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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1136913
審判番号 不服2002-11798  
総通号数 79 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1995-04-04 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-06-27 
確定日 2006-05-18 
事件の表示 平成 5年特許願第236552号「ゲーム機用操作装置」拒絶査定不服審判事件〔平成 7年 4月 4日出願公開、特開平 7- 88252〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯・本願発明
本願は、平成5年9月22日の出願であって、平成14年1月21日付で拒絶理由が通知され、平成14年3月29日付で意見書並びに手続補正書が提出され、平成14年5月17日付で拒絶査定がなされ、平成14年6月27日に審判請求がなされ、平成14年10月9日に審判請求書について手続補正がなされたものであり、その特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、平成14年3月29日付の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの次のとおりのものである。

「【請求項1】 少なくとも2系統の操作系統を備えたゲーム機用操作装置であって、前記2系統の操作系統の内、1系統は上下左右の4つの指示ができるディジタル式入力デバイスとし、他の1系統は全方向の指示ができるアナログ式入力デバイスとしたことを特徴とするゲーム機用操作装置。」
そこで、請求項1に記載された発明(以下、「本願発明」という。)について以下に検討する。

2.引用例について
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された実願平2-85019号(実開平4-42029号)のマイクロフイルム(以下、「引用例」という。)には、図面とともに以下の技術事項が記載されている。

・記載事項1
この考案はゲーム機用操作装置に関し、特に例えばビデオゲーム機のコントローラ又はジョイステックとして用いられるゲーム機用操作装置に関する。(頁4第8行〜第11行)

・記載事項2
第1の操作手段は、ハウジングの一方主面上における横方向一方側に設けられ、第1の指示(例えばプレイヤの操作によってその動作を変化するキャラクタに移動方向の指示)を与えるためにプレイヤによって操作される。第2の操作手段は、ハウジングの一方主面上における横方向他方側に設けられ、第2の指示(例えば、主人公キャラクタがジャンプしたり、しゃがんだり、敵に攻撃を加えたり、画面に表示されたアイテムを取る等の各種動作の指示)を与えるためにプレイヤによって操作される。(頁7第9行〜第19行)

・記載事項3
ゲーム機用操作装置(以下「操作装置」)10は、ハウジング11を含む。ハウジング11の一方主面(表面)には、第1の操作手段の一例の方向指示操作器(方向指示スイッチともいう)12と第2の操作手段の一例の動作指示操作器(動作指示スイッチともいう)13とが左右に配設される。(頁10第12行〜第18行)

・記載事項4
4個のキースイッチ13a〜13dを直交又は交差する4方向に配置することによって動作指示操作器13を構成すれば、キースイッチ13a〜13dの押圧があったときプログラム処理に基づき上下左右の何れかの方向指示として判別処理することにより、2系統の方向指示操作器を必要とするゲームソフト用操作装置として利用できる。例えば、戦車を操縦するゲームにおいて、左側の方向指示操作器12の上又は下の押点を押圧すれば戦車の左キャタピラの前転又は後転を指示し、右側の動作指示操作器13の上又は下のキースイッチ13a又は13dを押圧すれば戦車の右キャタピラの前転又は後転を指示することができる。その結果、方向および動作指示操作器12及び13の上を押圧したときは前進(直進)、方向および動作指示操作器12および13の下を押圧したときは後進、方向および動作指示操作器12および13の何れか一方の上を押圧しかつ他方の下を押圧すれば下を押圧した側に旋回させるように利用することもできる。 (頁17第11行〜頁18第10行)

・記載事項5
第7図を参照して、信号処理回路18は、パラレル入力・シリアル出力可能なシフトレジスタを含む。信号処理回路18は、ゲーム機本体20のマイクロプロセッサ(CPU)21からパラレル書込信号が与えられたとき各指示操作器12,13及び14に含まれるスイッチ12a〜12d,13a〜13d,14aおよび14bの操作に基づく押圧信号を並列入力として読込み、シリアル読出信号が与えられたときクロック信号に同期して直列出力して、I/Oポート22に与えてビット直列でロードさせる。CPU21は、ゲームカートリッジ30に含まれるメモリ(ROM)31のプログラムに基づいてI/Oポート22にロードされている操作装置10の操作状態を示すデータをメモリ31に設定されているプログラムに基づいて判別し、判別結果に応じてゲーム処理を実行する。ゲーム処理としては、例えばゲーム画面に表示されている主人公キャラクタの移動又は変更のための画像処理であり、CPU21およびメモリ31のプログラムの制御下で画像処理プロセッサ(PPU)23によって実行される。(頁20第15行〜頁21第15行)
以上の記載事項1〜5及び図面の記載によれば、引用例には次の発明が記載されていると認められる。
「少なくとも2系統の操作系統を備えたゲーム機用操作装置であって、前記2系統の操作系統の内、1系統は上下左右の4つの指示ができる右側の方向指示操作器12とし、他の1系統は動作の指示ができる左側の動作指示操作器13としたことを特徴とするゲーム機用操作装置。」(以下、「引用例に記載された発明」という。)

3.対比
本願発明と上記引用例に記載された発明とを対比する。
引用例に記載された発明の「右側の方向指示操作器12」「左側の動作指示操作器13」は、本願発明の「入力デバイス」「入力デバイス」にそれぞれ相当する。
また、引用例の記載事項5の「・・・信号処理回路18は、ゲーム機本体20のマイクロプロセッサ(CPU)21からパラレル書込信号が与えられたとき各指示操作器12,13及び14に含まれるスイッチ12a〜12d,13a〜13d,14aおよび14bの操作に基づく押圧信号を並列入力として読込み、シリアル読出信号が与えられたときクロック信号に同期して直列出力して、I/Oポート22に与えてビット直列でロードさせる。・・・」なる記載から、引用例に記載された発明の右側の方向指示操作器12及び左側の動作指示操作器13は、ともにディジタル式であることは明らかである。
上記のとおり、引用例に記載された発明の右側の方向指示操作器12は、ディジタル式方向指示操作器であるので、引用例に記載された発明の右側の方向指示操作器12は、ディジタル式入力デバイスに相当するということができる。

以上を勘案すると、本願発明と引用例に記載された発明は、
「少なくとも2系統の操作系統を備えたゲーム機用操作装置であって、前記2系統の操作系統の内、1系統は上下左右の4つの指示ができるディジタル式入力デバイスとし、他の1系統は動作の指示ができる入力デバイスとしたことを特徴とするゲーム機用操作装置。」である点で一致し、以下の点で相違する。

・相違点:
他の1系統の入力デバイスにおいて、本願発明の入力デバイスは全方向の指示ができるアナログ式であるのに対して、引用例に記載された発明の入力デバイスは、動作の指示を行うディジタル式である点。

4.判断
上記相違点について、検討する。
引用例の記載事項4の「・・・4個のキースイッチ13a〜13dを直交又は交差する4方向に配置することによって動作指示操作器13を構成すれば、キースイッチ13a〜13dの押圧があったときプログラム処理に基づき上下左右の何れかの方向指示として判別処理することにより、2系統の方向指示操作器を必要とするゲームソフト用操作装置として利用できる。・・・」なる記載から、引用例に記載された発明の「動作指示操作器13」は、上下左右の4方向を指示できる方向指示操作器とすることができることは明らかである。
また、ゲーム技術分野の操作装置において、押しボタン式、回転ノブ、圧力感知膜、マウス、ジョイスティックやトラックボール等は相互に代替可能であることは周知な技術であり(特開平4-266781号公報の【0005】、特開平5-111579号公報の【0018】等、ゲームの操作装置にトラックボールを使用する特開平3-266018号公報、特開平2-75013等を参照されたい)、かつ、トラックボールやジョイスティック、マウスなどの操作装置はすべての方向を操作指示でき、その操作から得られる操作情報はアナログであるが、そのアナログ操作情報はディジタル操作情報化(いわゆるA/D変換)されて(上記特開平2-75013号公報参照)、その操作装置からゲーム機本体のCPUに送られ、CPUによりゲーム機本体においてゲームの制御等に使用されることは例を示すまでもなく常識というべき事項にすぎない。
そうすると、上記常識技術を参酌しつつ、引用例に記載された発明の「他の1系統の動作の指示ができるディジタル式入力デバイス」に代えて、上記周知のアナログ式トラックボールを採用すること、すなわち本願発明の相違点に係る構成となすことは、当業者が常識技術および周知技術を参酌しつつ、引用例に記載された発明に基づき、容易に発明できたものにすぎず、その採用の作用効果も予想の範囲を超えるものでもない。

5.むすび
よって、本願発明は、引用例に記載された発明および常識技術並びに周知技術に基づき、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
以上のとおり、本願発明は、引用例に記載された発明および常識技術並びに周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。よって、本願の他の請求項に係る発明については論じるまでもなく、結論のとおり 審決する。
 
審理終結日 2006-03-16 
結審通知日 2006-03-22 
審決日 2006-04-04 
出願番号 特願平5-236552
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 榎本 吉孝  
特許庁審判長 三原 裕三
特許庁審判官 林 晴男
宮本 昭彦
発明の名称 ゲーム機用操作装置  
代理人 鈴木 正剛  

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