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審決分類 |
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G06F 審判 査定不服 特29条特許要件(新規) 特許、登録しない。 G06F |
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管理番号 | 1136908 |
審判番号 | 不服2001-482 |
総通号数 | 79 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1998-10-13 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2001-01-12 |
確定日 | 2006-05-18 |
事件の表示 | 平成10年特許願第 40123号「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成10年10月13日出願公開、特開平10-275077〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願の手続の経緯は次のとおりである。 出願 平成10年2月23日(優先権主張1997年3月 27日、米国) 拒絶理由の通知 平成11年2月2日 意見書、補正書の提出 平成11年7月23日 拒絶査定 平成12年10月5日 同 謄本送達 平成12年10月17日 審判請求 平成13年1月12日 補正書の提出 平成13年1月12日 2.平成13年1月12日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成13年1月12日付けの手続補正を却下する。 [理由] 平成13年1月12日付けの本願の手続補正は、平成6年改正特許法(平成6年法律第116号。以下、単に「特許法」という。)における第17条の2第1項第3号に掲げる場合にする補正に該当しているので、前記補正の目的が同条第4項各号に掲げられた目的のいずれかに該当するか否かを検討する。 前記補正の前後の各請求項の記載は、次のとおりである。 補正前 「【請求項1】 サブパーツおよびカプセル化された挙動を含む、単純に構成された型と、 ターゲット言語のプロパティを含むコンポーネントと、 分散のための区分を可能にする、合成パーツと を含み、階層構造を有する、オブジェクト指向プログラミング環境での共通アクセス・ツール・データのためのメタデータ・コンテナを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。 【請求項2】 ツール・データ内の要素の共通の挙動を定義する、単一の基本クラスと、 該単一の基本クラスから継承する、ツール・データの名前スコープおよび包含を定義するための、別々の抽象クラス階層と を含む、オブジェクト指向プログラミング環境での共通アクセス・ツール・データのためのメタデータ・ストアを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。 【請求項3】 名前スコープを定義するための抽象クラス階層が、サブパーツおよびカプセル化された挙動を含むように適合された一般化されたパーツ構造を表すパーツ・クラスを含む、請求項2に記載の記録媒体。 【請求項4】 前記名前スコープを定義するための抽象クラス階層が、ターゲット言語のプロパティを実装するように適合されたコンポーネント・クラスを含む、請求項2または3に記載の記録媒体。 【請求項5】 前記名前スコープを定義するための抽象クラス階層が、パーツ区分セマンティックスを含むように適合された区分クラスを含む、請求項2または3に記載の記録媒体。 【請求項6】 前記名前スコープを定義するための抽象クラス階層が、サブパーツおよびカプセル化された挙動を含む、単純に構成された型と、 ターゲット言語のプロパティを含むコンポーネントと、 分散のための区分を可能にする、合成パーツと を含む階層構造にツール・データを階層化する、請求項2に記載の記録媒体。」 補正後 「【請求項1】 階層構造を有する、オブジェクト指向プログラミング環境での共通アクセス・ツール・データのためのコンテナ内のメタデータを記憶、および検索するためのコンピュータ・システムであって、 コンピュータ読み取り可能なデータおよびコンピュータ・コードを記憶する手段であって、該コンピュータ・コードは以下を含む、サブパーツおよびカプセル化された挙動を含む、単純に構成された型を有する第1コード・セクションと、ターゲット言語のプロパティを含むコンポーネントを有する第2のコード・セクションと、配布のための区分を可能にする合成パーツを有する第3のコード・セクションと、を有するコンピュータ・コードを記憶する手段と、 前記記憶する手段に記憶されている前記第1、第2、および第3のコード・セクションを実行し、アプリケーションのデザイン、実行、配布の表現を共有するためのコンピュータで実行可能なツールを実行する手段と、を含むコンピュータ・システム。 【請求項2】 オブジェクト指向プログラミング環境での共通アクセス・ツール・データのためのコンテナ内のメタデータを記憶、および検索するためのコンピュータ・システムであって、 コンピュータ読み取り可能なデータおよびコンピュータ・コードを記憶する手段であって、該コンピュータ・コードは以下を含む、ツール・データ内の要素の共通挙動を定義する単一の基本クラスを含む第1のコード・セクションと、前記単一の基本クラスから継承する、ツール・データの名前スコープおよび包含を定義するための、別々の抽象クラス階層を含む、前記コンピュータ・コードの少なくとも1つの追加のコード・セクションと、を有するコンピュータ・コードを記憶する手段と、 前記記憶する手段に記憶されている前記第1のコード・セクションと、前記少なくとも1つの追加のコード・セクションを実行し、前記コード・セクションにより定義されている共通アクセス・ツール・データにアクセスするツールを実行する手段と、を含むコンピュータ・システム。 【請求項3】 階層構造を有する、オブジェクト指向プログラミング環境での共通アクセス・ツール・データのためのコンテナ内のメタデータを記憶、および検索する方法であって、 コンピュータ読み取り可能なデータおよびコンピュータ・コードを記憶するステップであって、該コンピュータ・コードは以下を含む、サブパーツおよびカプセル化された挙動を含む、単純に構成された型を有する第1コード・セクションと、ターゲット言語のプロパティを含むコンポーネントを有する第2のコード・セクションと、配布のための区分を可能にする合成パーツを有する第3のコード・セクションと、を有するコンピュータ・コードを記憶するステップと、 前記第1、第2、および第3のコード・セクションを実行し、アプリケーションのデザイン、実行、配布の表現を共有するためのコンピュータで実行可能なツールを実行するステップと、を含む方法。 【請求項4】 オブジェクト指向プログラミング環境での共通アクセス・ツール・データのためのコンテナ内のメタデータを記憶、および検索する方法であって、 コンピュータ読み取り可能なデータおよびコンピュータ・コードを記憶するステップであって、該コンピュータ・コードは以下を含む、ツール・データ内の要素の共通挙動を定義する単一の基本クラスを含む第1のコード・セクションと、前記単一の基本クラスから継承する、ツール・データの名前スコープおよび包含を定義するための、別々の抽象クラス階層を含む、前記コンピュータ・コードの少なくとも1つの追加のコード・セクションと、を有するコンピュータ・コードを記憶するステップと、 前記第1のコード・セクションと、前記少なくとも1つの追加のコード・セクションを実行し、前記コード・セクションにより定義されている共通アクセス・ツール・データにアクセスするツールを実行するステップと、を含む方法。 【請求項5】 オブジェクト指向プログラミング環境での共通アクセス・ツール・データのためのコンテナ内のメタデータを記憶、および検索するための方法であって、 ツール・データ内の要素の共通挙動を定義する単一の基本クラスを識別するステップと、 前記単一の基本クラスから継承する、ツール・データの名前スコープおよび包含を定義するための抽象クラス階層を識別するステップと、 オブジェクト指向コンピュータ・コードにおいて識別した前記単一の基本クラスおよび前記抽象クラス階層を実行し、前記共通ツール・アクセス・データにアクセスするツールを実行可能にするステップと、を含む方法。」 前記補正は、補正前には、サブパーツおよびカプセル化された挙動を含む、単純に構成された型と、ターゲット言語のプロパティを含むコンポーネントと、分散のための区分を可能にする、合成パーツとを含み、階層構造を有する、オブジェクト指向プログラミング環境での共通アクセス・ツール・データのためのメタデータ・コンテナを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体の発明(請求人の主張;意見書第1頁10行〜15行参照)であって、メタデータの構造を記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であったものが、 補正後は、階層構造を有する、オブジェクト指向プログラミング環境での共通アクセス・ツール・データのためのコンテナ内のメタデータを記憶、および検索するために、コンピュータ読み取り可能なデータおよびコンピュータ・コードを記憶し、該コンピュータ・コードは以下を含む、サブパーツおよびカプセル化された挙動を含む、単純に構成された型を有する第1コード・セクションと、ターゲット言語のプロパティを含むコンポーネントを有する第2のコード・セクションと、配布のための区分を可能にする合成パーツを有する第3のコード・セクションと、を有するコンピュータ・コードを記憶し、前記第1、第2、および第3のコード・セクションを実行し、アプリケーションのデザイン、実行、配布の表現を共有するためのコンピュータで実行可能なツールを実行するコンピュータ・システム(請求項1)、および方法(請求項3)の発明(審判請求書の【本願発明が特許されるべき理由】の項参照)とするものであるが、 前記補正前のメタデータの構造を記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を特定するために必要な事項をどのように限定したとしても、請求項1の「コンピュータ・コードを記憶する手段」「コンピュータで実行可能なツールを実行する手段」を含む「コンピュータ・システム」、請求項2の「コンピュータ・コードを記憶する手段」「共通アクセス・ツール・データにアクセスするツールを実行する手段」を含む「コンピュータ・システム」、請求項3の「コンピュータ・コードを記憶するステップ」「コンピュータで実行可能なツールを実行するステップ」を含む「方法」、請求項4の「コンピュータ・コードを記憶するステップ」「前記コード・セクションにより定義されている共通アクセス・ツール・データにアクセスするツールを実行するステップ」を含む「方法」、乃至、請求項5の「単一の基本クラスを識別するステップ」「抽象クラス階層を識別するステップ」「共通ツール・アクセス・データにアクセスするツールを実行可能にするステップ」を含む「方法」は導き出せるものとは認められず、審判請求書中にも前記のように限定される根拠が示されておらず、また、前記補正が前記限定以外の他の目的でなされたものであることも主張されておらず、前記補正は、次に掲げる事項(A)〜(D)を目的とするもののいずれにも該当しないことは明らかである。 (A)特許法第36条第5項に規定する請求項の削除。 (B)特許請求の範囲の減縮(第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するのものであって、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。)。 (C)誤記の訂正。 (D)明りょうでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)。 したがって、前記補正は、特許法第17条の2第4項の規定に違反しているので、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 3.本願の発明 平成13年1月12日付の手続補正は前記のとおり却下された。 本願の特許請求の範囲の請求項1乃至請求項6に係る発明は、平成11年7月23日付の手続補正書の特許請求の範囲の請求項1乃至請求項6に記載されたとおりの事項により特定されるものである。(前掲の2.補正前の請求項1乃至請求項6に記載のとおりのものである。) 4.原査定の理由及び請求人の主張 本願に対する原査定の拒絶の理由の概要は、平成11年7月23日付け補正書により補正された本願請求項1乃至6に記載された発明は、特許法第29条柱書に規定する要件を満たしていないというものであり、[備考]欄には次のように記載されている。 「メタデータ・コンテナを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体、及び、メタデータ・ストアを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、単に『構造を有するデータを記録した記録媒体』に過ぎず、また、データの記録に関して格別の技術的特徴を有するものとも認められない。 したがって、補正後の請求項1乃至6に記載されたものも依然として特許法が保護対象としている発明に該当するものとは認められない。」 一方、請求人の主張の概要は、原査定に対して補正(前掲2.の補正後の請求項1乃至請求項5)を行ったので、本願発明は特許法第29条柱書に規定する要件満たしているというものである。 5.当審の判断 本願発明の目的、又は、解決しようとする課題は、「アプリケーション開発メタデータを処理し、単一メタデータ・ストア内のさまざまなアプリケーションの自由度に対処するための階層化されたデータ・モデルを定義することによって、複雑なエンタープライズ・アプリケーションの開発を支持するメタデータを編成するための機構を提供すること」(【発明が解決しようとする課題】の項参照)であり、そのための解決手段は、請求項1乃至6に記載されたデータ構造(データ要素間の相互関係で表される、データの有する論理的構造)ないしデータ定義に特徴を有するものであるから、請求項1乃至請求項6に記載されたデータの構造ないしデータ定義によりコンピュータが行う処理内容が特定される「構造を有するデータを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体」にあたり、ソフトウェア関連発明である。 そして、こうしたソフトウエア関連発明が「自然法則を利用した技術的思想の創作」の発明であるためには、ソフトウェアによる情報処理が、ハードウエア資源を用いて具体的に実現されている、つまり、ソフトウェアがコンピュータに読み込まれることにより、ソフトウェアとハードウェア資源とが協働した具体的な手段によって、使用目的に応じた情報の演算又は加工を実現することにより、使用目的に応じた特有の情報処理装置又はその動作方法が構築されるものであることを要する。 データ構造(データ要素間の相互関係で表される、データの有する論理的構造)ないしデータ定義にのみ特徴を有する発明は、通常、人為的取り決めそのものに特徴を有し、自然法則を利用していないものに該当するが、データ構造ないしデータ定義であるから必ず自然法則を利用していないとはいえず、データ構造ないしデータ定義とハードウェア資源とが協働して、自然法則を利用した技術的思想のものである場合があり、この場合も、特許請求項の範囲には、ソフトウェアとハードウェア資源とが協働した具体的な手段によって、使用目的に応じた情報の演算又は加工を実現することにより、使用目的に応じた特有の情報処理装置又はその動作方法が記載されることを要する。 本願請求項1乃至請求項6に係る発明についてみると、当該データ構造ないしデータ定義とハードウェア資源とがどのように具体的に協働し、協働した具体的な手段によって、使用目的に応じた情報の演算又は加工を実現する構成が伴っておらず、技術的課題の解決手段の根拠となるべき構成がないから、「自然法則を利用した技術的思想の創作」でないことは明らかである。さらにいえば、階層化されたデータ・モデルの定義に則ったデータ定義、構造を用いてメタデータが編成され、前記階層のメタデータ(コードセクション)が実行されることまではいえるとしても、これは単にコンピュータにより実行できるといった程度のものであり、前記階層化されたデータ・モデルの定義に則ったデータ定義、構造とハードウェア資源とが協働した具体的な手段が伴っておらず、この具体的な手段は当業者にとって自明であると認められるものではない。 したがって、本願請求項1乃至請求項6に係る発明は、特許法第2条で定義される「発明」すなわち「自然法則を利用した技術的思想の創作」には該当しない。 6.むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第2条にいう「自然法則を利用した技術的思想の創作」であると認めることはできず、特許法第29条柱書に規定する発明の要件を満たしていないので、特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2005-12-12 |
結審通知日 | 2005-12-13 |
審決日 | 2006-01-04 |
出願番号 | 特願平10-40123 |
審決分類 |
P
1
8・
1-
Z
(G06F)
P 1 8・ 572- Z (G06F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 衣川 裕史、久保 光宏 |
特許庁審判長 |
井関 守三 |
特許庁審判官 |
成瀬 博之 堀江 義隆 |
発明の名称 | コンピュータ読み取り可能な記録媒体 |
代理人 | 坂口 博 |
代理人 | 渡部 弘道 |
代理人 | 市位 嘉宏 |