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審決分類 審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する A61K
管理番号 1136735
審判番号 訂正2006-39025  
総通号数 79 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1987-01-06 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2006-02-20 
確定日 2006-03-27 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2036811号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第2036811号に係る明細書及び図面を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び図面のとおり訂正することを認める。 
理由 1.請求の要旨
本件審判の請求の要旨は、特許第2036811号発明(昭和61年3月6日特許出願、平成3年3月28日設定登録)の明細書を、審判請求書に添付した訂正明細書のとおり、すなわち、下記(1)ないし(8)のとおり訂正することを求めるものである。

(1)請求項1に「50%以上の結晶セルロースの混合物にアクリル酸系重合体、共重合体及びセルロース誘導体から選択される一種又は二種以上の溶出制御剤を」とあるのを、「50%以上の結晶セルロースの混合物に、メタクリル酸・アクリル酸エチルエステル・コポリマー及びエチルセルロースから選択される一種又は二種以上の水不溶性高分子物質である溶出制御剤を」と訂正する。
(2)訂正前の請求項2における「溶出制御剤が水不溶性高分子物質の」を、「溶出制御剤が、」に訂正する。
(3)訂正前の請求項3を削除する訂正を行う。
(4)訂正前の請求項4を削除する訂正を行う。
(5)訂正前の請求項5を削除する訂正を行う。
(6)訂正前の請求項6を削除する訂正を行う。
(7)訂正前の請求項3〜6の削除に伴い、訂正前の請求項7を請求項3と訂正し、その引用部分である「特許請求の範囲第(1)〜(6)項いずれか一項記載の製剤。」とあるのを、「特許請求の範囲第(1)又は(2)項記載の製剤。」
と訂正する。
(8)訂正前の請求項3〜6の削除に伴い、訂正前の請求項8を請求項4と訂正し、その引用部分である「特許請求の範囲第(1)〜(7)項いずれか一項記載の製剤。」とあるのを、「特許請求の範囲第(1)〜(3)項いずれか一項記載の製剤。」と訂正する。

2.当審の判断
2-1.訂正の範囲及び目的の適否、特許請求の範囲の拡張・変更の存否

上記(1)の訂正は、訂正前の請求項1における溶出制御剤の「アクリル酸系重合体、共重合体」を訂正前の請求項3の記載に基づいて「メタクリル酸・アクリル酸エチルエステル・コポリマー」に減縮するものであり、また訂正前の「セルロース誘導体」を同じく訂正前の請求項3の記載に基づいて「エチルセルロース」に減縮するものである。さらに、訂正前の請求項1に記載の「溶出制御剤」を、訂正前の請求項2及び請求項3の記載、さらに本件明細書第7頁第3乃至4行(本件公告公報、第2頁第4欄第3 0行乃至31行参照)の記載に基づいて「水不溶性高分子物質である溶出制御剤」と減縮するものである。
したがって、上記(1)の訂正は、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内において、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

上記(2)の訂正は、上記(1)の訂正に伴い、当該「溶出制御剤」が「メタクリル酸・アクリル酸エチルエステル・コポリマー又はエチルセルロース」に特定され、かつ「溶出制御剤」が「水不溶性高分子物質」に限定されるので、訂正前の請求項2の「水不溶性高分子物質」という表現が請求項1の記載事項との関係で重複し不明りょうとなるのを正すものである。
したがって、上記(2)の訂正は、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内において、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

上記(3)の訂正は、訂正前の請求項3の記載に基づいて請求項1の記載を訂正したことに伴い訂正前の当該請求項3を削除するものである。また、上記(4)〜(6)の訂正は、訂正前の請求項4〜6を削除する訂正である。
したがって、上記(3)ないし(6)の訂正は、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内において、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

上記(7)及び(8)の訂正は、前記請求項の削除に伴う請求項番号のくり上げ及びその項における引用部分の請求項の番号の訂正である。
したがって、上記(7)及び(8)の訂正は、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内において、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

そして、上記(1)〜(8)の訂正は、いずれも特許の範囲を実質的に拡張又は変更するものでもない。

2-2.独立特許要件
訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により構成される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を発見しない。

3.むすび
したがって、本件審判の請求は、平成6年改正前特許法第126条第1項ないし第3項の規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
持続放出性複合単位製剤
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
個々の単位製剤が、生理活性物質と単位中の重量比率で50%以上の結晶セルロースの混合物に、メタクリル酸・アクリル酸エチルエステル・コポリマー及びエチルセルロースから選択される一種又は二種以上の水不溶性高分子物質である溶出制御剤を加え造粒して得られる粒状物(粒子)よりなり、その粒状物は消化管内において実質的に崩壊しないが、生理活性物質が徐々に放出される医薬用の持続放出性の個々の単位製剤もしくは複合単位製剤。
【請求項2】
溶出制御剤が、水性懸濁液、水性乳化液または水含有有機溶媒溶液である特許請求の範囲第(1)項記載の製剤。
【請求項3】
生理活性物質が5-{2-〔2-(O-エトキシフエノキシ)エチルアミノ〕プロピル}-2-メトキシベンゼンスルフオンアミド・ハイドロクロリド(YM-12617と記す)である特許請求の範囲第(1)又は(2)項記載の製剤。
【請求項4】
個々の単位が直径0.1〜1.5mmの大きさの粒状物である特許請求の範囲第(1)〜(3)項いずれか一項記載の製剤。
【発明の詳細な説明】
(産業上の利用分野)
この発明は、新規で安全性が高く、有効な経口医薬用持続放出性複合単位製剤に関する。
さらに詳しくは、本発明は個々の単位が、生理活性物質と単位成形物質の混合物に溶出制御剤(このものは結合剤の役目もする)を加え造粒して得られる粒状物よりなり、その粒状物(粒子)は消化管内において実質的に崩壊しないが、生理活性物質が徐々に放出される医薬用の持続放出性の個々の単位製剤もしくは複合単位製剤に関する。
(発明が解決しようとする問題点)
徐放性製剤を生体に適用するとき、製剤側及び生体側の要因により、個体内あるいは個体間の変動を生じることが多い。生体側の要因の一つに消化管内薬物移動時間(gastro intestinal transit time’)の変動が挙げられるが、これを克服する最適剤型として複合単位製剤(multiple-units preparation)が知られている(例えばH.Bechgaard and G.H.Nielsen,Drug Denvel.Ind.pharm.,4,53(1978))。錠剤,硬カプセル剤などの固形製剤が消化管内で崩壊して、多数の個々の単位(マイクロカプセル,マイクロスフイアーなど)を形成し、これらの単位から活性物質が持続的に溶出するタイプの製剤である。
従来、徐放性の複合単位製剤の活性物質含有の個々の単位(マイクロカプセル,マイクロスフイアーなど)を得るために種々の材料そして種々の製剤法が知られている。
例えば材料としてワツクスや脂質,水不溶性の高分子物質,イオン交換樹脂などが知られている。また製造方法としては主剤と他の材料とで粒子を造りその上に例えば腸溶性のコーチングをするというように繁雑で長い工程を要する場合が多く、製造コストの点あるいは製品の溶出特性などの品質再現性などの点でしばしば問題となることがあった。
また消化管において容易に破壊されない構造を形成するものとして結晶セルロース(旧称「微結晶性セルロース」)が知られており、例えば結晶セルロースを製剤重量の約10〜40%程度使用した製剤例が知られている(特公昭45-5275)。この製剤例(主剤BTDS)においては、持続性となっているが、放出時間の一層の延長には腸溶性被覆が必要とされている。そして消化管内において容易に破壊されない構造との記載があるが、実際には結晶セルロースの量が10〜40%程度であると強度の点で充分でないことが知られている。また主剤の持続放出性の点でもこの程度の使用量であると一般に充分でない。
さらに特開昭58-92610号公報には「経口用放出調整複合単位製剤」の発明が記載されているが、そこに述べられている「コア」はかなり複雑な方法で製造され、持続放出性を得るため腸用性物質でコーチングがほどこされている。またこのものは胃の中では崩壊しないが、小腸においてはコーチングが侵食されると共にコア自体も崩壊するように崩壊促進剤などを加えて作られている。
(問題を解決するための手段)
本発明者等は腸溶性物質によるコーチングをほどこすことなく、溶出速度を自由に制御でき、溶出挙動の再現性が良好で、簡便に製造できる経口の持続放出性の複合単位製剤について鋭意研究を重ねた結果、生理活性物質と単位中の重量比率で50%以上の単位成形物質の混合物に溶出制御剤を加えて通常の方法で粒状物(活性物質含有単位)を製し、この粒状物をカプセルに充填してカプセル剤とするか或は通常の方法で錠剤とすることにより持続放出性のすぐれた経口剤が得られることを見出し本発明を完成した。
本発明の上記粒状物(活性物質含有単位)は、水は浸透するが、消化管内において実質的に崩壊しない(殆んど崩壊しないか或は少くとも数時間以上崩壊しない)特性を有している。また、物理的強度が高いので、圧縮錠剤化によっても個々の単位が殆んど破壊されることがない。また、粒状物(活性物質含有単位)の製造の際に、腸溶性物質の種類やその配合量を適宜調節することにより、希望する溶出特性をもつ粒状物を得ることができる。
本発明で用いられる単位成形物質として好適なものは結晶セルロースである。このほかキチン,キトサンも使用できる。これら単位成形物質の使用量は単位中の重量比率で50%以上であり、70%以上が好適である。
また、本発明で用いる溶出制御剤としては水不溶性高分子物質例えばアクリル酸系重合体,共重合体,またエチルセルロース,ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP),ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMC-AS)等のセルロース誘導体が用いられる。これらは水性懸濁液,水性乳化剤,水含有有機溶媒溶液の形で用いるのが好適である。例えば市販品としてオイドラギツトL30D-55(メタクリル酸・アクリル酸エチルエステル・コポリマー水性懸濁液),オイドラギツトE30D(アクリル酸エチルエステル・メタクリル酸メチルエステル・コポリマー水性懸濁液),アクアコートECD-30(エチルセルロース水性懸濁液)などがあり、これらは溶出制御剤としてそのまま或は必要により水で希釈して使用できる。また、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L-HPC)や上記エチルセルロースは水性ゲルとしても用いられる。さらにこれら水不溶性高分子物質は水をベースとした有機溶媒との混合溶媒の溶液系としても用いられる。
なお、水それ自体も溶出制御剤として使用しうる。即ち結晶セルロースは水を加えることにより粒状物とすることができる。
溶出制御剤の使用量は特に制限はないが、湿式造粒に適した量を使用すればよい。溶出制御剤(水性液状物としての)の濃度も特に制限はないが、例えば水不溶性高分子物質は配合比率が高い場合、生理活性物質の放出がおそくなるので、目的に応じて使用量(水性液状物としての)と濃度を適宜調整すればよい。なお、通常結合剤として用いられる水溶性高分子物質例えばヒドロキシプロピルセルロース(HPC),ポリビニルピロリドン(PVP)などを溶出制御剤として用いることは差支えない。本発明では、活性物質の溶出速度を制御するため、粒状物(活性物質含有単位)の製造に際し、高級脂肪酸のアルカリ土類金属塩(またはアルカリ金属塩)または腸溶性高分子物質を添加することがある。これらの添加は、生理活性物質が、所謂微量医薬品の場合に有効である。高級脂肪酸のアルカリ土類金属塩またはアルカリ金属塩としてはステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムなどがあげられる。また、腸溶性高分子物質としては、セルロースアセテートフタレート(CAP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMC-P)、メタクリル酸・メタクリル酸メチルエステルコポリマー(オイドラギツトL,S)などが挙げられる。これらも配合量は通常1〜15%である。なお、ハロゲン化アルカリ金属またはハロゲン化アルカリ土類金属例えば塩化ナトリウム,塩化カルシウム等も同様の目的で用いることができる。上記メタクリル酸・メタクリル酸メチルエステルコポリマーなどの腸溶性高分子物質を用いる場合は,PEG6000,ツイーン80(Tween80),トリアセチン等を可塑剤として用いてもよい。使用量は,高分子物質(固形分)に対して10〜15%である。
上記の如く、生理活性物質の放出性は結合剤の種類,高級脂肪酸のアルカリ土類金属塩(またはアルカリ金属塩)や腸溶性高分子物質の配合量を加減することによってコントロールできるが、活性物質の性質によっては、活性物質自体の疎水化処理を行うことにより放出を遅延することもできる。疎水化処理はワツクスなどを用いて、例えばスプレーコンジーリング法により活性物質をマイクロカプセル化することによって実施される。ワツクスとしては例えば硬化ヒマシ油の如き水素添加植物油などを挙げることができる。
本発明で使用しうる生理活性物質は特に限定されない。
後記試験例および実施例では活性物質として水に対する溶解度が比較的低い(0.3〜0.5%程度)化合物5-{2-〔2-(O-エトキシフエノキシ)エチルアミノ〕プロピル}-2-メトキシベンゼンスルホンアミド・ハイドロクロリド(以下YM-12617と略記する)を用いたが、本発明においては溶解度の高い化合物も勿論使用できる。
YM-12617はα遮断作用を示し、高血圧、心不全、下部尿路疾患等の治療に用いられる。
本発明の持続放出性の個々の単位は、生理活性物質、単位成形物質及び必要に応じて高級脂肪酸のアルカリ土類金属塩(またはアルカリ金属塩)や腸溶性高分子物質を混合する。この際目的に応じて通常使用される添加剤、例えば増量剤、着色剤等を加えることもできる。得られた混合物に溶出制御剤、即ち既述の溶出制御剤として挙げた各種物質の水性液状物或は水を加えて造粒する。造粒は撹拌型,転動型,遠心型,流動層型またはこれらの組合わされた型の装置により行われる。粒子の大きさ(直径)としては、0.1〜1.5mm、好ましくは0.2〜1.0mmである。
このようにして得られた活性物質含有の個々の単位は、通常の方法により、複合単位製剤、即ち錠剤、カプセル剤、顆粒剤などに調製する。
(発明の効果)
本発明によって得られる活性物質含有の単位は、物理的強度が高く、錠剤などとした場合でも破壊されず殆んどそのまゝの形状を保ち、生体に投与された場合個々の単位に分離し、消化管内に広く分散する。そしてこのものは、水は浸透するが、消化管内において実質的に崩壊せず、活性物質を徐々に放出するので、持続化が達成できる。また、生体間のバラツキが非常に少く再現性に優れている。さらに、本発明の製剤は簡便かつ安全な製造法により、得ることができる。
つぎに、本発明製剤の活性物質の溶出性及び生体投与時の血漿中濃度についての試験並びにその結果を示す。
(1)溶出テスト
§溶出試験法:日本薬局方の溶出試験法第2法パドル法により、パドルの回転数150rpm、試験液として日本薬局方第1液(人工胃液)500ml,第2液(人工腸液)500ml夫々を用いて、UV法又は液体クロマトグラフ法により試験した。試料はまず第1液中で1時間テストし、次いで第2液中で1時間テストした。
(i)UV法
試料として各実施例で得られた製剤を用い、YM-12617 50mgに対応する量を秤取し、上記溶出試験を行い、試験液を▲戸▼過し測定波長278nmで定量した。
(ii)高速液体クロマトグラフ法(HPLC法)。
試料として各実施例で得られた製剤を用い、YM-12617 1mgに対応する量をとり、上記溶出試験を行い、試験液を▲戸▼過し、下記の操作条件により定量した。
操作条件
検出器:紫外吸光光度計(測定波長225nm)
カラム:内径約4mm長さ約150mmのステンレス管に充填剤としてオクタデシルシリル化した約5μmのシリカゲル(例えばNucleosil5C18)を充填する。
カラム温度:約35℃
移動相:0.05N過塩素酸・アセトニトリル混液(7:3)
流量:毎分0.8〜1.5mlの一定流量
§試験結果

結果を第1表に示す
(2)経口投与による吸収テスト
(A)
(i)試料として実施例20で得られた錠剤と、対照として参考例1で得られた通常錠をYM-12617として1mg相当をクロスオーバー法により成人男子5名に経口投与し、各所定時間に採血し、下記方法で血漿中濃度を測定した。
(ii)血漿中YM-12617の定量方法血漿1.5mlに内部標準物質の水溶液0.5ml(塩酸アモスラロール0.5μgを含む)を加えたのち、炭酸水素ナトリウムの飽和水溶液1mlを加え、酢酸エチル4mlで抽出した。酢酸エチル層を0.4N塩酸2.5mlで抽出した。塩酸層に炭酸水素ナトリウムの飽和水溶液2mlを加え、弱アルカリ性とし、酢酸エチル4mlで再抽出した。酢酸エチル層を減圧留去し、残渣に0.1MNaHCO30.05mlおよびダンシルクロライド(500μg)のアセトン溶液0.1mlを加え、35℃で120分間反応させた。反応液にエーテル4mlを加えたのち、有機層を水5mlで洗浄した。有機層はさらに0.2N塩酸5mlで洗浄した。有機層を留去し、残渣を下記の操作条件の移動相の混液0.05mlに溶解し全量を用いて次の操作条件の液体クロマトグラフ法により定量した。
溶離液の流量を1.4mlとしたさいのダンシル-YM-12617およびダンシル-アモスラロールの保持時間は、それぞれ8.1分,12.5分であった。
操作条件
検出器:螢光光度計(励起波長365nm,螢光波長500nm)
カラム:内径約4mm,長さ約250mmのステンレス管に充填剤として約5μmのシリカゲル(例えばリクロソルブSI100(Merck))を充填する。
カラム温度:約10℃
移動相:ベンゼン:メタノール(100:1)
流量:毎分1.2〜1.9mlの一定流量
(iii)結果を第2表,第3表及び第一図に示す。


第1図から明らかなように実施例20の錠剤投与の場合の血中濃度パターンは良好で次の特徴を示した。
a)Cmax:Cminの比が小さく持続性である。
b)個体間の変動が小さい。
(B)
(i)試料として実施例21で得られた錠剤と、対照として参考例1で得られた通常錠をYM-12617として1mg相当をクロスオーバー法により成人男子5名に経口投与し、各所定時間に採血し、前記(A)(ii)の方法で血漿中濃度を測定した。
(ii)結果を第4表,第5表及び第2図に示す。


第2図から明らかなように実施例21の錠剤投与の場合血中濃度パターンは良好で次の特徴を示した。
a)Cmax:Cminの比が小さく持続性である。
b)個体間の変動が小さい。
(C)
(i)試料として実施例22で得られた錠剤及び実施例23で得られたカプセル剤と、対照として参考例2で得られた通常錠をYM-12617として10mg相当をクロスオーバー法によりビーグル犬6頭に経口投与し、各所定時間経過後に採血し、前記(A)(ii)の方法で血漿中濃度を測定した。
(ii)結果を第3図に示す。
第3図から明らかなように実施例22の錠剤投与実施例23のカプセル剤投与の場合の血中濃度パターンは良好で次の特徴を示した。
a)Cmax:Cminの比が小さい。
b)個体間の変動が小さい。
(3)活性物質含有単位(粒子)の物理的強度実施例15と同一条件で別個に製した粒子を用い打錠時の圧力を変えて下記の処方で錠剤を製し、それらからの活性物質の溶出性を調べた。(定量はHPLC法)。結果を第6表に示す。



上記結果から明らかなように圧力によって溶出挙動の変化は殆んど認められない。即ち上記の如き打錠圧には充分耐え(個々の粒子が破壊されない)、それによって一定の溶出率が保たれる。
(4)溶出試験の撹拌強度と溶出性
(1)の溶出テストにおけるパドルの回転数を変化させて撹拌強度の溶出率に及ぼす影響を調べた。結果を第7表に示す(定量はUV法によった)。

第7表から明らかな如く、撹拌強度による溶出挙動の変化はなく、これは生体に投与した場合生体側の要因(胃腸管の運動)の影響を受けにくい製剤であることが判る。
(5)溶出特性の経時安定性
各実施例の製品を苛酷条件下に保存し、保存前と保存1ケ月後に溶出テストを行った。テスト法は(1)と同様であり定量はUV法で行った。
結果を第8表に示す。

上表から明らかな如く苛酷条件に保存しても溶出挙動の変化が非常に小さく、経時的にも安定な製剤であることが判る。
(6)溶出再現性の良好さ
実施例4と同一条件で別個に3つの試料を作り溶出テストを行った(定量はUV法で行った)。結果を第9表に示す。

第9表から溶出再現性は良好と認められる。
(実施例)
実施例1.(活性物質含有単位の製造)
YM-12617 5gと結晶セルロース470gとを充分混合し、これにオイドラギツト

速撹拌造粒機で造粒した。得られた粒子は球状であり、粒径は0.1〜1.5mmであり、大部分は0.2〜1.0mmであった。
実施例2.〜7.
実施例1と同様にして第10表の処方により活性物質含有単位を製造した。

実施例8.
YM-12617 5g,結晶セルロース420g及びステアリン酸マグネシウム50gを充分混合し、これにオイドラギツトL30D-55 83.3g(固形分として25g)に水を加えて500gとしたものを加え、練合後遠心流動造粒機により造粒した。得られた粒子は球状であり、粒径は0.1〜1.5mmであり、大部分は0.2〜1.0mmであった。
実施例9.〜11.
実施例8と同様にして第11表の処方により活性物質含有単位を製造した。

実施例12.
YM-12617 20g,結晶セルロース300g及びエチルセルロース80gを充分混合し、これにエタノール対水8:2の混合溶媒230gを加え高速撹拌造粒機で造粒した。粒径等前記に同じ。
実施例13.
実施例12と同じ処方で超高速撹拌造粒機で造粒した。粒径等前記に同じ。
実施例14.
YM-12617 10g,結晶セルロース490gを充分混合し、これに水500gを加え高速撹拌造粒機で造粒した。粒径等前記に同じ。
実施例15.〜18.
実施例14と同様にして第12表の処方により活性物質含有単位を製造した。

実施例19.
硬化ヒマシ油80gを熔融し、これにYM-12617 10gと低置換度ヒドロキシプロピルセルロース30gとを分散させ、これをスプレーコンジーリングにより粉粒化する。得られた粉粒物60g(YM-12617として5g)と結晶セルロース440gとを充分混合し、これに水500gを加え、遠心流動造粒機で造粒した。粒径等前記に同じ。
実施例20.(複合単位製剤の製造)
実施例1で得られた粒子(活性物質含有単位)20gに、乳糖44.9g,でんぷん20g,結晶セルロース9.7g,CMC-Ca5g,ステアリン酸マグネシウム0.5gを加え、通常の方法で錠剤を得た(1錠100.1mg中YM-12617 0.2mg含有)。
実施例21〜23
実施例20と同様にして第13表の処方により複合単位製剤を製した。

実施例24.
実施例5で得られた粒子40g,乳糖24g,結晶セルロース34.54g,低置換度ヒドロキシプロピルセルロース12g及びとうもろこしでんぷん3gを混合し、これに10%とうもろこしでんぷん糊40gを加えて常法により造粒する。これに硬化油2.4gとステアリン酸カルシウム0.06gを加えて常法により打錠する(1錠120mg中YM-12617 0.2mg含有)。
実施例25
YM-12617 5gと結晶セルロース467.5gとを十分混合し、これにオイドラギット

たものを加え,高速撹拌造粒機で造粒した。得られた粒子は,球状であり,粒径は0.1〜1.5mmであり,大部分は0.2〜1.0mmであった。
参考例1〜2第14表の処方により常法によって単位成形物質を含まない通常の錠剤を製した。

【図面の簡単な説明】
▲1▼第1図および第2図は、本発明の持続放出性複合単位製剤(錠剤)及び非持続性の通常錠をヒトに経口投与した場合における生理活性物質(YM-12617)の血漿中濃度の経時変化を示す。
▲2▼第3図は、本発明の持続放出性複合単位製剤(錠剤およびカプセル剤)及び非持続性の通常錠をビーグル犬に経口投与した場合における生理活性物質(YM-12617)の血漿中の濃度の経時変化を示す。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審決日 2006-03-15 
出願番号 特願昭61-49451
審決分類 P 1 41・ 851- Y (A61K)
最終処分 成立  
前審関与審査官 星野 紹英後藤 圭次  
特許庁審判長 塚中 哲雄
特許庁審判官 吉住 和之
森田 ひとみ
登録日 1996-03-28 
登録番号 特許第2036811号(P2036811)
発明の名称 持続放出性複合単位製剤  
代理人 森田 拓  
代理人 森田 拓  

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