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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61F |
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管理番号 | 1137178 |
審判番号 | 不服2004-14855 |
総通号数 | 79 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1994-01-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2004-07-15 |
確定日 | 2006-05-26 |
事件の表示 | 平成 4年特許願第172449号「体液吸収用当て材」拒絶査定不服審判事件〔平成 6年 1月25日出願公開、特開平 6- 14962〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願は、平成4年6月30日の出願であって、その請求項1、2に係る発明は、平成15年2月24日付け手続補正書により補正された明細書および図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1、2に記載されたとおりのものと認められるところ、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりである。 「【請求項1】下着等への装着面10と体液を吸収すべき身体への着用面11とを有する本体部1と、前記本体部1の幅より大きな幅を有するとともに前記本体部1の装着面10に貼付された剥離紙2とを具備する体液吸収用当て材に於いて、本体部1の前後端の夫々の適宜領域12が、装着面10に貼付した剥離紙2が外方側となる態様で折込まれ、更に、前記の折込まれた剥離紙2どうしを当接させるように折り畳まれ、折り畳まれた状態で、剥離紙2の本体部1の幅より外側の部分20が接着されており、前記接着の態様が接着剤を用いたものであることを特徴とする体液吸収用当て材。」 2.引用例の記載事項 (a)原査定の拒絶の理由に引用された本願出願前に頒布された「実願昭58-41111号(実開昭59-145915号)のマイクロフィルム」(以下、「引用例1」という。)には、以下の記載がある。 (2-1)「実用新案登録請求の範囲 1)ナプキン本体の片面にビニールシートを重合させてシート付きナプキンを形成し、かつ上記ビニールシートの端部寄り位置に粘着テープを取付け、かつ上記シート付きナプキンをビニールシートが外面になる状態に両端部分を内側に折畳み、この両端折畳み状態で上記粘着テープを折畳み部の外面に位置させるとともに、同両端折畳み状態から更に中央部を折畳み、この中央折畳み状態で上記両折畳み部同士を面合させるとともにビニールシートの両側辺をそれぞれ接合させるように構成したことを特徴とするワンタッチ生理用ナプキン。」 (2-2)「従って、上述のワンタッチ生理用ナプキンAを使用するには、接合部5,5を引き裂いて、シート付きナプキンaを展開し、ナプキン本体1を局部に当てがうと共に、粘着テープ3を下着に接着させる状態にして使用することになる。」(マイクロフィルム第5頁第5から9行) (2-3)「ビニールシート2の両側辺2a,2aを熱溶着により接合5,5する」(マイクロフィルム第5頁第2から3行) 上記(2-1)〜(2-3)および第1図〜第5図より、引用例1には、 「一方の片面と局部に当てがわれる他方の片面とを有するナプキン本体と、前記本体の幅より大きな幅を有するとともに一方の片面に重合されたビニールシートとを具備する生理用ナプキンに於いて、本体の両端部分の夫々が、一方の片面に重合したビニールシートが外面となる態様で折畳れ、更に、前記の折畳れたビニールシートどうしを当接させるように折畳まれ、折畳まれた状態で、ビニールシートの本体の幅より外側の両側辺が接着されており、前記接着の態様が熱溶着であることを特徴とする生理用ナプキン。」が開示されている。 (b) 原査定の拒絶の理由に引用された本願出願前に頒布された「実願昭63-96038号(実開平2-17127号)のマイクロフィルム」(以下、「引用例2」という。)には、以下の記載がある。 (2-4)「上記生理用ナプキン1は、従来より公知の構成を有するものであって、例えば、吸収体と、該吸収体の使用面(肌当接面)側を覆う液透過性の表面材と、吸収体の非使用面(肌非当接面)側を覆う液不透過性の防漏材と、該防漏材の外面を覆う外皮材とで構成されており、該生理用ナプキン1の非使用面1aには、着用時にショーツ等へ止着するための粘着手段3が付設されている。」(マイクロフィルム第5頁第2から9行) (2-5)「一方、上記包装材2は、・・(中略)・・内面に、シリコンコーティング等の表面処理を施すことによって上記粘着手段3に対して剥離性を示す剥離面2aを形成したもので」(マイクロフィルム第5頁第13から18行) 上記(2-4)、(2-5)より、引用例2には、 「生理用ナプキン(体液吸収用当て材の本体部)において、これの非使用面(装着面)にシリコンコーティング等の表面処理が施された剥離紙を貼付すること」が開示されている。 3.対比・判断 本願発明と引用例1記載の発明とを対比する。 ○後者の「生理用ナプキン」、「ナプキン本体」、「本体の両端部分の夫々」、「外面」、「重合」、「折畳む」は、 前者の「体液吸収用当て材」、「本体部」、「本体の前後端の夫々の適宜領域」、「外方側」、「貼付」、「折込む,折り畳む」のそれぞれに相当している。 ○後者の「局部に当てがわれる他方の片面」は、その当てがわれることによる機能から見ると、前者の「体液を吸収すべき身体への着用面」に相当し、この面に対する配置関係から見ると、後者の「一方の片面」は、前者の「装着面」に相当し、その材質はさておき、これらの面に対する配置関係から見ると、後者の「ビニールシート」は、前者の「剥離紙(シート)」に対応する部材であると認める。 また、後者の「幅より外側の両側辺が接着」と前者の「幅より外側の部分が接着」は、その接着手段に差違があるとしても、接着する位置においては、上記「外側の両側辺」と「外側の部分」に差異があるとは認められない。 上記より、両者は、 「下着等への装着面と体液を吸収すべき身体への着用面とを有する本体部と、前記本体部の幅より大きな幅を有するとともに前記本体部の装着面に貼付されたシートとを具備する体液吸収用当て材に於いて、本体部の前後端の夫々の適宜領域が、装着面に貼付したシートが外方側となる態様で折込まれ、更に、前記の折込まれたシートどうしを当接させるように折り畳まれ、折り畳まれた状態で、シートの本体部の幅より外側の部分が接着されていることを特徴とする体液吸収用当て材。」という点で一致し、以下の点で相違している。 ◇前者では、本体部の装着面に貼付されるシートが「剥離紙」であるのに対して、後者では、「剥離されないビニールシート」である点。(以下、「相違点1」という。) ◇前者では、「シートの本体部の幅より外側の部分の接着」が「接着剤」を用いるのに対して、後者では、「熱溶着」である点。(以下、「相違点2」という。) 上記各相違点について検討する。 ◇相違点1について 一般に、体液吸収用当て材の本体部において、これの装着面に「シリコンコーティング等の表面処理が施された剥離紙」を貼付することは、引用例2に示すごとく、広く知られているので、 引用例1記載の発明の「体液吸収用当て材の本体部」においても、これの装着面に「剥離されないビニールシート」を貼付することに代えて、「剥離紙(シート)」を貼付することは、当業者が容易になし得たものと認める。 ◇相違点2について 上記相違点1で検討したように、引用例1記載の発明において、体液吸収用当て材の本体部の装着面に「剥離紙(シート)」を貼付するものとした上で、以下の検討を行う。 シートの接着において、接着するシートの性質等に応じて周知の接着手段より適宜の接着手段を選択すべきところ、一般に、圧着を行う、逢着を行う、接着剤を用いる等の接着手段は、周知例を示すまでもなく、本願出願前周知の事項であるので、引用例1記載の発明の「剥離紙(シート)の本体部の幅より外側の部分の接着」に接着剤を用いることは、当業者が容易になし得たものと認める。 したがって、本願発明は、引用例1、2記載の発明および本願出願前周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 4.むすび したがって、本願発明は、引用例1、2記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 それゆえ、本願は、特許請求の範囲の請求項2に係る発明について、検討するまでもなく、拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2006-03-22 |
結審通知日 | 2006-03-29 |
審決日 | 2006-04-11 |
出願番号 | 特願平4-172449 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(A61F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 福井 美穂 |
特許庁審判長 |
松縄 正登 |
特許庁審判官 |
豊永 茂弘 石田 宏之 |
発明の名称 | 体液吸収用当て材 |
代理人 | 三枝 英二 |
代理人 | 掛樋 悠路 |
代理人 | 舘 泰光 |