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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G09F 審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 G09F |
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管理番号 | 1136959 |
審判番号 | 不服2004-20751 |
総通号数 | 79 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2002-12-06 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2004-10-07 |
確定日 | 2006-05-18 |
事件の表示 | 特願2001-158194「薄型表示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成14年12月 6日出願公開、特開2002-351351〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成13年5月28日の出願であって、平成16年5月26日付けの最後の拒絶理由に対して、平成16年7月16日付けで手続補正がなされたが、平成16年8月20日付けでこの手続補正を却下する決定がなされるとともに、同日付けで拒絶査定がなされた。そして、この拒絶査定に対して平成16年10月7日に審判請求がなされるとともに、平成16年11月8日付けで手続補正がなされたものである。 2.平成16年11月8日付け手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成16年11月8日付け手続補正を却下する。 [理由]新規事項追加 (1)補正後の本願発明 平成16年11月8日付け手続補正(以下「本件補正」という。)により、特許請求の範囲の請求項1は、 「中央部に設けられたプラスチック導電性発光素子を用いた薄型の表示部と、表示部の4辺周辺のプラスチック導電性発光素子に設けられた複数のタッチボタン式の操作部とを備え、表示部の上辺のタッチボタン式の操作部は、少なくとも電源のオン、オフ用のスイッチと画面設定用、画面分割用スイッチを備え、表示部の下辺のタッチボタン式の操作部は、少なくとも、画面の左右のスクロール用のスイッチと、画面の拡大、縮小するスイッチと、音声の拡大、縮小するスイッチを備えたことを特徴とする薄型表示装置。」 と補正された。 (2)補正の適否の検討 本件補正により、操作部に関して「プラスチック導電性発光素子に設けられた複数のタッチボタン式の操作部」と補正されたが、この補正が新規事項を追加する補正に該当するか否かを検討する。 本願の願書に最初に添付した明細書及び図面(以下「当初明細書等」という。)には、上記補正に関連して、以下の事項が記載されている。 記載1 「【請求項1】 中央部に設けられたプラスチック導電性発光素子を用いた薄型の表示部と、表示部の周辺に設けられた複数の操作スイッチと、USBコネクタとを備えたことを特徴とする薄型表示装置。」 記載2 「【0011】 【発明の実施の形態】 以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明に実施の形態における薄型表示装置の画面操作部の概要を示す説明図である。全体を符号10で示す薄型表示装置は中央部に設けられた表示部20を有する。薄型表示装置10の表示部20はプラスチック導電性発光素子により形成されている。 【0012】 薄型表示装置10の表示部20の周囲には、図1に示すように、複数の操作スイッチよりなる操作部30,40,50,60が設けられている。薄型表示装置10の操作部30,40,50,60は圧力センサを備えたタッチ式のボタンである。 【0013】 薄型表示装置10の表示部20の上辺の操作部30には、図1に示すように、複数のボタン31〜30nが用意されている。例えば、ボタン31は電源のオン,オフ用のスイッチであり、ボタン32は画面設定用のスイッチである。ボタン36は画面分割用のスイッチであり、ボタン37はインデックス用のスイッチである。 【0014】 薄型表示装置10の表示部20の下辺の操作部40には、図1に示すように、複数のボタン41〜40nが用意されている。例えば、ボタン41は戻りページ用のスイッチであり、ボタン42は左側へのスクロール用のスイッチであり、ボタン43は画面にしおりを設定するスイッチである。 ボタン44は画面を拡大するスイッチであり、ボタン45は画面を縮小するスイッチである。ボタン46は音声を拡大するスイッチであり、ボタン47は音声を縮小するスイッチである。ボタン48は右側へのスクロール用のスイッチであり、ボタン49は改ページ用のスイッチである。 【0015】 薄型表示装置10の表示部20の左側に設けられた操作部50には、図1に示すように、複数のボタン51〜50nが用意されている。例えば、ボタン51は再開行用のスイッチであり、ボタン52は文章の行の指定用のスイッチである。 【0016】 薄型表示装置10の表示部20の右側に設けられた操作部60には、図1に示すように、複数のボタン61〜60nが用意されている。例えば、ボタン61は上方向への画面のスクロール用のスイッチであり、ボタン64は下方向への画面のスクロール用のスイッチである。」 記載3 「【0017】 図2は本発明の実施の形態における薄型表示装置のシステム構成図である。画面表示装置100は、図2に示すように、全体制御部110と、入出力制御部111と、通信制御部112と、インタフェース制御部113と、センサ制御部114と、画面制御部115と、表示部120と、タッチボタン式のセンサ部130と、記憶部140と、電源部150と、USBコネクタ160と、インタフェースコネクタ170を有している。」 そこで、当初明細書等の上記記載1〜3及び記載2、3で参照されている図1、2について検討する。 記載2の「全体を符号10で示す薄型表示装置は中央部に設けられた表示部20を有する。」との記載、記載2の「薄型表示装置10の表示部20の周囲には、図1に示すように、複数の操作スイッチよりなる操作部30,40,50,60が設けられている。」との記載及び図1の表示部20と操作部30,40,50,60との配置関係からみて、表示部20は薄型表示装置10の一部の領域である中央部に設けられ、操作部は薄型表示装置10の中央部に設けられた表示部20ではなく、該中央部に設けられた表示部20の外側の領域に設けられていることが分かる。つまり、操作部は表示部20の一部を構成しない。 また、操作部は表示部20の一部を構成しないことは、記載3の以下の記載及び参照されている図2の表示部120(「表示部20」に相当)と、タッチボタン式のセンサ部130(「操作部」に相当)との配置関係からも明らかである。すなわち、記載3には「画面表示装置100は、図2に示すように、全体制御部110と、入出力制御部111と、通信制御部112と、インタフェース制御部113と、センサ制御部114と、画面制御部115と、表示部120と、タッチボタン式のセンサ部130と、記憶部140と、電源部150と、USBコネクタ160と、インタフェースコネクタ170を有している。」と記載されており、表示部120(「表示部20」に相当)と、タッチボタン式のセンサ部130(「操作部」に相当)とは異なる部材として当初明細書等に記載されている、換言すると、表示部120にタッチボタン式のセンサ部130が設けられことが当初明細書等に記載されているとは言えない。 そして、薄型表示装置10において、表示部の外側の領域にプラスチック導電性発光素子が設けられる旨は、当初明細書等に記載されておらず、また当初明細書等の記載から自明でもないことは明らかである。 また、当初明細書等には、複数のタッチボタン式の操作部がプラスチック導電性発光素子に設けられる点が直接的に記載されていないことは明らかである。 よって、「プラスチック導電性発光素子に設けられた複数のタッチボタン式の操作部」は当初明細書等に記載されておらず、また当初明細書等に記載から自明でもない。 以上から、本件補正は、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてなされたものではない。 (4)むすび 以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するので、特許法第159条第1項で読み替えて準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 3.本願発明について 平成16年11月8日付け手続補正は上記のとおり却下され、また、平成16年7月16日付け手続補正は平成16年8月20日付けで却下の決定がなされているので、本願の請求項1に係る発明は、平成16年3月26日付け手続補正により補正された明細書及び図面の記載からみて、以下の事項により特定されるものと認める。(以下「本願発明」という。) 「中央部に設けられた表示部と、表示部の4辺周辺に設けられた複数の操作部とを備えたことを特徴とする薄型表示装置。」 なお、請求項1には、「中央部に設けられた表示装置と、表示部の4辺周辺に設けられた複数の操作部とを備えたことを特徴とする薄型表示装置。」と記載されているが、この記載では請求項1の末尾に記載された「薄型表示装置」がその1行目に記載された「表示装置」を備えることになり、意味が不明りょうとなる点、及び本願明細書の段落【0011】の「全体を符号10で示す薄型表示装置は中央部に設けられた表示部20を有する。」との記載からみて、請求項1の1行目に記載された「中央部に設けられた表示装置」は、中央部に設けられた表示部の誤記と思われるので、上記のように本願発明を認定した。 4.引用刊行物に記載された発明 本願の出願前の平成13年5月8日に頒布され、原査定の拒絶の理由に引用された特開2001-121458号公報(以下「引用刊行物」という。)には、「ロボットコントロ-ラ」の発明に関して、以下の事項が記載されている。 <記載事項1> 「【0007】 【課題を解決するための手段】本発明の請求項1のロボットコントローラは、撮像装置により取込まれたモニタ映像を、ティーチングペンダントのディスプレイに表示させることを可能としたところに特徴を有する。これによれば、作業者は、ティーチングペンダントのディスプレイに表示されたモニタ映像を見ながら、ティーチングペンダントを操作してティーチング作業を行なうことができ、このとき、ティーチングペンダントは自在に持ち運びできるので、作業者が作業しやすい任意の位置でモニタ映像を見ながらマニュアル操作を行なうことができるようになる。」 <記載事項2> 「【0018】前記ティーチングペンダント4は、図1に示すように、作業者が携帯して(手で持運んで)操作できる程度のコンパクトな大きさの薄形のほぼ矩形箱状に構成されている。図3にも示すように、このティーチングペンダント4の表面部の中央部には、例えば比較的大形のカラー液晶ディスプレイからなるディスプレイ(表示部)21が設けられており、各種の画面が表示されるようになっている。また、このディスプレイ21の表面にはタッチパネル22が設けられている。周知のように、このタッチパネル22は、ディスプレイ21に各種のキーやアイコンが表示された状態で、作業者によってタッチ操作されることにより、選択やコマンド入力用の操作キーとして機能するようになっている。」 <記載事項3> 「【0019】さらに、図1に概略的に示すように、ティーチングペンダント4の表面部には、前記ディスプレイ21の周囲部に位置して、電源キー23、ロボット本体1の各種の運転を指示するための複数の運転キー24、ロボット本体1をマニュアル操作するためのマニュアル操作キー25、複数のファンクションキー26、モード(自動運転、マニュアル操作、ティーチチェック)の切替を行なうためモード切替スイッチ27、回すことによりメニュー選択や数値の増減等を行なうためのジョグダイヤル28が設けられている。これにより、前記タッチパネル22と併せて、各種のキー入力を行なうためのキー操作部29(図2参照)が設けられている。尚、緊急時にロボット本体1を停止(電源遮断)させるための非常停止スイッチ30も設けられている。」 <記載事項4> 図1には、ディスプレイ21の周囲部で、その上側には運転キー24、その右側にはマニュアル操作きー25、その下側にはファンクションキー26、その左側には電源キー23とが備えられている。 したがって、上記記載事項1〜4及び図面の記載に基づけば、引用刊行物には、 「ティーチングペンダント4の表面部の中央部にはカラー液晶ディスプレイからなるディスプレイ21が設けられ、ディスプレイ21の周囲部に位置して、その上側には運転キー24、その右側にはマニュアル操作きー25、その下側にはファンクションキー26、その左側には電源キー23とが備えられたティーチングペンダント4。」の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。 5.対比 本願発明と引用発明とを比較すると、引用発明の「ディスプレイ21」は本願発明の「表示部」に、「ディスプレイ21の周囲部に位置して、その上側には運転キー24、その右側にはマニュアル操作きー25、その下側にはファンクションキー26、その左側には電源キー23とが備えられた」は「表示部の4辺周辺に設けられた複数の操作部とを備えた」にそれぞれ相当する。 また、引用発明の「ティーチングペンダント4」は、ディスプレイ21により各種の画面が表示されるから、表示装置ということができるので、引用発明の「ティーチングペンダント4」と本願発明の「薄型表示装置」とは表示装置の点で一致する。 したがって、両者は、 「中央部に設けられた表示部と、表示部の4辺周辺に設けられた複数の操作部とを備えたことを特徴とする表示装置」の点で一致するが、以下の点で相違する。 [相違点] 表示装置が、本願発明は、薄型であると規定しているのに対して、引用発明は、薄型であるとは規定されていない点。 6.当審の判断 引用発明のティーチングペンダント4(表示装置)は、薄型の表示手段であるカラー液晶ディスプレイからなるディスプレイ21(表示部)を有するから、ティーチングペンダント4(表示装置)全体を薄型とすることに格別の困難性はなく、引用発明の表示装置を本願発明のように薄型にすることは、表示装置の用途、使い勝手等を考慮して当業者が容易に想到し得る事項である。 そして、本願発明の効果は、引用刊行物の記載から当業者が予測し得る範囲内のものである。 よって、本願発明は、引用刊行物の記載に基づいて当業者が容易になし得たものである。 7.むすび 以上のとおり、本願発明は、引用刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2006-03-08 |
結審通知日 | 2006-03-14 |
審決日 | 2006-03-27 |
出願番号 | 特願2001-158194(P2001-158194) |
審決分類 |
P
1
8・
561-
Z
(G09F)
P 1 8・ 121- Z (G09F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 加藤 隆夫 |
特許庁審判長 |
江塚 政弘 |
特許庁審判官 |
前川 慎喜 上野 信 |
発明の名称 | 薄型表示装置 |
代理人 | 特許業務法人第一国際特許事務所 |