• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G03B
管理番号 1137043
審判番号 不服2004-25577  
総通号数 79 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2003-10-10 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-12-15 
確定日 2006-05-23 
事件の表示 特願2002- 91927「背面投写型映像表示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成15年10月10日出願公開、特開2003-287813〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成14年3月28日の出願であって、平成16年11月4日付けで拒絶査定がなされ、これに対し平成16年12月15日に拒絶査定に対する審判請求がなされたものであって、その後、当審において平成17年12月14日付けで拒絶理由が通知され、平成18年2月17日付けで意見書及び補正書が提出されたものである。
その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成18年2月17日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。
「投写光学系から出射された投写映像光を背面ミラーで反射してスクリーンに背面投写する背面投写型映像表示装置において、投写光学系の投写光軸中心がスクリーン中心に一致せずに垂直方向にずれており、前記ずれの距離である軸外し量が画面垂直寸法の1/2以上とされ、投写光学系から出射された投写映像光が2回反射されて前記背面ミラーに導かれるように構成され、スクリーンと背面ミラーとの配置間隔が最も短くなる構成を得るための前提条件は背面ミラーにより反射される上光線がスクリーンの下端又は下端近傍を通過することであるとし、且つ
d: スクリーン後方の装置厚みを決定するスクリーンから背面ミラーまでの奥行きの最小値
L: 投写距離
2V: 画面垂直寸法
k: 光軸シフト係数(前記軸外し量を前記画面垂直寸法2Vを用いて表すための係数)
A=√(a2 +b2 )
a={L2 -(4k2 -1)V2 }/2
b=2kLV
として、
d=L2 V/(A+LV)
の条件式を満足することを特徴とする背面投写型映像表示装置。」

2.引用例
当審において拒絶の理由に引用された、本願の出願前である平成14年2月22日に頒布された特開2002-57963号公報(以下、「引用例1」という。)には、次の事項が記載されている。
(1)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、斜め投射型の表示装置に関し、特に斜め投射により装置の超薄型化を図ったリアプロジェクション表示装置に関するものである。」
(2)「【0009】
【実施例】以下に、本発明の実施例について説明する。
[実施例1]図1に本発明における実施例1の薄型リアプロジェクション表示装置の断面構成図を示す。同図において1は斜入射用スクリーン、2、3はAL蒸着平面ミラー、4、5、6、7、8、9はAL蒸着自由曲面ミラーで回転非対称な非球面曲面ミラーである。10は液晶表示デバイス、25は外装である。また矩形の破線で囲まれた部分は本発明の基本である斜め入射投影系の理解を容易にするために加筆した部分であり、平面ミラー2、3を外した場合に想定される投影想像図である。
【0010】図1には特に上記以外の部品は記載されていないが、液晶表示デバイス10は不図示の照明系により後ろから照明され、該液晶表示デバイス10前面から出射される画像光は自由曲面ミラー9に向かう。また自由曲面ミラー群4、5、6、7、8、9は後に詳述するが、図中の光線線図で図示されるように、光線が順次各面によって反射されながら進んで行き、最後にミラー4の反射にて光束を平面ミラー3に向けて出射する。この際、各面の光線反射角変調作用の合成による、つまりこれら6面の総合作用による結像作用を有している。
【0011】この結像作用は、液晶パネル10の矩形画像面を光軸に対して斜めに配置されている(光軸入射角42°)スクリーン1上に歪み無く拡大矩形投影するものである。従って、自由曲面ミラー4から出射された光束は図示のごとくまずスクリーン下に位置する平面ミラー3にて反射され、その反射光束は装置後ろ上側に位置する平面ミラー2にて前上側にさらに反射され、その後、斜め下方向から斜め上方向に向かってスクリーン1を照らす。つまり画像光は最終的に該スクリーン1に斜め投影される。
【0012】尚、ここでの平面ミラー2、3はスクリーン1と共に各面がお互いに平行かつ鉛直になるように配置されている。このようにレイアウトされることにより、リアプロジェクションを構成する場合に、その奥行きを大幅に薄くすることが可能になる。因みに、本例によれば、9:16横長対角60”表示画面で奥行き30cmが可能になると見込まれる。」
(3)図1には、液晶パネルから出射される画像光が少なくとも2回反射されて平面ミラー2に導かれるように構成されていて、平面ミラー3で反射される光はスクリーン1の下端の近くを通過している点が記載されている。

そして、引用例1の画像光は斜め投影されるものであるから、照明系の投射光軸がスクリーンの中心に一致せずに垂直方向にずれていることは、当業者にとって自明のことである。

これらの記載事項及び当業者にとって自明のことにより、引用例1には、「照明系から照明された画像光を平面ミラーで反射してスクリーンに投射するリアプロジェクション表示装置において、照明系の投射光軸中心がスクリーン中心に一致せずに垂直方向にずれており、照明系から照明された画像光が2回反射されて前記平面ミラーに導かれるように構成されていることを特徴とするリアプロジェクション表示装置。」(以下、「引用発明」という。)が開示されている。

3.対比
そこで、本願発明と引用発明とを比較すると、引用発明の「照明系」、「照明系から照明された」、「画像光」、「平面ミラー」、「スクリーンに投射する」、及び「リアプロジェクション表示装置」は、本願発明の「投写光学系」、「投写光学系から出射された」、「投写映像光」、「背面ミラー」、「スクリーンに背面投写する」、及び「背面投写型映像表示装置」に、それぞれ相当するものであるから、両者は、
「投写光学系から出射された投写映像光を背面ミラーで反射してスクリーンに背面投写する背面投写型映像表示装置において、投写光学系の投写光軸中心がスクリーン中心に一致せずに垂直方向にずれており、投写光学系から出射された投写映像光が2回反射されて前記背面ミラーに導かれるように構成されることを特徴とする背面投写型映像表示装置。」
である点で一致し、以下の点で相違している。
[相違点1]本願発明が、ずれの距離である軸外し量が画面垂直寸法の1/2以上とされるのに対して、引用発明にはこのような限定がない点。
[相違点2]本願発明が、スクリーンと背面ミラーとの配置間隔が最も短くなる構成を得るための前提条件は背面ミラーにより反射される上光線がスクリーンの下端又は下端近傍を通過することであるとし、且つ
d: スクリーン後方の装置厚みを決定するスクリーンから背面ミラーまでの奥行きの最小値
L: 投写距離
2V: 画面垂直寸法
k: 光軸シフト係数(前記軸外し量を前記画面垂直寸法2Vを用いて表すための係数)
A=√(a2 +b2 )
a={L2 -(4k2 -1)V2 }/2
b=2kLV
として、
d=L2 V/(A+LV)
の条件式を満足するのに対して、引用発明にはこのような限定がない点。

4.判断
[相違点1]について
引用発明も投写光学系の投写光軸中心がスクリーン中心に一致せずに垂直方向にずれている。そして、ずれの距離をである軸外し量をどの程度ずらすかは、当業者にとって適宜選択可能な設計的事項である、下限を1/2とすることによる臨界的意義も認められない。
したがって、相違点1に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得た事項である。

[相違点2]について
引用例1の前記記載事項(2)に「その奥行きを大幅に薄くすることが可能になる。」と記載されているように、スクリーンと背面ミラーとの配置間隔を短くするという課題は周知の事項である。また、引用例1の前記記載事項(3)に、平面ミラー3で反射される光はスクリーン1の下端の近くを通過している点が記載されている。そして、背面ミラーにより反射される上光線がスクリーン下端のどの程度の近傍を通過するかは、当業者にとって適宜選択可能な設計的事項であり、スクリーンと背面ミラーとの配置間隔が最も短くなる構成とし、背面ミラーにより反射される上光線がスクリーンの下端又は下端近傍を通過するような構成とすることは、当業者が容易に想到し得た事項である。
そして、本願発明の条件式は、スクリーンと背面ミラーとの配置間隔が最も短くなる構成であって、背面ミラーにより反射される上光線がスクリーンの下端を通過する場合に成り立つものである。
してみると、上述したように、スクリーンと背面ミラーとの配置間隔が最も短くなる構成とし、背面ミラーにより反射される上光線がスクリーンの下端又は下端近傍を通過するような構成とすることは、当業者が容易に想到し得た事項であるから、上記条件式を満足するようにすることは、当業者が容易に想到し得た事項である。
したがって、相違点2に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得た事項である。

そして、本願発明による作用効果も、引用発明及び周知の事項から当業者が予測できる範囲内のものである。

5.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1に記載された発明及び周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-03-13 
結審通知日 2006-03-28 
審決日 2006-03-31 
出願番号 特願2002-91927(P2002-91927)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G03B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 南 宏輔  
特許庁審判長 上野 信
特許庁審判官 前川 慎喜
井口 猶二
発明の名称 背面投写型映像表示装置  
代理人 神保 泰三  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ