生さを保つことができる。
【0029】
一方、原水が浄水部流入路6を通過しているときには、寿命検知回路28が作動する。
即ち、流量計測手段27が浄水部流入路6を経て濾過カートリッジ4へ向かう原水の流量を計測して、計測した信号を計測用演算回路40へ送る。
計測用演算回路40は、この信号を演算処理して浄水部流入路6を経た原水の流量を算出して、算出した流量値を積算流量記憶回路41へ送る。
【0030】
積算流量記憶回路41は、既に記憶している積算流量値と、計測用演算回路40から送られた流量値とを積算した結果を新たに積算流量値として記憶する。
そして、寿命比較回路39がこの積算流量記憶回路41に記憶されている積算流量値と、濾材寿命設定回路33に設定されている基準寿命到達積算流量とを比較して、積算流量値が基準寿命到達積算流量に達していたときには、信号を表示回路30へ送る。
表示回路30は、寿命比較回路39からの信号に基づいて、使用者に対してLED表示により濾過カートリッジ4の交換時期が到来した旨の表示をする。
【0031】
一方、浄水を使用せず、原水を使用するときには、切換レバー19を操作して切換弁10を回動することにより、蛇口2から流路5を通って流入した原水は、第一の原水流入路8または第二の原水流入路へ導かれ、それぞれ吐出口7または吐出口9から原水のまま吐出される。
このとき、浄水部流入路6には、原水が供給されないため、積算流量算出回路38は作動せず、従って、積算流量記憶回路41が以前の積算流量値を保持し続ける。
【0032】
本実施の形態の浄水器によれば、異種の濾過カートリッジ4に交換しても識別回路29により自動的にその寿命到達積算流量を設定できる。
また、表示回路30により、濾過カートリッジ4の交換時期の到来を知ることができる。
【0033】
なお、具体的な構成は、上記実施の形態に限られることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更があっても本発明に含まれるものである。
例えば、上記の実施の形態においては、切換弁と原水導入孔とを直接接続する構成としたが、切換弁からホース等により原水を取り出して別の場所に配置した濾過カートリッジに接続してもよい。
【0034】
また、濾過カートリッジの寿命到達流水量を磁気抵抗素子を用いて識別しているが、ホール効果を利用したホール素子やホールICに類する検出素子を用いて濾過カートリッジの種類をより細かく識別できるようにしてもよい。
濾過カートリッジにおいても、その寿命到達流水量を磁性体ではなく、例えば、濾過カートリッジに寿命到達流水量に応じた突部を設け、識別用演算回路において該突部が示す情報を読み取るような構成であってもよい。
【0035】
一方、流量計測手段としては、浄水部流入路6内に流量を一定にする定量弁を設け、原水がその定量弁を通過している時間を積算して積算流量値とするような構成であってもよい。
また、濾過カートリッジが寿命に達したことをLED表示する構成としたが、例えば、LEDに代えて、ブザー、液晶ディスプレイ等により使用者に報知する構成であってもよい。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係る浄水器によれば、濾過カートリッジの寿命到達積算流量を識別可能とする寿命到達積算流量識別部と、寿命到達積算流量識別部を識別して異種の濾過カートリッジの基準寿命到達積算流量を設定する寿命到達積算流量設定部を備え、寿命到達積算流量識別部が磁性体又は突部であり、且つ浄水器本体と接続されて浄水器本体から原水が導入される濾過カートリッジの原水導入口と同一面に設けられている構成となっている。
これにより、水の使用量の増減に際しても、浄水器を新たに購入することなく、濾過カートリッジに応じて寿命到達積算流量識別部を変更したときに、寿命到達積算流量設定部が変更に対応して寿命到達積算流量を設定することができるという優れた効果を奏するものである。
【0037】
請求項2に係る浄水器によれば、濾過カートリッジの寿命到達積算流量と積算流量とを比較した結果を報知する報知手段を備える構成となっている。
これにより、濾過カートリッジの交換時期の到来を容易に知ることができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態による浄水器の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態の浄水器を示す断面図である。
【図3】図2におけるB-B’線視断面図である。
【図4】図2におけるA-A’線視断面図である。
【符号の説明】
1 浄水器
3 浄水器本体
4 濾過カートリッジ
25 磁性体(寿命到達積算流量識別部)
29 識別回路(寿命到達積算流量設定部)
30 表示回路(報知手段)
38 積算流量算出回路(積算流量算出手段)
39 寿命比較回路(比較手段)
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2006-02-21 
出願番号 特願平9-155576
審決分類 P 1 651・ 121- YA (C02F)
最終処分 維持  
前審関与審査官 齊藤 光子中村 敬子  
特許庁審判長 板橋 一隆
特許庁審判官 佐藤 修
野田 直人
登録日 2003-09-12 
登録番号 特許第3471567号(P3471567)
権利者 三菱レイヨン株式会社
発明の名称 浄水器  
代理人 高橋 詔男  
代理人 青山 正和  
代理人 村山 靖彦  
代理人 小林 義教  
代理人 渡邊 隆  
代理人 西 和哉  
代理人 今村 健一  
代理人 志賀 正武  
代理人 園田 吉隆  
代理人 村山 靖彦  
代理人 成瀬 重雄  
代理人 園田 吉隆  
代理人 青山 正和  
代理人 大場 充  
代理人 西 和哉  
代理人 小林 義教  
代理人 鈴木 三義  
代理人 高橋 詔男  
代理人 今村 健一  
代理人 大場 充  
代理人 志賀 正武  
代理人 鈴木 三義  
代理人 成瀬 重雄  
代理人 渡邊 隆  
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